お茶会-1ラウンド目
GM
それではお茶会の行動順を決めていきましょう。
ティモフェイ
1d12
DiceBot : (1D12) > 11
トイ
1d12
DiceBot : (1D12) > 10
シャルル
1d12
DiceBot : (1D12) > 2
アレクシア
1d12
DiceBot : (1D12) > 5
GM
イニシアティブを利用して行動順を決定しますので、高い順に行動します。
メイド5
では、第1サイクルの行動順はティモフェイ様→トイ様→アレクシア様→シャルル様の順番になりました。
第1シーン:ティモフェイ
GM
*第1シーン シーンプレイヤー:ティモフェイ
GM
開会の儀式が終了した後。メイドが改めて参加者を客室へと案内します。
トイ
みずからの体を投げ捨てるように、ベッドに倒れ込む。
ティモフェイ
その背中を見送ってから、倒れ込んだトイを振り返った。
ティモフェイ
「きみはこの儀式の開幕を心待ちにしていたように」
ティモフェイ
突っ立ったままにトイトロールへと語りかける、
ティモフェイ
薄汚れた風体の、救済を宣言してみせた男。
トイ
そう。
さきほどの『救済の宣言』は… すべて、トイトロールが筋書し、命じてティモフェイに読み上げさせたものだ。
トイ
「ああ。オレはずっとこの日を待ってた。この儀式をな。シャルルにアレクシア…」
トイ
「儀式を発動させた礼を言いたかったくれぇさ」
ティモフェイ
あの二人なのか、と無言で得心している。
ティモフェイ
ティモフェイが腰を下ろすことはない。
ティモフェイ
壁に背中を預けすらせず、二本の足で突っ立っている。
ティモフェイ
救世主であればこそ、多少の身体的疲労を無視して振る舞うことはたやすかった。
ティモフェイ
だから突っ伏したトイとは真逆に立ち呆けたまま、
ティモフェイ
「きみがほんとうの意味で上機嫌だったことの方が」
トイ
その言葉を聞き、きゅうにけらけらと笑いだす。
トイ
「アッハッハッハ」バタバタとベットの上で足をばたつかせ
ティモフェイ
「送らされたものとは、認識している」
ティモフェイ
「きみなりの権利を認めてはいるつもりだよ」
トイ
ゆらりとたちあがり、ティモフェイの眼前まで歩く。
トイ
「だったら、かわいそうなオレの為に涙の一粒でも流して憐れんでみろよ…」
トイ
「本心ではオレをバカにしてるんだ。見下してるんだよ。なあ」
トイ
「オレみたいに無学で、下品な、下賤な輩は何人死んだって構わないって」
トイ
「口でどう言おうがなあ!てめーの行動が語ってるんだよッ!」
ティモフェイ
掴み寄せられてトイトロールの仮面に顔が寄り、
ティモフェイ
その瞳は、たしかに、乾ききっている。
ティモフェイ
ティモフェイの頬を涙が伝うことはなかった。
ティモフェイ
選ばれた清い魂を救世騎士の館でもてなすあの一週間は、
ティモフェイ
この儀式の参加者が手厚くもてなされるさまと、よく似ていた。
ティモフェイ
しかし悲しいことにティモフェイにはそれをトイに向けない程度の分別があった。
ティモフェイ
深い絶望の縁にある彼のたましいに、手が届くことはない。
ティモフェイ
「俺が、きみを死んでも構わないと、そのように思っている」
ティモフェイ
「きみは、本当にそう感じているのか?」
トイ
「お前はオレなんか死ねばいいってずっと思ってる」
トイ
どうしてと聞かれて頭で考える。すると、わからなくなる。
トイ
理路整然としたティモフェイの問いかけにこたえられず、トイトロールの腕が止まる。
ティモフェイ
その奥の顔色を見透かすように、まっすぐに。
トイ
「そうだ、お前はオレの故郷を見捨てた、世界を救う『儀式』をやらなかった。
オレはな…そのことを言ってんだっての」
トイ
「お高く留まった救世主たちは、他の民がどれだけ死のうと心が痛まない」
トイ
「花が咲いて。陽がさして、川が流れて、あの都市で……」
トイ
「美しい思い出はあそこにしかなかった、オレが本当に上機嫌だったとき。しあわせの取り分は、あの都市にすべておいておかれたはずなのに」
トイ
「なのにてめーーは 儀式を途中で止めた!!」
トイ
「こんどの『儀式』はぜってええ途中で止めさせたりしない!!」
ティモフェイ
したたかに床に叩きつけられて、息を詰める。
ティモフェイ
*トイの疵『冬』を舐めます。判定は猟奇。
シャルル
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
シャルル
2d6=>7 判定:才覚
DiceBot : (2D6>=7) > 10[6,4] > 10 > 成功
シャルル
1d6
DiceBot : (1D6) > 5
[ シャルル ] HP : 20 → 19
ティモフェイ
*トイの疵『冬』を舐めます。判定は猟奇。再掲
ティモフェイ
2d6+3-5=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6+3-5>=7) > 4[1,3]+3-5 > 2 > 失敗
GM
それでは横槍が入った描写をどうぞお楽しみください。
トイ
トイの機嫌が荒れ、まわりに降る雪がつよく、濃くなる。
トイ
頭蓋まで踏みつぶしそうなその時、ノックの音。
ティモフェイ
みし、と踏みしめられた頭蓋の軋む音が、
シャルル
「シャルルです。先ほど、お会いいたしました。」
ティモフェイ
動揺も関心もなく視線を虚空に投げかけている。
トイ
ティモフェイの頭をいちどゴン、と蹴っ飛ばし。ドアの方へ
ティモフェイ
けれどすぐに上身を起こして、扉を向いた。
トイ
「別にいいけどな。コイツといるとイラついてしかたねーし」
シャルル
先ほど分かれたままの格好で、そこに立っている。
一人だ。
シャルル
「こちらの封筒、使用すると強制的に移動させられるそうなので。あまり……ご招待には向かないな、と。」
シャルル
「お邪魔をしてしまいましたら、申し訳ございません。」
シャルル
視線は一度奥のティモフェイに向けられ、そしてトイに戻る。
ティモフェイ
その視線に特段の敵意は感じられない。
トイ
「…なあニイサン、ちょっと遊ばねえか。なに。時間はとらねえよ」
シャルル
「おや、どういったご趣向かにはよりますが……。」
トイ
「こいつ。」ティモフェイを指し
「こいつはさ、何したって構わないんだ」
トイ
「舐めろ言えば靴の裏をなめる。食えといやゴミでも食う。殺せと言えば人を殺す。」
トイ
「だが――
オレぁね、見たことがない。こいつ、泣かないんだ。」
トイ
「こいつを先に泣かせてほうが勝ち。何したってかまわないよ」
ティモフェイ
怯えも恐れもない。ただ深い諦念だけが。
ティモフェイ
何をしても構わない、というのに、説得力が出る。
シャルル
思案顔。どうすべきか、真剣に考えているような。
ティモフェイ
この先、殺し合うことになる相手の本質を。
シャルル
「私は人が泣くとき、そこには何らかの感情があると思っているのですが……。」
シャルル
「信用、信頼、友情、愛情……裏切りや悲観に、絶望。」
シャルル
「そうして、できることといえば…………」
シャルル
「安堵、安寧、安楽。……つまり、殺してさし上げることくらいなのですが。」
シャルル
「もしくは……彼が貴方を愛し、信頼し、慈しんでいるのなら。」
シャルル
「ティモフェイさんのお話しする通り、貴方の死体にすがって泣くのではないでしょうか。」
トイ
ティモフェイが自分を愛する?言葉として情報として、頭に入った瞬間に、ぶるぶるとからだが怖気にふるえた。
シャルル
「貴方は……彼が死んだら、泣きますか?」
ティモフェイ
トイの顔を窺いもせで、ただ床に視線を落としている。
シャルル
「なにやら……おふたりには時間が必要そうですね。」
シャルル
「お茶会のお誘いはまた、時間を改めてまいります。状況によっては『招待状』を使用させていただくかもしれませんが、ご容赦ください。」
ティモフェイ
こちらはぼんやりとそれを見つめている。
トイ
『もしくは……彼が貴方を愛し、信頼し、慈しんでいるのなら。』
トイ
「あいつ…!絶対オレの事バカにしてるだろ!!」
ティモフェイ
「好ましい相手でなくて助かったのではないか」
ティモフェイ
いつ茶会に呼ばれてもよいようにか、ベッドサイドの鎖を取り上げ
ティモフェイ
慣れた様子で自らの首輪にそれをとりつけた。
ティモフェイ
「感情のままに暴れるほうが、得意だろう」
トイ
殴りに殴ってへこんだ枕を思い切りティモフェイの顔に投げつける
ティモフェイ
枕が顔に当たって、床に落ちます。柔らかいので痛くない。
ティモフェイ
自分が死ねば、この儀式に参加する相方であるところのトイトロールも死亡する。
ティモフェイ
メイドの語った儀式のさだめを思い出す。
ティモフェイ
自分の声はトイには届かない。トイの疵を、痛みをなぐさむこともかなわない。
ティモフェイ
それでもティモフェイにはトイから離れられない理由があるし、
ティモフェイ
それは同時に、ティモフェイがことここに至って自死を選べない理由でもあるのだ。
ティモフェイ
それがほんとうは、誰のものかは、もはやわからないけれど。
第2シーン:トイ
トイ
『――さ。だからさ――』
『――わけだよ ――』
トイ
下品な笑い声。6号室から、複数の人の声が聞こえる。
トイ
べッドに座ったトイが、男女5名ほどのひとかげをはべらせている。
トイ
それは――観客だ。観客席にいた末裔たちのうちの、幾人か。
マスクをつけた末裔たち。好奇の瞳でティモフェイやトイを見つめている。
ティモフェイ
壁際に立ってその様子を見つめている。
トイ
「見て見て!見て見て!これ。
もらっちゃったよぉ~~」
ティモフェイに近寄り見せびらかす…
トイ
金のゆびわ、銀のオルゴール、宝石のぜんまい時計、春色のチューリップの球根。いずれも希少なものだ。
ティモフェイ
それらの貢ぎ物をうつろな瞳で見下ろして、
トイ
その言葉に気分を悪くした…ように思えるが、マスクの下の表情は解らない
トイ
「金目のもの。限られた宝物がどれだけ、大事なものかてめえにはわからねえ」
ティモフェイ
「末裔から取り上げてしまうのも、いかがなものかと思われるが」
トイ
「さてさて、特等席にお越しいただきました~トイトロールツアーのお客様、みなさま!」
トイ
「はぐれねえようにオレのケツを追っかけろ!」
トイ
そういってトイは部屋をおどるように飛び出る。5人の観客と、一人の鎖を引きつれながら…
ティモフェイ
鎖が張り詰める、耳障りな金属の音が響く。
GM
観客は──双方の合意があれば。
救世主に近づくことができる。
GM
ただし、末裔のみ──。
彼らはこの2人と2人が相対する神聖な儀式には。
関与自体ができない脆弱な存在。
メイド6
呼ばれるのを待っていたかのようにそこに歩み出る。
トイ
「例のあーーーあの。封筒?呼び出すやつ?オレやりたい」
身振り手振りしつつ伝える。
ティモフェイ
末裔たちに紛れて、無言でその後ろに佇んでいる。
トイ
トイが引き連れてきた観客たちをいやらしくみまわし。
トイ
「「「エルレンマイヤー卿アレクシア嬢~~!」」」
ティモフェイ
その名前を確かに書き記し、メイドへと差し出した。
メイド6
受け取る。記された人物を、ことづけどおりの瞬間に呼びだす封筒。
アレクシア
「……っ、」 一歩。よろめくようにして。
トイ
貼り付けるように、地下室の天井に宙づりに釣り上げる。
ティモフェイ
表情筋の死んだ、鎖で繋がれた男は地下室の隅に。
ティモフェイ
少女の姿を視界にとらえ、表情を曇らせている。
アレクシア
「いっ……つ、……!」 吊られるままに、足が浮く。
トイ
観客たちは手出しはしない。
ただ…見ている。息を荒げ、だえきを飲み込む音程聞こえそうな距離で、アレクシアを取り囲み、ただ見つめている。
アレクシア
ちらとそちらを見やり。短く鼻を鳴らす。
トイ
トイトロールはよく知っている。『視線』――ただ、見られているというそれだけで、人の心にのしかかる圧力になる事を。
トイ
ごろついて背を丸めて歩いていたトイは、背筋をのばす。
トイ
ふんぞり返り、えらぶった仕草は、けれどどこか優雅さを漂わせて。
トイ
「や、
エルレンマイヤー卿。こちらあなたのファンの皆様」
トイ
「なかなかご活躍のようだったから。
わざわざあなたを見に来たって客も要るし…」
トイ
「…こちらのご婦人はさっきの登場をみてひとめぼれしたって」
トイ
貴方の気丈なさま。見下ろす視線。観客たちは目を輝かせ、歯をむき出して笑い、見つめる。
アレクシア
それを見返すこともなく、トイトロールをじっと見据えている。
トイ
館に来るときに背負ってきた荷物。荷物の中身をゴトゴト取り出し、
トイ
ムチの先をアレクシアの胸におき、リボンをはじいてするりととく。
ティモフェイ
視線を逸らすこともない。表情を曇らせたまま、トイとアレクシアのさまを見据えている。
アレクシア
黙る。黙っている。至近のトイトロールの顔は見えない。視線はわからない。
アレクシア
だが、どこを見られているのかはわかる。
トイ
沢山の瞳が食い入るようにアレクシアを見つめる。
トイ
「これからさ~~…何をするんだろうとおもう?」
トイ
「きちんと言い当てて、何をされるか、自分で言えたら開放してやってもいいけど」
トイ
殴打。アレクシアのみぞおちに、抉りこむように
トイ
「このまま嬲られたいってんなら、黙ってりゃいいけどさ~…」
罪人をうつ鞭を抱えて。
トイ
「何をするのかって言ったら…別にご想像のようなことじゃあねえんだよ。」
トイ
「凌辱しに来たわけじゃない。調教しに来たんだ。人が心の底でもとめてる、堕落を解放してやるだけさ」
トイ
*アレクシアの疵『自罰思考』を抉ります。判定は猟奇。
シャルル
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
シャルル
2d6+2=>7 判定:才覚ティーセット
DiceBot : (2D6+2>=7) > 9[5,4]+2 > 11 > 成功
シャルル
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
[ シャルル ] ティーセット : 1 → 0
[ シャルル ] HP : 19 → 18
トイ
2d6+2-3=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6+2-3>=7) > 9[5,4]+2-3 > 8 > 成功
トイ
被服を剥ぐように鞭がアレクシアの体に打ち据えられる!
トイ
さける肌。返り血。観客たちが血をあびようとにじり寄り、食い入る。
ティモフェイ
救済を宣言したはずの男は、表情を曇らせたまま女が打ちすえられるさまを見つめている。
アレクシア
何度も。何度も。裂ける痛み、裂けた場所を更に裂かれる痛み。
アレクシア
言葉にならないまま、吊られた手首の先のことが脳裏をよぎった。
アレクシア
アレクシアは、自分が正しくはないことを。間違っていることを。
自分が、悪いのだということを――わかっている。
トイ
自分が悪いのだと解っている。その脳裏に、凸が凹にはまるように、今は痛みがもたらされる。
トイ
意識が集中できなくなるほどの、ものもかんがえられぬほどの時間。
トイ
いや、それはほんの1時間足らずの事だったかもしれない。
アレクシア
言ってはいけない、と。どこかで、掠れきった理性が囁いた。けれど。
トイ
「聞こえね~え~なぁ。腹にちからァ入れて大きな声でいえよ」
アレクシア
もう力が入らない。鞭打たれた痛みはほとんど麻痺して、むしろ吊られたままの手首が痛い。
トイ
「観客のみなさ~ん?そろそろツアー時間は終了となりますがあ、延長はご所望ですか?」
トイ
「…さっさとしろよ、もっかいちゃんと「ごめんなさい」がいえたらさ。」
トイ
「助けてやるからさ」
助けるも何も、自分がこの状況を作りながらだが。
ティモフェイ
あいも変わらず興味も関心もなさそうな褪せた瞳を、扉の方に向ける。
シャルル
蹴り破るわけでもなく、開かれた扉の向こうに男が立っている。
トイ
そして、宙づりのアレクシアが落ちる。それをーー
シャルル
右手に握ったハンドガンから放たれる正確な射撃は、
シャルル
後方でにやけた笑みを浮かべた末裔たちへのものだ。
ティモフェイ
その輝きに叩き切られて、地下室の床を転がる。
ティモフェイ
気づけばティモフェイの腕に、虹を放つ美しい儀礼剣が握られている。
シャルル
床に、薬莢が転がる音。それで銃声は止む。
ティモフェイ
ステンドグラスを模したその刀身から虹の光を煌めかせて、
ティモフェイ
薄暗い地下室を照らしながら、ティモフェイが一歩、前に出る。
シャルル
「おやおや、人を護るのがお上手ですね。」
トイ
悲鳴。
銃弾が放たれた先にいた、末裔たちは、なぜ自分達が助けられたのかもわからないまま、
どやどやと我先に地下室から逃げていく。
シャルル
「私の無抵抗なアレクシアを返していただけますか?」
ティモフェイ
「鎖にでもくくって、繋ぎとめておけば良かろうに」
ティモフェイ
であれば引き剥がされることもない、とでも言うように。
ティモフェイ
実際のところ、鎖でつなぎとめたところで何の意味もないのだが。
ティモフェイ
ティモフェイの手元から、虹の儀礼剣が霧散する。
シャルル
銃はホルスターに戻し、両手を差し出して。
シャルル
「遅くなりました、申し訳ございません。……入り口を隠した者がいたようでして。」
アレクシア
血まみれのまま返事もせずに、するりと腕が落ちた。
トイ
「………」 大の字になって天井から、自分に向かって降る雪を見て
ティモフェイ
「……あまり、他人を巻き込むものではないよ」
ティモフェイ
それはアレクシアのことを示すのか、連れてこられた末裔たちのことか。
トイ
うっとおしそうにそうかえす。
代金としてもらったオルゴールの音を聞いている。それはきっと、価値あるものだった。
ティモフェイ
またため息。それ以上は何も言わない。
ティモフェイ
トイが動くまで、棒立ちのまま侍っている。
[ アレクシア ] 自罰思考 : 0 → -1
第3シーン:アレクシア
アレクシア
それでも、まだ生きている。六ペンスコインの、救世主の力。
シャルル
「……消毒液と傷に塗る薬を部屋に準備してください。」
シャルル
傷ついた主人を抱えて、足早に部屋へと向かう。
シャルル
その間、気遣いの言葉は告げず。ただ前を見ていた。
メイド5
虚空にそう告げられればメイドは言われた通りのもの。
いや。それ以上に救世主が望むだけのものを携えて部屋のドアをノックするだろう。
シャルル
アレクシアをベッドに横たえて、治療の準備を始める。
持ってきたものの中にもいくつか使えるものはあったが……。
シャルル
ここでは、堕落の国で手に入る以上のものが届くらしい。
メイド5
部屋の入り口でそれらすべてを手渡す。
手出しは一切しない。
自分が仕える2人を目を細めて眺めたあと一礼して退室する。
シャルル
治療行為は手慣れたものだ。
それは、こちらに来る前から慣れ親しんだもの。
アレクシア
血の色も、肉の色も。シャルルにとっては見慣れたものだろう。
シャルル
それでも、目の前の女性の痛々しい姿に少しだけ眉が動く。
シャルル
手早く処置をすると、替えの服を取り出して着せる。
アレクシア
「……しゃ、る、」ようやく。薄っすらと開く瞼。
シャルル
「申し訳ありませんが、強い痛み止めは控えさせていただきました。」
アレクシア
掠れた声。けれど、語調は僅かながらにしっかりとしてきつつある。
シャルル
「仕方ない、とは申しません。しかし……」
シャルル
「あの状態では、蹴ることも噛みつくこともできなかったでしょうから。」
シャルル
指先で頬に触れる。
実際は触れているとはいいがたいのではあるが。
アレクシア
「六ペンス。……10枚でもあれを生き残れるか」
シャルル
「アレクシアが頑張ったからですよ。それに……」
シャルル
「殺そうってんじゃない。アレは、嬲りたかっただけでしょうから。」
アレクシア
「……ありがたいような気も、……クソくらえという気もするな」
シャルル
「お茶でも入れてきましょうか。準備していただいた茶葉があるので。」
アレクシア
「……よかろう」痺れたような動作で、それでも起き上がる。
シャルル
「無理はしないでくださいね。……これからですし。」
シャルル
そう告げると。
湯を沸かし、茶の準備を始める。
シャルル
並んだ茶葉からいくつか、あれとそれとを混ぜて。
シャルル
上品なティーカップと香るポットが、アレクシアの元へと運ばれる。
アレクシア
ベッドを離れはしなかった。床に足をつけ、そこまで。
シャルル
「帰りたいと、泣き叫ばれたらどうしようかと。」
シャルル
カップにお茶を注ぎ、ソーサーと共に差し出す。
アレクシア
ゆっくりと。常のようには力の入らない指先で、カップを持ち上げて、一口。
シャルル
「畏まりました。ティーカップももう一つ準備いたしますね。」
アレクシア
「シャルル。その前に、わたしをテーブルまで」
シャルル
「承知いたしました、エルレンマイヤー卿。」
シャルル
一礼をすると、さほど大きくはないテーブルに白いテーブルクロスを敷いて。
シャルル
別の場所にあった花瓶を真ん中に、椅子を向かい合わせに。
シャルル
戸棚の茶菓子を花柄の皿に並べて、カップを伏せて。
シャルル
すっかり準備が整ってから主人を迎えにあがる。
アレクシア
シャルルの手に縋るようにして、ゆっくりとした動き。
アレクシア
「まあ、……お前が手を下さない程度だからな」
シャルル
「理不尽を受けてなお、アナタは気高い。」
アレクシア
シャルルの手から封筒と、ペンを受け取る。
アレクシア
一度、震える手をぎゅっとペンごと握り。
メイド5
虚空に呼びかければ、お茶を一口飲むほどの時間でメイドがドアをノックする。
シャルル
沸かした湯の温度を確かめながら到着を待つ。
GM
『お客様』は望み通りの時間に茶会の席に招かれる。
ティモフェイ
望み通りの時間、招待状の呼び出しに従って、
ティモフェイ
薄汚れたマントを纏った男が二人の客室に立つ。
ティモフェイ
はたと目を瞬いてから、いつものようにため息を吐いた。
ティモフェイ
首輪から下がった鎖が金属音を立てる。
ティモフェイ
垂れ下がった鎖を引き上げて肩に引っ掛け、
ティモフェイ
シャルルに示されるままに茶席へ腰を下ろす。
ティモフェイ
怯えの色はない。反省だとか、申し訳なく思っている様子もその様子からは気取ることができない。
アレクシア
「なんだ。うちの従者の茶は結構なものだぞ」
シャルル
言えば、あとは邪魔することはなく。
主人の後方に立ち、控える。
ティモフェイ
先程の打擲を思えばいっそ図々しいほどに堂々と、招かれた客として茶会の席についている。
ティモフェイ
「きみが楽しめばよい。彼もそれが望みだろう」
アレクシア
痛みの影はない。少なくとも、表に出はしない。
ティモフェイ
招待の意を窺うように、視線をアレクシアへと向ける。
ティモフェイ
こちらもそれを恐れてはいないのだろう。
ティモフェイ
何をされても仕方がない、というのは、双方了承が取れているものだろう。
ティモフェイ
今の自分の身にも同じことが言えるのだが。
アレクシア
「わたしは別に、君を鞭でぶちのめしたりはしないが」
アレクシア
「いくつかお喋りに付き合ってもらいたくてね」
ティモフェイ
「先程の狼藉の上で、何を問われることやら」
アレクシア
「むしろ、わたしが答えてやろうと思ったのでね」
アレクシア
「最初にまみえたとき、……満たされるものかと聞いていたかな?」
ティモフェイ
「商売とはとんと縁がなかったものでね」
ティモフェイ
「やり口を多少知っている、といった程度だ」
ティモフェイ
みずからを嘲るように、口端をゆがめる。
アレクシア
「まあ、そんなことはどうでもいい。商売人だけが人生ではないさ」
アレクシア
「……それで、そうだな。満たされるかどうかか」
アレクシア
「わたしは、別に、わたしがこの儀式で満ちるとは思っていない」
アレクシア
「わたしには、満たしてやらねばならん奴らがいる」
アレクシア
「そしてそれは、この国の見知らぬ誰かではない」
アレクシア
「誰彼構わずたすけてはやれない。きみの言うようには」
アレクシア
「わたしはわたしの力の及ぶことしかできないが」
ティモフェイ
「この世界の救世主など、みなそのようなものだろう」
アレクシア
「何故救世を謳う。……きみは何をしたい?」
ティモフェイ
「つまらない話にしか、ならないと思うが」
アレクシア
*ティモフェイの心の疵『救世主願望』を抉ります
トイ
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
トイ
2d6=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6>=7) > 9[6,3] > 9 > 成功
GM
それではアイテムを使用する場合はアイテムの使用を含めて判定をば。
トイ
1d6
DiceBot : (1D6) > 2
アレクシア
2d6+2+2-2>=7
DiceBot : (2D6+2+2-2>=7) > 6[4,2]+2+2-2 > 8 > 成功
[ ティモフェイ ] 救世主願望 : 0 → -1
ティモフェイ
目の前の覇気のない男がわらっている。
アレクシア
「きみは救世を心から信じているツラではない」
アレクシア
「失ったのか、元からないのかは知らんが」
ティモフェイ
少女の言葉にあいもかわらず一言の反論もなく、
アレクシア
「そうしていつまでも無為を貪っていると良い」
ティモフェイ
「できることなら、そうしたいくらいだ」
アレクシア
「そこで頷けるところがつまらんところだよ」
ティモフェイ
席を立つ。垂れ下がった鎖を持ち上げて。
ティモフェイ
「愛しい相手と、満たしてやりたい相手の未来のことでも、考えていろ」
アレクシア
立ち上がりはしない。ただ、ティモフェイのどのような行動も妨げない。
シャルル
今まで黙っていた男がすっと前に出て、扉を開く。
ティモフェイ
襤褸のマントを揺らしながら、5号室の扉へと向かう。
アレクシア
身体には傷ひとつなく。言葉だけがティモフェイに残る。
ティモフェイ
こちらも会釈を返して、重い足取りで扉を出る。
ティモフェイ
いつまでも無為を貪るよりほかない存在。
ティモフェイ
それはひび割れに染み入る冷たい水のように、
ティモフェイ
それはもとよりティモフェイの心の中にあった疵を浸して疼かせる。
ティモフェイ
あるいはもっと早くにその任から逃れて。
ティモフェイ
”つまらない”顛末を迎えることがなければ、
ティモフェイ
自分の知らないところでいつしか組み上げられていた悪意のかたちが、
ティモフェイ
彼の人生をむさぼり尽くしたことを、最期まで知らずに一生を終えるのと。
ティモフェイ
どれほどつまらない男に成り下がろうと、どれほど人生の末を汚すだけの結果になろうと、
[ アレクシア ] ティーセット : 1 → 0
[ トイ ] HP : 17 → 16
第4シーン:シャルル
アレクシア
「……っ、……」テーブルに手をついて、かろうじて床に落ちることを避けた。
シャルル
先ほど、アレクシアのベッドは汚してしまった。
シャルル
「出来ることなら、見せたくありませんでしたよ。」
シャルル
「もう、見せるという範囲ではありませんが。」
シャルル
「…………まあ、困らないといえば困りませんが。」
シャルル
先ほどと同じように、ベッドの脇に膝をついて。
シャルル
「凌辱から目をそらし、暴力に胸を痛め……殺人を『大罪』と思う人が。」
アレクシア
「この国に堕ちた以上は、……そこで生きるしかないんだ、シャルル」
シャルル
「アナタを返して差し上げたかった。綺麗なままで。」
シャルル
「こんな、楽しいもあるって、思えたから。」
シャルル
「最後まで、一緒にいたいと思ったのかもしれないな。」
アレクシア
「……そういうことは、帰った先で言ってろと」
シャルル
「堕落の国に来て、真っ暗な穴から少しましな世界に転がり落ちて……」
シャルル
「私が守りたいのは、アナタなんですよ。」
ティモフェイ
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ティモフェイ
2D6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 10[4,6] > 10 > 成功
ティモフェイ
1d6 効果量
DiceBot : (1D6) > 2
[ ティモフェイ ] HP : 18 → 17
シャルル
2d6+2-2=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6+2-2>=7) > 6[1,5]+2-2 > 6 > 失敗
トイ
トイが、アレクシアを見世物にした代償に、手に入れたオルゴールの音を聞いている。
トイ
扉の開く音に気付く。茶会に呼ばれていたティモフェイが返ってきたのだ。
ティモフェイ
首輪に繋がれたままの鎖を腕に引っ掛けて、
ティモフェイ
つかつかと6号室に入って、扉をしめる。
トイ
なんで自分は呼ばれなかったんだろう。一瞬、そんなことを考えてからだが静止する。
トイ
いやいや、救世主のお茶会は、そういう…親睦を深めるやつではない。
トイ
呼ばれなかったことにきずつくひつようはない。
ティモフェイ
「あれは、むしろきみに問いかけたものだったが」
ティモフェイ
「救世主の事情を知っておいて、損がないのは」
ティモフェイ
自分には気の進まないことであるけれど。
トイ
「お前の言葉…?
あ?それでてめーなんて答えたんだ?」
ティモフェイ
「満たしてやりたい、者たちがいると」
ティモフェイ
許されはしない感情を、トイトロールの前で露わにすることはないけれど。
トイ
ベッドから跳ね起き、ティモフェイに寄る。
両の手で挟むように彼の頭を掴み、マスクを寄せる。
トイ
「………
……一方的に…言われて なんの反論もせず」
ティモフェイ
「結局、最後は暴力だろう? この世界」
トイ
大きな怒鳴り声。
「やりかえして来いッッ!!」
ティモフェイ
それが目を伝い、頬を滴り落ちていく。
トイ
「おまえの毎日葬式みてーな辛気くっせえ顔なんか一秒たりともみたくねえ!」
トイ
「やるまで帰ってくるなッ!」
激しい怒鳴り声。
トイ
ベッドに逃げるように倒れ込む。毛布をめくり、頭からかぶる。
トイ
雪のはげしさは、トイの感情の荒れ方のあかしだ。
ティモフェイ
「それでも最後の、矜持のつもりだよ」
アレクシア
「違う世界だなんて、ばかばかしい夢だったと思え」
シャルル
そして、この世界でも珍しい事ではなかった。
シャルル
だから、迷いそうになったときは。こうする。
シャルル
合図のようなものだ。
少なくとも……彼にとっては。
ティモフェイ
不意に、轟音とともに5号室の扉が吹き飛ばされる。
ティモフェイ
木片が舞い、廊下を漂う冷たい空気が二人の客室に流れ込み。
ティモフェイ
そしてつまらない男――無粋な救世主が、虹の儀礼剣を提げてそこに立っている。
ティモフェイ
というよりむしろアレクシアの様子を一瞥して、
ティモフェイ
その男はああ、と得心がいったように息を漏らした。
ティモフェイ
そのテーブルを虹の切っ先が叩き切る。
ティモフェイ
それを床に転がしてさらに踏み込みながら、
ティモフェイ
そのさまにいまだ表情ひとつ動かさず、
ティモフェイ
「俺はつまらない男などではなく、いっぱしの救世主」
ティモフェイ
「世界を救うに値する価値のある男、らしい」
ティモフェイ
切っ先を引くより前に足をあげ、シャルルの腹に蹴りを入れる。
ティモフェイ
虹の剣を閃かせてその銃身を叩き斬ると二人に背を向け、
ティモフェイ
先の茶会から去ったときのように重い足取りで5号室から出ていく。
ティモフェイ
いまだ手には虹の儀礼剣を握りしめたまま。
シャルル
使い物にならなくなった銃から弾倉を引き抜き、放って。
シャルル
こんなに。こんなに。呼ばれる事が、苦しい。
シャルル
今度はベッドに背を持たせかけるように、床に座り込むと。