Dead or AliCe
『16人の救世主』

簡易裁判

GM
*簡易裁判を開始します*
匕首咲
生きている。
肚を抉られ、夜を越え。
また殺されても、なお生きている。
マキナ
「……咲、さん」
GM
*ルール説明*
GM
*ルール説明*
このシーンでは、現在から行われる一連のロールプレイ上のアクションについて、裁判と同じようにカードによる対応が可能となります。
GM
妨害の判定に成功すればアクションに対する妨害が可能となります。
回復の判定に成功すれば、特定のPCの負傷に対する回復が可能となります。
GM
1号室側は「全ての権利を破棄する」という宣言を行っているため、カードが配布されません。
GM
8号室のみ、カードが配布されます。
GM
あくまでも簡易裁判であるため、各カードアクションは、判定の成功についてのみを見ることになります。
(妨害の目標値を目標に何らかの判定が発生する事はありません)
GM
カードを使用しないアクションも可能です。ただし、カードを使用したアクションにロールプレイ上の優先権があります。
GM
これはあくまでもお茶会中の行動であるため、逆転は使用できません。
GM
*行動順の決定*
小鴨 チカ
1d6+3
DiceBot : (1D6+3) > 1[1]+3 > 4
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
桟敷川映鏡
1d6
DiceBot : (1D6) > 2
匕首咲
1D6
DiceBot : (1D6) > 6




GM
行動順 匕首咲>小鴨チカ>マキナ>桟敷川映鏡
GM
*カード配布*
小鴨 チカ
*c4 h6 s6 dQ dK
マキナ
*d2 d3 c5 cQ cK
GM
*簡易裁判 第1ラウンド
GM
*第1R:匕首 咲の手番
匕首咲
* 映鏡を攻撃
マキナ
割り込みはしません
匕首咲
生きてはいるが、かろうじて命を繋ぎ止めているだけだ。

匕首咲
荒い息を吐く。
興奮しているからではない。
20枚は、死者が起き上がるに足る枚数ではない。
匕首咲
「誰にも……」

ふらつきながら、立ち上がる。
匕首咲
「映鏡」
桟敷川映鏡
「はい」
匕首咲
「あたしの全部をあげるから」
匕首咲
「映鏡の全部を」
匕首咲
「あたしに、頂戴……」
桟敷川映鏡
「ええ、貴女が望むままに」
匕首咲
花が咲くように、笑った。
匕首咲
ナイフが、映鏡の時計の心臓を貫く。
小鴨 チカ
「ぁ……」
マキナ
咲が見せる情念を前に、動けない。
マキナ
いや、
マキナ
動かない。
桟敷川映鏡
懐中時計の心臓に、歯車の合間に、あひくちの切っ先が触れる。
小鴨 チカ
その光景を茫然と見つめる事しかできない。
小鴨 チカ
匕首さんの言う事の意味ぐらい、ぼくにもわかる。
小鴨 チカ
二人は、この結末を受け入れたんだ。
小鴨 チカ
これは……心中だ。
マキナ
マキナの救世主としての力を使えば、あるいは目の前の出来事を止められるのかもしれないが。
マキナ
それが何になる?
桟敷川映鏡
あなたがそうしないのなら。
どのみち私がそうするはずだった。
桟敷川映鏡
笑う。
小鴨 チカ
『好きなのに殺した』じゃない。
小鴨 チカ
『好きだから殺した』んだ。
GM
救世主の力は万能ではなく、出来る事と出来ない事がある。
GM
それは、カードゲームの手札に似ている。
GM
その時、できる事。その時、できた事。
GM
その時、できなかった事。その時、しなかった事。
マキナ
今この時、マキナには止める力がある。
マキナ
しかしそれを、しない。
マキナ
選ばない。
小鴨 チカ
……答えを貰えなかった、ぼくの質問。
小鴨 チカ
──『なんで“アレ”、取ったの?』『それは闘いを終わるのも待てないぐらい、強い感情?』
小鴨 チカ
…………これが、その答えか。
GM
*第1R:小鴨チカの手番
小鴨 チカ
*パス
GM
*第1R:マキナの手番
マキナ
部屋の入り口に、ただ突っ立っている。
マキナ
マキナの力は自分を守る力。
マキナ
死にゆく他人に使われるものでは、決してない。
マキナ
*パス
GM
*第1R:桟敷川 映鏡の手番

桟敷川映鏡
*心中を遂げます
GM
許可します。
GM
猟奇と愛の能力値を両方補正として扱い、判定をどうぞ。
桟敷川映鏡
2d6+4
DiceBot : (2D6+4) > 3[1,2]+4 > 7
桟敷川映鏡
あなたがそうしないのなら。
そうしない。
あなたがそうするのなら。
そうする。
GM
一人で死ねば、それは自死。
GM
二人で死ねば、それは心中。
GM
今、その世界にいる人数は……
桟敷川映鏡
はるかなる疵の旅路もこれにて終幕。
桟敷川映鏡
白手袋を脱ぎ去った指を、女の心臓に突き立てる。
桟敷川映鏡
心臓に触れる。
匕首咲
動いている。生きている。
桟敷川映鏡
撫ぜるように優しく。
匕首咲
恋のときめきに、脈打っている。
桟敷川映鏡
ここでは、まだはやいと。
やさしく おし つぶす
桟敷川映鏡
地獄へ連れていくと言ったじゃあないか。
匕首咲
此岸では、この恋はどこにも行き着かない。
匕首咲
だから、一緒に。
ここではないどこかへ。


GM
判決は、恋。
GM
即ち、死。
GM
二つの魂は一つの塊となり。
GM
最早動かない躯と化す。
GM
ここに、裁判が閉廷する。
GM
オールド・メイド・ゲーム 2回戦 Bホール。
GM
勝者は、8号室。
GM
*閉廷*
GM
 
GM
*エンディング*
GM
客室1号室。
GM
そこに、死体がある。
GM
先程まで救世主だったもの。
GM
折り重なって、血の中に倒れている。
マキナ
「…………」
マキナ
──救世主は狂っている。
マキナ
半年間、救世主として他の者との裁判を重ねてきた。
マキナ
その中で、時折こうして
マキナ
命以上の、生きること以上の何かを見つけていく者を見ることがあった。
マキナ
狂っている。
マキナ
理解できない。
マキナ
その先に何があるというのか。
小鴨 チカ
わからない。
小鴨 チカ
生きてこそ。生きてこそだ。
小鴨 チカ
ぼくとマキナさんは、生存のための必然性から始まった関係だ。
小鴨 チカ
『生きたい』という欲求は、ぼくたちの揺るがない共通点だ。
小鴨 チカ
だって、先を望むじゃないか。生き物なんだから当然だ。
小鴨 チカ
幸せに生きたい。好きな人がいるなら、なおのこと。
小鴨 チカ
……でも……
小鴨 チカ
この人たちはこの人たちの、この人たちだけの世界に生きてる。
小鴨 チカ
ぼくらの理解も求めちゃいない。あるのは目の前の一人だけ。
マキナ
好きな人のために料理をしていた。
マキナ
お菓子も作ってみたいと言っていた。
メイド3
メイドが、客室を訪れる。
マキナ
目の前の彼女たちには、もう何もない。
メイド6
3号室のメイドと、6号室のメイド。控えていた者たちが姿を現す。
マキナ
「えー……と?」
メイド1
「……1号室、桟敷川映鏡様、匕首咲様は、全ての権利を破棄し、敗北なされました」
メイド1
1号室のメイドが、それを告げる。
マキナ
未だに戸惑いながら、メイドたちを見回す。
GM
それに応じて。
GM
ぱち、と音が鳴る。
GM
ぱちぱち、と音が続く。
GM
それは、拍手の音。
メイド3
「おめでとう御座います」
メイド8
「おめでとう御座います」
メイド6
「おめでとう御座います」
マキナ
「…………っ、」
GM
ぱちぱち、ぱちぱち、拍手が続く。
マキナ
「……」目を伏せる。
GM
それは、勝利した8号室へのもの……ではなく。
GM
むしろ、倒れた二つの躯へと、向けられているような。
GM
オールド・メイド・ゲーム。
マキナ
経緯はどうあれ、自分たちは1号室の二人に勝利した。
マキナ
そういうことになる。
小鴨 チカ
勝利した……はずだ。
マキナ
なのに、初戦と同様に気分は晴れないままで。
GM
その儀式において、破棄される事。破棄する事。それもまた、祝福するべきこと。
GM
「おめでとうございます」
GM
祝福の言葉が続いて。
GM
そして、その中で。
小鴨 チカ
初戦以上に、実感が湧かない。
メイド1
「では、失礼致します」
マキナ
二つの躯を前に、ただぼんやりと立ち尽くしていた。
メイド1
1号室のメイドが、レイピアで己の喉を突いた。
マキナ
そうしている内に、躯がまた一つ増える。
小鴨 チカ
「ぁ…………」
小鴨 チカ
…………そうか。そうだった。
GM
噴水のように血が噴き出す。それを、別のメイドが壺で受ける。
GM
恋人達の死体に重なりはせず、しかし傍に侍るように、メイドの死体が倒れた。
マキナ
「…………」
小鴨 チカ
目の前で、立て続けに起こる死。
マキナ
「……行こう、チカくん」
メイド8
それを引き止めるように。
小鴨 チカ
にも拘わらず、ぼくが抱いた感想は、『そうか。そうだった』だ。
メイド3
「これにて、1号室、桟敷川 映鏡様、匕首 咲様と」
メイド6
「8号室、小鴨 チカ様、マキナ様の裁判は決着いたしました」
メイド6
折り重なる二人の死体を、メイドが漁る。
小鴨 チカ
それもだ。
メイド6
「こちら、6ペンスコインでございます。お収めください」
小鴨 チカ
頭では理解しているけど、どうにもフワフワしてる。
メイド6
「次なる戦いへ向けて、しばらくのご休息をおとりくださいませ」
マキナ
「……あ」
小鴨 チカ
「……ああ」
マキナ
忘れてた。
小鴨 チカ
手を出して、受け取る。
小鴨 チカ
これも。そういえばそうだった。
マキナ
差し出した掌の上、ちゃりちゃりとコインが重なる。
マキナ
微かに命のぬくもりを残すそれが。
小鴨 チカ
重い。
小鴨 チカ
「……心中って、なんだろう」
小鴨 チカ
「一生を捧げる覚悟を、相手に示す行為」
小鴨 チカ
「それとも、別れの可能性を断つ行為?」
マキナ
「……さあ?」
マキナ
「マキナには、分かりませんね」
小鴨 チカ
これは、祝福される事なんだろうか。
小鴨 チカ
ぼくにはわからない。
小鴨 チカ
だって、目の前で起こっている出来事は、死だ。
マキナ
死んでしまえばもう何もない。
マキナ
言おうと思っていたこと、聞いてみたかったこと。
マキナ
咲ちゃんと、そう呼んでみようかと思っていたこと。
マキナ
すべてが、もはや意味をなさない。
マキナ
いずれにせよ、明日にはどちらかが死んでいたのだ。
マキナ
「……どうでもいいですよ」
マキナ
「これがなんだったのかなんて」
小鴨 チカ
「…………そう、だね」
マキナ
「マキナたちは勝った」
マキナ
「……それでいいじゃないですか」
小鴨 チカ
「……うん」
小鴨 チカ
「ぼくたちには、関係ないこと……」
小鴨 チカ
関係あっちゃ、いけないこと。
小鴨 チカ
「ぼくたちは……生きよう」
小鴨 チカ
「生き残ろう」
マキナ
「……うん」
小鴨 チカ
お互いの意思を確認するように、ちゃんと口に出す。
マキナ
「生き残ろう、ね」
小鴨 チカ
「…………」
小鴨 チカ
まだ大丈夫。まだ大丈夫だ。
小鴨 チカ
人を殺す覚悟ができる人間になっていようと。
小鴨 チカ
目の前の死を、ぼんやり見つめるようになっていようと。
小鴨 チカ
立て続けに起きる他所の部屋の死を、どこか冷静に受け止められるようになっていようと。
小鴨 チカ
……まだ、壊れてない。
小鴨 チカ
この状況から解き放たれさえすれば、きっと、また普通に戻れる。
マキナ
生き残った先に幸いがあると信じなければ、立っていられない。
小鴨 チカ
人ひとり殺せない人間に戻って、悪夢にもうなされず……ここで自分も犯した罪も「仕方なかった」で許せて、幸せな未来をつかみ取れる。
小鴨 チカ
…………ああ。
小鴨 チカ
『君らの狂気に祝福あれ』って、そういう事か。
GM
 
GM
[c4]養った鋭気は、発揮する機会も無かった。
GM
[s6][h6]覚悟を持って仕込んだ暗器は、振るうことができなかった。
GM
[dQ]本当に万能なら、こんな展開にはならなかったのだろうか。
GM
[dK]間隙など、狙う間も無かった。
GM
妨害なんて、できなかった。
GM
 
GM
[d2][d3]防壁は、自分しか守る事ができない。
GM
[c5]祝福は、旅立った二人に向けられていた。
GM
[cQ]死にゆく友人を回復する手段を、貴方は持っていた。
GM
[cK]だけど、そのカードを貴方は切らなかった。
GM
救済なんて、できなかった。
GM
 
GM
「16人の救世主」 2回戦Bホール
GM
決着。