ブラッドムーン「夜に落ちる」

導入フェイズ

惨殺シーン

- : 放課後。
- : 人気の少ない廊下。
- : 走る生徒。
- : 息を切らし、上履きのゴム底が擦れる音。
- : 階段を駆け下り、飛び降りる。
- : そのまま階段を滑るように下りるか、廊下に進むか迷い、慌ただしく振り返り、
- : 人影を見つけて小さく悲鳴を上げる。
- : 上履きのままに校舎を飛び出る。
- : 「誰か!」
- : その呼び声に返す者はない。
- : 身体も胸も裂けるほど痛むのさえ今は気にならず、すぐそこの角を曲がれば校門、というところで、
- : 不意に身体が中に浮く。
- : 「逃げ切れるとでも思ったかな」
- : 焼けるような感覚がお腹にあった。地面がわずかに遠い。
- : 手足が自然ともがいている。腹へと続く赤い何かに続く。
- : 「運が悪かったね。それとも目がいいのかな」
- : 「優れた能力が仇になることもある、か。教訓だね」
- : 身体を支えていた赤い何かがふっと消える。地面が近づいてきて、そのままぶつかる。
- : アスファルトが赤く濡れている。
- : 霞んでゆく視界の中で、足音が聞こえてくる。
- : 「最期に言い残すことはあれば、私が聞き届けよう」
- : 首を横に振る。
- : 「そうか。それでは、さよならだ」

GM : では……導入シーンからです。
GM : 一応、そうですね、PC2のシーンとしましょうか。

導入:豊四季 一澄

GM : 四月のある放課後。
GM : 委員会だか、部活だかで、学校を出るのが遅くなってしまうんですが……どんな理由がありそうです? PC2
豊四季 一澄 : 友人が多そうなので、そのうちの一人に委員会の手伝いでも頼まれたのかなと。
豊四季 一澄 : 4月は忙しそうだし…
GM : そうですね、何かと初月は忙しいですよね。
GM : では……。
GM : 【昇降口・日没後】
GM : 友達の委員会の手伝いで遅くなったイズミは、一通りの仕事を終えた後、教室に忘れ物をしてきたことに気付く。
GM : 帰宅を促す放送がとうに流れて、校舎に人気は無かった。照明は落とされ、教室は施錠され、一度職員室に寄って鍵を借りる必要もあった。
GM : 日はずいぶんと長くなったが、もう夜を迎えている。
GM : あなたは玄関で、同じように遅くなり、帰宅しようとするナユに出会った。
豊四季 一澄 : 靴を履きかけて気がつく。朝にこうして同じ場所に立った時に持っていたもの。それを取ってくるなら、だいぶ手間がかかることも。
豊四季 一澄 : 「めんど……」思わず口から漏れ出た呟き
豊四季 一澄 : それとともに顔を上げて、自分以外の人影のあることに意識が向く。
多宝院 那由 : 「おや、一澄君かい? もう下校時刻は過ぎているけど」あなたと目が合うと同時、声をかける。正しく線対称のしっぽ髪があなたの目の前で揺れる。
多宝院 那由 : 「何か面倒そうにしていたのを聞いてしまったけど、悩み事?」
豊四季 一澄 : 「あ、多宝院さんだ」まっすぐ伸びた背筋、自信にあふれた顔。
豊四季 一澄 : 隣のクラスということもあって、弟や友達から漏れ聞こえてくる話を聞いたこともある程度だけれど。「……ねえねえ、もしかしてなんだけど持ってない? 教室の合鍵とかさ」
多宝院 那由 : 「合鍵は持っていないな、しかし一澄くんが僕に会ったのは幸運だ。何故なら僕は、職員室の入り方と鍵の場所に詳しい」よく勝手に借りてるからだ。
多宝院 那由 : 「案内しようか。なるべく先生にバレない入り方を教えよう」
豊四季 一澄 : 「ホント!? みんなからいい人って聞くけどホントだった! よろしく!」
多宝院 那由 : 「ああ、任せてくれたまえよ!」うれしそうだ。ウキウキで歩きだす。
GM : 暗い校舎を歩く。
GM : あんなにも燦然と輝いていた太陽も、夜になればその身を潜める。昼間の喧噪もまた、その残滓さえ残さずに消え失せる。
GM : 二人の足音ばかりが響く。
多宝院 那由 : 「一澄君は帰りがここまで下校時刻を過ぎることは珍しいかな?」問いかけつつ歩く。
豊四季 一澄 : 頷きながら後に続く。「手芸部ってそんなに残んないしね。今日はちょっと友達に付き合っててー」
多宝院 那由 : 「そうか、今の時期は予算申請などで忙しいものな」
豊四季 一澄 : 「多宝院さんはすごい慣れた感じしてるけど、いつもこんな風?」
九鹿 愛佳 : なんか人生慣れてる感じがあって 2周め?
GM : なんなんでしょうね
GM : イケメンすぎる
豊四季 一澄 : 人生慣れてる、それもある。
九鹿 愛佳 : 一般的な経験はなんでもやってるような、そんなイメージ
GM : なんというか、自分に科してるハードルのほうが基本的に高いから
GM : 世に求められるものはおおよそ簡単になってしまうタイプというか。
多宝院 那由 : めっちゃ英才教育受けてそうですよね(受けてると思います)
多宝院 那由 : 頷く。「ああ、いつもこのくらいまで残っているぞ。フフ、みんなには内緒だ」
多宝院 那由 : 「いや当然……当然正しさと強さのためだし、なにもやましいことはないがな!」
豊四季 一澄 : あまり疑わない。「やましいこととかできなさそうだもんねー、むしろ」
GM : あなたがたはおしゃべりを交えて職員室につく。ナユはあっさりと鍵を拝借する。特に咎める者はなかった。授業後のデスクワークに追われる教師陣。
多宝院 那由 : 「多宝院家の跡取りたるもの、いつでも恥じないような振る舞いをすべきだからな!」言いつつ、慣れた手付きで鍵を取り。
多宝院 那由 : 「さて、ばっちり正しく鍵が取れたぞ。教室へ行こうか」鍵を見せる。
豊四季 一澄 : 職員室の外で待っていた。ほとんど時間もかからずに戻ってくるのを見れば、「すご! 顔パス!」
多宝院 那由 : 「ああ、正しいからな!」フフン。
豊四季 一澄 : 「さっすが~」と、今度はこちらが先に立って教室への道を歩いていく。
豊四季 一澄 : 「あたしじゃああはいかないもんね、絶対見つかってお説教」
多宝院 那由 : 「ははは、やってみたら案外なんとかなるかもしれないぞ」半歩下がってついていく。
豊四季 一澄 : 「そういうもんかなー」そこまで自信は持てない。「ていうか、だいたい『なんとかしちゃう』のは多宝院さんだからじゃん?」
多宝院 那由 : 「それは……うん、そうかもしれない。僕は強く、正しく、多宝院家の跡取りだから」
多宝院 那由 : 「そうなるとこの恵まれた立ち位置、存分に活かさなくてはな。これからも困ったことがあったらどんどん言いたまえ」
豊四季 一澄 : 「…………」しばらくの沈黙。「……なんかこー、武士みたい」静かな廊下に思いのほか小声が響いて、
豊四季 一澄 : 「あっ、えーと、多宝院さんがいいならぜひ!!」とかき消すように慌てて。
GM : そうこうしているうちに、教室の前の廊下へと着く。
GM : 2-1、2-2、2-3と、2年生のクラスが連続して並んでいる。
多宝院 那由 : 「ふふ、武士か。いいな、僕は剣道も好きでね」なんて言いながら、持っていた鍵を差し込んで扉を開けて。さあどうぞ、と手で教室の中を指し示す。レディファースト。
豊四季 一澄 : 「心が広い~~」指し示された通りに自分の教室の扉の前へ。扉にある大きな窓から見える教室の中。
GM : あなたが手を掛けると、しかし、扉がしまっていることに気付くだろう。
GM : 確かにナユは鍵を回したはずだ。
多宝院 那由 : 「……? どうした?」
豊四季 一澄 : 「……? あれ? 鍵、まだ閉まってない?」
豊四季 一澄 : ほらほらと隣へ那由を招く。
多宝院 那由 : 「えっ。僕としたことが」
多宝院 那由 : もう一度鍵を差し込んで回す。「反対方向だった? ……いや、いつもと同じように回したはずだが……」
GM : 鍵は抵抗なく空いた。
GM : どうやら、元々空いていたようだ。
多宝院 那由 : 「ああ、開いていたのか! すまなかっ……」
多宝院 那由 : 「……え? なぜ?」
豊四季 一澄 : 「先生の閉め忘れとか?」
多宝院 那由 : 「下校時刻は過ぎてるし、もうおそらく消灯と施錠の確認も終わっているはずだが……ああそうか、閉め忘れか。閉め忘れかも」
多宝院 那由 : 「……いや、今日に限って?」今日は真面目な先生が施錠担当ではなかったか? 変更があったかも。
豊四季 一澄 : 「なんだ、まっすぐ来たらよかったじゃん」隣とは違い、あまり深いことを考えていない。扉に手をかけて、もう一度開けようとする。
GM : それは変わりなく開く。
GM : しかし、すぐにその異変に気付くだろう。
GM : すさまじい臭いがした。
GM : 生臭いとも鉄臭いとも感じられる、むせかえる臭気が暗闇の教室から漏れ出す。
豊四季 一澄 : まったくいつもと同じように、いつもと同じ力を込めて開いたのだ。急にそれを止めることなど考えてもいない。
多宝院 那由 : 「……え、何、この……」
豊四季 一澄 : 結果として大きく開いた、いつもの教室の扉から、ありえない臭いがする。
GM : その臭いには奇妙な湿度と温度を感じさせるものがあった。空気はむしろ、季節に反して冷たすぎるくらいであるのに、その臭いは何故か『生あたたかい』。
豊四季 一澄 : 「…………? なに? なんの臭い? これ……」
GM : 窓からの光が教室に浅く差し込んでいる。電気を付けずとも、中をうかがうことはできるだろう。
豊四季 一澄 : 異変の元を探ろうと目を凝らす。そこに何があるかなど深くは読みもせず、ただ訝しみによって。
多宝院 那由 : 一澄の方に一歩寄り、暗闇の中を覗いてみる。
GM : 差し込む月明かり。
GM : それが描く輪郭は、人の形をしていた。
GM : 学ランをきているのは確かだが、それ以上はわからない。
GM : その人影は、なにかに覆い被さるかのような姿勢を取っている。
GM : クリムトの『接吻』を連想させるその姿勢は、
GM : つまりもう一人を抱え込んでいるのがわかる。
GM : 液体の滴る音、啜る音。
GM : 息づかい。
GM : それから。
GM : 「誰だ?」
GM : あなたがたに呼びかける声。
GM : その発声に対して、あなたがたの生理的な本能はすぐさま察する。
GM : 『それに応えるべきではない』。
多宝院 那由 : 「……!」
豊四季 一澄 : 液質の音。遠目にも見える姿勢。変わらぬ臭い。表情を歪める。
多宝院 那由 : 反射的に一澄の腕を引っ張っていた。「逃げ、」
豊四季 一澄 : 状況の不快から来ていたそれも、声をひとつ耳にすれば恐れに変わり、「ひ、」腕を引かれるまま扉から離れ。
多宝院 那由 : ――られるのか? 顔を見られたか? あれは誰だ、抱え込まれていたもう一人は誰だ、どうしたら、どこへ逃げたら。
多宝院 那由 : 一瞬で疑問と恐怖が浮かんでは消えて、絡まって、足をもつれさせた。転びそうになる、けど、逃げないと、だってあれは、……あれは何だ?
GM : ずるり、どさり。何かが滑り落ちる音。
豊四季 一澄 : 空っぽになった頭のままに、手は扉から離れる。広がる異臭の元と自分たちを隔て損ねたまま。
GM : 空っぽの机が押されて鳴る。
多宝院 那由 : 走る。走る。本能に任せて。繋いだままの腕はきっと痛いくらいに握りしめていて、けれどそのことにも気付かない。
豊四季 一澄 : 「あ、ちょ、」こちらからは、突然引きずられるように動かされたと見えた。
豊四季 一澄 : 突然の重心移動に何とか足がついていって、走りながら体勢を整えるように、引かれるまま後へ続く。
GM : あなたがたは校舎を駆ける。ついてくるものは感じられなかったが、止めるべきではないというのはわかった。
GM : 普段使っている昇降口すらも通らず、一番近い経路であなたがたは校舎を出た。
GM : 取りに行くはずだった忘れ物も忘れ、鍵を返却することもなく、靴は上履きのまま。
多宝院 那由 : 使ったことのない昇降口を飛び出した。しばらく走って、走って、走りながら一瞬、後ろを振り返る。また走る。
GM : 学校の外に出て、ようやく、今ひとたびは危険を切り抜けられたのだという実感を得るだろう。
豊四季 一澄 : 息を切らしながらただ前を見ている。腕を引く彼女が行くというならそれは間違っていないんだろう。振り返らない。振り向きたくない。
多宝院 那由 : 学校から離れれば、走る速度もだんだん遅くなって。夜の街にふたり、息を切らして。立ち止まる。
多宝院 那由 : 「……い、まの、」
豊四季 一澄 : 足が緩めば、次第に体が思い出してくる。こんなに走ったことはそうないと。足は震え、立ち止まり。やがては体重を支えきれなくなって、アスファルトの上にへたり込む。
多宝院 那由 : 「…………見、」た? と聞く前に、街灯に照らされたあなたの顔色を見て、続けるのをやめる。
豊四季 一澄 : 見上げた顔は怯え切っている。きっと同じ表情をしているんだろう。
豊四季 一澄 : そう思いながら、返そうとした声が出ない。酷使した喉が息を吸うだけで痛む。問いに返すのはただ頷くことだけ。
多宝院 那由 : 長距離走は得意とはいえ、どっと疲れが押し寄せてくる。並んで座る。
多宝院 那由 : 「…………」夜の闇が、なんだか自分たちを押しつぶしてきそうで。
多宝院 那由 : 「…………。……家、どこだっけ。……家、まで、おくるよ」
豊四季 一澄 : すぐには頷かない。何度か口をぱくぱくと動かす。しばらくは息を整えることに専念する。そうして。
豊四季 一澄 : 「……たほ…いん、さん、どうすんの……」そう聞き返す。
多宝院 那由 : 「……僕は、ほら、家のものが迎えに――」
多宝院 那由 : 「…………」
多宝院 那由 : 「…………」どう説明するんだ? この状況を。
豊四季 一澄 : 言葉の割には表情が明るくない。自分には何の問題もないように思えるが。「……どし、たの」
多宝院 那由 : 「……たとえばさ、」
多宝院 那由 : 「学校に幽霊が出たから逃げ出してきました、怖いので迎えに来てくださいって言って、信じる?」
豊四季 一澄 : 「……………………」
豊四季 一澄 : 「ムリ、じゃない………?」
多宝院 那由 : 「……それに僕は多宝院家の跡取りだ。……妹たちに格好悪いところは見せられないし、お父様やお母様を心配させるわけにもいかない、……よな?」
豊四季 一澄 : 「それは…………」普段以上にそれは想像のつくところではないが、「……ちょっとわかる」たぶん弟が笑うから。
豊四季 一澄 : 「でもさあ、いまさら」見回す夜が広い。下校時刻を過ぎた通学路に人気はない。「……ひとりでとか、帰れないよね」
多宝院 那由 : 「……それは、」少し考えて、頷く。「……無理だな。うん」
多宝院 那由 : 「……とりあえず、そうだな。君の家まで、ついていってもいいだろうか」
豊四季 一澄 : 「うん。お願い。……困ったら言ってって言われたけど、来るの早すぎだよね」
多宝院 那由 : 「その頃には……家のものに説明できるようになっているかもしれない。わからないけど。僕は今混乱している、ああ、ものすごく自覚がある」
多宝院 那由 : 「こんなに早く困ることないよな……」緊張がちょっと和らいだ。
豊四季 一澄 : 「…………じゃ、こっち」少しよろけながらも、立ち上がる。
豊四季 一澄 : 「そうだよね、あたしも何て言うか考えとかないと」
多宝院 那由 : 「……うん」いつものようによろけた背中を支えられるだけの力は残っていない。次いで立ち上がる。
GM : そうして二人はイズミの家までやってくる。
GM : 学校から離れるだけで、街はいつも通りの夜だった。車が走り、人とすれ違い、夜には夜の賑わいがある。
GM : 街灯や看板、車のヘッドライトは、月明かりや星の明かりよりもはるかに明るい。
GM : そうした街並みを見れば、人間はとうに夜というものを支配しているように見える……。
豊四季 一澄 : 「あ、あそこが家」見慣れた形、「豊四季」の表札。
多宝院 那由 : 「……うん。住所は送っとくから、よろしく頼む」歩きながらなんとか電話していた。電話を切って、その声に顔を上げる。ほどなくして黒塗りの高級車が迎えに来るだろう。
多宝院 那由 : 「……よかった。家だな……」
豊四季 一澄 : 自分のテリトリー、生まれ育ってきた場所。そうしたものを見て、やっと安堵したらしく。深く息を吐く。
豊四季 一澄 : 「……ホントありがと、多宝院さん……絶対あたし一人じゃ帰れなかったと思う……」
多宝院 那由 : 「……何事もなくてよかった。僕も……あのあとですぐに一人になるのは怖すぎた」
豊四季 一澄 : 「迎え来るまでうち入ってきなよ……このまま外で待たせるとかないし」
多宝院 那由 : 「ありがとう……本当に助かる、お言葉に甘えるよ」菓子折りを持ってきてくれってメッセージ送っておこう。
豊四季 一澄 : 「うんうん、それじゃ」と手を引きながら家のドアを開ける。住宅街の夜に玄関の光が漏れ出る。
GM : すんなりと開き、テレビの音が聞こえてくる。
豊四季 一澄 : 普段ならこの時間、居間で見ているやつだ。すっかり遅くなってしまったと改めて実感する。
豊四季 一馬 : 「何やってたんだよ、遅――うおっ、多宝院!?」
多宝院 那由 : 「お邪魔します」なにごともなかったように装って、声が震えないようにして。正しく適切な大きさで声を発する。
豊四季 一馬 : 廊下に顔を出したカズマが、ナユに驚いた。
多宝院 那由 : 「! 一馬君。お邪魔するよ」にこやかに。
豊四季 一馬 : 「えっ、何? イズミと仲良かったっけ?」
多宝院 那由 : 「ああ、僕に仲良くない人はいないよ」
豊四季 一澄 : 見慣れた顔への言い訳を何も考えていない。「いや、えーと、いろいろあってー」と言いつつ玄関で靴を脱ぐ。
豊四季 一澄 : 弟の靴の隣に並ぶ学校指定の上履き。
豊四季 一馬 : 「……なんで上履きなん?」
多宝院 那由 : そのとなりに学校指定の上履きを並べる。
豊四季 一馬 : 「しかも2人揃って」
多宝院 那由 : 「そういう気分だったのさ。一馬君にもあるだろ? そういう日」ヤバい! 何も考えてない。
豊四季 一馬 : 「やっぱり多宝院ってすげえな……」
豊四季 一澄 : 「そ、そうそう! で、その気分がわかったらなんかすごいのが掴めそうだなって思ったわけ」
豊四季 一馬 : 「わかったんだ……?」
豊四季 一澄 : 「まあ…ちょっとは?」無駄に胸を張る。
豊四季 一馬 : 「尊敬するわ……」
豊四季 一馬 : 完全に引いている。
多宝院 那由 : 「上履きはいい、普通の靴より靴底が薄く柔らかいから地面の感触が伝わりやすいよ。君もやるといい」
豊四季 一馬 : 玄関は夕飯の匂いがする。酢豚の匂いだ。
豊四季 一馬 : 「俺は避難訓練の時で十分かな……」
豊四季 一澄 : 「で、しばらくしたらお迎え来るからってさ」と一馬へ那由を示す。
豊四季 一馬 : 「いつもの人か」
豊四季 一馬 : この学校では多宝院の送り迎えを知らない人はいない。
多宝院 那由 : 「ああ、説明ありがとう。そういうことだ、突然お邪魔してしまってすまない。どうかお構いなく」
豊四季 一馬 : 「お、おう……」
豊四季 一馬 : すごすごと居間に戻っていった。
豊四季 一馬 : 多宝院と一緒にいるということ以外は、もうすっかり日常に戻ってきたように見える。
GM : 心臓が忘れられないでいるあの張り詰めた心拍数のことも、それはあるいは夢のように、過去になろうとしている。
GM : 約束通りに送り迎えの車が来て、ナユは家に帰った。イズミもまた、そのまま一日を終えた。
GM : 家に着く頃には冷静さを取り戻し、パーフェクトな言い訳も思いついた。
GM : しかし、本当に気付くべきだったのは。
GM : あまりに日常でありすぎること。
GM : あの教室であったことが、感じたとおりのことならば。
GM : ニュースの一つや二つ、あってもおかしくはなかったはずだ。
GM : SNSのクラスのグループチャットに話題が上がることもなく、
GM : ただ、その日は当たり前のように一日を終える。
GM : そしてその翌日の朝も、変わりのない姿をしていた。
GM : 恐る恐る踏み込んだクラスに血の匂いはない。
GM : いつも通りの営みがただあるように見えた。
GM : 何事もなく朝礼が過ぎ、授業が始まる。
GM : まるであなたがたの見たこと、感じたことは夢であったとでも言うように。
GM : しかし、イズミは気付く。
GM : 授業中、プリントを回すとき。
GM : あなたはいつも、さいごに一枚のプリントを後ろに回していたはずだ。
GM : 自分のところで、プリントがちょうどなくなるということはなかったはずだ。
GM : 一番後ろの席では、なかったはずだ。
GM : 疑問を抱いてクラス名簿をカウントしてみても。
GM : 39というキリの悪い数字では、なかったはずだ。
GM : いや。
GM : そもそも。
GM : この学年はもともと、4クラスあったはずではなかったか。
GM : そうだ。間違いなく一年生の頃は、イズミは、1-4だったはずなのだから。
多宝院 那由 : えっ
多宝院 那由 : 怖い
九鹿 愛佳 : いなくなってしまった……
豊四季 一澄 : 存在が……消えている…………??
多宝院 那由 : え? 存在が???
多宝院 那由 : 存在が・・・・・・・・・?
豊四季 一澄 : 行方不明者ってそういう……?
九鹿 愛佳 : インセインめいてきた
多宝院 那由 : えっ
九鹿 愛佳 : まるまる1クラス……
豊四季 一澄 : ああ そうだ 2-3までしか描写されていない……
多宝院 那由 : >GM - 今日 21:9
2-1、2-2、2-3と、2年生のクラスが連続して並んでいる。
多宝院 那由 : こんな伏線ある?
GM : 押し寄せる違和感。
GM : しかし、もしそうならば。
GM : 昨晩あった出来事は、夢や勘違いではなく。
GM : 本当にあったことではなかったか。
豊四季 一澄 : 弁当を食べようと机を動かしてもすんなりと。間に入っていた別のグループの生徒の机がないからだ。
豊四季 一澄 : それとなく聞いてみても、周りは特に何の違和も覚えてはいない。自分がこんなに、肝を冷やして真剣に聞いているのにもかかわらず。
豊四季 一澄 : 背筋がさっと冷えていく。まるで今、あの声の主に相対しているかのように。その痕跡に気づいてしまっただけで。
豊四季 一澄 : 自分だけがあの夜に、取り残されている感覚がする。
GM : それを分かち合えることができるのは1人、あの場に居合わせたナユだけだ。
豊四季 一澄 : 同じ1-4出身者がいなくなっていたりしますか?
GM : そうですね。いなくなってます。
豊四季 一澄 : ありがとうございます。
GM : 全員がいないわけじゃなくて、まったく3組あたらしく組み直されてますね。クラス。
GM : いなくなってる生徒は、全クラスからいなくなってます。
豊四季 一澄 : それに耐えられなくなれば、また周囲に断って席を立つ。
豊四季 一澄 : その手には弁当がフルセット。
多宝院 那由 : なんとなく居た堪れなくなって、一澄のいる教室の扉の前にいる。扉を開けようとして、躊躇って。鍵穴に触れる。
豊四季 一澄 : そんなあなたの目の前で、勢いよく扉が開く。
豊四季 一澄 : その向こうに、目を丸くした一澄がいる。
多宝院 那由 : 深呼吸。窓の向こうを確認した。そこは光があって、人であふれている。昨日とは違う、だいじょうぶ――
多宝院 那由 : 「っ、わ」
多宝院 那由 : 「……君か! びっくりしたよ!」
多宝院 那由 : 「でも奇遇だね、君に用があって。呼び出してもらわなくてよくなった」
豊四季 一澄 : 「あたしも」驚いたということにも、用があったということにも。
豊四季 一澄 : そこまで一致しているなら、さして話もいらない。「……行こ?」
多宝院 那由 : 「……うん」
七栄等花 : 「あれ、ナユ?」
七栄等花 : 「どこ行くの?」
七栄等花 : クラスメイトのトウカが話しかける。
多宝院 那由 : 「トウカ!」
七栄等花 : いつも一緒にご飯を食べている。
多宝院 那由 : 「今日はちょっと、一澄君と約束しててね。急ですまないが」多宝院は顔が広いためそこそこくらいの頻度で人から呼び出されたりする。
七栄等花 : 「あっ、そうなんだ!」
七栄等花 : 「いってらっしゃーい」
多宝院 那由 : 「ありがとう、いってきます」
豊四季 一澄 : 「ごめんっ、ちょっと借りまーす」と話を合わせつつ。人気のない方へ足を進める。
九鹿 愛佳 : 人気のないところへ進んでいく2人に目を留めた。話しかけたりはせず、眺めるに留める。
九鹿 愛佳 : 片方は、学校では有名な多宝院という人だった気がする。
九鹿 愛佳 : あの2人は……もしかしたら。2人の姿が視界から消えてから、ゆっくりと後を追った。
GM : 狩人仕草だ!
GM : ありがたい
九鹿 愛佳 : 見てるだけ。
多宝院 那由 : ありがたいな………………
GM : ありがたい
豊四季 一澄 : 熟練の狩人……
九鹿 愛佳 : 里奈先輩の教えですよ
九鹿 愛佳 : (きっと
豊四季 一澄 : 後を追うものがあるとは気が付かないまま、人気のない無人の教室の前の廊下へ。
豊四季 一澄 : 2年自習室、かつては2-4の札がかかっていた教室の前。
GM : クラスが減っているのは他の学年でも同じようで、ちらほらとそうした不自然な教室が増えている。
多宝院 那由 : 「……」自習室、と書かれたそれを見る。
多宝院 那由 : 「……」なにかいいかけて、やめて、それを三度繰り返して、四度目に口を開いた。
多宝院 那由 : 「……どう、だった? ……どう思う?」漠然とした問いかけだ。
豊四季 一澄 : 「……そう聞くってことはさあ、やっぱり」
豊四季 一澄 : 「思ってるよね、変だって」
多宝院 那由 : 「……うん」
豊四季 一澄 : 「あたしも」
豊四季 一澄 : 「よかった、多宝院さんもそうでさ」
多宝院 那由 : 「一澄君もか、……安心した」
多宝院 那由 : 「他の皆は……恐らく、気付いていなさそうだったから」
豊四季 一澄 : 「うん、こっちもそうだった」
豊四季 一澄 : 「あたしもさ、昨日まで、わかってなかったし」
多宝院 那由 : 「……僕もだ」
多宝院 那由 : 「これは、つまり、何か、わからないが何かが起こっているということは……信じなければいけない、ということか?」
豊四季 一澄 : 「なんかある。絶対ね」困惑の色の深い隣とは対照的に、こちらは確信を持っている。
多宝院 那由 : 「……僕に、」あの太陽のような、子犬のような、笑顔が頭を過ぎる。「……できることは、何だ?」
豊四季 一澄 : 「わかんない。あたしにできることも、わかんない」一年をともにしたはずの、しかし昨日までまったく思い出せなかった友の言葉がよぎる。
豊四季 一澄 : 「でも、なんかしなきゃなんないってのは、わかる」今までの17年、隣にあった顔と。交わしてきた言葉を思い出す。決していいばかりのそれでなくても。
多宝院 那由 : 「……うん」
GM : 昼休みの賑やかな教室から離れ、ふたりだけで弁当を食べる。
GM : 知らないでいれば、日常のままでいられただろうか。
GM : 気付かなければ、当たり前を過ごせていただろうか。
GM : 2人は過ぎ去ろうとする日々に手がかりを見つけ出そうと、あらゆるものを疑い、過ごす。
GM : あまりおおぴらに動くこともできない。
GM : いまだ生々しく思い出す、心臓に張り付いて離れない恐怖。
GM : あるいはあの闇に立つ"何か"も、あなたがたを探しているのかもしれないのだから。
GM : そうして三日が過ぎた。
GM : 今度はナユのクラスメイトが1人消えた。
GM : 引き裂かれていく日々。
GM : そしてある日の放課後。ゴールデンウィークを間近に控えた夜。
七栄等花 : 『ナユ? 今おうち? 今ナユの家の前にいるんだけれど』
七栄等花 : そうして、七栄等花が現れる。

導入:多宝院 那由

七栄等花 : 夜。ナユの元にトウカからSNSでメッセージが届く。
七栄等花 : 『ナユ? 今おうち? 今ナユの家の前にいるんだけれど』
多宝院 那由 : 『うん、家にいるけど どうした?』メッセージが来てから10秒くらいで返事する。
七栄等花 : 『あの』
七栄等花 : 『話したいっていうか』
七栄等花 : 『匿ってほしいんだけれど』
七栄等花 : 『なんか』
七栄等花 : 『ヤバいもの見ちゃって』
多宝院 那由 : えっ。
多宝院 那由 : 『わかった』
多宝院 那由 : 『僕の部屋で詳しく聞くから、待ってて』
七栄等花 : 『うん』
多宝院 那由 : メッセージを送ると同時に部屋を飛び出す。家はやたら広いが、1分ほどすれば正門まで着く。
多宝院 那由 : 息を切らせて、学校の門の倍くらいの大きさのそれの前まで辿り着いた。
七栄等花 : ナユの気配を察してか、トウカが草むらから出てくる。
七栄等花 : ものすごく……葉っぱが付いている。
七栄等花 : ガサガサと現れる滑稽さに反して、その表情は蒼白していた。
七栄等花 : あなたを見かけるやいなや、すぐにそれは笑みに変わるものの。
多宝院 那由 : 「トウカ! 無事で、……無事で良かった、本当に……」
七栄等花 : 「ごめん、こんな遅くに……」
多宝院 那由 : 「いや、いいんだ、……来てくれてありがとう、……よかった」あの放課後に見たものを思い出す。
多宝院 那由 : 門を開ける。「……入って。たぶん僕の部屋の方が安全だ」
七栄等花 : 「ありがとう……」
七栄等花 : 声はか細い。
七栄等花 : 恐怖に竦んでいるのか、その振る舞いはぎこちない。
多宝院 那由 : トウカの手を取る。そのまま自室に連れて行こう。家は広いからALSOKにさえ気をつければ家族にはバレない。
七栄等花 : ナユが手を取ると、トウカは握り直した。

七栄等花 : 【ナユの部屋・夜】
七栄等花 : どんなお部屋なのかな。
多宝院 那由 : 5部屋ある自室のうちの一部屋、ダブルベッドより大きい天蓋ベッドと大理石のテーブルなんかがあるけど常識を超える広さではない感じです。
多宝院 那由 : 物は少なめ。正しく整理されている。帝王学の本が机の上に一冊ある。
七栄等花 : 「あ、あいかわらずすごい部屋だね……」
多宝院 那由 : 「そう? ここが一番常識的かもしれない。他の部屋はもっとすごい」
七栄等花 : 「すごいんだ……」
七栄等花 : しかし普段のトウカなら、大きな天蓋付きのベッドを見つけるや否や、ふかふかしていい!? と尋ねてきたことでしょう。
七栄等花 : 温かい部屋。セキュリティの行き届いた、この上ない安全。その中であってもまだ震えている。
多宝院 那由 : 「……」金色の装飾付きハンガーをテーブルに置いて、部屋の中にある高級ポットでお湯を沸かしながら。震えるトウカを見て。
七栄等花 : いつもどおりの制服のままで、学校からそのまま来たのが分かる。草や、土の汚れもあった。
多宝院 那由 : 「……着替える?」答えを聞く前にウォークインクローゼットから肌触りのいいパジャマを取り出し。
多宝院 那由 : 「着替えたら、ベッドに座って待っていてくれ。温かいお茶を用意したら僕も隣に行こう」微笑む。
七栄等花 : 「……うん、ありがとう」
七栄等花 : 素直にその厚意を受ける。
多宝院 那由 : リラックスする香りのハーブティを2つトレーに用意して、銀色のベッドサイドテーブルの上に置いた。
七栄等花 : ベッドに座るトウカは、しかしおもむろにベッドの弾力を確かめていた。ふかふかしていた。
七栄等花 : 少しは落ち着きを取り戻したらしい。
多宝院 那由 : ベッドはふかふかしているし、なんか安眠用の心安らぐ香りとかもする。
多宝院 那由 : トウカを見て、そっと寄り添って、トウカが話し始めるのを静かに待っている。
七栄等花 : 「ねえ、ナユ」
多宝院 那由 : 「うん?」
七栄等花 : 「あの、笑わないでね?」
七栄等花 : 「いや」
七栄等花 : 「ナユは笑わないね。うん」
多宝院 那由 : 「笑ってほしいなら笑うぞ。……続けていいよ」
七栄等花 : 「私が、信じられないんだけれど」
七栄等花 : 「学校に、吸血鬼がいるの」
多宝院 那由 : 「……!」
七栄等花 : 「私、見ちゃったんだ。隣のクラスの習志野さんが、襲われてるの」
七栄等花 : 「首に噛みついて、血がすごく出てて……」
七栄等花 : 「私、あの、びっくりして、悲鳴をあげちゃって」
七栄等花 : 「……多分、見られちゃった」
多宝院 那由 : 「……、……それは、」
多宝院 那由 : 「……。……さぞかし怖い思いをしたね」
多宝院 那由 : 「よく逃げてきたね、……頑張ったね」
七栄等花 : 「……うん」
七栄等花 : ナユに抱きついて、肩に顔を押し当てる。
七栄等花 : ナユの一言で緊張の糸が切れたようで、それからしばらく泣いていた。
多宝院 那由 : 震える背中を、ゆっくりと撫で続けていた。
多宝院 那由 : 決してトウカに顔を見せないようにしながら。
七栄等花 : 「どうしよう、私」
七栄等花 : 「殺されちゃうかもしれない」
多宝院 那由 : 「……大丈夫だ」口から溢れるそれには何の根拠もなくて。
多宝院 那由 : 「……大丈夫」
多宝院 那由 : 微笑むこの顔には、何の強さもない。
多宝院 那由 : 「僕が、トウカを護るよ」それは願いであった。
七栄等花 : その言葉に対して、返す言葉はなく。ただ震えて泣いて、頷くばかりで。
多宝院 那由 : トウカを、この眼の前で震えるちいさな親友を、護りたくて。だから、微笑む。
多宝院 那由 : 「ね。だから、安心していい」
七栄等花 : 身体を離し、その微笑みを濡れた目で見る。
七栄等花 : 「……生徒会長」
七栄等花 : 「生徒会長の、六実優、に」
七栄等花 : 「近づいちゃダメ」
多宝院 那由 : 「…………」
七栄等花 : 六実優。3年生。生徒会長。六分儀高校において多宝院家に次ぐ資産家の息子であり、品行方正にして文武両道。
多宝院 那由 : 「……生徒会長……?」どうして、と聞けずに。繰り返す。
七栄等花 : 「間違いない、と思う」
七栄等花 : 「その吸血鬼が、生徒会長、だったから……」
多宝院 那由 : 「……わかった。気をつける」
七栄等花 : 「ねえ、どうしよう、私」
七栄等花 : 「せめて、今晩だけでも、泊めてもらえないかな」
多宝院 那由 : 「……もちろん」
多宝院 那由 : 「落ち着くまで、僕の部屋にいていい。この部屋は僕が全部管理してるから、掃除の者もこない」
多宝院 那由 : トウカの肩に触れる。撫でる。撫でながら。
頭の中ではずっと、どうしたら生徒会長を無力化できるかとか、そんなことを考えていた。
多宝院 那由 : 正しく、強く、悪くない方法で。そんなことができるのだろうか? でも――やらないといけない。
七栄等花 : 「待って、ナユ、危ないことは考えちゃダメだよ!」
七栄等花 : 不意に我に返ったかのように、ナユの手を取る。
多宝院 那由 : (正しい勝負って何だ? 剣道? ……生徒会長も結構運動できる方だった気がするけど……)起こっている出来事に対して、その方法はあまりにも、世間知らずの子供が考えることで。
多宝院 那由 : 手を取られて、意識が呼び戻される。
七栄等花 : 先ほどまで震えていたのに、いつの間にか今度は強く心配するような目で、ナユを深く見入る。
多宝院 那由 : 「……か、考えてないよ。考えてないってば」
多宝院 那由 : 「大丈夫。……大丈夫だから、心配させてごめん」
七栄等花 : 「怪我とかしたら、許さないから」
七栄等花 : 「毎日チェックするからね!」
多宝院 那由 : 「うん」
多宝院 那由 : 「……体育での怪我は許してくれる?」
七栄等花 : 「全治3日以内の怪我なら……」
多宝院 那由 : 「……わかった」全治3日を超える怪我を今までしたことがないのでわからないが、頷く。
GM : それから2人は言葉を交わして、夜を過ごした。
GM : 夜を終えればまた朝が来て、そして再び夜が来ることは、当然2人は理解していて。
GM : それでも、どんなに夜の闇が深くとも、2人のわかちあう夜は、2人のためだけにあった。
GM : 完全に結婚してしまった
このえ : 百合ですね
九鹿 愛佳 : 初めての夜……???
九鹿 愛佳 : (語弊を招く言い方
豊四季 一澄 : 夜が明けるまでいっしょにいよう。
多宝院 那由 : こんな丁寧な導入あります? ありがたい・・・・・・・・・・・・・

導入:九鹿 愛佳

GM : 【教室・昼休み】
三ヶ月 里奈 : 『六分儀高校に吸血鬼が潜んでいる』
三ヶ月 里奈 : 『次の満月の夜、我々の手で狩ろう』
三ヶ月 里奈 : 『今目処を付けているのは、生徒会長の六実優』
三ヶ月 里奈 : 『しかし、残念ながら、今回は他の狩人の協力に期待が出来ない』
三ヶ月 里奈 : 『同日、大物の吸血鬼狩りが予定されていてね』
三ヶ月 里奈 : 『どうにか我々だけでやらなければいけないわけだが……』
九鹿 愛佳 : 「……準備ができたなら、待つ理由はありません」
九鹿 愛佳 : 「……もう、かなりの被害が出ているようなので」
九鹿 愛佳 : いつのまにか、なくなっていたクラス
九鹿 愛佳 : それに気づき始めている者も、おそらくいる。
三ヶ月 里奈 : 『キミの報告を聞く限りでは、想像以上に吸血鬼は力をつけている』
三ヶ月 里奈 : 『私の方で、極力援軍を要請してみるけれど』
三ヶ月 里奈 : 『……戦う意志があるものがいるならば、1人でも欲しいという状況だ』
三ヶ月 里奈 : 『キミの方で心当たりがあれば、素人でも構わない。満月の夜まで、まだ時間がある』
三ヶ月 里奈 : 『ちょうどゴールデンウィークも挟むしね』
九鹿 愛佳 : 「……」 時間の浅い自分でさえ、こうやって狩人として動くぐらいだ
九鹿 愛佳 : 人材不足甚だしい
九鹿 愛佳 : 「……少し、気になる人はいます」
三ヶ月 里奈 : 『それはちょうどよかった』
三ヶ月 里奈 : 『声を掛けてくれると助かるよ』
九鹿 愛佳 : 「はい。……おそらく、この学校の状態に違和感を持っているようだったので、話は聞けると思っています」
九鹿 愛佳 : 「……この学校で、吸血鬼の好きにはさせたくないので」
九鹿 愛佳 : そういうと、里奈の指示に了承したというように頷いた。
九鹿 愛佳 : なおまだソロハンティングはできていない模様
🐟 : ソロは普通やんないよ!
🐟 : ソロハント、どんなにベテランでも"死"だよ
豊四季 一澄 : 吸血鬼の1LVに含まれるハンター対応力は同LVのハンター3人分だぜ!
🐟 : この世界観
🐟 : Lv7ハンターvs Lv1吸血鬼でもヤバいからね
🐟 : つまり……仲間との助け合いが大事
豊四季 一澄 : 「一人でもいけるだろ!」と意気込んで挑んだハンターが【自信】や【地位】をバキバキに破壊されて「失墜」(p89)みたいになる。
多宝院 那由 : 突然エッチな文章出てきてびっくりしちゃった
🐟 : あそこ吸血鬼の城って言われて吸血鬼の城の方に怯えてしまった
多宝院 那由 : 自信地位バキバキ破壊…………………………
🐟 : ワールドセクション最高なんだよな
豊四季 一澄 : 公式コラムに最高の失墜があるゲーム、ブラッドムーン。
三ヶ月 里奈 : 『ああ。頼りにしているよ』
三ヶ月 里奈 : 『とはいえ、命に関わることだ。簡単なことではないというのは理解している』
三ヶ月 里奈 : 『それはキミ含めてね』
九鹿 愛佳 : 「まだ、私にできることは少ないですけれど。……できる限り」
九鹿 愛佳 : ……それは少し、思う。もし自分と里奈だけで狩れるのであれば、それに越したことはない。
九鹿 愛佳 : でも、それはできないのが現状だ。
九鹿 愛佳 : でなければ、クラス単位で消える状況に手をこまねいてなんかいないだろう。
九鹿 愛佳 : 「……私も、十分に気をつけます」
三ヶ月 里奈 : 『うん』
三ヶ月 里奈 : 『もし、もしだ』
三ヶ月 里奈 : 『こうして戦うことや、誰かを傷つけること。狩りに誰かを招くこと、命を賭けさせること』
三ヶ月 里奈 : 『そこにどうしようもない疑問を感じたら、それをキミはいつだって手放す権利を持っている』
三ヶ月 里奈 : 『逃げ出したって構わない』
九鹿 愛佳 : 「……」
九鹿 愛佳 : 「……それは、相手に任せようと思います。 少なくとも私は」
九鹿 愛佳 : 「吸血鬼は殺さなければならない」
九鹿 愛佳 : 「……そう思っているので」
三ヶ月 里奈 : 『ああ。そうだね』
三ヶ月 里奈 : 『吸血鬼は殺さなければならない』
三ヶ月 里奈 : 『私たちは』
三ヶ月 里奈 : 『暴力で成せるものがあると知っている』
三ヶ月 里奈 : 『力ずくでしか守れないものがあるのだと、よく理解している』
三ヶ月 里奈 : 『けれども、それはそれとして、平和に生きていたっていいのさ』
三ヶ月 里奈 : 『それじゃ、健闘を祈るよ』
九鹿 愛佳 : 「はい。では、また動きがあったら連絡しますね」
GM : というわけで、2人のランチミーティングに突入するといいと思います。
九鹿 愛佳 : 2人は屋上にいるかな……?
多宝院 那由 : 屋上にいそう! フェンスから校庭を眺めつつ豪華な弁当を食べつつ情報共有してる頃だと思います。
豊四季 一澄 : 普段なら隣の弁当と比べるとめちゃくちゃ見劣りするな……ということを気にする頃合いですが、何せ唯一話が合う人なので今は気にしている場合ではない。
九鹿 愛佳 : そんな、普段はのどかなランチタイムの屋上の扉が開く。……出てきたのは、あまり目立たないかもしれない、女子生徒の姿。
豊四季 一澄 : 喧騒から逃れ、仲のいい同士ランチを二人で食べている……にしては、顔色がよろしくない。
多宝院 那由 : チラリと扉の方を見て、やや警戒して。声を落としながらごく自然に話題を切り替える。今朝煎りたてのごま塩を一澄に差し出す。
豊四季 一澄 : 「あ、それ、気になってたんだー」どうして急に、と那由の視線の先を追う。人影に、浮かんだ笑顔が一瞬固くなった。
九鹿 愛佳 : 辺りを見ると、目的の人物たちを見つける。警戒はされるだろうが、ゆっくりと歩み寄り、
多宝院 那由 : 「だろう? かけてみるといい、料理長が仕込んだすごいやつだ」自然に微笑む。なるべく気にしないふりをして。
豊四季 一澄 : 「なんで家に料理長がいんの」驚きで完全に素になった。改めてまじまじと瓶の中身に目を向け、
豊四季 一澄 : 近づいてくる上履きの足音が、またそれから意識を外へ連れ戻す。
九鹿 愛佳 : そして、声をかける。「……お昼にお邪魔してすみません。多宝院さん、ですよね」
豊四季 一澄 : 自分でないとはいえ声をかけられたからには無視できない。顔を上げて、……誰だっけ?
九鹿 愛佳 : 「それから、豊四季さん。お名前は、クラスの方に聞いたんですけれど」
多宝院 那由 : 「ああ、間違いなく。僕が多宝院那由だ。この僕に何か用かな?」にこやかに応答する。
豊四季 一澄 : その見覚えのない相手から、自分の名前が当たり前のように出てくる。「え、あたしも? てっきり多宝院さんに用があるんだと思って……」
九鹿 愛佳 : 「初めまして。1年の、九鹿と言います。 ……はい、多宝院さんだけじゃなくて、お2人に用があって」
多宝院 那由 : 「……」ちらりと一澄の方を見た。この2人が同時に名前を呼ばれることに嫌な予感がする。
九鹿 愛佳 : そう言ってから、一度、屋上の入口を見る。特に、誰かがついてきたりしている気配は無かったはずだ。
GM : 吸血鬼は日光に弱いですから、屋上というのはとても良いですね。
GM : フォロワーは人間なことが多いですが、悪くないチョイスでしょう。
九鹿 愛佳 : ナユの表情が少し陰ったのを見る。……当然かも知れない。
多宝院 那由 : 「……はじめまして」あわてて平静を装って資産家スマイル。
豊四季 一澄 : 「二人にって……」当惑の表情が強い。クラスだって違う。前からさほど話したことがあったわけではない。二人で会うようになったのも、ほんの少し前からのことだ。
九鹿 愛佳 : 「……その、直球で聞いてしまうんですけれど」
九鹿 愛佳 : 「……この学校で、誰か襲われているの、見たことはありますか」
多宝院 那由 : 「!」
豊四季 一澄 : 「え、っ―――」
豊四季 一澄 : 見るからに表情が恐れに引きつる。その質問の仮定を想像した、だけでは済まされないほど強く。
多宝院 那由 : 「……」沈黙。少し迷って、口を開く。「質問に質問で返すようですまないが、そのようなことを聞く理由を教えてもらいたい」
九鹿 愛佳 : 「……そうですね。私は2人と面識はないですから、信じてもらえるかは分からないですけれど」
九鹿 愛佳 : 「……襲われたことがあるので。いま、きっと、この学校で起きているように」
豊四季 一澄 : 「………………」目を見開いてまじまじとあなたを見上げる。目に浮かぶは驚愕が大部分、しかしその中に、いくらか畏れのようなもの。
多宝院 那由 : 「……なるほど」トウカのことを思い出す。顔に影がかかる。「……つまり、この学校で。そういった事件が起こっている、ということだよな」
多宝院 那由 : 「……そうだな。僕もあんまり人を疑うようなことはしたくないんだが、これでは情報不足すぎるね。もうひとつ、質問していいかな」
多宝院 那由 : 「……“犯人の目処はついているか? それは誰だ?”」
九鹿 愛佳 : 「……」 言おうとして、少し迷う。
豊四季 一澄 : 那由を振り向く。そこにあるのは驚きのまま、そしてすぐに愛佳へ視線を戻して、息を呑み返答を待っている。
九鹿 愛佳 : 里奈が目星をつけてくれた情報はある。しかし、これを伝えるのは、2人にとってどんな意味を持つか。
九鹿 愛佳 : 聞いたナユは、いいだろう。きっと、その上で聞いている、と思う。カズミは、どうだろうか。
九鹿 愛佳 : 「豊四季さんも、……構いませんか。話しても」
九鹿 愛佳 : それは、許可を求めるというよりは
九鹿 愛佳 : 覚悟はあるかという意味で。
GM : かっこいい……
多宝院 那由 : マジでかっこよすぎる
多宝院 那由 : この台詞だけでこの街の平和守れるでしょ
九鹿 愛佳 : でももう1クラス守れてないですからね……
多宝院 那由 : …………………………
九鹿 愛佳 : 割と現実みてつらそう
九鹿 愛佳 : 里奈先輩の言葉の意味が少しずつわかっていく 気がする
豊四季 一澄 : その口から出たのは、答えではなかった。やや面食らった風。
豊四季 一澄 : しかしその言葉が、表面以上の重みを持っていることは薄々とはいえ感じ取れた。この先に続くのも、おそらくは。
豊四季 一澄 : 頷けばきっと、その重さを共に背負うことになる。けれど、
豊四季 一澄 : 「……当たり前じゃん。あたしにも話しに来たんでしょ、今更仲間外れとかないし」
豊四季 一澄 : 「あの光景」を見てしまった重さからは、きっともう逃れられず。恐らく目の前にいるのは、同じくその重みを負った人だ。
多宝院 那由 : 愛佳から視線を外して、一瞬だけ一澄の横顔を見る。その表情を見て、ことばを聞いて。もういちど愛佳に向き直る。
九鹿 愛佳 : 「……すみません」 一言、一澄へ詫びの言葉が入る。聞かずとももう、とうに覚悟はできていたに違いない。
九鹿 愛佳 : そして、改めてナユに向き直る。
九鹿 愛佳 : 「……生徒会長には、気をつけてください」
多宝院 那由 : 「……っ、」
豊四季 一澄 : 謝罪の言葉には、気にする必要もないとばかり手を一振り。
豊四季 一澄 : その手が、挙がった名前に、凍り付いた。
多宝院 那由 : 「……わかった。信じる他はない、ということだね」
多宝院 那由 : 「まず、君を試したことを詫びよう。そして、実は僕達もその名を聞いている。情報漏洩について君が心配することはない」
多宝院 那由 : 「……それで、」
九鹿 愛佳 : 「気にしないでください。私も突然、お2人の前に来てしまったので」
九鹿 愛佳 : この様子だと、那由はおそらく、もう感じ取っているのだろうか。 
多宝院 那由 : 愛佳の顔を見る。その瞳を見る。「君は何故このことを僕達に聞いたのだろう」
多宝院 那由 : 言葉にする。恐らくもう戻れない。――いや、最初から戻れなかった。今更だ。
九鹿 愛佳 : 「……ええ。そうですね。一つは――」
九鹿 愛佳 : 「もし、またお2人だけで同じような場面に出会ってしまったら、……まずは、逃げてください」
九鹿 愛佳 : 「……あいつらは、闇雲になにかしても、倒せないですから。……できなかったので」
豊四季 一澄 : できなかった、という。襲われたことがある、ともいう。「……じゃあ、やっぱり……」と、頭に留めきれなかった言葉が漏れる。
九鹿 愛佳 : それは、忘れたくても忘れられない光景だ。
九鹿 愛佳 : 「でも、もし協力してもらえるなら、
 ……倒す方法を、私……というより、私達は、知っています」
多宝院 那由 : 「!」
豊四季 一澄 : 「たお…………」せる、のか? いや。「……じゃなきゃ、無事なわけ、ない………?」
豊四季 一澄 : それは愛佳の、その経験の端を聞き取った時からずっと抱いていた疑問だ。
九鹿 愛佳 : 「私は、私が襲われたとき、助けてもらえました。だから今、こうやって話せています」
九鹿 愛佳 : 「……もちろん、危ないです。だから、無理にとは言えないですが」
九鹿 愛佳 : 「私と同じように、2人ももう、見てしまっている。"いること"を知ってしまっている」
九鹿 愛佳 : 「……もし、そうしなければいけない、と思ったら、私に連絡をください。そうしたら、教えられることもあるので」
多宝院 那由 : 「……協力、と言ったな。できるのか。僕にも」
九鹿 愛佳 : 「……何もできなかった私が、少しは出来ているので。多宝院さんならきっと」
九鹿 愛佳 : なにせ、彼女はその手の技で有名だ。
豊四季 一澄 : 「何も……何も?  …………見えないんだけど。そんな風には、全然……」
多宝院 那由 : 「そうか。それなら、そうだな。僕の答えは決まっている。選択を遅らせる必要はない」
多宝院 那由 : ――僕は正しい。正しいから、嘘はつけない。嘘をつかない。多宝院家の名にかけて。
多宝院 那由 : 約束をした。約束は、守らねばならない。
多宝院 那由 : 「是非とも協力させてもらいたい。……九鹿くん、下の名は何という?」
九鹿 愛佳 : 「……もし豊四季さんにとってそう見えているのなら、私を助けてくれた先輩のおかげですね」
九鹿 愛佳 : 「……あ、名前言ってませんでしたね。 九鹿 愛佳(あいか)といいます」
豊四季 一澄 : 「………………ねえ、変なこと聞くけどさ」
豊四季 一澄 : 「あたしも、そうなれるかな」
豊四季 一澄 : 「なれなきゃ、困るんだけど」
九鹿 愛佳 : 「はい、大丈夫だと思います」
九鹿 愛佳 : 「もしかしたら、スパルタ特訓が待っているかもしれませんけれど」
九鹿 愛佳 : 「今のは冗談にしても……そうでした、この連絡先も教えておきます」 そう言って渡そうとするものは、里奈の連絡先。
多宝院 那由 : 「それは頼もしいな。何せ僕達は何も知らない、それくらいしてもらえるならありがたいね」
豊四季 一澄 : ひどくあっさり答えが返ってきたと思ったら。思わず吹き出すように小さく笑った。
豊四季 一澄 : 「あたし、多宝院さんほど運動できないけど」何しろ隣はすっかり受ける気でいる。
九鹿 愛佳 : 「さっき言った、私を助けてくれた人の連絡先です。 今回も、一緒に戦ってくれるそうなので……三ヶ月 里奈(みこぜ りな)さんと言います」
豊四季 一澄 : 「一緒に……ホント!?」何しろ倒せるということを聞いたばかり、具体的な倒し方など何一つ分からない。経験者は増えるだけで心強い。
九鹿 愛佳 : 「放課後にでも都合良ければ案内します。動くなら、早いほうが良いと思うので」
多宝院 那由 : 里奈の連絡先を受け取る。「三ヶ月? 三ヶ月って……あの三ヶ月さんのところのご息女か」
九鹿 愛佳 : 「……ご存知でしたか(もしかして里奈先輩って、相当良いところ……)」
豊四季 一澄 : 知っているらしい。隣を見る。愛佳を見る。「………なんか思ったよりメンバーすごくない?」
九鹿 愛佳 : 「……そうみたいです」
多宝院 那由 : 「生徒会長のところも相当の家だものな」
豊四季 一澄 : 「まあ……大豪邸だったら持てるよね、トレーニングルームとか……」
GM : 続々と資産家がエントリー
豊四季 一澄 : メンバーすごくない?:生徒会長も生徒会長だし…
多宝院 那由 : フフ
GM : 里奈は私が参加した炎上恋愛戦線という持ち回りGMのキャンペーンのPCですが、そこではヘリを飛ばしたりしました
九鹿 愛佳 : これは資産家の戦いに?
🐟 : 里奈先輩も気安く人を家に住ませられる人だからな
多宝院 那由 : ヘリヤバすぎる
このえ : いつの間にか資産家卓になっていた
🐟 : PTに一人資産家がいると便利
九鹿 愛佳 : 資産は偉大
豊四季 一澄 : 資産家、だいたいどのゲームのPCにいても便利。
🐟 : いないと調達で倉庫をこじ開けたりする羽目になったりする
🐟 : それはそれで好きだけど
GM : 資本はアド
多宝院 那由 : 資本はアド!
多宝院 那由 : 「では、愛佳君。改めて名乗らせてもらおう、僕は多宝院 那由だ。これからよろしく頼む」
豊四季 一澄 : そうだ、見知っているようだからすっかり名乗っていないことを忘れていた。「あたしは……下の名前だけでいいかな、一澄。よろしく」
九鹿 愛佳 : 「こちらこそ、よろしくお願いします。多宝院さん、豊四季さん」 1つ上だから、さん付けになる。
九鹿 愛佳 : 「じゃあ……ひとまず、また放課後に、でしょうか。集合場所と行き先を、後で連絡しますね」
九鹿 愛佳 : そして、後ほど示されたのは。 那由はもしかしたら、気づくかもしれない。
九鹿 愛佳 : 三ケ月家だ。

GM : 【三ヶ月家・放課後】
GM : 六分儀市郊外にある屋敷に、あなたがたは招かれる。
三ヶ月 里奈 : 学校に来た黒塗りの高級車は、そのまま正門から前庭を抜けて、奥の庭へ。
三ヶ月 里奈 : 庭園と呼ぶにはいくらか高すぎる生け垣は、人目を隠すためのもの。そして防音。
三ヶ月 里奈 : 行楽シーズンの夕方。部屋には通されず、ガラス製の大きなサーバーにアイスティーが入れられている。
三ヶ月 里奈 : 「どうもこんにちは。私は三ヶ月里奈。深縁女学院の純潔騎士として、狩人に従事している」
三ヶ月 里奈 : 「本日は我々を信用してここまでご足労いただき、大変ありがたく思っています」
三ヶ月 里奈 : 深々と礼をする。
豊四季 一澄 : あらゆることに呆気に取られた顔をしている。
多宝院 那由 : こちらも深く頭を下げる。
三ヶ月 里奈 : メイドがあなた方を席に招く。飲み物や菓子の準備はすでにされている。
多宝院 那由 : 「もう聞いているかもしれないが。僕は多宝院 那由。よろしく」
三ヶ月 里奈 : 「噂はかねがね。父がお世話になっています」
九鹿 愛佳 : こちらも里奈に軽く会釈をしつつ、連れ出した2人の様子を見ている。
豊四季 一澄 : 慌ててこちらも崩れた礼をして、名乗るよりも前に。
豊四季 一澄 : 「………ごめんなさいホントどうすればいいかわからなくて」別世界に来てしまった。ガチガチに緊張している。
三ヶ月 里奈 : 「ああ、安心してくつろいで欲しい。こうした社交界じみたものは、我々の癖みたいなものでね」
三ヶ月 里奈 : 「放課後にちょっとお菓子を食べに来たくらいの気持ちで、リラックスしてほしいな」
三ヶ月 里奈 : 「とはいえ、お話の内容が内容なわけだけれど」
多宝院 那由 : めちゃくちゃ正しく座り、めちゃくちゃ正しく振る舞っている。
豊四季 一澄 : こんなすごいところ来たことないよと言いたげだが、相手が本心で言ってくれていることはわかるので反論はしないことにした。
三ヶ月 里奈 : 「そもそも、君たちはそれ以上の現実に直面したきたばかりだろう?」
三ヶ月 里奈 : 「吸血鬼」
三ヶ月 里奈 : 「お話のなかだけで語られてきた存在が、実際に存在して、社会の裏で暗躍している」
三ヶ月 里奈 : 「そんなよくできたフィクションみたいな話を、しかし君たちは真実のものとして聞くことができるだろう……そしてそれは残念ながら真実だ」
多宝院 那由 : 「……」
三ヶ月 里奈 : 「吸血鬼以外にも、モノビースト、魔女といったモンスターが都市の闇夜に跳梁跋扈し、人々の暮らしを脅かしている」
三ヶ月 里奈 : 「そうしたモンスターを狩る人々を、我々は『狩人』と呼んでいる」
三ヶ月 里奈 : 「六分儀高校もまた、そんな吸血鬼今、支配されている」
三ヶ月 里奈 : 「生徒会長の六実優は血戒――吸血鬼が己の血を用いた魔術のようなもの――を使って、学校を己の根城としている」
豊四季 一澄 : モノビースト、魔女、血の魔法。次々と増えていく新たな単語が出るたびにいささか不安げに、磨かれたテーブルへ視線を落としている。
三ヶ月 里奈 : 「キミたちは、その六実優と対峙する覚悟があってここに来たと、私は理解している」
多宝院 那由 : 「……ああ、その通りだ。僕は引き返すわけにはいかない。何があっても」
三ヶ月 里奈 : 「もしそうであるのならば、キミたちはすでに狩人だ。一夜限りであったとしても、それで構わない。キミたちは、きっと自分の大切なものや、信じるもののために、ここにいるのであれば」
三ヶ月 里奈 : 「一つ、重要な事実がある。吸血鬼は変身能力を有し、満月の夜以外にはあらゆる傷を治癒させてしまえる」
三ヶ月 里奈 : 「それが色々な問題を作っていてね……」
三ヶ月 里奈 : 「言ってしまえば、月に一度しか狩ることができない」
三ヶ月 里奈 : 「そのせいで、まあ、世知辛い話なんだが……人手が足りない」
三ヶ月 里奈 : 「吸血鬼やモンスターはそこかしこにいるからね」
豊四季 一澄 : 大切なもの。何も知らず危険のすぐ隣で暮らしている彼ら。それを改めて思い起こした矢先に。「……え」
三ヶ月 里奈 : 「なので、キミたちにも実際に、武器を執ってもらう必要がある」
三ヶ月 里奈 : 里奈が合図すると、メイドががらがらとワゴンを引いてくる。
三ヶ月 里奈 : 多種多様の武装が陳列されている。いずれも銀で美しく飾られ、悪しきものを破るための清潔な光を照り返している。
三ヶ月 里奈 : 「私が提供できるものはまずひとつ、武器とその使い方だ」
多宝院 那由 : 「……童話の中の吸血鬼は銀に弱いというのは知ってるが、この世界でもそうなのだな」本物の銀っぽいということがわかり、呟いた。
三ヶ月 里奈 : 「その通り。彼らは銀に弱い。事実がお話になったまでさ」
豊四季 一澄 : ワゴンの上にずらりと並んだ品々。
豊四季 一澄 : 杭。十字架。吸血鬼を殺すと言われればその通りのものもある。
豊四季 一澄 : よく躾けられているのだろう、メイドの後ろをついてくる犬や猫も……あれはこの家のペットではないのだろうか?
三ヶ月 里奈 : 「私の愛用はこのたいまつだ。炎もまた彼らによく効く」
三ヶ月 里奈 : 「当然ながら、吸血鬼は人の形をしていて、そして人よりも頑丈だ」
三ヶ月 里奈 : 「つまり、ここに並ぶ全ての武器は、人を殺す道具そのものだ」
三ヶ月 里奈 : 「不用意に携帯が見つかれば、銃刀法違反や、危険物所持で逮捕されることもある」
三ヶ月 里奈 : 「そういったものをキミたちは持ち歩き、そして、人の形をしたものに、あるいは、人間に振るうこととなる」
三ヶ月 里奈 : 「めちゃくちゃなことを言っているが、狩人になるとはそういうことだ」
多宝院 那由 : 「人を、」それは当然、小さい頃から“正しくないこと”として教わり続けていたことだ。
多宝院 那由 : いや、そもそも銃刀法違反も危険物所持も正しくない。
豊四季 一澄 : 吸血鬼を殺すお話の中に出てくるようなものはごく一部、居並んだ物体はすべからくそういうものだ。
多宝院 那由 : 「……これがこうして並んでいるということは、他の方法はないということだよな?」
三ヶ月 里奈 : 「ない」
多宝院 那由 : 「……なるほど」
豊四季 一澄 : 剣も銃も炎も。いくらか使い道のわからないものもあるが、おそらくそれも例外ではないのだろう。すっと手足の先から体が冷えていく。
三ヶ月 里奈 : 「わかっているさ。これは中世の自警団とほとんど変わらない、野蛮な営みだ。社会の高度に洗練されたシステムに比べて、全く見劣りする方法で、物事を解決使用としているようにみえるだろう。そしてその印象は正しい」
三ヶ月 里奈 : 「なぜそんな方法でしか解決できないのか?」
三ヶ月 里奈 : 「それは、あらゆる社会階層にモンスターが浸透しているからだ」
三ヶ月 里奈 : 「言わば我々は、無理な戦いをしようとしているし、キミたちに持ちかけているわけだね」
三ヶ月 里奈 : 「武器、訓練、情報。あとは私自身も狩りに出る。提供できるのは……それだけだ」
豊四季 一澄 : なにかむずかしいことを言っている。普段よりさらに鈍った頭はうまく働いてはくれないが。
豊四季 一澄 : 「でも、それしか…………ないんでしょ」
三ヶ月 里奈 : 「そうだね」
豊四季 一澄 : 『ない』と即断したその言葉だけは、わかる。
九鹿 愛佳 : 「……私達が私達のルールを守っていても、吸血鬼やモノビーストが、私達のルールを守ってくれるわけじゃないですから」
多宝院 那由 : それをやるか、やらずに大切なものを失うか。それがどうしようもなく正しくないことだとしても、答えは決まっている。
多宝院 那由 : 守れるかもしれない約束を破るのは、きっともっと正しくない。
三ヶ月 里奈 : 「どうかな。キミたちは狩人となり、私たちと共に戦ってくれるかな」
三ヶ月 里奈 : 平穏な夜に背を向けて、死と隣り合わせの――もとい、誰かが死なずには終わらぬ夜に。
多宝院 那由 : 「……」夜を怯えてやり過ごすより、あるいは夜に呑まれるより。夜明けをこの目で見たい。不安な夜を、少しでもはやく終わらせたい。
多宝院 那由 : 「……僕に合う武器はどれだと思う?」
三ヶ月 里奈 : 「……キミの活躍は、私の耳にも届いている」
三ヶ月 里奈 : 「六分儀高校のライフル部。多宝院那由と七栄等花」
三ヶ月 里奈 : 「堂々と大会優勝の垂れ幕が掛かっていたのを、今でもはっきりと記憶しているけれどね」
豊四季 一澄 : 話し始めた二人をよそにして、未だ沈黙している。席に着いてから手の付けられていないアイスティーもお菓子も、そのまま。
多宝院 那由 : 「……」沈黙。「……そう、だな。何も知らないものに触れるより、多少慣れているもののほうが、いい」
三ヶ月 里奈 : せかすことなく、イズミを見ている。
豊四季 一澄 : 即答できるようなことでは、ない。いくらそれ以外の道がないとしても、できることなら関わらずにいたいに決まっている。
豊四季 一澄 : ただ、まだあの時の気持ちがあった。
豊四季 一澄 : 何も知らない皆から離れて、二人だけで弁当を食べた、最初の時のその心を。
豊四季 一澄 : 気づいてしまったからには。
何かをしなければいけない。
三ヶ月 里奈 : 思考を巡らせるイズミを余所に、メイドは多種多様なライフルを机に並べる。アタッチメント、カスタムパーツが並んでおり、いかようにも調整できるだろう。
豊四季 一澄 : 「三ヶ月さん」顔を上げる。彼女が手にした大きなたいまつ――今の一澄からすれば、名前もわからないものを指して。
豊四季 一澄 : 「それと同じのって、ある?」
三ヶ月 里奈 : 「あるよ」
豊四季 一澄 : 「使い方、教えてよ」
三ヶ月 里奈 : 「もちろん。ゴールデンウィークの予定は空けてある」
豊四季 一澄 : 「多宝院さんみたいな特技、ないしさ。直接教えてもらえるものの方が、絶対早いと思うんだよね」
三ヶ月 里奈 : メイドがワゴンから取り上げて、あなたに柄を差し出す。
豊四季 一澄 : 言いながらよぎるのは、月明かりのほかに照らすものはなにもなかった、あの夜の教室。
豊四季 一澄 : 闇は今でも恐ろしい。が……炎をこの手の先に持っていたなら?
豊四季 一澄 : 受け取ったたいまつは思いのほか重量があった。思わず取り落としかけて、地面につく前に慌てて再び手の中へ。
三ヶ月 里奈 : 「これはたいまつ。まあ、長い柄のついたトーチだけれどね。中世、魔女や吸血鬼といった異端を火刑に処すために用いられた道具」
三ヶ月 里奈 : 「闇を払い、責め立てる。あるいはその明かりを以て、人々を導くための灯火」
豊四季 一澄 : 彼女の構えを真似て、まずは持ってみる。聞く言葉は不気味に怪しく、しかし続く一言でそれを払って見せた。まさしく闇の中に火をともしたように。
豊四季 一澄 : 「……まずは筋トレからだね。絶対落とせないし、消せないもん」
三ヶ月 里奈 : 「そうだね。走り込みもしておくといい。一晩中走り回るのはなかなか骨が折れるよ」
豊四季 一澄 : 「あー、そっか。満月の夜の、うちに」
豊四季 一澄 : その先をはっきりと口にできる勇気は、まだ、ない。
多宝院 那由 : アタッチメント、カスタムパーツ。ライフルの形も様々だけど、見ればなんとなく、どれが自分に合うのかわかる。パーツを一つ一つ手にとって、並べてみる。
多宝院 那由 : ――自分の銃がずっと欲しかった。
多宝院 那由 : 銃は自分の相棒だ。トウカと互いに、ふたりでいつか銃を持ったらお互いの銃に名前を付けよう、と決めていた。
多宝院 那由 : 抜け駆けしたことを知ったら、トウカは怒るだろうか。
多宝院 那由 : パーツを選んで、最後にライフルを選ぶ。その武器に込められた意味を知る。
多宝院 那由 : ――銀色のそれは、想像よりずっと重かった。
GM : あなた方は武器を手に取った。
GM : あなたがたは狩人だ。
GM : このあとは真新しい武器の使い方について存分に学び、そして試した。暴力を、自分のものとしていった。
GM : 狩人達の夜は、長い。

集合シーン

GM : 【学校・5/7・満月の夜】
GM : 武器を執り、狩人になることを決心したあなたがたは、ゴールデンウィークの短い訓練を経て、満月の夜を迎える。
GM : 吸血鬼は満月の夜にしか殺すことはできない。
GM : 連休後初めての学校の放課後。休み明けの気だるくもいつも通りの日常の後。
GM : あなたがたは武器を執り、学校に戻ってくる。
GM : 【昇降口】
三ヶ月 里奈 : 「こんばんは」
三ヶ月 里奈 : 三ヶ月里奈。深縁女学院の純潔騎士であり、狩人ある彼女は、非日常の案内人だ。
多宝院 那由 : 「ごきげんよう」丁寧で正しいお辞儀。「月が綺麗だね」
三ヶ月 里奈 : 「狩りにうってつけの夜だね」
三ヶ月 里奈 : 革手袋をはめて、重たい松明を抱えている。
九鹿 愛佳 : 「こんばんは、里奈先輩。……はい。暦どおり、満月」
豊四季 一澄 : 周囲をきょろきょろと見まわし、まったく落ち着かない様子。「満月……何が効くんだか」
三ヶ月 里奈 : 「私が思うに、月は幻想を祓うんだ。闇に覆われ、何もかもが秘匿された世界というのは、全ての幻想が許されている」
三ヶ月 里奈 : 「月の光はそうした幻想を切り裂く。人類が光を手にし、今の世を築いていったように。文明が、文明という語を用いるようにね」
GM : 里奈の話はいつもとまるで変わらず、どこか芝居がかった口調。
豊四季 一澄 : せっかくの説明を受けても、あまりよくわかっていない風だ。ただ天の月と、自分の手、そして師にあたる少女の手にあるたいまつを見ている。
GM : 昇降口で話すあなたがたに、足音が近づいてくる。
『副会長の』福田 : 「ようこそ、夜の六分儀高校へ」
『副会長の』福田 : 現れるのは、六分儀高校生徒会、副会長の福田だ。
『副会長の』福田 : 「なんて歓迎しろと言われたが……お前ら、バカか?」
『副会長の』福田 : 副会長という座につく福田だったが、彼はいわゆる不良だ。
『副会長の』福田 : 悪態をついて、手近のゴミ箱を蹴り倒す。
『副会長の』福田 : 「死にたくないなら帰れ。全部忘れろ」
多宝院 那由 : 「挨拶は大事だよ」にこやかに接する。「夜に大きな物音を立てるのはよくないんじゃないのか?」
『副会長の』福田 : 「あ?????????」
多宝院 那由 : 「なんだい?」
九鹿 愛佳 : 「……」 口を出そうとしたが、那由が話し出したので止まる。たぶん、喧嘩腰か、払いのけるような言葉にしかならない気がする。
『副会長の』福田 : 第二ボタンまで開けた開放的な着こなし。ベルトは色の付いたナイロンベルトで、わざと余らせた分を太ももまで垂れ下がらせている。
『副会長の』福田 : ナユにガンを飛ばしながら、まっすぐ近づいていく。
豊四季 一澄 : 「げ、副田じゃん!」露骨にうわって顔。普通に呼ぶのとはトーンが違う。フクの音が被ってしまったのが不運なのだ。
『副会長の』福田 : ポケットから取り出した黒光りする塊を取り出す――拳銃だ。
『副会長の』福田 : 「警告してやってるんだよ、わからねえのか?」
多宝院 那由 : 「なるほど、それはどうもありがとう。けれど、それについては僕はもう24回は考えたかな」
『副会長』の福田 : 「なに、24回もか……?」
『副会長』の福田 : そしてちょっとバカだ。
多宝院 那由 : くっそ
豊四季 一澄 : なぜだろう、このセリフで一気に憎めない悪役に思えてきた。
九鹿 愛佳 : それでも副会長になってるあたりなにかある……!
多宝院 那由 : 「そう、24。24というのは美しい数字だ。2でも3でも割り切れる」
『副会長』の福田 : 「だったら……あと12回、考え直すんだな!」
多宝院 那由 : 「36はキリが悪いよ。48にしよう。60でもいい」
多宝院 那由 : 「まぁ……何回考えたところで答えは同じだろうね」
『会計の』甲斐 : 「福田くん。しっかりやって」
『会計の』甲斐 : 入ってくるのは眼鏡で三つ編みの、同じく六分儀高校生徒会、会計の甲斐だ。
『会計の』甲斐 : 「引き下がらないというのなら、仲間になるつもりはない?」
『会計の』甲斐 : 会計作業用のノートPCを小脇に抱えたインテリメガネガールのカイは問う。
『会計の』甲斐 : 蛍光灯の冷たい光が、メガネの銀縁に知性あるきらめきを与えます。
多宝院 那由 : 「一応聞いておくけど、その仲間というのは具体的にどういう活動をする集まりなんだ? なにかこちらに利点はあるのかな」英才教育スマイルを返す。
『会計の』甲斐 : 「永遠よ」
豊四季 一澄 : 「はあ?」
『会計の』甲斐 : 「永遠を手に入れられる」
九鹿 愛佳 : 「……永遠、ね……」 少し呆れたような様子で息をつく。
豊四季 一澄 : 「…………それって文字通り、死なないとかそういうこと? いきなり言われてもわけわかんないんだけど」
『会計の』甲斐 : 「そうね。不老不死。それは永遠の一つ」
豊四季 一澄 : 「一つ? なんか他にもあるような言い方」
六実優 : 「『時よ止まれ。汝は美しい』」
六実 優

吸血鬼『六実 優』

六実優 : 「ファウストが人生最高の時に言った言葉だ」
六実優 : 「悪魔メフィストフェレスは賭けをした。いつかその言葉をお前は言うだろうと。そうしてメフィストフェレスは賭けに勝った。契約のとおりに、悪魔はファウストの命を奪おうとした。生憎、その契約は履行されなかったけれどね」
六実優 : 六分儀生徒会長、六実優。
多宝院 那由 : a?
豊四季 一澄 : めちゃくちゃ濃そうな人が来た。
多宝院 那由 : nande?
多宝院 那由 : キャラ濃勝負でもやってるのか?
九鹿 愛佳 : ?????
九鹿 愛佳 : ふぁうすと~~~
九鹿 愛佳 : めちゃくちゃ知的勝負になりそう
六実優 : 「この学校での日々は、輝かしいものだと思わないかい?」
六実優 : 「はたして高校を卒業し、大人になるということは」
六実優 : 「本当に成長と言えるんだろうか?」
多宝院 那由 : 「ああ失礼、今因果律について考えていたんだ。ちゃんと聞いていたよ。それで……」
六実優 : 煽り
六実優 : インテリフリースタイルラップバトル(ラップではない)が始まってしまう。
六実優 : 里奈も里奈だからね……
六実優 : 「答えはノーだ。そんなものは慣習にすぎない。ただ世界がそうであるから、そのように流れているだけだ。そう過ごしているだけだ」
六実優 : 無視して話す。
多宝院 那由 : 「時が止まったとき、それを認識することはできなさそう、というのが僕の見解だね」こちらも続ける。
豊四季 一澄 : 標的と定めていた男。あまりにも無防備に、武器を携えた自分たちの前に現れたことにだいぶ面食らっている。
豊四季 一澄 : 「……吸血鬼とか関わる人ってこういう人ばっかりなの?」とこっそり愛佳へ。
多宝院 那由 : 「眠っていたことに気付くのは、夢から醒めた後だ。明晰夢とは、自分の身体の内で起こっている現象に過ぎない。外を知覚しているわけではないんだ」
九鹿 愛佳 : 正直あんまり話したくない相手だ。話を聞かなさそうで。一澄に尋ねられて、耳打ち返す。
九鹿 愛佳 : 「……だって、もうヒトじゃないもの」 そもそも論として、何もかも違うのかもしれない。
多宝院 那由 : 「それと同じで、時が止まっていることを知覚できるのは、そこから脱することができた後で――」
六実優 : 「それは面白い指摘だ」
豊四季 一澄 : そう言われて、改めて生徒会長、そしてその隣を固める二人を見る。……ヒトじゃない、という言葉を素直に飲み込むことは、少なくとも見た目ではできそうにない。
六実優 : 「やはりキミは我々の生徒会に必要だ、多宝院那由」
六実優 : 「キミもこの六分儀高校から、世界を手にしてみないか」
多宝院 那由 : 「……」一澄たちを見て。「……この議論、ここで続けるのはお嬢さんたちを退屈させてしまいそうだな。非常に興味深いんだけどね」ひとりごとのような曖昧な声を発する。
多宝院 那由 : 「世界は僕の手に対し大きすぎるよ。そんな莫大なエネルギーをどこから得るのか、方法を伺ってもいいかな」
六実優 : メガネをくい、と指で押し上げ。
六実優 : 「それは勿論、不要な命さ」
六実優 : 「この世の中で行われていることと変わりない。労働、税制、搾取」
六実優 : 「力なき者は変わらず奪われる」
六実優 : 「僕たちはそれを、一瞬で、華々しいものとして終わらせてやれるのさ」
六実優 : 「長く続く苦痛よりも、ずっと慈悲深いと思わないか?」
九鹿 愛佳 : 「それを慈悲深いと思うのなら……」
九鹿 愛佳 : 「……あんまり、話していても実のある議論にならない気がしますけれど」
九鹿 愛佳 : ヒトと吸血鬼、そもそもの視点が違うのだから。
豊四季 一澄 : 「それは思う、だって勝手すぎだもん。さっきからめちゃくちゃ喋ってたのがもともとそうだけど」
六実優 : 完全に正論
六実優 : 里奈はもう少し控えようと思った。
九鹿 愛佳 : でもこれぐらい断絶してたほうが分かりやすい、というのはある
豊四季 一澄 : 「いるとかいらないとかあんたに決められる筋合いないし! さっきの永遠がどうとかったってさ、あんたが大人になりたくないだけじゃん!」
豊四季 一澄 : 「あたしは違うもん! 高校出たら葬式制服ともおさらばだし、もっときれいで可愛い服着んの!」
豊四季 一澄 : 「それに多宝院さんだってさ」
豊四季 一澄 : 「こんなやつのトコに行く前に、あるじゃんもう、予約がさ?」
多宝院 那由 : ふふ、と笑う。「そうだね」
多宝院 那由 : 一歩前に進み、演説をするように手を広げる。「面白い発想であることは評価しよう。これは僕には無かった視点だ」
多宝院 那由 : 「無論、これからも僕にその視点が生まれることはないだろうね。僕の美学に反する」
多宝院 那由 : 「力というのは、人々を守るためにあるんだ」
六実優 : 「はははは! そうか!! 素晴らしい!!!」
六実優 : 「キミたちは本当に素晴らしい。吸血鬼という上位種を目の前にしても、命を危険にさらされたとしても……己の意見というものを保っていられる!」
六実優 : 「やはりそのままにしておくには惜しい人材だ……いっそうに招き入れたくなったよ」
六実優 : 「キミたちはボクを殺しにきた。いいだろう。ボクの作り上げた六分儀高校という『世界』でもって、キミたちのその決意を改めて試そう」
六実優 : 「その力、存分に示してくれたまえ!」
六実優 : 六実優はふっ、とかき消える。他六分儀生徒会もまた、その場からいなくなっていた。
三ヶ月 里奈 : 「……なんともな歓迎ぶりだね」
三ヶ月 里奈 : ずっと黙っていた里奈が口を開く。
豊四季 一澄 : 「消えた…………」目を丸くして、生徒会長のいた場所を見ている。はじめて光の下で目の当たりにした、「ヒトでない」ものの力。
九鹿 愛佳 : 「……やれるものなら、とでも言いたそうでしたね。……やるんですけれど」
多宝院 那由 : 人ではない退場方法に一瞬びくりとしたが、冷静さを保っている……ように心がけている。「あと聞きたいことが軽く3点ほどあったんだけどな……」
三ヶ月 里奈 : 「彼は我々が来るのを予期していたようだね……。静かに見えて、どうもいくつも気配がある」
三ヶ月 里奈 : 「彼の息が掛かった生徒、教師が、闇に潜んでいるようだ。狩りの妨げになるだろう」
三ヶ月 里奈 : 「それに、この校舎……大規模な血戒によって、妙な力が作用している」
三ヶ月 里奈 : 血戒とは血を使った超常的な術です。吸血鬼のあらゆる力をそう呼びます。
九鹿 愛佳 : 「……あの自信は、そういった罠のようなものの準備をしているのもあるからでしょうね」
三ヶ月 里奈 : 「そうだね」
豊四季 一澄 : 「だと、さっき消えたのも、むしろこっちに見せつけてる感じ? もちろんこれだけじゃないぞってさ」
三ヶ月 里奈 : 「そのあたりも含めて、攻略していく必要がありそうだ」
三ヶ月 里奈 : 「……六分儀高校が多数の行方不明者を出していながら、全くそのことを世に知られていないのもまた、この血戒に関係しているかもしれない」
三ヶ月 里奈 : 「キミたちが、目撃するまで全く気付かないでいたように」
九鹿 愛佳 : 「……」 そう、里奈から吸血鬼についての手ほどきを受けていても、すぐには気づくことはできなかった。それも吸血鬼のなせる術か。
豊四季 一澄 : 「………………」そうだ。そんな無茶苦茶が現実だったのは、まさしく魔法にかけられていた、といって差し支えない。
GM : というわけで、吸血鬼の支配力は以下の通りです。

『六実派』 人脈 強度2
六実優に傾倒している生徒、教師、その他諸々です。学校に多数潜み、あなた方を遮るでしょう。

『反理想郷血戒』退路 強度3
学校に張り巡らされている血戒です。認識阻害の効果がある。
GM : フォロワーは
・『会計の』甲斐
・『副会長の』福田
の二人です。
GM : 支配力は狩猟で破壊します。ロール的な壊し方は、まあ六実派はニンゲンなので、アレしたら壊れます。反理想郷血戒は、なんか学校の各所にある触媒的なものを探して壊せばオーケーです。
GM : 支配力は強度1ずつ壊せて、全部壊すとその部位が飛ぶおまけ付き。支配力の強度を削ると耐久力がそのまま減るので攻撃が通りやすくなります。
GM : まあ、そんな感じ。
三ヶ月 里奈 : 「それでは、狩りを始めよう」
三ヶ月 里奈 : 里奈は松明に火を点す。
三ヶ月 里奈 : 「標的は六分儀生徒会長、六実優」
三ヶ月 里奈 : 「ヤツを倒して、再び本当の朝を手に入れる」
九鹿 愛佳 : 「……はい」
九鹿 愛佳 : 「……奴らを狩って、吸血鬼からこの学校を取り戻します」
九鹿 愛佳
豊四季 一澄 : 里奈の動作を見習って、こちらもたいまつに火をつける。
豊四季 一澄 : 「これ以上好きにさせとくとか、絶対ろくなことになんない。今だってなってないし」
多宝院 那由 : 「うん」銃に手を添える。
多宝院 那由 : 「正しさの名のもとに、僕達の日常を護ろう」
三ヶ月 里奈 : 杭を構えるアイカ、火を点すイズミ、そして銃を持つナユを見て、里奈は頷いた。
GM : あとそうですね、このタイミングで関係をとりましょうか。
GM : 任意のキャラクタに対して1点、関係を獲得してよいです。
GM : 援護はテンション3点で関係の点数分判定に+できるので、全員1点もらえるように割り振りするのをオススメします。
多宝院 那由 : ぐるっと三角関係的な感じにするといいんですかね!
GM : ですね!
多宝院 那由 : 誰がどう取りましょうか! 私は誰に対しても等しく取れると思う多分
九鹿 愛佳 : こちらも那由ちゃん一澄ちゃんどちらにもいけそう! 一澄ちゃんはどうだろう
豊四季 一澄 : じゃあお言葉に甘えて、こちらから決定させていただいてもいいですか? こちらから那由さんへ取りたいんですが…
九鹿 愛佳 : OKです! じゃあこっちから一澄ちゃんかな……、自分もかつていた、日常を守ろうとする姿に共感。
多宝院 那由 : はーい! じゃあ私から愛佳さんへ……友情かな……?
豊四季 一澄 : 感情名を言ってなかったな 連帯感を抱きたいです。あの夜からずっと秘密を分け合ってきた。
GM : OK!
GM : 情報管理シートに記入しました!