Dead or AliCe
『16人の救世主』

お茶会-2ラウンド目

GM
それではお茶会の第2ラウンドの行動順を決めます。
GM
各自1d12を振ってください。
ティモフェイ
1d12
DiceBot : (1D12) > 10
シャルル
1d12
DiceBot : (1D12) > 5
アレクシア
1d12
DiceBot : (1D12) > 6
トイ
1d12
DiceBot : (1D12) > 6
GM
アレクシアさんとトイさんは今度は1d10を振ってください。
アレクシア
1d10
DiceBot : (1D10) > 8
トイ
1d10
DiceBot : (1D10) > 1
GM
それでは1d12で出た値.1d10で出た値のようにイニシアティブに記載してくださいませ。
GM
確認いたしました。
メイド6
第2ラウンドの行動順はティモフェイ様→アレクシア様→トイ様→シャルル様の順番で御座います。
GM

第1シーン:ティモフェイ

GM
*第1シーン シーンプレイヤー:ティモフェイ
トイ

『忘却の国』。

トイ
こことはちがうまた別の、雪に閉ざされた世界。
トイ
6号室のふたりのやってきた世界。
トイ
雪の災厄に怯える世界。
トイ
トイトロール伝説は、
もとは忘却の国にあった、こどもを怖がらせるためのおとぎ話だった。みにくい、みにくい、人さらい。
トイ
そしておとぎ話は堕落の国にも伝わった。忘却の国からの招かれた救世主がいて、そいつがその名を語ったたために。
トイ
男は、
故郷のおとぎ話を騙り。
故郷の雪を纏って。
トイ
常に、その身にちいさな『忘却の国』を纏うことで自分を保っていた。
トイ
一方救世騎士は、まさしく忘却の国に春をもたらす唯一の『救世主』であった。
トイ
救世主の心の疵はさまざま。
トイ
トイトロールを名乗るもの・・・故郷を引きずり歩くその男は、疵の力をコントロールするのが下手である。降る雪は、隠すことも止める事もできない。
トイ

いまもまた、6号室にノスタルジアが立ち込めている。

ティモフェイ
トイトロールに叩き出されたはずのティモフェイが、6号室の扉を開ける。
ティモフェイ
腕にさげた虹の儀礼剣があわいプリズムを放って霧散した。
ティモフェイ
トイトロールは……どうしてるかな。まだベッドでしょうか。
ティモフェイ
どちらにせよ、そちらに目を向けます。
トイ
相変らずベッドの上に転がっているが、毛布に頭を隠すことはやめている。
トイ
なにやら手袋をとりはずし、自分のすでをながめて
トイ
「あ」
トイ
荷物を漁る。
ティモフェイ
その様子に首を傾ぐ。
トイ
「爪!」
トイ
「オレが切れっつったら」
トイ
「てめーはオレの爪を切るんだよ」
ティモフェイ
閉めた扉を背後に、寄りかかることはなく、その様子を見ています。
ティモフェイ
小さく息を吐く。
ティモフェイ
「分かった」
トイ
手、そして足を差し出す。
トイ
「10本きれーにな」
ティモフェイ
先程あれほど機嫌を損ねていたのに、そのことはもういいのだな、と思っています。
ティモフェイ
口には出しませんが。
トイ
マスクの下の表情は解らない。
ティモフェイ
戸棚から爪切りを取り出して、トイトロールのベッドの隣に跪く。
ティモフェイ
差し出された手を取り、
ティモフェイ
「動くなよ」
ティモフェイ
平坦な声で窘めてから、ぱち、ぱちと音を立てて
ティモフェイ
やや不器用ながら丁寧に、一本一本
ティモフェイ
トイトロールの爪を切っていく。
ティモフェイ
その頭の上に雪が降り積もる。
ティモフェイ
それを我関せずに、言いつけられた作業を淡々と進めていく、
ティモフェイ
救世を叫んだはずの、薄汚れた風体の男。
トイ
爪を切られながら。
トイ
「……オレさぁ、」
トイ
「嫌いなんだ、おまえが。大嫌いなんだ。」
ティモフェイ
わずかに顔を上げる。
ティモフェイ
わずかに顔を上げ、トイを窺うが、すぐに視線を手元に戻して。
トイ
「オレがお前をどれほど嫌いで、胸糞悪くて仕方ないかって事」
トイ
「そのツラみてると胃が底からひっくり返って中のモン全部もどしちまいそうだって事」
トイ
「声を聞くと怒りで血が沸き立つかってこと、」
ティモフェイ
「…………」
トイ
「どれほど……憎んでいるかってこと」
トイ
「……お前解ってる?」
ティモフェイ
作業の手を止めない。
ティモフェイ
右手が終わって、左手を取る。
トイ
大人しく左手を差し出している。
ティモフェイ
「俺なりの」
ティモフェイ
「俺の尺度の範囲で、できるかぎりの理解をしているつもりだが」
ティモフェイ
「それは」
ティモフェイ
「お前の絶望にも、憎悪にも、及ぶものではないだろう」
ティモフェイ
「理解できるものでも、ない」
トイ
「ッぁ!」急に左手を引く。
トイ
「痛ってえ…!深く切りすぎなんだよ!」
トイ
裏手ではたく。
ティモフェイ
叩かれて頭が傾ぎ。
トイ
「つかえねーーー…っ」
ティモフェイ
またため息をついてから、
ティモフェイ
「足は?」
ティモフェイ
「ここで中断するかね」
トイ
「おい!!」怒鳴り声。
ティモフェイ
「それとも、使えない男に任せるか?」
ティモフェイ
怒鳴り声にトイを見上げる。
トイ
「痛いだろうが!」
左手を眼前に突きつける。
ティモフェイ
「…………」
トイ
「足の前にさあ、オレは痛かったんだよ!」
ティモフェイ
「そうか……」
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
「ああ」
ティモフェイ
そこでようやっと気づいたように。
ティモフェイ
「すまなかった」
ティモフェイ
「次があれば気をつけよう」
ティモフェイ
そう言葉を添える。
ティモフェイ
「で、どうする」
トイ
「チッ」
トイ
「足!」足をどんとベッドの上で振り下ろす。切れというかんじ。
ティモフェイ
「わかった」
ティモフェイ
淡々と承諾。
ティモフェイ
やや華奢なかたちづくりの足首を手に取り
ティモフェイ
膝でそれを支え、右手を添える。
トイ
「…………」
トイ
ふんぞり返ってその光景を眺めながら。
ティモフェイ
先程よりもやや慎重な手つきにはなっている。
トイ
「面白い話、また聞きたいか?」
トイ
トイトロールがそういう時、それは決まって身の上話だった。
ティモフェイ
伸びた爪を外側から、形を整えるように、細かく落としていく。
ティモフェイ
「きみが」
トイ
「オレの話は面白いよなあ。
なァ?ティモフェイ」
ティモフェイ
「それを望むなら」
ティモフェイ
「……ああ」
ティモフェイ
「きっと、面白いのだろうよ」
ティモフェイ
ふうと息を吐いて、細かな爪のくずを吹き飛ばす。
トイ

この人生。
全てはこの顔のせいだった。
トイ
顔のせいで人さらいに連れていかれた。
トイ
気色の悪い、最悪の、この顔は、あの凍てつく世界の乏しい娯楽 ――見世物になれるからだ。
トイ
故郷から…家から遠く離れて… 
雪の冷たさに名前も、家族の顔も忘れて…
トイ
だけどかえりたかった それだけは。それだけが己の心の支えだった。
トイ
「よくさ『酒の味を覚える』っていうだろ?」
ティモフェイ
「?」
トイ
「オレが初めて酒飲んだときなんだけど、一晩ずっと酒盛りしてたようなのに、味は全然覚えなくてさ~」
ティモフェイ
眉を寄せる。
トイ
「ってのもケツの穴から飲まされたんだ。」
トイ
「それじゃ味はわかんねえよなあ!」
トイ
「アッハッハッ」
トイ
バシバシと手をたたく。
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
「あまり」
ティモフェイ
「動かないほうがいい」
ティモフェイ
「手元がぶれる」
ティモフェイ
それだけ嗜める。
トイ
「いやいやきけって。面白いのはこっからなんだから!」
トイ
耐えられないという風に、たしなめられても身を乗り出して。
ティモフェイ
親指の爪は大きいから爪切りで切ることができるが、それ以外はどうだろうか。
ティモフェイ
やすりで削ってやった方がいいかもしれない。
ティモフェイ
また急に動かれて、深爪をしたら痛い思いをするだろう。
トイ
「天井と床がぐるんぐるん周って、」
トイ
「のたうち回てっと、色とりどりの靴が、ゲロがひっかからないように飛びのくのがみえたぜ」
ティモフェイ
先程のそれが本当に
トイ
「踊ってるみたいだった!」
ティモフェイ
耐えがたいほどの痛みをもたらしたものとは
トイ
「たすけて、の ろれつが回らないのが一等ウケたのさ!」
ティモフェイ
思わないが
ティモフェイ
「……踊りの経験が、あったのかね」
ティモフェイ
あるはずもないと思いながらも、一応問いかける。
トイ
目に焼き付いている。
トイ
眩暈と嘔吐とひきつけとをもたらし、ぐらぐらぐらぐら、世界がまわって死を覚悟し見開いた眼には、自分を見る人間たちの楽しそうな笑顔が張り付いていた。
トイ
歯を見せ、目をらんらんと輝かせ、それはそれは満ち足りた顔をしていた。
トイ
「男も女も、老いも若きも、オレが死にかければ死にかけるほどに、人は楽しい。」
トイ
なぜなんだ?
トイ
鼻で笑う。
トイ
「踊りは踊れる。知らなかったか?」
トイ
「見世物だからな。できるんだよ」
ティモフェイ
トイトロールの小指の爪に、やすりをかけている。
ティモフェイ
「あったのか」
ティモフェイ
「なるほど」
ティモフェイ
「教えてやる必要はなさそうだ」
トイ
そういった瞬間、やすりをかけられていた足がはねて、ティモフェイの顔をけ飛ばす。
トイ
「お前に教わる事なんてなんもねえよ!!」
ティモフェイ
手から爪切りが滑り落ちる。
ティモフェイ
顔を蹴りつけられて何度か目を瞬いて、
ティモフェイ
依然冷めた瞳をトイに向ける。
ティモフェイ
「しまいで構わないか?」
ティモフェイ
落ちた爪切りを拾いながら。
トイ
「あ?爪?……もういい」
トイ
それを頼んだのは自分だという事すら、忘れたように。
ティモフェイ
「そうか」
ティモフェイ
膝を上げて、立ちあがる。
トイ
その立ち上がる姿を見上げて。
ティモフェイ
戸棚へと爪を戻しに。
トイ
「…なぁティモフェイ」
ティモフェイ
「なんだ」
ティモフェイ
戸棚の扉を開けながら問いかける。
トイ
「なぜなんだ?」
トイ
「なぜなんだろう、やつらには、家族や恋人や、愛する人がいるようなのに。」
ティモフェイ
爪切りをしまって、振り返った。
ティモフェイ
トイトロールを見下ろす。
トイ
「オレねえ、オレの髪に火をつけて、ばたばたと怯えて消すさまを見て、」
トイ
「げらげらと笑った帰り道に、そいつが乞食に投げ銭をやっているところ見たんだ。」
トイ
「乞食にかける情けはある。犬猫にふれる手先すらやさしい。」
トイ

なぜ?

なぜそれほど、みんなオレに残酷になれるのか…。
トイ
「ただこんな顔にうまれついたってだけなのに」
トイ
人は美しい面をもっていても、その面を自分に与えてくれることはない。
トイ
おそろしく醜い面を解放する目的のために、オレの存在をはじめて探し始めるのだから。
トイ
だからオレは、人間の醜い一面しかしらない。
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
はく、と唇が。
ティモフェイ
うごいて。
ティモフェイ
殴られて腫れた頬、口の端から血を滲ませて、
ティモフェイ
救世主だった、救世主である男の歪んだ顔が、
ティモフェイ
悼むようにその目を細めてみせた。
ティモフェイ
*トイトロールの疵『顔』を舐めます。猟奇で判定。
アレクシア
*横槍を入れます
GM
ではチョイスから。
アレクシア
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
アレクシア
2d6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 3[2,1] > 3 > 失敗
GM
失敗ですね。
GM
それでは改めて判定をどうぞ。
ティモフェイ
2d6+3>=7 猟奇で判定
DiceBot : (2D6+3>=7) > 6[4,2]+3 > 9 > 成功
GM
成功です。
[ アレクシア ] HP : 17 → 16
[ トイ ] 顔 : 0 → 1
ティモフェイ
「トイトロール」
ティモフェイ
呼びかける。
トイ
「………」応答せずに聞いている。
ティモフェイ
「理由はないよ」
ティモフェイ
「ただ」
ティモフェイ
「運が悪かっただけの話だ」
ティモフェイ
端的に、
ティモフェイ
残酷なまでに、
ティモフェイ
ティモフェイの言葉からはおよそあたたかみと言えるべきものは感じられず。
トイ
「…………」
ティモフェイ
「だが」
ティモフェイ
「こうも言える」
ティモフェイ
「きみには何の非もありはしない」
ティモフェイ
ティモフェイの視線がトイトロールの仮面へと向けられ、
ティモフェイ
それが落ちて、かれの胸元へととどまる。
ティモフェイ
「……きみが」
ティモフェイ
「きみが悪かったことなど、なにもない……」
トイ
ティモフェイの視線がトイトロールの仮面へと向いた時。
トイ
ふと、雪の隙間を塗ってマスクの奥に光が見えた。
トイ
眼光。素顔の、瞳。
トイ
……心底おびえきった瞳がそこにある。
トイ
世界に、
トイ
このトーナメントに、
トイ
そして目の前の男、ティモフェイに。
ティモフェイ
唇を引き結ぶ。
ティモフェイ
「きみは」
ティモフェイ
「きみには」
ティモフェイ
「すべての野放図の責任を、俺に着せる権利がある」
ティモフェイ
「俺はそのように考えているよ」
ティモフェイ
「……だから」
ティモフェイ
「だから、あの村も」
ティモフェイ
「結局は、俺が救えなかった」
ティモフェイ
「それだけの話だ」
ティモフェイ
「……それだけなんだ……」
トイ
難儀なことに。
トイ
忘却の国で、ティモフェイたち救世騎士が世界を救うということは、祈りそのものだった。
トイ
であるから、故郷を連れ歩くこの男は、ティモフェイが本物の救世主なのだと願った。
トイ
飾りでなく。偽りでなく。歪みでなく。真実、救世主であるべきという祈り。
トイ
トーナメントに優勝するのは、ティモフェイでなくてはならない。
ティモフェイ
怯えるトイトロールの様子を見ている。
トイ
今もトイトロールはそれを祈っている。
トイ
いつか万人を救う本物の救世主のすくいが、自分の元へすら届くことを。
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
「メイド」
ティモフェイ
この男が。
ティモフェイ
この館に来てからメイドを呼んだのは、これが初めてのことだった。
メイド6
「はい」
ティモフェイ
「茶会の準備を頼む。この部屋に」
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
「二人分だ」
ティモフェイ
僅かに言い澱んだあと、確かに二人分、と言った。
メイド6
「承りました」
トイ
「…?」
メイド6
囁くような声でそう返答する。
ティモフェイ
「今のきみはこの世界の”救世主”で、刺剣の館に招かれた者だ」
ティモフェイ
「そうする権利はあるだろう」
トイ
「…………」
トイ
「…………!」
メイド6
窓辺のテーブルにはレースのクロス。
銀のカトラリー。ひとそろいのティーカップ。
ティーポットふたつぶんの紅茶──茶葉はなんでもある。
素朴なスコーンといろんなベリーのジャム。
クロテッドクリームをたっぷりと。
望めばどんなお菓子も出てくる。
トイ
男は背を丸めて立ち上がり、茶会の席に着く。
トイ
相変らず表情は解らない。
ティモフェイ
相変わらず陰鬱な表情をしたままだが、
ティモフェイ
確かにその向かいに、腰を下ろした。
メイド6
それが当たり前のことのように、2人の前にお湯で暖められたティーカップが置かれる。
トイ
「…ティモフェイ、オレお前がきらいなんだ」
トイ
口では悪態をいいつつも、手はティーカップに伸びる。
トイ
「マジでそれ、わすれんなよ」
ティモフェイ
「……ああ」
ティモフェイ
「知っているよ」
メイド6
茶葉がくゆる。
すべての準備を終えてメイドは一礼して去る。
ティモフェイ
今はメイドに会釈をすることもなく、
ティモフェイ
ただ、
ティモフェイ
目の前の仮面の男を見つめていた。
GM

第2シーン:アレクシア

GM
*第2シーン シーンプレイヤー:アレクシア
アレクシア
それからしばらく。日が沈み、夜がやってくる。
アレクシア
かつかつと、廊下を進むヒールの音。
アレクシア
手には杖。金の髪の上には、再び帽子が乗っている。
アレクシア
一歩後ろにシャルルがいる。
シャルル
物騒な足はしまい込み、お上品な金の手足。
銃は下げていない。
もっとも、丸腰かどうかは見た目に判断するには難しいが。
アレクシア
向かうのは正餐室。メイドには、すでに晩餐の用意を申し付けてある。
アレクシア
四人分。
メイド5
承っております。
アレクシア
扉を開く。大きなテーブル。並んだ椅子。
アレクシア
皿とカトラリーの用意された席のひとつにつく。
シャルル
「……如何ですか。会場の方は。」
シャルル
主人の傍らに立ち、問いかける。
アレクシア
「ああ。ずいぶんとよろしいようだよ」
アレクシア
「では、封筒を」
シャルル
「そういたしましょう。」
シャルル
アレクシアの封筒はあと1つ。
シャルル
自分の封筒を1つ、差し出す。
アレクシア
ペンが滑る。美しい字形。綴られる、6号室の二人の名前。
アレクシア
それを、再びシャルルへ。
シャルル
封筒を受け取って。
シャルル
「……では、しばしお待ちを。」
シャルル
メイドを呼ばない。
シャルル
その足で、部屋を出る。
シャルル
向かうのは6号室、動きがなければそこに二人ともいるだろう。
シャルル
扉を叩く。
シャルル
「……シャルルです。」
ティモフェイ
少し間があってから、
ティモフェイ
陰気な男が顔を出す。
ティモフェイ
手に得物はない。一見無防備にも見える立ち姿だが。
ティモフェイ
「何か」
ティモフェイ
「用向きでも?」
シャルル
「主人からこちらをお預かりいたしまして。」
シャルル
封筒を差し出す。おそらく、効力はないだろう。
シャルル
「是非、晩餐会にご招待したく。」
ティモフェイ
差し出された封筒に僅かに眉を寄せた。
ティモフェイ
「随分と礼儀正しい」
トイ
ぴくり。
ティモフェイ
「……それに」
ティモフェイ
「贅沢な使い方だ」
トイ
ばんさんかい。
トイ
たのしそう…
シャルル
「裁判までは間があります。私も、主人も……。」
トイ
「………」マスクの下の表情は解らない。
トイ
でも行きたそう。
ティモフェイ
先ほど見せた剣呑な空気は鳴りを潜めているが、さりとてその根底の猟奇性の失われたはずのないことは理解出来よう。
ティモフェイ
ぼんやりとシャルルの言葉を聞いている。
シャルル
「儀式を発動したものとして、参加者にはせめて礼儀ある対応をと。」
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
「トイトロール」
ティモフェイ
「晩餐会の招待だが」
ティモフェイ
振り返って、声をかける。
トイ
「………… ………… …………」
シャルル
「この通り。」
シャルル
両手を軽く広げる。
トイ
ぴょんとベッドから跳ね起き。
シャルル
「攻撃の意志はありませんし……」
トイ
「しゃーねーなー」
トイ
チッ。
ティモフェイ
どうだか、とは思っている。
トイ
「いってやろうぜ。なあ?」
ティモフェイ
暴力はともかくとして。
ティモフェイ
彼らはどうやら、搦め手の方を好んでいるようだから。
ティモフェイ
とはいえトイトロールが望まば異論はなく。
ティモフェイ
「だ、そうだ」
ティモフェイ
そうあとを引き継いで、シャルルを見返した。
シャルル
「ありがとうございます。エルレンマイヤー卿も喜ばれることでしょう。」
シャルル
「ご安心を、私が前を歩きますので。」
シャルル
一礼し、背を向ける。
向かうのは正賓室。
ティモフェイ
トイトロールを待ちます。
トイ
駆け足気味にシャルルの背を追っている。
ティモフェイ
その後を付かず離れずに追った。
ティモフェイ
やかましく鳴る鎖を肩にかけて、降りしきる雪に目を細めながら廊下を歩く。
シャルル
シャルルの足音は殆どない。
シャルル
そういうふうに作られている。
シャルル
正賓室までを、つかず離れずエスコート。
アレクシア
正餐室では、アレクシアが三人を待っている。
シャルル
扉を開き、2人を促す。
アレクシア
「お出でいただけて何よりだ」
アレクシア
「どうぞ席に。支度は整っているようだ」
メイド5
5号室のメイドが一礼して進み出でる。
メイド5
席に着くのを待ってメニューを読み上げるだろう。
GM
食前酒はプラムのカントリーワイン。エルダーフラワーのリキュール。
前菜に野菜のテリーヌ。スモークした肉と鮭のパテ。上等なチーズ。
添えられるのはキノコのポタージュ。焼きたてのバター・トースト。
主菜はハーブと白身魚のパイ。ひき肉とチーズのパイ。
赤ワインで煮込んだジビエ。ローストした海老と貝。
好きなものを好きなだけ。
そしてデザートにレモンのシャーベット。
トイ
「どーもどーも!」
メイド5
どれも伝統的で丁寧なつくりの品々。
トイ
どかどかと足音を立てて席に座る。作法もなにもあったものではない。
ティモフェイ
やや表情を曇らせている。
アレクシア
「慌てずともよかろうよ」 トイの様子に微笑む。
ティモフェイ
トイに遅れて椅子を引き、用意された席に腰を下ろした。
シャルル
最後に、自分の席に着く。
トイ
「まじで!?今から出てくんの?」メイドのメニューの読み上げに食いついている。
トイ
「すっげー豪勢!」
アレクシア
小さく笑って。
アレクシア
「嫌だろう、お互いに呼び出しを警戒しながら食事をするのは?」
トイ
なるほどー。
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
アレクシアの言葉よりもむしろ、この正餐室の空気そのものに気が塞いでいるようだった。
メイド5
メニューはコース通りにサーブされる。
銀のキッチンワゴンが静かに鳴る音。
アレクシア
食前酒。それを前にして。
アレクシア
アレクシアの手が、帽子を取る。
シャルル
普段は饒舌な従者は、主人の言葉に口を挟まない。
シャルル
ただ、微笑んでいる。
トイ
「あ、そうだオレも思ってさァ」
トイ
「裁判の前にしておかなくちゃいけないこと」
トイ
「オレ、おねえさんがたに儀式を発動させてくれた礼を言ってねえなと思ってね。」
アレクシア
「ふむ?」
トイ
「………」
トイ
「順番がちと…あべこべになっちまったかな~?」
ティモフェイ
息をついた。
トイ
彼女を見世物にした事と、礼をいう事と。
アレクシア
「まあ」
アレクシア
「望むものはそれぞれあるさ」
アレクシア
「そのためにここがあり、わたしたちがおり、きみたちがいる」
アレクシア
「茶会の席でも裁判でも、大したルールなどない」
アレクシア
「だが」
アレクシア
「せっかくの晩餐に、仮面のままというのはいかがなものかな?」
トイ
アレクシアのその言葉。そして、目の前に運ばれてきた料理を前にぴたりと体を止める。
トイ
どう食べるのだ?
トイ
マスクをつけたまま。
トイ
「……………」揚々としていた声が止まる。
アレクシア
「どうかしたかね?」
トイ
はっとした。
トイ
解った。
トイ
トイの中ではそう解釈された。
トイ
じぶんは、あざけり、からかわれている。
トイ
この催しも。
トイ
もてなすつもりなどなく、喜んだ自分はバカのようだ。
トイ
その様な自分を見て、嗤っているのだろう。
トイ
「帰る!!」いきおいよく席を立つ。
シャルル
「お待ちください。」
シャルル
立ち上がる。
ティモフェイ
トイトロールを見上げ、こちらも席を立つ。
シャルル
「どうか……どうか、ご着席を。」
ティモフェイ
その状態でシャルルに視線を向ける。
トイ
「いやだ!!」
トイ
バン、と強くテーブルをたたく。ナイフやフォークが浮いて、かちゃかちゃ。
ティモフェイ
「……機嫌を損ねたようだな」ぼそりと、他人事のように。
シャルル
「…………。」
シャルル
不安そうな顔。残念そうな顔。そういったもの。
アレクシア
「何か気に触ったならお詫びしようか」
アレクシア
「わたしは別に、マナーなど気にせんよ」
アレクシア
「機械工の親父どもがする程度に、普通にフォークとナイフを使ってさえくれればね」
シャルル
「……ええ。私も、牧場生まれ戦場育ちですから。そういったものは気にしません。」
トイ
着席はしない。肩を怒らせて、恐らく。
トイ
三人を睨みつけている。
トイ
自分だけが場違いだと感じている。
ティモフェイ
「トイトロール」
ティモフェイ
「どうするつもりだ」
ティモフェイ
「この晩餐を受け入れるか、あるいは蹴ってしまうか」
ティモフェイ
「救世主であるきみには権利がある」
ティモフェイ
「好きな方を選ぶ、権利が」
シャルル
「…………。」
アレクシア
睨むトイトロールを一瞥し、つと立ち上がる。
シャルル
ティモフェイを見て、それからトイトロールを。
シャルル
主人を、見る。
アレクシア
なんらこだわりのない様子で、数歩、トイトロールに歩み寄り。
アレクシア
「何が気に触ったのかな」
トイ
自分の前に歩み寄るアレクシアを見下ろす。
アレクシア
かつん、と杖が床に触れる音。
トイ
「オレはマスクをとれねえんだよ!」
アレクシア
「何故?」
トイ
「ふ。」
トイ
「ふふふ、アッハッハ」
ティモフェイ
「…………」
トイ
「そりゃあ世にもおぞましい、最悪の顔をしているからさ!」
トイ
「お前らの為でもあるんだぜ。」
トイ
「オレの気色の悪い顔を見りゃ、食欲減退じゃすまねーなあ。」
ティモフェイ
目を伏せる。
トイ
「晩餐会は台無しさ。メシなんてのどを通らねえ」
アレクシア
「ふぅん」 再び、杖がかつりと鳴る。
トイ
自虐的に笑う。
トイ
どうぞ笑えという様に手を広げ。
シャルル
少しほっとしたように、表情が緩む。
アレクシア
かつ、かつ。何か考えるように。
アレクシア
*トイの心の疵『顔』を抉ります。判定は猟奇
ティモフェイ
*横槍を入れます
モブ
ではチョイスから。
ティモフェイ
Choice[猟奇,才覚,愛]

DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ティモフェイ
2D6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 11[5,6] > 11 > 成功
ティモフェイ
1d6
DiceBot : (1D6) > 1
[ ティモフェイ ] HP : 17 → 16
アレクシア
2d6+2-1>=7
DiceBot : (2D6+2-1>=7) > 6[2,4]+2-1 > 7 > 成功
GM
成功ですね。
GM
指定された疵を-1してください。
[ トイ ] 顔 ティモフェイ : 1 → 0
アレクシア
そして、軽く床を叩いていた杖の先が閃く。
アレクシア
抉るように、トイトロールのマスクと、首の境目。
アレクシア
そのまま、引き剥がす。
ティモフェイ
そのさまに、
ティモフェイ
顔を強張らせて腕を振り抜きかけたが、
ティモフェイ
けれど逡巡に足は動かぬまま。
ティモフェイ
トイトロールのマスクが引き剥がされるさまを、見つめている。
アレクシア
杖の先に、豚のマスクが引っかかり。
アレクシア
衆目に、トイトロールの素顔を晒させる。
トイ
マスクがはがれる。
トイ
「 あ あ あ、あ 」

金切り声。声にならない叫び。

トイ

トイトロール。

その素顔は謎に包まれている。

自分の素顔をだれよりも嫌悪し、恥じている。

ティモフェイ
瞼を伏せた。
トイ

マスクの下から現れた、その顔は

――『ティモフェイ』と同じ顔だ。

ティモフェイ
ティモフェイは瞼を伏せ、沈黙を貫いている。
トイ
「見るな!見るな見るな
見るな見るな見るなァ!
だれもオレの顔を見るな!!」
ティモフェイ
金切り声を聞いている。
アレクシア
金切り声にも動じることなく、その狂乱を見つめて。
トイ
男は顔をおさえ、逃げ惑う。
壁にぶつかりながら、ヨタヨタとどこかへ隠れようとする。
ティモフェイ
自分の椅子を戻す。
ティモフェイ
トイトロールが乱した椅子も、同じように。
ティモフェイ
「晩餐会は御破算だな」
ティモフェイ
「……失礼する」
アレクシア
「そのようだ」
アレクシア
「……思ったより」
トイ
そのまま、トイトロールは走り去った。
アレクシア
「普通の顔だったな?」
ティモフェイ
主従に背を向けて、走り去ったトイトロールを追うその前に。
シャルル
「そうですねぇ。」
ティモフェイ
「俺も」
ティモフェイ
「そう思うよ」
ティモフェイ
相槌を返して、去っていく。
アレクシア
特にその背を追いはしない。ただ、見送る。
アレクシア
席に戻り。
アレクシア
帽子を被る。
シャルル
2人が去った後、あけ放たれた扉を閉ざす。
シャルル
「では、我々だけでいただきましょうか。」
アレクシア
「そうしようか」
メイド5
その言葉を皮切りにメイドが晩餐会を再開する。
シャルル
「一応聞きますが……アレクシア。」
シャルル
「お行儀は気にしますか?」
アレクシア
「言ったろ」
アレクシア
「気にせんよ」
シャルル
「んふふ。」
シャルル
「メイドさん。」
メイド5
「はい」
シャルル
「3人前お願いします。」
メイド5
「承りました」
シャルル
「ふふ……。」
GM

第3シーン:トイ

GM
*第3シーン シーンプレイヤー:トイ
トイ

トイトロールの顔を見れば死ぬ。

それは、しょせん噂話だ。

トイ
そうすれば、誰も自分に近寄らない。
トイ
人はみな自分を恐れ、嘲笑する事がなくなる。
トイ
それを願ってのこと。
トイ
「あ あ あ あ
 うああああああ」
トイ
濁った金切り声をあげて、男が。姿を隠そうともがく。
トイ
この館のどこにもそのようなところはないような気がするが、
トイ
…だが。
男の機嫌によって、男の周りに降る雪は激しくなるのだ。
トイ
にげまどい、たどりついた先は『温室』。
トイ
砂塵のガラス張りの中へ。
トイ
すぐにそこは雪に満たされ、霜にくもる。
ティモフェイ
薄く降り積もった雪を、薄汚れたブーツが踏み躙る。
ティモフェイ
足音を隠しもせず、堂々と温室に現れた男は、
ティモフェイ
やはり先程晒されたトイトロールとそっくり同じ顔をしている。
ティモフェイ
ひどく打ちすえられて瞼は腫れ上がり、頬にあざを作り、口の端に血を滲ませていることを除いては。
ティモフェイ
「……普通の顔だった」
ティモフェイ
「と、彼女は言っていたよ」
ティモフェイ
慰めでもなく。
ティモフェイ
ただ淡々と事実を告げる。
トイ
男はなるべく体を小さく、うずくまり震えている。
トイ
グスグスと泣く声が聞こえる。
ティモフェイ
「…………」
ティモフェイ
トイトロールへと近づいていく。
ティモフェイ
震える幼子の、
ティモフェイ
自分とそっくり同じ顔をした男の近くへと。
ティモフェイ
けれど触れられるほどには近づかず。
ティモフェイ
つと足を止めて、トイトロールを見下ろす。
ティモフェイ
「……この世界であれば」
ティモフェイ
「誰もきみに、欲を向けはしないよ」
トイ
閉ざされた温室に、激しい吹雪ふって、天も地も真っ白に覆っている。
ティモフェイ
吐く息すら白く立ち上っては、虚空に散っていく。
トイ
「…………はぁ、は……ふっ」
トイ
はげしい嗚咽。言葉を返すこともできない。
トイ
頭の中も真っ白だ。
ティモフェイ
その姿を見下ろしている。
ティモフェイ
事実以上のやさしい言葉を投げかけることはなく、
ティモフェイ
立ち呆けでトイトロールを待つ。
ティモフェイ
――そもトイトロールというのは伝説だ。
ティモフェイ
人の名前として呼ばれるものでは、本来ない。
ティモフェイ
であれば彼は何故トイトロールを名乗っているのか、
ティモフェイ
それは、
ティモフェイ
『ティモフェイ』
ティモフェイ
それ以外に、彼が呼ばれてきた名前が存在しないから。
ティモフェイ
自分の代替品として。
ティモフェイ
すべてが破綻するその日まで、
ティモフェイ
彼はそのようにしか、扱われてこなかったから。
トイ
みんな、自分をティモフェイと呼んだ。いたぶるために、はずかしめるために。
トイ
泣けどわめけど、泣けどわめけど 
泣けどわめけど助けはこない。
トイ
不意に立ち上がり、ティモフェイの胸をたたく。
ティモフェイ
「…………」
トイ
「おまえのせいだ!」
ティモフェイ
その拳を受け入れる。
トイ
「おまえのせいだ、おまえのせいだ!おまえのせいだ!!」
ティモフェイ
「……そうだな」
トイ
力なくなんどもその胸をたたき。
ティモフェイ
その手が伸べられることはない。
ティモフェイ
トイの背中を、頭を、頬を、
ティモフェイ
優しく撫でることもなく。
ティモフェイ
儀礼剣を握る手のひらは、ただ空虚におろされている。
ティモフェイ
「すべて、俺のせいだ」
ティモフェイ
「きみに……」
ティモフェイ
「きみの、人生を」
トイ
「たまたま顔が似てたってだけで…」
ティモフェイ
「俺がすべて、踏み砕いたようなものだ」
トイ
「…たまたま顔が似てたって、だけなのに…」
トイ
うわごとのように。
ティモフェイ
「ああ」
ティモフェイ
どうして、と思う。
ティモフェイ
自分が救世をしくじり、処刑されることが決まって、
ティモフェイ
それが自分の運命だと受け入れて冷たい牢に蹲っていた、あの日。
ティモフェイ
トイトロールがティモフェイを逃がしに。
ティモフェイ
あるいは、
ティモフェイ
殺しに。
ティモフェイ
訪れたその日、その瞬間、
ティモフェイ
彼の面を見せつけられた、その瞬間!
ティモフェイ
それまでティモフェイは、彼のことなど知らなかった。
ティモフェイ
知らずに救世騎士として生きてきた。
ティモフェイ
犠牲を捧げて。正しく人質を選んで、きよい魂を、神の歓心を買うためのうつくしい魂を、
ティモフェイ
選んで殺して、
ティモフェイ
選んで殺して、
ティモフェイ
選んで殺して、
ティモフェイ
選んで殺して、
ティモフェイ
そうして世界を、
ティモフェイ
あたたかい世界を守ってきた、つもりだったのに。
ティモフェイ
その前から世界は暗澹に。
ティモフェイ
人々に尊敬されているはずの救世騎士は裏で欲を悪意を向けられて。
ティモフェイ
けれどその悪意に押しつぶされるのは、
ティモフェイ
なんの罪も力もない、哀れなひとりのこども。
ティモフェイ
世界に抗えず。
ティモフェイ
世界を救うちからも持たず。
ティモフェイ
ただ役割だけを押しつけられた。
ティモフェイ
『代替品』、慰みものとしての。
ティモフェイ
「……俺が」
トイ
やがて膝から崩れ落ちる。雪が体に降り積もる。
ティモフェイ
「俺に求めれば、良かっただろうにな」
ティモフェイ
有り得ない仮定を口に、一歩、トイへと近づく。
ティモフェイ
「トイトロール」
トイ
もしもティモフェイたち、元の世界の救世主たちが、
トイ
ほんのすこしでも自分たちへの非難や怒りを受け取っていたなら、
トイ
それらのすべてがオレの元にまわってくるなんてこと、なかったはずだ。
トイ
有り得ない仮定をゆめみる。
トイ
呼びかけに返事はない。震えて聞いている。
ティモフェイ
「ここで止まるつもりか」
ティモフェイ
「きみは」
トイ
止まるつもりか。その言葉にピクリとゆれる。
ティモフェイ
「顔を一人二人に見られただけで」
ティモフェイ
「きみの望みを、捨てるつもりか?」
ティモフェイ
言ってから、一人二人ではなかったな、と思い出すが。
ティモフェイ
結局の所、問題なのは数ではない。
トイ
泣きながら、顔を横に振る。
ティモフェイ
数ではないのだ。
ティモフェイ
「では」
ティモフェイ
「どうする」
ティモフェイ
その声にやはりあたたかみはない。
ティモフェイ
世界をあたためていたはずの救世騎士の声が、
ティモフェイ
白い世界に、つめたく響く。
トイ
悲しいことに。
トイ
それでもトーナメントに優勝するのは、ティモフェイでなくてはならない。
トイ
オールドメイドトーナメント、一組だけが生き残り、敗者は死ぬ。
トイ
参加者は二人一組。その噂話を聞いて一瞬の躊躇はあった。けれども。
トイ
けれども、万に一つでも、奇跡が起きるなら。
トイ
…トイトロールの参戦理由は『ティモフェイをトーナメントの場に引きずり出すため』である。
トイ
はたされなかった約束を、はたしなおしたい。
ティモフェイ
世界を救うという、救世騎士の義務。
トイ
世界を救うとかかげて、それ故に贅沢を。憧れ、尊敬、思慕、祈り、感謝。世界のありとあらゆる美徳を捧げられる。
トイ
なのに、
トイ
世界を救わなかった。
トイ
その約束を果たしなおしたい。
トイ
滅びた都市の、幾百万の悲鳴…そして『悲願』を、
トイ
この男に届ける方法は、みずからの命を賭して、儀式――
トイ
『オールドメイドトーナメント』に引きずりだすことしかなかった、
ティモフェイ
果たしてトイトロールの目論見通り。
ティモフェイ
ティモフェイはオールドメイドトーナメントに参加した。
トイ
「ティモフェイ」
トイ
醜い泣きまじりの声。
ティモフェイ
トイトロールの言葉に従い、中庭で救済を宣言してみせすらした。
ティモフェイ
「なんだ」
ティモフェイ
穏やかに響く低い声。
ティモフェイ
ティモフェイの声は、トイトロールとは似ても似つかない。
トイ
「…お前はね、オレが『勝て』と言ったら『勝つん』だよ」
ティモフェイ
「…………」
トイ
*ティモフェイの心の疵『トイトロール』を舐めます。判定は猟奇
ティーセットを使います
シャルル
*横槍をいれます
GM
ではチョイスから。
シャルル
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
シャルル
2d6+1=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6+1>=7) > 5[3,2]+1 > 6 > 失敗
GM
横槍は失敗。
[ シャルル ] HP : 18 → 17
GM
改めて判定をどうぞ。
トイ
2d6+2+2=>7 判定:猟奇 ティーセット
DiceBot : (2D6+2+2>=7) > 7[1,6]+2+2 > 11 > 成功
[ ティモフェイ ] トイトロール : 0 → 1
GM
成功です。
ティモフェイ
「……救うよ」
ティモフェイ
「救えば、よいのだろう」
トイ
「…………」
ティモフェイ
陰鬱な顔のまま、低い声で答える。
トイ
救うよ、と声に出せば。
ティモフェイ
「それがきみの望みだろう」
トイ
素直に機嫌がなおるようで。
ティモフェイ
「ならば」
ティモフェイ
「俺は、そうする他ない」
ティモフェイ
「……いや」
ティモフェイ
「そうしようと思っている」
トイ
「おぼえとけよ」
トイ
「救うって言ったからな、いま」
ティモフェイ
「ああ」
ティモフェイ
変わらぬ調子で、淡々と。
ティモフェイ
けれど確かに肯定を返した。
トイ
顔をぬぐいながら、自分の足で立ち上がる。
トイ
のろのろと温室を出る。
トイ
もはや顔を隠す必要はない。見られてしまったから。
ティモフェイ
降り積もった雪に足跡を残しながら、その背中を追う。
トイ
ふたりのあるくあとに、雪ばかりが残っていた。
GM





*6号室前日セッション『救世主と影武者』




第4シーン:シャルル

GM
*第4シーン シーンプレイヤー:シャルル
シャルル
――一晩が過ぎて、翌朝のこと。
シャルル
扉のない5号室で、それでも2人は他の部屋に移りはしなかった。
シャルル
ここは、前のオールドメイドゲームから5号室のメイドが整え。
シャルル
保ってきた、前回の優勝者の部屋だ。
シャルル
シャルルは眠らない。
シャルル
眠らなくとも、3日は平気だという。
シャルル
扉があった場所の側で、ライフル銃のストラップを肩にかけ。
シャルル
片膝をついて座っていた。
シャルル
そうして、夜が明けるまでを過ごすと、主人を起こしに行く。
シャルル
「…………おはようございます、アレクシア。」
アレクシア
「……ん」
アレクシア
「おはよう」
アレクシア
寝起きは良い。それに、今更、寝起きを見られることにも抵抗はない。
シャルル
「紅茶をいれますね。そろそろ……お支度を。」
シャルル
「準備を終えましたら、私も着替えますので。」
アレクシア
「ん」
アレクシア
大した支度はない。今はお茶会の最中だ。服はそのまま、なにもかも手の届く位置。
シャルル
ここに来てから、毎日、お茶をいれている。
シャルル
それは、人生で一番……平穏な時間だ。
シャルル
テーブルにお茶と軽食。
シャルル
そうして、自分はベッド脇に積みあがった荷物へと歩み寄る。
アレクシア
帽子を被って、席につく。シャルルの好きにさせておく。いつものように。
アレクシア
あの封筒に名前を書き、儀式を始めてから。
アレクシア
ずっとそうしている。
シャルル
服を脱ぐ。今更気にしないとでもいうように。
シャルル
右腕を取り外して、別のものと入れ替える。
シャルル
全身の、そこここには銃創。
シャルル
背中には切り傷や火傷何かの古い傷痕。
アレクシア
アレクシアはそれを見ない。行儀よく、ティーカップの紅茶の液面を見ながら、一口、二口。
シャルル
左腕も同じように。
右足も。左足も。
シャルル
片手ですれば、人の手を借りる必要はない。
シャルル
間接や接合部のライトがグリーンに光る。
シャルル
そうして。
シャルル
古い、大きめの箱を取り出して。
シャルル
着替える。
シャルル
自分のあるべき場所、あった場所、帰る場所の服に。
シャルル
手慣れたものだ。1年弱……来ていなくても身体が覚えている。
シャルル
そうして、主人の向かい側に腰を下ろす。
アレクシア
「おやおや」
アレクシア
「初めて見るな」
シャルル
「ええ。目立ちますからね。」
シャルル
少し温度の下がった紅茶を口元に。
シャルル
「それに……相手が相手ですから。」
シャルル
「防刃、防弾、防水ですよ。まあ……どこまで役に立つかはわかりませんが。」
アレクシア
「ないよりはな」
アレクシア
「備えは必要だ、いつも」
シャルル
「そう、ですね……。結局夜襲はありませんでしたし。」
アレクシア
「また殴り込まれることも覚悟はしていたが」
シャルル
「自信があるという事なのかもしれませんし……もしくは、昨日のがこたえたか。」
アレクシア
「……こたえてくれているとありがたいがね……」
シャルル
「あの顔で『見るな』なんて……まあ。いろいろあったんでしょう。」
シャルル
「……金の髪は高く売れる。青い目は桁が上がる。」
シャルル
「なんて。違うでしょうけれど。」
シャルル
軽食をつまむ。この形式の食事にも慣れたものだ。
アレクシア
「お前、昨日のあれが食えるのに、それで足りてるのか?」
シャルル
「そりゃ、あればあるだけいいですが。」
シャルル
「別に、ずっとあったわけじゃないですし。」
アレクシア
「ああ……」 漏れ聞いた、シャルルの境遇に思い至り。
シャルル
「…………。」
アレクシア
「なんだ」
シャルル
「直に、裁判ですね。」
アレクシア
「……ああ」
シャルル
「はぁ……。」
シャルル
「裁判か……。」
アレクシア
「……いまさら」
アレクシア
「……先日のようなことは言うなよ」
シャルル
「んふふ。」
アレクシア
「……笑うな」
シャルル
左手を見る。
シャルル
手首、腕へ。
シャルル
そこには鈍い色の金属しかない。
シャルル
そうだ、自分で切り落とした。
アレクシア
「シャルル」
アレクシア
「ここにお前に値付けをするものはいない」
シャルル
「……アレクシア。」
シャルル
「ふふ……ありがとうございます。」
シャルル
「でも、そう……そうですね。私は。」
シャルル
「私は、ずっと誰かのものでした。」
アレクシア
「…………」
シャルル
「最初に、買い手が決まった時……いえ、生まれた時から。」
シャルル
「だから……そう。」
シャルル
「寂しいのかもしれません。」
シャルル
「ここに、名前がないことが。」
シャルル
「アレクシア。」
アレクシア
「……馬鹿者」
アレクシア
「……なんだ」
シャルル
「言いましたよね。アナタとでなければ、此処にいないと。」
アレクシア
「ああ」
シャルル
「…………そう。そのはずなんですけれどね。」
シャルル
「今は……アナタ以外なら誰でもいいって、気分です。」
シャルル
「あはは……。」
アレクシア
「……そうか」
アレクシア
「もう遅いぞ」
シャルル
「…………。」
シャルル
「ほんっとうに…………」
シャルル
「ああ…………」
シャルル
「…………。」
シャルル
「時々……自分がどんな顔してるか。わかんなくなるんですよね。」
シャルル
「でも、もしアナタが……ここで、アナタが死んだ時、自分が……どんな顔するか。どんな顔したらいいか。」
シャルル
「わっかんなくて。ずっと……」
シャルル
「アレクシア。」
シャルル
「私はね、死ぬことなんかこわくないんですよ。」
シャルル
「怖くなかった。」
シャルル
「でも、今……怖いんです。」
シャルル
「殺し合いの場で、戦うことが。」
シャルル
「怖くて……。」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「シャルル」
アレクシア
「言ったろ。……お前は何を選んでもいい」
シャルル
くしゃりと、髪を掴むように頭を抱える。
アレクシア
「だが、選べ。この期に及んで先送りはなしだ」
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………誰が死んでもいい。あいつらでも、俺でも。他の部屋の連中でも。」
シャルル
「でも、アンタだけは嫌だ。」
シャルル
「嫌になっちまったよ……くそっ。」
アレクシア
「シャルル……」
シャルル
「…………。」
シャルル
シャルルは目つきが悪い。
シャルル
それは、ずっと目が悪くて。
シャルル
眼鏡なんてものはなくて
シャルル
ずっと、そうして世界を見てきたからだ。
シャルル
「…………アレクシア。」
アレクシア
「ん」
シャルル
「…………死ぬな。死なないでくれ。」
シャルル
「俺が、頑張るから……」
アレクシア
「…………俺たち、と言え」
アレクシア
「ちゃんと」
アレクシア
「そう言え」
シャルル
「…………。」
シャルル
「そうか…………ははっ、何回言われて。」
シャルル
「…………一蓮托生。」
アレクシア
「ああ」
シャルル
「アレクシアを、疑ってるわけじゃない。でも、ずっとそうやって……」
シャルル
「……後ろに隠しておこう、なんて思ってたのかもしれない。」
シャルル
「……踊ろう、アレクシア。」
シャルル
「一緒に。」
アレクシア
ふと笑い。手を伸べる。
シャルル
*アレクシアの『代替品』を愛で舐めます。
トイ
*横槍をいれます
GM
ではチョイスから。
トイ
トイ
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
GM
判定をどうぞ。
トイ
2d6=>7
DiceBot : (2D6>=7) > 10[6,4] > 10 > 成功
GM
運命は変わらない。成功です。
トイ
1d6
DiceBot : (1D6) > 1
シャルル
2d6+2-1=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6+2-1>=7) > 7[2,5]+2-1 > 8 > 成功
GM
そしてこれもまた運命のひとつ。
シャルル
「あの、それで……相談なんですが。」
シャルル
手を取る。
アレクシア
「聞くだけ聞くが」
シャルル
「書いていただけませんか?」
アレクシア
「……」
シャルル
「私のアレクシア。」
アレクシア
「……わかったよ、わたしのシャルル」
シャルル
「ふふ……。」
アレクシア
触れた手は、冷たい。けれど。
アレクシア
かつてそこに刻まれていた、商品としての値段は、もうそこにない。
アレクシア
アレクシアは、シャルルに値付けをしない。
アレクシア
ただ、信頼している。
アレクシア
そう、言ったとおりに。
シャルル
戦場が待っている。
シャルル
何のことはない、いつも通りだ。
シャルル
ただ、隣にいるのが……死んだら嫌だというだけ。
シャルル
なんだ。いつも通りだ。
シャルル
「流石に刺青、ありますかね。消えないペンとか……魔法?ふふ……メイドさんに聞いてみましょうね。」
シャルル
どこまでもいつも通りで、でも、ちょっとだけ。
シャルル
嬉しくて、幸せだ。
[ アレクシア ] 代替品 : 0 → 1
[ トイ ] HP : 16 → 15
GM
GM
お茶会がすべて終了いたしました。
これより裁判パートに移ります。
GM