ブラッドムーン「夜に落ちる」

導入フェイズ-2


GM : まずデータ的な処理として、関係を所持してない相手に1点、関係を得ることができます。
GM : ナユとアイカだけかな。
九鹿 愛佳 : そうですね
多宝院 那由 : ですね……
GM : それぞれどういう関係か教えていただけると幸いです。
九鹿 愛佳 : (失敗してしまった)
豊四季 一澄 : あっ、うちと愛佳さんでは。
GM : あっほんとうだ
豊四季 一澄 : シートからするに那由さんは双方へある。
多宝院 那由 : マジだ!
九鹿 愛佳 : あっ逆に呼んでしまってた
豊四季 一澄 : 感情 こちらから愛佳さんへなら憧憬かな この苦しみの先であんなにしっかり狩人をしていたんだ……
九鹿 愛佳 : 関係、カズミちゃんとアイカの相互じゃなくて、
カズミちゃん→アイカ
アイカ→ナユちゃんか。
豊四季 一澄 : うちへは前回開始時に取ってもらっているので、そうなりますね。
GM : 完全にそうですね(だめですねこのGM
九鹿 愛佳 : じゃあ那由ちゃんには‥‥期待かな……
あれだけ手傷を負いながら、六実優の部位を吹き飛ばした。
GM : あっいれていただいてる 助かる
GM : いいですね すばらしいですね
GM : はい。
GM : あとは、トレイラーの方にですね。
GM : 特殊ルールを導入しました。
GM : こちらですが。

特殊ルール①:多宝院那由の背徳

  • このルールの使用にはPL全員の同意が必要である
  • 多宝院那由は幸福一つを任意の背徳に変更してもよい
  • そうしたなら、メインフェイズにレベル5狩人『三ヶ月里奈』が行動する
背徳について
  • 背徳は幸福の一種であり、幸福のルールがそのまま適用される
  • 背徳が幸福と異なることは、
    • 叶えてはいけない(と思っている)願い事であること
    • 背徳が破壊されると、その願い事を叶えてしまう。修復に成功しても、叶えてしまったという事実は覆らない
    • 離反が宣言されないかぎり、破壊されると吸血鬼は追加行動を1つ獲得する

特殊ルール②:離反

  • 特殊ルール①が採択されたとき、自動的に導入される
  • 背徳が壊された際に、離反の意を宣言する必要がある
  • 背徳の破壊されたキャラクターは、本来の仲間とともに戦うのではなく、吸血鬼の側に付くことを選択できる
  • その場合、メインフェイズの行動は吸血鬼側の行動が使用できる
  • 決戦フェイズにレベル5狩人『三ヶ月里奈』が参戦する
GM : ちなみに里奈のデータは今作っている最中なのですが 今……? 今ですが……
GM : アビリティは熱風 爆破 くらまし 爆破 篝火 猛火です
GM : 爆破が一個多い。
GM : 常識ですね。
GM : 熱風 くらまし 爆破 篝火 猛火 常識 です。
九鹿 愛佳 : 特殊ルール……
多宝院 那由 : もうわらうしかねえよ
九鹿 愛佳 : ふふふ
豊四季 一澄 : 今すごくきらきらしていますよ。
多宝院 那由 : いいのか!? こんなぜいたくを
多宝院 那由 : いや そう
多宝院 那由 : おふたりのきょかが………………いるから…………………………
多宝院 那由 : 私は お願いする側で なので はい
多宝院 那由 : 常識つよ~い!
多宝院 那由 : オエッ
九鹿 愛佳 : レベル5狩人……!
豊四季 一澄 : Lv5狩人、アビリティを見ているだけでも強いとわかる。
九鹿 愛佳 : イズミちゃんの正当進化みたいな感じだ……
多宝院 那由 : で、あの
多宝院 那由 : ほんとうにいいんですか?
多宝院 那由 : ほんとうにいいんですか………………???
豊四季 一澄 : 今「離反ルールが適用されて相手方についたPCを爆破できるのかな…」と考えていましたが、そもそもフォロワーではない。
豊四季 一澄 : 私は異存ないです むしろとても興味があります。
九鹿 愛佳 : フォロワーでは……流石になさそう!
九鹿 愛佳 : で、こちらも異存なしです。 導入OK
多宝院 那由 : ありがとうございます……………………
多宝院 那由 : 特殊ルールの採用をお願いしたく思います!
豊四季 一澄 : 特殊ルールの導入、異存ありません。
九鹿 愛佳 : こちらも特殊ルールの導入に異存なしです。
GM : OK。では、多宝院那由は幸福の一つを背徳に書き換えてください。
多宝院 那由 : かきかえました!
多宝院 那由 : 幸福「七栄等花」を、背徳「同じになる」に変更します
『背徳:同じになる』 退路 強度1
トウカに殺されて、吸血鬼として生まれ変わることができたなら、どれだけ。
GM : ありがとうございます。
GM : 里奈のキャラシ出来ました。
GM : これはあなたがた狩人の見た三ヶ月里奈です。
木公戸 : おお…………
豊四季 一澄 : リスペックにおけるとてもいい言葉を聞いた、頭の中にブックマークしておこう。
多宝院 那由 : そうだね……
多宝院 那由 : そう パイセン 見上げると、こう
多宝院 那由 : いや もうこれ 見上げられなくなるのかもしれないんだけど
GM : ちなみにメインフェイズでは里奈は妨害に参加できませんので、ご理解ください。
GM : あくまでも行動のみですね。対象にもなりません。
GM : 質問があれば、セッション中いつでもお願いいたします。
GM : それではやっていきましょう。
GM : 遭遇フェイズですね。
多宝院 那由 : アアア
多宝院 那由 : 遭遇してほしくないよ
多宝院 那由 : ずっとおうちにいようよお………………
豊四季 一澄 : 遭遇してしまう……

遭遇フェイズ

GM : 吸血鬼の行方がわからないまま、六月頭の満月を迎え。
GM : それからぷつりと犠牲者がなくなりました。
GM : 学校に七栄等花は相変わらず来ません。
GM : 多宝院那由も復帰しますが、頻繁に休んでいますね。
GM : 体調はあまり優れないように見えます。
GM : 平和が取り戻されたようにも見えます。里奈も六分儀での活動が減り、千葉の方に頻繁に出向いています。何故か千葉の方ではモンスターが大量に発生してるので。
GM : しかし、そうですね。7月4日の日曜日。
GM : 満月を明日に控えたその日の朝。
GM : イズミとアイカに連絡が入る。
三ヶ月 里奈 : おはよう
三ヶ月 里奈 : 朝早くからすまない。
三ヶ月 里奈 : 吸血鬼の足取りが分かった。
三ヶ月 里奈 : 明日、狩りを行いたい。
三ヶ月 里奈 : 今日、そのための準備をしたいのだけれど、いいかな。
三ヶ月 里奈 : 吸血鬼と、その居場所についての説明も、合流次第するよ。
三ヶ月 里奈 : SNSで送られてきます。
三ヶ月 里奈 : というわけでその日の午後、2人は里奈の家に招かれます。
九鹿 愛佳 : なゆちゃんにはおくられず……
多宝院 那由 : ン~~~フフフ
多宝院 那由 : やさしいね
三ヶ月 里奈 : ルールが採択されていないと、ここでナユも呼ばれます。
多宝院 那由 : そうですね……
三ヶ月 里奈 : 採択されたので、分岐しました。
多宝院 那由 : ありがとうございます……………………
三ヶ月 里奈 : 「やあ、よく来てくれたね。どうもありがとう」
三ヶ月 里奈 : 「昼食が済んでいないようなら、サンドイッチを出すけど、どうかな」
豊四季 一澄 : 「あっ、」食べてきたことを言い出そうとしたが、以前滞在した時に出た食事がよぎり。「……もらっていい?」
九鹿 愛佳 : 「お邪魔します。 ……あ、じゃあ、いただきます」 言われれば、申し出をありがたく受け取って。里奈の家の食事は美味しい。
三ヶ月 里奈 : メイドが大きな銀皿に、一口サイズに切られたサンドイッチをずらりとのせて運んでくる。バイキングで見るやつですね。
三ヶ月 里奈 : 具も色々あり、卵や、レタスとトマト、カツサンド、蟹サラダなどです。
九鹿 愛佳 : 「(……やっぱりなんだか世界が違うなあ……)」 ここは高級店だったろうか。
豊四季 一澄 : これからの戦いを予感し、やや沈んでいた表情が一気に明るくなった。「すご! なんか見たことないのいっぱいある!」
三ヶ月 里奈 : フルーツサンドも並んでますね。甘い系。
九鹿 愛佳 : 「里奈先輩の家のサンドイッチ、すごく美味しいですね」 いただきます、と言ってから、その贅沢なサンドイッチを頬張る。表情が緩む。
三ヶ月 里奈 : 「キミたちの頑張りに比べたら、見合わない報酬さ」
三ヶ月 里奈 : 「余ったらメイドに包ませるから、お土産にもっていくといい」
三ヶ月 里奈 : 見れば分かることですが、この場にはナユは……呼ばれていない。
豊四季 一澄 : 小さくガッツポーズをしつつ、家のこと、そこにいたはずの姿を思い出せば、その拳が静かにほどけていく。
九鹿 愛佳 : ……大丈夫なら持って帰ろうかな、なんて一瞬思いつつも。
この場に来て、聞きたかったことがまだ聞けていないので、いったん食べ物の後のことは脇に置いておくことにした。
三ヶ月 里奈 : リナはいつも通り、すました様子で言う。
三ヶ月 里奈 : 「吸血鬼の名前は、七栄等花」
九鹿 愛佳 : ぴたりと、手と口の動きは止まった。
豊四季 一澄 : テーブルに落ちていた視線が、跳ねるように上がる。
三ヶ月 里奈 : 「……もし、この時点で狩りへの参加が難しいと思ったならば」
三ヶ月 里奈 : 「私は参加の取りやめを引き留めない」
九鹿 愛佳 : 「……それでも、人を殺している吸血鬼だというのなら、私は」
九鹿 愛佳 : 「……やることは、変わりません」
豊四季 一澄 : 「……取り止めて、代わりになってくれる人は?」
三ヶ月 里奈 : リナはアイカの目を見て、深く頷く。
三ヶ月 里奈 : 「あいにく、いないね」
三ヶ月 里奈 : 「いや、あるいは、いるのかもしれない」
三ヶ月 里奈 : 「でも、私は」
三ヶ月 里奈 : 「キミたちに頼みたいんだ」
九鹿 愛佳 : 里奈の問いかけから、そう答えるまで、あまり時間はかからなかった。
それは、まだ七栄等花という人をちゃんと知らないことと、那由がこの場にいなかったからかもしれない。
豊四季 一澄 : 「…………どうして?」
三ヶ月 里奈 : 「……吸血鬼という存在は、経済界の深部にも根深く存在していてね。世界を裏側で支配している」
三ヶ月 里奈 : 「今回の吸血鬼は、別に私の頑張りで見つけたものではなくてね」
三ヶ月 里奈 : 「経済界に通じている人間は、大物であればあるほど……その存在を知っているものなんだ」
三ヶ月 里奈 : 「彼らに阿るか、あるいは反発するか。あらゆる派閥があり、利権が複雑に絡んで、まったくその情勢は不安定なものなのだけれど」
三ヶ月 里奈 : 「そんな中、吸血鬼がある資産家の屋敷に匿われているかもしれないという情報が入ってね」
豊四季 一澄 : 「…………それって」
九鹿 愛佳 : 「……、……」 里奈の説明を聞きながら、最初にこの家に招かれたときに抱いた疑問が、解けていく。
三ヶ月 里奈 : リナは2人の表情を見て頷いた。
三ヶ月 里奈 : 「理解が早くて助かるよ。その資本家の屋敷というのは、多宝院家のことだ」
九鹿 愛佳 : 「那由さんが来ていないのは……、……そういうこと、なんですか」
三ヶ月 里奈 : リナは頷く。
九鹿 愛佳 : 里奈の頷きに、少し頭が俯いた。
多宝院 那由 : いや すいません メチャクチャ興奮しています

***秒速10書き込みの興奮***

多宝院 那由 : え、ほんとに私ずっと永遠に贅沢してませんか?
多宝院 那由 : いいんですか!?!?!?!?!?!?
三ヶ月 里奈 : 喜んでいただけて何よりです
多宝院 那由 : 最高です……………………………………
多宝院 那由 : ありがとう…………………………………………………………
多宝院 那由 : こんな こんな すごい こんな!
多宝院 那由 : 最初から! いままで! 性癖たっぷり
多宝院 那由 : ラスボスキャラ だいすき
多宝院 那由 : ラスボスというか 敵……
三ヶ月 里奈 : 体験卓がこれになるの、ウケるな……
多宝院 那由 : 人の前に立ちはだかる人 だーいすき!
多宝院 那由 : これ何の体験卓なんだろう……
三ヶ月 里奈 : 今流行りのブラッドムーン……
多宝院 那由 : 性癖のオートクチュール体験卓
三ヶ月 里奈 : 「ご存じの通り、七栄等花と多宝院那由は、同じライフル部に所属していた」
三ヶ月 里奈 : 「2人の仲の良さは、きっと2人の方がよく知っているだろう」
豊四季 一澄 : 「そりゃ、……別のクラスでも知ってるくらいだったし」
九鹿 愛佳 : 「那由さんは……、……知っているんでしょうか、……」
三ヶ月 里奈 : 「多宝院家の専属医から、ナユの異常な血圧低下が報告されている」
多宝院 那由 : うわ!♡
多宝院 那由 : 待って♡
多宝院 那由 : 低血圧だいすき
豊四季 一澄 : リークされている。
多宝院 那由 : リーク♡
多宝院 那由 : こんな……いいんですか!?!?!?
三ヶ月 里奈 : このひとずっと興奮している うれしそうでなによりです
多宝院 那由 : 超うれしいにきまってるじゃんこんなん・・・・・・・・・・・・・・・・
多宝院 那由 : 性癖のオートクチュール体験卓ですよ
多宝院 那由 : 完全に仕立ててもらってますよ
三ヶ月 里奈 : 「幸いナユは金曜日も学校に通学しており、日光を浴びている。だから彼女はまだ人間であるのは確かだ」
九鹿 愛佳 : 「血圧低下……」
豊四季 一澄 : 『まだ』という言葉がいやに引っかかる。それでは、まるで。
三ヶ月 里奈 : 「……可能ならば、まずは、説得を試みたい」
九鹿 愛佳 : 里奈の説得という言葉に、少し考えてから、頷く。
三ヶ月 里奈 : 「それがうまく行かなければ、力ずくでも」
三ヶ月 里奈 : 「吸血鬼は血戒という技で、人心を強引に魅了したり、精神を侵蝕することもある」
三ヶ月 里奈 : 「ナユが自分の意志であるのか、そうでないのかは、我々からは判断が付かない」
豊四季 一澄 : 「それを……確かめるのも含めて」
九鹿 愛佳 : 「……那由さんがまだ人間なら……、今なら、まだ」 間に合う、のだろうか。
三ヶ月 里奈 : 「いずれにせよ、これは」
三ヶ月 里奈 : 「私たちでなければいけない」
三ヶ月 里奈 : 「狩人であれば、吸血鬼側に付く人間に、一切容赦をしないものも多い」
三ヶ月 里奈 : 「殺してしまったほうが手っとり早いことは、いくらでもあるからね」
三ヶ月 里奈 : 「だから」
三ヶ月 里奈 : 「私たちじゃなければいけないんだ」
九鹿 愛佳 : 「……はい」
豊四季 一澄 : 「他の狩人が、来る前に……」
三ヶ月 里奈 : 「とまあ、お話は以上だ」
三ヶ月 里奈 : 「改めて聞くよ。明日の狩りには参加してもらえるかな」
九鹿 愛佳 : 「私は、参加します」
豊四季 一澄 : 「ここまで聞いちゃったら……行かないってのは、ないよね」
三ヶ月 里奈 : 「ありがとう」
三ヶ月 里奈 : それからあなた方は、軽く武器の使い方をおさらいしたり、メンテナンスをしたり、装備を改めたり……合間にティーブレイクなどを挟んだりしながら、明日に向けての準備をしました。
三ヶ月 里奈 : 風の強い午後で、木々が烈火のように揺れていました。
三ヶ月 里奈 : 灰色の空に流れる雲は速く。
三ヶ月 里奈 : いかなるざわめきが心にあろうとも、しかし狩人達は、入念に準備をしました。

GM : 7/5。
GM : 満月の日の朝。
GM : 多宝院家。
GM : その日の朝。
GM : 多宝院家に仕える使用人が、続々と家から出てくる。
GM : 正月も変わらずに多宝院家に寝泊まりしていたメイド長らも、一切。
GM : 突然の通達に誰もが困惑していますが、何か重大な理由があったというのは全員が理解している。
GM : 一番不可解な通達は。
GM : ナユの寝室を除いたあらゆる部屋のカーテンを取り払うべし、という通達。
GM : 朝日の赤い光が窓から飛び込んで、2人の部屋を除いたすべてを貫いている。
GM : 窓枠の影は濃く。
GM : 日にさらすべきでない絵画さえも、朝日の赤に燃えているように見える。
七栄等花 : 「……ナユ」
七栄等花 : 唯一、光の差さぬ部屋。
七栄等花 : トウカはあなたに呼びかける。
多宝院 那由 : 「……ん」
多宝院 那由 : 「なに、トウカ?」
七栄等花 : 「……今なら、まだ、間に合うよ」
多宝院 那由 : 「間に合うって……」
多宝院 那由 : 「僕は、何も逃してはいないよ」
多宝院 那由 : 「これからも」
七栄等花 : 「……」
七栄等花 : 「ナユ」
七栄等花 : 「約束したよね」
七栄等花 : 「ナユの銃に、名前をつけるって」
多宝院 那由 : 「うん」
七栄等花 : 「私にとってさ」
七栄等花 : 「ライフル部っていうのは、もともとナユに近づきたかったから、入ったんだよ」
多宝院 那由 : ちょっとまって????
豊四季 一澄 : 告白されている。
九鹿 愛佳 : 那由ちゃんを追いたくて……???
七栄等花 : 「やったこととか、全然、なかったけれど」
七栄等花 : 「私も頑張って、上手くなったら、誰よりも近く、ナユのことを見れると思って」
七栄等花 : 「だから、頑張ったんだ」
七栄等花 : 「私にとってライフルっていうのは、ナユそのもので」
多宝院 那由 : じっと等花を見つめて、きいている。
七栄等花 : 「だから、ナユのライフルには、」
七栄等花 : 「ナユ自身の名前をつけたいの」
多宝院 那由 : くちびるの動きを、瞳の動きを、瞬きのタイミングすら、何一つ逃さないように。見ている。見ていた。
多宝院 那由 : そうして、
多宝院 那由 : 「…………ありがとう」
多宝院 那由 : 「そうしよう」
七栄等花 : 「ナユ」
七栄等花 : 「わたしはもう、どこまでも吸血鬼でさ」
七栄等花 : 「人を殺したりすることに、なんら躊躇いもなくなってしまって」
七栄等花 : 「それでも、唯一、罪悪感を感じるとするならば」
七栄等花 : 「それは、ナユを」
七栄等花 : 「夜に」
七栄等花 : 「引きずり込もうとしていることで」
多宝院 那由 : 「……うん、」
多宝院 那由 : 「……トウカ」
多宝院 那由 : 「あのね」
多宝院 那由 : 「……僕はさ、なんでもできて。大体のこと、みんなよりうまくて」
多宝院 那由 : 「だから、みんなには慕われたり、そういうのばっかりでさ」
多宝院 那由 : 「そんな中で、トウカがライフル部に入ってくれて」
多宝院 那由 : 「……対等、みたいな。そういう、競い合える関係、はじめてだったんだ」
多宝院 那由 : 「だから、」
七栄等花 : 頷く。
多宝院 那由 : 「ずっと、一緒にいてほしい」
多宝院 那由 : 「それが、夜でも、どこでも、いいんだ」
多宝院 那由 : 「トウカと一緒なら」
多宝院 那由 : 見つめる。手を握る。
七栄等花 : 「バカだな……」
七栄等花 : 「バカ……」
七栄等花 : 「ナユのバカ……」
多宝院 那由 : 「……あは、」
多宝院 那由 : 「……うれしいよ」
多宝院 那由 : 「そう言ってくれる人、トウカ以外にいないんだ」
七栄等花 : 握られる手は震えている。
七栄等花 : 「……」
七栄等花 : 「うん」
七栄等花 : 「わかった」
七栄等花 : 「それじゃあ、一緒に――」
七栄等花 : その言葉を遮って、けたたましいベルの音が鳴る。
七栄等花 : 火災報知器の音ですね。
七栄等花 : スプリンクラーから水が噴出し、寝室のすべてを水浸しにする。
多宝院 那由 : いつか、いつかこうなるのだろうと。思っていて。
多宝院 那由 : だから、微笑む。
GM : すぐさまナユは、多宝院家の直々のものしか伝え聞かされていない、地下通路のことを思い出すでしょう。
GM : すべてが燃え、白日に晒されれば、すべては灰に消える。
多宝院 那由 : 「……旅に出ようか」
多宝院 那由 : 手を取り、立ち上がる。
七栄等花 : 「……うん」
七栄等花 : 「いこう」
多宝院 那由 : そうして、太陽から逃げる。落ちていく。暗闇に。夜に。
七栄等花 : 水に濡れたスカーフを被り、覆いきれない肌を、太陽の光に燃やされながら。
七栄等花 : 轟々と燃える屋敷を、2人は手を取り合って下り、

七栄等花 : そして地下通路に出る。
三ヶ月 里奈 : 「……おはよう」
三ヶ月 里奈 : 代々多宝院家にしか知られていない、外部へ繋がる広い地下通路。
三ヶ月 里奈 : そこに、狩人3人――アイカ、イズミ、リナ。
多宝院 那由 : 一瞬、目を見開いた。しかし笑みはすぐにとりもどされる。
多宝院 那由 : 「……おはよう」
多宝院 那由 : 「随分とにぎやかな目覚ましじゃないか?」
多宝院 那由 : 等花の手を、握る。
七栄等花 : 握り返す。
三ヶ月 里奈 : 「ご存じのとおり、私はやり過ぎた性格でね」
豊四季 一澄 : 下りくる足音に固めた覚悟は、照らし出されたその二人の姿に薄ら揺らいで。握りしめるのは硬い銀のたいまつ。
多宝院 那由 : 「そうだね」柔らかな笑み。
九鹿 愛佳 : 「……那由さん。分かって、いるんですよね。 ……彼女が吸血鬼だって」
多宝院 那由 : 「…………」愛佳を見つめる。微笑む。
九鹿 愛佳 : 等花の肌を覆うスカーフ。地下通路を渡ってくるなら、必要のないもの。
多宝院 那由 : 「僕が選んだ」
多宝院 那由 : 「誰かのせいじゃない、」
多宝院 那由 : 「僕が決めたことだよ」
多宝院 那由 : 等花に一歩寄り添う。
七栄等花 : 「ナユ……」
三ヶ月 里奈 : マジでこんな導入ある? あるんだな~ ここに 私もびっくりしてます
多宝院 那由 : これ体験卓の導入なんですか?
三ヶ月 里奈 : わからない……
九鹿 愛佳 : 1話は体験だったから、ほら(?)
多宝院 那由 : 死体験 死本番
九鹿 愛佳 : あれも体験か……???
九鹿 愛佳 : 体験ではあった
豊四季 一澄 : こんなこともありますというすべてを教えてくれる体験卓。
三ヶ月 里奈 : 「とはいえ、流石に家を燃やすことを決めたのはね、私の判断じゃない」
三ヶ月 里奈 : 「キミのお父様がお決めになったことだ」
多宝院 那由 : 「……うん」
九鹿 愛佳 : 「選ぶのは……、那由さんが生徒会長に語った、正しさを捨ててでも、ですか」
九鹿 愛佳 : 「……等花さんは、もう」
九鹿 愛佳 : 人を殺している、はずだ。
多宝院 那由 : 「……そうだね、だって、今父が家を燃やしたのだろう?」
多宝院 那由 : 薄く笑う。紫色の瞳が見据える。
多宝院 那由 : 「これでもう、正しくなくてもよくなった」
三ヶ月 里奈 : 「……こう伝えてほしいと言われているんだ」
三ヶ月 里奈 : 「本当に困難な正しさというのは」
三ヶ月 里奈 : 「誤ったあとに取る正しさであると」
三ヶ月 里奈 : 「これはあなたに科された試練だと」
三ヶ月 里奈 : 「だから」
三ヶ月 里奈 : 「まだ引き返せる」
三ヶ月 里奈 : 「人間であるうちは」
多宝院 那由 : 「……そう」
多宝院 那由 : 「けれど父は、幼い僕にこう言った」
多宝院 那由 : 『人を守ることが、上に立つものの正しさだ』
三ヶ月 里奈 : そうだ。
三ヶ月 里奈 : 里奈はわかっている。
多宝院 那由 : 「……大切な人を守れなくして、何が正しさなのだろうな?」
多宝院 那由 : 「地位も、帰る場所も、全て失ったとき」
三ヶ月 里奈 : 多宝院家の父が選んだ、この暴力的な解決方法は。
三ヶ月 里奈 : その正しさに基づいての、第一の最善手。
多宝院 那由 : 「最後に守りたいものを守ることが、僕の思う、正しさだ」
三ヶ月 里奈 : 巻き添えにして燃やすことも、あるいはそれが責任だという答え。
多宝院 那由 : 「ああ、……すべて燃えて、ようやくわかった」
多宝院 那由 : 「僕はね、今、幸福なんだ」
多宝院 那由 : 「この手が、大切な人の手を握っていること」
多宝院 那由 : 「最後に守れたのがそれで、僕は幸福だ」
多宝院 那由 : 「僕は、この手を離すつもりはない」
七栄等花 : トウカは何も言わない。ただその言葉を聞いている。ナユを見ている。
九鹿 愛佳 : 「……守ったものが、どんなに周りの幸福を壊していても、ですか」
多宝院 那由 : 「でも、今はもう壊してないのだろう?」
豊四季 一澄 : 「……それがいつまでも続く保証だって、ないじゃん」
豊四季 一澄 : 「顔色、…………ひどいよ」
多宝院 那由 : 「……はは、」
三ヶ月 里奈 : そしてこれまでのナユの暮らしぶりを可能にしていたのは、他ならぬ多宝院家の長女であったからに他ならない。
三ヶ月 里奈 : 光の届かぬ護られた部屋。十分な食事。医療。
三ヶ月 里奈 : それがすべて燃え尽きた、ここから先は。
多宝院 那由 : 「……そうだな、」
多宝院 那由 : 「永遠なんてない」
多宝院 那由 : 「でも、僕は、」
三ヶ月 里奈 : 他ならぬ、あなたたちが拒んだ永遠。
多宝院 那由 : 「今、こうして、トウカがここにいるのが、嬉しい」
多宝院 那由 : 「きっと、それだけだ」
多宝院 那由 : 「でも、それだけでいいだろう?」
三ヶ月 里奈 : 武器を構える。
三ヶ月 里奈 : 「ならば」
九鹿 愛佳 : 「那由さん……」
三ヶ月 里奈 : 「強引に組み伏せ、キミの正しさを、幸福を」
三ヶ月 里奈 : 「この手で破壊する」
豊四季 一澄 : 「……うん」
九鹿 愛佳 : 「……吸血鬼は、『それだけ』で済まないんです。 ……貴女も、知っているはずです」
豊四季 一澄 : 「あたしたちが最初に、何かできないかって言ったのもさ。理由なんて、それだけだったもんね」
九鹿 愛佳 : 「……那由さんが今守ろうとしている人は、生徒会長と同じことをするんです。だから、」
九鹿 愛佳 : 「……その人は、ここを通させるわけにはいかない」
豊四季 一澄 : 「ごめん」
豊四季 一澄 : 「そう思える人がいなくなるの、つらいって、……知ってる」
豊四季 一澄 : 「だけど、だから……やらなきゃ、いけないんだ……」
多宝院 那由 : 「うん」
多宝院 那由 : 「それでいい」
多宝院 那由 : 「君たちが正しさのため、戦うなら」
多宝院 那由 : 「僕もまた、僕なりの正しさのために、戦おう」
多宝院 那由 : 「……恨まないよ。怖いけど、」
多宝院 那由 : 「でも、これは、僕が決めたことだ」
七栄等花 : 一歩前へ出る。
七栄等花 : 「ナユ」
七栄等花 : 「ありがとうね」
七栄等花 : 「みんなも」
七栄等花 : 「ナユのことを、引き留めてくれて」
七栄等花 : 「……決めたよ」
七栄等花 : 「わたし」
七栄等花 : 「吸血鬼でも、モンスターでも、なんでもいい」
七栄等花 : 「正しくなくても、酷いことでも、認められなくても」
七栄等花 : 「永遠なんてなくても、それがたとえ、今だけでも」
七栄等花 : 「だって、私は、蘇った」
七栄等花 : 「産まれてくるときに、決まった意味なんてないけれど」
七栄等花 : 「蘇ることには、意味がある」
七栄等花 : 「私はまたナユに会いたくて」
七栄等花 : 「ただ、そのためだけに、蘇ったから」
七栄等花 : 「だから」
七栄等花 : トウカの目が妖しく輝く。
七栄等花 : あなたがた狩人は身動きひとつ取れなくなる。
七栄等花 : 金縛りの血戒だ。
九鹿 愛佳 : 「……!?」 構えた武器が、腕が動かせない。見ていることしかできない。
三ヶ月 里奈 : その血戒を前にして、炎の揺らぎさえ動くのをやめる。
三ヶ月 里奈 : 閃光、瞬間を、写真機で捉えるかのように。
三ヶ月 里奈 : 今という時間を、永遠にしようとするかのように。
豊四季 一澄 : 驚きに目すら動かせない。声を上げようとする心ばかりが、固められた体のうちで空回りを続けている。
七栄等花 : ――トウカの姿が変わる。
七栄 等花

吸血鬼『七栄 等花』

七栄等花 : 無数の目が狩人を見る。その空間に縫い止める。
七栄等花 : 「いこう」
七栄等花 : ナユの手を引いたまま、暗闇の通路へ。
多宝院 那由 : 「……うん、」
多宝院 那由 : 手を引かれて。従う。
多宝院 那由 : 「またね」
多宝院 那由 : 一度だけ振り返り、狩人を見て、小さくこぼした。
GM : 地下通路は、第二次世界大戦時に用意されたもので、地上以外にも地下鉄や下水道に接続している。
GM : 地上はまだ、昼の世界。
GM : トウカとナユは、都会の地下へ。暗がりへと落ちていく。
GM : ただ、今という時のために。