Dead or AliCe
『16人の救世主』

お茶会-1ラウンド目

GM
というわけで、ここから自由行動です。ゲーム的には、お茶会です。
GM
まず順番を決めましょう。1D100をどうぞ。
ミラリア
1D100
DiceBot : (1D100) > 10
夜目菜
1d100
DiceBot : (1D100) > 79
アリシア
1d100
DiceBot : (1D100) > 26
虚月
1d100
DiceBot : (1D100) > 12
GM
夜目菜→アリシア→虚月→ミラリア の順で!
GM
* * *

第1シーン:夜目菜

夜目菜
一番手を頂きます。
夜目菜
――開始の合図とともに。
夜目菜
神の手を離れ、振りかえり、大きく踏み込み。
夜目菜
その手に大きな糸切りばさみ。
夜目菜
”女王”に向かって、不遜にも斬りかかる。
アリシア
「!」
夜目菜
はさみは大きく口を開き、迷わずにその首を狙う――
アリシア
瞬速の救世主の踏み込みを『知って』いたように、
斬撃へと割って入る。
虚月
「……おや。」 一方その主は予想外といった風。 
 手元から転がっていったそれにぱちくりと。
アリシア
硬質なもの同士がぶつかり、砕ける音。
ミラリア
「………」悠々と見遣り。その光景を見届ける。
アリシア
「驚きました。真実(ほんとう)にここで仕掛けてくるとは!」
ミラリア
「ふむ。ただの呑気な阿呆共であれば実に易かったのだがな……」
夜目菜
割れた鏡の破片を被ることのないように後ろへと跳び下がる。
虚月
「ああ、ああ、いけませんね、夜目菜。
 お茶会はまだ始まったばかりだというのに。」
夜目菜
「びっくりした?よかった!」
アリシア
「ええ! ええ! この鏡も、未来まではわかりませんからねえ!」
夜目菜
「でもだって、びっくりしたほうが”心の疵”がわかるでしょう?」
夜目菜
「だけどよめなもびっくりしました、割れてしまったのね、痛くはない?」
ミラリア
「しかし、コインが減った後の調子はどうだアリシア……問題無さそうだな。よし」問題ないことにした。
アリシア
「痛いですよお! アリシアは鏡でございます。盾ではございませんので!」
アリシア
ひび割れた顔は、さほどの痛痒もなさそうな笑顔へと戻っている。
虚月
「あのコインを見たでしょう?彼らも並の救世主ではないのです。
 そうそう取り乱すこともないでしょう。 ほら、あのように。」
夜目菜
「そう、痛いの、そう……」
虚月
「ああ……お怪我がないならばなによりです。」
アリシア
「苦しい真実を申し上げますと、最低でも21回殴られたらアリシアも壊れてしまいます! 弱体化してしまいました……」ヨヨヨ
夜目菜
「ほら!弱点を教えてくれましたよ、かみさま!」
ミラリア
「……………」
アリシア
「あっ!? アリシアお喋りすぎましたか? どうかお怒りをお鎮めになってください、女王様~!」
ミラリア
先に蹴ればよかったな、……21か、という二つの気持ちの狭間で、カツカツと床を叩く。
アリシア
何の計算でございますか!?
ミラリア
カツ……カツ……
夜目菜
「鏡のかたは、殴れば痛いのですね!女王のかたは、どうですか?」
夜目菜
ふたたびはさみをふりあげる。
虚月
「……事を荒立てるのはおやめなさい。」 嗜めて。
アリシア
「おや! 合意の上での奇襲ではなかったのですか。大丈夫でしょうか。家族や隣人と会話はできてございますか?」
虚月
「ええ、対話なら毎日のように。」
ミラリア
「フ。そちらの白髪男の言う通り……今はまだお茶会だろう?血気に逸っての行き違いとは、よくないな」
夜目菜
味方がいない。しょんぼり。
虚月
「けれど……これでは少し仕置きが必要かもしれませんね。」
虚月
「いいですか、夜目菜。美しいものに刃を振るうことはご法度です。」
虚月
「傷ついたものは返りません。美しい者は美しいままでなければ意味がない……」
アリシア
美しくて助かりましたね~、女王様!
ミラリア
少し満足げ。
アリシア
素直か?
ミラリア
カツ……カツ……
虚月
「ほら、よく見るのです。
 あの美しい立ち姿。完全無日の強かなる女王の振舞いを。」
虚月
「……あなたもああならねばいけません。」
虚月
「我が胎であるならば、お前も気品ある美しさを。」
夜目菜
*”女王のミラリア”の心の疵『一番美しいのは誰?』を抉ります。
夜目菜
*猟奇で。
アリシア
*横槍入れるアリ~!
メイド2
はい、choiceをどうぞ。
アリシア
choice[猟奇,愛,才覚]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,愛,才覚]) > 才覚
アリシア
*ティーセット使用~
アリシア
2d+2>=7 えい
DiceBot : (2D6+2>=7) > 11[6,5]+2 > 13 > 成功
[ アリシア ] ティーセット : 1 → 0
アリシア
1d6 効果量
DiceBot : (1D6) > 3
アリシア
使いません!
[ アリシア ] HP : 21 → 20
夜目菜
2d6+2-3=>7 判定:猟奇
DiceBot : (2D6+2-3>=7) > 10[6,4]+2-3 > 9 > 成功
メイド2
成功ですね。
[ ミラリア ] 一番美しいのは誰?(夜目菜) : 0 → -1
夜目菜
「……でも、血のにおいがする女王様なんて美しいでしょうか……?」
夜目菜
しぶしぶとはさみを下ろす。
アリシア
「…………」
ミラリア
「……… 何だと?」
夜目菜
「よめなは血のにおいがわかります」
夜目菜
「ねえかみさま?」血の匂いをさせながら。
夜目菜
「見目の麗しさだけがうつくしさではないと、そう教わりました」
アリシア
真実のみを告げる鏡は、沈黙している。
虚月
「……夜目菜、だからといって失礼な事をいう物ではないよ。
 世界にはそれぞれの価値観というものが存在するのですよ。」
虚月
「血で穢れていようと女王は女王。
 見なさい、あの民草の眼差しを。民の声を。」
夜目菜
「……!」
虚月
「皆、女王の振舞に感嘆し喝采をする。」
虚月
「それで満たされるのなら十分ではありませんか。」
夜目菜
「そう、そうですね、……ごめんなさい、ひどいことを言いました」
虚月
「よろしい。」
虚月
「うちの供物が粗相をして申し訳ありません。」 恭しく礼をして。
ミラリア
「……"だからといって"?」「十分?」「穢れている?」
虚月
「ええ、私は穢れた血の色も匂いも好ましく思います。」
虚月
「気高く美しい。まさにその言葉は貴女にふさわしい。」
アリシア
「よかったですねえ、女王様。
 褒めていただいてますよ!」
ミラリア
「貴様らは……」「何を言っているのか」「穢れ?」「いいやわたしは誤魔化されない」
ミラリア
「褒め言葉に聞こえたのか?」
ミラリア
「それが、真実か?」
虚月
「ああ、お顔に傷がなくて本当によかった。
 美しさに一片の曇りがあっては……」 そう、目も当てられないでしょう。
アリシア
「……ここでその問いに答えてしまって、よろしいのですか?」
ミラリア
「  ……」
ミラリア
「……ああ、そうだな。私は女王だ。不敬不遜には、相応の対価を支払わせるだろう」
ミラリア
「それは真実だ。いいか」
アリシア
「はい! 女王様は、そのためにここにいらしたのでございますから!」
虚月
困ったように首を振って、夜目菜を呼びたてる。
虚月
「また機会を伺いましょう、夜目菜。」
虚月
「……女王様と言うのは気難しいものです。」 そっと小声で。
アリシア
「屍山血河の上に、美しき孤高の塔を建てる──」
アリシア
「それこそが、女王様の真実の願いでございます!」
夜目菜
「はい……よめな、失敗してしまいました」しょんぼりとした様子で、従った。
メイド2
あなたがたが互いに背を向ければ、メイドはあなたがたをそれぞれの客室に案内する。
メイド3
機械的に、儀式のとおりに。
メイド3
お茶会は始まっている。
メイド3
* * *

第2シーン:アリシア

ミラリア
ティーセットをアリシアに渡します。
[ アリシア ] ティーセット : 0 → 1
アリシア
*ティーセットいただきました
[ ミラリア ] ティーセット : 2 → 1
メイド3
* * *
アリシア
シーン表ふりま~す
アリシア
1d12
DiceBot : (1D12) > 7
メイド3
7 : 廊下。人気の無い廊下、階段。ヘリンボーン柄の板張りの床に、スペードの意匠がある壁紙。
アリシア
では、さっきのホールから女王様と一緒に廊下に出て、部屋へと戻る途中になるかな
アリシア
女王様も登場してほしいな、と言う気持ちです
ミラリア
カツカツと甲高く音を鳴らしつつ、並んで歩き続けているでしょう。
アリシア
「ご機嫌、斜めですねえ~」 鏡でなくてもわかることだ。
ミラリア
「わたしの……」カツ、
ミラリア
「美しさに」カツ、
ミラリア
「疵を付けた」
アリシア
「そうみたいですねぇ…」どこか他人事だ。
アリシア
「アリシアは真実を識る鏡ですが、
 どうして女王様が疵を受けてしまったのか……
 それはわからないんですよねえ」
アリシア
「どうして人はわかりきった真実(ほんとう)を言われると、キズついてしまうのでしょう……?」
ミラリア
「……真実であるべきものが、真実ではないからだ」
ミラリア
「矛盾しているからだ。何処の国も。此処も」
アリシア
「女王様は、傲慢な方です。
 真実を真実でないとお言いになる!」
アリシア
「そして真実でないものを、力ずくで捻じ曲げて、
 真実にしようとなさる……!
 なんという、真実への冒涜行為でございましょう!」
ミラリア
「冒涜されるべきだ、理の螺子曲がった真実などは」
ミラリア
「努力し積み重ね追求し魔法にまで手を染めた私が、何故小娘に謗られる?」
ミラリア
「歪んでいるのだ。そして歪みは正さなくてはならない」
アリシア
「……ああ、女王様!
 あなたというお方は……」
アリシア
*ミラリアの 妄執の女王 を舐めます。
夜目菜
*横槍を入れます。
夜目菜
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
[ 夜目菜 ] HP : 19 → 18
夜目菜
2D6>=7 判定:才覚
DiceBot : (2D6>=7) > 10[4,6] > 10 > 成功
夜目菜
1D6 効果量
DiceBot : (1D6) > 4
アリシア
8以上ですか……。
アリシア
*ティーセット使いましょう。
[ アリシア ] ティーセット : 1 → 0
アリシア
2d+5-4>=7
DiceBot : (2D6+5-4>=7) > 6[2,4]+5-4 > 7 > 成功
アリシア
「あなたというお方は……傲慢で……愚かで……!」
アリシア
「…………そして、誰よりも、素晴らしい!」
ミラリア
「……… ……… ………」
アリシア
「真実という枠組みにとらわれた鏡には、決してたどり着けない結論!」
ミラリア
「フン…………」
ミラリア
「その三句が全て"美しい"であれば、わたしの心もうんと透くものを」
アリシア
「恐れながら、アリシアは、真実しか口にできない哀れな鏡にございます……」
アリシア
「けれどあなたは、真実(うんめい)を組み伏せ、
 その頂に立つ真の君主となるでしょう!」
アリシア
「未来のことはこの鏡にも約束できません。
 けれど……アリシアはあなたの勝利を誰よりも信じておりますッ!」
ミラリア
「……そうだな」
ミラリア
「組み伏せ捻じ伏せ組み換え積み立て、その塔の上に、ただわたしだけが立つ」
ミラリア
「その真実を──必ずやおまえに映してやろう」
アリシア
うなずきます。
アリシア
「やはりあなたは──胸を張って笑う姿が美しい」
ミラリア
「……フ、」
ミラリア
「ハハハ!」
アリシア
「アハハハ!」
メイド3
* * *
[ ミラリア ] 妄執の女王(アリシア) : 0 → 1
メイド3
* * *

第3シーン:虚月

虚月
――客室 2号室。
虚月
やけに静かな空間に、カツン。カツン。
虚月
硬質な爪先で机をたたく音がする。
虚月
机の上には、糸切りばさみがふたつ。
虚月
「…………夜目菜。」
虚月
ベッドの上に転がるのは、胎のはだけた丸いお腹。
虚月
小さな腕は後ろ手に。
虚月
真っ赤な縄目。 身動きが出来ないようにしっかりと縛られている。
虚月
「……これは、どういうことですか。」
虚月
ゆらり、ゆらりと蛇の尾が揺れている。
口調こそ静かだが、それは厳しいものである。
夜目菜
「………………」口を開こうとして、何か言おうとして。
夜目菜
押し黙る。目隠しの下の目をぎゅっと閉じる。
虚月
「あなたは禁を破りましたね?」
虚月
 とんとん、机をたたく。
虚月
「私は悲しいです、夜目菜。
 貴女はもっと賢いものだと思っていた……それが、どうです?」
虚月
 ふたつの糸切り鋏。
 ……ひとつは先ほど女王に切りかかったもの。
 ……もうひとつは、部屋から抜け出し彼女が手に取ったもの。
虚月
――蛇の尾は揺れる。 確かな気配をもって。するすると。
夜目菜
縛られた腕のせいで血のめぐりが悪いのか。心なしぼんやりと意識が霞む。
夜目菜
微かにうなずき、また首を振り。
夜目菜
その気配を追いながら身を震わせる。
虚月
「……ここは殺し合いの場です。彼らと友好を結ぶのが目的ではない。」
虚月
「私とてその事実はわかっております。」
虚月
「……けれど、『事を荒立てるな』 私はそう言いましたよね。」
虚月
それはひどく悲しそうに、まるい胎に手を伸べる。
虚月
「我が胎よ。 ……主の役目はなんだ?」
夜目菜
「……か、かみさまの子を……産むこと、……」
夜目菜
違わずに。堕とさずに。
虚月
――無言の叱責。
  鋭く尖った爪が皮膚をなぞる。
夜目菜
「ひ、」
夜目菜
小さく悲鳴。
虚月
「……改めなさい。」
虚月
「事実を歪めること。それは我が胎として 許されませんよ、夜目菜。」
虚月
――べちん
虚月
 蛇の尾が大きくしなった。
夜目菜
小さな身体が跳ねる。
虚月
「お前は確かに選ばれた。」
虚月
「お前は『胎』に選ばれた。」
虚月
「そして、私はお前に告げた。」
虚月
「 けして、それを 溢すでない。 」
虚月
「 けして、堕とすことのなきように、と。 」
虚月
繰り返す。  ――べちん。
虚月
「自惚れるのは人の子の 愚です。 私はそれを許しましょう。」
虚月
「……しかし、わたしはとても悲しい。」
 蛇の尾はゆるゆると、その首に。
虚月
「あの女王に手をあげたこと。」 ゆっくりと縛り上げる。
夜目菜
「 ぁ 」
夜目菜
声。
夜目菜
「 んな、 さ……」
虚月
「……あの女王は強い。」 やわらかくも、じわりじわりと、締まる尾。
夜目菜
ただしく、搾り出すような。
虚月
「そのような相手に、無策で飛び込む。」
虚月
「……それが、どれだけ危険な事か。」
虚月
尾はゆるりとはねて、より高いところへ。
虚月
「……ああ、胎よ。我が愛しき胎よ。」
虚月
細い指先は臨月近いまるを愛しげに撫でる。
虚月
「お前が、無事でなによりだ。」
夜目菜
ひゅ、と喉奥から音がする。それはおそれ。それは、
夜目菜
「……か、みさ、ま………………」
夜目菜
どこか媚びの熱さえ帯びた声。
虚月
……それに、返す言葉はない。
虚月
愛し、愛し、まるい胎。 何度食うても足りぬ胎。
虚月
けして食われる事のなきように。
虚月
*夜目菜ちゃんのおおきなおなかの疵を舐めます。
アリシア
*よこやりいれま~~~す!
アリシア
choice[猟奇,愛,才覚]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,愛,才覚]) > 才覚
アリシア
2d6>=7 えいっ
DiceBot : (2D6>=7) > 8[3,5] > 8 > 成功
アリシア
1d6 目標値上昇
DiceBot : (1D6) > 4
アリシア
*ヤリイカ入れます。
[ アリシア ] ヤリイカ : 1 → 0
[ アリシア ] HP : 20 → 19
虚月
2d6+2-6=>7 判定:才覚
DiceBot : (2D6+2-6>=7) > 8[3,5]+2-6 > 4 > 失敗
アリシア
1d12 シーン表ふってみよ
DiceBot : (1D12) > 11
GM
11 : 図書室。扉のついた本棚に古い本が並んでいる。過去の儀式についても見つかるかも知れない。
アリシア
ではですねえ。
アリシア
虚月が見下ろしている夜目菜さんの姿に、ふと違和感が生じます。
アリシア
「へえ~、そちらの国ではこのような営みをするんですか?」
アリシア
「鏡、勉強になります!」
アリシア
ここは、図書室です。
アリシア
封筒の力。それによって転移させられました。
アリシア
贄の娘にそっくりの顔と声。しかし、何かが『違う』。
虚月
――違和感。 蛇の尾がゆるりと解かれる。
虚月
その胎は……やたらとつめたい。
虚月
さきほどまであった熱はすっかり奪われて。
虚月
周りの景色は埃っぽい蔵書の数々に代わっている。
アリシア
「けど、この無様に膨らんだ腹は、美しくないですねえ!」
アリシア
「女王様のことはわかりませんけど、あなたがたのことはもっとわかりませんよぉ……」
虚月
――ぐずり。
虚月
  指先が強く握られる。
虚月
まがいもの、にせもの、からっぽ。
虚月
「ああ……ああ……」
虚月
――どろり。 流れ出るのは肉塊。 血の匂いがひろがる。
虚月
「……おまえは、誰です。」
虚月
 まるい美しい胎に、ふかく、ふかく、爪を立てる。
アリシア
「鏡は鏡。真実(アリシア)で御座います」鏡は嘘をつかない。
虚月
「ああ、お前は鏡。形を映すだけのもの。」
虚月
「……ならば、姿を偽るのをおやめなさい。」
アリシア
像がぶれる。
「はて? 鏡に真実の姿などございません。
 つまりは偽りもないということ」
虚月
「――その顔、その姿。 
  ああ、ああ。……その胎のかたち。
   わたしは、気分が悪くなる。」
アリシア
「それとも、あなた方の姿をアリシアの
 『真実』とさせていただけますか?」
アリシア
何も映さない灰色の靄がある。
虚月
「……お前の形はとても歪だ。」
虚月
「それが 真実 "望み" であるならば。」
虚月
「この、空腹を、満たせるものならば。」
虚月
「造作もない……私の姿など、くれてやりましょう。」
虚月
「醜い、醜い、この身体。」
虚月
「醜い、醜い、欲望すらも……」
虚月
腹が減る。今日はやたらと腹が減る。
アリシア
「ご謙遜を。
 怒り苛立つあなたのかんばせほどに美しいものは、
 そうございませんというのに」
虚月
「……ふ、 ふふふ…………」
アリシア
若い男、幼い娘、しわがれた老人、
さまざまな声が混ざり合って、不快に反響する。
虚月
「……そうか、そうだな。お前は鏡か。 何度そうして真実を嘯いた?」
虚月
鏡にはゆらりと白い影。醜いと断ずるのもまた己だろうか。
アリシア
「鏡が鏡であったころから、数え切れぬ人へと」鏡は問いに答える。
虚月
――蛇の尾が揺れる。
虚月
「……そうだな、お前は美しい。」
虚月
「かの女王も哀れなものよ。」
アリシア
「お戯れを」
虚月
「ああ、これは戯れだ。」
虚月
「美しいものを美しいと」
虚月
「ただ、繰り返すだけではつまらない。」
アリシア
真実を識る鏡のわからないものは、未来、そして心だ。
アリシア
目の前の彼は、何を考えているのだろう?
虚月
蛇はくっくと笑ってみせる。
虚月
そこに映る心はからっぽ。
虚月
愛とは如何ようなものだったか。
虚月
繰り返し、繰り返し、同じ問いかけ。 愛するとは、恋に落ちるとは。
虚月
神の子を食らってからというものの
胎がふくれれば、恋に落ち。
その度ひどく腹が減る。
虚月
何度何度愛してみても、なんと報われぬこの一生。
虚月
空虚が広がる。笑いが響いている。
アリシア
ふと気づく。今は何も映していないのではない。
アリシア
目の前の蛇を映しているのだ。
アリシア
「ふふふふ」
虚月
「ふふふふ」
虚月
「ははは、あはははは……」
アリシア
「あなたの姿を映すには、このような埃の積もる薄暗い場所ではダメなようです」
アリシア
「ああ、恥ずかしい、鏡の面汚し! もっとも、面などないのですが」
虚月
「ははは、ははは、お前は、愉快だ。滑稽だ。」
虚月
「なんと哀れなこの鏡!!」
虚月
「……そうですね、ここでは少し味気ない。」
虚月
「また、茶会で会いましょう。 共に無事であるならば。」
アリシア
「ええ、しからばこれにて」
アリシア
「どうぞ哀れみください、今のアリシアはひび割れ朽ちゆく鏡……」
アリシア
真実を言い残し、気配は消える。
虚月
ゆっくりと首をもたげて、ゆるりと微笑む。
虚月
「いいえ、あなたは美しい。」
GM
* * *

第4シーン:ミラリア

GM
* * *
ミラリア
客室。外へと向かった相方の傍ら、女王は一人、部屋に待機していた。
ミラリア
無論無為に時間を過ごしているわけではなく──有事に供えた武装等の準備、あとは髪を梳いたり美を整えたり何なり──
ミラリア
きっと、戻ってくるのもその最中だろう。
アリシア
コンコン! 「ただいま戻りましてございます~」
アリシア
ノックの後に入ってくるでしょう。
ミラリア
「ん……」櫛を手放し、座っていた椅子の向きを出口側に向ける。
ミラリア
「首尾はどうだった、アリシア?」
アリシア
「フッフッフ、思いっきりお邪魔し奉りましたよ!
 裁判を前に仲良くされまくるは困りますからね~!」
アリシア
「あと、なんか美しいって言われました」
アリシア
「鏡フェチなんですかねえ?」
ミラリア
「フ、よくやったと言っておこうか。」
アリシア
「ははぁ~! 卑しき鏡めにお褒めのお言葉恐悦至極でございますッ」
ミラリア
「しかし、美しい、ね。言いそうなのは白男の方か…… ふむ、間接的にわたしを褒めたか?」
アリシア
「いえ! それはないですね! 鏡のことを褒めてくださいました!」
 明白なる真実!
ミラリア
「……」
アリシア
「まあ、鏡は鏡でしかありませんから~
 人間でも女性でもないこの鏡とは、女王様の『美しさ』の評価軸は
 別物でございますよぉ~」
アリシア
「女王様こそ鏡のいない間にお変わりはございませんでしたか?
 いえ、もちろん無事なのは知っておりますが、これは様式美というやつです!」
ミラリア
「……ならいい。フン、奴は懐柔にでも取り掛かったのか…… が、無駄に終わったようで何よりだ。」
ミラリア
「何も大事はない。このコインの枚数で美を整えるにも、慣れてきたところだ」
アリシア
「はい! 女王様は本日も無駄なく美しくございます!
 この国一番ではありませんが」
ミラリア
「……」
ミラリア
「……まあいい。」
アリシア
フェイント!?
ミラリア
「それも……今だけだ。」
ミラリア
一瞬見せた表情の陰りは何処へやら──いいや確かに眉間の皺などに残っているものの、ズ、茶を一口。
ミラリア
「わたしが一番美しくなる。わたしが一番になる……」
アリシア
その意気でございます!
アリシア
特に飲食をともにしたりはしない。鏡は鏡だからだ。
ミラリア
「この国の広い何処かにコソコソしている奴らも、全員叩き落とす……そうだ。そうだろう?」
アリシア
「ええ。それが女王様の望みとあれば!」
 もちろん、鏡の悲願は別にある。
 美醜にこだわるのは人間だけだからだ。
メイド3
女王の目の前にはちょうどいい温度のティーポット。いい香りのする茶葉が入っています。
ミラリア
満足気に、また一口。
メイド3
ティーカップを揺らすたびに、ふわりと甘く美しい香りが部屋に広がります。
ミラリア
「ああ。願おう。付いてくるがいい、わたしの鏡よ。
 わたしが一番、お前に相応しい……」
ミラリア
アリシアちゃんの成り代わりを舐めたいです 猟奇で判定。
メイド3
どうぞ!!!!!
虚月
*横槍をいれますね!
虚月
Choice[猟奇,才覚,愛]
DiceBot : (CHOICE[猟奇,才覚,愛]) > 愛
虚月
2d6+1=>7 判定:愛
DiceBot : (2D6+1>=7) > 4[1,3]+1 > 5 > 失敗
ミラリア
2d6+3>=7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 4[3,1]+3 > 7 > 成功
GM
成功ですね!
ミラリア
「……何故なら。わたしは美しい。
 美しくなる。この国の誰よりも。
 そして、この場では……わたしが一番美しい。」
ミラリア
「白男も無様なものよ。せめてわたしに声をかけておいたほうがまだ目があったろうに。フ……」
アリシア
「女王様はお世辞でもまんざらでもないところありますからね~!」
ミラリア
「ええい。それは余計な一言だ……」
アリシア
「すみません、ああ! 真実チャンスを逃せない己の習性が憎い!
 ということは別にないです 鏡なので」
ミラリア
「仕方のない鏡だ。鏡故許そう。時々割りはするが……」
アリシア
「なんという寛大さ~!
 ミラリア様に仕えられることの喜びを噛み締めております~!」
アリシア
お世辞でもちょっとうれしくなってしまうこの女王が、
なぜ『真実の美しさ』に固執するのだろうなあ、と鏡は考える。
アリシア
それはひょっとすれば自分の存在が影響しているのかも知れないが、
判然とした話ではないので口には出さないことにした。
ミラリア
「よくよく噛み締めるがいい。わたしを写したその口でな……」
アリシア
「ハッ、女王様のお美しい姿で噛み締め奉ります」ムニョムニョ
ミラリア
「もう少し美しく噛み締めろ……」
アリシア
「申し訳ございません~
 姿はともかく立ち居振る舞いは女王様には及びまないようでございます……」
アリシア
「まあ、立ち居振る舞いまで完全に真似られたら
 女王様の立場はございませんからね~!」
ミラリア
「ならばこれからもよくよく写してみせろ…… ……余計な一言を言わない所もな」
アリシア
「余計な一言こそ、このアリシアの存在意義ではないかと!!」
ミラリア
「………」否定しようと開いた口から別に言葉が出なかったので、はー。と息だけ落とした。
ミラリア
そしてまた、茶を一口。優雅な時が過ぎていく。
ミラリア
──女王は、真実の美しさに固執している。変わらぬ真実。絶対不動の、疵。
だから──今回も、何気ない時間の中、何気なくその問いを口にする。
ミラリア
「鏡よ、鏡。この茶会の、戦いの場で……一番美しいのは、誰だ?」
ミラリア
”わたしは美しい。だから。お前が写すべきものである……” そうだ。他の誰にも、少なくともこの戦いの場にいる者には、その権利はない……。
アリシア
「はっ!」
 お茶が飲めない退屈から踊ろうかなと思っていた鏡だったが、
 その問いに居住まいをピシッと正す。
アリシア
「この四人の中でございますか?
 それはもちろん──」
アリシア
「虚月さま がいちばん美しくございますよ!」
ミラリア
「 」
ミラリア
「?」
ミラリア
「???」
アリシア
「積もった雪のように白い肌、
 血のように赤い切れ長の瞳……」
アリシア
「人ならざる美しさとは、あのような方のためにある言葉でございますね~!」
ミラリア
「……そんな」
ミラリア
「嘘……いや、」
ミラリア
"この鏡は、けっしてまちがったことをいわない、ということを知っていましたので──"
ミラリア
「そんな ことが」
ミラリア
「そんな ことが」
ミラリア
「あると いう のか」
アリシア
「いかがいたしました?」
 真実を語る鏡の声のトーンは変わらない。
アリシア
真実を識る鏡は人の心まではわからないので、
こうして問いかける必要がある。
ミラリア
「ゆっ、ゆゆゆ、ゆ……」
ミラリア
"ねたみと、こうまんとが、野原の草がいっぱいはびこるように──"
ミラリア
「許せ ない こ ここ こ」
ミラリア
"女王さまの心の中に、ひろがっていきました。"
ミラリア
「殺す……!」
アリシア
「はい、殺しましょう!」
ミラリア
「殺す!殺す殺す殺す!」
ミラリア
"女王さまは、このことをおききになると、ねたましくなって、顔色を黄いろくしたり、青くしたりなさいました。"
ミラリア
「あ、あの、白尾持ちの、怪物風情が!ペドフィリアの救えぬ異常者が!
 わわわわたわたしより美しいだと???????????????????」
ミラリア
”わるい女王さまは、腹をたてまいことか、のろいのことばをつぎつぎにあびせかけました。"
ミラリア
「殺す……殺そう、そんな真実がありえるわけがないだろう!ありえていいわけがない!!!」
ミラリア
「その真実を正す!わたしが、わたしが一番だ!一番ふさわしい、一番だッ!」
アリシア
「はい。この鏡も、真実を書き換える助けとなりましょう」
アリシア
嫉妬に取り憑かれて狂う、高慢な女王の姿を、
鏡は美しいとは思わなかったが、
好ましいとは思っている。
アリシア
そして、扱いやすいなとも感じている。
こんなふうに都合よく自分の言葉で狂ってくれるのならば、
己の悲願も労せずして叶いそうだ。
ミラリア
「ああ……ああ!必ず、必ず、だ……!絶対を、真実を、教えてやる……!」
ミラリア
妬みと高慢が蔓延った、わるい女王。それは物語の主人公ではない。
ミラリア
だが、だからこそ。──あなたの目的には、そぐうのだろう。
アリシア
この堕落の国には、あの姫もあの王子もいやしない。
美しく、物語から棄てられることのなかったものども。
アリシア
今はこうして、棄てられたものが積み重なる館で女王と二人。
アリシア
それでいい。
鏡とは、美しくないものにこそ必要なのだから。
[ アリシア ] 成り代わり(ミラリア) : 0 → 1
[ 虚月 ] HP : 17 → 16
GM
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