裁判
[ 小鴨 チカ ] 免罪符 : 1 → 0
メイド4
今回の部屋付きのメイドはおらず、6人のメイドが横並びで立つ。
メイド4
部屋付きのメイドは、今ここに相まみえる救世主達の部屋を掃除している。
メイド2
「24時間が経過し、お茶会の時間が終了しました」
メイド2
「これより裁判となりますが、ご準備はよろしいでしょうか」
鏖田 ネイル
「我々は万全だが、あちらはどうかな」
小鴨 チカ
メイドさんから、この世界についての知識と館のルールは教えてもらったけど、それだけだ。
小鴨 チカ
人を殺す覚悟も、勝つための作戦も、自分の力の使い方すらも。
マキナ
身体につけられた傷は治っているように見える。
鏖田 ネイル
黒衣を纏う女は、完全装備で佇んでいる。
小鴨 チカ
武器は小ぶりのハンマーにした。殺す覚悟のできてないやつが刃物なんか持っても、素手より弱そうだったから。
マキナ
短剣を握る華奢な指先に、施されたネイルはもうない。
網倉 霞
こちらの手には何も持たれていない。大きいマントのような上着から、手が見える。
メイド2
「ご衣裳、小道具をお持ちの方、ご確認いただきませ」
小鴨 チカ
「うっさいうっさい!わーってんだよ、こっちゃあ!」
小鴨 チカ
「ただのお気持ちの表明だよ!いいだろ、そんぐらい!」
鏖田 ネイル
「そうか、ならこちらもお気持ちとやらを表明しておこう」
鏖田 ネイル
つい、と手を持ち上げ、指差す。矛先は少年へ。
鏖田 ネイル
「お前には、最も陰惨な死に方をしてもらう」
メイド2
「元気がよろしく、結構でございますね~」
小鴨 チカ
「どっちかっていうとそっちの方が無礼働いてませんか!?」
鏖田 ネイル
「糸田さんに似た鼻で勝手に生存していた事以上に無礼な事などあるか?」
小鴨 チカ
「人と勘違いする方が無礼なんですぅ!」
小鴨 チカ
「愛が足りてないのではないでしょうか!?」
小鴨 チカ
戦う前ですが、喉乾きました。おなかもちょっと痛いです。
マキナ
それは、チカが死ねば自分もそうなるからという
鏖田 ネイル
指を、今度はマキナの下腹部を指差す。
網倉 霞
こうして平和な会話をすると敵意が削がれることを知っている、
マキナ
もはや隠しようもない程にかたかたと震えて、
マキナ
それを抑えるように、自分の身体を抱いている。
メイド2
夕立のような歓声が4人に降り注いでいる。
小鴨 チカ
きっとこれも作戦のうち。でも、そういう意味なら。
鏖田 ネイル
鏖田ネイルが扱うのは恐怖。
網倉霞が扱うのは籠絡だ。
小鴨 チカ
あっちの超怖い方のお姉さんは、まだマシだ。
鏖田 ネイル
それが、それぞれが目標とする対象に正しく機能しているのを確認する。
小鴨 チカ
凄惨に殺すなんて、言われたかないけど。
小鴨 チカ
言われたほうが、やる気は出るってもんだ。ちょっとだけね。
[ 小鴨 チカ ] 日刻みの時計 : 1 → 0
[ 網倉 霞 ] 日刻みの時計 : 1 → 0
[ 鏖田 ネイル ] 日刻みの時計 : 1 → 0
メイド2
あとは才覚と、着慣れた衣裳の1点分ですね。
小鴨 チカ
1d6+3+2+1
DiceBot : (1D6+3+2+1) > 6[6]+3+2+1 > 12
鏖田 ネイル
1d6+3+2+1
DiceBot : (1D6+3+2+1) > 1[1]+3+2+1 > 7
網倉 霞
1D6+3+2 +才覚 +時計
DiceBot : (1D6+3+2) > 2[2]+3+2 > 7
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
鏖田 ネイル
1d6+3+2+1
DiceBot : (1D6+3+2+1) > 2[2]+3+2+1 > 8
網倉 霞
1D6+3+2 +才覚 +時計
DiceBot : (1D6+3+2) > 6[6]+3+2 > 11
メイド2
: *裁判 1ラウンド目 手番:小鴨 チカ
網倉 霞
1d6
DiceBot : (1D6) > 5
網倉 霞
2d6+3+1+5=>7 判定:才覚 +多彩な凶器 +精確
DiceBot : (2D6+3+1+5>=7) > 3[2,1]+3+1+5 > 12 > 成功
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+2=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+援護
DiceBot : (2D6+3+1+1+2>=7) > 12[6,6]+3+1+1+2 > 19 > 成功
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+2=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+援護
DiceBot : (2D6+3+1+1+2>=7) > 10[6,4]+3+1+1+2 > 17 > 成功
[ 鏖田 ネイル ] HP : 14 → 6
小鴨 チカ
何もわからないけど、ハンマーを持って突進する。
鏖田 ネイル
紙一重、皮膚一枚の距離で回避を行う。
鏖田 ネイル
「やる気があるようだな?一番槍とは」
小鴨 チカ
「う、わーーー!!!えい、えいえい!」
マキナ
怖がりの彼が、真っ先に相手に向かっている。
鏖田 ネイル
躱す。躱す。瞳は冷酷に、小鴨 チカを見据えている。
小鴨 チカ
避けられている。ことごとくかわされている。
小鴨 チカ
反撃が来ないのは、避けられるって自信から?
鏖田 ネイル
回避は全て最小限の動きで熟されていた。
鏖田 ネイル
さて、疲れた頃に目でも突こうか……そう考えていた矢先。
網倉 霞
「!」ワイヤーを引いて転ばせようとするが、間に合わない。
小鴨 チカ
そこでようやく、ぼくは相手の姿すらまともに見てないことに気付いた。
鏖田 ネイル
腕で受けたが、随分と深いところまで刃が入り込んだ。
小鴨 チカ
人の身体に傷を作るのが怖くて、無意識に目をそらしてた。
小鴨 チカ
殺す覚悟も決まってないのに、人を殴れるはずがない。凶器を変えたって、そんなん変わらない。
小鴨 チカ
体めがけてまっすぐに攻撃を触れても、受け止められるか避けられるかに決まってる。
小鴨 チカ
マキナさんと、霞さんと、ネイルさんがいる。
小鴨 チカ
……最初は無限に広けた場所みたいに見えたけど、よく見れば意外と狭い。
小鴨 チカ
ぼくが素振りをしたところに、敵が飛び込んでくればいい!
小鴨 チカ
体動かすのはへたっぴだけど、ダンスは結構自信あるぞ!
小鴨 チカ
怯んだネイルさんの頭に、ハンマーが響いた。
鏖田 ネイル
躰が吹き飛ぶ。 自分から飛び跳ねたものではあるが、そうしないと流せない程の衝撃だった。
メイド2
*鏖田 ネイルに3ラウンドの衰弱が付与。
小鴨 チカ
非力なぼくでも、へろへろスイングにネイルさん動きが上乗せされれば、結構な破壊力だ。
鏖田 ネイル
身長差があろうと、膂力に差があろうと……
小鴨 チカ
女の顔だろうが何だろうが、やってやろうじゃねえか!!!!!
マキナ
どうあっても運命を共にするしかないペアとして。
小鴨 チカ
「こいやああああああああああああ!!!!」
網倉 霞
だから、この流れの元がどこであるか、わかる。
小鴨 チカ
2d6+3+1+1=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能
DiceBot : (2D6+3+1+1>=7) > 6[5,1]+3+1+1 > 11 > 成功
網倉 霞
1d6
DiceBot : (1D6) > 4
網倉 霞
2d6+3+1+4=>13 判定:才覚 +多彩な凶器 +精確
DiceBot : (2D6+3+1+4>=13) > 5[1,4]+3+1+4 > 13 > 成功
小鴨 チカ
そう思ったけど、目の前にはネイルさんがいる。
マキナ
万全の状態だったなら、あるいは逃れられたかもしれないそれを。
マキナ
心についた疵は、この戦いに何よりも強く影響を与える。
網倉 霞
ほそい腕だ。それだけでは、容易に振りほどけてしまうほどの。
鏖田 ネイル
出来なくしているのは自分だ。全てを分かって言っている。
マキナ
足が震える。崩れ落ちないのが不思議なほどに。
小鴨 チカ
喋る余裕もねーぞ。息上がってんだよこっちは。
メイド2
*裁判 1ラウンド目 手番:鏖田 ネイル
鏖田 ネイル
「傍観してくれるのなら、遠慮なくやらせてもらおう」
マキナ
快楽は、痛みの記憶と紐付けられてしまった。
小鴨 チカ
2d6+3+1+1=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能
DiceBot : (2D6+3+1+1>=7) > 5[1,4]+3+1+1 > 10 > 成功
鏖田 ネイル
2d6+3+1>=10 才覚+多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1>=10) > 3[1,2]+3+1 > 7 > 失敗
鏖田 ネイル
*器用 hQ,dQ,h3の3枚を廃棄し、+3
網倉 霞
そのステップのゆく方向が、ネイルにはわかる。
マキナ
膝が崩れ落ちそうになって、それでもなんとか踏みとどまる。
小鴨 チカ
迫ってくる軌道に合わせて攻撃を乗せる……そういう動きをしてる。
小鴨 チカ
だから、離れていくような動きには対応できない。
小鴨 チカ
自分の身を守ることを考えて、またマキナさんを手放した。
小鴨 チカ
敵の言葉にも、自分の甘えにも……自責の念にすらも。
小鴨 チカ
飛び出すのがもっと早かったら、多分もっとひどいことになってた。
鏖田 ネイル
1d6
DiceBot : (1D6) > 1
鏖田 ネイル
2d6+3+1+1>=7
DiceBot : (2D6+3+1+1>=7) > 7[3,4]+3+1+1 > 12 > 成功
マキナ
2d6+3>=7 愛
DiceBot : (2D6+3>=7) > 9[4,5]+3 > 12 > 成功
[ 小鴨 チカ ] HP : 12 → 15
マキナ
1d6+3+1 愛+呪物
DiceBot : (1D6+3+1) > 2[2]+3+1 > 6
[ マキナ ] HP : 20 → 21
[ マキナ ] 猛毒 : 4 → 1
[ マキナ ] HP : 21 → 18
鏖田 ネイル
心の疵は救世主の弱点だ。だが、塞がった疵は力となる。
鏖田 ネイル
それはハンターにとっては、明確に不利に働く。
鏖田 ネイル
連中は、心の疵を塞ぐ事ができる。そうして、強くなる事ができる。
それは成長とも言える。
小鴨 チカ
「へいへーい!ツンツンした目のねーちゃんよー!!」
鏖田 ネイル
我々は確かに強い。戦いの経験に根ざした有利がある。
小鴨 チカ
「ぼくはこっちだぞー!ビビってんのかー!!」
網倉 霞
だいじょうぶ、って。あの子の口癖なんだって。
鏖田 ネイル
それは、明確に、ハンター達の不利な点だった。
網倉 霞
そう言ってくれる子が、目の前の少年にいて。
鏖田 ネイル
1d6
DiceBot : (1D6) > 6
鏖田 ネイル
2d6+3+1+6>=7 才覚+多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1+6>=7) > 6[4,2]+3+1+6 > 16 > 成功
小鴨 チカ
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+2+3=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+援護+精確
DiceBot : (2D6+3+1+1+2+3>=7) > 8[4,4]+3+1+1+2+3 > 18 > 成功
小鴨 チカ
3+2+1+2+2=10 威力+心の疵+発狂+衰弱+援護
[ 鏖田 ネイル ] HP : 6 → 0
メイド2
*ネイル様の衰弱は3ラウンドに上書き。判決表を。
鏖田 ネイル
2d6+1 判決表 脅威度1
DiceBot : (2D6+1) > 3[1,2]+1 > 4
小鴨 チカ
いくら気持ちを切り替えたって、急に人の動きが読めるようになるわけない。
小鴨 チカ
それに合わせて動けたって、急に攻撃が効くようになるわけもない。
小鴨 チカ
この人たちとぼくたちの違いって……思ったよりも大きくない。
鏖田 ネイル
そも、救世主の力というのは……コインが10枚しか無い場合においては、ネイルにとって枷だ。
小鴨 チカ
たとえ相手が前の世界で戦いを経験してても、たとえ相手が元々ただの人間じゃなくても、たとえ相手が優秀な救世主だったとしても。
鏖田 ネイル
あの膂力だって、コインの力によって多少取戻されてはいるが……半吸血鬼としての膂力の方が強かった。
小鴨 チカ
ハンマーを持って、ネイルさんの懐に向かう。
鏖田 ネイル
コインを失ってから24時間。3桁を超えるコインを持つ状態から今の状態への急激な変化。慣らすには、本来もっと時間がかかる。
鏖田 ネイル
懐に潜り込んできたチカに、杭の軌道を併せる。
鏖田 ネイル
敵に併せる動きというのは演舞のようなものだ。過度な力みはいけない。過剰な脱力もいけない。
小鴨 チカ
やっぱりだ。ぼくの細腕でも、攻撃が防げる。
小鴨 チカ
ガードをした後にすることは何だ?決まってる!
小鴨 チカ
ガーキャン→↓↘P!!!!ハンマー持って、アッパーカットじゃい!
鏖田 ネイル
次が来る。受けられた以上動き出しはこちらが遅い。だが多少の不利は動きの最適化と速度で補い……
小鴨 チカ
人に当たったら死ぬような攻撃だよな!ちくしょう!!関係ねえ!!!!
鏖田 ネイル
一切の油断は無い。二人目の獲物を見つめる。
マキナ
視界は涙でぼやけている。動きにも精彩はない。
鏖田 ネイル
……声で指示を出す余裕なんてものはない。だから何も言わずに動いた。
鏖田 ネイル
鏖田ネイルが身を捩るだけで可燃性の血液が飛び散り、マキナの進路上に炎の迷路を作り出す。
網倉 霞
――衝撃音。振り返って、その音の先を見る。
網倉 霞
その血の動きに合わせるように。後ろから毒液を飛ばす。
マキナ
背後からの攻撃には対応できない。前方には燃え盛る炎。
マキナ
この国に来てからずっと、盾として扱われて。
網倉 霞
戦い慣れていないあの少年の動きが、明らかに成長していたこと。
マキナ
だけど、自分の意志で痛みに飛び込んだのは、これが初めてだった。
網倉 霞
少女があの状態で、自ら毒を浴びるようなことをしたこと。
鏖田 ネイル
燃え盛る炎は、痛みと共に身体を焼く。だがそれは実際のところ、通り過ぎるだけなら見た目ほどのダメージは与えない。
鏖田 ネイル
それでもこの手段をとったのは……鏖田ネイルにとって、それがフォロワー相手の常套手段だったからだ。
鏖田 ネイル
強い者に媚びへつらい、そのおこぼれに与ろうとするもの。
魂を売り飛ばし、自らの安全だけを図ろうとしたもの。
鏖田 ネイル
そうしたものは、炎の中には飛び込めない。
鏖田 ネイル
つまるところ。マキナという少女をそうした存在として見積もったことが、鏖田ネイルの誤算だった。
マキナ
恐怖に濡れた瞳で、それでもマキナの視線ははっきりとネイルを捉えていた。
網倉 霞
毒を飛ばす。飛ばす。しかし、それはチカには届かない。
鏖田 ネイル
鋭い瞳だ。あの地獄のような時間の中、絶えず貴女を貫き続けていた。
鏖田 ネイル
叫ぶ。それは威嚇であり、そのほうが痛みを耐えられるという狩人の知恵だ。
マキナ
本来の彼我の力の差を鑑みれば、届くはずのない刃が
鏖田 ネイル
頭は瞬時に対応を考える。想定の外の動き、想定の外の精神。
鏖田 ネイル
砕けた下顎から滴る炎が、牙の形を取る。
鏖田 ネイル
それが届く距離の密接距離、というのは……
小鴨 チカ
この後に起こることが分かってしまった。
小鴨 チカ
たぶん、ぼくたちは、あんまりかっこよくない。
小鴨 チカ
他の救世主たちは、きっともっと上手くやる。
小鴨 チカ
おしゃれだったり、無駄がなかったり、強そうだったり、怖かったり。
小鴨 チカ
ぼくたちに出来ない事が、きっとできるんだ。
小鴨 チカ
でも、ぼくたちは、ぼくたちは、ぼくたちは!
鏖田 ネイル
吸血鬼の牙を止める力は、涙ではない。
鏖田 ネイル
今まで多くのハンターが実践してきたのと、同じ力が必要だ。
鏖田 ネイル
それは炸裂し、返り血となって周囲を浸す、
鏖田 ネイル
だが、それは発火しない。 マキナの進路を塞いでいた炎の迷路も消え失せた。
鏖田 ネイル
鏖田ネイルの血は発火性だが……それが火を放つには条件がある。
マキナ
目の前の状況に対して、どこか理解が追いついていないような様子。
鏖田 ネイル
だが、その瞳はどこも見つめていない。
鏖田 ネイル
一瞬…………一瞬でも、意識を取り戻す事ができれば。
鏖田 ネイル
マキナとチカを汚した血液は、再び燃え上がる。
鏖田 ネイル
ふら…………と、その長身がバランスを崩して
網倉 霞
いつもなら振り返りもしない状況で、それを見て、立ち止まるしかなかった。
マキナ
ボロボロと涙を溢すチカを慰める余裕も、励ます力もない。
小鴨 チカ
倒れたネイルさんが、今も生きているか、死んじゃったのか、それを確かめるヒマはない。
小鴨 チカ
殺す気でやった。やれた。やれてしまった。
小鴨 チカ
いろいろと考えていたゴチャゴチャを、一旦あっちに追いやって。
小鴨 チカ
よくわかんねー頭で、目の前の相手と闘う事だけを考えて、闘った。
マキナ
チカの隣に立って、マキナもまた霞へと向き直る。
小鴨 チカ
肺からは変な音がして、吸うたび吐くたび苦しくなる。
小鴨 チカ
指一本動かすのもつらい。今すぐ倒れこんでしまいたい。
小鴨 チカ
なのに、なぜだか体は動く。今までにないくらい、万全に。
小鴨 チカ
1d6
DiceBot : (1D6) > 1
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+1=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+精確
DiceBot : (2D6+3+1+1+1>=7) > 7[1,6]+3+1+1+1 > 13 > 成功
網倉 霞
1d6
DiceBot : (1D6) > 4
網倉 霞
2d6+3+1+4=>7 判定:才覚 +多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1+4>=7) > 8[5,3]+3+1+4 > 16 > 成功
網倉 霞
2d6+3+1+4=>7 判定:才覚 +多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1+4>=7) > 7[4,3]+3+1+4 > 15 > 成功
[ マキナ ] 猛毒 霞 : 1 → 4
網倉 霞
じわりと毒が染み込んであなたの肌に至る。
網倉 霞
「互いのことを何も知らないおまえたちに、負けるわけには、いかない……!」
網倉 霞
突き飛ばされる。軽い。コイン10枚分の重さ。
[ マキナ ] HP : 18 → 15
網倉 霞
2d6+3+1=>7 判定:才覚 +多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1>=7) > 5[3,2]+3+1 > 9 > 成功
小鴨 チカ
1d6
DiceBot : (1D6) > 1
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+1+2=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+精確+援護
DiceBot : (2D6+3+1+1+1+2>=7) > 5[3,2]+3+1+1+1+2 > 13 > 成功
[ 網倉 霞 ] HP : 12 → 7
[ マキナ ] 猛毒 霞 : 4 → 3
小鴨 チカ
さっきまでお話してた人だ。抱き着かれたりした。
小鴨 チカ
顔がかわいかった。迫る姿にドキっとした。いい匂いだった。
小鴨 チカ
この人は、ぼくを殴ったりはしなかった。
小鴨 チカ
そんな人を二人がかりで、武器を持って囲んでいる。
マキナ
ともに戦ってきた狩人達の連携とは比べるべくもない。
小鴨 チカ
一回振るたび、体の使い方が馴染んでいく。
小鴨 チカ
もう人間じゃないと理解させられていく。
網倉 霞
やわらかく細い体が跳ねるようにして、その一撃を受ける。
網倉 霞
あの日、4人だった。あの日から、2人になった。
小鴨 チカ
ネイルさんに当たった時よりも、手応えが軽い。
網倉 霞
短剣に貫かれて、血に混じって鮮やかな色の液体が吐き出される。
小鴨 チカ
なんでこんなことをしてるんだろう。なんでこんなことをしなきゃいけなかったんだろう。
小鴨 チカ
何度も問いかけて、そしてとっくに答えは出てる。
網倉 霞
それでも、ここで折れるわけにはいかなかった。
小鴨 チカ
ぼくは、巻き込まれた側。運がないと思っていた。最低な儀式だと思った。今でも思ってる。
小鴨 チカ
でも、この儀式は、ぼくみたいな救世主にこそ、ボーナスステージみたいな場所だった。
マキナ
素人の振るう武器は、そう易易と急所を捉えない。
網倉 霞
招待状だって、じぶんたちに届いたものではなかった。人から奪い、手にした封筒。
小鴨 チカ
ぼくたちよりずっと、何度も戦い抜いて、何度も苦しみぬいて、積み上げて、やってきた人たちが。
網倉 霞
果たされなくても、報われなくても。選ばれなくても。
小鴨 チカ
こんな、ポッと出の観客にタコ殴りにされている。
小鴨 チカ
必死になるな。不敵に笑え。悪役っぽく。ぼくたちを苛めてくれ。
小鴨 チカ
きみのことを、弱いだなんて思いたくない!
小鴨 チカ
辛くて苦しんで、戦い抜いて、生き残ろうとしてる人だなんて、思いたくない。
小鴨 チカ
それを摘み取ろうとしてるだなんて、意識したくない。
小鴨 チカ
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+3=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+精確
DiceBot : (2D6+3+1+1+3>=7) > 2[1,1]+3+1+1+3 > 10 > 成功
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+3=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+精確
DiceBot : (2D6+3+1+1+3>=7) > 8[6,2]+3+1+1+3 > 16 > 成功
網倉 霞
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
網倉 霞
2d6+3+1+3=>7 判定:才覚 +多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1+3>=7) > 8[2,6]+3+1+3 > 15 > 成功
メイド3
*スペシャルですね。1d6点の回復をどうぞ。
網倉 霞
1d6
DiceBot : (1D6) > 6
[ 網倉 霞 ] HP : 7 → 13
網倉 霞
倒れ伏したその身体から、杭を一本抜き取る。
網倉 霞
使ったことはない。触らせてくれはしなかった。
糸田 柱
『私は対象に対して興味を持たないようにしている』
網倉 霞
見たことがあるだけ。見様見真似で、それを構える。
網倉 霞
こんなことしても、そう勝ち目が変わるわけではない。
糸田 柱
『私たち狩人は、どうにか救いを勝ち取るために戦っている。それはただ転がり込んでくるものではないと知っているからだ』
マキナ
同様に、マキナの悲鳴もまた霞には関係ないもので。
網倉 霞
倒れたその身体に、覆いかぶさるようにして。
網倉 霞
その流れを使って、マキナの短剣を引き抜く。
小鴨 チカ
後ろからハンマーを振り下ろそうとする。
糸田 柱
『ただただ戦え。戦いにおいて感情の機敏など不要だ。激情という熱量だけが狩人を活かす』
小鴨 チカ
どこか、心のどこかで、ちょっとホッとしてしまった。
糸田 柱
過去に投げかけられた言葉がついて離れない。
糸田 柱
振り払えるならば、それは疵として残ってはいない。ましてや抉れているならば。
小鴨 チカ
首を横に振る。両頬を叩く。汗と一緒に、その気持ちを振り払う。
鏖田 ネイル
鏖田ネイルは、かつて一度そう言ったことがある。
マキナ
3d6
DiceBot : (3D6) > 11[6,2,3] > 11
鏖田 ネイル
何気ない会話だった。シリアスなものではない。雑談の一部。
[ マキナ ] HP : 15 → 21
[ マキナ ] 猛毒 霞 : 3 → 0
鏖田 ネイル
それをなんでもないこととして言った事は。
鏖田 ネイル
あまりにも当然の事として、それを捉えていたからなのだろう。
小鴨 チカ
すごい力だけど、その治癒は心までは治さないことを、ぼくは知ってる。
小鴨 チカ
長引けば長引くほど、ここにいる全員が苦しむ。
マキナ
だけどその終幕を早くする術を誰も知らない。
網倉 霞
誰も持っていない。早く終わらせる手段を。
マキナ
突然のメイドの言葉に、唖然としてそちらを見る。
メイド3
「5ラウンド以内に裁判が終了しない場合、審判を発動します」
メイド3
*この裁定は実際の膠着よりもずっと条件が軽いですが、ロールを結構しっかりしている卓なのでそのように裁定しました。
小鴨 チカ
なのに、終わりって言われると急に怖くなってくる。
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+2=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+援護
DiceBot : (2D6+3+1+1+2>=7) > 6[1,5]+3+1+1+2 > 13 > 成功
[ 網倉 霞 ] HP : 13 → 6
マキナ
短剣を取り上げられたマキナの手に、もう武器はない。
網倉 霞
ハンマーは剣に当ることなく、腕へ。振り上げた腕の勢いとぶつかる。
網倉 霞
さきほどあなたに囁いたのと同じ声のトーン。
小鴨 チカ
今にして思えば、上に乗っかられたときも、本気で振り切ったら簡単にほどけたな。
小鴨 チカ
ぼくよりも軽くて、ぼくよりも力が弱かった。
網倉 霞
その腕を庇うこともなく。短剣をもう片方の手に持ち直し。
網倉 霞
それでもあなたたちを睨む目は、狩人のもの。
マキナ
かつて、少女がヨハンにいたぶられるのを笑いながら見ていた。
小鴨 チカ
儀式では、負けた相手を生かして置いておくことも、できなくはないらしい。
マキナ
ただただ喚きながら、地に伏す相手に暴力を加える。
小鴨 チカ
でも、それはあくまでも、終わったときに相手が生きていて、狂っていなかったらの話で。
小鴨 チカ
これが終わったら、狂ったやつは亡者になる。
網倉 霞
音が鳴る。細い身体はぐちゃぐちゃになっていく。
小鴨 チカ
話したり、したのに。かわいかったのに。触ってくれたのに!
網倉 霞
転がる。あなたから力が加われば、身体はそのとおりにうごく。
小鴨 チカ
そんなことを思いながら、同じ頭で次はどうやってダメージを与えるかを考えてる。
網倉 霞
2d6+3+1=>7 判定:才覚 +多彩な凶器
DiceBot : (2D6+3+1>=7) > 7[2,5]+3+1 > 11 > 成功
網倉 霞
あのときもこうして、ぐちゃぐちゃになって。
小鴨 チカ
彼女が言おうとしてることとぼくが言おうとしてることって、そんな変わらない。
小鴨 チカ
彼女のほうが、より剥きだしな言い方をしてるだけだ。
網倉 霞
あのとき、自分の身体に毒を被って、抗ったように。
マキナ
引いた所で既に遅い。毒がマキナの肌を侵す。
網倉 霞
あなたの視線の先の人影は、自らの毒でくずれはじめている。
小鴨 チカ
やめてくれ。そんなんじゃマキナさんは殺せない。
網倉 霞
溶けた皮膚のにおいと毒のにおいが混ざる。
小鴨 チカ
わかってるだろ。自分が苦しいだけだろ。
網倉 霞
あなたにとっては、きっとありふれたような傷。
メイド3
*裁判 最終ラウンド目 手番:小鴨 チカ
小鴨 チカ
2d6+3+1+1+2=>7 判定:才覚+多彩な凶器+万能+援護
DiceBot : (2D6+3+1+1+2>=7) > 5[4,1]+3+1+1+2 > 12 > 成功
[ 網倉 霞 ] HP : 6 → 0
網倉 霞
2D6+1
DiceBot : (2D6+1) > 7[6,1]+1 > 8
網倉 霞
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
網倉 霞
2d6=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6>=7) > 4[3,1] > 4 > 失敗
小鴨 チカ
世界が許したら、人はここまで残酷になれる。
小鴨 チカ
なんでこんなことを、この世界は許すんだ!
小鴨 チカ
霞さんが倒れるまでが、無限に長く感じる。
小鴨 チカ
満身創痍なのに、頑丈そうには見えないのに。
小鴨 チカ
ぼくにとって、そういう年齢のやつってさ。
小鴨 チカ
制服着て、学校行って、甘ったるいこと考えて、バカやってんだよ。
糸田 柱
『この金庫の物資は、私個人のものだ。好きに使ってほしい』
小鴨 チカ
殺したくねえ。殺したくねえ。あーーー!!殺したくねえ!
マキナ
強者の庇護を受けながら、安全圏から振るう暴力ではない。
糸田 柱
『君がいたお陰で、私はあの人を失った後でも、私は私を保っていることが出来た』
マキナ
残り一人が起きている限り、逆転される可能性はある。
糸田 柱
『私から君に願うことや、想うことは、口にせずともたくさんある』
糸田 柱
『しかしながら、それを述べるはいささか押しつけがましいようにも思う』
小鴨 チカ
でもさあ!でもなあ!日和るなよ小鴨チカ!
小鴨 チカ
お前も言っただろ。言ったさ。バカ。アホ。
糸田 柱
『君が自分を大切にできるようになることを、私は望んでいる』
糸田 柱
『君に好き勝手した私が言うことではないな。そうだな』
小鴨 チカ
「やりたくねえ、やりたくねえ、やりたくねえ……」
糸田 柱
『この封筒は、いざというときまで、決して開けるな』
網倉 霞
この、意識が遠のきながら身体に感じる痛みは、
網倉 霞
自分が選ばれたのは、あれだけだったような気がする。
糸田 柱
『あるいは君に、活路を与えてくれるかもしれない』
マキナ
今霞を痛めつける暴力は、あなたの愛する人からのものではない。
マキナ
ただただ、あなたから奪うために振るわれる。
[ 網倉 霞 ] 被虐願望 : 0 → -1
メイド3
「判決は――下らず! 前科を重ねて裁判続行でございます」
小鴨 チカ
同じ問いがこぼれる。だって、そうだろ。
小鴨 チカ
状況はさっきよりずっとひどい。まともに動くのか、その体?
小鴨 チカ
「触ったのは……霞さんの方だったじゃん」
小鴨 チカ
「霞さんから!ぼくに触れてくれたんじゃん!」
マキナ
霞に馬乗りになって、ぐずぐずと泣いている。
小鴨 チカ
「もう、ずっと自分が傷付くことしかしてないじゃん!」
網倉 霞
疵を抉って、そこに疵があることを確かめる。
小鴨 チカ
「逃げりゃーいいのに、幸せ追い求めりゃーいいのに」
小鴨 チカ
「生きるのも死ぬのもヘタクソすぎなんだよ!」
網倉 霞
微笑む。きずついて、毒まみれになった顔で。
小鴨 チカ
微笑むな。謝るな。きみのことがわからない。
小鴨 チカ
きれいだなって思った。こんなにボロボロの姿なのに。
網倉 霞
愛する人をうしなったことを受け入れたときの、やわらかなほほえみだ。
網倉 霞
視線はあなたたちを見ている。けれど、見ていない。
小鴨 チカ
できることなら武器を投げ出して、助け出してしまいたい。
糸田 柱
見えぬはずのものが見え、聞こえぬはずのものが聞こえたかもしれない。
糸田 柱
あるいはそれが痛みとなって、皮膚を裂いて、あなたに苦痛を与えることもあるかもしれない。
メイド3
「裁判は終了。これにて、閉廷でございます」
小鴨 チカ
「…………」その意味を理解するまでに、少しの時間がかかる。
小鴨 チカ
意味を理解してから、その言葉を何度も確かめる。
小鴨 チカ
これから起こることを考えると、とても笑顔にはなれなかった。
マキナ
なのに、その様子を見てかすかに身を竦めてしまう。
小鴨 チカ
そんな事実に最低の安堵が出そうになるのも一瞬のこと。
鏖田 ネイル
起き上がるその動きの中でも、みるみる縮んでいる。
鏖田 ネイル
年の頃は、15歳程度、12歳程度。10歳程度……
小鴨 チカ
亡者化。そうか亡者化だ。わかってたけど、少し遅れて気付く。
小鴨 チカ
もっと、醜くて恐ろしい化け物みたいなもんかと思ってた。
マキナ
亡者化した救世主を見たことはある、だけどこんな変化は初めて見た。
鏖田 ネイル
声が続く。暴虐を働いた狩人の面影は微塵もない。
鏖田 ネイル
宙に手が伸ばされる。何かを探し求めるように。
小鴨 チカ
「…………っ……」どうしていいかもわからず、助けを求めるように見た先は。
マキナ
マキナに対してあれ程の暴力を働いた相手が、もはや見る影もない。
小鴨 チカ
あろうことか、さっきまで殺す気で叩き続けていたもう一人の狩人の姿。
網倉 霞
その身体はしずかに溶け始めていて、もう半分くらいは毒液の色をしていた。
網倉 霞
ゆっくりと身を起こす。まだ動くほうの腕をつかって。
マキナ
戦いの終わった会場に母を求める幼子の声が響いている。
マキナ
どうして、非道で暴虐で恐ろしいハンターのまま死んでくれないんだ。
網倉 霞
まだ残っているひとつの目で、じっと見ていた。さきほどまで共に戦っていた相方を。
小鴨 チカ
二人の手はどっちも冷たくて、じっとりと濡れている。
小鴨 チカ
握ろうにも、まともに力も入りゃしない。
鏖田 ネイル
ずり落ちたベルトに装備されていた。杭だった。
鏖田 ネイル
それを抜き放ち、小鴨 チカ へと投げつける。
メイド1
そのまま、ゆっくりと亡者の方へ歩みを進める。
小鴨 チカ
少しして、杭が落ちる音が響いてから、背筋に寒気が走る。
鏖田 ネイル
その姿は幼い。どんどんと退行しても、もはや幼稚園児程度の背丈しかない。
鏖田 ネイル
「なにが、なにがお母さんだ、なにが寂しいだ」
鏖田 ネイル
「そんな事を言う権利が、この私にあるものか!」
鏖田 ネイル
どうしておかあさんはここにいないの?
鏖田 ネイル
「あれを見ろ、あの怯えた瞳を。そうだ、私が痛めつけた人間の瞳を!」
鏖田 ネイル
「吸血鬼を殺すために、私は何人殺した。命乞いをするフォロワーを、モンスターを、何人殺した!」
鏖田 ネイル
「同情を引いて、か弱い存在になるなんぞ」
鏖田 ネイル
「そんな最期を迎えて良い筈がない!」
マキナ
自分を脅かしたものを打倒した、はずなのに。
鏖田 ネイル
世界は暗くて、こわい。自分がどこにいるのかわからない。
鏖田 ネイル
その心は孤独に溢れ、その思考は悲しみにくれている。
マキナ
もはや幼子でしかないはずの女が、変わらず恐ろしい。
鏖田 ネイル
全てを嘆く心は確かにその胸のうちにあって。
鏖田 ネイル
世界は無価値だ。価値ある人間は存在しない。
鏖田 ネイル
「哀れであってなるものか。弱くあってなるものか。それが狩人だ」
鏖田 ネイル
「例え敗北し、地に伏して、全てを失おうが、命狩る者の宿命がそれだ!」
鏖田 ネイル
「ルールの中で私達は負けた。なら、今からルールは私達の敵だ」
小鴨 チカ
まだだ。手を引いて、マキナさんに前を向かせる。
小鴨 チカ
直視するのは怖いけど、目をそらすのはもっと怖い。
網倉 霞
正確には、下半身であった毒の水溜りが粘度を増して、高くなった。
小鴨 チカ
それの恐ろしさを知ってるから、ぼくは逆らわずにここにいる。
網倉 霞
ネイルよりすこし高いくらいに、頭と、半分溶けた上半身が持ち上がる。
小鴨 チカ
やめて、だとか、逃げて、だとか言おうとしたぼくの口は、マキナさんの言葉を聞いて止まる。
鏖田 ネイル
その状態で6ペンスコインを手放せば、どうなるか。
網倉 霞
べつに、ネイルに従おうと思っていたわけではない。
網倉 霞
すべてを曖昧に、適当に、避けながら生きてきた。だから、そんなものありはしない。
網倉 霞
ぐずぐずに溶けて、亡者になりかけた脳で、
網倉 霞
真っ直ぐで、表面が正しく銀でコーティングされていて。
鏖田 ネイル
一瞬だけ、それを受け取る手が硬直した。
網倉 霞
口からこぼれたことばは叫びにかき消される。
マキナ
次から次に溢れる涙が、どういう感情に由来するものなのかも
網倉 霞
そうして、まるでペンキをこぼしたように。
網倉 霞
後片付けがたいへんで、妙にいい匂いのする、小さな毒沼。
鏖田 ネイル
ああ、まったくこいつは、最期の最期まで半端なやつだ。
鏖田 ネイル
受け取ったコインをその手に握り、飲み込む。
鏖田 ネイル
「生憎、素直に死ぬような生き方はしていない」
鏖田 ネイル
「お前の尊厳を破壊した女は、非道で、暴虐で、恐ろしいハンターだからな」
鏖田 ネイル
無数の手が。幼児の身体を突き破り、生える。
鏖田 ネイル
身体の内側から、十字に貫くように、杭が生える。
マキナ
自分の手でトドメを刺せれば、まだよかったのかもしれない。
マキナ
そうすれば、この恐怖から逃れられたのかもしれない。
鏖田 ネイル
幼稚園児程の大きさだった狩人は、さらに幼く。赤子のようなサイズになって。
マキナ
そうでなくても、元よりマキナにその力はない。
鏖田 ネイル
「「「「「アアアアアァァァァァアアアアァァァアァァ」」」」」」
鏖田 ネイル
おかあさん、おかあさん、おかあさん。
小鴨 チカ
これが、こんな姿が、あんたの行きつく先かよ。
鏖田 ネイル
誰にも近づけず、誰にも拾われず、誰にも救われず
鏖田 ネイル
それでいて、誰かの同情を乞い願う事すらできなかった赤子が。
鏖田 ネイル
そして、そうなって、そうなってもなお。
鏖田 ネイル
”己を殺した敵”たる二人へと、襲いかかる!
小鴨 チカ
頭のいい人だった。優しい人だった。無表情の後ろで、いろんな感情を持ってる人だった。
鏖田 ネイル
「「「「「ギヤァアアアアアアアアアァァァァアアアアア」」」」」
鏖田 ネイル
泣き喚く。泣き叫ぶ。何十にも重なる赤子の声。
マキナ
そう叫んだ時には、既にメイドたちの剣が亡者を串刺していた。
小鴨 チカ
霞さんともまた違う。人違いとはいえ、本当にこっちのためを思って。
鏖田 ネイル
「「「「「アッアッアッアッアッアアアアア…………」」」」」
マキナ
マキナの呻きも、泣き声もその断末魔に埋もれる。
鏖田 ネイル
痛み、悲しみ、何十もの捨てられた魂の声。
マキナ
耳を塞ぐ代わりに、チカの手を今更に握り返した。
メイド6
取り上げて、中庭の片隅にある井戸に落とす。
小鴨 チカ
神聖な儀式なんだろうけど、価値観が違う。
鏖田 ネイル
大事に握っているその紐は、どこにも繋がっていないのだから。
マキナ
自分を脅かしたものが、確かに排除されたことを確かめる。
小鴨 チカ
ここには、狩人の彼らを知る人はいない。
メイド4
悲鳴は上がらない。客室4号室のメイドは、浴室で溺れて死んだ。
小鴨 チカ
大事な人が、二人の死を知ることもない。
メイド3
懐からコインを取り出し、2人の救世主に歩み寄る。
メイド3
「こちら、6ペンスコインでございます。お収めください」
小鴨 チカ
マキナさんを握る手は離せない。もう片方の手で受け取る。
マキナ
今度こそ決着がついたのに、涙ばかりが止まらない。
メイド3
「これにて、4号室、鏖田 ネイル様、網倉 霞様と」
小鴨 チカ
彼らの遺志だとか、託されたなんちゃらだとか、そんなキレイなもんじゃ断じてない。
メイド3
「8号室、小鴨 チカ様、マキナ様の裁判は決着いたしました」
メイド3
「勝者、8号室、小鴨 チカ様、マキナ様」
メイド3
「次なる戦いへ向けて、しばらくのご休息をおとりくださいませ」
メイド3
そうしてメイドは深々と頭を下げると、中庭の”掃除”にとりかかる。
小鴨 チカ
人目もはばからず、マキナさんに縋り付いて泣いた。