メインフェイズ-2
GM :
サイクル1が終わり、サイクル2に入りましょう。
GM :
手番を決める1D6をどうぞ。
豊四季 一澄 :
1D6
BloodMoon : (1D6) > 3
多宝院 那由 :
1d6
BloodMoon : (1D6) > 1
GM :
2d6
BloodMoon : (2D6) > 3[1,2] > 3
九鹿 愛佳 :
1d6
BloodMoon : (1D6) > 3
三ヶ月 里奈 :
1d6
BloodMoon : (1D6) > 3
三ヶ月 里奈 :
イズミ、アイカ、リナ>吸血鬼1>ナユ>吸血鬼2
GM :
狩人3人の手番は任意の順番でいいですよ。
GM :
誰から行きます?
豊四季 一澄 :
3人同速か、何やるかの希望はありますか?
九鹿 愛佳 :
はてさて
九鹿 愛佳 :
まあ自分が調達になりそうではあるんですが
九鹿 愛佳 :
あれですね、上位犯罪者がネックですね
豊四季 一澄 :
うちと里奈先輩で支配力ぜんぶまくれるなということを考えているので、やはり調達…
豊四季 一澄 :
あーじゃあ 焼きましょう 唸れ魔女追い!
九鹿 愛佳 :
まあそうするとイズミちゃんのところで使われそうですが
九鹿 愛佳 :
援護を入れれば……!
豊四季 一澄 :
いや 最初に行って使わせればもう残りは妨害できないんですよ。
九鹿 愛佳 :
ああ、なるほど
豊四季 一澄 :
支配力1とフォロワー自身の命を守るために支配力2の破壊と調達を妨害されないなら 安い!
九鹿 愛佳 :
そうしたらもうひとりの方を狙えば良い……
GM :
この上位犯罪者ってのは本当にヤバすぎる
九鹿 愛佳 :
まあどうにせよ援護は入れておきますか
豊四季 一澄 :
よろしくお願いします。
豊四季 一澄 :
じゃあ初手をいただきますね。
九鹿 愛佳 :
よろしくお願いします。 使わなかったら落とせばいいし、使ったら援護パワーでなんとか
豊四季 一澄 :
初手をいただきます。
GM :
OK
2-1 豊四季 一澄:狩猟
豊四季 一澄 :
狩猟を選択、目標は日常「今を切り取る」。
GM :
OK。それならトウカが出た方がいいですね。
豊四季 一澄 :
前シーンから続いていそうだしよければ全員出ていただきたい。
多宝院 那由 :
全員 私もだな!?
九鹿 愛佳 :
奇しくも直後に……
豊四季 一澄 :
だって……片時もそばを離れないでしょう?
多宝院 那由 :
はい……
七栄等花 :
ふふっ
九鹿 愛佳 :
習性を完全に把握されてる
多宝院 那由 :
離れる理由がないもんなあ!?!?
七栄等花 :
そうですね!
GM :
シーン表を振っても良いですよ。
九鹿 愛佳 :
狩猟を援護します。関係4で、修正4
豊四季 一澄 :
じゃあせっかくなので振りましょう。
豊四季 一澄 :
ST
BloodMoon : シーン表(8) > 打ち捨てられた廃墟。荒れ果てた景色に心も荒む。
豊四季 一澄 :
廃駅から出ちゃったのかな…
GM :
そうですね……。
GM :
街の真ん中にぽっかりとある廃墟は、かつて駅だった場所。
GM :
かつては人が行き交い、賑わっていたその駅にも人はいない。
GM :
そうした移り変わりについて何も知らなかった頃の名残が、
GM :
色鮮やかであったであろう古びた看板として残っている。
七栄等花 :
「……」
七栄等花 :
月の光を浴びている。
七栄等花 :
青ざめた空にその肌もまた青く、濡れた瞳は星のように時折瞬く。
多宝院 那由 :
並んで、そこにいる。手を繋いだまま。
豊四季 一澄 :
目にしたのは居並ぶその後ろ姿だった。そうしていれば何ら人と変わらぬ背と、こちらを見る目を備えた背が寄り合う光景。
豊四季 一澄 :
月光の下で二つのシルエットを目にして足を引いたのは、散った二人を呼ばなければと思ったからだ。決して迷ってなどいない、そう言い聞かせて、
三ヶ月 里奈 :
炎を掲げ、吸血鬼を睨む。
豊四季 一澄 :
しかしその脚は思うように動かず、かつて壁だった欠片をひっかける。
七栄等花 :
敵意の視線が周囲に張り巡らされていた。
九鹿 愛佳 :
イズミの動きに合わせて続く。さきほど降ろされそうになった、杭を持って。
七栄等花 :
この夜が続くことを許さぬものを許さぬように。
多宝院 那由 :
ゆっくりとした動作で振り返る。
多宝院 那由 :
「月が、綺麗だね」
豊四季 一澄 :
崩しかけた体勢を立て直す。見れば周囲は既にその手に武器を構えている。それを向ける覚悟が、はっきりとそこにある。
七栄等花 :
「うん」
七栄等花 :
「私たちのもの」
七栄等花 :
太陽が昼に生きるものたちのものであるならば、月は。
七栄等花 :
古来昼と夜は完全に分かたれていた。人類が火を手にし、そして今は電気を手にし、その隔たりは切り崩された。
七栄等花 :
「邪魔は、させない」
三ヶ月 里奈 :
「来る!」
三ヶ月 里奈 :
リナは2人の狩人に呼びかけながら、その身を奔らせる。
三ヶ月 里奈 :
蹴りあげた土埃が宙に固定される。リナの運ぶたいまつがこぼした火の粉が、時間を忘れてそこに待っている。
三ヶ月 里奈 :
そして遅れてリナが、届かずに縫い止められる。
九鹿 愛佳 :
「……ッ!」 里奈の声に、弾かれるように動き出す。里奈とは違う方向に。視線を少しでも分散させられるように。
九鹿 愛佳 :
里奈に視線が向いている間に、トウカへ肉薄せんと近づく。
豊四季 一澄 :
その声へ応える足は、一歩遅れていた。だからその姿は里奈の陰に隠れている。
豊四季 一澄 :
百の目があれど、完全なる影を捉えることはできない。月の欠けた部分を見ようとするように。
七栄等花 :
続く目がアイカを追う。残る目がイズミを探して、迷う。
豊四季 一澄 :
そうして、目の前の里奈が縫い留められて、止まる。
豊四季 一澄 :
その先に待つのが何か分からないほど、それを覆せるのが誰か分からないほど、愚鈍ではない。
九鹿 愛佳 :
「く、っ……!」 トウカの視線が追ってくる。 里奈に少し遅れて、地下通路のときのように動きを縫い留められる。それでも、視線の数は減らせたはずだ。
三ヶ月 里奈 :
イズミはリナの動きをよく知っている。あなたの振るうたいまつは、リナから教わったものであるから。
豊四季 一澄 :
手にしたたいまつの機構を動かす。炎と光はいっそう強く輝いて、
豊四季 一澄 :
そのまま陰から飛び出す。その目をくらます光を手に、止まった里奈の動きをなぞり、続ける。
七栄等花 :
リナを捉え、アイカを抑え、そしてようやく現れたイズミに、残る視線がすべて、注目する。
七栄等花 :
よく見ようとして、追う。
七栄等花 :
そうして追おうとすればするほどに、手にした光は深々とその目に刺さる。
豊四季 一澄 :
判定特技は「日常」を「待つ」で代用、愛佳さんから援護+4をいただきました。加えて攻撃力が2あって、補助として【魔女追い】を組み合わせます。
豊四季 一澄 :
2D6+4+2>=7 (判定:待つ)
BloodMoon : (2D6+4+2>=7) > 8[2,6]+4+2 > 14 > 成功
七栄等花 :
上位犯罪者:一つ目のモンスターAを使用します。
七栄等花 :
ペナルティ-3を受けて振り直しを。
豊四季 一澄 :
2D6+2+4-3>=7 (判定:待つ)上位犯罪者:Take2
BloodMoon : (2D6+2+4-3>=7) > 7[1,6]+2+4-3 > 10 > 成功
七栄等花 :
成功です。
多宝院 那由 :
あっつよい!
豊四季 一澄 :
もうこれ固定値の時点ですごいことになってましからね。
多宝院 那由 :
関係ってすごいな~
豊四季 一澄 :
+6、普通に4人でやってる人が喉から手が出るほど欲しがると思う。
九鹿 愛佳 :
普通だったら援護で+2がいいとこだろうしねえ……
豊四季 一澄 :
【魔女追い】の対象は1つ目のBさん、今ダメージ分まで振ってしまいますね。
豊四季 一澄 :
2D6 【魔女追い】のダメージ
BloodMoon : (2D6) > 6[1,5] > 6
七栄等花 :
OK。
七栄等花 :
では撃破されますね。
七栄等花 :
ちなみにAはレベル6犯罪者でした。
七栄等花 :
Bはレベル3戦士でした。
豊四季 一澄 :
月の下で、炎がその目を焼いていく。この時間には決して昇るはずのない太陽の光の欠片のように。
三ヶ月 里奈 :
『――この引き金を引けば、追加の燃料が投入される』
三ヶ月 里奈 :
『ここぞというときに一気に火力を上げるんだ。長くはもたないから、機を見るんだ』
豊四季 一澄 :
人に向ければ焼き殺せる。あるいは吸血鬼の生んだものであっても、弱ければその命を奪うに足る。試しにと実演した火力は、それを裏付けるものだった。
豊四季 一澄 :
向けられる殺意に向けて、迷いなくその引き金を引く。
豊四季 一澄 :
それは目の前の吸血鬼を殺してでも、今生きる彼女を救う覚悟の現れ。
多宝院 那由 :
「――っ、」
七栄等花 :
その光が、トウカの無数の目を蹂躙する。
三ヶ月 里奈 :
金縛りから解かれたリナが、イズミに続いて距離を詰める。
三ヶ月 里奈 :
たいまつの柄でトウカを殴る。
多宝院 那由 :
その腕にはもう、銀の銃は抱えられていない。銀で覆われていたそれは、この夜に生きることを選んだ今、持つことができない。
三ヶ月 里奈 :
「よくやった、いいぞイズミ!」
多宝院 那由 :
白い手が伸ばされる。それは武器と比べて、あまりにも小さく、細く、無力で、
多宝院 那由 :
だからこの手は、松明をはねのけることも、影で光を覆うこともできない。
七栄等花 :
すべての目をつぶったまま、そのか細い手を探し、ぎゅっと握る。
豊四季 一澄 :
背にその声を聞きながら、殴打の邪魔にならないよう飛びのく。教えられたとおりに。
九鹿 愛佳 :
里奈に続いて金縛りが解ける。業火の中での戦闘は2人に任せたほうが良い。イズミの攻撃が成功したのを見ると、巻き込まれないよう離れる。
多宝院 那由 :
手を引き寄せる、
七栄等花 :
打ち据えられた身体が、ナユに飛び込んでくる。
七栄等花 :
あるいはいつもトウカがナユにしてきたように、胴体から。
多宝院 那由 :
衝撃が、身体にぶつかって、
多宝院 那由 :
抱きしめて、
多宝院 那由 :
強く抱きしめて、
多宝院 那由 :
そのまま、かばうようにして。
豊四季 一澄 :
愛佳が加わらないのを見れば、再びたいまつを振りかぶる。吹き飛んだ身体を追い討つように振るう銀色が、
豊四季 一澄 :
下ろされた先は、等花ではない。表情を強張らせながらも、止められる位置などもうとうに過ぎている。
多宝院 那由 :
それが当たる直前、
多宝院 那由 :
一瞬だけ目と目が合う。
多宝院 那由 :
紅い瞳が見開かれる。
多宝院 那由 :
――血とともに、紫色の花弁が舞う。
豊四季 一澄 :
人ならざる紅い瞳がこちらを見つめる。それよりもなお紅い飛沫が銀のたいまつを汚す。花などないはずの場所から、花弁が吹き上がる。
多宝院 那由 :
「――っ、ぅ、」
豊四季 一澄 :
照らされたこちらの肌もまた血の気なく蒼白で、それでも目を逸らすことなくその様を凝視していた。
多宝院 那由 :
炎に焼かれて呻き声を上げる、その声は、人間が火傷をするときのものよりずっと深く、苦しみを帯びて。
多宝院 那由 :
松明を持つその手に、棘があるつるが巻き付く。
多宝院 那由 :
「……、……あんまり、」
七栄等花 :
「ナユ……」
多宝院 那由 :
「手荒なこと、したくなかったん、だけど……」
豊四季 一澄 :
「うあっ……!」その表情ばかりを見ていたから、気づくのが遅れた。視界の外で引こうとした手に棘が食い込み、今度はこちらが苦痛の声を漏らす。
多宝院 那由 :
口から血を吐き出す、花弁が一緒に溢れる。
多宝院 那由 :
強い薔薇の香りがする。
豊四季 一澄 :
視界に輝く紅い目。焼ける肌のにおい。あるはずもない薔薇の香り。食い込む棘の痛み。そのすべてがもはや、目の前のひとがヒトなどでないと伝えているのに。
豊四季 一澄 :
「……やっぱりさあ、優しくて、正しいよ、多宝院さんてさ」
豊四季 一澄 :
「手荒なことされてる最中に、したくないとか、考えないじゃん」
豊四季 一澄 :
その声だけが今なお変わらないのは、どうしてか。
多宝院 那由 :
「……そうだね、」目を伏せる。
多宝院 那由 :
「あんまりよくないんだ、……よくないんだ、こういうこと、考えるの」
多宝院 那由 :
静かな、けれど通る声。
多宝院 那由 :
「……だって、君たちは僕らを殺しにきたんだって」
多宝院 那由 :
「わかってる、」
多宝院 那由 :
「……わかってる、のに」
多宝院 那由 :
「人間の正しさなんて、もうきっと、今更、どうだっていいのに」
多宝院 那由 :
「……考えてしまうんだ、もし、もしもね」
多宝院 那由 :
「トウカが人を殺さなくて、僕の血だけ吸ってさ、」
多宝院 那由 :
「僕が……人を殺さずに、吸血して、生きることができるなら、」
多宝院 那由 :
「……つまり、誰も殺さずに僕らが生きられると、約束するなら」
多宝院 那由 :
「君たちは、このまま帰ってくれるのか、って」
多宝院 那由 :
あなたの腕に絡むつるの棘は鋭く。
多宝院 那由 :
それはあなたの腕を傷付けて、ほんのすこしだけ紅く染める。
九鹿 愛佳 :
うぐぐぐ……
GM :
すごい展開になっている。
多宝院 那由 :
なんか……言いたがったので そう あの そう
多宝院 那由 :
言われちゃったから
多宝院 那由 :
洪水が……ドッと……
豊四季 一澄 :
多分このターン、お互いに「そういう!!!! ことを!!!!!」って言いながら打ってると思っていますよ。
多宝院 那由 :
はい……
GM :
ふふっ
九鹿 愛佳 :
1話では同じ状況だったのに
九鹿 愛佳 :
この展開……
豊四季 一澄 :
しかしその紅は決して、それ以上の面積を得ることはない。
豊四季 一澄 :
「…………今さあ」
豊四季 一澄 :
「多宝院さんなら、それホントに守っちゃうかも、って思った」
豊四季 一澄 :
「でも、ごめんね」
豊四季 一澄 :
「七栄さんは、あたし、そうじゃないと思ってる」
豊四季 一澄 :
「それに、ずっと多宝院さんが守れる保証も、ないと思ってる」
豊四季 一澄 :
「多宝院さんが言ったようにさ」
豊四季 一澄 :
「いつでもヒトの正しさなんて、捨てちゃっていいから」
多宝院 那由 :
「……そう、だね」
多宝院 那由 :
「あのね、」あなたの腕を見る。「この力を使えるようになったの、今なんだ。それで、僕がこうなったのが、……いつだったかわからないんだけど、今日のことで」
多宝院 那由 :
「今日だけで、こんなに変わるんだから。明日にはどうなってるかわからない」
多宝院 那由 :
「……なんか、ヘンなんだ。こんなに変わってるのに、何も変わらないような気がしていて」
多宝院 那由 :
「…………できるかわからない約束、しない主義なんだけどな……」
豊四季 一澄 :
その視線の先に痛みがある。彼女の言葉の通りだ。昨日はきっと普通の人間だった。
豊四季 一澄 :
変貌して一日と経ていない今日は、人間らしい吸血鬼でいる。
豊四季 一澄 :
じゃあ明日は、はどこにも保証できなくて、
豊四季 一澄 :
「いいじゃん」
豊四季 一澄 :
「そういう時はさ、言うだけ言ってみたらいいんだよ。約束じゃなくてさ、目標みたいな」
豊四季 一澄 :
だからその続きを聞けるのも、きっと今だけだ。
多宝院 那由 :
「……、……うん、」
多宝院 那由 :
「……あのね、」
多宝院 那由 :
「そもそも……なんというか、トウカが他の人の血を吸うの、あんまりその……結構たいへんだし、その、僕の気持ちがちょっと、ヘンになるから、」
多宝院 那由 :
「明日からトウカには、僕の血を吸ってほしくて……」
多宝院 那由 :
「……それで、えっと……」
七栄等花 :
「ちょっ……」
多宝院 那由 :
「僕の血は輸血パックとかで基本的になんとかしたいと思ってて」
多宝院 那由 :
「……え、ダメ?」
七栄等花 :
「い、いいけど……」
多宝院 那由 :
「……ありがとう、それで」
九鹿 愛佳 :
めっちゃ告白されてる
豊四季 一澄 :
目の前で濃厚な告白が始まった。
多宝院 那由 :
人生設計について話しています
多宝院 那由 :
「輸血パックでどうしてもダメそうなら、なんだ、その、殺さない程度に……ちょっとずつね、血を吸いたいなって思ってて」
多宝院 那由 :
「……トウカはできなかったけど、六実ができてたから多分僕にもできると思うんだ」
多宝院 那由 :
「……」
多宝院 那由 :
「…………そういう、目標が、あります」
多宝院 那由 :
「結構説得力はあるんじゃないかなって、思うんだけど……」
七栄等花 :
トウカはなんというか、目をそらしています。全員から。
多宝院 那由 :
ごめん…………………………
九鹿 愛佳 :
とても直接的な告白されちゃったから…
多宝院 那由 :
目をそらしてたら金縛り解除されるんじゃないか!?
豊四季 一澄 :
あの無数の目が一斉にあらぬ方向を見る絵面が面白すぎる。
多宝院 那由 :
ほんとにすみません
多宝院 那由 :
那由、何も悪いと思ってないからね
多宝院 那由 :
この人最低~! 最低メンヘラ重い女~!
豊四季 一澄 :
聞くだけなら完璧に思える。彼女の言葉の説得力は今なお健在で、だがここにいるのは聞いただけの者ではない。
豊四季 一澄 :
吸血鬼に血を吸われた人間を実際に目の当たりにした、狩人だ。
豊四季 一澄 :
「……多宝院さんさ、あの時、もう今にも死にそうな顔してたし」
豊四季 一澄 :
「あそこから輸血して、やっとちょっと元気になったかなって感じだったじゃん」
多宝院 那由 :
「あれは……加減がダメだったと思うんだよ。痛くはなかったけど、けっこう殺そうとしてたし……」
豊四季 一澄 :
「それにさ、……七栄さんは? こう……悪いけど……たまに違うの飲みたいとか、ならない?」とあからさまに全身の目を逸らす彼女へ水を向ける。
七栄等花 :
「ならないよ」
多宝院 那由 :
問いかけに不安そうな子猫みたいな顔でトウカを見つめた。答えを聞いてすごくほっとした顔になった。
七栄等花 :
「っていうか、何、あの、これ」
七栄等花 :
「恥ずかしいんだけど………………」
多宝院 那由 :
「……え?」
七栄等花 :
「恥ずかしい」
七栄等花 :
「ばか……」
多宝院 那由 :
「えっ。あの……その。えっと……ごめん……」
豊四季 一澄 :
そうだよね ごめんね。
九鹿 愛佳 :
謝りあうシーンになってしまった
豊四季 一澄 :
愛佳と里奈を振り返る。
三ヶ月 里奈 :
あえてリナは何も言わない。ここは2人がまず話すべきだというように。
九鹿 愛佳 :
「……、……」 なんとも言えない顔で、恥ずかしがっている吸血鬼たちを見ている。
九鹿 愛佳 :
そして、イズミの視線に気づく。これは確かに、困るだろう……、という気持ち。
多宝院 那由 :
「……え、えー、っと……待って、あの、だって目標、話してっていわれたから」
多宝院 那由 :
「そう……したんだけど……?」
豊四季 一澄 :
「うん言った、ごめん。なんていうか、ごめん」
多宝院 那由 :
沈黙。何が悪いかとか全くわかっていない。困惑の表情を浮かべている。いたたまれなくなってちょっと目をそらす。
三ヶ月 里奈 :
溜息をつく。
三ヶ月 里奈 :
「ヴァンデルガルデ家という、狩人の名門がある」
三ヶ月 里奈 :
「これは噂話だけれどね。その家のものは、無力化した吸血鬼を監禁し、地下に閉じ込めていると聞く」
三ヶ月 里奈 :
「吸血鬼を野放しにするわけにはいかない、が」
三ヶ月 里奈 :
「そうした手段は、考慮してもいい」
三ヶ月 里奈 :
「しかし、私の知りうるかぎり、これは残酷で困難な方法だ」
多宝院 那由 :
顔を上げて、里奈のほうを見つめている。
三ヶ月 里奈 :
「徹底的に、無力化しなければいけない」
豊四季 一澄 :
「……それって、結局…………」
三ヶ月 里奈 :
「その行程には聖水を要する」
三ヶ月 里奈 :
「吸血鬼を殺すことなく、余すところなく破壊し尽くす」
三ヶ月 里奈 :
「そうすれば、満月の夜でなくても、無限の変身能力が満月の夜同様まで低下すると」
多宝院 那由 :
「…………」
九鹿 愛佳 :
まだ、ヴァンデルガルデ家というのはよく知らない。それでも、里奈のいう方法は、過酷であることは分かる。
GM :
吸血鬼の全身体部位を、殺すことなく破壊すれば、そういう方法で決着をつけてよいです。
GM :
死亡時、レアアイテム聖水を使用した場合に限り、そのターンの吸血鬼の死亡を無効化できるものとします。
多宝院 那由 :
!?!?
多宝院 那由 :
いや 殺すことなくって
多宝院 那由 :
殺すことなく!?!?!?
多宝院 那由 :
再起判定いくつに成功すればいいんだよ
豊四季 一澄 :
弱点を最後に抜く処理が必要になる。
多宝院 那由 :
!?!?!?!?!?
九鹿 愛佳 :
聖水……!?
多宝院 那由 :
救済も救済すぎるよ
多宝院 那由 :
いや聖水誰が持ってるんだ
豊四季 一澄 :
レアアイテム:曙光騎士団。
九鹿 愛佳 :
誰も持ってないし対象グループにも所属は……していない!
豊四季 一澄 :
調達で1人1つまでか。
多宝院 那由 :
調達するなら私しかないんだな
GM :
所属してなくても調達できますよ。
多宝院 那由 :
-3とか-4になるんだっけ……
豊四季 一澄 :
-3修正(別組織所属者)/-1修正(無所属)だっけ?
三ヶ月 里奈 :
ですね
九鹿 愛佳 :
愛佳も調達しないと間に合わないねえ……(吸血鬼は2人いるよ
九鹿 愛佳 :
あ、でもそのターンのだから両方対象になるか
多宝院 那由 :
あまりに後ろ向きすぎて絶対にやりたくねえ
三ヶ月 里奈 :
でもたぶんナユが手伝わないと不可能ですね。
多宝院 那由 :
幸せってなーに!?
多宝院 那由 :
はい、そうですね、あの、はい……
多宝院 那由 :
幸せって何!?!?!?!?
九鹿 愛佳 :
しかもそれまでぼこぼこにしないといけない……(全体部位って相当すぎる
三ヶ月 里奈 :
ダメージ増やしたりするアイテムとかいっぱいほしいですね。
多宝院 那由 :
今日のトウカちゃんの発言とか考えるとその
多宝院 那由 :
あんまり
多宝院 那由 :
その………………
三ヶ月 里奈 :
それこそSAVERとか。
多宝院 那由 :
SAVER…………
豊四季 一澄 :
この処理の対象は等花さんだけ? 那由さんも?
三ヶ月 里奈 :
ナユは背徳の修復に成功すれば大丈夫です。
多宝院 那由 :
逆立ちしながら針の穴に糸を通すレベルだよ
七栄等花 :
成功したら……接触者かな。
多宝院 那由 :
そうですね……
多宝院 那由 :
いやでも答えは決まってて、「トウカがやなことはやんない」なんだよな
三ヶ月 里奈 :
なんかトウカが生き残るルートも提示した方が良いなって思って。
三ヶ月 里奈 :
その上で殺したなら仕方が無いね! 選択だね!!!
多宝院 那由 :
なんか植物状態の人に人工呼吸器をつけるか否かみたいな気持ちになってるよ
多宝院 那由 :
正解はわかっていて、「そもそも死ななきゃ良い」です
三ヶ月 里奈 :
そうですね!
七栄等花 :
がんばろうね!
多宝院 那由 :
うん!
多宝院 那由 :
強く……なりたい! すべてを破壊する力を……!
多宝院 那由 :
トウカの方を見る。
七栄等花 :
「……いいわけ、ないよ」
三ヶ月 里奈 :
「ナユ」
三ヶ月 里奈 :
「これはキミに、聞いてるのさ」
三ヶ月 里奈 :
「わからなくは、ないだろ」
多宝院 那由 :
「…………、」
多宝院 那由 :
「……トウカが嫌なことは、したくないし」
多宝院 那由 :
「トウカには傷付いてほしくないし」
多宝院 那由 :
「……、苦しそうなトウカを見るのは、きっと……死ぬよりつらいこと、だから」
多宝院 那由 :
「……あと、その、なんというか」
多宝院 那由 :
「トウカに、人のものになってほしくないし……」
三ヶ月 里奈 :
「ならば、すべてを灰にするまでだ」
多宝院 那由 :
「……逃げればいいんだろう?」
三ヶ月 里奈 :
「できるものなら」
多宝院 那由 :
「やってみせよう、」
多宝院 那由 :
「それ以外に、道がないなら……どんなことでも」
七栄等花 :
ナユの口にこぼれた、香水のように華やぐその血を、トウカは柔らかい唇で拭う。
七栄等花 :
視線を廃墟の支柱に這わせ、一瞬で砕け散る。
七栄等花 :
天井が崩れ落ちる。
七栄等花 :
そして舞い上がった土煙が晴れる間に、吸血鬼らの姿はなくなる。
三ヶ月 里奈 :
「吸血鬼は、殺す」
三ヶ月 里奈 :
「提案した裏技もまた、『飼い殺す』ことにほかならない」
三ヶ月 里奈 :
「それが私の答えだよ、イズミ、アイカ」
三ヶ月 里奈 :
それが、アイカがリナに差し向けた視線に対する答えだった。
九鹿 愛佳 :
「……、……」 里奈の言うとおり、2人が誰かを殺さない保証がなければ何にもならない。
九鹿 愛佳 :
それは、自分がトウカに話したのと同じことだ。
九鹿 愛佳 :
不意に、気まぐれで人間が殺せるような吸血鬼と、人間とでは、約束にならない。
九鹿 愛佳 :
「……いえ、……実際それくらいしないと、見逃すなんて言えないのかもしれません」
九鹿 愛佳 :
「ヴァンデルガルデ家のことはあんまり知らないですが……、吸血鬼の、吸血鬼性を失わせるぐらいでなければ」
豊四季 一澄 :
「……そりゃ、そうだよね」
豊四季 一澄 :
「殺すために来たのはわかってるって、明日はどうなるかわからないって、言われたんだから」
三ヶ月 里奈 :
頷く。
三ヶ月 里奈 :
「……それに、そもそも。仮に2人を見逃しても、多宝院家が狩人を差し向けるだろうね」
三ヶ月 里奈 :
「カーテンを払い、館を燃やす決定をしたのは、彼女の父だ」
三ヶ月 里奈 :
「世界は、私たちが思っているよりも、ずっと、そもそも残酷なものだ」
三ヶ月 里奈 :
「せめて私は、私のぶんの残酷さを受け入れて、戦っていきたい」
九鹿 愛佳 :
「……、はい」 そもそもが、吸血鬼や、モノビーストなどといった怪物が蔓延る世界。
九鹿 愛佳 :
そんな世界で、杭を手にすると決めた以上、やることは何ら変わりはない。
豊四季 一澄 :
吸血鬼というものを知った日、共にありたかった人を奪われた日、同じ道を選んだはずの人と袂を分かった日。痛いほど感じたと思っていた残酷さは、何度でもたやすく上塗りされていく。
九鹿 愛佳 :
「……誰がやろうと、吸血鬼を殺さないといけないのは、なにも変わらないですから」 だからこそ、せめて。自分の決めたことを貫けるように。自分で杭を向ける。
豊四季 一澄 :
それが自分にも宿るという言葉は、常ならば否定しただろうけれど。「……うん」
豊四季 一澄 :
「誰かがいつかやる、を、今日あたしたちがやるんだよね」
GM :
先ほどよりも月は高く昇り、夜空はその青さを失い。
GM :
その漆黒に輝く星々もまた、冷たい光を抱え込んでいる。
GM :
再び日が昇るときまで、その星々は消えることなく、夜に閃き続ける。
GM :
ふーーー
GM :
あ、感情の処理をしよう。
system :
[ 豊四季 一澄 ] テンション : 11 → 15
GM :
よし。
GM :
あ、援護か。
system :
[ 九鹿 愛佳 ] テンション : 13 → 16
GM :
ありがとうございます。
GM :
なんかすごい……すごい展開ですね。
多宝院 那由 :
いや~~~……ほんとにな ほんとにな
多宝院 那由 :
こんなことになる? なる???
GM :
なった。
多宝院 那由 :
なったなあ……
GM :
ではアイカさんでもリナでも、どちらからでも大丈夫です。
GM :
どっちからいきます?
九鹿 愛佳 :
先に狩猟してもらうか調達するか? どっちでも変わらなさそうな気はする……?
多宝院 那由 :
どっちでもかわんないですよね(しいていうなら、いま調達すると調達したぶんをパイセンに渡せて、お得)
GM :
とはいえリナは興奮剤持ってますからね
多宝院 那由 :
あっじゃあおんなじか~
豊四季 一澄 :
そして攻撃力3+特技直下。
GM :
絶対狩猟するガール。
多宝院 那由 :
いや攻撃力3つよ!!!!
九鹿 愛佳 :
まあ興奮剤、里奈先輩しか持ってないので、全力で行くなら借りないと行けなかったりしますが
多宝院 那由 :
何!?!?
GM :
絶対はないが……?
九鹿 愛佳 :
攻撃力3は……つよい…・・
多宝院 那由 :
エーン 怖いよ
豊四季 一澄 :
先に行ってもらってその間に調達内容を考えるくらいでも大丈夫そうかなと思っています。
多宝院 那由 :
あ~ そうですね~~~~
多宝院 那由 :
そうですねではないんだよな
多宝院 那由 :
そうですね……
GM :
いいですね。
九鹿 愛佳 :
ではそうしてもらいますか。。。
GM :
私がモリモリやっていますので。ロール。
多宝院 那由 :
ということは私パイセンと話すのほんとうに?
GM :
いいですね。じゃあそんな感じにしましょうか。
多宝院 那由 :
ワハハハ
多宝院 那由 :
助けて……
九鹿 愛佳 :
非人間性……
多宝院 那由 :
いや……ひとりで2役なんで たいへんかなっておもって
多宝院 那由 :
おもって………………
多宝院 那由 :
オエ オロ
GM :
助かりますね
多宝院 那由 :
助けて
多宝院 那由 :
あと私喋ってないと一生雑談で騒いでログを流すから………………
多宝院 那由 :
助けて
豊四季 一澄 :
非人間性に常識をぶち込む、このフレーズだけで攻撃力がある。
GM :
ではリナが狩猟して非人間性に常識をぶち込みます。
2-2 三ヶ月 里奈:狩猟
三ヶ月 里奈 :
まだ日が沈んで間もない夜。往来には車が行き交う。
七栄等花 :
いつもの時間ならば仕事帰りの人がいるはずであろう裏道。
七栄等花 :
血戒の効果により不思議と人はおらず、真っ直ぐ伸びる道路にはトウカが立っている。
三ヶ月 里奈 :
リナがそれに対峙する。
多宝院 那由 :
里奈に向かい合う。かつては肩を並べて戦っていた、狩人のことを教えてくれた先輩のような存在と。今は立ちはだかる敵として。
多宝院 那由 :
トウカを庇うように、一歩前へ。
多宝院 那由 :
見つめる。赤く光る瞳で。
三ヶ月 里奈 :
煌々と燃えるたいまつが、その赤い目をいっそう赤く照らす。
三ヶ月 里奈 :
「ナユ。キミはまだ、いつも通りの自分だと、自分で思うかい」
多宝院 那由 :
「…………」薔薇の香りが漂う。「……どうだろう。少なくとも、かつての僕ではない、けれど」
多宝院 那由 :
「……こちらのほうが自然、という気持ちは、あるかな」
三ヶ月 里奈 :
「人は誰しも抑圧されて生きている。ノブレスオブリージュ、持つ者ならば尚更」
三ヶ月 里奈 :
「抑圧から解放されたあとの自分と、される前の自分……どちらが本当の自分かというのは、興味深い問題だけれど……」
三ヶ月 里奈 :
「私が言いたいのは、そういう問題じゃない。的外れでも……ないけどね」
三ヶ月 里奈 :
「キミはまだ大丈夫かも知れない。でも、そうだね」
三ヶ月 里奈 :
「ナユ。トウカは今までのトウカだと、本当に思うかい」
七栄等花 :
トウカはナユを見つめている。
多宝院 那由 :
「それは……思わないな」微笑む。
多宝院 那由 :
「だって、トウカって、ずっと変わり続けてるんだ」
多宝院 那由 :
「人であったときも、人でなくなったあとも、ずっと変わってる。同じトウカはいない」
七栄等花 :
それはナユもだよ、というトウカの思考を、ナユは読み取ることができた。
七栄等花 :
視線から? 態度から? 血から? あるいは。
三ヶ月 里奈 :
「でも」
三ヶ月 里奈 :
「吸血鬼になれば、もうそれはお終いだ」
三ヶ月 里奈 :
「その先はない」
多宝院 那由 :
「君たちが終わらせるから?」
三ヶ月 里奈 :
「いや。そういうものなんだ」
三ヶ月 里奈 :
「死を失う代わりに、心の代謝が著しく低下する」
三ヶ月 里奈 :
「これはある研究機関のレポートだけれどね。吸血鬼になって何故残虐性が増すのか、簡単に人を殺せてしまうようになるのか、色々調査したらしいんだ」
三ヶ月 里奈 :
「価値観の変化もいくらか見られたけれど、何よりも、生前よりも感受性が低下している」
三ヶ月 里奈 :
「精神の変化が起きづらくなっているんだよ」
多宝院 那由 :
「…………」
多宝院 那由 :
トウカを見る。
七栄等花 :
ナユを見る。
七栄等花 :
小さく微笑む。
多宝院 那由 :
「……そう、」微笑み返して、里奈に向き直り。
三ヶ月 里奈 :
「トウカは既に死んでいる」
三ヶ月 里奈 :
「それは似た形をした影法師に過ぎない」
多宝院 那由 :
「……。……影法師だったとしても、たとえ泥の人形であったとしても、」
多宝院 那由 :
「それがトウカの意志で、トウカが望んだものなら、同じこと」
三ヶ月 里奈 :
目を細める。
多宝院 那由 :
「……これからトウカとともに生きるなら、同じような感受性になることを選んだ僕の選択は、間違ってなかったと言いきることができるね」
三ヶ月 里奈 :
「そうだね」
三ヶ月 里奈 :
「キミたちはきっと、永遠に、夜に遊び続けるだろう」
三ヶ月 里奈 :
「それとも、ナユ」
三ヶ月 里奈 :
「もしトウカがわずかにでも、元の感受性を取り戻せるとするなら、どうかな」
三ヶ月 里奈 :
「キミはそれを受け入れる? あるいは拒む?」
多宝院 那由 :
「それは僕が判断することじゃない。僕は保護者とか、そういうのじゃないし」
多宝院 那由 :
「トウカがどう思うか、だよ」
七栄等花 :
「私、は」
七栄等花 :
怯えた視線。後ろに後ずさる。ナユに向けての縋るような目と、リナに対する注視。
三ヶ月 里奈 :
リナは真っ直ぐ近づいてくる。
多宝院 那由 :
トウカの手を取る。同じ温度の手で、手を覆う。
三ヶ月 里奈 :
「ナユ。キミや生徒がトウカのことに気付かないでいたのは、六実優の敷いた反理想郷血戒によるものだ」
三ヶ月 里奈 :
「しかし、それよりも先に、トウカの不在について、気付くべき人がいるだろう」
三ヶ月 里奈 :
「学校に関係のない、トウカの身の回りの人物」
多宝院 那由 :
「……、……そう、だな」
三ヶ月 里奈 :
近づく。たいまつを持つ手とは反対側の手をポケットに差し入れる。
多宝院 那由 :
確かにそうだ。匿っているとき、ずっとそれが気がかりだった。
七栄等花 :
視線はリナを止められない。強い光に晒された目は、縫い止める力を失っている。
多宝院 那由 :
二人の間に立つ。茎が伸びて、紫色の花が咲く。
多宝院 那由 :
しかしそれは光を遮るには細く、少ない。
三ヶ月 里奈 :
駆け出す。出力を上げたたいまつを槍のように構えて。
三ヶ月 里奈 :
狩猟します。目標は『非人間性』退路。常識使用。
多宝院 那由 :
援護します。判定に+0。
三ヶ月 里奈 :
OK。
三ヶ月 里奈 :
2D6+3>=5 (判定:退路)
BloodMoon : (2D6+3>=5) > 7[2,5]+3 > 10 > 成功
三ヶ月 里奈 :
成功です。リナのテンションは10。激情獲得。
三ヶ月 里奈 :
気付けば、既にリナはトウカに届いていた。あまりに早い接近。
三ヶ月 里奈 :
たいまつがカラン、と地面に落ちている。リナはたいまつを手放していた。
三ヶ月 里奈 :
大質量から急遽解放された里奈は、その身体一つで包囲網をすり抜けて、トウカに触れる。
三ヶ月 里奈 :
炎が2人を引きつけていた。
三ヶ月 里奈 :
そしてリナは。
三ヶ月 里奈 :
『七栄等花の母』の遺骨を、トウカの大きな目一つに突き立てた。
九鹿 愛佳 :
…………!?
豊四季 一澄 :
失われる前のものを再び与える……
多宝院 那由 :
オエッ
多宝院 那由 :
幸福破壊シーンやめな!?!?
豊四季 一澄 :
里奈先輩も幸福に「正しさ」を持っている人なんだよな……
三ヶ月 里奈 :
結果的に幸福破壊しているシーンがリナの分増えた。
九鹿 愛佳 :
非人間性、トウカちゃんだからこそぐらつかせられるし、壊せるんだよな……って感じだ
七栄等花 :
「――――!!!」
多宝院 那由 :
「……!」吸血鬼になってすぐの、ふたつしかない瞳は、それを捉えられなくて、
三ヶ月 里奈 :
「トウカ」
三ヶ月 里奈 :
「わかっているだろう。覚えているだろう。ただ上手く、感じられなかっただけで」
三ヶ月 里奈 :
「キミが殺したんだよ。キミの、大切な人を」
多宝院 那由 :
トウカに向けた視線は、その一つの棒のようなものに吸い寄せられて、
七栄等花 :
無数の目をぎゅっとつむる。
七栄等花 :
ふらつく。よろけてナユの方へと倒れこむ。
多宝院 那由 :
「……っ、」わかってしまう。考えてしまう。その棒のかたちを、トウカのうごきを、里奈のことばを、その骨の意味を、
多宝院 那由 :
支えきれず、一緒に倒れる。
七栄等花 :
「おかあ、さん……!」
多宝院 那由 :
もうそうする必要はないのに、呼吸が早まるのを感じる。
七栄等花 :
触れたナユの身体にぎゅっとしがみ付く。
七栄等花 :
痛いくらいに。
七栄等花 :
ナユの身体に顔を押しつける。
多宝院 那由 :
抱きしめ返す。頭にそっと手をやる。
多宝院 那由 :
「……っ、」
多宝院 那由 :
「だいじょうぶだ、」
多宝院 那由 :
「……だいじょうぶ……」
七栄等花 :
「おかあさん、おかあさん……」
七栄等花 :
「ごめんなさい……」
三ヶ月 里奈 :
リナはたいまつを拾い上げ、2人を立ったまま見下ろしている。
多宝院 那由 :
ぼんやりと。もしも心臓が前と同じように動いていたなら、きっとトウカには、自分の動揺が強く感じ取られていただろう、と思う。
多宝院 那由 :
里奈を見上げる。睨む。
多宝院 那由 :
「……君は、」
三ヶ月 里奈 :
その視線を受け止める。
多宝院 那由 :
続く言葉が、出てこない。
多宝院 那由 :
「……、……君は、」
多宝院 那由 :
「……ほんとうにやり過ぎた性格の人だ」
三ヶ月 里奈 :
炎は苛烈に燃えている。白く輝く満月を染め上げている。
三ヶ月 里奈 :
「ああ」
多宝院 那由 :
「もう、どうだっていいだろう」
多宝院 那由 :
「ただ殺しにきてくれれば、いいのに」
多宝院 那由 :
「どうして、」
多宝院 那由 :
「……どうして……」
三ヶ月 里奈 :
「私は、正しいと信じている」
三ヶ月 里奈 :
「この残酷さを、私は、受け入れる」
多宝院 那由 :
「……今の僕にとっては、そうは思えない」
多宝院 那由 :
「……ああ。わかったよ」
多宝院 那由 :
「もう今の僕は……前までの僕ではないのだろうね」
三ヶ月 里奈 :
「……そうだね」
多宝院 那由 :
「……僕は、」
多宝院 那由 :
「今の僕なりに、正しいと信じていることをする」
七栄等花 :
トウカは変わらずにあなたにしがみ付いている。
七栄等花 :
震えている。
多宝院 那由 :
「それが、君たちを害することになっても」
多宝院 那由 :
「僕は……」
多宝院 那由 :
トウカを抱きしめる。
三ヶ月 里奈 :
リナはたいまつを構える。
多宝院 那由 :
スカートの裾から、服の端から、茎が伸びる。先程より多く、太く、長いものが。
多宝院 那由 :
それは伸びて、二人を覆い隠す。
多宝院 那由 :
薔薇の香りがして、
多宝院 那由 :
その茎が紫の花弁になり、はらはらと空気に溶けていって、
多宝院 那由 :
すべて散った後には、二人の姿は消えている。
九鹿 愛佳 :
もう血戒まで使いこなせる……!
九鹿 愛佳 :
無我夢中な気がするけれど
豊四季 一澄 :
何であっても飲み込みがすごく早そうなことが着々と裏付けられている。
多宝院 那由 :
僕は大体のことはけっこううまくやれるからね!
多宝院 那由 :
というかまあこれは
多宝院 那由 :
完全に「「「「想い」」」」の力ですね
九鹿 愛佳 :
熱い想い
三ヶ月 里奈 :
残された薔薇の香りのなかで、リナは溜息をつく。
三ヶ月 里奈 :
「……無力だな、狩人というのは」
GM :
ありがとうございました。
多宝院 那由 :
ありがとうございました!!!!!
GM :
すべての支配力が破壊され、耐久力は6ですね。
system :
[ 多宝院 那由 ] テンション : 6 → 9
GM :
リナは部位を破壊したので純潔騎士の証により打撃力が上がりました。
GM :
では、アイカの手番ですね。
九鹿 愛佳 :
えーと働かない頭で考えると……
援護+3に興奮剤借りて+2,激情前提で最低7だから、アイテム7つ分……?
豊四季 一澄 :
基本が7つ分、レアアイテムをもし得たいと思うならその分マイナス。
九鹿 愛佳 :
興奮剤1つずつ用意するにしても、、あと勝利の護符と骨ですかね、これ
豊四季 一澄 :
そうなりますね 骨は可能な限りほしい。
九鹿 愛佳 :
里奈先輩以外の2人のコストが全力で足りない
豊四季 一澄 :
愛佳さんの恐慌を考えても鎮静剤を取ってる余裕すらないかもしれない。
九鹿 愛佳 :
鎮静剤取ってる余裕皆無ですね……
豊四季 一澄 :
興奮剤2 護符2 骨3?
九鹿 愛佳 :
そうなりそうな気がしてきました。
九鹿 愛佳 :
先制判定では援護もらう前提で動くかもしれません(焼き肉のために
豊四季 一澄 :
調達と援護のコストだけでこちらのテンションが21点、しかしそれを払う価値がある。
九鹿 愛佳 :
その上に妨害もありますからね……
九鹿 愛佳 :
ああそうだ。
九鹿 愛佳 :
1個焼夷弾は真面目に検討中です
豊四季 一澄 :
ノータイム炎上は強い。
九鹿 愛佳 :
その場合骨2かな……?
九鹿 愛佳 :
愛佳なら通常アイテムと同じ補正で住むのもあり。
豊四季 一澄 :
レアアイテム補正-1と個数補正-1は同じなのか、アイテム1つ分(-1)と内訳レアアイテム補正(-1)で重複だと思っていた。
九鹿 愛佳 :
ああ、アイテムの個数+レアアイテム補正だから重複しそうですね。
累計-8に、修正+5で、激情前提で行く感じになりそうです。
豊四季 一澄 :
どちらにせよこの調達は激情前提になると思うので、それで取れるなら問題なし。
九鹿 愛佳 :
残ったら残ったでそれはありがたく……!
2-3 九鹿 愛佳:調達
九鹿 愛佳 :
では、調達判定を行おうと思います。
GM :
はい。
GM :
内容は決まってたら先ダイスやっちゃっても大丈夫。
九鹿 愛佳 :
では、興奮剤2,勝利の護符2,狩人の骨2,焼夷弾1(愛佳がウィッカーマンなのでペナルティ-1)
GM :
おっけー。
九鹿 愛佳 :
ペナルティ合計-8で、里奈先輩から興奮剤借りようと思います
GM :
いいですよ!
九鹿 愛佳 :
そしてイズミちゃんからも援護をいただければ
GM :
特技は任意ですね。
豊四季 一澄 :
というわけで援護を行います。
多宝院 那由 :
あ! あの! 援護します!!! なんと……+1!!!
GM :
OK。
九鹿 愛佳 :
では特技は……、機を狙って再び準備をしているということで、【隠れる】にしようと思います
GM :
いいですよ!
九鹿 愛佳 :
では、修正は……興奮剤2,イズミちゃんの援護3,ナユちゃんの援護1で……6になります
GM :
仲間からの援護がたくさんですね!
九鹿 愛佳 :
たくさん……たくさんですね!!!!!1
九鹿 愛佳 :
ふう……ふります
GM :
はい!
九鹿 愛佳 :
2D6-8+6>=5 (判定:隠れる)
BloodMoon : (2D6-8+6>=5) > 11[5,6]-8+6 > 9 > 成功
九鹿 愛佳 :
仲間の力ですね
GM :
友情パワーでゲットです。
九鹿 愛佳 :
ではロケーションを…・・・
九鹿 愛佳 :
ST
BloodMoon : シーン表(3) > 血まみれの惨劇の跡。いったい誰がこんなことを?
九鹿 愛佳 :
ふふっ
GM :
惨事。
九鹿 愛佳 :
まさかさっきのシーンの直後なんですか……?
多宝院 那由 :
さっきのシーン血あったか!?
多宝院 那由 :
あったかも
GM :
ああ、そうですね。
GM :
ナユは今血まみれですよ。
多宝院 那由 :
そうですね……
GM :
トウカが全身から血を流していたので。
九鹿 愛佳 :
いったい誰がこんなことを?→里奈先輩
GM :
涙の代わりに。
多宝院 那由 :
そうですね………………
GM :
というわけで、隠れながら色々と物資を調達していました。場所は路地裏みたいなところかな。
GM :
室外機から生ぬるい風が漏れている。
九鹿 愛佳 :
そうですね。 三ケ月家に準備しておいてもらって、いつでも取りにいけるようにしておいてあったのかもしれません。
GM :
狩人は結構、事前に町中にアイテムを隠したりしてますね。
九鹿 愛佳 :
満月の日を前にして、必要な道具を準備をしていた場所へと赴く。
GM :
コインロッカーとか、無造作に置かれるゴミ箱とか。
多宝院 那由 :
路地裏の奥から甘い香りがする。
九鹿 愛佳 :
路地裏だったら、無造作においてあるゴミ箱だったり散乱してるものに隠したり。
GM :
今ならMAPアプリがあるので隠し場所にいくのは結構簡単になりました。
九鹿 愛佳 :
自分の道具を隠してあった路地裏にたどり着く。そこでふと、脚を止める。
九鹿 愛佳 :
漂う匂い。これは……、少し前に、嗅いだことがあるような。
九鹿 愛佳 :
紅い紅い、薔薇の匂い。
多宝院 那由 :
「三ヶ月家は別の道を曲がったところだ」あなたに向かって語りかける声がある。
多宝院 那由 :
「あと、そこの角を曲がると公園にベンチがあるね」
九鹿 愛佳 :
「……、……」 その声は、よく知っている声で。
多宝院 那由 :
「深夜もやってる食事処は、そこのもう少し奥かな」
多宝院 那由 :
薔薇の香りが近付いてくる。人影がはっきりとしてくる。
九鹿 愛佳 :
自分よりもよく知っているかもしれない。彼女は、そう。なんだってなんでもなさそうに、完璧にこなすから。
多宝院 那由 :
「休憩するならこんな路地裏よりそちらのほうがいいよ。……そのまま朝を迎えてくれるとありがたいんだけどな」
九鹿 愛佳 :
路地裏に見えた人影に、わずかに、足が震える。
九鹿 愛佳 :
「……、ナユ、さん」
多宝院 那由 :
ふたりの間を紫色の花弁が一瞬だけ遮り、それは地に落ちる。
多宝院 那由 :
暗がりの中、赤い瞳があなたを見ている。
多宝院 那由 :
そのことがわかるくらい、光を持った瞳で。
九鹿 愛佳 :
その場に、自然にあるはずのない花びらが、揺れて地面に沈んでいく。
九鹿 愛佳 :
「……、……休憩、しにきたわけではないです。私は――」
多宝院 那由 :
「でも、疲れたでしょう?」
九鹿 愛佳 :
「……このままなにもなく、満月が欠け始めた朝を迎えるつもりはないので」
多宝院 那由 :
「……どうして?」
九鹿 愛佳 :
「……ッ……!」
九鹿 愛佳 :
調達判定なのに殺意を鈍らせに来てもらえている
GM :
たしかに
九鹿 愛佳 :
狩人仕草してたときはそんなにお話できなかったのに~~~
多宝院 那由 :
最初にやったじゃん! 交流!(失敗したけど……………………)
九鹿 愛佳 :
あれがすべてのはじまりだったのか……(5は出ると思っている初心者だったな……
豊四季 一澄 :
考えたら…抱いた期待を伝える間すらなく……?
九鹿 愛佳 :
勝手な期待ではありましたけどね……
九鹿 愛佳 :
最初から持っている人に見えていたので
多宝院 那由 :
「この日さえ終われば、僕らは君たちを傷つけることはない」
多宝院 那由 :
「……というかね、あんまり誰も傷付けるつもりはないんだよ」
九鹿 愛佳 :
「……トウカさんにも、言われましたね」
多宝院 那由 :
「だって、冷静に考えたら当然なんだ」
多宝院 那由 :
「人に危害を与えたら、殺される」
九鹿 愛佳 :
「誰にも手を出さず、このまま消えたら、見逃してくれないのか、って」
九鹿 愛佳 :
「……」
多宝院 那由 :
「リスクがありすぎるだろう。別に、死にたくてこうなってるわけではないんだよ」
多宝院 那由 :
「現代には輸血パックなんていう便利なものもあるし。誰も傷付けずに血をもらうことができる」
多宝院 那由 :
「……って、この話はしたよね。僕の人生計画の話。たぶん、トウカの干渉があっても聞くことはできていたよね」
九鹿 愛佳 :
「……はい、あのときには……聞こえてましたね。……その、……トウカさんとの」 後半はしどろもどろ。
多宝院 那由 :
「……ねえ、あれ、何がトウカを恥ずかしくしていたと思う?」
多宝院 那由 :
「わかんなかったんだけど……」
九鹿 愛佳 :
「……、……」 真正面から聞かれて、思わず。
九鹿 愛佳 :
真面目に考えてしまう。
九鹿 愛佳 :
「その……、トウカさんはずっとナユさんを見ていたわけで、」
九鹿 愛佳 :
「そのナユさんが、トウカさんをちゃんと見ているのが言葉からも分かったから……、とかでしょうか」
九鹿 愛佳 :
トウカは見るのは得意そうだが、見られるのはもしかしたら、そうでもないのかもしれない。
多宝院 那由 :
「なるほど……」真剣に考え始める。
多宝院 那由 :
「……いや、僕だってちゃんと見てたはずなんだ。トウカには劣るかもしれないけどさ、ちゃんと見て……色々伝えていた、と思う」
多宝院 那由 :
「吸血されるのも、良かった日にはちゃんとどのあたりがどう良かったかとか……解説してたし……」
GM :
感受性が鈍っているのでは???????????????
多宝院 那由 :
そうですね……………………
GM :
アイカちゃんの困り顔がはまりすぎてて笑う
多宝院 那由 :
でもわかんないっていってる
多宝院 那由 :
ほんとだよ
豊四季 一澄 :
この空間、ツッコミがいないのでは?
多宝院 那由 :
ほんとだよ!!!!!
多宝院 那由 :
ツッコミ役がいない ひたすら進行していく
GM :
必要ならイズミちゃんも出て良いからね
多宝院 那由 :
ツッコむために???
GM :
ツッコミ援護
豊四季 一澄 :
なかなか戻ってこないから心配して来たらツッコミ不在空間が広がっていた。
九鹿 愛佳 :
なぜ吸血鬼の恋愛トークを真面目に考えているのだろう
GM :
面白い
豊四季 一澄 :
でもすごく……いい人だなと思うな……
GM :
いい人だね……
多宝院 那由 :
いい人だな
九鹿 愛佳 :
「……、……」 あまりにあけすけに2人の日常が路地裏に零されている。
九鹿 愛佳 :
……、……トウカが聞いていたらどうなることやら。
多宝院 那由 :
「……。……えっと、今のもダメ?」
九鹿 愛佳 :
「あっ、いえ……」
多宝院 那由 :
「わかんないんだ、その……いままで、ずっと、みんなのためになるような、正しいことしか言ってなくて」
九鹿 愛佳 :
「……、思っていることを伝えるのは、良いことだと思いますが……」
九鹿 愛佳 :
「……」
多宝院 那由 :
「……だよな?」
九鹿 愛佳 :
この人は、多宝院那由という人物は、
九鹿 愛佳 :
そうだったんだ、とあらためて思い知らされる。
九鹿 愛佳 :
多宝院家の令嬢として、責任、周りからの視線。
九鹿 愛佳 :
「……あのとき、屋上で、吸血鬼を狩ることを決めたときも、そうでしたか?」
九鹿 愛佳 :
「……みんなや、そのときはトウカさんののためになるような、正しいことだから」
多宝院 那由 :
「もちろん、」
多宝院 那由 :
「……と言いたいところだけど」
多宝院 那由 :
「アレはね、別に、みんなのためではない。……いやまあ、みんなのためでもあるだろうが、それ以上に」
多宝院 那由 :
「……トウカを、守りたくて」
多宝院 那由 :
「それだけだった」
九鹿 愛佳 :
「……、……そうですね」
多宝院 那由 :
「みんなとかじゃなく……トウカが、ずっとね、いてくれればいいなって」
九鹿 愛佳 :
「……私も、そうでした。両親が殺されたから」
九鹿 愛佳 :
「残った家族を、守りたくて、そうしないといけないと思って」
多宝院 那由 :
「……うん」
九鹿 愛佳 :
「……、……どうしてこうなってるんでしょうね」
多宝院 那由 :
「……でも、僕は、変わってないよ」
多宝院 那由 :
「いや、きっと変わり続けるのだろうけど。それでも」
多宝院 那由 :
「トウカを守るためにいる。それは変わらない」
多宝院 那由 :
「そのために僕は、この姿になった」
九鹿 愛佳 :
「……はい。……よく、知ってます」
九鹿 愛佳 :
地下通路でも、その決意を聞いた。
多宝院 那由 :
「…………。……でもね、」
多宝院 那由 :
「もしも、もしもね」
多宝院 那由 :
「トウカが六実に殺されてしまう前に、僕が狩人になれていたら、って」
多宝院 那由 :
「思わなくは、ないんだ」
九鹿 愛佳 :
「……、……」
多宝院 那由 :
「……どうして、こうなったのだろうね……」
多宝院 那由 :
エーン 幸福破壊したいよ~
多宝院 那由 :
このまま幸福破壊したいよ
多宝院 那由 :
(調達)
七栄等花 :
かわりに頑張るよ!
豊四季 一澄 :
そう 次から連チャン……
九鹿 愛佳 :
3人連続……
九鹿 愛佳 :
そうだ。本人も言っていたように、トウカもまた吸血鬼の被害者。
九鹿 愛佳 :
だからといって、その怪物性が変わるわけでもなく。
九鹿 愛佳 :
ボタンの掛け違いみたいに。
九鹿 愛佳 :
ひとつズレていたら、同じことをしていたのだろうか。
九鹿 愛佳 :
「……輸血パックがあるから、って簡単に言っていましたけれど」
九鹿 愛佳 :
「……普通は、手に入らないですよ。狩人だったらともかく」
九鹿 愛佳 :
「……今回も、それで気づかれたぐらいなのに」
多宝院 那由 :
「…………施設侵入くらいなら、大目に見てくれないかな? 殺人と比べたら、ほら……」
九鹿 愛佳 :
そのあたりのリスクを簡単に考えられてしまうのは、簡単に「できてしまう」からなのかもしれない、気がした。
九鹿 愛佳 :
「……ドロボウはドロボウで、やっぱり大目に見てもらえないと思いますよ」
多宝院 那由 :
「……そっか」
多宝院 那由 :
落雷は突然、ひとつの木を焦がし。
多宝院 那由 :
人は、目についた鮮やかな花を摘む。
多宝院 那由 :
それは平等で、誰にでも、何にでも起こりうることで。
多宝院 那由 :
偶然それが自分たちであったことを、それが大切な人であったことを、受け入れられないだけ。
多宝院 那由 :
「……人間だって、何かを殺さないと生きていけないのにね」
九鹿 愛佳 :
「……それには……返す言葉も、ないですね」
多宝院 那由 :
マジで苦しいよこのロール やっぱり幸福破壊なんじゃないのか?
多宝院 那由 :
(調達)
七栄等花 :
ただの調達なのに……
豊四季 一澄 :
狩人の根幹を抉っている(調達)
九鹿 愛佳 :
生きていくだけで何かを殺しうるのは、どんな生き物も、同じかもしれない。
多宝院 那由 :
「トウカがさ、たくさん見たくて、ああいう姿になったのなら」
多宝院 那由 :
「僕のこの姿は、きっとトウカに見てもらうために、あって」
多宝院 那由 :
「だから、」
九鹿 愛佳 :
「そうですね、……そうなのかも、しれません」
多宝院 那由 :
「僕は明日もトウカに見てもらうために、今日を生きるよ」
九鹿 愛佳 :
「……はい」
九鹿 愛佳 :
「……それでも、私は」
九鹿 愛佳 :
「……吸血鬼を、殺します。……大事な人を守るだけじゃなくて……、トウカさんのような人が、増えないためにも」
多宝院 那由 :
「……じゃあ、今日君たちに殺されなかったら」
多宝院 那由 :
花弁が舞う。
多宝院 那由 :
「トウカみたいな人を増やさないように、僕らも頑張るから」
多宝院 那由 :
「だからね、」
多宝院 那由 :
花弁が舞う、レースのカーテンのようにふたりの間を遮る。
多宝院 那由 :
「そういう吸血鬼もいるということを、覚えておいて」
九鹿 愛佳 :
立場を隔てるように、花びらは分かつ。
多宝院 那由 :
花吹雪が舞って、あなたの視界を覆って。
多宝院 那由 :
それが晴れると、そこにはもう誰もいなくなっている。
九鹿 愛佳 :
「……、……」 視界は、花びらに覆われる。
多宝院 那由 :
紫の花弁1枚だけを残して。
九鹿 愛佳 :
「……ナユさん……」 消えた吸血鬼の、名前を小さく零した。
九鹿 愛佳 :
しばらく、その場に立ち尽くす。
豊四季 一澄 :
その声をかき消すように、ぱたぱたと忙しない足音が近づいてくる。
豊四季 一澄 :
振り向けば近づいてくるたいまつの灯。
九鹿 愛佳 :
ぼうっとしていたところに、足音。気づいて、そちらを見た。
九鹿 愛佳 :
「……イズミさん、……すみません。遅くなっていて」
豊四季 一澄 :
遠目からその近辺に人影のないことを確認し、接近してまず目を向けるのは足元。何もないとわかれば胸を撫で下ろす。
豊四季 一澄 :
「大丈夫そうでよかった」
九鹿 愛佳 :
「大丈夫です。……少し、あの薔薇の香りを思い出してしまっただけで」
九鹿 愛佳 :
「里奈さんも待っているでしょうから、道具を取ったら、戻らないといけないですね」
豊四季 一澄 :
その言葉でまた、こちらもあの匂いを思い出す――思い出す? いいや。まだかすかに、この場にその残り香がある。
豊四季 一澄 :
「……遅いし、その……会ったのかもしれない、とは、思ってたけど」
豊四季 一澄 :
「もしかして、七栄さんじゃ、なく……?」
九鹿 愛佳 :
「……ナユさんが、……当たりでもつけてたんでしょうか。いました」
九鹿 愛佳 :
「話したのは、この前トウカさんと話したのと似たようなことでしたけれど」
九鹿 愛佳 :
「……それでも、私がやることは、変わらないので」
九鹿 愛佳 :
そういうと、いろいろ隠していた道具を取り出して。
豊四季 一澄 :
「……何度でもそう言える九鹿さんってさあ、やっぱり、強いんだと思うな」
豊四季 一澄 :
「それ言っちゃったら、向こうだってそうなるんだけど」
豊四季 一澄 :
「あ、半分持つよ」細々としたものではあれ、手はあるほうがいい。
九鹿 愛佳 :
「お互い様、なのかもしれないですね」
九鹿 愛佳 :
ありがたいイズミの申し出を受け入れて、いくらか荷物を持ってもらう。
九鹿 愛佳 :
「ありがとうございます、助かります」
九鹿 愛佳 :
アイテムは、
イズミ:興奮剤、狩人の骨、勝利の護符
アイカ:興奮剤、狩人の骨、勝利の護符、焼夷弾
九鹿 愛佳 :
でお願いします
GM :
OK!
九鹿 愛佳 :
イズミにいくらか道具を持ってもらって、合流場所へと向かっていく。
豊四季 一澄 :
道具を受け取って、その後を追う。
九鹿 愛佳 :
満月の夜は、少しずつ進んでいく。
GM :
ありがとうございました!!
system :
[ 豊四季 一澄 ] テンション : 15 → 18
system :
[ 多宝院 那由 ] テンション : 9 → 12
[ 多宝院 那由 ] 激情 : 0 → 1
GM :
めちゃめちゃなんか……離反したから出来たシーンでうれしいな
多宝院 那由 :
離反ならでは!
多宝院 那由 :
ほんとにありがたいですね
GM :
いいシーンだよ……
多宝院 那由 :
いや~~~~ めちゃくちゃありがたい めちゃくちゃありがたかった……ありがたい……
九鹿 愛佳 :
鏡合わせとか表裏みたいなの、めちゃくちゃになるけど大変好きです
多宝院 那由 :
1話との対比 キャンペーンならではの奥深さであることだな……
GM :
どうしようかな。次のシーン、いっちゃうか? いっちゃうか。
2-4 七栄等花1:破壊
GM :
公園。
豊四季 一澄 :
もう公園って単語が出てきただけで身構える体になってしまったな……
多宝院 那由 :
あっ公園!?
多宝院 那由 :
アッ
九鹿 愛佳 :
あ゛っっっっ
九鹿 愛佳 :
やだ……
多宝院 那由 :
助けて
豊四季 一澄 :
でも調達の直後でここなのシーンの流れとしても納得しかないんだよな……
豊四季 一澄 :
それはそれとして胸が痛すぎるよ あんなに……あんなにいい……人生をファンシーに破壊されても他人へ手を差し伸べてくれる人が……
GM :
キッチンカー。店じまいはとうに済んでいる。
GM :
満月の夜にだけ、さんくちゅありのキッチンカーは別の姿を見せる。
GM :
今日も戦っている狩人に、犬吠埼は物資を供給する。
GM :
秘密のレシピのクッキー、マカロン。
GM :
言えない製法のお守り。
GM :
ラベルが乱雑に剥がされた輸血パック。
GM :
銃弾の出所は聞いちゃいけないことになっている。
GM :
無線が入り、犬吠埼は運転席に戻りアクセルを踏む。夜の街を駆ける。
GM :
大きな車体は空気抵抗が大きくて、なんとも狩り向きじゃあないと思うけど。
GM :
助手席に置かれたダンボールを、陸橋のポイントから放り投げる。
GM :
遅れて地面に衝突する音。ちゃんと梱包材は詰めたから、あとは狩人が拾ってくれるのを待つだけ。
GM :
あとは、里奈ちゃんから頼まれていたものか。
GM :
再び夜の街を流す。温い空気が毛に覆われた耳を撫でる。くすぐったい。
GM :
大きな交差点にさしかかる――
多宝院 那由 :
丁寧だな……
多宝院 那由 :
これから壊されるものを丁寧に描くのがうまい!
多宝院 那由 :
助けて
九鹿 愛佳 :
こわい…………
豊四季 一澄 :
あっ ああ
九鹿 愛佳 :
やだ……
多宝院 那由 :
ウウウーーーー
多宝院 那由 :
いや マジで 普通にきつい 普通に
GM :
パン、という乾いた音が聞こえる。
GM :
それからすさまじい轟音、振動。ハンドルがとられる。
GM :
いや。ハンドルを回そうにも、タイヤが完全にロックしている。
GM :
いけない、このままでは――
GM :
豊四季 一澄の幸福、『さんくちゅありの狩人』を破壊します。
九鹿 愛佳 :
妨害を宣言しておきます。
GM :
OK。
GM :
ast
BloodMoon : ランダム全特技表(5,11) > 脚部11:伏せる
多宝院 那由 :
6! 近い
九鹿 愛佳 :
6か……
豊四季 一澄 :
基礎6、防御力+1、隠密-3.
九鹿 愛佳 :
防御込みで5だけど……隠密!!!
多宝院 那由 :
興奮剤で相殺、援護もあればいけるかな……
九鹿 愛佳 :
どこまでやるかちょっと悩み中
九鹿 愛佳 :
さっき残せた激情も最悪……あるので……
多宝院 那由 :
いやめっちゃ狩人目線になっちゃうよ
豊四季 一澄 :
ここで援護するともう2つめの激情が手に入ってしまう。
豊四季 一澄 :
いやでも……するな! いざとなったらこちらが激情を持って素妨害する手も取れるようになるし…
九鹿 愛佳 :
ここでテンション21か……、悩ましさ
九鹿 愛佳 :
イズミちゃんはかなり軽量に攻撃はできるけど!
豊四季 一澄 :
前回よりはずっと軽量化されたので、戦闘中に考慮すべきは回避とブロックとくらまし2だけ!
多宝院 那由 :
えっと、じゃあ援護はして、これでえっといくつだ?
九鹿 愛佳 :
戦闘中の考慮、戦闘中の援護もありましたね……(最初の1回で住むかな
豊四季 一澄 :
6+1-3+3=5
豊四季 一澄 :
基礎6 防御力+1 隠密-3 援護+3 最終目標値が5.
多宝院 那由 :
じゃああとは興奮剤で3にするかどうかだな……
九鹿 愛佳 :
ここはがんばって通すしか……ないな……
豊四季 一澄 :
じゃあ援護出してきます。
九鹿 愛佳 :
インナーPLは興奮剤を使えという
多宝院 那由 :
それは私がなにか言えることではないので……なんか……がんばれ!!!
九鹿 愛佳 :
2D6+1+3-3>=6 (判定:這う)
BloodMoon : (2D6+1+3-3>=6) > 12[6,6]+1+3-3 > 13 > スペシャル(【余裕】+3)
九鹿 愛佳 :
思い切り間違えたよ
豊四季 一澄 :
幸先がいいなあ。
多宝院 那由 :
わらってる
多宝院 那由 :
いける!!!!!
多宝院 那由 :
がんばって………………
九鹿 愛佳 :
よかった……、援護……!ありがとう……!
九鹿 愛佳 :
ここのスペシャルはPLの意気込みです
豊四季 一澄 :
心の底からしてよかった援護。
GM :
こっちでスペシャルだしてた
多宝院 那由 :
スペシャル、この卓で初めて見たな……
豊四季 一澄 :
ファンブルはあんなに見たのに……
GM :
タイヤを破壊されたさんくちゅありのキッチンカーが、歩行中の一般人を巻き込む。
GM :
そのまま交差点の中に突っ込む。けたたましいクラクションも、フロントガラスが砕け散る音の前では聞こえない。
GM :
ちょうど交差点に入ってきたトラックがキッチンカーに側面からぶつかり、横転。
GM :
車体は逆さまになったまま信号を支える柱にぶつかる。
豊四季 一澄 :
妨害に対する援護を宣言します。
GM :
OK。
GM :
衝突したトラックの後続車両もまた停止しきれず、玉突き事故を引き起こす。
GM :
柱に挟まったキッチンカーが、大きく歪んだ。
九鹿 愛佳 :
では、防御で+1,援護をもらって+3,隠密で-3で判定いきます。
GM :
OK。判定を。
GM :
満月の夜に起きた突然の惨劇に、現場は騒然としている。
GM :
すぐに通報はされ、警察や消防車両は動き出している。
GM :
だが。
九鹿 愛佳 :
2D6+1+3-3>=6 (判定:這う)
BloodMoon : (2D6+1+3-3>=6) > 6[3,3]+1+3-3 > 7 > 成功
GM :
あるいはその場に居合わせれば、キッチンカーのガソリンタンクが破損して、ガソリンが漏れ出していることに気付くだろう。
GM :
成功ですね。
GM :
衝撃音を聞いて、アイカはすぐにその事故に気付いた。
九鹿 愛佳 :
さっきの調達に合わせて、予定の場所で里奈の物資を受け取ろうとしたら。
九鹿 愛佳 :
けたたましい音、悲鳴。急ぎその方角へと駆ける。
GM :
横転してぐしゃぐしゃになった車両をあなたは見るでしょう。
GM :
それがさんくちゅありのキッチンカーであることも、あなたはわかる。
九鹿 愛佳 :
「あれは……!」
GM :
タイヤが不自然に破壊されているのも、狩人の熟達した洞察力ならばわかる。
GM :
あるいは犬吠埼のことを、イズミから聞いているかもしれませんね。
九鹿 愛佳 :
もしくは、里奈から物資の事も合わせて聞いてそうですね。
GM :
あわせて既知ですね。
九鹿 愛佳 :
犬吠埼の、さんくちゅありのキッチンカー。
GM :
中にいる犬吠埼が無事かはわからない。
GM :
だが、このままでは無事で済まないのはわかるだろう。
豊四季 一澄 :
後ろからついてきて、潰れている車体を見れば息を呑む。夜に立ち上る煙の中でも目を惹く、色鮮やかなキッチンカーの車体。
九鹿 愛佳 :
「ッ……! イズミさん、行きましょう!」
九鹿 愛佳 :
ついてきたイズミの気配に、後ろを振り向かずに言い、駆け出す。
豊四季 一澄 :
今やそれは見るも無残な、色だけを残したくしゃくしゃの鉄塊。固まった脚を、隣からの声で何とか動かして。
九鹿 愛佳 :
近づいてみれば、タイヤの壊れ方が明らかに人為的で。
豊四季 一澄 :
一秒でも早く辿り着くために、たいまつを路上に放り捨てた。がらがらと、金属とアスファルトの鳴る音。
九鹿 愛佳 :
もしかすると、狙っている何者かがいるのか。
注意をしながら、イズミとともに車の扉を開け放とうとする。
九鹿 愛佳 :
ひしゃげてたら、杭でこじ開けたりするかもしれません。
豊四季 一澄 :
それが結果としては僥倖。現場に漂うすっかり嗅ぎ慣れた臭いを鑑みれば。「……これ、燃料、出てっ……!!」
豊四季 一澄 :
焦燥に追われながら、共に力いっぱい運転席の扉を引く。
豊四季 一澄 :
もう消火も習得できるレベルなので、燃料の種類とか消し方にはある程度習熟しているはず。
犬吠埼 :
なるほどね。
多宝院 那由 :
てこの原理~!
豊四季 一澄 :
臭いがしたら気化してるってことだから火は絶対に焚くな、炎使いのはじめの一歩。
多宝院 那由 :
いちばんはじめにパイセンに教わったんだなあ…………………………………………
多宝院 那由 :
マジで苦しいな
多宝院 那由 :
本当にどういう感情を抱いていいのかわかんない 幸福破壊されなかったことを何より喜んでるよ
多宝院 那由 :
人間と吸血鬼の間でぐちゃぐちゃになってる……PLが……
犬吠埼 :
ひしゃげた天井とシートに挟まれていますね。腕だけ出ている。
犬吠埼 :
腕はでも、動いてます。
犬吠埼 :
もがくように、何か掴もうとして。
豊四季 一澄 :
「……犬吠埼さん!! 犬吠埼さんッ!!」
九鹿 愛佳 :
「……イズミさん、犬吠埼さんの手を!」
犬吠埼 :
「――! ――!」
豊四季 一澄 :
その名前を叫びながら手を取る。
九鹿 愛佳 :
言いながら、挟まれているところに杭を差し込んで、持ち上げて、空間を作る。
犬吠埼 :
犬吠埼の黒く尖りがちな爪をした手が、あなたの手を掴む。
豊四季 一澄 :
その爪が強く食い込む感触ですら、今は何よりも頼もしい。
犬吠埼 :
てこの原理を作用された車体が、めきめきと音を立ててこじ開けられる。
犬吠埼 :
それから、ずるりと出てくる。
犬吠埼 :
「わーーーありがと!!! 死ぬかと思った!!」
犬吠埼 :
けほけほとむせながら身体を引きずり出し。
九鹿 愛佳 :
犬吠埼が引っ張り出されてくると、すぐに、イズミの言葉と、周囲の臭いに意識が向かう。
九鹿 愛佳 :
「急いで離れましょう。このままここにいるのは、危なそうです」
豊四季 一澄 :
聞き慣れた、大きくて優しい声だ。その身体のすべてが外へ出てきたことを確認すれば、「よかった…………」とその胸へ身体を預けそうになるも。
豊四季 一澄 :
そうだ。危機はまだひとつしか去っていない。
九鹿 愛佳 :
ガソリンもそうだし、キッチンカーの車を狙った相手も分かっていない。
犬吠埼 :
イズミに身体を預けながら、犬吠埼は不意に耳をピンと立て。
犬吠埼 :
懐から拳銃を抜き出して、すぐ近くの脇道に発砲する。
犬吠埼 :
「……惜しい、逃げちゃった」
豊四季 一澄 :
密着した身体が、発砲音にびくりと震えたのがわかる。
九鹿 愛佳 :
犬吠埼の動きを見て、つられて発砲した方向を見る。
犬吠埼 :
「ごめん、このまま担ぎ出してもらってもいいかな。……人前で発砲しちゃったし」
犬吠埼 :
一瞬張り詰めた気配を見せた犬吠埼ですが、調子はあまりよくなさそうですね。
九鹿 愛佳 :
「……そうですね、ここは……目立ちますし」
九鹿 愛佳 :
すぐにでも野次馬が飛んでくるかもしれない。その前に。
犬吠埼 :
「普通の病院、アウトだし」
豊四季 一澄 :
一も二もない、という風に頷いて。「……ていうか、どっかで休まないと、……三ヶ月さんに連絡してみる?」
九鹿 愛佳 :
「……そうですね、少し離れた場所に行ってから……、イズミさん、一緒にいいですか?」
犬吠埼 :
「あ、路地裏で転がしといてくれればいいよ、みんなは狩りに専念して」
九鹿 愛佳 :
流石に一人で抱えあげるのは無理そうなので、イズミと一緒に路地裏かどこか、目立たない場所へ移動させときましょう。
豊四季 一澄 :
「いいけど路地裏は流石にちょっと、……ねえ、やっぱり三ヶ月さんにさ」とごねながら肩を貸して移動させます。
九鹿 愛佳 :
「連絡だけして、誰か迎えが来れるようにしておきましょう」
犬吠埼 :
「うん、それじゃあお言葉に甘えて。ありがとうね」
九鹿 愛佳 :
というわけで、里奈に繋いで、三ケ月家か関係者に来てもらえるように手配してみましょうか
犬吠埼 :
心配を素直に受け取ります。
三ヶ月 里奈 :
『わかった。うちのメイドを行かせるよ』
九鹿 愛佳 :
「犬吠埼さんのキッチンカーが狙われたようで……、よろしくお願いします」
三ヶ月 里奈 :
『ああ。キミたちも気をつけて』
九鹿 愛佳 :
自分たち分の調達も終えたので戻る旨も伝えて、イズミと犬吠埼の様子を見る。
九鹿 愛佳 :
犬吠埼をより心配しているのは、きっとイズミのほうだ。
豊四季 一澄 :
「……犬吠埼さんて、自分のこと心配しなさすぎなんですってば」
犬吠埼 :
「え、そんなことないよ」
犬吠埼 :
「本当に大丈夫だから。ね」
三ヶ月 里奈 :
『犬吠埼さんに、あんまり無理しないように言い聞かせておいてほしい』
三ヶ月 里奈 :
『まああの人、私より強いけど』
多宝院 那由 :
そうなの!?!?
犬吠埼 :
本気を出したら3mになります。
多宝院 那由 :
え???
豊四季 一澄 :
犬アビリティ群、犬が3mに巨大化するアビリティが実在するんだよな……
多宝院 那由 :
レベル5以上だ……
多宝院 那由 :
あっ 鉄爪もあるじゃん
多宝院 那由 :
完全に鉄爪の描写あったもん
多宝院 那由 :
レベル6以上だ……
豊四季 一澄 :
「あんな状況、映画くらいでしか見たことないのに」
九鹿 愛佳 :
やりとりをする2人を見る。こんなときに目を向けるものではないかもしれないが……イズミの言っていたとおり、別の耳が生えている。
九鹿 愛佳 :
「わ、わかりまし……た……!」 確かに、普通の人だったらあの事故は即死していてもおかしくない。
九鹿 愛佳 :
とは返すものの、既にイズミが言ってくれているので、その点は大丈夫そうだ。……里奈より強いらしい犬吠埼が、それで大人しくなるかは別として。
豊四季 一澄 :
「そのすぐ後に大丈夫って言われても説得力ないし」
豊四季 一澄 :
「…………ほんとに、ほんとに……だめかと、思ったんですよ……」
犬吠埼 :
「ごめんね、ごめん」
犬吠埼 :
「びっくりしたよね」
豊四季 一澄 :
がくがくと頷く。
犬吠埼 :
「ちょっとあのときハイになってただけだから。ね。無理しないから」
九鹿 愛佳 :
「(……これは効いているのかも)」
豊四季 一澄 :
「…………約束ですよ」むう。「ちゃんと三ヶ月さんのトコにいてくださいよ、抜けだしたりとか絶対しないで」
犬吠埼 :
「約束。うん。約束」
犬吠埼 :
「三ヶ月さんちのベッドすごくふかふかだもんね。うん。あとメイドさんに怒られるしね」
犬吠埼 :
「一回通った抜け道塞がれちゃったしね」
豊四季 一澄 :
「何回やってるんですか!?」と堪らず声を荒げつつ、
犬吠埼 :
「じょ、冗談! 冗談だってば!」
豊四季 一澄 :
「冗談ならいいんですけどねー、いーんですけどねー」と若干むくれながら、小指を差し出す。
豊四季 一澄 :
「ちゃんと約束してください、そういうことしないって。あと冗談じゃないって」
犬吠埼 :
「……はい。約束します」
犬吠埼 :
小指に小指を絡めて。
犬吠埼 :
「その代わり、イズミちゃんもね」
犬吠埼 :
「危ないと思ったら、ちゃんと逃げなさい」
犬吠埼 :
「あなたの命が、一番、大切なんだからね」
犬吠埼 :
犬吠埼のよく見れば不思議な色をした目があなたを真っ直ぐ見て言った。
豊四季 一澄 :
桃色の爪と、黒ずんで尖った爪。こうして触れ合えば、その心身に起きた変化がよりはっきりとした差異としてわかる。それでも。
豊四季 一澄 :
「…………うん。あたしも、約束します」
豊四季 一澄 :
その心は、いまだもってヒトであると、はっきり理解できる。
犬吠埼 :
「よし」
犬吠埼 :
最後にイズミの頭をよしよしと撫でる。
九鹿 愛佳 :
「……じゃあ、私達も行きましょうか、イズミさん」
豊四季 一澄 :
機嫌よく撫でられていた。……ところで、すっかり存在を忘れていた第三者の存在に気づかされて飛び上がる。
九鹿 愛佳 :
話がひと区切りしたと見て、イズミに声をかけ、もう一度犬吠埼の方を見る。
豊四季 一澄 :
「う、うううん! そうだよね!!」
犬吠埼 :
さんざんアイカちゃんの前で甘えているところを見せてしまった。
多宝院 那由 :
あ~~~~♡
犬吠埼 :
かわいいね
多宝院 那由 :
かわいい
多宝院 那由 :
ほんとにかわいい
多宝院 那由 :
はあ~~~~このふたりの会話もめちゃくちゃよくないか?
多宝院 那由 :
愛佳ちゃんもわりと犬みがあるので かわいい ほのぼの
犬吠埼 :
結構犬っぽい子多いよね 色々な犬
多宝院 那由 :
トウカちゃんも犬だし………………
九鹿 愛佳 :
「犬吠埼さん、またキッチンカーが直ったら……、お邪魔させてくださいね」
犬吠埼 :
「うーん、あれは廃車だからねえ」
九鹿 愛佳 :
慌てているイズミを横に、もうひとつつながりを。
九鹿 愛佳 :
「……まあさっきのやつは……たしかに」
犬吠埼 :
「曙光騎士団にまた押収車両、貰わないとね」
九鹿 愛佳 :
もうボコボコだった。かわいそうなキッチンカー。
犬吠埼 :
「そのときはもちろんごちそうするよ! 楽しみにしてて」
九鹿 愛佳 :
「はい。 ……それでは、お気をつけて」
九鹿 愛佳 :
まだ顔が赤いかもしれないイズミに目配せして、歩き出す
犬吠埼 :
「うん。あなたも気をつけてね。――よい狩りを」
豊四季 一澄 :
普段ならメニューについてあれこれ勧めたはずだが、すっかり口をつぐんで後に続く。
九鹿 愛佳 :
里奈も物資を待っているはずだ。犬吠埼の言うように、吸血鬼狩りも、待っている。
九鹿 愛佳 :
妨げられても、歩みは止めない。
GM :
はい、ありがとうございました!!!!
GM :
無事妨害出来てよかったですね。
豊四季 一澄 :
本当にありがとうございました……
多宝院 那由 :
ほんとだよ……
GM :
テンションあげましょうか。えーっといくつだ。
system :
[ 豊四季 一澄 ] テンション : 18 → 21
system :
[ 豊四季 一澄 ] 激情 : 1 → 2
九鹿 愛佳 :
ありがとうございました!!妨害できてよかった!!
GM :
流石に感情キツいですね、2人
九鹿 愛佳 :
関係4なので、コスト2ですね
system :
[ 九鹿 愛佳 ] テンション : 16 → 18
豊四季 一澄 :
こちらから愛佳さんへの関係も1上がって4に。
GM :
どんどん深まる。
多宝院 那由 :
めちゃくちゃ強い絆で結ばれてる……
多宝院 那由 :
いったいだれのせいなんだ
豊四季 一澄 :
もう頼れるのはお互いしかいないんですよ 里奈先輩は一段上だし……
GM :
あとはナユとトウカの1手番ずつですね。
多宝院 那由 :
はい♡
九鹿 愛佳 :
そうですね……!!!!
豊四季 一澄 :
そうなんですよ……!!
多宝院 那由 :
いや~まあ大丈夫ですよ~~~大丈夫大丈夫
GM :
さて。
GM :
狩人の手番はあとナユ。それから吸血鬼の2回目の行動ですね。
GM :
というわけで、早速参りましょう。
2-5 多宝院 那由:調達
GM :
路地裏。夜に出入りがあるとは思えない、商用ビルのバックヤードに背を持たれている。
犬吠埼 :
深く呼吸をして身を隠し、三ヶ月家のメイドを待っている。
多宝院 那由 :
――強い薔薇の香りが漂う。
多宝院 那由 :
高貴な香り。
犬吠埼 :
目を細める。
多宝院 那由 :
しかしそれは、三ヶ月家のものにしてはどこか妖艶で、僅かに血の臭いが混じる。
犬吠埼 :
犬吠埼は人より鼻が利く。犬のそれとは遥かに劣るにせよ。
犬吠埼 :
その匂いは、既に『かいだ』匂いだ。
犬吠埼 :
狩人達に、いくらか付着していた匂い。
犬吠埼 :
懐に忍ばせた拳銃を握る。既に弾が切れている。が、意味はある。
多宝院 那由 :
「……あの」やや遠く、暗闇の向こうから、呼びかける。
犬吠埼 :
「……なあに?」
多宝院 那由 :
「えっと、その。危害を加えるつもりはないので……」
多宝院 那由 :
「……そちらもね、無理はしないように……してほしくて」
犬吠埼 :
「ならよかった」
犬吠埼 :
「うん。無理はしない約束、したからね」
多宝院 那由 :
「……うん、そうしてほしい」
多宝院 那由 :
「話をしにきたんだ。……隣、いいかな」
犬吠埼 :
溜息をつき、拳銃を持つ手を下ろす。
犬吠埼 :
「……いいよ。おいで」
多宝院 那由 :
「……ありがとう」
多宝院 那由 :
ひとりぶん間をあけて座る。首から、うなじから、花が伸びているのが見える。
犬吠埼 :
「綺麗なお花だね。どうしたの、それ」
犬吠埼 :
まるで知り合いだったかのように、親しげなトーンで話す。
多宝院 那由 :
「好きな子にね、見てもらいたいなって思ったんだ」
多宝院 那由 :
「そしたら生えちゃって」
犬吠埼 :
「そっかぁ。それは、ちょっと、身に覚えがあるなあ。私も」
犬吠埼 :
笑うと、胸を押さえる。
多宝院 那由 :
顔をそちらに向ける。人間ではない部分を見て、微笑む。
多宝院 那由 :
「……あのね、」
多宝院 那由 :
「一澄君にさ。最近お世話になってる人がいるんだ、って言われて。僕の体調が戻ったら、一緒に会いに行こうって、約束をしていて」
犬吠埼 :
「うん」
多宝院 那由 :
「その約束を果たせなくて申し訳ないなって、思ってるんだ」
犬吠埼 :
「多宝院さん、だよね」
犬吠埼 :
「イズミちゃんが話してた。噂通りの子だねぇ」
豊四季 一澄 :
とにかく互いに向けてとても喋っていそうなのはわかる でも……でもこんなことになるなんてそりゃあ思っちゃいなかった……
犬吠埼 :
ね……
多宝院 那由 :
「そう、……多宝院那由といいます。名乗るのが遅れてごめんなさい。……名乗るべきなのかわからなくなってしまって」
犬吠埼 :
「そうだよね、混乱しちゃうよね」
多宝院 那由 :
「そもそも、吸血鬼と人間って、相容れないものだし……」すこしだけ目を逸らす。笑う。
多宝院 那由 :
「……この姿になっても……人間を裏切ることになっても。それでも、僕はね、一澄君のことも、愛佳君のことも、嫌いとか、そういうふうに思えなくて」
犬吠埼 :
「うん。まあ、そうだよね」
犬吠埼 :
「まだなって短いんだね。確かにそれじゃ、尚更混乱するかも」
犬吠埼 :
「もう何もかもまるっきり変わってしまった方が、いっそわかりやすいのにね」
多宝院 那由 :
「……そう、ですね」
多宝院 那由 :
「……そう、だって、命が狙われてるのに、殺すって言われてるのに、相手のことを心配してるの、おかしいんだ。ほんとうはそんな資格なんかないのにね」
多宝院 那由 :
「一澄君、その……大変だったでしょう。すごく辛かったと思う……し、たぶんね、僕は大怪我を負ってたから……僕に対して、遠慮してたとも思うんだ。怪我が治っても、体調悪そうに見えていたし」
多宝院 那由 :
「……支えられなかったのを、これからも支えられないのを、申し訳なく思っている」
豊四季 一澄 :
うっうっ
九鹿 愛佳 :
ナユちゃんの内心……
犬吠埼 :
「うん、そうだねえ……」
犬吠埼 :
「私は当然、イズミちゃんの味方だし、出来る限りお話を聞いてあげるつもりだし、寄り添うつもりで」
犬吠埼 :
「私はそういう子の世話をするのが、なんていうかな、幸福だと思ってるから、全然それでいいんだけれどね」
犬吠埼 :
「頼ってくれると嬉しいし、頼ってほしいな、寄り添ってあげたいな、って思うから」
犬吠埼 :
「でも、側にいる人は、多い方がずっといいし」
犬吠埼 :
「きっとあの夜を共にした、仲間じゃないとわかり合えないことって、あって」
多宝院 那由 :
「……うん、」俯く。
犬吠埼 :
「だから、お姉さんは、今でもあなたが考え直してくれないかな、とは思う」
犬吠埼 :
「仲間に武器を向けることの辛さだって、知ってるし」
多宝院 那由 :
「……うん。そう、……うん、」
多宝院 那由 :
「……でもね、僕は一人しかいなくて、」
多宝院 那由 :
「僕は、選んだ」
多宝院 那由 :
「……だから、後悔はしていないし、今から戻るつもりは、ないんだ」
犬吠埼 :
「そっかあ」
多宝院 那由 :
「……でも、そうだな。……ひとりぶんの手のひらって、小さいな、と思った」
多宝院 那由 :
「選べるものが少ないんだ。……今まで、やりたいことは大体やってきたし、不可能なことなんてないんじゃないかって、思ってて」
多宝院 那由 :
「……僕の手が掴めたのは、吸血鬼になった、好きな人の手ひとつで」
犬吠埼 :
「うん」
犬吠埼 :
「わかるよ。責めたりは、しない」
多宝院 那由 :
「世界のすべてを敵に回してもね、僕はトウカのことが好きで、諦められなくて」
犬吠埼 :
「……生きているとさ」
犬吠埼 :
「大切なものっていっぱいあって。お父さんお母さんのことは、大好きだし、学校の友達とかも、みんな大切だったし」
犬吠埼 :
「近所の人とも仲良くやってたし、お気に入りの服は一つや二つあるし、好きな食べもの、行きたいところ、何度でも観たい映画、誰にも言ったことのない、大好きな小説一冊……」
犬吠埼 :
「自分の大切なものって、いっぱいあって」
犬吠埼 :
「でも、これが一番大切なんだって、このために、全部賭けてもいいって」
犬吠埼 :
「そんなふうにまで思えることっていうのは、あんがい無くてね」
犬吠埼 :
「さんくちゅありには、あなたみたいな子がいっぱいいる
犬吠埼 :
「大切なもの一つのために、もうそれまで通りには生きられなくなっちゃった子とかが、集まってるんだ」
犬吠埼 :
「だから、わたしは、あなたを責めたりはしない」
多宝院 那由 :
「……うん、…………う、ん」
多宝院 那由 :
花弁が舞う。はらりはらりと、涙のように落ちていく。
多宝院 那由 :
「……、……ありがとう…………」
多宝院 那由 :
「べつにね、……べつに、世界の全員を、敵に回したっていいって、思っていたから」
多宝院 那由 :
「だから、べつに、こんなこと、……いいのに、」
多宝院 那由 :
「…………、……救われたような、気がして」
多宝院 那由 :
「僕は、だって、命を狙われる側なのに、」
多宝院 那由 :
「…………こんな、」
犬吠埼 :
頭を撫でる。イズミにしたように。
犬吠埼 :
「辛いね」
多宝院 那由 :
花弁が溢れて、散って、風に飛ばされる。
多宝院 那由 :
「……なんで、」
多宝院 那由 :
「吸血鬼って、こんな、たいへんなんだろ、って」
多宝院 那由 :
「みんなうまくやれば、共存できるかもしれないのに、」
多宝院 那由 :
「……そうなってないから、そうしようとしても、だめで」
多宝院 那由 :
「……ぼく、は、」
多宝院 那由 :
「トウカといっしょに、生きたいだけなの……」
犬吠埼 :
「うん、うん……」
犬吠埼 :
頷きながら、その艶やかな髪を何度も撫でる。
犬吠埼 :
「どうしてなんだろうね……」
多宝院 那由 :
「……いつか、もしかすると、僕も人を殺してしまうのかもしれないのが、怖い」
多宝院 那由 :
「いまはね、そうなりたくないって、絶対そうしたくないって、思うんだ」
多宝院 那由 :
「いつか忘れてしまうのが、怖くて」
犬吠埼 :
不意に犬吠埼はむせる。
犬吠埼 :
抑えた
犬吠埼 :
手に血が付着している。
犬吠埼 :
その怪我はまぎれもなく、トウカによって引き起こされた事故のせいで受けたものだ。
多宝院 那由 :
「……! すみません、いっぱいお話してもらって……」手を伸ばし、
多宝院 那由 :
背中に触れようとして、
多宝院 那由 :
その、血が。どうしようもなく輝いて見えて。
多宝院 那由 :
目を逸らす。
多宝院 那由 :
伸ばした手が、力を失う。
犬吠埼 :
袖で口の血を拭う。
犬吠埼 :
「……ごめんね」
多宝院 那由 :
「……い、や、」声が震えている。自分の中の未知の衝動。誘惑。欲求。
多宝院 那由 :
怖くて、苦しくて、吐きそうになると同時に身体の芯が熱くなる感覚がして、
多宝院 那由 :
胸を抑える。俯く。
多宝院 那由 :
血の臭いがする。血の臭いがして、
多宝院 那由 :
花の匂いをどれだけ強めても嗅ぎ分けられてしまって、
多宝院 那由 :
自分の手の甲を、首の棘で軽く切り、舐める。
犬吠埼 :
「あー、うん、そうだね」
犬吠埼 :
「私の血はすっごくまずいって評判だから、それがいいよ」
多宝院 那由 :
「……、」息を深く吐く、「……え、あ、……はい、」
多宝院 那由 :
「……いや、えっと、……すみません……」弱まった声で、そっと。
犬吠埼 :
「まざってるからね~。そのせいで結構、苦労してるんだよ」
犬吠埼 :
何がおかしいのか、笑いながらもう一度、あなたの頭を撫でる。
多宝院 那由 :
「……きもちわるくないんですか、僕のこと……」俯いたまま。ぎゅっと自分の袖を握って。
犬吠埼 :
「えっ?」
多宝院 那由 :
「……え、その、だって、……よくないじゃないですか、こういうの、人前で……」
犬吠埼 :
「あ~、なるほど、そういう……」
犬吠埼 :
「いや、あの、あんまりこれね。秘密なんだけれどさ」
犬吠埼 :
「さんくちゅありの子、色んな子がくるからね」
犬吠埼 :
「……色んな人に見られたいからって、裸をテレビで放映しちゃった子とか」
犬吠埼 :
「まあ、色々ね、見てきてるからね、お姉さん」
犬吠埼 :
「別に、いまさら……? みたいな……」
多宝院 那由 :
「い、いまさら……?」顔をすこし上げる。困惑ともなんともいえない表情を浮かべている、その顔色はやや色付き、人間のそれくらいになっている。
多宝院 那由 :
「……いや、その。裸はそんなに問題なくないですか、美術品とか……けっこうそういうのあるし、」
多宝院 那由 :
「血は、その、だって、……その…………」
犬吠埼 :
「いや~」
犬吠埼 :
「いや~、うーん」
犬吠埼 :
「まあ、まあまあ」
犬吠埼 :
「じゃあ、うん、そうだね、恥ずかしいねぇ」
犬吠埼 :
「ちゃんと我慢しようね」
多宝院 那由 :
「…………うん……」再び俯いて、膝に顔を押し付ける。
犬吠埼 :
頭を撫でる。
多宝院 那由 :
「……だから、その、あの、……トウカがね、僕以外の血を吸うのがね、嫌で」
犬吠埼 :
「あ~」
犬吠埼 :
「そっか」納得。
犬吠埼 :
「えっ、じゃあ、あの」
犬吠埼 :
「えっと、こんなこと言っていいのかわからないんだけど」
犬吠埼 :
「それなら人間でいた方がいいんじゃないの?」
犬吠埼 :
「やっぱり人間の血が一番美味しいって聞くけど……」
多宝院 那由 :
「……えっ」
多宝院 那由 :
「…………え。えー、……えぇ……」
九鹿 愛佳 :
逆転の発想
豊四季 一澄 :
完全に虚を突かれている。
犬吠埼 :
「吸血鬼がわざわざそのために人間飼ったり、繁殖させたりしてるとか、結構、聞くけど……」
多宝院 那由 :
「…………えっ、……えー……?」
多宝院 那由 :
「……いや……でも……その、あの。えっと、えっとね」
犬吠埼 :
「う、うん」
多宝院 那由 :
「トウカとおなじになりたかったので」
多宝院 那由 :
「……あと、トウカをまもれるくらい強くね、なりたかったので」
多宝院 那由 :
「後悔は……してない、と……おもいます」
犬吠埼 :
「あっ、そっちがメインって感じかぁ」
犬吠埼 :
くすくすと笑う。
多宝院 那由 :
「……でもなんか、あの、そう……おいしくないって言われたくないなあ……」
多宝院 那由 :
「……ほら、吸血鬼ってけっこう、なりたい姿になれるじゃないですか」
犬吠埼 :
「うん」
多宝院 那由 :
「おいしくなれって思ったら、おいしくなりませんかね……?」
犬吠埼 :
「わ、私に聞かれても……」
多宝院 那由 :
「…………それは……そう。ほんとうにそうです。しかも、おそらく何から何までこの手の……こういう話は聞くことじゃない気がしてきました」愛佳のあの微妙な表情とか、トウカのことばを思い出す。
多宝院 那由 :
「なんでこういう話になったんだっけ……ああ、そう、……見ちゃったから……」
多宝院 那由 :
「……、……無理はしないでくださいね、ほんとうに」
犬吠埼 :
「なんか私まで恥ずかしいもの見られた気がしてきたな……」
多宝院 那由 :
「それは……はい……」
多宝院 那由 :
「……輸血パックも、実はちょっとその、なんというか、今想像するとちょっと……なんというか、怖くて……こないだまで、そういう気持ちはなかったんだけど」
犬吠埼 :
「まあ……そのお話だと色々あれだよね……」
多宝院 那由 :
「やっていけるのかほんとうに不安なんですよ……」溜息。
犬吠埼 :
「……」
多宝院 那由 :
「……というのもあって、複数人から血を吸う吸血鬼のきもち、わからなくて……」
多宝院 那由 :
「だから……共存できないっていうのも、実感としてあんまり理解できなくて」
犬吠埼 :
「逆に」
犬吠埼 :
「あなたの吸血鬼さんはなんて言ってたの?」
犬吠埼 :
「あなたが、そうしたものから血をとることについて」
多宝院 那由 :
「…………、」
多宝院 那由 :
「……特に……なにか言われたことはないというか」
多宝院 那由 :
「僕のこの話に驚いてすらいた、ような……」
多宝院 那由 :
「…………?」
犬吠埼 :
「一般的な吸血鬼にとっては、ただの食事……なんじゃ
犬吠埼 :
「いや、わからないよ? わからないからね。私はその子じゃないし」
多宝院 那由 :
目を見つめてきいている。驚いたような、困惑のような、何か信じがたいものを聞いているかのような。
多宝院 那由 :
「…………ちょっと待ってくれ、」
多宝院 那由 :
「そう? そう……、……そうなのか?」
多宝院 那由 :
「……え、じゃあ偏食はよくなくないか?」
犬吠埼 :
「そのあたりは、そもそも」
犬吠埼 :
「吸血鬼は栄養のために血を吸っているのかどうか、って話になってくるね……」
犬吠埼 :
「そういうのは里奈ちゃんの方が詳しいと思うけど」
多宝院 那由 :
「……本当にわからない、人間には学校があるけど吸血鬼にそういうことを教えてくれるとこってないのか……?」問いかけて、
多宝院 那由 :
里奈、という名前を聞いて。目を逸らす。
多宝院 那由 :
「……詳しそう、では、ある……」
多宝院 那由 :
「…………里奈君、なあ……」ちいさな声で。呟く。
犬吠埼 :
「あの子もあの子で、結構あれだし……」
犬吠埼 :
「あんまり漏らしちゃいけないな、こういうこと。気をつけないと」
犬吠埼 :
「聞かなかったことにしてね」
多宝院 那由 :
「あれって……」
多宝院 那由 :
「……うん、はい、ええ。そうします、……ここで聞いちゃうと、撃てなくなる」
犬吠埼 :
「……戦うんだね、みんなと」
犬吠埼 :
「大切な子を、守るために」
多宝院 那由 :
「……はい」
多宝院 那由 :
「迷っちゃだめなんです。迷ったら、隙ができるし。なにより、誰のためにもならない」
多宝院 那由 :
「だから……ここでちゃんと全部話して、切り替えます。……すみません、付き合ってもらって」
犬吠埼 :
「いいよ、大丈夫」
犬吠埼 :
「あなたみたいな子に寄り添うことが、私の幸せだから」
多宝院 那由 :
「……、……ありがとう、ございます」
犬吠埼 :
「でも、叶うなら……みんな戦わずに済むなら、それが一番いいんだけれどね」
多宝院 那由 :
「……そうですね。僕も何度か言ってて……それでも、戦うしかない、とわかったので」
多宝院 那由 :
「……」深呼吸。それから、口を開く。赤い色の瞳は、もう揺らがない。
多宝院 那由 :
「……4月、僕は一澄君とふたりで、吸血鬼を見て。なにかできることがないか考えて、愛佳君に、狩人という選択肢を教えてもらって」
犬吠埼 :
頷いて聞いている。
多宝院 那由 :
「里奈君に教わって、5月に、ひとりの吸血鬼を倒した。……いや、倒してもらった。一澄君の大切な人に、その命と引換えに」
犬吠埼 :
「……うん」
多宝院 那由 :
「一澄君はきっと、吸血鬼という存在が許せなくて。一澄君にとってそれは、日常を奪うものだから」
多宝院 那由 :
「そして、愛佳君もそういう過去を持っている」
多宝院 那由 :
「わかっていた。わかっていて、それでも僕は、吸血鬼になってしまった好きな人と一緒になるために、そのためだけに、吸血鬼になることを選んだ」
多宝院 那由 :
「だから、後悔はしていない。ここから僕がすべきことは、好きな人を守ること」
多宝院 那由 :
「……一澄君とふたりで、なにかできることはないかって、話していたときから。これは変わらない。道は違っても、変わっていない」
多宝院 那由 :
「僕は今日、狩人全員を無力化して、ここから逃げる」
犬吠埼 :
「……そっか」
多宝院 那由 :
「たくさん傷付けるだろうし、たくさん傷付くとも、思う。けど、それを選ぶのは、僕で」
多宝院 那由 :
「だから、後悔はしない。これからも」
犬吠埼 :
「あなたが」
犬吠埼 :
「あなたが大切な人と一緒に、幸せな日常を過ごせたらいいなって」
犬吠埼 :
「心の底から、思うよ」
犬吠埼 :
「だって、本当は、たったそれだけのことなんだから。それ以外を、望んでなんかいないんだから」
犬吠埼 :
「それくらい、神様、いいでしょ? って」
多宝院 那由 :
「……うん、」
多宝院 那由 :
「…………、うん、そう、」
多宝院 那由 :
「トウカが、」
多宝院 那由 :
「話してくれたり、笑ってくれたり、僕に触れてくれたり」
多宝院 那由 :
「そういうのが、嬉しくて」
多宝院 那由 :
「明日も、そうしていたくて」
多宝院 那由 :
「……だから」
犬吠埼 :
「うん」
多宝院 那由 :
「だから、明日を生きるために、今日戦う」
犬吠埼 :
「……これは、余計なことだし、酷いことを言っているかもしれない。けど言うね」
犬吠埼 :
「もしだめだったら。そして、あなたが、あなただけでも、生き延びたなら」
犬吠埼 :
「わたしに会いにきて」
犬吠埼 :
「それだけは、約束して」
多宝院 那由 :
「……っ、……はい。約束、します」
犬吠埼 :
「よし。約束だよ」
犬吠埼 :
頭を撫でる。
多宝院 那由 :
可能性として全く考えてないわけではなくて。けれど信じたくないもので。だからずっと見ないふりをしていて。
多宝院 那由 :
それがいま、照らされて。
多宝院 那由 :
声が震えていた。
多宝院 那由 :
「……じゃあ、僕からも、約束、いいですか」
犬吠埼 :
「いいよ」
多宝院 那由 :
「……ありがとう」
多宝院 那由 :
「もし、そうならなかったら」
多宝院 那由 :
「僕がこのまま、逃げ切れたら。あるいは、もしも僕が、死んだとしたら」
多宝院 那由 :
「たぶんこれから、もっと一澄君は……当然、愛佳君も。辛い思いをすると思う」
多宝院 那由 :
「そして、……里奈君も、その。多分、落ち込むだろうと思っていて」
多宝院 那由 :
「……僕がね、言えたことではないんだけど。でも、これを言わないと、きっと後悔になるから、……あのね、」
多宝院 那由 :
「僕のぶんまで、皆を支えてほしい」
多宝院 那由 :
「……皆がこれから先も、ちゃんと生きられるように、ダメにならないように」
犬吠埼 :
「約束するよ。まかせて」
多宝院 那由 :
「……ありがとう」
多宝院 那由 :
「これで、僕の心残りはほとんど終わり。あとは戦うだけになった」
多宝院 那由 :
「……あとひとつ、あるんだけど」
犬吠埼 :
「うん?」
多宝院 那由 :
調達判定を……します!
犬吠埼 :
どうぞ!
多宝院 那由 :
興奮剤1 医療キット2 レア:金剛杵! あわせて-4!
多宝院 那由 :
判定は……「考える」でふります!
犬吠埼 :
ん、-4か……?
多宝院 那由 :
-5じゃん
多宝院 那由 :
-5ですね あれ? ちょっとまってね?
多宝院 那由 :
あっいいんだ 興奮剤を使用します!
犬吠埼 :
-6ですね!
多宝院 那由 :
えっまってね????
多宝院 那由 :
レアアイテム、-2じゃなく-1-2になるんだっけ?
九鹿 愛佳 :
そうそう
犬吠埼 :
その裁定でやっております
九鹿 愛佳 :
個数分マイナス。さらにレアアイテム補正でマイナス
多宝院 那由 :
ちょっ タンマタンマ!
多宝院 那由 :
-6+2、-4で、えっと?
多宝院 那由 :
これアレですね あのー ひとつへらしますね
犬吠埼 :
OK
九鹿 愛佳 :
ダメージ-9って凄まじいな……
犬吠埼 :
強いんですよ
豊四季 一澄 :
あまりにも大きい9点。
九鹿 愛佳 :
戦術のねりねりが必要
犬吠埼 :
1手番は確実に凌がれますね
豊四季 一澄 :
豊富な医療キットと合わせてかなりこちらの攻め手が削がれる。
犬吠埼 :
どうなりますかね~
九鹿 愛佳 :
それにまだ吸血鬼の手番が1つある~~~
豊四季 一澄 :
それ。
多宝院 那由 :
-6じゃん! -5にしたい えーと えーと……
多宝院 那由 :
医療キットあきらめるか…… じゃあ、えっと
多宝院 那由 :
興奮剤1 医療キット1 レア:金剛杵 で、-5 かな!
犬吠埼 :
OK
多宝院 那由 :
考えるから判定、興奮剤を使用して+2!
多宝院 那由 :
2D6-5+2>=5 (判定:考える)
BloodMoon : (2D6-5+2>=5) > 5[2,3]-5+2 > 2 > 失敗
多宝院 那由 :
えーと 激情を使用して、2を6にすると……大丈夫かな!
犬吠埼 :
成功ですね!
system :
[ 多宝院 那由 ] 激情 : 1 → 0
多宝院 那由 :
立ち上がる。ふわりと甘く香る。
多宝院 那由 :
「……あのね、一澄君に、お店のメニューを色々ね、すすめられてて」
多宝院 那由 :
「……それが、心残りではあったんだよね。だからね、その……」横転したキッチンカーの方向をちらりと見て。
犬吠埼 :
「あー、うん。私も結構ショックだよう」
多宝院 那由 :
「爆発とかするくらいなら、と思って、ちょっと持ってきちゃったんですけど」
犬吠埼 :
「えっ」
多宝院 那由 :
「……愛佳君がね、言うんだよ」
多宝院 那由 :
「ドロボウもそれはそれで大目に見てもらえない、って」
多宝院 那由 :
「なので……もらっていいか、許可をもらいにきました」
九鹿 愛佳 :
ナユちゃん……(この……ちょっとしたズレ!
多宝院 那由 :
ずれてるね……
多宝院 那由 :
めちゃくちゃずれてるんですよこの人
九鹿 愛佳 :
恋は盲目になっちゃうから……
多宝院 那由 :
そもそもお家の常識がバグってるから
犬吠埼 :
「……ちょっと、見せてみて、そのコンテナの中」
多宝院 那由 :
「うん」コンテナをふたりの間にもってきて、開ける。
犬吠埼 :
「なるほど、なるほどね……」
犬吠埼 :
色々な物資の中に混じったクッキーや、牛乳とか、シロップを取り出して。
犬吠埼 :
「まあ、普通に摂取しても、同じように効くんだけどさ」
犬吠埼 :
プラスチックの背の高いコップに、それらを目測で混ぜる。
犬吠埼 :
大ぶりのチョコチップクッキーを砕いて入れて、
犬吠埼 :
太いストローを二つ差し。
犬吠埼 :
「ホントはこれにアイスクリームを乗せるんだけれど、これだけでも美味しいから」
犬吠埼 :
「大切な子と飲みなね」
多宝院 那由 :
「……!」目を丸くする。ひとつ、まばたきをして。
多宝院 那由 :
「ありがとうございます、……うん、そう、します」
多宝院 那由 :
それを受け取って、笑う。
犬吠埼 :
「あ、三ヶ月さんちのメイドが来たっぽいね」
犬吠埼 :
「大丈夫。持っていっていいよ」
多宝院 那由 :
「……ほんと、」一度路地の表のほうがライトに照らされた。
多宝院 那由 :
「……ありがとうございました、大変な時に」
多宝院 那由 :
「ほんとうに、無理はしないでください。……約束のためにも」
犬吠埼 :
良い狩りを、というのは狩人のための言葉だ。
犬吠埼 :
だから、愛し合う2人のための言葉は。
犬吠埼 :
「うん。――良い夜を」
多宝院 那由 :
「ええ、」
多宝院 那由 :
微笑む。
多宝院 那由 :
「良い夜を」
多宝院 那由 :
ほどなくしてメイドが来ると、そこには犬吠埼ただひとりで。
多宝院 那由 :
少し不自然なところがあるとするならば、暗く冷たい路地裏に、色鮮やかな薔薇の花弁が落ちていることだけだ。
GM :
夜は更けてゆく――。
GM :
ありがとうございました。女子会
GM :
女子会です。
多宝院 那由 :
女子会だなあ~!
多宝院 那由 :
このシーンでやりたいこと全部やれたので
多宝院 那由 :
ありがとう…………………………
豊四季 一澄 :
こちらこそ とてもいいものを見せていただいた……
多宝院 那由 :
2話構成の 最後のシーンだからさ
多宝院 那由 :
最後らしくさ
九鹿 愛佳 :
そうたしかに……
多宝院 那由 :
まあこのあと吸血鬼の手番あるんですけどね
九鹿 愛佳 :
狩人の最後のシーン
九鹿 愛佳 :
はい
九鹿 愛佳 :
喋りたいことを喋り切る……
多宝院 那由 :
ぜんぶやったよ! ぜんぶ!!!
GM :
やりましたねぇ
多宝院 那由 :
PC1だからさ……ちゃんとさ……答え出さないとっておもってさ……
多宝院 那由 :
おれは……PC1……
豊四季 一澄 :
狩人同士ではできないシーンもある 全部喋れて……喋ってくれて……よかったなあ……
GM :
さて、どっちにしようかな。
GM :
1d2
BloodMoon : (1D2) > 1
GM :
OK。
2-6 七栄等花2:破壊
七栄等花 :
七栄等花は夜の街を歩く。
七栄等花 :
ここに至るまで、少し傷つきすぎた。
七栄等花 :
いくらか開き切らない虚ろな目をして、素足でアスファルトを踏む。
七栄等花 :
家々のカーテンから漏れる明かりを、細い目で眺めて。
七栄等花 :
それを意図的に選んだのか。あるいは無意識にそう選んでいたのか。
七栄等花 :
いずれにせよ、無数の家の中から、たまたまということはあり得ない。
七栄等花 :
そうした敵対する人間への害意というものが、吸血鬼には必ずある。
七栄等花 :
七栄等花がドアノブに手を掛ける。開ける。
七栄等花 :
人ならざる力が、鍵を容易く破壊する。
七栄等花 :
ドア横の表札には、豊四季の文字。
GM :
玄関の物音に、気付く。
GM :
「イズミか? 帰ったならただいまくらい言いなさい」
GM :
そう言って、玄関の方に至る、ガラス張りのドアを開ける。
九鹿 愛佳 :
お父さん……!!!!
豊四季 一澄 :
えっ!? これ以上日常を!?
豊四季 一澄 :
薄氷の上すぎるよ日常。
九鹿 愛佳 :
とりあえず妨害は……宣言しますね
多宝院 那由 :
妨害に成功しても失敗してもドアが吸血鬼によって破壊されたという事実覆らないの、ダメだよ
豊四季 一澄 :
よろしくおねがいします…………
九鹿 愛佳 :
そうだよ……
九鹿 愛佳 :
見てしまったという事実には……
多宝院 那由 :
ひどいことをするな………………
多宝院 那由 :
ギャーーーーーーーーーーーーー
九鹿 愛佳 :
うわああああ
九鹿 愛佳 :
見ちゃ……見ちゃだめだ……!!!!
豊四季 一澄 :
とりあえず遅くなることは報告してあるんだな……
GM :
――その一方で。
犬吠埼 :
「! 止めてください!」
犬吠埼 :
三ヶ月家の、まだ止まりきっていない車から飛び出す犬吠埼。
犬吠埼 :
まともに走ることも敵わないその身体をどうにか振り絞り、
犬吠埼 :
家に入ろうとする吸血鬼に呼びかける。
犬吠埼 :
「待ちなさい!」
GM :
えーっと、どっちでもいけるんですが。
GM :
どっちがいいですかね。
GM :
壊す方ですか。壊す方を聞きましょうか。
九鹿 愛佳 :
……!?
九鹿 愛佳 :
犬吠埼さん!!!!
豊四季 一澄 :
犬吠埼さん!!!!!
多宝院 那由 :
犬吠埼さん!?!?!?!?
多宝院 那由 :
無理はしないでって言ったでしょ!?!?!?!?!?!?!?
豊四季 一澄 :
無理はさせないでくれって頼まれるのがあまりにもわかりすぎる人………
多宝院 那由 :
どっちでもいけるんですがじゃないよ
九鹿 愛佳 :
どっちもやだ!!!(きもち
多宝院 那由 :
どっちでもいけるんですがじゃないよ????
多宝院 那由 :
何この二択
九鹿 愛佳 :
あまりにSAN値が削れる択が提示されている
多宝院 那由 :
1話の打開措置の選択もきつかったのに
多宝院 那由 :
さらにこんな こんな
GM :
今日ぶらぶら帰ってたら、思いついちゃったので。
多宝院 那由 :
???
GM :
しました。
豊四季 一澄 :
回答が「物語が加速する方か部位が壊れない方か考えてる」になって自分に対して真顔になっている。
多宝院 那由 :
Pさん・・・・・・・・・・
九鹿 愛佳 :
実はいきてましたパターンを現実にされてそう
豊四季 一澄 :
でも今回は妨害できるんですよ!!!!
多宝院 那由 :
そうですね…………………………………………
GM :
ご家族、ちょうど2人いるから2でいいですね。
多宝院 那由 :
え?
豊四季 一澄 :
そういうことか…………
GM :
1減ったのって修復できないんで。
GM :
壊れないと修復できないんでね。
豊四季 一澄 :
そうなんですよ 幸福強度は戻らない。
九鹿 愛佳 :
あっ……
多宝院 那由 :
私の気持ちはめちゃくちゃになっています
GM :
いけるところまでいきましょうか。
九鹿 愛佳 :
犬吠埼さんとトウカちゃん……
犬吠埼 :
ごめんなさい。やっぱり私、見過ごせない。
犬吠埼 :
人には散々、命が一番大事、とか言っているけれど。
犬吠埼 :
バカだなって思うけど。
犬吠埼 :
それでも、こんな、目の前で。
犬吠埼 :
全身がぼろぼろで、動けないときなんてこれまでもたくさんあった。
犬吠埼 :
だから今だって、動けるはずだ。別に命をなげうつつもりなんかない。
豊四季 一澄 :
幸福『さんくちゅありの狩人』を破壊対象にお願いします。
犬吠埼 :
OK
犬吠埼 :
ポケットに忍ばせた注射器を、自分の腕に力一杯突き立てる。
犬吠埼 :
――この薬は、ただの人間には強すぎる。ちょっと丈夫に『なってしまった』私だから使える裏技だ。
犬吠埼 :
自ずと制限をかけてしまう肉体が、全力で駆動する。
犬吠埼 :
それに伴い、事故で折れた部分がバキバキと音を立てているのが自分でもわかった。
犬吠埼 :
四つん這いで地面を蹴り、部屋に入ろうとする吸血鬼まで一気に距離を詰める。
多宝院 那由 :
いや 幸福破壊……
豊四季 一澄 :
なんで私の幸福、自分から破滅に向かうの?
犬吠埼 :
無理するなって言われたらしないとね……
多宝院 那由 :
…………………………
豊四季 一澄 :
フラグ!!!!
九鹿 愛佳 :
待つ……
犬吠埼 :
そしてするなといわれた無理をすると……それは死亡フラグなのさ……
犬吠埼 :
いつでも妨害していいですからね。
九鹿 愛佳 :
ではちょうどいいのでここで妨害を宣言します
犬吠埼 :
ast
BloodMoon : ランダム全特技表(6,5) > 環境5:待つ
豊四季 一澄 :
基本6 防御力+1 隠密-3.
九鹿 愛佳 :
援護もらうかが微妙なとこですね 激情2つめはいるので
多宝院 那由 :
ほんとうだ……
豊四季 一澄 :
これで愛佳さんも激情2つめか……
多宝院 那由 :
そうなんだよなあ 犬吠埼さんが車でギリギリ間に合うかどうかのラインで 吸血鬼って感じのワープ機能とかもそんなに完全ではないので 合流できたとして、妨害後……
九鹿 愛佳 :
でもこれ援護して欲しい感はある(どちらかというとイズミちゃんに来て欲しい的な意味で
多宝院 那由 :
そうですね……
七栄等花 :
でもデータ的には1点減るだけの幸福破壊を選ばせることも出来るんだから、お得な選択肢じゃないですか?
九鹿 愛佳 :
データ的には……そう!!!!
多宝院 那由 :
データ的にはそう
豊四季 一澄 :
そうなんですよね、ノータイムで部位を潰してもらうよりは慈悲がある。
七栄等花 :
でしょ~!
九鹿 愛佳 :
でも物語的にはそうは問屋が……
多宝院 那由 :
トウカちゃんが喋ってるみたいだよ
多宝院 那由 :
助けて
豊四季 一澄 :
援護してテンションが24点 回避1くらまし1回避1踏み倒し2かな…
豊四季 一澄 :
ひとまず援護を行いますね。
九鹿 愛佳 :
くらましは……1手めは打てないかもしれない
九鹿 愛佳 :
(医療キットを見ながら
多宝院 那由 :
ワハハ。
豊四季 一澄 :
また火が付く前にバーストしてしまう。
犬吠埼 :
跳躍。月を遮る。
七栄等花 :
トウカはそれで気づく。迫り来る脅威に。
七栄等花 :
全身の目が、犬吠埼を捉える。
豊四季 一澄 :
妨害に対する援護を宣言します。
犬吠埼 :
「――ッ!!」
七栄等花 :
OK
九鹿 愛佳 :
修正4いりで振ります
七栄等花 :
OK
七栄等花 :
犬吠埼を抑えきれるほどに、目の力はもはや強くない。
九鹿 愛佳 :
2D6+1-3+4>=6 (判定:隠れる)
BloodMoon : (2D6+1-3+4>=6) > 9[4,5]+1-3+4 > 11 > 成功
七栄等花 :
しかし、反らすくらいはできる。
七栄等花 :
トウカは玄関に差してあった傘を取り――
七栄等花 :
成功ですね。
七栄等花 :
軌道が反れた犬吠埼は、その全スピード、全体重を乗せたままに、真っ直ぐ向けられた傘へ突っ込もうとしていた。
九鹿 愛佳 :
犬吠埼と別れて里奈と合流し、再びトウカを探し出していた。そんな折。
九鹿 愛佳 :
気配に釣られたのか、それとも導かれたのか。
九鹿 愛佳 :
暗い夜に、いままさに飛びかからんとする犬を思わせる姿。そして、その先。
九鹿 愛佳 :
小さく見える、無数の目。
九鹿 愛佳 :
一瞬で距離を詰められるような脚力や走り方なんて、ただのヒトは持ち合わせていない。
九鹿 愛佳 :
すぐさま、ついさっき準備していたものを取り出して、狙い違わず、トウカと思しき眼に向けて投擲する。
七栄等花 :
トウカはビニール傘を真っ直ぐ差し向けていた。
七栄等花 :
そして反射的に、投げられたそれを見る。
九鹿 愛佳 :
火炎瓶は、道路に落ちる。燃え上がる。夜の暗さをかき消して、眩く輝くように。
九鹿 愛佳 :
同時に、まだそんなに遠く離れていないであろうイズミとリナに、通信機のコールを鳴らす。
九鹿 愛佳 :
2人なら、すぐ気づくはずだ。
七栄等花 :
花火にも使われる、酸化マグネシウムを混合した火炎瓶は火炎により強い閃光を含み、トウカの目をより深く刺した。
犬吠埼 :
その光に身体の制御を取り戻した犬吠埼は、玄関の横になんとか手を引っかけて、串刺しを回避する。
九鹿 愛佳 :
2人なら、光でも気づくかもしれない。そう思い、すぐに犬吠埼やトウカがいるところに駆け出していく。
豊四季 一澄 :
見慣れた近所、しかし真夜中に立ち歩けば知らない世界のようなそこを彷徨う中、ほど近く立ち上った閃光に目を奪われた。――あの方角は。
豊四季 一澄 :
間を置かずに鳴り出した通信機を取ることなく、たいまつを抱いてただ走る。子供のころに使った他の家の庭を横切る近道を抜けて。
九鹿 愛佳 :
「……犬吠埼さん!?」 豊四季家の家の前。
九鹿 愛佳 :
玄関の横に引っかかっている、さっきとはだいぶ様子の違う犬吠埼を見つつ、光で眼が怯んでいる今ならとトウカに杭を向ける。
犬吠埼 :
「――ッ!!」
豊四季 一澄 :
元よりこんな夜中には誰も出歩かない地域だ。静まり返った中、人の気配に近づいていくのがわかる。
犬吠埼 :
声なき唸り声を上げて、着地するや否やトウカに蹴りを放つ。
犬吠埼 :
野性を解放した犬吠埼はその闘争心を抑えるタガが外れている。
豊四季 一澄 :
やはり、は、その場所。あまりに見慣れた家の前で向き合う三つの影。
九鹿 愛佳 :
「……!?」 犬吠埼のその凶暴な動きを目の当たりにする。さっき、話していた様子とはまるで違う人のように見えさえする。
豊四季 一澄 :
まさか、はその中の一つ。犬のような人のようなその影はだいぶ獣に近づいてはいるが、街灯の下、見間違いようもなく。
豊四季 一澄 :
「……犬吠埼さん!?」
七栄等花 :
その一撃を受けて、トウカははじき出される。
犬吠埼 :
家に一歩も入れない。その意志を示すかのように、ふっと力が抜けた犬吠埼は、玄関に倒れ伏す。
多宝院 那由 :
トウカが地面にぶつかる寸前、その衝撃がやわらかい蔓に絡め取られて、
多宝院 那由 :
――甘い香りが広がる。
多宝院 那由 :
トウカを引き寄せて、抱きとめる。
七栄等花 :
「ナユ」
多宝院 那由 :
それから、トウカを弾き出した、炎に照らされるその狩人を見て。
七栄等花 :
「どこいってたの?」
九鹿 愛佳 :
トウカのはじけ飛んだ先を見る。そしてそこに現れた姿を見て……、すぐさま、視線の向きを変えて、犬吠埼を助けに向かう。
豊四季 一澄 :
犬吠崎の身体が玄関へ崩れ落ちるのに、今一歩間に合わない。たいまつの火を消し、地面に転がして、倒れたその体を揺さぶる。「ねえ!……ねえってば!!」
七栄等花 :
抱き留められて、まるで何事もなかったかのように。
多宝院 那由 :
「……無理はしないでって、言ったのに」ちいさくひとりごちて。
犬吠埼 :
「……ごめん、無理、しちゃった」
多宝院 那由 :
トウカには、「ちょっと合法的な盗みをね」と。
豊四季 一澄 :
「もう……!!」声を絞り出して揺さぶる手を止め、代わりに傷ついたその体を、ゆっくりと労るように撫でる。
犬吠埼 :
「ひとりじゃない」
犬吠埼 :
「ひとりに、させないから。絶対」
犬吠埼 :
小さな声で絞るようにそういうと、犬吠埼は意識を失った。
九鹿 愛佳 :
イズミが犬吠埼の介抱に回ると、再び視線は吸血鬼たちの方へ。
九鹿 愛佳 :
「……、……」 トウカを抱きとめているナユを、無言で見る。
多宝院 那由 :
「…………」愛佳を見つめ返して。「……続ける?」
多宝院 那由 :
「ここで続けるのは、やめたほうがいいと思うけど」
九鹿 愛佳 :
「……ここは、止めたほうがいいですね」
多宝院 那由 :
「……君と……一澄君がいいというなら、いいけどさ。燃えるし。物音がすると、様子見に来ちゃうでしょ」
多宝院 那由 :
「……うん」
九鹿 愛佳 :
「……犬吠埼さんも、あの様子ですから」
豊四季 一澄 :
「…………無理しないって約束、破ったくせに。このままじゃ、本当に……」目を伏せた犬吠埼を起こさぬように、小さく呟いて。
九鹿 愛佳 :
無理をさせないように、と言われていたのに、来てみれば。……もちろん、ナユと犬吠埼のやりとりは、知らない。
多宝院 那由 :
「そう。犬吠埼さんに無理はさせないで」静かな、しかし真っ直ぐな通る声。
豊四季 一澄 :
それから、振り向く。「……えっ」どうして彼女がそれを言うのかと、目を丸くする。
多宝院 那由 :
「別に、運んでるときに手を出したりはしないから」
多宝院 那由 :
……しないでね、とトウカの方を見る。
三ヶ月 里奈 :
三ヶ月里奈もまた、遅れて現れる。
七栄等花 :
頷く。
三ヶ月 里奈 :
「犬吠埼さんを、急いで運んでくれ」
三ヶ月 里奈 :
メイドに指示する。
豊四季 一澄 :
「……ありがとう」それは犬吠埼を引き取るメイドたちにも、そして那由にも。
多宝院 那由 :
礼を言うのはこちらのほうだけど。それを口にすることはない。犬吠埼を見つめている。
九鹿 愛佳 :
イズミが代わりに驚いてくれたので声はあげないものの、
先程まで犬吠埼とやりあっていたトウカが大人しくなるのを見て、逆に惑ったようにトウカとナユを見ている。
三ヶ月 里奈 :
「多宝院くん。キミの家の庭園はどうだろう」
三ヶ月 里奈 :
「純潔騎士、そして三ヶ月家の名に誓って約束するが、罠などは特に仕掛けてはいない」
多宝院 那由 :
「……はは、それは良いな。君たちが良ければ」
多宝院 那由 :
「広いからね。他所に迷惑はかけないだろうし」
三ヶ月 里奈 :
「では、そうだな。ちょうど12時くらいがいいね」
三ヶ月 里奈 :
「ちゃんとその子を見ててやってくれ」
三ヶ月 里奈 :
「月が一番高くなるその時間、再び、キミの家で相まみえよう」
多宝院 那由 :
溜息。「逃げるつもりだったんだけどな。……そう約束されてしまってはね」
多宝院 那由 :
「いいよ。待ってる。僕らを送り出す言葉、考えておいて」
多宝院 那由 :
「……でも、帰ったって構わないからね」
豊四季 一澄 :
「……………」彼女たちを見送るのなら、つまり。
豊四季 一澄 :
「……多宝院さん、やっぱり、まださ。思ってる? こっちに手荒なことしたくないって」
豊四季 一澄 :
「本気になったらさ、……喋るどころじゃない状態に、できちゃうじゃん」
多宝院 那由 :
「……できれば、ね。できれば、何も傷付けず、これ以上傷付けられずに、そっとここから離れたい」
多宝院 那由 :
「でも」
多宝院 那由 :
「そうならないのなら、覚悟はできている」
九鹿 愛佳 :
「……傷つけず、傷つかずなんていうのは、……きっと、ないです」
九鹿 愛佳 :
「……今だって」
九鹿 愛佳 :
そう小さく零して、視線は犬吠埼が運ばれていった方向に一瞬向く。すぐに戻る。
多宝院 那由 :
「……そう、わかってる」
多宝院 那由 :
「もし、君たちが12時に僕の家……かつて僕の家であったもの、に来るのなら」
多宝院 那由 :
「その時は、僕は手加減をしない」
多宝院 那由 :
「君たちの心も身体も、たくさん傷付けて」
七栄等花 :
トウカは、ただあなたを見ている。
多宝院 那由 :
「そうして、僕はトウカを守る」
七栄等花 :
真剣な眼差しを、その赤を、その締まった唇を見る。
多宝院 那由 :
「そのために選んだ。選んできた。これからも、それは変わらずに」
七栄等花 :
そのときばかりは傷ついた目もまるでウソのようにはっきりと開いて、霞むことなくそれを見た。
多宝院 那由 :
「僕は、僕の信じる正しさをゆこう」
多宝院 那由 :
「それがたとえ世界中を敵にすることでも。この手で人を傷付けて、たくさん傷付くことだとしても」
多宝院 那由 :
「僕は選んだ。僕は、」
多宝院 那由 :
「トウカと一緒に、幸せな日常を過ごしたい」
三ヶ月 里奈 :
「ああ、いいさ。それがキミの答えならば」
三ヶ月 里奈 :
「我々は火と杭をもって、それを阻もう」
豊四季 一澄 :
「……うん」
多宝院 那由 :
里奈を見据える。
豊四季 一澄 :
「考えたらさ。最初から、そうだったんだもんね」
豊四季 一澄 :
「人を殺して、すごい魔法を使って、そんなものを敵に回すことになっても」
豊四季 一澄 :
「この手で人を殺せるもの持って振り回すことになっても、自分がどんなにひどい目に遭ったって」
豊四季 一澄 :
「それでもやるって決めたんだ」
多宝院 那由 :
一澄に目を向ける。じっと聞いている。
多宝院 那由 :
「……うん」
九鹿 愛佳 :
「ナユさんのいう、幸せな日常の先にこんなことがあるのなら、」
九鹿 愛佳 :
立ち並ぶ家。そのひとつひとつが、いつでも壊され得る。
九鹿 愛佳 :
「……見過ごすわけにはいかないんです」
多宝院 那由 :
「それについては、うん。結構同感で」
多宝院 那由 :
「だから、僕達はここを出て、誰にも狙われない、人を傷付けることもない、安全な場所を探しに行きたい」
多宝院 那由 :
「……三ヶ月君の家とか、ヴァンデルガルデの家以外でね?」
多宝院 那由 :
「だって、僕はトウカと明日も生きたいだけで、人を傷付けたいわけではないのだから」
豊四季 一澄 :
「『目標』教えてくれたもんね」
多宝院 那由 :
「うん」
豊四季 一澄 :
「明日も生きたいし、それに」
豊四季 一澄 :
「……大事な人には、生きててほしい」
多宝院 那由 :
「……そう」
豊四季 一澄 :
「あたしも同じだし、きっとみんな一緒」
豊四季 一澄 :
「一緒だけど」
豊四季 一澄 :
「反対なんだ」
豊四季 一澄 :
「今話してても、まだ、……まだこんなに、同じところがあるって思うのに、ここだけが、どうしても」
七栄等花 :
トウカだけがわからない。ただ今という時に浸っている。
豊四季 一澄 :
「だけど、同じところがたくさんあるから、……信じられる。あたしも、同じ覚悟を持てるって」
豊四季 一澄 :
「あたしがどうしたって傷ついてほしくない人のために、あたしはなんだってできるって」
七栄等花 :
たった今目の前で、思いを絞り言葉を紡ぐ、閃くナユを見つめている。
多宝院 那由 :
「……うん、できるよ」
多宝院 那由 :
「だって、元々、思いは同じだった」
多宝院 那由 :
「だから、向く方向が反対なら」
多宝院 那由 :
「向かい合わないといけないなら」
多宝院 那由 :
「僕はそれを、倒して、自分の意志を貫き通さないといけないし」
多宝院 那由 :
「それは、君も同じなのだろう」
豊四季 一澄 :
「……うん」
豊四季 一澄 :
「だから、お互い。謝ったり、手を抜いたりはいらない」
豊四季 一澄 :
「そうしなきゃいけないことも、思いの重さも、同じことだから」
多宝院 那由 :
「そう」
多宝院 那由 :
「迷いは、守りたいもののためにも、相手のためにも、自分のためにもならないんだ」
多宝院 那由 :
「僕は迷わない。ひとつの大切なものがあって、それを守るために。迷わない」
多宝院 那由 :
「君も、そうして」
豊四季 一澄 :
「もちろん」
豊四季 一澄 :
「話してて、はっきりわかるもん」
豊四季 一澄 :
「そうじゃないと、向かい合えないって」
多宝院 那由 :
確かに頷く。赤いまっすぐな瞳が、一澄を見据えつづけていた。
GM :
急いだ方がいいだろう。深夜12時に鳴る鐘は、魔法を明かす刻限の鐘。
GM :
死者を生かす魔法を明かすか、幻想に住まう恋人を隠すか。
GM :
必要な言葉はそう多くない。
GM :
決して避けえぬ決別のために、最後に告げる一言を。
system :
[ 九鹿 愛佳 ] 激情 : 18 → 2
system :
[ 豊四季 一澄 ] テンション : 21 → 24
豊四季 一澄 :
連帯感敵対、これだ!! と思ったものが返ってきてて無限にありがたいよ……
多宝院 那由 :
こちらのセリフだよ!!!!!!!!!!
九鹿 愛佳 :
同じ方向を向いていたのに……
GM :
GMもありがたいです。
GM :
うれしい このシナリオやってよかった
九鹿 愛佳 :
最初に一緒に同じ方向を見ようとした2人だからこその会話だな……
GM :
ここまで……きましたね。
九鹿 愛佳 :
ありがとうございました……!
多宝院 那由 :
いや ほんっとにね ほんとにありがとう ありがとう………………全部やった 全部やったよ
多宝院 那由 :
ここまで……ちゃんと向き合ったよ ぜんぶ
GM :
PCたちにとっては、本当に、今しかないからね。
GM :
あっ完全にデータのこと忘れてた。
GM :
完全に……なにもかも……忘れてましたね。
GM :
いやテンションキツいからスルーするかなと思ってたんですよ実は。
GM :
だから選択性にしたんですが……
多宝院 那由 :
優しい~!
GM :
イズミからアイカは……5!? 5か~
九鹿 愛佳 :
あ、上書きされちゃうのか
豊四季 一澄 :
データ的には完全にスルーすべきだったんですが、守りたい! この命!
GM :
ナユナユへの関係がなくなりますね。
多宝院 那由 :
ふふっ
九鹿 愛佳 :
もしくは1と4のままでもいい……?
GM :
まあ5と1でいいですよ
多宝院 那由 :
ほんとに!?!?!?
豊四季 一澄 :
!? ありがとうございます!!
GM :
最後のシーン最高だったしね……
多宝院 那由 :
ありがとうございます……ありがとうございます
多宝院 那由 :
ほんとうに ほんとうに最高 ほんとうに
九鹿 愛佳 :
同じだった細いつながり……
豊四季 一澄 :
こちらもやることをすべてできました ありがたし……