お茶会-2ラウンド目
アリシア
1d100
DiceBot : (1D100) > 80
虚月
1d100
DiceBot : (1D100) > 33
ミラリア
1d100
DiceBot : (1D100) > 92
夜目菜
1d100
DiceBot : (1D100) > 84
GM
というわけで………………ミラリアさんの手番からですね。
第1シーン:ミラリア
虚月
「おや、まだ食事の用意は頼んでいなかったはずですが……?」
メイド
しとやかに進み出る。手には、豪勢な料理が乗せられている。
メイド
「そちらも合わせて、説明させていただきます。」
夜目菜
部屋の奥――更なる暗がりに、戒めを解かれた少女の姿がある。
夜目菜
気だるげに身体を起こし、ゆるりと視線を向ける――
夜目菜
抜けるような白い肌。血の色の頬。黒檀のように艶めく髪。
虚月
「ああ、夜目菜は……そこに。」 制するように。
メイド
奥の姿を見ても、瞳は揺るがず。ただ機械的に在る。普段通りの、メイドの所作。
メイド
「はい。この儀式の茶会に置いては、食事の時間が一時設けられております。儀式の一貫としての形で。」
虚月
「つまりは茶会!これは、茶会の儀なのですね!」
メイド
「ええ。この間は、招待状による呼び出しが無効になっておりますので……どうぞ、ご自由に歓談し、親睦をお深めくださいませ。」
虚月
「そうとあれば、致し方ありません。」
――扉が開かれる。
虚月
「ああ、夜目菜には少し無理を強いることになりましょうが……」
虚月
――扉の隙間の薄明かり。
部屋の奥の暗闇で、少女の白い肌が横たわっている。
夜目菜
そこに、と言われればのろのろと身形だけを整えて。
夜目菜
「ええ、よめなはだいじょうぶです、かみさま」
虚月
――暗がりにゆれる、白い尾。
それは部屋の中心に据えられたテーブルに添うようゆるりと弧を描く。
虚月
こどもも、おとなも、差別なく。
老若男女――さまざま、いく人もの、人影。
虚月
蝋燭の明かりに照らされる 顔 顔 顔。
……あなたの知る顔はあるだろうか。
メイド
まさしく異様な光景を目にしても、
陶器のような相貌は、欠片も揺るがない。
メイド
たとえその中に、誰がいようとも。……揺るいでいない。
虚月
――人の気配。それは
観客。民衆。民草、いもっころ。
そう呼ばれる彼ら――力のない末裔たち。
虚月
それらは、すべて身ぐるみをはがされ等しく後ろ手に紐に縛られている。
虚月
彼らの視線はすべて。 あなたには向けられていない。
虚月
膝を折り。手を後ろ手に合わせ。その中で、懇願している。
虚月
……はやく。と言わんがばかりに。差し出されている、赤い紐。
虚月
「救世主」であればこのような無礼はないだろう。
メイド
メイドは、差し出された手と紐を前に、ピタリと静止したまま。
虚月
白く美しい異形は、静かに笑みをたたえている。
メイド
「……一つ」口を開く。「お聞きしたいのですが」
メイド
「これは、あなた方の力を高めるための、行いですか?」
虚月
「……これが、そのようなものに見えますか?」
虚月
「この場ではわたしは一介の救世主に過ぎません。」
虚月
「力なんて、このコイン10枚分ほどのもの。」
虚月
「……もちろん、そんなことができるのならば 面白くもありましょうが。」
虚月
「力を高める、だ 等と。」 その指先は貴女の頬へ。
虚月
「この儀式を取りまわすメイドとしては、
些か "らしくない" 振舞いでございますね。 ――女王様?」
メイド
「いえ──もはや、問題はないのですよ。いいや……ない。」
メイド
「食事も喰らわない無粋者共…… ここに来たらば、万に一つの可能性が確認できれば──それでいい。」
虚月
「ふふふ………」 それは、ただ面白そうに笑っている。
虚月
頬に向けられた指先は、ゆるりと。 下の方へ向かって。
虚月
「……私どものメイドはきちんとその役を果たしましたが。 はてさて。」
虚月
「貴女はいつまで メイド に成りきるおつもりですか。」
メイド
「なら……教えてやろう。お前が教えた、そのお返しに」
メイド
「お前の一番を、真に力を与えるものを──」
アリシア
──そのタイミングで、虚月の姿が消える。
封筒の転移の力!
アリシア
>3 : 正餐室。大きなテーブルに椅子が並ぶ。メイドに頼めば料理を出してもらえる。
アリシア
部屋に残される救世主は、この瞬間
夜目菜ともうひとりになるだろう。
→ex1
夜目菜
その姿が目前から掻き消える。――今日、二度目。
夜目菜
取り乱すことはない。……ないように見える。
女王の『ミラリア』
一度目と違うのは、あなたに明確な害意を持つものが、今まさに、足を踏み出していること。
女王の『ミラリア』
夜目菜ちゃんの疵『おおきなおなか』を、猟奇で抉ります。
虚月
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
虚月
2d6=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6>=7) > 8[6,2] > 8 > 成功
虚月
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
虚月
――ざわざわ……
ざわざわ……
祈りを捧げていた末裔たちの視線が
女王の『ミラリア』
2d6+3-3+2>=7
DiceBot : (2D6+3-3+2>=7) > 4[2,2]+3-3+2 > 6 > 失敗
[ ミラリア ] ティーセット : 1 → 0
[ 虚月 ] HP : 16 → 15
夜目菜
ひゅ、と鋭い音を立て、糸切りばさみを振り下ろす。
夜目菜
「これは貴様のような醜い者が触っていいものではない」
夜目菜
開かれたはさみが、その首を目掛け、違うことなく襲いかかる――!
女王の『ミラリア』
「……今、わたしのことを何と──」
女王の『ミラリア』
「ッ!」寸前。何とか剣で受け止める。
夜目菜
「神様はお前を決してお許しにはならない。お前は何処にも繋がらない」
夜目菜
「その糸があまりに縺れているからだ。あまりにほつれているからだ」
女王の『ミラリア』
「戯言を、ほざくか、小娘、がッ……!」
夜目菜
「おまえは――真実みずから、己の事を本当に美しいと思っているのか」
女王の『ミラリア』
「わたしは──わたしは美しい!」
女王の『ミラリア』
「それが、真実だ!お前の、お前達の、定義することではない……!」
夜目菜
「……いいや、おまえは”いちばん”ではない」
夜目菜
剣と競り合っていた鋏を一度引き、そのまま――
女王の『ミラリア』
剣を引き戻そうとする手は、間に合わず。
夜目菜
夜目菜の得物は糸切り鋏だ。本来突き立てるようには出来てはいない。
夜目菜
だが両の切先は鋭く、柔らかな肉を押し分けながらその頬を裂く。
夜目菜
『いいですか、夜目菜。美しいものに刃を振るうことはご法度です。』
虚月
『傷ついたものは返りません。美しい者は美しいままでなければ意味がない……』
夜目菜
「よめな……また、神様に……叱られてしまいます……」
女王の『ミラリア』
「うっ、うっ、ぐ、うっ、あっ、わ、わたしの顔」
女王の『ミラリア』
「わ、わたしの、顔が、貴様、きさ、うっ、あ……!」
女王の『ミラリア』
ぼたぼたと頬から血を垂れ流しながら、
女王の『ミラリア』
射殺さんばかりに睨みつけるが──
女王の『ミラリア』
「美しさに、傷を、ああ、うっ、こ……」
女王の『ミラリア』
「殺して……やる………………………」
女王の『ミラリア』
絞り出すように、言葉を残して。
ミラリア
扉の向こうへ、駆けていった。顔から流れる血の跡を、残して。
2-1:ex1
アリシア
「度々申し訳ございません~、お呼び立て申し上げて~」エヘヘ
虚月
「長年神をやっておりますと……こればかりはどうも。」 肩をすくめて。
虚月
「あまり動じると民にも不安が過ぎります故に。」
アリシア
「確かに、威厳というものに関わりますねえ!
それを考えると、我が女王様はいささか不適格なのかもしれません……」
アリシア
「動じないついでに、ここでしばらくゆっくりしていただけると
こちらとしては助かるのですが……!」
虚月
「……そうですねぇ。
あの女王様はなんというか、お可愛らしいといいますか……」
虚月
「動じないようで、すこし甘いと言いますか……」
アリシア
「お心遣いありがとうございます。けれどアリシアは鏡ですので」
虚月
「ああ、そうでしたね。貴女は鏡。
……それではこれは私が頂きましょう。」
アリシア
「申し訳ございません。飲食を共にする楽しみのない鏡で」
虚月
「……しかし、困りましたね。
それではどうにもつまらない。」
アリシア
「まあ、食事にかこつけてあなたがたを
襲っているわけなのですが今まさに……」
虚月
「……茶会というものは共に時間を過ごすのが流儀。」
虚月
「うちの夜目菜が、女王を撃退する目は如何ほどか。」
虚月
「その四分すらも掴めぬのであれば胎として不適格。」
虚月
「でなければこんな危険な行事に参加する義理もありますまい。」
アリシア
「仰るとおりです! 鏡もむざむざ割られたいなどとは思っておりません故!」
虚月
「ああ、鏡なれば映す答えも同じでしょうか。」
虚月
鏡面に映る長く華奢な掌を面白がるようにして。
虚月
「ころころ姿が変わり、掴みどころなく、それでいて我が身を翻弄してゆく。」
アリシア
「それはもちろん女王様でございますよ!」
虚月
「……ふうむ。」 少し困ったように眉根をさげて。
虚月
「女王、女王か……
も少し面白い余興があればと思うたが。」
アリシア
「鏡は主人に仕えるのが最上の喜びでございますから~!
さしたる好みのないつまらぬ者でございます」
虚月
「はは、主は鏡であるものな。」 愉快そうに茶をまたひとくち。
虚月
「主人に仕えるとすれば、どういう者がいい?」
アリシア
「選べるならば、この鏡の言うことに
ちゃんと耳を傾けてくれる方でございますね!
いくら真実を語り映しても、聞いても見てもくれないなんて
悲しいですからね……!」
アリシア
「女王様は鏡の言葉をちゃんと聞いてくださいます!
とってもすばらしいご主人さまでございます」
虚月
「ああと、いえば、こうがくる。
女王の戯れに付き合い、戯言を返す。」
アリシア
「戯言とはおっしゃいますねえ!
アリシアの言葉はすべて真実だと申し上げますのに……」
アリシア
「アリシアは鏡、ただの鏡にございます。
美しさも愚かさも醜さも、すべて跳ね返すだけの鏡……」
虚月
「――真実こそ奇なり。
人を通せば、世界はどうにも捻じれて映る。」
虚月
「私とて、元はただの民に奉られる神もどき。
どうにも虚ろに映ろうものよ。
こうして、まっすぐ相対す者は数少ない。」
アリシア
「そうでしょうか? とっても話しやすい方だとお見受けします。
こんな鏡の言葉にも、ちゃんと耳をお貸しくださいますもの」
虚月
「人の世にて正しくあることは難しいものよ。
――それが、『救世主』と呼ばれるものであろうとな。」
虚月
「はは。そうであれば今日は良い茶会であったといえよう。」
アリシア
「そうですねえ、女王様を見ているとそう感じますねえ」
アリシア
「……さて、我が主人は『四割』を引いてしまったようなので
名残惜しいですが失礼させていただきます」
アリシア
「毒りんごはお気に召していただけなかったようですねえ、
悲しや悲しや……」
虚月
「……と、それではこの賭けはこちらの勝ちにて。」
アリシア
「なあに、本番はこれからこれから!
しからばこれにて」
第2シーン:夜目菜
夜目菜
声を掛ける。乱れた着衣を直す必要があるし、それに。
メイド2
あなたのこえに、柔らかく返事をして。側に寄る。
夜目菜
傅かれ、世話されるまま。それを当然とする。
メイド2
丁寧に、きれいな装飾をあつかうように。端からたいせつに触れてゆき、あなたの身なりを整える。
夜目菜
「……よめな、わるいことをしてしまいました」
メイド2
あたたかくて濡れたタオルで身体を撫でながら、あなたのことばをきいている。
夜目菜
この娘は”宝物”として生きた時間が長い。長かった。
だから言葉を使うのは苦手だし、それは堕落の国に来てからより悪化している。
夜目菜
だれもかれもが彼女が望む望まざるとに関わらず、大切に扱ってくれたから。
夜目菜
「わるいことをしたら、謝らないとと思って……」
夜目菜
「だから、めいどさん。お手伝いをしていただけますか?”お茶会”の」
メイド2
言葉は少ない。頷くだけで、しかし急かさずに。あなたの喋るひとつひとつをたいせつに聞いて。
夜目菜
そうして連れ立って、正餐室へ。お茶会の準備をするために。
メイド2
メイドはあなたのすこしうしろを歩きます。
虚月
「おや、夜目菜 随分身綺麗にしてお散歩ですか?」
夜目菜
「ごめんなさい、よめな……女王様を、傷つけてしまいました」
夜目菜
正直に口にする、かみさまはお見通しなのだから。
夜目菜
「それで、あの……ごめんなさいを、しないとと、……おもって」
虚月
神はただ、微笑むばかりだ。
それが、一番有効であると知っているからこそ そういう素振りをする。
虚月
「……けれど、夜目菜。 身を大切になさい。」
虚月
そう、言葉は転がるけれど 心にあるのは確かな安堵。
虚月
喪わなくてよかった。 そう胸の内がざわめくのも、呪いだ。
虚月
「今は私も貴女の真摯なる告白を、受け止めましょう。」
メイド2
そうして、メイドはお茶会のセッティングを始める。
メイド2
さまざまな種類の紅茶、白茶がならびだす。
メイド2
たくさんの種類のお茶菓子が、いくつかの大きな皿に乗って出てきて。
夜目菜
龍の髭飴だの三不粘だの、ねじり菓子だの饅頭だの。
虚月
ぽつりと残されていた簡素なティーセットも片されて。
先ほどまでの気配はどこへやら。それは新たな色で染まっていく。
夜目菜
それはかみさまと共に暮らしたあの白糸山で親しんだ景色。
夜目菜
かみさまと―― かみさまと、だれと、だっけ。
メイド2
そうしてこのメイドは、それぞれのお茶を完璧な加減で淹れる。
夜目菜
メイドの準備を横目に、ちょいちょいとその袖を引き。
虚月
視線を合わせる。それは子供に対するものと同じように。
夜目菜
ささやく――
「女王様、もしかしたら、怒っていらっしゃるかもしれないから」
夜目菜
「まず、その……鏡様のほうを、お呼びしようかとおもうのです」
夜目菜
彼女の方がこわくないから、と小さく付け足して。
虚月
「そうですね、お互いの為に。 しばしの休息は必要でしょう。」
虚月
「しかしあれらはふたつがひとつ……はてさて。」
虚月
「夜目菜や、密談もいいが……くれぐれも隙を見せるではないぞ。」
夜目菜
それは、なんだかーー初めて見るかみさまのような、気がして。
夜目菜
しかし一つ頷くとひどく拙い字で、名を書き、メイドに手渡した。
メイド2
メイドが去ったその場所に、記された名の、そのひとが現れる。
虚月
そうするうちに、"神様" はしゃんと姿勢を正して。 踵を返す。
アリシア
像が一瞬ブレたあと、女王と同じ姿の救世主が現れる。
アリシア
「こんにちは。
これはこれは、鏡めに何の御用でしょうか」
夜目菜
それに少し安心する。どうして安心したかは、わからない。
夜目菜
「あなたのことと、女王様のことを、もっと知りたくて」
アリシア
「ほおほお、この、茶も満足に飲めぬ卑しい鏡めを?
それはまた酔狂なお話でございます!」
アリシア
「しかし我が敬愛する女王様について知りたいというのなら、
それは最も善い手段であると言えましょう」
夜目菜
茶が飲めない、という言葉には少し残念そうにしたけれど。
アリシア
罠を確かめる素振りもなく、すすめられた椅子に腰掛ける。
夜目菜
メイドによって茶が倶され、菓子は並んでいるけれど、招待客がそれに手をつけないのならただのままごと。
夜目菜
「その。鏡様、女王様にはもうお会いになりましたか?」
アリシア
「はい~。大変ご立腹でございましたねえ」
茶器を観察しながら、のんびりとした口調で受け答えする。
アリシア
「はて、この鏡がどうして怒らなければならないのでしょう?」
夜目菜
「それは、だって、よめなだったら、かみさまに疵をつけられたら怒ります」
アリシア
「困るのは確かでございますねえ。
裁判にあたって、女王様の疵が開いてしまっているのは
たいへん不利でございますから……」
アリシア
「怒って、女王様の疵が塞がるのなら
それに挑戦することもやぶさかではないのですが」
夜目菜
難しいことばだ。眉を寄せて、きれいな顔を見る。
アリシア
「そもそもアリシアは、卑しき鏡でございますので」
アリシア
「あなたがたのように、怒りを感じる、という
上等なことはできないのでございます。残念ながら」
夜目菜
「でも、鏡様にも”心”がおありでしょう」
救世主は、”心の疵”なくして救世主にはなれないのだから。
夜目菜
「大事なものを傷つけられて、怒りを感じることができないのですか?」
アリシア
「ええ、真実(もちろん)です。
鏡にも心はあり、疵がつきもします」
アリシア
「真似事ならできます。
今、やってみせましょうか?」
アリシア
「舐められたものだなアアアア、小童がァ!」
アリシア
「この女王のッ! 美しい顔を抉っておいてッ!
怒りはしないのですか、だとォォォ!?」
アリシア
「膨れた腹の醜女がァ……!
貴様の処刑方法はもう決まっている! 聞かせてやろうかァ……?」
つか、つかと歩み寄る。
アリシア
「このユニークな処刑方法は……
飢えた鼠を使うんだ……興味があるだろォ……?」
アリシア
くい、と夜目菜の顎に手をくれる。
緑色の瞳が、その表情を映す。
夜目菜
映る表情は怯え。
咄嗟に、心の疵によって出現する糸切りばさみを握りしめ、構える。
夜目菜
*鏡のアリシア様の「成り代わり」を抉ります。猟奇で……!
ミラリア
choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ミラリア
2d6+3>=7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 10[4,6]+3 > 13 > 成功
ミラリア
1d6
DiceBot : (1D6) > 2
[ ミラリア ] HP : 18 → 17
[ ミラリア ] ヤリイカ : 1 → 0
夜目菜
2d6+2-4=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6+2-4>=7) > 5[2,3]+2-4 > 3 > 失敗
夜目菜
眼前の相手に、先ほどと同じ恐怖を覚える。
こわい、こわい、こわい!
アリシア
「飢えた鼠はなぁ……当然、栄養のあるものを好む……」
鏡の口元が嗜虐的に歪む。
アリシア
「筒状の器具を、罪人の腹部に乗せるんだ」
夜目菜
聞きたくない、けれど耳を覆うことも出来ない。
大きな胎を抱えていれば、この堕落の国で其の程度の脅迫、いくらでも聞いてきたというのに。
アリシア
ゆっくりとゆっくりと、噛んで含めるように、言って聞かせる……
アリシア
「どっちなんだ、夜目菜?
お前は、私に、怒ってほしいのか?
怒ってほしくないのか?」
アリシア
「この哀れな鏡の……
持たざる様を、嗤いたかったのではないのか?」
夜目菜
「ちが、……ちがう、ちがいます、よめなはただ……」
アリシア
血の通わない指が、夜目菜の首にからみつく。
夜目菜
絡みついた指に爪を立てる。苦しい。
片手は鋏を握っているせいで、封筒に伸ばすことも出来ない。
アリシア
「ああ……
夜目菜、
お前の肌は
あたたかいな……」
アリシア
「鏡は女王のようにひねくれていない……
だから真実(ほんとう)のことを教えてやろう……」
夜目菜
堕落の国で開かれるお茶会が、疵に触れるためのものであると、
知らぬわけではなかったのに。
アリシア
「羨ましいんだ……
鏡はお前が
羨ましい……」
アリシア
「泣いたり、笑ったり、怒ったり……
そんな無価値なことを疑問も持たずに行える
お前らが羨ましくてしょうがないんだ……」
アリシア
蛇のようにからみついていた、指の力をゆっくりと緩める。
アリシア
「これが、鏡なりの、
『怒ったマネ』でございます~」
夜目菜
涙を浮かべた目でその笑顔を見て、けれどもう笑い返すことはできない。
アリシア
「いかがでしたでしょうか?
真に迫ったものだったでしょう?」
夜目菜
何も知らない、自分がなぜ害されるかもわからない子供の顔をすることはできない。
夜目菜
なんとか酸素を取り戻そうと浅い息を繰り返しながら、うなだれた。
アリシア
「いや、危ない危ない。
あやうく裁判も始まっていないのに、
あなたの息の根を止めてしまうところでした」
アリシア
「女王様に命令されたわけでもないのに、
勝手に処刑してしまうわけにはいきませんからね~」
アリシア
「夜目菜さまは、お茶会を続けるという感じではなくなってしまいましたか?
それでは、鏡はお暇させていただこうかと……」
夜目菜
明るい言葉が、笑顔が女王と同じ姿に顕れる。
この姿は”夜目菜”を害するのだと、腹の底が囁く。
アリシア
「お話、楽しかったです。
しからば、これにて!」
2-2:ex2
ミラリア
甲高い声が、遠くからでも僅かに聞こえるほどに、響き続けていたが。
ミラリア
"招待状"の発動とともに、一時、静まっていた。
ミラリア
無言。……のように、扉越しには聞こえる。
虚月
返事があるかないか、関わらず その声は続ける。
虚月
「先ほどはうちの者が失礼を致しましたようで。」
虚月
静かな声音。それは、相対した時と何も変わりはない。
いつもおなじ。高音とも低音ともつかない丁重な口調。
虚月
「お加減はいかがでしょうか。」 扉に手をかけようとして。
虚月
「……ああ、扉はそのままのほうが、よろしいでしょうか。」
ミラリア
「……ク、クックク、ククフフフフ」
狂笑。喜悦以外の感情によって吹き出るもの。
ミラリア
「失礼。失礼だと。実に。実に軽い表現だ。奴がわたしにしたことを思えば……」
虚月
「そうですか。」 穏やかに。
……何故だか、その言葉には安堵があった。
虚月
「やはり扉は開けぬ方が……よいかもしれませんね。」
少しおかしそうにわらう。
ミラリア
問いに対する返事のように。びりびりという小さな音が響いている。断続的に。
虚月
蛇は、尾を揺らす。
女王の中に渦巻く混沌も、扉を挟めば静かなものだ。
虚月
「……貴方は、自身を醜いとお思いですか?」 問いかけ。
ミラリア
「………貴様。貴様は。私を。虚仮に。しに。来たのか。」
ミラリア
「醜い。醜いだと?貴様。偽りを。この上で更に。このわたしに……」
ミラリア
「そんなわけがない……わたしは美しい。美しくあるべきだからだ」
虚月
「貴女がそう思うのであれば、それも結構です。」 否定はしない。
虚月
「……私どもはそれだけの非礼を致しました。それは認めるところです。」
虚月
「だから、私が問うのは、貴方のお心ただひとつ。」
虚月
「" 貴女は美しくあるべきだ "」 彼女の言葉を繰り返す。
ミラリア
「そんなものは。ずっと。ずっと!前から、最初から。始まりから!決まりきっているッ!」
ミラリア
「それをはっきりしない言葉で、のらりくらり、貴様は、何を、しに、来たッ!」
ミラリア
「招待状を使って!わたし達の真似事か?時、間、稼ぎ、かァ~!?」
虚月
「……そう、最初から最後まで 決まっているのです。」
虚月
「……貴女は美しい。力をもち、それを実とする。
揺るがぬ心、貴女の強さ。それを美しいと言わずとしてなんとするか。」
虚月
「……時間稼ぎ、ですか。」 それは少し寂しげに
虚月
「貴女にとっては……そうかもしれませんね。」
ミラリア
「う、つく、しい。だ。フ。フフ。今更。今更。お前がッ!」
ミラリア
声色に構うことなどない。いいやどのような声色でも反応は変わらない。
狂った怒りの叫びが、内から響く。
ミラリア
「偽りの美しさを振りかざしッ!恵まれた故に上に立ち!そして見下しッ!」
虚月
「……そうですね。」 否定はしない。神というものはそういうものだ。
虚月
悲しみの色を浮かべたところで、それは等しく歪み その瞳に映る。
ミラリア
元から歪んでいた表情は。あなたを目にした瞬間。更に歪む。あなたとは対照的の、怒りの歪みに。
虚月
――痛ましい、疵痕。 消えないであろう歪み。
ミラリア
「そうだ。だから。その。真実を。わたしが……わたしが。暴いてやる……」
虚月
それに、触れることはできないのだろう。 けして。
虚月
暴かれる真実など、何もない。 等しく同じ結末が在るだけだ。
虚月
「……またも茶会はご破産のようですね。」
それは真っすぐにあなたを見下ろしている。
悲しげに、何者かを憂うように。
ミラリア
女王は囚われている。例えそこに何もないのだとしても。吹き出る感情のままに動く。
そして。そのまま。勝ってきた。勝ってきてしまった。
物語の結末とともに死ぬはずだったヴィランの歪みは、最早留まる所を知らず。
ミラリア
狂った憤怒の眼差しだけで。あなたを見上げて。
──瞬発の勢いのままに、廊下を過ぎ去っていった。
虚月
痛々しい傷痕。心の疵。
それがなければ、その力は、在り得はしない。
虚月
『救世主』というものはそういうものだ。
同じようで、同じではない。どこか歯車がずれている。
第3シーン:アリシア
アリシア
正餐室をあとにして、廊下を落ち着いた様子で歩む。
ミラリア
カツ。カツ。それと対象的なような、怒りが滲んだ足音が、甲高く響いてくる。
アリシア
「ああ、愛しの女王様!
お迎えに来てくださったのでございますか?」
ミラリア
カツ。ダンッ!一際甲高い音が響くと、チャリと鉄靴を鳴らし……あなたの眼前に、瓜二つな影が着地した。
ミラリア
「……迎えも。迎えだ。わたしの。わたしの……」
ミラリア
「わたしの。傷をッ!治すという!所!だったろうッ!」
アリシア
「申し訳ございません。
封筒の呼び出しには、抗えぬ定めにございます……」
アリシア
憤怒を顕とする女王の、傷つき歪んだ相貌。
しかし、それを映すはずの鏡に傷はなく、涼しげである。
ミラリア
「フン……!呼び出され!小細工も施されていないなァ!?……」
じろりと睨むように見て。
「ならば不問だ!」
アリシア
「はっ! アリシア、女王様の寛大な心に真実(マジ)感謝です」
ミラリア
「しかし招待状まで使っておいて何も出来なかったのかあの小娘は!ハハハハ!無様だなァッ!」
アリシア
「さようでございますねぇ~」
付和雷同。
ミラリア
自分もでは?という真実は、指摘してはならない。
アリシア
「さて、遅れてしまいましたが
いつまでもそのご尊顔をそのままにしてはおけませんねえ」
ミラリア
「そうだッ……!!治せる。治せるだろう!今までなら簡単だったはずだッ!なあ!それが真実だ!」
アリシア
女王様を伴って、階段の踊り場まで向かいましょう。
ミラリア
少しだけ収まった足音が続く。呼気はまだ荒い。
GM
踊り場。メイドによって磨かれている。装飾がほどこされた手すり。滑らかな床。
GM
静かな空間だ。あなたたちのほかには誰もいない。
アリシア
「では、この鏡の前へ……」
正面へと立つ。
ミラリア
鉄靴が床を強く踏み締めゆく。その度に傷が残され、炭のようなものがわずかに散る。
アリシア
「ああ女王様、女王様。
どうかこのアリシアをご覧になってくださいまし。
……おわかりでしょう、
『あなたは傷ついてなどおりません』」
アリシア
ささやくような声で、鏡は『真実』を口にする。
アリシア
「『あなたは変わらず、
美しいまま……』」
アリシア
心の疵のちから。
アリシアが《在るべきあなた》と名付けた、
《回復》の業。
アリシア
女王の覗き込む鏡に、
傷ひとつない顔が映っている。
アリシア
対象との合意が、より強い奇跡の力を引き出し、
鏡に映るそれを、《真実》にしていく。
ミラリア
「その通りだ。何も違わない。今までは偽りがあっただけ。
『それが真実だ』……」
ミラリア
吐く。吸う。荒い呼気を鎮める。
見る。覗く。そこには傷など何処にもないのだ。
アリシア
*ミラリアの「一番美しいのは誰?」を舐めます。
夜目菜
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
夜目菜
2d6+1=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6+1>=7) > 9[6,3]+1 > 10 > 成功
夜目菜
1D6
DiceBot : (1D6) > 1
[ 夜目菜 ] HP : 18 → 17
アリシア
2d6+3-1>=7
DiceBot : (2D6+3-1>=7) > 5[2,3]+3-1 > 7 > 成功
[ ミラリア ] 一番美しいのは誰?(夜目菜) : -1 → 0
夜目菜
『よめなは、ただーー』
その声は、届かない。
アリシア
もはやそこに疵はない。
女王は何も変わっていない。
アリシア
「ああ……、本日も『変わらず』
美しいかんばせにあらせられます」
ミラリア
「……ああ。当然のことだろう。
『いつも』わたしは美しい……」
ミラリア
自身の頬を撫でる。滑らかな肌の質感が帰る。それが『当然』。
アリシア
「女王様の猟奇と、
鏡の愛が揃うかぎり……
あなたの美が損なわれることはございません」
アリシア
己の顔の無事を確かめる女王の身体を、
冷たい両腕でそっとかき抱く。
アリシア
「女王様に在り続けていただけること、
とても鏡は喜ばしく思います……」
ミラリア
「ああ……。
何時だって変わらなかった。
何時だって磨き上げ続けてきた。
他ではないわたし達が。」
ミラリア
「今更。それが。失われるはずがない。
道理だ。道理。覆されるべきではないもの……」
GM
静かに灯りに照らされるこの場所は、まるで舞台のように。
ミラリア
「その真実を享受するがいい。今も。未来も」
アリシア
けれども、この人を見ていると
どことなく、何かが暖かくなるような気がする。
それが、心なのだろうか?
アリシア
変化を拒み、成長の機会を失い、
美醜までをも卑しい鏡に握られて、
血の道を突き進むだけの、愚かな女王。
アリシア
その哀れさを、
最も近い場所で眺めることが、
自分にとっての……
GM
人気のない、階段の踊り場。ヘリンボーン柄の板張りの床に、スペードの意匠がある壁紙。
第4シーン:虚月
メイド2
それから。あなたがたふたりが、3号室に帰ってしばらくして。
メイド2
――3号室の扉がノックされる。正しく、よく響く音で、3回。
ミラリア
「鏡よ鏡……」と、対戦相手が部屋に罠を仕掛けていないのを確認して、また時間が過ぎた頃……
ミラリア
「これはメイドの叩き方だな……何だ?」よく通る高い声で、扉の向こうに問いかける。
メイド2
「失礼いたします」扉の向こうから、挨拶。
メイド2
「2号室のお二方が、あなたがたをお茶会にお招きしたいと」
ミラリア
「招待状で下手に呼び出されても敵わんからな」
ミラリア
「ああ。格の違いと言うやつを。見せつけてやろう……」
メイド2
あなたがたふたりを、正餐室まで案内する。
虚月
それは、罠などではなく。 ……歓迎を示すもの。
アリシア
「異文化~」大丈夫っぽいことを伝えておきます。
ミラリア
「……」前回を思い出して、少し顔を顰めた。
虚月
あかりが、ひとつ、ふたつ。
例によって、渡された赤い紐。 蝋燭の灯りが並ぶ。
虚月
その中はただ厳かに、貴女達を歓迎する宴の模様。
虚月
さまざまな種類の紅茶、白茶。
たくさんの種類のお茶菓子、いくつかの大きな皿。
虚月
龍の髭飴、三不粘、ねじり菓子に、お饅頭。
それは異国を思わせる食材の数々。
虚月
そこに脇に立つ者は、豪奢な衣裳を身にまとった白い男。
虚月
疵と同じ。今までのなにもかもがなかったかのように、その男は微笑む。
夜目菜
だが、ちらと二人を目にして。その両方の顔に傷がないことに気付き――
ミラリア
興味なさげに、暖色に照らされる色とりどりの料理を眺めてから……
虚月
白い男は、恭しく首を垂れる。 女王がそうであるべきように。
虚月
「ええ、これは最後の宴。
ようやく叶えた悲願でもあります。」
ミラリア
瞳の奥に静かに燃える私怨は、相手の様子を見ても欠片も揺るがない。
虚月
「ささ、まずはこちらにて。」 宴席に用意された二つの席。
虚月
儀礼的な赤い紐。 ……衆目の目は無い。静かな空間。
ミラリア
「……何も仕込んではいまいな?」眼前の相手ではなく、隣に問いかけるように。
虚月
「ええ、これは歓迎の席。」 それは偽りなく。
アリシア
「少なくとも絡め手を使う方ではなさそうですよ、我々と違って」
ミラリア
「……フン。ならいい。余計な一言以外は」
夜目菜
着席を見守る……「寛大な御心に感謝いたします」
虚月
「ここまでの道すがら、さぞお疲れのことでしょう。
お口に合うかはわかりませんが……
毒などもありません、どうぞお召し上がりを。」
虚月
宴席でそうするように、メイドに示す。 お茶の用意を。
夜目菜
「女王様は、お元気になられて、よかったです」
虚月
「……ほんとうに。
あれからよりいっそう、お美しくなられた。」
ミラリア
茶だけ啜る。その最中、眉がピクリと動く。
ミラリア
賛辞の言葉が正しく届くことはないからだ。
ミラリア
これから殺す相手に──
何を偽りを笠に着る者が──
そのように、思考は歪む。
アリシア
「はい!
けれど、アリシアはただの卑しき鏡」
アリシア
「女王様のお美しさは、
女王様のお力によって支えられているので御座います」
虚月
「つまり、美もまたその身から。 ……なれば、良きことです。」
虚月
嘘偽りなく。心より。 その曇りなき鏡を通ずればこそ。
虚月
「貴女方は長く救世主をしておられる様子。
私も話が聞きたく思うておりました。」
虚月
……あのようなことがなければ、もうすこし早くに。
虚月
蛇は続ける。
「貴女方もたくさん目にしたでしょう。救われない末裔達の数々を。」
ミラリア
虚月が話す度、少しずつ眉間に皺が寄っていっている。
虚月
「力ある 救世主 なればこそ。数え切れぬほどに。」その瞳が愁いを帯びる。
ミラリア
「……それで、何だ。だから?」肯定だけして。
ミラリア
「哀れな末裔共を救いたいとでも続くのか?」
虚月
「……いいえ。 これは茶会です。救世主たちの宴。」
虚月
「私の救い等、このもてなし程度のものばかり。」
虚月
手の付けられていない持て成しの数々が、暖色の灯りを返して揺らぐ。
ミラリア
「ハ。耳が腐るような話が続かなくて安堵したわ……」
アリシア
「おや、卑しき鏡を慮っていただけるのですか?」
虚月
「食い物ばかりの宴席です。貴女にとっては暇も多いでしょう。」
アリシア
「鏡はただ女王様の前で、出過ぎた真似をしないよう控えているだけのこと」
アリシア
「女王様とあなた方が交流を深めるのを、
そばで眺めるだけでも楽しいものです。
お気遣いなさらず」
虚月
「いいえ、貴女も我らと同じく、救世主 足る器。」
アリシア
「あなたも女王様と同じく、頑迷なところがあるご様子。
人の上に立つものの定めでございましょうか……」
ミラリア
「……」反論しかけて、結局茶を口につけた。
メイド2
ワゴンの上に置かれていたものが、灯りに照らされる。
虚月
「……ご苦労。 少々時間がかかりましたね。」
ミラリア
興味なさげに耳から話を素通しさせていたが──布の中身には、注視を。
虚月
両手を赤い紐で縛られ、揺れるはふたつの長い耳。
虚月
――一糸まとわぬ姿のそれは、身をかがめて。 そこへ収まっている。
虚月
それは、うさぎの末裔だ。 とびきり美しい姫君。
贄。 言うなればそういうものだろう。
アリシア
「これが『メインディッシュ』でございますか」
ミラリア
茶会の場に運ばれてきた、縛られた末裔。宴。その意味を理解できぬほど、女王は愚鈍ではない。
ミラリア
だが、手を取ることもない。……視線は。末裔へと向けたまま。
虚月
「これは、単なる捧げもの。 救世の後に遣わされた一等品。
"村で一番美しい"と呼ばれ……憐れ、贄となった娘子です。」
虚月
それはか細く、息を吐いている。 ちいさく救いを求めている。
ミラリア
「……… 貴様……」
言葉の数々は。無論。字面以上の意味を持って女王に届く。
アリシア
「虚月さまに捧げられたものを、
我々が頂いてしまって問題ないのでしょうか?」
虚月
「――食い物よりも美しいものを。
腹は満たしはしませんが、目には鮮やかでございましょう。」
虚月
「ええ、ええ。これは救世の者に与えられし、権利。」
虚月
「さすれば、同席する我らに捧げられるが当然の運び。」
アリシア
「役得でございますねえ~!」
鏡の表情は変わらない。
虚月
年端もいかぬ少女は、歯をカタカタと鳴らし 声を震わせている。
ミラリア
「……くだらん……」吐き捨てるように。自分以外の美しきものへの厭わしさを、呪わしく込めて。
虚月
「ええ。くだらぬ戯れでございます。 ……故に、ご覧戴くだけでも。」
虚月
懐から取り出されるのは 小さな刃。糸切り鋏。
夜目菜
どうしてそんなに震えているのだろう、と腹の底から声がする。
当然、彼女にだけ聞こえる声。
それはもちろん恐ろしいから、と頭の後ろからか細い声がする。
当然、彼女にだけ聞こえる声。
虚月
「おやりなさい。
……貴女なら勝手もわかるでしょう。」
虚月
癒えたはずの傷痕。確かに刻みこむやわらかな感触。
夜目菜
時折肌に刃先がかかり、ぷつ、ぷつ。血の玉をつくる。
アリシア
choice[猟奇,愛,才覚]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,愛,才覚]) > 猟奇
アリシア
2d6+0>=7
DiceBot : (2D6+0>=7) > 7[2,5]+0 > 7 > 成功
アリシア
1d6
DiceBot : (1D6) > 6
メイド2
では-6の修正をつけて……判定をどうぞ!
[ 虚月 ] ティーセット : 1 → 0
[ アリシア ] HP : 19 → 18
虚月
2d6+2+2-6=>7 判定:才覚
DiceBot : (2D6+2+2-6>=7) > 4[2,2]+2+2-6 > 2 > 失敗
虚月
儀式はただつつがなく。 それ程までにあっけなく。
アリシア
黙って見守っていれば、拍子抜けするほど簡単に
命が摘み取られていってしまった。
アリシア
「このショーも、もてなしの一環なのでしょうか?」
ミラリア
血の匂いに顔をしかめるでもなく。ただただ変わらない表情で、事切れた末裔を眺めている。
虚月
「……もう少し、息の長いものかと思いましたが。」
虚月
意味を成さなくなった 真白な肌に 真っすぐ、突き立てる。
アリシア
「本当はもっと苦しみと痛みが長引く
見世物の予定でしたか?」
アリシア
「いいえ。
虚月さま。あなたは何か勘違いをなされているご様子」
アリシア
「女王様が美以外に真に何を愛するのか、
それはこの鏡も知らぬことですが……」
アリシア
「無用な残虐を愛するものではないということだけは、
鏡は存じ上げておりますゆえ」
虚月
それはとても喜ばしい顔でなるほど、と頷く。
「主がそう言うのならば、そうなのでしょう。」
ミラリア
「…………………。」もはや分割された肉塊となったものを前に、一度目を伏せ、
夜目菜
「………………」むよう。むよう、と。頭の中で何度も、言葉が廻る。
虚月
しかし、良いものとも言い難いのも承知の上で、微笑む。
アリシア
「もし気分を害してしまいましたら、申し訳ございません~
この卑しい鏡には、無用と映るものが少々多すぎまして」
ミラリア
女王にとって。
自分より美しきものが死ぬのならば、それでいい。
たとえ狩人に射殺されたのであろうと、毒リンゴをかじって死んだのだろうと……
どちらでも、いいのだ。
虚月
「その調べもまた美しい。 誰も 無用であった、等とは言いますまい。」
夜目菜
血濡れの顔で、隣に立つーーかみさまを見上げる。
アリシア
「まあ、でも、真実(かくじつ)に良かったことといえることは
ひとつありますね」
アリシア
「申し上げる機を逸しておりましたが、今の末裔──
女王様より、お美しかったので!」
ミラリア
顔を見る。首を見る。もはや動かぬ。絶対の死。
そして、死ねば、美しさの序列からは外れる……。
ミラリア
だから──妄執にとりつかれた女王は、かえって、笑みを零す。
虚月
「……貴女様はそうで在らねば。
美しいものへの執着、それが無ければこそ。」
虚月
蛇の目が鏡であれば そこに在るのは真実の妄執
虚月
「本日は、良き茶会でした。」 嘘偽りなく。少女の躯を傍らに。
ミラリア
「………」しかし一転。声に振り向いた先の顔を見て、笑いは失せた。
虚月
良きものが見れたと。 ――それは笑っている。
ミラリア
「ハ。同意してくれようか、蛇。随分と塩を贈ってもらったからな?」
虚月
美しい者は贄になり。ただ、着飾る為だけに宴を飾る。
虚月
真に求める心は、どこか遠く。 疼く心を鏡は映さない。
ミラリア
「……」挑発の言葉にも、返ってくるのは共感できない言葉のみ。山彦でさえないそれに、女王はかえって表情を険しくした。
アリシア
「鏡は楽しかったですよ~」
遅れて席を立ち、会釈。
虚月
違えることなく、その険を受け入れる。
返す言葉は、女王には届くまい。
虚月
「貴女方は美しい。 けして、違えることのなきように。」
ミラリア
「フン!わたしはな、わたしは反吐が出る……」カツ、カツ。早足で歩き出した。
ミラリア
背後の光景を、言葉を置き去りにするように。
虚月
「……ええ、美しい宴にしましょう。」 着飾るのみの美しさを称えて。
夜目菜
救世主は、”心の疵”なくして救世主にはなれない。
夜目菜
見送る二人には、確かにそれがある。それが、垣間見えた。
虚月
「…………夜目菜や。」
それはやわらかに名残惜しむような手つきで頭を撫でる。
夜目菜
贄の娘はーー己の頭を撫でる、この”救世主”の。
虚月
届く言葉は、大きく歪む。
信仰によって、その心によって。疵に触れることは叶わない。