Dead or AliCe
『16人の救世主』

プロローグ

GM
中庭にはメイドが2人立っている。
メイド1
「第1回戦を勝ち抜きましたのは、1号室、3号室、6号室、8号室でございます」
メイド8
「8ペアから4ペアとなりました。次なる戦いにより、その数は更に半分、2ペアとなります」
メイド1
「それでは、第二回戦を始めます」

登場-1号室

メイド1
重たい両開きの扉が開く。
GM
押し開けるのは兎耳のメイド。仮面を被り、剣を携えている。
メイド1
彼女は真っ直ぐ中庭へと歩く。
メイド1
「私が仕えますのは、客室1号室の救世主」
GM
開かれた扉の奥に、2人の姿が現れる。
メイド1
「桟敷川 映鏡様、匕首 咲様」
GM
湧き上がる歓声の中、2人は真っ直ぐ、中庭へと歩く。
桟敷川映鏡
霧 ── 前回と同じもの。
会場をやわらかく包んでいく。
桟敷川映鏡
奇術師は軍靴の音を響かせて入場する。
パートナーの手を引いて。
匕首咲
奇術師に手を引かれ、ドレスの女が歩み出る。
桟敷川映鏡
歓声を背にふたり立つ。
恭しく一礼。
桟敷川映鏡
目配せ。
匕首咲
小さく頷く。
桟敷川映鏡
マントを翻せばそこに水槽がひとつ。
匕首咲
ヒールが、こつり、と音を鳴らした。
桟敷川映鏡
パートナーを抱え上げて水槽に招き入れる。 
桟敷川映鏡
パートナーが水槽に入れば、指を鳴らした。
桟敷川映鏡
鎖が彼女を拘束し、あっという間に水が水槽を満たしていく。
桟敷川映鏡
──母の時は、ここで失敗した。
桟敷川映鏡
数秒もすれば水は彼女の顔まで覆うだろう。
桟敷川映鏡
深呼吸。
桟敷川映鏡

「嗚呼、どうぞ皆々様御覧あれ!」
桟敷川映鏡
マントを水槽にかけて。

数秒。
桟敷川映鏡
引き下ろすとその姿はどこにもない。
桟敷川映鏡
再びマントを翻す──
桟敷川映鏡
おや。いない。
桟敷川映鏡
ここにもいない。帽子の中を探す。
桟敷川映鏡
はて、彼女はいったいどこへ──
noname
突如、中庭にナイフが飛ぶ。
ばりん、という大きな音と共に、ナイフは水槽のガラスを破壊し、その水を周囲にぶちまけた。
noname
──ナイフはどこから飛んだのか?
noname
視線を向けると、そこは観客席──
桟敷川映鏡
「おや、そんなところに!」
桟敷川映鏡
ぱちぱちと拍手の音。
匕首咲
観客席から跳躍し、映鏡の隣に降り立つ。
桟敷川映鏡
「御観覧有難うございました。お楽しみいただけましたでしょうか、私どものショーを!」
桟敷川映鏡
「どうぞ今一度、素晴らしき助手に盛大な拍手を賜りたく思います」
桟敷川映鏡
恭しく一礼。
匕首咲
振り返って、優雅にカーテシー。
GM
動揺からか、最初は戸惑うように散発的に。
GM
次第に数を増し、盛大な拍手が会場を包む。

登場-8号室

GM
次いで、同じ装いのメイドが現れる。
メイド8
彼女は真っ直ぐ中庭へと歩く。
メイド8
「私が仕えますのは、客室8号室の救世主」
GM
開かれた扉の奥に、2人の姿が現れる。
メイド8
「小鴨知歌様、マキナ様」
GM
湧き上がる────一層湧き上がっている喝采の中、2人は真っ直ぐ、中庭へと歩く。
小鴨 チカ
「はぁ~……パネェ~……」
マキナ
「すごかったですねぇ」
小鴨 チカ
ぱちぱちぱちぱち。思わず拍手しちゃう。
小鴨 チカ
気持ち的には「わぁー」というより「うげぇー」という感じだ。
マキナ
こっちも。ぱちぱちぱち。
小鴨 チカ
「すげー。ちくっしょう。魅せてくれるよなあ」
小鴨 チカ
観客席から出てくるかあ。そっかぁ……。
小鴨 チカ
あ、そういう事しますか。
小鴨 チカ
そういう開始前から……そういう、そういう事する?
小鴨 チカ
完全に持ってかれたじゃん。ふざけ。マジかよぉ~。
小鴨 チカ
気が重い。体も重いぞ?
小鴨 チカ
ぎんぢょーずるぅ。おなか痛すぎ。うんこ漏れそう。漏らしていいか?
マキナ
「これで皆さん向こうに賭けちゃいますかねえ」
小鴨 チカ
「ぁー……」おえ。
マキナ
「全員破産させちゃいましょ!」
小鴨 チカ
「それなあ……」
小鴨 チカ
ストレスで体がその、重いんですけど。日取り替えて再調整って感じになりませんか?
小鴨 チカ
「えーとぉ……」とりあえず挨拶を、挨拶をしますよ。
小鴨 チカ
「大穴でぇーす……」ぴーす。
小鴨 チカ
「えー前回はその……ね、えと、ぼくらに、えー……」
マキナ
「チカくん気合い入れて入れて~」背中を叩く。
小鴨 チカ
「賭けた人って……えっと……少ないと思っててぇ」客席ー。聴こえてるかー。お前らに言ってんぞー。
小鴨 チカ
「まあね、えと……損こいた方はざまあみろなんですけど」
小鴨 チカ
「それでもまだ、羨ましい寄りだよね。賭けられる方も、賭けるモノも選べてさ」
小鴨 チカ
「こちとらオッズ低い方に全部賭けるしかねーんだぞ!クソが!」
小鴨 チカ
はーぁ。
小鴨 チカ
おえ。
小鴨 チカ
「……マキナさん」
マキナ
「ん」
小鴨 チカ
「あっちのお姉さんの方と、料理作ったんしょ?」
小鴨 チカ
「だいじょぶ?いけそう?」
マキナ
「ですよ~」
小鴨 チカ
しんどくない?
マキナ
「……ふふん。大丈夫ですよ」
マキナ
「マキナはそういうの結構大丈夫な方なのです」
マキナ
むしろ咲さんが気にしてくれるといいんだけどなあ。
小鴨 チカ
大丈夫かあ。
マキナ
「……大丈夫だよ」
マキナ
「ほら、前見て前!」
小鴨 チカ
「あっ。あっ」
小鴨 チカ
「えーと。えーとね?」さじき川(どういう字書くんだ?)さんと、匕首さんに。
マキナ
促して、自身も対戦相手に向き直る。
小鴨 チカ
「前回のぼくらの闘い、見てもらえたならアレなんですけど」
小鴨 チカ
「初心者なんで、手加減してほしいなあ……なんて……」
マキナ
咲を見ている。
マキナ
「友達のよしみで~サービスしてもらえたりしません?」
匕首咲
「相手が誰だろうと、ここで会ったからには敵同士だ。手加減はない」
マキナ
ね?と小首をかしげる。
匕首咲
「でも、マキナはサービスするね!」
マキナ
「やった~❤」
マキナ
「咲さんやさしい❤」
小鴨 チカ
「うげえ……」
匕首咲
「だってマキナは友達だもんな~!」
マキナ
「ですもんねえ」
マキナ
「咲さんやさしい~❤ かわいい~❤」
小鴨 チカ
「……こういう事言いたくねーんだけど」
小鴨 チカ
「いや、マジで言いたくねーな。どうしよう」
小鴨 チカ
ここまで言ったら言うしかねえけどよー。
小鴨 チカ
「……前回、とどめ、めっちゃ手こずりまして」
小鴨 チカ
「でぇ……なんといいますか……」
小鴨 チカ
「ヤバそうだったら、はやめーに諦めてもらわないとですね……」
小鴨 チカ
「壮絶な苦しみの後に死ぬことになる」
小鴨 チカ
「…………………………かも?」
マキナ
「おっ」
マキナ
「チカくん言うねえ」
桟敷川映鏡
「それは、楽しみですね」
匕首咲
「ほー」
小鴨 チカ
なんか言ったこっちの方がダメージ受けてません?
匕首咲
「壮絶な苦しみ、怖いな~。
なぁ映鏡、どうしたらいいかな?
あたし怖くてお茶会で何するか分かんないや」
小鴨 チカ
「やめてくれ~……」アレを見せられた後だとシャレになんねー。
匕首咲
「お茶会ってどこまでOKなんだっけ?
コインの力で回復するから、そこそこ無茶やってもイケるよな~」
桟敷川映鏡
「どうぞお好きになさいませ。すべて貴女のお望みのままに」
小鴨 チカ
血なまぐさいのは嫌だなあ。お茶会、ただの和やかなお茶会にしませんか?
マキナ
「……大丈夫ですよチカくん、マキナがちゃんと治してあげますからねぇ」
小鴨 チカ
「あ、そういうフォローなんだ?」
匕首咲
「よかったな~!安心安心!」
マキナ
「止めれそうな時は止めますけど……」
マキナ
「最悪……そういうときも……ある!」
匕首咲
「そうそう!マキナにはしねーけど」
小鴨 チカ
「説得力がある~」
小鴨 チカ
漏らしていいかな?
マキナ
「わ~い」
小鴨 チカ
「仲良くしようよ~」
小鴨 チカ
「和やかに行きたいよう」
匕首咲
「マキナとお茶会するときは、スコーンとか作っておくね♡」
小鴨 チカ
「さっきからぼくに冷たくない!?」
マキナ
「わぁ、ぜひ咲さんのスコーンいただきたいです❤」
マキナ
「マキナも何か準備しとこ~」
匕首咲
「あ?先にイキったのはお前だろコラ」
匕首咲
「やった~!楽しみになってきたな~!」
小鴨 チカ
「ツーブロック仲間じゃん……仲良くしようよ……」
小鴨 チカ
「ピアスも似合ってるな~!いいと思うなあ!」
匕首咲
「お前を丸刈りにしてハブってもいいんだぞ?」
小鴨 チカ
「泣いていい?」
マキナ
「よしよし……」
マキナ
慰めている。
小鴨 チカ
「ひ~ん」
桟敷川映鏡
「ま、儀式の許す限り正々堂々といきましょう」
小鴨 チカ
「ほぼほぼ無法じゃないっすかぁ!」

儀式開始

メイド8
「第1回戦が終了し、救世主は6ペンスコインを10枚勝ち取り20枚に。いずれも、所謂脅威度2相当の救世主としての力を得ました」
メイド1
「第2試合も引き続き、24時間のお茶会時間の後に、再びこの中庭へ集まり、裁判を執り行います」
メイド1
「お茶会を助けるために、救世主らにはそれぞれ、2通の招待状を渡します」
GM
それぞれのメイドは救世主ひとりひとりに2通の封筒を手渡す。
マキナ
受け取ります。
匕首咲
封筒を受け取る。
小鴨 チカ
受け取りまーす……
桟敷川映鏡
一礼して受け取る。
メイド8
「また、この館で見いだした品々は、ご自由にお使いください」
小鴨 チカ
わぁーい、いつものだあ……
メイド8
「この儀式の裁判は、特別なルールがございます」
メイド1
「両方が昏倒した場合は勿論、ペアの片方でも死亡、亡者化した場合、そこで即刻敗北となります」
メイド8
「また発狂した救世主は、裁判後に亡者と化すリスクが知られていますが……」
メイド1
「儀式の効力により、その亡者化を敗者に押しつけることが出来ます」
メイド8
「……存分に形勢を逆転し、お狂い遊ばしませ」
小鴨 チカ
発狂かぁ~……
小鴨 チカ
発狂なあ……。
小鴨 チカ
やだー。
マキナ
やだね~
メイド1
「それでは、客室1号室、桟敷川 映鏡様、匕首 咲様」
メイド8
「客室8号室、小鴨知歌様、マキナ様の」
メイド達
「「お茶会を開始致します」」