Dead or AliCe
『16人の救世主』

お茶会-2ラウンド目

GM
*第2サイクル 順番決め!!!!!
アリシア
1d100
DiceBot : (1D100) > 80
虚月
1d100
DiceBot : (1D100) > 33
ミラリア
1d100
DiceBot : (1D100) > 92
夜目菜
1d100
DiceBot : (1D100) > 84
GM
ミラリア→夜目菜→アリシア→虚月 かな!
GM
というわけで………………ミラリアさんの手番からですね。
GM
* * *

第1シーン:ミラリア

メイド
──場所は、2号室の、その扉の前。
メイド
コン、コン、ノックの音が響く。
メイド
「お食事をお持ちいたしました。」
虚月
――扉を開ける。 中はとても薄暗い。
虚月
「おや、まだ食事の用意は頼んでいなかったはずですが……?」
メイド
しとやかに進み出る。手には、豪勢な料理が乗せられている。
メイド
「そちらも合わせて、説明させていただきます。」
夜目菜
部屋の奥――更なる暗がりに、戒めを解かれた少女の姿がある。
夜目菜
気だるげに身体を起こし、ゆるりと視線を向ける――
夜目菜
抜けるような白い肌。血の色の頬。黒檀のように艶めく髪。
夜目菜
「おしょくじ、ですか……?」
虚月
「ああ、夜目菜は……そこに。」 制するように。
虚月
息も絶え絶えのそれを、一瞥して。
虚月
「……説明とは?」
メイド
奥の姿を見ても、瞳は揺るがず。ただ機械的に在る。普段通りの、メイドの所作。
メイド
「はい。この儀式の茶会に置いては、食事の時間が一時設けられております。儀式の一貫としての形で。」
虚月
「おや!おやおやおや!」
虚月
「つまりは茶会!これは、茶会の儀なのですね!」
虚月
嬉しそうに銀色の尾を揺して。
メイド
「ええ。この間は、招待状による呼び出しが無効になっておりますので……どうぞ、ご自由に歓談し、親睦をお深めくださいませ。」
虚月
「そうとあれば、致し方ありません。」
――扉が開かれる。
虚月
「ああ、夜目菜には少し無理を強いることになりましょうが……」
虚月
――扉の隙間の薄明かり。
  部屋の奥の暗闇で、少女の白い肌が横たわっている。
夜目菜
そこに、と言われればのろのろと身形だけを整えて。
夜目菜
「ええ、よめなはだいじょうぶです、かみさま」
虚月
「……そうですか、それならば。」
虚月
――メイドの手を引いて。
虚月
 ばたん。 扉を閉める。
虚月
中は暗がり。周りは闇一色に染まる。
メイド
「………」
メイド
機械的に、テーブルの上に食事を置く。
虚月
――暗がりにゆれる、白い尾。 
  それは部屋の中心に据えられたテーブルに添うようゆるりと弧を描く。
虚月
――そして小さく。明かりが灯る。
虚月
テーブルの先、真ん中には大きなベッド。
虚月
その周りに巡らされる、赤い紐。
虚月
儀式めいたその景色の中で。
虚月
あなたは、見るだろう。
虚月
巡らされた紐に、蠢く、なにか。
虚月
それは……人の気配。
虚月
こどもも、おとなも、差別なく。
老若男女――さまざま、いく人もの、人影。
メイド
「……」
虚月
蝋燭の明かりに照らされる 顔 顔 顔。
 ……あなたの知る顔はあるだろうか。
メイド
まさしく異様な光景を目にしても、
陶器のような相貌は、欠片も揺るがない。
虚月
「……さぁ、あなたも。」 手を伸べる。
メイド
たとえその中に、誰がいようとも。……揺るいでいない。
虚月
その手に握られているのは、赤い紐。
虚月
――人の気配。それは
  観客。民衆。民草、いもっころ。
  そう呼ばれる彼ら――力のない末裔たち。
虚月
それらは、すべて身ぐるみをはがされ等しく後ろ手に紐に縛られている。
虚月
儀式的な赤い紐。糸で結ばれた信仰。
虚月
彼らの視線はすべて。 あなたには向けられていない。
虚月
祈っている。
虚月
膝を折り。手を後ろ手に合わせ。その中で、懇願している。
虚月
「……どうしたのですか?」
虚月
「さぁ、服を脱いで。」
虚月
……はやく。と言わんがばかりに。差し出されている、赤い紐。
メイド
「……申し訳ございませんが──」
虚月
蝋燭に照らされた白い影が、あなたを見る。
虚月
「いいえ、あなたに拒否権はありません。」
メイド
「………」
虚月
それは、あなたが「末裔」であるからだ。
虚月
「救世主」であればこのような無礼はないだろう。
虚月
蛇の尾がゆるりと揺れる。
メイド
「……………」
メイド
メイドは、差し出された手と紐を前に、ピタリと静止したまま。
メイド
時間が過ぎる。時間が。
虚月
白く美しい異形は、静かに笑みをたたえている。
虚月
それが、当然である。 と、いうかのように。
メイド
「……一つ」口を開く。「お聞きしたいのですが」
虚月
「……なんでしょう。」 やわらかな声音。
メイド
「これは、あなた方の力を高めるための、行いですか?」
虚月
「――ふふ。」 
虚月
 おかしいと、言わんがばかりに 笑う。
虚月
「……これが、そのようなものに見えますか?」
虚月
――末裔たちは、ただ祈っている。
虚月
――救いを求めるように。
虚月
――苦しみから救われんと、もがくように。
虚月
「この場ではわたしは一介の救世主に過ぎません。」
虚月
「力なんて、このコイン10枚分ほどのもの。」
虚月
「……もちろん、そんなことができるのならば 面白くもありましょうが。」
虚月
「力を高める、だ 等と。」 その指先は貴女の頬へ。
虚月
「この儀式を取りまわすメイドとしては、
 些か "らしくない" 振舞いでございますね。 ――女王様?」
メイド
「……… なるほど。」
メイド
「いえ──もはや、問題はないのですよ。いいや……ない。」
メイド
手を避けることもせず。淡々と続ける。
メイド
「食事も喰らわない無粋者共…… ここに来たらば、万に一つの可能性が確認できれば──それでいい。」
メイド
「やることは、はっきりするからだ」
虚月
「…………ふふ。」
虚月
「ふふふ………」 それは、ただ面白そうに笑っている。
虚月
「貴女はどうやらご存知ではないらしい。」
虚月
「……なにが、一番美味であるか。」
虚月
「なにが、一番の馳走であるか。」
虚月
頬に向けられた指先は、ゆるりと。 下の方へ向かって。
虚月
留め金をつま弾く。
虚月
それは微笑んでいる。
虚月
「……私どものメイドはきちんとその役を果たしましたが。 はてさて。」
虚月
「貴女はいつまで メイド に成りきるおつもりですか。」
メイド
「……ああ──そんなことが」
メイド
「気になって──いたのか」
メイド
妙に間延びした声。
メイド
「なら……教えてやろう。お前が教えた、そのお返しに」
メイド
「お前の一番を、真に力を与えるものを──」
女王の『ミラリア』
「──踏み躙ってやる。」
アリシア
──そのタイミングで、虚月の姿が消える。
封筒の転移の力!
アリシア
>3 : 正餐室。大きなテーブルに椅子が並ぶ。メイドに頼めば料理を出してもらえる。
アリシア
部屋に残される救世主は、この瞬間
夜目菜ともうひとりになるだろう。
→ex1
女王の『ミラリア』
「さ て」
夜目菜
その姿が目前から掻き消える。――今日、二度目。
女王の『ミラリア』
「手順は 狂ったが──」
夜目菜
取り乱すことはない。……ないように見える。
女王の『ミラリア』
一度目と違うのは、あなたに明確な害意を持つものが、今まさに、足を踏み出していること。
女王の『ミラリア』
「これでようやく。やれる」
女王の『ミラリア』
祈る末裔には目もくれず──
夜目菜
「……来ないで、」
女王の『ミラリア』
"一番"の、その方へ。
女王の『ミラリア』
夜目菜ちゃんの疵『おおきなおなか』を、猟奇で抉ります。
虚月
*横槍をいれます
虚月
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
虚月
2d6=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6>=7) > 8[6,2] > 8 > 成功
虚月
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
虚月
蝋の火が揺れる ――ざわざわ
虚月
――ざわざわ……
   ざわざわ……
 祈りを捧げていた末裔たちの視線が
虚月
一点に集まる。
女王の『ミラリア』
「……有象無象の、醜徒共」
女王の『ミラリア』
「邪魔、だ」
女王の『ミラリア』
ティーセット使用!
女王の『ミラリア』
2d6+3-3+2>=7
DiceBot : (2D6+3-3+2>=7) > 4[2,2]+3-3+2 > 6 > 失敗
夜目菜
「来るな」
[ ミラリア ] ティーセット : 1 → 0
[ 虚月 ] HP : 16 → 15
夜目菜
ひゅ、と鋭い音を立て、糸切りばさみを振り下ろす。
夜目菜
「これは貴様のような醜い者が触っていいものではない」
夜目菜
「これは私のものだ」
夜目菜
「神様のものだ」
夜目菜
開かれたはさみが、その首を目掛け、違うことなく襲いかかる――!
女王の『ミラリア』
「……今、わたしのことを何と──」
夜目菜
「聞こえなかったか。”醜い”と言った」
女王の『ミラリア』
「ッ!」寸前。何とか剣で受け止める。
夜目菜
「神様はお前を決してお許しにはならない。お前は何処にも繋がらない」
夜目菜
「その糸があまりに縺れているからだ。あまりにほつれているからだ」
夜目菜
鋭く硬い鋼の擦り合う音。
夜目菜
「去れ」
女王の『ミラリア』
「戯言を、ほざくか、小娘、がッ……!」
女王の『ミラリア』
ギリ、剣を押す。
夜目菜
「戯言はどちらだ?」
夜目菜
「おまえは――真実みずから、己の事を本当に美しいと思っているのか」
女王の『ミラリア』
「わたしは──わたしは美しい!」
女王の『ミラリア』
「それが、真実だ!お前の、お前達の、定義することではない……!」
夜目菜
「……いいや、おまえは”いちばん”ではない」
夜目菜
「――神様にえらばれなかったのだから」
女王の『ミラリア』
「……………ッ、」
女王の『ミラリア』
手の、力が、
女王の『ミラリア』
僅かに、緩む。
夜目菜
その隙を見逃さない。
夜目菜
剣と競り合っていた鋏を一度引き、そのまま――
夜目菜
女王の顔面に突き立てる。
女王の『ミラリア』
「ぐ…………」
女王の『ミラリア』
剣を引き戻そうとする手は、間に合わず。
女王の『ミラリア』
「────あ、がッ!」
女王の『ミラリア』
鋏の先が、突き刺さった。
夜目菜
夜目菜の得物は糸切り鋏だ。本来突き立てるようには出来てはいない。
夜目菜
だが両の切先は鋭く、柔らかな肉を押し分けながらその頬を裂く。
夜目菜
斬りはらう、払おうとして――
夜目菜
はた、と。手が止まる。
夜目菜
『いいですか、夜目菜。美しいものに刃を振るうことはご法度です。』
虚月
『傷ついたものは返りません。美しい者は美しいままでなければ意味がない……』
夜目菜
「…………………ああ」
夜目菜
「ごめんなさい、……」
夜目菜
「意味が、なくなってしまいますね……」
夜目菜
鋏を抜く。
夜目菜
「お帰りください、……女王様」
夜目菜
「よめな……また、神様に……叱られてしまいます……」
女王の『ミラリア』
「うっ、うっ、ぐ、うっ、あっ、わ、わたしの顔」
女王の『ミラリア』
「わ、わたしの、顔が、貴様、きさ、うっ、あ……!」
女王の『ミラリア』
ぼたぼたと頬から血を垂れ流しながら、
女王の『ミラリア』
射殺さんばかりに睨みつけるが──
女王の『ミラリア』
言葉に歯向かう、様子もなく。
女王の『ミラリア』
「美しさに、傷を、ああ、うっ、こ……」
女王の『ミラリア』
「殺して……やる………………………」
女王の『ミラリア』
絞り出すように、言葉を残して。
ミラリア
扉の向こうへ、駆けていった。顔から流れる血の跡を、残して。
夜目菜
ふ、と息を吐く。
夜目菜
胎を撫でる。
夜目菜
薄絹の下の膨らみ。
夜目菜
「無事で、よかった……」
夜目菜
「ごめんなさい、おどろきましたね」
夜目菜
あやすように声を掛ける。
夜目菜
「もうだいじょうぶ」
夜目菜
「だいじょうぶよ……」
GM
その声だけが静かに、暗がりにひびく。

2-1:ex1

アリシア
「度々申し訳ございません~、お呼び立て申し上げて~」エヘヘ
虚月
指先は空を描く。
虚月
「おや、私も好かれたものですねぇ。」
虚月
「よもや、こうも早々のお迎えとは。」
虚月
少し残念そうに。
アリシア
「あなたも動じない方ですねえ」
虚月
「長年神をやっておりますと……こればかりはどうも。」 肩をすくめて。
虚月
「あまり動じると民にも不安が過ぎります故に。」
アリシア
「確かに、威厳というものに関わりますねえ!
 それを考えると、我が女王様はいささか不適格なのかもしれません……」
アリシア
「動じないついでに、ここでしばらくゆっくりしていただけると
 こちらとしては助かるのですが……!」
虚月
「……そうですねぇ。
 あの女王様はなんというか、お可愛らしいといいますか……」
虚月
「動じないようで、すこし甘いと言いますか……」
虚月
「……まぁ、せっかくのご縁です。」
虚月
「少しゆるりと致しましょうか。」
アリシア
「やった~」
虚月
ゆっくりと椅子に寛いでカップを手に取る。
虚月
「……あなたも如何です?」
アリシア
「お心遣いありがとうございます。けれどアリシアは鏡ですので」
虚月
「ああ、そうでしたね。貴女は鏡。 
 ……それではこれは私が頂きましょう。」
虚月
躊躇いなく、そして優雅な所作で。
アリシア
「申し訳ございません。飲食を共にする楽しみのない鏡で」
虚月
「……しかし、困りましたね。
   それではどうにもつまらない。」
アリシア
「まあ、食事にかこつけてあなたがたを
 襲っているわけなのですが今まさに……」
虚月
「……茶会というものは共に時間を過ごすのが流儀。」
虚月
「……おや!」
虚月
「もしかして我々ピンチなのですか?」
アリシア
「真実(マジ)ピンチかと!」
虚月
「……では、鏡。」
虚月
「貴女に問いましょう。」
虚月
「うちの夜目菜が、女王を撃退する目は如何ほどか。」
アリシア
「う~ん、四割ってとこですかねえ」
虚月
首を傾げ、思案する。
虚月
「……であれば充分でしょう。」
虚月
「その四分すらも掴めぬのであれば胎として不適格。」
虚月
「私は彼女の技量を信じておるのでね。」
アリシア
「信頼があるのですね~!」
虚月
「……ええ、もちろん。」
虚月
「でなければこんな危険な行事に参加する義理もありますまい。」
虚月
「貴女方と同じですよ。」 ふふと、笑って。
アリシア
「仰るとおりです! 鏡もむざむざ割られたいなどとは思っておりません故!」
虚月
「……利害の一致ですね、鏡よ。」
虚月
「ああ、鏡なれば映す答えも同じでしょうか。」
虚月
首を傾げ、手をひらりひらりと。
アリシア
「さて、鏡は心までは映せませんから」
虚月
鏡面に映る長く華奢な掌を面白がるようにして。
虚月
「――心。 
  心とは実に難しいものですね。」
虚月
「ころころ姿が変わり、掴みどころなく、それでいて我が身を翻弄してゆく。」
虚月
「……鏡よ。」
虚月
「お前の好きなものはなんだ?」
アリシア
「それはもちろん女王様でございますよ!」
虚月
「……ふうむ。」 少し困ったように眉根をさげて。
虚月
「女王、女王か……
 も少し面白い余興があればと思うたが。」
虚月
「あれをここで呼んではつまらない。」
アリシア
「鏡は主人に仕えるのが最上の喜びでございますから~!
 さしたる好みのないつまらぬ者でございます」
虚月
「はは、主は鏡であるものな。」 愉快そうに茶をまたひとくち。
虚月
「――それでは問い直そう。」
虚月
「主人に仕えるとすれば、どういう者がいい?」
虚月
「主が、女王が魅入る程の鏡であるならば。」
虚月
「――鏡よ。主は何を求める?」
アリシア
「選べるならば、この鏡の言うことに
 ちゃんと耳を傾けてくれる方でございますね!
 いくら真実を語り映しても、聞いても見てもくれないなんて
 悲しいですからね……!」
アリシア
「女王様は鏡の言葉をちゃんと聞いてくださいます!
 とってもすばらしいご主人さまでございます」
虚月
「はは、主は実に面白き鏡よな。」
虚月
「ああと、いえば、こうがくる。
 女王の戯れに付き合い、戯言を返す。」
虚月
「……ただの鏡とするにはもったいない。」
アリシア
「戯言とはおっしゃいますねえ!
 アリシアの言葉はすべて真実だと申し上げますのに……」
アリシア
「アリシアは鏡、ただの鏡にございます。
 美しさも愚かさも醜さも、すべて跳ね返すだけの鏡……」
虚月
「――真実こそ奇なり。
  人を通せば、世界はどうにも捻じれて映る。」
虚月
「私とて、元はただの民に奉られる神もどき。
 どうにも虚ろに映ろうものよ。
 こうして、まっすぐ相対す者は数少ない。」
アリシア
「そうでしょうか? とっても話しやすい方だとお見受けします。
 こんな鏡の言葉にも、ちゃんと耳をお貸しくださいますもの」
虚月
「人の世にて正しくあることは難しいものよ。
 ――それが、『救世主』と呼ばれるものであろうとな。」
虚月
「はは。そうであれば今日は良い茶会であったといえよう。」
アリシア
「そうですねえ、女王様を見ているとそう感じますねえ」
アリシア
「……さて、我が主人は『四割』を引いてしまったようなので
 名残惜しいですが失礼させていただきます」
アリシア
「毒りんごはお気に召していただけなかったようですねえ、
 悲しや悲しや……」
虚月
「……と、それではこの賭けはこちらの勝ちにて。」
虚月
「そろそろ茶会も開きとしましょう。」
アリシア
「なあに、本番はこれからこれから!
 しからばこれにて」
アリシア
鏡は消えた。
虚月
「しからば。  ……またの機会に。」
虚月
蛇もまた、空のティーセットを残して。

第2シーン:夜目菜

GM
*2サイクル目 シーンプレイヤー:夜目菜
夜目菜
はい!
夜目菜
えーとでは ひと悶着あってから。
夜目菜
血に濡れた糸切りばさみをしまって。
夜目菜
「……めいどさん」
夜目菜
声を掛ける。乱れた着衣を直す必要があるし、それに。
メイド2
あなたのこえに、柔らかく返事をして。側に寄る。
メイド2
手にはま白いふわふわのバスタオル。
夜目菜
傅かれ、世話されるまま。それを当然とする。
メイド2
丁寧に、きれいな装飾をあつかうように。端からたいせつに触れてゆき、あなたの身なりを整える。
夜目菜
「……よめな、わるいことをしてしまいました」
メイド2
あたたかくて濡れたタオルで身体を撫でながら、あなたのことばをきいている。
夜目菜
この娘は”宝物”として生きた時間が長い。長かった。
だから言葉を使うのは苦手だし、それは堕落の国に来てからより悪化している。
夜目菜
だれもかれもが彼女が望む望まざるとに関わらず、大切に扱ってくれたから。
夜目菜
「わるいことをしたら、謝らないとと思って……」
メイド2
髪に触れる。毛先から、丁寧に梳かして。
夜目菜
白い仮面の向こうにある瞳を見つめて。
夜目菜
真剣に。
夜目菜
「だから、めいどさん。お手伝いをしていただけますか?”お茶会”の」
メイド2
言葉は少ない。頷くだけで、しかし急かさずに。あなたの喋るひとつひとつをたいせつに聞いて。
メイド2
「ええ」
メイド2
「承ります」その声は優しく。
夜目菜
そうして連れ立って、正餐室へ。お茶会の準備をするために。
メイド2
メイドはあなたのすこしうしろを歩きます。
虚月
その道すがら。 ゆらりと白い尻尾が見えた。
虚月
「おや、夜目菜 随分身綺麗にしてお散歩ですか?」
夜目菜
ぴた、と足が止まる。すこし身が縮こまる。
夜目菜
「…………ええと、あの……」
虚月
首を傾げ 何も知らないような顔をする。
夜目菜
……それはかみさまのいじわるのかおだ。
夜目菜
「ごめんなさい、よめな……女王様を、傷つけてしまいました」
夜目菜
正直に口にする、かみさまはお見通しなのだから。
夜目菜
「それで、あの……ごめんなさいを、しないとと、……おもって」
夜目菜
たどたどしく言葉を重ねる。
虚月
神はただ、微笑むばかりだ。  
それが、一番有効であると知っているからこそ そういう素振りをする。
虚月
整えてもらったばかりの髪をすかすよう撫でる
虚月
「礼節は大切にしなくてはいけません。」
虚月
「……けれど、夜目菜。 身を大切になさい。」
虚月
「わたしから言える事はそれだけです。」
虚月
 そう、言葉は転がるけれど 心にあるのは確かな安堵。
虚月
 喪わなくてよかった。 そう胸の内がざわめくのも、呪いだ。
虚月
「今は私も貴女の真摯なる告白を、受け止めましょう。」
虚月
夜目菜に、メイドに笑いかけて。
夜目菜
胸の前できゅ、と手を握りしめる。
虚月
「……せめて、いい茶会としましょう。」
夜目菜
「はい」
メイド2
ほっとしたように微笑む。
メイド2
「では、準備をいたします」
メイド2
そうして、メイドはお茶会のセッティングを始める。
メイド2
さまざまな種類の紅茶、白茶がならびだす。
メイド2
たくさんの種類のお茶菓子が、いくつかの大きな皿に乗って出てきて。
夜目菜
龍の髭飴だの三不粘だの、ねじり菓子だの饅頭だの。
虚月
ぽつりと残されていた簡素なティーセットも片されて。
先ほどまでの気配はどこへやら。それは新たな色で染まっていく。
夜目菜
それはかみさまと共に暮らしたあの白糸山で親しんだ景色。
夜目菜
かみさまと―― かみさまと、だれと、だっけ。
メイド2
そうしてこのメイドは、それぞれのお茶を完璧な加減で淹れる。
夜目菜
「それで、あの、かみさま」
虚月
「嗚呼、見事なものですね。」 感嘆する
夜目菜
メイドの準備を横目に、ちょいちょいとその袖を引き。
夜目菜
内緒話を望むように見上げる。
虚月
……どうしましたかと、視線を降ろして。
虚月
視線を合わせる。それは子供に対するものと同じように。
夜目菜
ささやく――
「女王様、もしかしたら、怒っていらっしゃるかもしれないから」
夜目菜
「まず、その……鏡様のほうを、お呼びしようかとおもうのです」
夜目菜
彼女の方がこわくないから、と小さく付け足して。
虚月
「……鏡ですか。」 しばし、思案する。
虚月
「そうですね、お互いの為に。 しばしの休息は必要でしょう。」
虚月
「しかしあれらはふたつがひとつ……はてさて。」
虚月
――夜目菜と鏡。 図書室での情景が過ぎる。
虚月
 ぐずりと。肉が潰れるような感触。
虚月
「夜目菜や、密談もいいが……くれぐれも隙を見せるではないぞ。」
虚月
そう言って、招待状を一枚 手渡して。
夜目菜
ぱち、と大きく瞬いた。
夜目菜
それは、なんだかーー初めて見るかみさまのような、気がして。
夜目菜
しかし一つ頷くとひどく拙い字で、名を書き、メイドに手渡した。
夜目菜
『鏡のアリシア』様。
メイド2
すこし屈んで、それを両手で受け取る。
メイド2
「承りました」
メイド2
――そうして。
メイド2
メイドが去ったその場所に、記された名の、そのひとが現れる。
虚月
そうするうちに、"神様" はしゃんと姿勢を正して。 踵を返す。
アリシア
「…………」
虚月
「……用があればいつでも呼びなさい。」
虚月
――部屋からするりと、抜け出すようにして。
アリシア
「……おや?」
夜目菜
「こんにちは」
アリシア
像が一瞬ブレたあと、女王と同じ姿の救世主が現れる。
アリシア
「こんにちは。
 これはこれは、鏡めに何の御用でしょうか」
夜目菜
「突然お呼び立てしてごめんなさい、鏡様」
夜目菜
その顔を、頬を、確かめるように見るーー
アリシア
目に見える傷はない。きれいなものだ。
夜目菜
それに少し安心する。どうして安心したかは、わからない。
夜目菜
「お茶会にお招きしたかったのです」
夜目菜
「あなたのことと、女王様のことを、もっと知りたくて」
アリシア
「ほおほお、この、茶も満足に飲めぬ卑しい鏡めを?
 それはまた酔狂なお話でございます!」
アリシア
「しかし我が敬愛する女王様について知りたいというのなら、
 それは最も善い手段であると言えましょう」
夜目菜
茶が飲めない、という言葉には少し残念そうにしたけれど。
夜目菜
「御掛けになってくださいますか?」
夜目菜
椅子をすすめる。
アリシア
「はっ、その程度の真似事であれば!」
アリシア
罠を確かめる素振りもなく、すすめられた椅子に腰掛ける。
夜目菜
メイドによって茶が倶され、菓子は並んでいるけれど、招待客がそれに手をつけないのならただのままごと。
夜目菜
「その。鏡様、女王様にはもうお会いになりましたか?」
夜目菜
そのままごとを、進めることしかできない。
アリシア
「はい~。大変ご立腹でございましたねえ」
 茶器を観察しながら、のんびりとした口調で受け答えする。
夜目菜
「よめなが、疵をつけました」
夜目菜
「鏡様は怒っておいでですか?」
アリシア
「ええ、ええ、存じておりますとも」
アリシア
「怒る?」首をかしげる素振り。
アリシア
「はて、この鏡がどうして怒らなければならないのでしょう?」
夜目菜
「それは、だって、よめなだったら、かみさまに疵をつけられたら怒ります」
夜目菜
「鏡様はそうではありませんか?」
アリシア
「困るのは確かでございますねえ。
 裁判にあたって、女王様の疵が開いてしまっているのは
 たいへん不利でございますから……」
アリシア
「怒って、女王様の疵が塞がるのなら
 それに挑戦することもやぶさかではないのですが」
夜目菜
「こまる」
夜目菜
難しいことばだ。眉を寄せて、きれいな顔を見る。
アリシア
「そもそもアリシアは、卑しき鏡でございますので」
アリシア
「あなたがたのように、怒りを感じる、という
 上等なことはできないのでございます。残念ながら」
夜目菜
「でも、鏡様にも”心”がおありでしょう」
救世主は、”心の疵”なくして救世主にはなれないのだから。
夜目菜
「大事なものを傷つけられて、怒りを感じることができないのですか?」
アリシア
「ええ、真実(もちろん)です。
 鏡にも心はあり、疵がつきもします」
アリシア
「真似事ならできます。
 今、やってみせましょうか?」
アリシア
バン! とテーブルを叩いて立ち上がる。
夜目菜
びくりと肩を跳ねさせた。
アリシア
「舐められたものだなアアアア、小童がァ!」
アリシア
「この女王のッ! 美しい顔を抉っておいてッ!
 怒りはしないのですか、だとォォォ!?」
アリシア
「膨れた腹の醜女がァ……!
 貴様の処刑方法はもう決まっている! 聞かせてやろうかァ……?」
 つか、つかと歩み寄る。
アリシア
「このユニークな処刑方法は……
 飢えた鼠を使うんだ……興味があるだろォ……?」
アリシア
くい、と夜目菜の顎に手をくれる。
緑色の瞳が、その表情を映す。
夜目菜
「……っ、いやっ……いやっ!!」
夜目菜
映る表情は怯え。
咄嗟に、心の疵によって出現する糸切りばさみを握りしめ、構える。
夜目菜
*鏡のアリシア様の「成り代わり」を抉ります。猟奇で……!
ミラリア
*横槍します
ミラリア
choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ミラリア
2d6+3>=7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 10[4,6]+3 > 13 > 成功
GM
1d6で効果量を。
ミラリア
1d6
DiceBot : (1D6) > 2
ミラリア
ヤリイカを使用。
ミラリア
補正値+2で4です。
[ ミラリア ] HP : 18 → 17
[ ミラリア ] ヤリイカ : 1 → 0
GM
では-4の修正をつけて、どうぞ。
夜目菜
OK 素で振ります。
夜目菜
2d6+2-4=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6+2-4>=7) > 5[2,3]+2-4 > 3 > 失敗
GM
失敗ですね。
夜目菜
ーー耐え切れなかった。
夜目菜
謝りたかったのに、それが出来なかった。
夜目菜
眼前の相手に、先ほどと同じ恐怖を覚える。
こわい、こわい、こわい!
アリシア
「飢えた鼠はなぁ……当然、栄養のあるものを好む……」

 鏡の口元が嗜虐的に歪む。
アリシア
「筒状の器具を、罪人の腹部に乗せるんだ」
夜目菜
「や、めて……!」
アリシア
「そこに、何匹もの鼠を落とす……」
夜目菜
聞きたくない、けれど耳を覆うことも出来ない。
大きな胎を抱えていれば、この堕落の国で其の程度の脅迫、いくらでも聞いてきたというのに。
夜目菜
今ここには、かみさまがいない。
アリシア
ゆっくりとゆっくりと、噛んで含めるように、言って聞かせる……
アリシア
「やめて、か……」
アリシア
「どっちなんだ、夜目菜?
 お前は、私に、怒ってほしいのか?
 怒ってほしくないのか?」
アリシア
「この哀れな鏡の……
 持たざる様を、嗤いたかったのではないのか?」
夜目菜
「ちが、……ちがう、ちがいます、よめなはただ……」
アリシア
血の通わない指が、夜目菜の首にからみつく。
夜目菜
絡みついた指に爪を立てる。苦しい。
片手は鋏を握っているせいで、封筒に伸ばすことも出来ない。
夜目菜
「く、ぁ”……」
アリシア
「ああ……
 夜目菜、
 お前の肌は
 あたたかいな……」
アリシア
「鏡は女王のようにひねくれていない……
 だから真実(ほんとう)のことを教えてやろう……」
夜目菜
堕落の国で開かれるお茶会が、疵に触れるためのものであると、
知らぬわけではなかったのに。
アリシア
「羨ましいんだ……

 鏡はお前が
 羨ましい……」
アリシア
「泣いたり、笑ったり、怒ったり……
 そんな無価値なことを疑問も持たずに行える
 お前らが羨ましくてしょうがないんだ……」
夜目菜
気道が狭まる。意識に薄く靄がかかる。
夜目菜
血の色をした頬が上気し、眦に涙が浮かぶ。
夜目菜
首に絡みついた指に子供の爪が喰い込む。
アリシア
「…………」
アリシア
蛇のようにからみついていた、指の力をゆっくりと緩める。
アリシア
そして、やがて離すだろう。
夜目菜
「う”、げほっ、けほッ……!」
アリシア
「と、まあ」
アリシア
「これが、鏡なりの、
 『怒ったマネ』でございます~」
アリシア
パッと、笑顔に戻る。
夜目菜
「っ、……ッ……」
夜目菜
涙を浮かべた目でその笑顔を見て、けれどもう笑い返すことはできない。
アリシア
「いかがでしたでしょうか?
 真に迫ったものだったでしょう?」
夜目菜
何も知らない、自分がなぜ害されるかもわからない子供の顔をすることはできない。
夜目菜
なんとか酸素を取り戻そうと浅い息を繰り返しながら、うなだれた。
アリシア
「いや、危ない危ない。
 あやうく裁判も始まっていないのに、
 あなたの息の根を止めてしまうところでした」
アリシア
「女王様に命令されたわけでもないのに、
 勝手に処刑してしまうわけにはいきませんからね~」
アリシア
「夜目菜さまは、お茶会を続けるという感じではなくなってしまいましたか?
 それでは、鏡はお暇させていただこうかと……」
アリシア
一方的にしゃべっている。
夜目菜
明るい言葉が、笑顔が女王と同じ姿に顕れる。
この姿は”夜目菜”を害するのだと、腹の底が囁く。
アリシア
「お話、楽しかったです。
 しからば、これにて!」
アリシア
鏡は、悠然と立ち去っていった。

2-2:ex2

ミラリア
3号室内。
ミラリア
甲高い声が、遠くからでも僅かに聞こえるほどに、響き続けていたが。
ミラリア
"招待状"の発動とともに、一時、静まっていた。
虚月
それは、しばしの間をおいて訪れる。
虚月
――コンコン。  軽いノックの音。
ミラリア
「……………」
ミラリア
「誰だ いや」
ミラリア
「どちらだ」
虚月
「こちらに、ございます。」 ――男の声。
虚月
扉が開くことは無い。
ミラリア
「…………」
ミラリア
無言。……のように、扉越しには聞こえる。
虚月
返事があるかないか、関わらず その声は続ける。
虚月
「先ほどはうちの者が失礼を致しましたようで。」
虚月
静かな声音。それは、相対した時と何も変わりはない。
いつもおなじ。高音とも低音ともつかない丁重な口調。
虚月
「お加減はいかがでしょうか。」 扉に手をかけようとして。
虚月
「……ああ、扉はそのままのほうが、よろしいでしょうか。」
ミラリア
「……ク、クックク、ククフフフフ」
狂笑。喜悦以外の感情によって吹き出るもの。
ミラリア
「失礼。失礼だと。実に。実に軽い表現だ。奴がわたしにしたことを思えば……」
ミラリア
何かが破けるような音。
虚月
「そうですか。」 穏やかに。
 ……何故だか、その言葉には安堵があった。
虚月
「やはり扉は開けぬ方が……よいかもしれませんね。」
 少しおかしそうにわらう。
ミラリア
問いに対する返事のように。びりびりという小さな音が響いている。断続的に。
虚月
蛇は、尾を揺らす。 
 女王の中に渦巻く混沌も、扉を挟めば静かなものだ。
虚月
「……貴方は、自身を醜いとお思いですか?」 問いかけ。
ミラリア
「………貴様。貴様は。私を。虚仮に。しに。来たのか。」
ミラリア
断定的な言葉。音はかえって静まる。
ミラリア
「醜い。醜いだと?貴様。偽りを。この上で更に。このわたしに……」
ミラリア
「そんなわけがない……わたしは美しい。美しくあるべきだからだ」
虚月
「貴女がそう思うのであれば、それも結構です。」 否定はしない。
虚月
「……私どもはそれだけの非礼を致しました。それは認めるところです。」
虚月
「だから、私が問うのは、貴方のお心ただひとつ。」
虚月
「……それだけです。」
虚月
「" 貴女は美しくあるべきだ "」 彼女の言葉を繰り返す。
ミラリア
「こ、こ、ろ、だァ……?」
ミラリア
「そんなものは。ずっと。ずっと!前から、最初から。始まりから!決まりきっているッ!」
ミラリア
「それをはっきりしない言葉で、のらりくらり、貴様は、何を、しに、来たッ!」
ミラリア
「招待状を使って!わたし達の真似事か?時、間、稼ぎ、かァ~!?」
虚月
「……そう、最初から最後まで 決まっているのです。」
虚月
「……貴女は美しい。力をもち、それを実とする。
  揺るがぬ心、貴女の強さ。それを美しいと言わずとしてなんとするか。」
虚月
「……時間稼ぎ、ですか。」 それは少し寂しげに
虚月
「貴女にとっては……そうかもしれませんね。」
ミラリア
「う、つく、しい。だ。フ。フフ。今更。今更。お前がッ!」
ミラリア
声色に構うことなどない。いいやどのような声色でも反応は変わらない。
狂った怒りの叫びが、内から響く。
ミラリア
「偽りの美しさを振りかざしッ!恵まれた故に上に立ち!そして見下しッ!」
ミラリア
声がだんだんと近づいてくる。
虚月
――扉を開く。
虚月
「……そうですね。」 否定はしない。神というものはそういうものだ。
虚月
悲しみの色を浮かべたところで、それは等しく歪み その瞳に映る。
ミラリア
疵付いた女王が、そこに立っている。
ミラリア
元から歪んでいた表情は。あなたを目にした瞬間。更に歪む。あなたとは対照的の、怒りの歪みに。
虚月
――痛ましい、疵痕。 消えないであろう歪み。
ミラリア
「そうだ。だから。その。真実を。わたしが……わたしが。暴いてやる……」
虚月
それに、触れることはできないのだろう。 けして。
ミラリア
床を踏む脚に、力が込められる。
虚月
暴かれる真実など、何もない。 等しく同じ結末が在るだけだ。
虚月
――その様を、見届ける。
虚月
「……またも茶会はご破産のようですね。」
 それは真っすぐにあなたを見下ろしている。
 悲しげに、何者かを憂うように。
ミラリア
女王は囚われている。例えそこに何もないのだとしても。吹き出る感情のままに動く。
そして。そのまま。勝ってきた。勝ってきてしまった。
物語の結末とともに死ぬはずだったヴィランの歪みは、最早留まる所を知らず。
ミラリア
狂った憤怒の眼差しだけで。あなたを見上げて。
──瞬発の勢いのままに、廊下を過ぎ去っていった。
虚月
痛々しい傷痕。心の疵。
それがなければ、その力は、在り得はしない。
虚月
『救世主』というものはそういうものだ。
 同じようで、同じではない。どこか歯車がずれている。
虚月
……それが、噛み合うことはないのだろうか。

第3シーン:アリシア

GM
*2サイクル目 シーンプレイヤー:アリシア
アリシア
正餐室をあとにして、廊下を落ち着いた様子で歩む。
ミラリア
カツ。カツ。それと対象的なような、怒りが滲んだ足音が、甲高く響いてくる。
アリシア
「ああ、愛しの女王様!
 お迎えに来てくださったのでございますか?」
ミラリア
「……ア、リシ、ア……」
ミラリア
カツ。ダンッ!一際甲高い音が響くと、チャリと鉄靴を鳴らし……あなたの眼前に、瓜二つな影が着地した。
アリシア
 わあ~という表情。
ミラリア
「……迎えも。迎えだ。わたしの。わたしの……」
ミラリア
「わたしの。傷をッ!治すという!所!だったろうッ!」
アリシア
「申し訳ございません。
 封筒の呼び出しには、抗えぬ定めにございます……」
アリシア
憤怒を顕とする女王の、傷つき歪んだ相貌。
しかし、それを映すはずの鏡に傷はなく、涼しげである。
ミラリア
「フン……!呼び出され!小細工も施されていないなァ!?……」
じろりと睨むように見て。
「ならば不問だ!」
アリシア
「はっ! アリシア、女王様の寛大な心に真実(マジ)感謝です」
ミラリア
「しかし招待状まで使っておいて何も出来なかったのかあの小娘は!ハハハハ!無様だなァッ!」
アリシア
「さようでございますねぇ~」
 付和雷同。
ミラリア
自分もでは?という真実は、指摘してはならない。
アリシア
「さて、遅れてしまいましたが
 いつまでもそのご尊顔をそのままにしてはおけませんねえ」
ミラリア
「そうだッ……!!治せる。治せるだろう!今までなら簡単だったはずだッ!なあ!それが真実だ!」
アリシア
「ええ、ええ。いち早く済ませましょう」
 
アリシア
女王様を伴って、階段の踊り場まで向かいましょう。
アリシア
さすがに廊下は解放的にすぎますからね。
ミラリア
少しだけ収まった足音が続く。呼気はまだ荒い。
GM
踊り場。メイドによって磨かれている。装飾がほどこされた手すり。滑らかな床。
GM
静かな空間だ。あなたたちのほかには誰もいない。
アリシア
「では、この鏡の前へ……」
 正面へと立つ。
ミラリア
鉄靴が床を強く踏み締めゆく。その度に傷が残され、炭のようなものがわずかに散る。
ミラリア
そうして鏡の前へ。
アリシア
「ああ女王様、女王様。
 どうかこのアリシアをご覧になってくださいまし。
 ……おわかりでしょう、
 『あなたは傷ついてなどおりません』」
アリシア
 ささやくような声で、鏡は『真実』を口にする。
ミラリア
「……ああ。」
ミラリア
「『そうだ』……!」
アリシア
「『あなたは変わらず、
  美しいまま……』」
アリシア
心の疵のちから。
アリシアが《在るべきあなた》と名付けた、
《回復》の業。
アリシア
女王の覗き込む鏡に、
傷ひとつない顔が映っている。
アリシア
対象との合意が、より強い奇跡の力を引き出し、
鏡に映るそれを、《真実》にしていく。
ミラリア
「その通りだ。何も違わない。今までは偽りがあっただけ。
 『それが真実だ』……」
ミラリア
吐く。吸う。荒い呼気を鎮める。
見る。覗く。そこには傷など何処にもないのだ。
アリシア
*ミラリアの「一番美しいのは誰?」を舐めます。
夜目菜
*横槍を入れます。
夜目菜
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
夜目菜
2d6+1=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6+1>=7) > 9[6,3]+1 > 10 > 成功
夜目菜
*効果量を出します
夜目菜
1D6
DiceBot : (1D6) > 1
夜目菜
はは
アリシア
愛で判定します。
GM
どうぞ!
[ 夜目菜 ] HP : 18 → 17
アリシア
2d6+3-1>=7
DiceBot : (2D6+3-1>=7) > 5[2,3]+3-1 > 7 > 成功
GM
成功ですね。
[ ミラリア ] 一番美しいのは誰?(夜目菜) : -1 → 0
夜目菜
『よめなは、ただーー』

その声は、届かない。
アリシア
もはやそこに疵はない。
女王は何も変わっていない。
アリシア
「ああ……、本日も『変わらず』
 美しいかんばせにあらせられます」
ミラリア
「……ああ。当然のことだろう。
 『いつも』わたしは美しい……」
ミラリア
自身の頬を撫でる。滑らかな肌の質感が帰る。それが『当然』。
アリシア
「女王様の猟奇と、
 鏡の愛が揃うかぎり……
 あなたの美が損なわれることはございません」
アリシア
己の顔の無事を確かめる女王の身体を、
冷たい両腕でそっとかき抱く。
アリシア
「女王様に在り続けていただけること、
 とても鏡は喜ばしく思います……」
ミラリア
「ああ……。
 何時だって変わらなかった。
 何時だって磨き上げ続けてきた。
 他ではないわたし達が。」
ミラリア
「今更。それが。失われるはずがない。
 道理だ。道理。覆されるべきではないもの……」
GM
埃一つない踊り場。
ミラリア
「故に……」
GM
静かに灯りに照らされるこの場所は、まるで舞台のように。
ミラリア
「その真実を享受するがいい。今も。未来も」
アリシア
「…………。」
アリシア
鏡には人の心がわからない。
アリシア
けれども、この人を見ていると
どことなく、何かが暖かくなるような気がする。
それが、心なのだろうか?
アリシア
変化を拒み、成長の機会を失い、
美醜までをも卑しい鏡に握られて、
血の道を突き進むだけの、愚かな女王。
アリシア
その哀れさを、
最も近い場所で眺めることが、
自分にとっての……
GM
人気のない、階段の踊り場。ヘリンボーン柄の板張りの床に、スペードの意匠がある壁紙。
GM
真実が、そこにある。
GM

第4シーン:虚月

GM
*2サイクル目 シーンプレイヤー:虚月
メイド2
それから。あなたがたふたりが、3号室に帰ってしばらくして。
メイド2
――3号室の扉がノックされる。正しく、よく響く音で、3回。
ミラリア
「鏡よ鏡……」と、対戦相手が部屋に罠を仕掛けていないのを確認して、また時間が過ぎた頃……
ミラリア
「これはメイドの叩き方だな……何だ?」よく通る高い声で、扉の向こうに問いかける。
メイド2
「失礼いたします」扉の向こうから、挨拶。
メイド2
「2号室のお二方が、あなたがたをお茶会にお招きしたいと」
アリシア
「ほう、堂々としたものですねえ!」
ミラリア
「ふむ……。突っ撥ねてもいいが──」
ミラリア
「招待状で下手に呼び出されても敵わんからな」
アリシア
「こちらも堂々と応じますか!」
ミラリア
「ああ。格の違いと言うやつを。見せつけてやろう……」
ミラリア
扉が開く。
アリシア
「ははぁ~っ」
メイド2
お辞儀。
ミラリア
ふんぞり返る。
ミラリア
「案内するがいい」
メイド2
もう一度礼をして。
メイド2
あなたがたふたりを、正餐室まで案内する。
メイド2
メイド2
正餐室。大きなテーブルに椅子が並ぶ。
虚月
正餐室の扉には2号室と同じく、赤い紐。
虚月
それは、罠などではなく。 ……歓迎を示すもの。
アリシア
「異文化~」大丈夫っぽいことを伝えておきます。
ミラリア
「……」前回を思い出して、少し顔を顰めた。
アリシア
「今度は鏡もおりますから~!」
ミラリア
「わかっている。」
ミラリア
「無論な……」扉を開く。
虚月
――正餐室の中は、薄暗い。
虚月
「ようこそいらっしゃいました。」 男の声。
虚月
あかりが、ひとつ、ふたつ。
例によって、渡された赤い紐。 蝋燭の灯りが並ぶ。
虚月
その中はただ厳かに、貴女達を歓迎する宴の模様。
虚月
さまざまな種類の紅茶、白茶。
たくさんの種類のお茶菓子、いくつかの大きな皿。
虚月
龍の髭飴、三不粘、ねじり菓子に、お饅頭。
それは異国を思わせる食材の数々。
虚月
そこに脇に立つ者は、豪奢な衣裳を身にまとった白い男。
虚月
そして、まるい胎の幼子。
虚月
疵と同じ。今までのなにもかもがなかったかのように、その男は微笑む。
夜目菜
僅かに暗い顔。
夜目菜
だが、ちらと二人を目にして。その両方の顔に傷がないことに気付き――
夜目菜
安堵を浮かべた。
ミラリア
興味なさげに、暖色に照らされる色とりどりの料理を眺めてから……
ミラリア
黒と白と赤の方を、睨んだ。
ミラリア
「フン。来てやったぞ……」
虚月
白い男は、恭しく首を垂れる。 女王がそうであるべきように。
アリシア
「まるで夜祭のようですねぇ~」
虚月
「ええ、これは最後の宴。 
 ようやく叶えた悲願でもあります。」
ミラリア
瞳の奥に静かに燃える私怨は、相手の様子を見ても欠片も揺るがない。
虚月
その瞳を揺らぐ蝋の火が照らしている。
虚月
「ささ、まずはこちらにて。」 宴席に用意された二つの席。
虚月
惑いのない所作で客人を迎え入れる。
虚月
儀礼的な赤い紐。 ……衆目の目は無い。静かな空間。
ミラリア
「……何も仕込んではいまいな?」眼前の相手ではなく、隣に問いかけるように。
虚月
「ええ、これは歓迎の席。」 それは偽りなく。
虚月
尾を揺らめかせて、夜目菜を傍へ抱く。
アリシア
「少なくとも絡め手を使う方ではなさそうですよ、我々と違って」
夜目菜
されるままに侍る。
ミラリア
「……フン。ならいい。余計な一言以外は」
アリシア
「そんな~」そんな・・・
ミラリア
そのまま座る。
アリシア
一拍遅れて座ります。
夜目菜
着席を見守る……「寛大な御心に感謝いたします」
虚月
同じように 礼をして。
虚月
「ここまでの道すがら、さぞお疲れのことでしょう。
 お口に合うかはわかりませんが……
 毒などもありません、どうぞお召し上がりを。」
虚月
宴席でそうするように、メイドに示す。 お茶の用意を。
ミラリア
「ハ。しおらしくなった物だ…… ……」
夜目菜
「女王様は、お元気になられて、よかったです」
虚月
「……ほんとうに。
 あれからよりいっそう、お美しくなられた。」
虚月
 世辞ではなく、真の言葉として。
ミラリア
茶だけ啜る。その最中、眉がピクリと動く。
ミラリア
賛辞の言葉が正しく届くことはないからだ。
ミラリア
これから殺す相手に──
何を偽りを笠に着る者が──
そのように、思考は歪む。
虚月
歪んだ心には、歪んだ灯りがゆらりと。
虚月
視線は鏡の方へと映る。
アリシア
鏡はニコニコしている。
虚月
「これも貴女方のお力でしょうか。」
アリシア
「はい!
 けれど、アリシアはただの卑しき鏡」
アリシア
「女王様のお美しさは、
 女王様のお力によって支えられているので御座います」
ミラリア
その真実に、僅かに顔が澄んだ。
虚月
「つまり、美もまたその身から。 ……なれば、良きことです。」
虚月
 嘘偽りなく。心より。 その曇りなき鏡を通ずればこそ。
虚月
……とても、好ましく思う。
虚月
「貴女方は長く救世主をしておられる様子。
 私も話が聞きたく思うておりました。」
虚月
……あのようなことがなければ、もうすこし早くに。
アリシア
 ちら、と主人の様子を伺う。
虚月
蛇は続ける。
「貴女方もたくさん目にしたでしょう。救われない末裔達の数々を。」
ミラリア
虚月が話す度、少しずつ眉間に皺が寄っていっている。
虚月
「力ある 救世主 なればこそ。数え切れぬほどに。」その瞳が愁いを帯びる。
虚月
その度に揺らめくは炎。歪んだ光。
アリシア
鏡は表情を変えず、沈黙を守っている。
ミラリア
「……それで、何だ。だから?」肯定だけして。
ミラリア
「哀れな末裔共を救いたいとでも続くのか?」
夜目菜
ぴく、と指先がうごく。
虚月
「……いいえ。 これは茶会です。救世主たちの宴。」
虚月
「私の救い等、このもてなし程度のものばかり。」
夜目菜
自分の手を握りしめる。
虚月
手の付けられていない持て成しの数々が、暖色の灯りを返して揺らぐ。
虚月
「……鏡よ、この宴は退屈ですか。」
ミラリア
「ハ。耳が腐るような話が続かなくて安堵したわ……」
虚月
沈黙を続ける鏡に、そう問いかける。
アリシア
「おや、卑しき鏡を慮っていただけるのですか?」
虚月
「食い物ばかりの宴席です。貴女にとっては暇も多いでしょう。」
アリシア
「鏡はただ女王様の前で、出過ぎた真似をしないよう控えているだけのこと」
アリシア
「女王様とあなた方が交流を深めるのを、
 そばで眺めるだけでも楽しいものです。
 お気遣いなさらず」
虚月
「いいえ、貴女も我らと同じく、救世主 足る器。」
虚月
「同じく歓迎せねば、罰があたりましょう。」
アリシア
「あなたも女王様と同じく、頑迷なところがあるご様子。
 人の上に立つものの定めでございましょうか……」
メイド2
――扉に、3回のノック。
ミラリア
「……」反論しかけて、結局茶を口につけた。
メイド2
「失礼します」と、メイドの声。
メイド2
その手にはワゴンを持って。
虚月
「……人の上に立つのであれば。」
虚月
メイドを示す。 「救世主は皆、同じ。」
メイド2
静かにあなたがたのほうまですすみ、
メイド2
ワゴンの上に置かれていたものが、灯りに照らされる。
虚月
「力を持ち、掲げ、希望の光となる。」
メイド2
――大きな布がかけられたもの。
虚月
「……それは、我らが望まざるとも等しく。」
ミラリア
「……」視線誘導のままに。
虚月
メイドの方へゆるりと歩みを寄せる。
メイド2
一礼。
虚月
「……ご苦労。 少々時間がかかりましたね。」
虚月
礼を合図に、メイドを退出させる。
メイド2
ワゴンを置いて、メイドは去る。
虚月
暗がりの中。
黒い布地に、赤い紐。
虚月
それは容易く。するりと、解かれる。
虚月
――かけられた布地がはらりと落ちる。
ミラリア
興味なさげに耳から話を素通しさせていたが──布の中身には、注視を。
虚月
 灯りが照らすは、白い肌、黒く艶やかな髪。
虚月
 両手を赤い紐で縛られ、揺れるはふたつの長い耳。
虚月
――一糸まとわぬ姿のそれは、身をかがめて。 そこへ収まっている。
虚月
「……改めて。」
虚月
「正しく、宴としましょう。」
虚月
それは、うさぎの末裔だ。 とびきり美しい姫君。
贄。 言うなればそういうものだろう。
虚月
「――これは、救世の者の宴。」
虚月
女王に手が差し伸ばされる。
虚月
「運命は、貴女の思うがままに。」
アリシア
「まぁ~」
アリシア
「これが『メインディッシュ』でございますか」
ミラリア
茶会の場に運ばれてきた、縛られた末裔。宴。その意味を理解できぬほど、女王は愚鈍ではない。
ミラリア
だが、手を取ることもない。……視線は。末裔へと向けたまま。
虚月
「――恐ろしいですか。」 無為な問いかけ。
虚月
「いいえ、気にすることはございません。」
虚月
「これは、単なる捧げもの。 救世の後に遣わされた一等品。
 "村で一番美しい"と呼ばれ……憐れ、贄となった娘子です。」
アリシア
「ほぉ~」感嘆の表情。
ミラリア
 
虚月
それはか細く、息を吐いている。 ちいさく救いを求めている。
ミラリア
「……… 貴様……」
言葉の数々は。無論。字面以上の意味を持って女王に届く。
アリシア
「虚月さまに捧げられたものを、
 我々が頂いてしまって問題ないのでしょうか?」
虚月
「――食い物よりも美しいものを。 
  腹は満たしはしませんが、目には鮮やかでございましょう。」
虚月
「ええ、ええ。これは救世の者に与えられし、権利。」
虚月
「さすれば、同席する我らに捧げられるが当然の運び。」
アリシア
「役得でございますねえ~!」
 鏡の表情は変わらない。
虚月
年端もいかぬ少女は、歯をカタカタと鳴らし 声を震わせている。
ミラリア
「……くだらん……」吐き捨てるように。自分以外の美しきものへの厭わしさを、呪わしく込めて。
虚月
「ええ。くだらぬ戯れでございます。 ……故に、ご覧戴くだけでも。」
虚月
懐から取り出されるのは 小さな刃。糸切り鋏。
虚月
「……夜目菜や。」 その小さな手に渡して。
夜目菜
どうしてそんなに震えているのだろう、と腹の底から声がする。
当然、彼女にだけ聞こえる声。

それはもちろん恐ろしいから、と頭の後ろからか細い声がする。
当然、彼女にだけ聞こえる声。
夜目菜
「はい」
夜目菜
小さな手が、受け取る。
虚月
「おやりなさい。
 ……貴女なら勝手もわかるでしょう。」
虚月
癒えたはずの傷痕。確かに刻みこむやわらかな感触。
夜目菜
黒い髪に手を伸ばし、やさしく撫でる。
夜目菜
自分と似た、艶やかな黒髪。
夜目菜
「だいじょうぶだよ」
夜目菜
抱き締める。抜けるように白い肌。
虚月
――少女が、夜目菜の方を見る。
夜目菜
「こわくないよ」
虚月
  ……やっと、ようやく。 希望の光。
虚月
  『救世主』 彼らは世界に希望をもたらした。
夜目菜
糸切り鋏を、その白く細い首筋に添えるーー
夜目菜
添えて、撫でる、何か探るように。
夜目菜
冷たい刃先が肌の上をなぞる。
虚月
赤い血が、白い肌を伝う。
夜目菜
時折肌に刃先がかかり、ぷつ、ぷつ。血の玉をつくる。
虚月
少女の赤い血が、炎と揺らめいて
虚月
 誰ぞを見る。
虚月
*妄執の女王を才覚で抉ります
アリシア
*横槍~
アリシア
choice[猟奇,愛,才覚]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,愛,才覚]) > 猟奇
アリシア
アイテムは……なし!!
アリシア
2d6+0>=7
DiceBot : (2D6+0>=7) > 7[2,5]+0 > 7 > 成功
アリシア
1d6
DiceBot : (1D6) > 6
メイド2
では-6の修正をつけて……判定をどうぞ!
虚月
*ティーセット使いますね。
[ 虚月 ] ティーセット : 1 → 0
[ アリシア ] HP : 19 → 18
虚月
2d6+2+2-6=>7 判定:才覚 
DiceBot : (2D6+2+2-6>=7) > 4[2,2]+2+2-6 > 2 > 失敗
メイド2
失敗ですね。
虚月
――刃は、その首を掠めた。
虚月
  まごうことなく、その命を絶つ。
夜目菜
血。
夜目菜
血のにおいがする。
アリシア
アリシア
「おやおや~ まあまあ」
虚月
 儀式はただつつがなく。 それ程までにあっけなく。
アリシア
黙って見守っていれば、拍子抜けするほど簡単に
命が摘み取られていってしまった。
アリシア
「このショーも、もてなしの一環なのでしょうか?」
ミラリア
血の匂いに顔をしかめるでもなく。ただただ変わらない表情で、事切れた末裔を眺めている。
虚月
「ああ…………」 鋏を取って。
虚月
「……もう少し、息の長いものかと思いましたが。」
虚月
意味を成さなくなった 真白な肌に 真っすぐ、突き立てる。
アリシア
「本当はもっと苦しみと痛みが長引く
 見世物の予定でしたか?」
虚月
「そちらの方が、お好みでしょう?」
アリシア
「いいえ。
 虚月さま。あなたは何か勘違いをなされているご様子」
虚月
「おやおや。」
虚月
「……それでは、如何様に。」
アリシア
「女王様が美以外に真に何を愛するのか、
 それはこの鏡も知らぬことですが……」
アリシア
「無用な残虐を愛するものではないということだけは、
 鏡は存じ上げておりますゆえ」
アリシア
「そうでしょう、女王様?」
虚月
それはとても喜ばしい顔でなるほど、と頷く。
「主がそう言うのならば、そうなのでしょう。」
ミラリア
「…………………。」もはや分割された肉塊となったものを前に、一度目を伏せ、
ミラリア
「そうだな……」視線を外した。
夜目菜
「………………」むよう。むよう、と。頭の中で何度も、言葉が廻る。
虚月
「それでは宴としては、まぁ悪くもない。」
虚月
 しかし、良いものとも言い難いのも承知の上で、微笑む。
虚月
「華やかな宴席にはなりましたでしょう。」
アリシア
「もし気分を害してしまいましたら、申し訳ございません~
 この卑しい鏡には、無用と映るものが少々多すぎまして」
ミラリア
女王にとって。
自分より美しきものが死ぬのならば、それでいい。
たとえ狩人に射殺されたのであろうと、毒リンゴをかじって死んだのだろうと……
どちらでも、いいのだ。
虚月
「いえいえ。我が心の元は さざ波のよう。」
虚月
「その調べもまた美しい。 誰も 無用であった、等とは言いますまい。」
夜目菜
血濡れの顔で、隣に立つーーかみさまを見上げる。
虚月
視線が、それぞれに 等しく向けられる。
虚月
「それもまた、宴なればこそ。」
虚月
 ――無用は多いほうがいい。
アリシア
「まあ、でも、真実(かくじつ)に良かったことといえることは
 ひとつありますね」
アリシア
「申し上げる機を逸しておりましたが、今の末裔──
 女王様より、お美しかったので!」
アリシア
「いやあ~
 死んでよかったですね!」
ミラリア
「──」
虚月
「それは何より。」
ミラリア
視線が、宙に線を引く勢いで末裔に戻る。
ミラリア
顔を見る。首を見る。もはや動かぬ。絶対の死。
そして、死ねば、美しさの序列からは外れる……。
ミラリア
「フ、ハハ」
ミラリア
だから──妄執にとりつかれた女王は、かえって、笑みを零す。
ミラリア
「そうだな」
虚月
「……貴女様はそうで在らねば。
 美しいものへの執着、それが無ければこそ。」
虚月
 蛇はそこに、美しさを見る。
虚月
 蛇の目が鏡であれば そこに在るのは真実の妄執
虚月
「本日は、良き茶会でした。」 嘘偽りなく。少女の躯を傍らに。
ミラリア
「………」しかし一転。声に振り向いた先の顔を見て、笑いは失せた。
虚月
良きものが見れたと。 ――それは笑っている。
ミラリア
一人消えても。一番でなければ。………
ミラリア
「ハ。同意してくれようか、蛇。随分と塩を贈ってもらったからな?」
虚月
「……ええ、他が為に。」
虚月
「それが、我が神たる宿命故に。」
虚月
 ――映す心は、空虚。
虚月
 美しい者は贄になり。ただ、着飾る為だけに宴を飾る。
虚月
 真に求める心は、どこか遠く。 疼く心を鏡は映さない。
ミラリア
「……」挑発の言葉にも、返ってくるのは共感できない言葉のみ。山彦でさえないそれに、女王はかえって表情を険しくした。
ミラリア
「嫌いだな」
ミラリア
「神などというものは」
ミラリア
立ち上がる。
虚月
「よきことです。」 
アリシア
「鏡は楽しかったですよ~」
 遅れて席を立ち、会釈。
虚月
違えることなく、その険を受け入れる。 
返す言葉は、女王には届くまい。
虚月
「貴女方は美しい。 けして、違えることのなきように。」
ミラリア
「フン!わたしはな、わたしは反吐が出る……」カツ、カツ。早足で歩き出した。
ミラリア
背後の光景を、言葉を置き去りにするように。
虚月
「……ええ、美しい宴にしましょう。」 着飾るのみの美しさを称えて。
アリシア
待って~(スタスタ)
アリシア
「しからばこれにてっ」
夜目菜
血塗れのまま、その姿を見送る。
夜目菜
救世主は、”心の疵”なくして救世主にはなれない。
夜目菜
見送る二人には、確かにそれがある。それが、垣間見えた。
虚月
「…………夜目菜や。」 
 それはやわらかに名残惜しむような手つきで頭を撫でる。
夜目菜
「はい」
虚月
「お前には苦労をかけますね。」
虚月
その表情は、暗く。 薄明かりと共に揺らぐ。
夜目菜
贄の娘はーー己の頭を撫でる、この”救世主”の。
夜目菜
「いいえ、いいえ……」
夜目菜
「よめなは、かみさまのものですもの」
夜目菜
その疵に触れることは叶わない。
虚月
「……強くありなさい。」
虚月
届く言葉は、大きく歪む。
信仰によって、その心によって。疵に触れることは叶わない。
虚月
 あなたも、救世主のひとりなのですから。
虚月
――蛇の尾がゆるりと揺れる。
GM
大きな机の上の、豪華な食事。
GM
その香りと、血の匂いが混ざって。
GM
この広い部屋の中、漂い続けていた。
GM