GM
拝啓、アリス。
GM
愛しいアリス。
GM
この国がもうだめであるのなら、
GM
どうしてお前はここにいる?
GM
こんな絶望しかない世界で、お前が生きる意味は何だ?
GM
 
GM
Dead or AliCe「絶望の森」
GM
 
GM
 
GM
GM
そこは色を失った空間だった。
GM
辺りに響くのは、あなたがたが踏み出した足が、地面の結晶を割る音だけ。
GM
風も吹かず葉擦れの音ひとつしない不自然に静かな森に、その音が響いては、木々の隙間に吸い込まれて消えていく。
GM
黒く枯れた木には半透明の黒い結晶が生えており、手をつけば触れたところを傷付けるだろう。
GM
ここにはあなたがたを加害するものしかない。
GM
精神も、肉体も、蝕んでいく。
GM
ゆっくりと、確実に。

お茶会1

カンダ
「ずいぶんと静かな森ですね!!!!!!!!!!」
ツグハ
「懐中電灯でもありゃよかったな」そんな便利なものはないけど。
エンフォーサー
(キィィイイン……)
エンフォーサー
耳がスタン。
GM
木々の葉があるべき場所には、代わりに黒結晶がある。
エンフォーサー
「さておき……かなりの状態だな」
GM
それが擦れる音一つしない、静寂。
エンフォーサー
「結構な驚異度じゃないか?この規模は……」
エンフォーサー
森を見渡す。
GM
濡れた地面のにおいすらしない。
GM
草木は黒く枯れ、風もなく、生き物の気配はない。
ツグハ
「一救世主がこれを成したってのは相当だよね」
GM
まるで時が止まっているかのよう。
ツグハ
「私達よりお金持ちっぽいなあ。いやだなあ」
カンダ
「拠点ですから、何かしら媒介になるようなものがあるのかもしれませんね!」
エンフォーサー
「ああ……そういうのもあるか」
エンフォーサー
「とりあえずぱっと見でわかる事は……相当こじれてる救世主ってことだな」
ツグハ
「あのプロフ帳ちゃんも相当こじれてはいたが……」
エンフォーサー
「かなりだな」
カンダ
「難儀なもんですね!」
ツグハ
「死体損壊?までいってるのはもっとタチの悪い方のこじれ方っぽいね」
ツグハ
「命綱でも用意しときゃよかったかな」
エンフォーサー
マントの端でその辺の黒水晶を叩けば、脅威度5の服の端が小さく砕ける。
エンフォーサー
「いやあ……面倒な場所だな、ここ」
ツグハ
「いばらの道を歩いてるみたいだ」
GM
歩けば道の端に大きな黒結晶の塊がある。
GM
かつて人だったものだ。
カンダ
「これは……?」
カンダ
中を覗き込もうとしてみる。
ツグハ
「急に弾けて顔に刺さったりしないだろうな~」
GM
少しだけ透けた黒結晶の奥。
GM
死体の目がお前を見ている。
カンダ
「…………ワ!」
GM
黒く絶望に染まった表情の救世主。
カンダ
数歩よろめく。後ろに生えていた結晶がちょっと背中に刺さった。
カンダ
「……びっくりしました!」
ツグハ
「さよけ」
エンフォーサー
「刺さりますよ 刺さってる」
カンダ
「防弾ベストがあるので……あっでもちょっと痛い!痛いです!」
カンダ
「とがりを感じる!痛い!」
エンフォーサー
「危険ですね~」
カンダ
「ひぇ~……」などとうめきながら背中を抜く
カンダ
「結晶の中に閉じ込めるのは……損壊の内に……まぁとりあえず死体遺棄ですね」
GM
ただの痛みではなく、悪寒が走るような感覚。
エンフォーサー
手を翳して、救世主概念みたいな力でカンダの傷を癒やしつつ。
エンフォーサー
「じゃあまあ、職務質問ですね」
カンダ
防弾ベストが塞がる~
カンダ
「刺さった感覚ですが、普通の結晶ってだけじゃないですね。そりゃそうでしょうが」
カンダ
「刺さった所だけ風邪ひくような感覚がしました!」
ツグハ
「かなり嫌だな」
ツグハ
みどりの木の葉のみならず、道端の遺体もまた黒結晶に成り変わっている。
ツグハ
おおよそ生命といったものの気配が無い。
ツグハ
「ある意味では心地良いのかもしれないが」
ツグハ
「ここに慣れるようじゃもうなんか色々オシマイだなあ」
カンダ
「まぁとにかく暗いですね!」
カンダ
「街頭とか設置するのはどうでしょう!治安維持的に!」
エンフォーサー
「公爵家に物資持ってきてもらいますか?」
カンダ
「近隣の子どもたちの課外活動としてチューリップの球根植えるのもいいですね!」
エンフォーサー
「さっきの三月兎達呼びますか」
エンフォーサー
もっともその場合植えるのは麦藁の冠になるが……
ツグハ
「それにはまずこの結晶を刈り取らなくっちゃな」子どもはすぐ尖ったものに触って勝手に怪我をする。
エンフォーサー
「はぁ、まったくそうですね」
カンダ
「ブルドーザーの亡者とか連れてこれませんかね!」
エンフォーサー
「まあそんな便利なものがいたとしても救世主を先に取り除かなきゃ元も子もないですね」
カンダ
「それもそうですね!とはいえ、今のところ犯罪の気配がなかなか感じられないのですが……」
カンダ
気配がないというよりは、森全体の気配が強すぎる
ツグハ
「縄張り意識の強い奴なら、私達が入った時点ですっとんできそうなもんでは」
ツグハ
「あるけどね」マーキングしている。
カンダ
「まだ我々に気付いていないとかの可能性は!」
エンフォーサー
「富士の樹海みたいな場所だな」
カンダ
(100db)
エンフォーサー
「希望的観測が過ぎるよ」
カンダ
「ふむ……炙り出しますか?」
エンフォーサー
「呼んでみる?」
ツグハ
「スティブナイトっつって通じるのかな」
カンダ
「とりあえず救世主呼びで、勧告してみましょうか!投降を!」
カンダ
「試してみるのであれば私カンダ、”大声”を出してみる所存です!」
エンフォーサー
「まあやってみるのもいいかもな」全力で耳を塞ぎながら
ツグハ
「じゃあお任せた」耳を塞ぎながら
カンダ
……では!
カンダ
仲間たちより一歩前に出て、マスクを外す。
カンダ
すぅ~~~~~~~~…………
カンダ
ぅ~~~…………と大きく息を吸い……
エンフォーサー
口を少し開いて耐ショック体勢!
ツグハ
いや長。
GM
その声が発せられる前に。
GM
ぱきり、と氷が割れるような音。
GM
上空から。
GM
黒結晶がカンダに降り注ぐ。
カンダ
「む!!!」
カンダ
即座に右腰の拳銃を抜き、発砲。
カンダ
降り注ぐ黒結晶を撃ち抜く数発。
そして降り注いで来た方向へ向けての一発。
エンフォーサー
「声出す前に飛んできたってことは操作できるのか」
エンフォーサー
厄介だな、と呟いて結晶のいくつかを払う。
GM
黒結晶が粉々に破壊される音。
GM
同時に。
スティブナイト
お前たちの背後から、結晶を踏みしめる音。
スティブナイト
「随分賑やかな来客だな」
スティブナイト
「観光に来たのか?」
エンフォーサー
「ええ、森の外からちょっとね」
カンダ
マスクを装着し直す。
エンフォーサー
「随分と物騒な森があるから見てきてくれ、とね」
ツグハ
「今は案内板探してるとこなんだよ」
カンダ
「逮捕令状も出ております!」
スティブナイト
「生憎、茶菓子も紅茶も土産もない」
スティブナイト
「座る場所すらないかもね」
エンフォーサー
「そんな~」
カンダ
「立ち話でも構いませんよ!!」
ツグハ
「休憩場所がないのは残念だけどね」
スティブナイト
溜息をひとつ。
エンフォーサー
「危険な森があるっていうことで苦情も出ている。いっそ花でも植えて緑化に勤しんでみては?」
スティブナイト
「はは」
スティブナイト
「そういうのがお好み?」
スティブナイト
「この森じゃ、植えても枯れ果てるだけだ」
スティブナイト
「場所を変えたら?」
エンフォーサー
「そこの彼のようなオブジェが出る森でなくなれば、私達もすぐに帰れるのですが……」
エンフォーサー
黒水晶の死体を一瞥。
カンダ
「この地は以前は普通の森であったと聞きました!」
カンダ
「場所を変えてしまったのは貴方では!」
スティブナイト
「そうだな」
カンダ
「ここが貴方の私有地で無かった場合、森林法第二百六条の二、規定に違反し、土石または樹魂の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為に該当する可能性があります!」
カンダ
「違反と認められた場合、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金!しかし情状酌量の余地が認められる場合、又は自首自白によって刑が軽くなる事もありますので!」
カンダ
「私としては!投降をおすすめいたしますね!」
エンフォーサー
「だそうですよ」
スティブナイト
「…………」
GM
*PKの心の疵を公開します。
スティブナイト
「緑化してるのはお前らの頭の中なんじゃない?」
ツグハ
「どうかな」
カンダ
「投降の意思は無いと!?」
カンダ
六法全書を引き抜く。
エンフォーサー
「ははは」
スティブナイト
「こういうことしてる救世主がそう言われてあっさり投降するように見えるなら、随分幸せなんだろうな」
カンダ
「投降しそうな相手だから投降を持ちかけるのではありません!」
カンダ
「しそうでもしそうになくても、全て被疑者は己の罪を認め、自首し、法の裁きを受ける権利があり、また投降の意思を確認する事も義務となっています!」
カンダ
「法とはそういうものです!」
スティブナイト
「そう。満足した?」
カンダ
「投降の意思が無さそうである、という確認はとれました。無論、これから意思が変わればいつでも受け付けますが!」
スティブナイト
溜息。
スティブナイト
「じゃあ、俺からも2つくらい確認していい?」
スティブナイト
「まず、その声の大きさ、どうにかならないか、ってこと」
スティブナイト
「二つ目は――」
スティブナイト
「帰ってくれないか、ってこと」
スティブナイト
同時に。
スティブナイト
手のひらから黒結晶がつくりだされ、お前たちに襲いかかり。
スティブナイト
地面から槍のように黒結晶が飛び出してくる。
エンフォーサー
「!」
ツグハ
蔦が周囲を覆う。
エンフォーサー
高く飛んで避ける。
カンダ
拳銃で撃ち落とし、一つは六法全書で受け止める。
ツグハ
飛び交う黒結晶は、立ち塞がった蔦に突き刺さり絡め取られて、当人へと到達することは無く。
カンダ
「1つ目については、善処します!!!!!!!!!!」
ツグハ
「うるせえ!」
スティブナイト
黒結晶は次々と現れ、嵐のように襲いかかる。
スティブナイト
氷が割れる音。
エンフォーサー
空中で軌道を変え、黒結晶の暴風を次々と避ける。ツグハは大丈夫だろう。カンダは……うるさいので大丈夫だろう。
スティブナイト
結晶が風を切る音はしない。まるでここには空気がないかのように。
カンダ
とりあえず無事である事は常にわかりつづけているだろう。
聴覚が無事なら。
ツグハ
ずっと叫んどんのかこいつ
エンフォーサー
うるせ~
カンダ
「はぁ!せい!といやぁ!えい!なんとぉ!」
エンフォーサー
うるっせ~
カンダ
でっかい声に紛れて銃声も聞こえる。
スティブナイト
結晶が砕けてばらばらと地面に落ちる。
GM
それが止んだ頃には、スティブナイトの姿はどこにもない。
カンダ
「……確保し損ねましたね!」
ツグハ
ぐずぐずと蔦が解け、突き刺さった結晶の欠片がぱらぱらと地面に落ちる。
ツグハ
「ひとまず小手調べって感じかな」
エンフォーサー
「やるしかありませんね」
ツグハ
「こほこほ。大事な人とかいうのはまだ出てきてないし、まだまだ奥の手はいっぱいあるって感じね」
エンフォーサー
「大事な人か……」
エンフォーサー
「まあ皆さん、各々正気を失わないように」
カンダ
「はい!!!!!」
エンフォーサー
「声デカ」
ツグハ
「がんばりま~」
カンダ
「そういえば!一つ分かった事があるかもしれません!」
エンフォーサー
「はいカンダくんどうぞ」
カンダ
「あのスティブナイトなる救世主……」
カンダ
「大きな声が……苦手なのでは!!」
ツグハ
「大体みんなそうだよ」
エンフォーサー
「参考意見とさせていただきます」
エンフォーサー
「ま、嫌いなものの多そうな救世主ではありますね」
カンダ
「給食のピーマン残して居残りさせられるタイプですね!」
ツグハ
「なるほど」
エンフォーサー
「地面の下には給食のピーマンが埋まっているんですねえ」
エンフォーサー
適当な事を言う。
エンフォーサー
「まあしかし、やることは変わりませんね」
エンフォーサー
「探し出して、ティータイムに付き合って貰わないと」
カンダ
「捜査!逮捕!及び取り調べですね!」
ツグハ
「椅子が無いらしいのは残念だけど」
エンフォーサー
「我々のコイン枚数ならカッコよく空気椅子も出来ますよ」
ツグハ
「向こうが付き合ってくれ無さそうなのは寂しいなあ」
ツグハ
「まあ、いつものことか」
カンダ
「取調室の椅子は座っていただくものではなく、座らせるものですからね!」
カンダ
「いつものことです!」
エンフォーサー
「いつも通りが通じることを祈るしかありませんね」
エンフォーサー
「ま、現場判断ということで柔軟にやっていくのもいつも通りと言えばそうですが……」
カンダ
「懸念材料があるとすれば……この森というフィールドでしょうか!」
カンダ
「この森のそこら中にある結晶、どうやらある程度スティブナイトの意のままになるようで!」
ツグハ
「嫌だねえ。分断されないといいけど」
ツグハ
「手でも繋ぐか」
カンダ
「そうしますか!」
カンダ
繋いだ。
エンフォーサー
「騎馬戦スタイルでもいいですよ」
エンフォーサー
繋いだ。
ツグハ
これが俺達の絆パワーだ。
カンダ
「…………」
エンフォーサー
「これぐるぐる回るやつじゃないですか」
カンダ
「これ銃が抜けませんね!」
エンフォーサー
両手繋いだ。
ツグハ
「両手が塞がっちゃった」
ツグハ
「やめよっか」
エンフォーサー
「そこにきづくとは かしこいですね」
カンダ
「後で公爵家に迷子紐を要請しておきましょう!」
エンフォーサー
「水晶で切れないやつを、と」
カンダ
「あ、それか手錠でよければありますが」
エンフォーサー
「それはちょっと、遠慮しておくよ」
カンダ
「そうですか!」
エンフォーサー
「はい」(はい)
ツグハ
「は~」
ツグハ
「じゃ改めて行きますか」
エンフォーサー
「オッケー」
カンダ
「行きましょう!」
GM
GM
*行動順の決定
GM
1d99で大きい順で。
ツグハ
1d99 (1D99) > 87
カンダ
1d99 (1D99) > 19
エンフォーサー
1d99 (1D99) > 43
GM
ツグハ>エンフォーサー>カンダ
GM
*1ラウンド目:ツグハ
GM
シーン表があります。
GM
1d6のやつが2つあり、まとめて2d6で振るとお得です。
ツグハ
2d6 (2D6) > 3[1,2] > 3
GM
1 道なき道。かつては整備されていたであろう場所は結晶に覆われ、まともに歩くことすら難しい。
GM
2 薄暗く冷えた森を歩く。どれほど歩いても黒い光景が続いている。それは不安を煽り、陰鬱な気持ちになる。
GM
その森の光景はお前たちを焦らせる。
GM
分断されない方がいいと、そう判断したとしても。
GM
思い通りにはいかない。
GM
木々がざわめいて硝子が擦れる音が立ったかと思えば、破片がお前たちに襲いかかる。
GM
上空から、足元から、そして道の向こうから。
カンダ
「法の壁!!!!ていやーー!」
カンダ
(羽織っていた法服で薙ぎ払うだけ)
GM
一つ一つはお前たちの力があれば容易に弾くことはできるだろうが、数が多い。
GM
弾いても壊しても、終わりがないように思えるだろう。
エンフォーサー
「おおっと!」
エンフォーサー
いくつかを打ち払うが、次第に回避の方に切り替えていく。
ツグハ
「なんだなんだ、根比べかあ~?」
カンダ
「こりゃ出元を抑えないとどうにもなりませんね!」
カンダ
「目算、あっち!出動ー!」
エンフォーサー
回避を試みるうちに、どうしても2人と距離が離れていく。
カンダ
迷いのない独断専行で突っ走っていく。
エンフォーサー
「チッ……まあカンダの大声にあとで集合すれ……ああ~~カンダが~!」
ツグハ
「走ってから出動って言うなー!」
ツグハ
蔦の壁で欠片を受け止めるツグハは、その場から動く事無く防御に徹している。二人は遠ざかっていくばかりだ!
ツグハ
ツグハ
それから少しの後。
ツグハ
「……完全に見失ってしまった。どうしよっかな」
ツグハ
「そう遠くないとこでカンダが鳴いてくれればいいんだけど」
GM
静寂が広がっている。
GM
……いや、お前には、あまりに長いように思える。
GM
いつもならカンダがここまで静かであるはずはない。
GM
この静寂の森の中でなら、なおのこと。
ツグハ
後ろを振り返れば、来た筈の道は何処にも無い。
GM
そしてその静寂を遮ったのは、
スティブナイト
振り返ってお前と視線が合う、お前の敵。
ツグハ
「お」
スティブナイト
「なんというか」
スティブナイト
「……公爵家の飼い犬として元気にやってる3人組?」
ツグハ
「名探偵じゃん」
ツグハ
「こんばんは。月の無い夜だね」
スティブナイト
「生憎、まだ昼だ」
スティブナイト
「暗いからわからないかもしれないけど」
ツグハ
「じゃあ、こんにちはだな」
スティブナイト
「ご丁寧にどうも?」
ツグハ
「一応聞いとくけども」
ツグハ
「この森を根城にしてる救世主スティブナイトって、あんたの事でいいんだよね?」
ツグハ
「いや通じんのかな?スティブナイトで」
スティブナイト
「ああ」
スティブナイト
「知ってるよ。この森の名前も、俺の呼び名も」
ツグハ
「黒の森とか絶望の森とか」
ツグハ
「見たまんまで呼ぶからね、公爵家は」
スティブナイト
「絶望の森、って、まあ」
スティブナイト
「笑える名前だよな」
ツグハ
「違いない」
スティブナイト
「希望のある場所なんか、この国にはないだろうに」
ツグハ
「みんな夢見がちなんだよ」
ツグハ
「だから、世の中上向きになればいいなって願いを込めて、なんかいい感じの名前を付ける」
ツグハ
「逆に、そんな名前を付けられてるここは連中にとっちゃ絶賛下向きなのさ」
ツグハ
「それともあんたにとっちゃここは比較的絶望じゃない森?」
スティブナイト
「いいや」
スティブナイト
「違いないね」
スティブナイト
「他人任せの夢に浸るつもりもないけど」
ツグハ
「そりゃよかった」
ツグハ
「何考えてるのかわかんないってくらいに意味不明な輩じゃなさそうで」
ツグハ
「ここはロクでもないって思えるくらいにはおんなじ救世主なわけだ」
スティブナイト
「へえ」
スティブナイト
「あの2人に囲まれてるから頭花畑かと思ってたけど」
スティブナイト
「花のにおいがするだけか」
ツグハ
「花は好き?」
スティブナイト
「嫌いだよ」
ツグハ
「私も」
スティブナイト
「そうなんだ?」
スティブナイト
「そんなに植物臭いのにね」
ツグハ
「心の疵から生まれたもんが好きな奴なんていないさ」
ツグハ
「この森だってそうなんでしょ?」
スティブナイト
「………………」
スティブナイト
「……死体よりは幾分マシだ」
スティブナイト
「生き物より、土とか木よりは、いくらか」
スティブナイト
「……ああ、でも」
スティブナイト
「こうして暴力を振るえるところは、嫌いじゃない」
スティブナイト
手の上には黒結晶。
スティブナイト
そして、それが放たれる。
スティブナイト
お前の足元に向かって。
ツグハ
けれど、それも阻まれる。
ツグハ
固く黒い土からは、蔦の壁がずるずると這い出て、ツグハの身を守るようにせり出している。
ツグハ
そして、その足元へと、きらきらと黄色に輝くものが降ってきて。
ツグハ
「げほ、げほ」
ツグハ
「……やめてよぉー、えぐぐ。これ使うの結構しんどいんだって」
ツグハ
口元から黄色い花弁が零れる。
スティブナイト
「…………」
手が動きを止める。
スティブナイト
すこしだけ顔を顰めたように見える、かもしれない。
スティブナイト
「やめようか」
スティブナイト
「互いに利が薄い」
スティブナイト
「…………それ、なんとかならない?」
ツグハ
「なったら嬉しいね」
ツグハ
「でも、ここでやめるんなら、なんでわざわざ目の前に出てきたわけ?」
ツグハ
「てっきり一人ずつ仕留める算段かと思ったのに」
ツグハ
「もしかして私とお話したくなっちゃったのかナ?」
ツグハ
お茶会したいならそう言えばいいのに~、などと呟きながら蔦をいい感じに組んで椅子を作ろうとする。
スティブナイト
「一番話が通じそうだったから」
スティブナイト
「だからまあ、嘘ではないけど」
スティブナイト
「お茶会は嫌いだよ、俺は」
ツグハ
「あはぁ~。残念」いそいそと蔦をしまった。土の中に。
ツグハ
「まあ、でもほら。私達も公爵家の犬だからさ」
ツグハ
「話の通じる友達が出来て嬉しいな、じゃあ帰ろう!とはならないんだわ」
スティブナイト
「まあ、そうだろうね」
ツグハ
「そうなんだよね。わんわん」
ツグハ
「だから私は止めてあげない」
スティブナイト
「犬らしくて、公爵家もさぞかし便利だろうね」
ツグハ
「その分好き勝手させてもらってるから」
スティブナイト
「へえ?」
ツグハ
「わんちゃんの手柄になってくれると嬉しいな」
ツグハ
がお、と低く唸ると同時に、無数の蔦が殺到する。
ツグハ
*スティブナイトの心の疵「朧」を抉ります。
スティブナイト
*配下が横槍。
黒結晶
2d6+2+2=>7 判定(+脅威度) (2D6+2+2>=7) > 3[1,2]+2+2 > 7 > 成功
黒結晶
1d6 (1D6) > 4
ツグハ
*クエストNo.1 情報収集にも挑戦します。
ツグハ
*ティーセットを使用します。
[ ツグハ ] ティーセット : 1 → 0
ツグハ
*能力値「愛」で抉り
ツグハ
2d6+4-4+2=>7 判定(+愛) (2D6+4-4+2>=7) > 2[1,1]+4-4+2 > 4 > 失敗
GM
*PCがお茶会中の判定でファンブルを起こした場合、所持している小道具を1つランダムに失います。
[ ツグハ ] ヤリイカ : 1 → 0
ツグハ
じゃあ……失敗ですね……
GM
*そうですね……
スティブナイト
「犬の群れが手柄欲しいって?」
スティブナイト
「笑えるね」
スティブナイト
空中で結露するように。
スティブナイト
黒結晶が生み出され、育って、蔦を引き裂く。
スティブナイト
足元から。
スティブナイト
木々の隙間から。
スティブナイト
お前に襲いかかる。
スティブナイト
ここはお前たちの敵の領域だ、と。わからせるように。
スティブナイト
お前たちより10枚多い心の疵の力。
スティブナイト
それを絶望の結晶の形に固めて、振るう。
スティブナイト
雨のように、波のように、地震のように。
ツグハ
「やっば」スティブナイトから距離を取りながら、一転して防御に専念する。
ツグハ
獣道とも呼べないような隙間を走り抜けながら、最低限急所へと蔦を張り巡らせて。
ツグハ
「──っぱこっちより枚数は多いか!」
ツグハ
“腕”で欠片を振り払いながら、一目散に彼方へと走る。
ツグハ
「とりま、やっぱチーム分けは得策じゃないって、ぐぇ、えほ! ことはよく分かった」
ツグハ
「じゃ、口惜しいけどまた今度!そう遠くないうちにね!」そう叫びながら、暗闇の中へと消えていった。
スティブナイト
「……あぁ、そうだ」
遠ざかる背中へ。
スティブナイト
「逸れた2人、今どうしてるんだろうね?」
スティブナイト
囁くような小さく低い声が、どうしてか駆けるお前の耳に届く。
GM
GM
*PK割り込み1
スティブナイト
2d6 (2D6) > 10[5,5] > 10
スティブナイト
5 開けた場所。巨大な黒結晶のクラスターがある。長い時間をかけて大きくなったようだ。この辺りが救世主の居住地だろうか?
スティブナイト
5 道に迷う。木々の向こうに人影が見える。あなたを見ているそれは幻? 本物? 一体誰?
スティブナイト
エンフォーサー。
スティブナイト
お前はカンダを追いかけ、しかし見失う。
スティブナイト
声は確かにするのだが、走っても追いつかない。
スティブナイト
そうしてお前は、開けた場所に出る。
エンフォーサー
開けた場所に出て一息つく。
エンフォーサー
この森はどうも静かすぎて、あのカンダの声にさえたどり着けないでいる。
エンフォーサー
木々を見上げる。空でも見えるなら公爵家のポーターにでも合図できるのだろうが……
スティブナイト
迷うような距離ではないのにどうしてか辿り着けない。おそらくは認識阻害系か、幻覚系か。
スティブナイト
空を見上げたなら、薄暗い堕落の国より、さらに暗い。
スティブナイト
黒い空。
エンフォーサー
どうしたものか。逃げ回るべきか、無駄と見てここに留まるか。
エンフォーサー
その空を見ても不安はない。不安はコインの力で抑え込まれている。
エンフォーサー
黒い森の中に染まらず立つ異物の男。
スティブナイト
"本当に?"
スティブナイト
声がお前に問いかける。
スティブナイト
誰のものともわからない、声。
エンフォーサー
その声が何を問うているか、一瞬わからずにいる。
エンフォーサー
けれどもっと奥深くのなにか、抑えつけた何かが声を出す。
エンフォーサー
「…………」
エンフォーサー
声を出して、2人を探しにいくべきだ。そう思えども足は動かない。
スティブナイト
見上げた空から、雨のように黒結晶が降りはじめ。
スティブナイト
それと同時に。
スティブナイト
足元の黒結晶が急速に成長し始め、お前の足を傷付ける。
スティブナイト
痛覚に気付いて足元を見下ろせば。
スティブナイト
お前の足が貫かれている。
エンフォーサー
「!」
スティブナイト
火傷のような、あるいは凍傷のような痛み。
エンフォーサー
反撃の姿勢を取るよりも早く。
エンフォーサー
痛みはない。抑え込まれている。本当に?
スティブナイト
"本当に?"
エンフォーサー
膝をつく。
エンフォーサー
息が乱れる。
スティブナイト
眼前にある黒結晶は大きく、お前の姿が反射する。
エンフォーサー
それはコインの力を超えて届く痛みのせいだけではない。
スティブナイト
そこにいるのは誰だ?
スティブナイト
鏡の向こうに映るのは?
エンフォーサー
エンフォーサー。
エンフォーサー
エンフォーサー、お前は誰だ?
エンフォーサー
そんな名前をつけて、お前は何になろうとしている?
エンフォーサー
『どうしてこんなところまで来て、どうしてこんな事をしている?』
スティブナイト
"お前が生きる意味は何だ?"
スティブナイト
"こんなところで。この地獄の底で。"
エンフォーサー
鏡の中で、ずっと昔に捨てた自分が笑っている。
エンフォーサー
『痛みを捨て、迷いを捨てて、心を捨てて』
エンフォーサー
『行き着く先は何なんだ?』
エンフォーサー
「この暗い森が俺の末路か?」
エンフォーサー
「俺は本当はどこに行きたかった」
エンフォーサー
「お前は何様のつもりなんだ」
エンフォーサー
目を逸し、地に伏せる。
エンフォーサー
頭を覆った先にも黒水晶があって、その中に、自分の目が映る。
エンフォーサー
「こんなところに来たくて来たんじゃない」
エンフォーサー
口に出した分いくらか心が軽くなったような気がする。
スティブナイト
黒結晶の雨。
スティブナイト
伏せたお前の服を切り裂き、身体に刺さる。
スティブナイト
"お前が忘れているものは?"
スティブナイト
切り傷から、毒がじわりと広がっていく。
スティブナイト
お前を絶望に陥れる毒が。
エンフォーサー
顔を上げ、雨から飛び退く。けれども黒水晶が衣装を──心の疵を貫いてその身を裂く。
スティブナイト
"もう気付いているんだろう"
エンフォーサー
『とっくに絶望していることに』
スティブナイト
*エンフォーサーの『心』を猟奇で抉る。
カンダ
*横槍を入れます
カンダ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
カンダ
ティーセットはなし!
カンダ
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 9[6,3]+3 > 12 > 成功
カンダ
1d6 効果量 (1D6) > 5
カンダ
*ヤリイカエリートを使用
カンダ
+3して8!
スティブナイト
2d6+5-8=>7 判定(+猟奇) (2D6+5-8>=7) > 8[5,3]+5-8 > 5 > 失敗
スティブナイト
*アリスのエプロン使用。
[ スティブナイト ] アリスのエプロン : 1 → 0
[ エンフォーサー ] 心 : 0 → -1
[ エンフォーサー ] 絶望侵蝕 : 0 → -1
[ カンダ ] ヤリイカエリート : 1 → 0
[ カンダ ] HP : 19 → 18
スティブナイト
黒結晶がお前を見ている。
エンフォーサー
黒結晶の中から自分が笑っている。
スティブナイト
お前から溢れる赤い色を、反射して映す。
スティブナイト
"お前はどうしてここにいる?"
スティブナイト
"「エンフォーサー」であることに、何の意味がある?"
エンフォーサー
赤い血溜まりの中に、映るかりそめの姿。
スティブナイト
"お前が守ったものは何だ?"
エンフォーサー
そんなものに意味はない。
スティブナイト
"お前が失ったものは?"
エンフォーサー
自分自身だ。
エンフォーサー
この国で生きるために切り捨てたものは、自分だった。
エンフォーサー
悪と思った者を殺し、命乞いする者を殺し、友と思った者を殺し、そしてついには自分を殺した。
エンフォーサー
どうしてそこまでしてこの国で救世主にならなきゃいけなかったのかな。
エンフォーサー
とっとと死んでおいたほうがよかったんじゃないか?
エンフォーサー
そのほうがずっと楽で、ずっと賢いよ。
エンフォーサー
この国には何もないよ。
エンフォーサー
死にたくなくて、ただそれだけだった。
エンフォーサー
でも俺は気づいていただろう。
エンフォーサー
とっとと諦めて死んでもいいんだということを!
エンフォーサー
黒水晶を叩き割る。
エンフォーサー
衣装が裂けて、肉を裂いて血がしぶいた。
エンフォーサー
殴る。見えるかぎりの黒水晶を血で汚す。
エンフォーサー
どうすればあの男を消せるのか。
カンダ
声がする。
カンダ
誰かを呼んでいる。
カンダ
誰を呼んでいる?
カンダ
それは誰の名前だと思う?
エンフォーサー
救世主の名前だ。
カンダ
声は近づいてくる。
聞き覚えのある、嫌という程聞いた声。
カンダ
聞き覚えがあるのは、誰にとって?
エンフォーサー
救世主のエンフォーサーにとって。
カンダ
「……フォ……!」
エンフォーサー
この姿にとって。
カンダ
「エ…………!!!」
エンフォーサー
その中にいる、弱い救世主だった誰かではない。
カンダ
「エンフォ之助!!!!!!!!!!!!!!!」
カンダ
「探しましたよ!どこに行ったかと思ったらこんなところに!!!」
エンフォーサー
「…………」
エンフォーサー
「私はどこに行ったのかな」
エンフォーサー
「いや、ずっといるか……」
カンダ
「とりあえずさっきまで居たのは、私の隣以外のどこかですかね!」
カンダ
「ここは敵拠点、単独行動は危ないですよ!ンモー!」
カンダ
「逸れちゃいそうなら、さっきのプラン通りお手々繋ぎましょうか?」
カンダ
「ツグハも探さなければいけませんが、とりあえず貴方がこれ以上どこかに行ってしまわないように……」
カンダ
「ほら」
カンダ
手を差し出す。
GM
*ラウンド1:エンフォーサー
GM
*状態〈絶望侵蝕〉中のため、抉る疵とアイテムの指定はPKが行います。
スティブナイト
*対象はカンダ。疵はどちらでも。能力値は愛。ティーセットを使用してください。
エンフォーサー
手を見て、いつも通りの顔で笑う。
エンフォーサー
「そうですね。これ以上」
エンフォーサー
「この森で一人になるのは随分と厄介ですよ、ほら」
エンフォーサー
そう言ってマントを広げると、足元の血溜まりがよく見える。
カンダ
「……怪我を!!??」
エンフォーサー
ふう、と一息。
エンフォーサー
「ああ」
エンフォーサー
そう言って、何気なくカンダの手を取る。
エンフォーサー
さっきよりも手が冷えているのは、血を流したから?
カンダ
「手当しましょうか?まぁその辺は貴方のほうが得意そうですが!」
カンダ
「あぁそうだ、公爵家の方に連絡すれば医療用の物資も手配してくれるのでは!」
エンフォーサー
「それもいいが、そうそう。公爵家の物資を手配してもらおう」
GM
空を見上げれば、先程のような闇はない。
GM
薄暗く霞む空。
エンフォーサー
「この森の救世主は強い。それこそ私達が3人で相手になるか」
エンフォーサー
「だから使えるものは何でも使わなくてはいけない」
カンダ
「いいですね。合法な手段は何を使っても合法ですからね!」
エンフォーサー
「そう言ってくれてよかった!」
エンフォーサー
*カンダの『罪の悦楽』を抉ります クエスト4に挑戦
[ エンフォーサー ] ティーセット : 1 → 0
エンフォーサー
2d6+4+2=>7 判定(+愛) (2D6+4+2>=7) > 10[6,4]+4+2 > 16 > 成功
ツグハ
*横槍します
ツグハ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ツグハ
マジかよ
ツグハ
-10て
ツグハ
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 9[4,5]+0 > 9 > 成功
ツグハ
1d6 (1D6) > 2
[ ツグハ ] HP : 28 → 27
GM
*まあ、成功ですね。
エンフォーサー
*時の混乱が起きたが……14で成功!抉れ!クエスト達成!
エンフォーサー
「ではカンダ、君の声で合図を頼むよ」
カンダ
「……合図といいますと!」
エンフォーサー
そうしてカンダに言えと指示したのは、三月兎投下のサイン。
カンダ
「いえ……いえ、少し待って下さい」
エンフォーサー
手は繋いだまま。
エンフォーサー
「どうしたんだい?」
カンダ
「あれは……ですね。公爵家の手前、その場での指摘は控えましたが」
カンダ
「やはり少々、法的根拠についての自信が無いというか……」
エンフォーサー
「超法規的措置ってやつだよ」
カンダ
「そのようなものを簡単に許していては、法が成り立ちません!」
エンフォーサー
「そもそもあれは、日本国憲法に保護される人間か?」
エンフォーサー
「兎だぞ。会話もろくになりたたない」
エンフォーサー
「動物保護法違反かな?」
カンダ
「……法は何が人かを定義しません」
カンダ
「ですが……言葉なら交わしたではないですか」
カンダ
「貴方だって、していたでしょう?」
エンフォーサー
「ふふ、あんまり会話にはならなかったね」
エンフォーサー
「でも、彼らを使わなければ」
エンフォーサー
「この森を破壊しつくさなければ」
エンフォーサー
「もっと状況は悪くなる。人死にが増える」
カンダ
「会話が成立しない”人間”もいます!」
エンフォーサー
「まあそれは、いっぱいいるね」
カンダ
「だいたい、それがどのようなものであれ、目的を達成するために法を破るなど!」
カンダ
「それは犯罪者の言い分ではないですか!」
カンダ
「そもそも……そもそも……」
エンフォーサー
「救世主はもともと、30日以上生きてる時点で大罪人だ」
エンフォーサー
「それとも救世主はいくら死んでもいい?」
カンダ
「いいえ、いいえ、私はそうは思いません」
カンダ
「30以上生きた救世主であろうと……誰かをその手にかけていようと」
カンダ
「許されざる殺人と、そうでないものは区別されるべきで」
カンダ
「それを定めるのが、法です」
カンダ
繋いだままの手に力がこもる。
エンフォーサー
男の手は硬い。
カンダ
「それが、法に従って動いたのみであれば」
カンダ
「執行は、罪ではありません」
エンフォーサー
「そうかそうか」
エンフォーサー
「ならまあ」
エンフォーサー
ぱきりと音がする。
エンフォーサー
「一緒に犯罪者になってもらおう!」
エンフォーサー
繋いだ手。カンダの手に痛みが走る。
カンダ
「……っ何を……痛い!痛いですよエンフォーサー!」
エンフォーサー
「法なんてもうどうでもいい」
エンフォーサー
「この森を破壊しなければ」
エンフォーサー
「皆俺のようになる」
カンダ
「エンフォーサー!その目は!」
エンフォーサー
握る手に、刺さる。
カンダ
「ッぐぅ…………!」
エンフォーサー
絶望が伝搬する。
エンフォーサー
ずっと昔からあった、この国への恨みが。
カンダ
喉が震える。
エンフォーサー
「もはや法や救世主なんていう話じゃない」
カンダ
痛みによるものではない。
エンフォーサー
「さあ!カンダ!いつも通りの大きな声で!」
カンダ
それは自分の意思によるものではない動き。
カンダ
……本当に?
カンダ
声を出そうとする。
カンダ
エンフォーサー。
カンダ
エンフォーサー。
カンダ
これは貴方の感じていた痛みなのですか。
カンダ
今貴方の感じている痛みなのですか。
エンフォーサー
法からの開放を、罪を強いる。
エンフォーサー
法で誰かを守る事をしても、法はあなたを守らない。
カンダ
声は出ない。少なくとも、出そうと意図していたものは。
エンフォーサー
この国でお前の信仰する法は、お前の中にしかない。
カンダ
エンフォーサー。
カンダ
私はそれしか、貴方を呼ぶ名を知らない。
カンダ
それすら苦痛だったと言うのですか?
エンフォーサー
「救世主なら、この世を救わなくてはいけないね」
エンフォーサー
「だから殺す」
エンフォーサー
「救世主らしくならないとね」
エンフォーサー
「必要経費だよ」
エンフォーサー
「さあ叫べ!」
カンダ
痛みへの反応で閉じていた目を開く。
エンフォーサー
手をさらに強く握る。笑顔の中にいる、誰かの怒りを伝えるように。
エンフォーサー
助けてくれ、この森を壊してくれ、ここから出してくれ。
カンダ
そして目の前の”救世主”を見つめる。
カンダ
叫ぶために。伝えるために。
胸の奥底からの思いを込めて。
カンダ
叫ぶ────
カンダ
「この痛みが貴方の絶望ならば──
カンダ
私は貴方を裁きましょう。
カンダ
そして貴方を許しましょう。
カンダ
法はそのためにあるのです。
カンダ
そのために、私はこの場違いな法を掲げているのです!)
カンダ
 
カンダ
「今すぐに!三月兎の投下を要請!!!!」
カンダ
意図していたものとは、全く違う叫びを。
GM
あなたが叫べば、それは迅速に行われました。
GM
空を覆うグリフォン達。そこから投下される袋。
GM
地に付けば、ぐしゃりと音を立てて、ワインの香りの血が吹き出して、
GM
それでも走り出し、駆け回り、
GM
カンダの声と並ぶくらいの、騒音が響きました。
GM
笑い声、戦闘音、亡者の鳴き声、
GM
ワインの香り、血のにおい、
GM
こどもの悲鳴。
エンフォーサー
「なるほどね、三月兎の亡者の物量作戦か」
カンダ
「……あ」
カンダ
自分は今何を叫んだ。
カンダ
今何をした?
エンフォーサー
手の力はいつの間にか緩んでいる。
カンダ
いや、わかっている。全て把握している。
エンフォーサー
「ありがとう、カンダ」
エンフォーサー
「いい成果が出たことだろう」
カンダ
「は──」
カンダ
それが何なのか、自分の状態が証明している。
カンダ
ドーパミン。
カンダ
アドレナリン。
カンダ
エンドルフィン。
カンダ
緩んだ手を振り払って、自分の顔を触る。
カンダ
マスク越しの手触りで理解する。
エンフォーサー
そしてあなたの顔を見ていた。
カンダ
笑っている。
カンダ
これは一体何なのか。
カンダ
知っている。
[ カンダ ] 罪の悦楽 : 0 → -1
[ スティブナイト ] HP : 0 → 1
エンフォーサー
「大量殺人を目の前にしている割には、だね」
カンダ
「いや」
カンダ
「これは……」
カンダ
これは?
カンダ
分かっているが、言えるものか。
カンダ
震える声が、形にならない。
カンダ
「う、く……」
カンダ
「く、あ、っふ……」
カンダ
「ふふ……」
カンダ
「くつ、くつくつくつ……」
カンダ
あ。
カンダ
違う、これは震えではない。
カンダ
笑っている。
カンダ
笑っているのだ、この自分は!
エンフォーサー
罪を犯して笑う者を、冷ややかとも、暖かとも言える目で見ている。
エンフォーサー
「いやあ、思ったよりの量だったね。投下地点は何が起きたのかな……」
エンフォーサー
「まあいいか。とっととあの救世主を殺さないと」
エンフォーサー
「もっと状況はひどくなるだろう」
カンダ
「ふひ……」
カンダ
待って。
カンダ
待ってくださいよ。
カンダ
まだ貴方に話したい事がある。
カンダ
引き止めたい。引き止めなければならない。
カンダ
なのに喋れない。歩けない。立てない。
カンダ
……気持ちよくて。
カンダ
こんなにたくさん、人を殺したの
カンダ
久しぶりだったから。
カンダ
だけど、お願い。
カンダ
待って……
エンフォーサー
法に則れば極刑も極刑。
エンフォーサー
それを教唆して、強要した。
エンフォーサー
ありとあらゆる細々した法が犯されている。
ツグハ
ツグハ
──雨が降る。
ツグハ
小麦色の雨が。
ツグハ
赤い水滴が。
ツグハ
死にゆく者が空を埋める。
ツグハ
後には血と肉とワインの香りだけ。
ツグハ
それも間も無く、黒い結晶に覆われて消える。
ツグハ
堕落の国では、雨が止んでも、虹のかかることは無い。
ツグハ
ましてや、この森において命のなんと軽いことか。
ツグハ
「…………随分早まったな」
ツグハ
「……どっちが?」
ツグハ
「両方?」
ツグハ
「あれと話し込んでいる場合じゃなかったかも」
ツグハ
「う~ん」
ツグハ
「絶望の森、ね」
ツグハ
「よくいったものだわ」
ツグハ
声は聞こえた。森の外、上空にまで響くほどの声。
ツグハ
役目を果たせぬまま、黒水晶に縋りついて倒れる遺体を飛び越しながら。
ツグハ
暗闇の中を、唯一人走り続ける。
GM
"ここがなんて呼ばれてるか、知ってる?"
GM
ここにあるのは、絶望、諦観、孤独感、猜疑心。
GM
あるいは?
GM
GM
*お茶会MOD「お茶会逆転」の導入について
GM
PL3人の合意があれば、お茶会MOD「お茶会逆転」を追加することができます。
GM
その場合、遡って1手番目のツグハさんの行動についての逆転を許可します。
GM
ツグハさんの心の疵を1つ抉ることで、判定とクエストに成功することができます。
GM
またそれについての描写の追加シーンを行います。
GM
合意しますか?
エンフォーサー
同意しま~す!(大ジャンプ)
ツグハ
合意します
カンダ
お茶会逆転は合法!!
GM
ありがとうございます。
GM
では追加シーンからやっていきましょう!!!!!!
GM
GM
*追加シーン
GM
3 小屋。黒結晶に覆われていて、その重さで半分倒壊している。
GM
むせ返る血生臭さの道。
GM
そこかしこに、亡者や亡者になりかけのこどもの死体が転がっている。
GM
ツグハが暗い森の中を走れば、視界に映るのは黒と、赤色と、ワイン色。
GM
鳴き声や叫び声はだんだんと静まっていき、元の静寂に戻りつつあって。
GM
お前は先程カンダの声がした方向へ走っていた。
GM
その最中。
GM
三月兎が折り重なって死んでいるのが見えて。
GM
その三月兎は、壊れた小屋の周辺に集まっていた。
ツグハ
「……………………あれ」
ツグハ
「なんだろあれ。この真上で落としたとか、三月兎が引き寄せられる……マタタビみたいなもんとか」
ツグハ
「じゃなきゃ、目標?」
ツグハ
歩みを進める。
GM
静寂に、小さなうめき声。
ツグハ
生存者がいる。それは運の“悪い”三月兎か、あるいは。
ツグハ
遠巻きに、蔦を張り巡らせる。
ツグハ
中に居るのは鬼か蛇か、あるいは見知った救世主か。
GM
小屋の中。三月兎の死体を掻き分けて、その先に届いたのなら。
GM
それを遮ろうとして、黒結晶が蔦を切るのと、同時に。
GM
「…………っ、」
GM
息を飲む、声。
ツグハ
「あ~は~は~」
ツグハ
「おはよ」
ツグハ
蔦が小屋を飲み込んでいく。
ツグハ
周囲の死体ごと、小屋の外壁ごとを、みしみしと蔦は締め上げて行って。
ツグハ
ごしゃ、と小屋が壊れる音と共に、隠れていたものを引きずり出した。
スティブナイト
日頃ともにしている仲間よりもずっと軽くて、小さいものが引きずり出される。
スティブナイト
蔦が巻きつけられた腕は細い。
スティブナイト
「…………いい朝だね」
スティブナイト
服は三月兎に乱されていて、白い肌が黒い服の隙間から見える。
ツグハ
「アポ無しでごめんね」
スティブナイト
「本当にね……」
スティブナイト
「お前らが来てから随分と賑やかになったよ、この森も」
ツグハ
「観光客は騒ぐもんでしょ」
ツグハ
「こんな大所帯が来るほど人気だとは……あんまり思ってなかったけど」
ツグハ
歩みを進める。
スティブナイト
「ガキが来るようなところじゃないだろ」
スティブナイト
「…………」
ツグハ
「そういうあんたは成人済みなの?」
ツグハ
「身長制限引っかかってない?」
スティブナイト
「…………さあ?」
スティブナイト
「この国では、救世主なら全員同じだ」
スティブナイト
「コインの数で評価されるものでしかない」
ツグハ
「そうかな?救世主でも結構違うよ」
ツグハ
「身なりを整えれば見惚れてくれるし」
ツグハ
「黙々とお偉いさんに従えば、融通もしてくれるしね」
ツグハ
「それに」
ツグハ
「救世主同士なら、コイン以外にも色々あるでしょ」
スティブナイト
「…………まぁ」
スティブナイト
「得意なやつと苦手なやつくらいはいるよ」
ツグハ
「話の通じる方のやつとかね」
スティブナイト
「通じればいいってわけでもないけどね」
ツグハ
「話が通じても、殺し合わなきゃいけないやつもいるしね」
スティブナイト
「話したほうが情が湧く?」
ツグハ
「ん~」「少しは」
ツグハ
「もっと親睦を深めるなら、同じ釜の飯を食べるとか?」
ツグハ
「より相手を知るなら、隣に並んで寝てみるとか」
ツグハ
「あんたは情が湧いたら殺しにくい?」
ツグハ
「湧くことがあるのかも知んないけど」
スティブナイト
「さあね」
スティブナイト
「湧く情があったらよかった?」
スティブナイト
「情とか、仲間意識とか」
スティブナイト
「愛とか?」
スティブナイト
「そういうのがあったら、こんなところでこんなことしなくてもよかったのかも」
ツグハ
「あははァ」
ツグハ
「難しくものを考えるんだなあ」
スティブナイト
「そうだね」
スティブナイト
「紛らわせられるものがないから」
スティブナイト
「どう思ってる? お仲間のこと」
スティブナイト
「それで何が満たされる?」
ツグハ
「う~ん」
ツグハ
「自尊心とか?」
ツグハ
「人から物を頼まれたり、あるいは頼られたりすると~」
ツグハ
「じゃあ使われてやりますか、って感じになる」
ツグハ
「それを情とか愛って呼ぶのかどうかは知りませんけど」
スティブナイト
「それでこんなところまで来てるわけだ」
スティブナイト
「見合わないだろ」
ツグハ
「いいじゃない」
ツグハ
「誰からもそっぽ向かれるよりは」
スティブナイト
「合わないな……」
ツグハ
「人次第でしょ」
ツグハ
「ここらに居る、この子達だって」
ツグハ
「こうなる役目を期待されてたから、嬉々として走ってきたんじゃない」
ツグハ
「誰かに必要とされるのって嬉しいものよ」
ツグハ
「それがどんなに些細なことだろうと」
スティブナイト
「…………」
ツグハ
三月兎達は、何も言わない。
ツグハ
とっくに喋る口を失っているのだから。
ツグハ
「あんたはどうなの?」
ツグハ
「死人は口を聞かない」
ツグハ
「あんたは死人?」
ツグハ
「それとも」
ツグハ
「そんなになってまで、生き続けるのはどんな訳?」
スティブナイト
「……俺を利用しようとしてくるやつを、殺すため」
ツグハ
「へえ、いるんだ」
ツグハ
「そんな奴が」
ツグハ
「羨ましいね」
ツグハ
*ツグハの心の疵「愛の否定」を抉ります。
ツグハ
*引き換えとして、スティブナイトの心の疵「朧」を抉り、クエストNo.1を達成します。
[ ツグハ ] 愛の否定 : 0 → -1
[ スティブナイト ] 朧 : 0 → -1
GM
*クエスト1達成。
スティブナイト
「こいつらだってそうだろ」
スティブナイト
死体の山に目をやる。
スティブナイト
「まあ、何も考えてないだろうけど」
スティブナイト
「身体を好き勝手されるって意味では、そう」
ツグハ
「死ねばそんな心配もなくなるのに?」
ツグハ
「さしもの救世主でも、死体まで欲する奴はそういないよ」
ツグハ
「精々三日三晩の御馳走になるくらいでしょ」
スティブナイト
「三日三晩も持たないだろうな」
スティブナイト
「もっと大きいやつのほうがいい」
スティブナイト
そう喋るこの救世主の声は、初めて会ったときより幾分か高くて、
スティブナイト
幾分か小柄に見える。
スティブナイト
この世界基準だと成人はしていそうだが、お前たちの元の世界だと成人しているかどうか、というくらい。
スティブナイト
女にしても、やや小さい方。
ツグハ
「私はそのくらいの方が好きだけどな」
スティブナイト
「…………そういう意味で?」
ツグハ
「どうだろう」
ツグハ
「確かめてみる?」
スティブナイト
「うるさいやつらが来たと思った」
スティブナイト
「ひとりは普通に大声がうるさくて」
スティブナイト
「もう一人は眩しくて」
スティブナイト
「お前は」
スティブナイト
「花の匂いと、煙の匂いに混じって」
スティブナイト
「女のにおいがするんだ」
ツグハ
「厭だよね」
スティブナイト
「うん」
ツグハ
「私もだよ」
スティブナイト
「どうにか」
スティブナイト
「……なるといいね?」
スティブナイト
嫌う女のにおいが、自分からもしていることをわかっている。
スティブナイト
心の疵で取り繕っていたそれも、剥がれ落ちれば。
スティブナイト
そこにあるのは小さくて弱い女だけ。
ツグハ
「…………く」
ツグハ
「げっ、えほ、げほ、ごぇ、っぐ、うぇ……」
ツグハ
「は、……ふー…………」
ツグハ
「……………………湧く情があったら」
ツグハ
「もっと、楽だったかもしれないのにね」
ツグハ
真っ赤な血と一緒に吐き出したのは、それもまた燃えるように真っ赤な薔薇。
ツグハ
茨の蔦は喉を切り付け、舌をこそいで唇を裂く。
ツグハ
生産性のない自傷行為。己を虐める為の棘。
ツグハ
その切っ先は周りにも向いて、気付けばいつでも独りきり。
ツグハ
口から吐くのは、毒ばかり。
ツグハ
そういうものに、なるしかなかった。
スティブナイト
指先に毒が生える手で、その頬に触れた。
スティブナイト
「かわいそうにね」
スティブナイト
誰が?
スティブナイト
誰がかわいそうだというのだろう。
スティブナイト
そうやって憐れまれることが嫌で、こうして、ここにいるというのに。
ツグハ
爪の切り揃えられた手が、その上に重なる。
ツグハ
「ほんとうだよ」
ツグハ
何を憐れんでいるのだろう。
ツグハ
そういった憐れみの愛など、誰にも与えられず、与える事の無かったはずなのに。
スティブナイト
手が触れれば僅かに身が跳ねた。
ツグハ
その華奢な身を覆っていた蔦は、何時の間にか立ち消えて。
ツグハ
代わりに両の腕がそれを納める。
スティブナイト
ここに。この先に。愛があるというのだろうか?
スティブナイト
この絶望の森に。この堕落の国に?
スティブナイト
抵抗せず、されるがまま。
スティブナイト
結晶がなければ、脆くて小柄で、無力な女の肉体だから。
GM
そこにあるのは何?
GM
この国で、この森で。
GM
深まっていったのは何?
GM
GM
*PK割り込み2
GM
5 開けた場所。巨大な黒結晶のクラスターがある。長い時間をかけて大きくなったようだ。この辺りが救世主の居住地だろうか?
GM
あれからどれくらいの時間が経っただろう?
GM
三月兎の騒がしさが、収まって、いくらか経って、それで?
GM
カンダ。お前はどれだけそこに蹲って、笑っていただろう?
GM
お前の欲望が収まりきらぬうちに、ほら。
GM
足音がする。
三月兎の末裔
"不発弾"の。
三月兎の末裔
「あ!」
三月兎の末裔
「またあった!」
GM
本来死ぬべきものだ。
GM
三月兎爆弾として投下されて、亡者化して、死ぬべき定めの生物兵器。
GM
死んでいないほうがおかしいのではないか?
カンダ
視界が暗い。
カンダ
隣にはまだエンフォーサーがいるのではなかったか?
カンダ
確認できるほど顔を持ち上げられない。
カンダ
膝から感じる地面が冷たい。
カンダ
三月兎の声。
三月兎の末裔
三月兎の末裔がお前の肩をゆする。
エンフォーサー
いるのかもしれないけれど、カンダの視界には入っていない。
カンダ
エンフォーサーはもういないのかもしれない。
だって、いたらもっと眩いはずだ。
カンダ
それより、何故三月兎がいる?
GM
膝をつけば痛覚がある。
カンダ
死んだ筈だ。殺したはずだ。
私が、いくつもの、それを。
GM
隙間なく生える黒結晶が、触れたところを傷付ける。
カンダ
背中がぶるりと震える。
GM
絶望の毒が、血に溶けて、全身に巡る。
GM
あるいは、"心の疵"に作用する。
三月兎の末裔
「うごいてる!」
三月兎の末裔
「あのね――」
GM
喋る声の内容は理解できるだろうか?
カンダ
その口を掴んで、封じる。
カンダ
煩いな。
カンダ
今考えごとをしているんだ。
三月兎の末裔
「………………!」
三月兎の末裔
「!!」
エンフォーサー
エンフォーサーは止めない。
カンダ
顔を上げるけれど、前は見えない。
眼の前にいるはずの三月兎の顔すらも。
カンダ
目に映る景色は、ネオンカラーのインクで塗りつぶされている。
カンダ
見覚えのある幻覚だ。
カンダ
インクは空中を揺らめいて、人や人だったものの形を取る。
カンダ
自分が壊したもの、殺したもの、犯したものたちの形を。
カンダ
煩い。
GM
それはお前の何と紐付いている?
カンダ
そして心地良い。
GM
それをしたときのお前の感覚はどうだった?
カンダ
それは己の悦楽と繋がっている。
GM
お前は何を思った?
カンダ
カンダの脳細胞は一度破壊されている。
カンダ
そうなるに十分な程の幻覚剤を使用した。
押収品として保管されていた薬という薬を服用した。
カンダ
このインクを初めて見たのはその時。
カンダ
だけどそれは、ある程度修復された筈だ。
カンダ
心の疵の力で。
カンダ
つまり、心の疵の力で再び壊れる事もある。
カンダ
手に力が籠もる。
カンダ
この手はエンフォーサーを掴んで居た手だっけ?
それとも、三月兎を掴んでいる方?
カンダ
ミシミシと、軋むような手応えがする。
カンダ
どっちかわからないけど、これ
カンダ
このまま壊してしまったら、気持ち良いだろうな。
GM
回る。毒が。
GM
お前を再び破壊する毒が。
スティブナイト
*カンダの心の疵「罪の悦楽」を猟奇で抉る。
エンフォーサー
*よこやり~
エンフォーサー
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
エンフォーサー
2d6+4=>7 判定(+愛) (2D6+4>=7) > 7[5,2]+4 > 11 > 成功
エンフォーサー
1d6 (1D6) > 1
エンフォーサー
*いけ!イカ!
[ エンフォーサー ] HP : 23 → 22
[ エンフォーサー ] イカエリ : 1 → 0
スティブナイト
*では-4。
スティブナイト
*ティーセットと手袋使用。
[ スティブナイト ] 子山羊皮の手袋 : 2 → 1
[ スティブナイト ] ティーセット : 2 → 1
スティブナイト
2d6+5+2+2-4=>7 判定(+猟奇) (2D6+5+2+2-4>=7) > 9[6,3]+5+2+2-4 > 14 > 成功
[ カンダ ] 罪の悦楽 : -1 → -2
[ カンダ ] 絶望侵蝕 : 0 → -2
[ カンダ ] 絶望侵蝕 : -2 → -1
[ カンダ ] 前科 : 0 → 5
[ カンダ ] 絶望 : -2 → -1
GM
*PCが状態〈絶望〉になったため、クエストNo.5が公開されます。
GM
*カンダは状態〈絶望〉になります。
スティブナイト
黒結晶が刺さる。
スティブナイト
痛覚、猜疑心、絶望、
スティブナイト
あとは?
スティブナイト
心の疵の制御を失って、そうしたら。
スティブナイト
その奥に何がある?
スティブナイト
今お前の全身を駆け巡るそれは、何?
カンダ
手に力が篭もる。
カンダ
もっと。
カンダ
もっと。
カンダ
もっと!
カンダ
ぱき、と何かが割れる音がする。
カンダ
視界が鮮やかに彩られる。
カンダ
手に滴る液体。
カンダ
それを舐める。
カンダ
「あは」
カンダ
知っている味だ。
カンダ
つまり、今自分が握りつぶしたものは……
カンダ
それはなんだ?
GM
それはもう、ものもいわない。
GM
肉袋が破裂して、生ぬるい液体が中から出てきている。
GM
ワインが混ざった血の香り。
GM
鉄の味。
カンダ
「あはははははははは!」
カンダ
悲しい。
カンダ
眼の前で一つの命が失われた事が悲しい。
それが自分の手で成された事実に押しつぶされそうだ。
カンダ
本当に悲しいんだ。
カンダ
だけど、もう誰も信じてくれないだろうな。
カンダ
じゃあ、じゃあ……どうすればいい?
カンダ
自分のような奴をどうにかするために。
カンダ
自分で自分の事を好きになれない奴らに、せめて無罪を保証してやるために、法はあるのに。
カンダ
それを掲げるのは、この世界じゃたったひとり、ここにしか居ないのに。
カンダ
こうなっちゃったよ。
カンダ
あーあ。
カンダ
もう法は守られない。
カンダ
なぁ……
カンダ
「どうすればいい……?」
エンフォーサー
エンフォーサーは……
エンフォーサー
カンダの凶行を止めるでもなく、ただ見ていた。
エンフォーサー
ため息をひとつ。
エンフォーサー
絶望にほんの少し触れた自分にすらその声の色がわかる。カンダはより深い闇の底に、自分の疵のさらに奥に落ちたのだ。
エンフォーサー
ただの殺人鬼に、犯罪者に成り果てたカンダでは、この森の救世主を殺すどころか……
エンフォーサー
手を汚すカンダに、いつものように気遣いを見せることはない。背を向けて、森の闇の中に歩いていく。
エンフォーサー
「さようなら、カンダ」
エンフォーサー
ただのエンフォーサーは。ただ執行するだけの者だから、もうカンダの法を掲げてやれはしない。
エンフォーサー
いいや、自分が法を掲げることなんてずっとなかった。
エンフォーサー
法を携えていたカンダがそうなってしまったなら。
エンフォーサー
もうこの森に法の光は届かないだろう。
エンフォーサー
エンフォーサーはカンダの元から去って行った。
カンダ
「待ってよ……」
カンダ
去りゆくエンフォーサーの背中が見えている訳ではない。
エンフォーサー
絶望するような弱い救世主は、いらない。
カンダ
視界はいまだぐちゃぐちゃで、ただ自分の手元から色んなものがぼろぼろぼろと、こぼれ落ちゆく感触だけが確かだった。
エンフォーサー
闇に溶けて消えていく白い気配だけがそう物語っているようだった。
カンダ
お前、苦しんでいたじゃないか。
カンダ
皆、苦しんでいた。
カンダ
この陽の登らない世界で、誰もがもがきのたうち回っていた。
エンフォーサー
苦しんでいた。
エンフォーサー
苦しんで、弱って、疲れ果てて、それでもなんとか立ち上がって。
エンフォーサー
でも、だから、カンダの事を支えてやれるほどに、エンフォーサーは強くはなかった。
カンダ
その苦しみに対し成せる事が何も無くても。
成そうとする事はできた。
カンダ
希望で照らす事はできなくても、照らそうとする事はできた。
エンフォーサー
エンフォーサーはそれをしなかった。
カンダ
カンダはそれがしたかった。
エンフォーサー
この昏い黒い森には、届かない光など意味がないとばかりに。
カンダ
人殺しと、己をそう苛むしかない定めの奴らに
カンダ
祀り上げられ、何とも繋がる事のできない奴らに
カンダ
欺瞞だっていい
カンダ
お前に何も問題なんてない!
カンダ
そう言ってやりたかったんだ。
カンダ
本当なんだ。
カンダ
だから
カンダ
居なくならないでくれよ……
スティブナイト
けれどそれに意味はあっただろうか?
スティブナイト
いいや、この世界に。
カンダ
心の内で何を唱えても、喪失感は留まらない。
スティブナイト
意味のあることなどひとつでもあっただろうか。
エンフォーサー
見つけられなかったものに意味はあるのか?掛けられなかった声にも?
エンフォーサー
その声を聞き届ける者が誰一人居なかったとしても?
カンダ
無いと分かっている希望には縋れない。
カンダ
そこに無いものには力がない。
カンダ
見つけられたものも。
カンダ
発せられた声も。
カンダ
何もなかった。
カンダ
だからどうにもならないんだよ!
カンダ
もうどうしようもないんだ!
カンダ
だったら!
カンダ
じゃあ!
カンダ
「……もうどこにも行けないんだったら」
カンダ
「せめて愉しませてもらえばいいじゃないか」
カンダ
ネオンカラーのインクが、視界を埋め尽くしている
GM
[ 黒結晶B ] HP : 18 → 0
GM
*ラウンド1 カンダ
GM
*状態〈絶望〉〈絶望侵蝕〉中のため、抉る疵とアイテムの指定はPKが行います。
GM
*対象はツグハ。疵は「愛の否定」。能力値は猟奇。ティーセットを使用してください。
カンダ
2d6 (2D6) > 8[6,2] > 8
GM
6 黒結晶が舞っている。避けないならば、ぶつかってあなたを傷付けようとしてくる。
GM
2 薄暗く冷えた森を歩く。どれほど歩いても黒い光景が続いている。それは不安を煽り、陰鬱な気持ちになる。
カンダ
仲間を探す。それは黒結晶の邪魔を考えなければ、そう難しい事じゃない。
カンダ
光のある方か、匂いのある方に向かえば良い。
カンダ
今向かうのは……そうだな。
カンダ
匂いのある方へ。
ツグハ
しばし歩けば、程なく目当てへ辿り着く。
ツグハ
何しろ相手も声を頼りに歩いてきているのだから、鉢合わせるのはそう遅くない。
ツグハ
「お」
カンダ
「ツグハさん」
カンダ
見かければ、穏やかな──今までにないくらい穏やかな──声量で声をかける。
ツグハ
「え、なにこわい」
カンダ
「無事だったようでなによりで……何か不思議な事でも?」
カンダ
「ああ、声が小さいですか?先程少し喉をやられてしまいましてね」
カンダ
「聞き取りづらいようでしたら申し訳なく……」
そんな口実を述べて。
ツグハ
「常にそんくらいの方が助かるけどね」
カンダ
いつもより一歩、二歩、三歩、近く。
カンダ
間近に立って話しかける。
ツグハ
一歩、二歩、三歩、後ずさる。
ツグハ
元より桁外れの声量から距離を取る程度の習慣はついていた。
カンダ
「────つもより細やかな声量ですので、聞き取り辛いかと思ったのですが」
カンダ
実際、それは本当に、一般的な声量よりも更に小さい。
カンダ
普段どおりの距離感では半分も聞き取れはしないだろう。ましてやマスク越しだ。
ツグハ
「そんな配慮が出来るひとならこれまで苦労せずに済んだんだけどな~」
カンダ
「このカンダ、仲間への配慮を欠かした事はありませんよ!」
カンダ
一歩、二歩、三歩を改めて詰める。
カンダ
今度は黒結晶を背に負わせるように。
ツグハ
「配慮を欠かさない奴が」
ツグハ
「はぐれた状態で絨毯爆撃とかするわけないジャン」
カンダ
この森はどこでも黒結晶が舞っている。
無理にとおのこうとすればその欠片が背中を傷つける。
ツグハ
足元を蔦が這う。
カンダ
「信頼故ですね!」
カンダ
「貴方は硬い。それに立ち回りも賢い」
カンダ
「余波程度ではびくともせず、中心に巻き込まれそうな所にはそもそも陣取らないでしょう」
カンダ
「だから……おや」
カンダ
「こんなに近くで顔を見るのは初めてではないですか?」
ツグハ
「そうかもね」
ツグハ
「マスクを外した所と同じくらい、見たことが無いかも」
カンダ
「ならば、これで」 
カンダ
「両方見た事になりますね?」
カンダ
息をつく音。
ツグハ
「笑うんだ」
ツグハ
「始めて見た」
カンダ
「意外と表情豊かなんですよ」
カンダ
「覚えて帰って下さいね」
ツグハ
「あんたは帰らないわけ?」
カンダ
「仕事が終わったら帰りますよ」
ツグハ
「じゃあ、仕事しなきゃ」
カンダ
「でも休息は」
カンダ
もう一歩。
カンダ
ツグハの背後に迫る黒結晶に、手を伸ばせば触れられる距離まで。
カンダ
「必要でしょう?」
カンダ
そして手が触れる。
カンダ
黒結晶に?
カンダ
ツグハに?
カンダ
両方に。
ツグハ
「あ~は~……」
ツグハ
「カンダぁ~……」
カンダ
さて。
ツグハ
「狂ったかあ~?」
カンダ
愛は実在するか否か?
カンダ
数多の詩人が挑んだ難題だが、答えはYESだ。
カンダ
愛はある。
カンダ
明確な物質として存在する。
カンダ
ノルアドレナリン、オキシトシン、パソプレシン
カンダ
その他体温や心拍に影響するものを数種ブレンド。
カンダ
それを、”触れた相手の脳内に直接発生させる力”を
カンダ
カンダは持っている。
カンダ
薬事法違反だって罪、覚醒剤の服用だって罪。
だから勿論犯した事がある。
カンダ
君も犯そうよ。
カンダ
愛って罪の味だぜ。
カンダ
「さて……どう思う?」
カンダ
「今、どっちが狂っていると思う?」
ツグハ
「どうだろうね」
カンダ
私の考えでは、答えは両方。
カンダ
だって同じ物質”愛”を、自分にも発生させているからね!
カンダ
合わせた瞳が煌めいて見える。
カンダ
頬が紅潮し、心拍が早まる。
カンダ
体液の分泌を感じる。
カンダ
今どんな気持ち?って聞くまでもない。
カンダ
同じ気持だろ?
ツグハ
本当に?
ツグハ
人がそれを愛と呼ぶのなら。
ツグハ
きっととうの昔に知っている。
ツグハ
けどさ。
ツグハ
愛が狂気の証なのだとするならば、
ツグハ
世の中狂人ばかりじゃないか。
ツグハ
神様だって狂ってる。
カンダ
誰だって狂ってる。それか狂いたいのさ。
カンダ
だって狂った方が気持ち良いんだぜ。
カンダ
みんながみんな、乱痴気騒ぎしてるならさ。
一人ぼっち酒を飲まずに、つまらなさそうな顔する意味があるかい?
ツグハ
本当に?みんながそう?
ツグハ
そう思いたがってるだけじゃないの?
ツグハ
自分だけが唯一人、狂っていたら怖いから。
カンダ
本当に、みんなそうさ。
カンダ
ただ、狂ってないように見えるやつはいる。
そいつらは、まともになる事を諦めてない。
カンダ
自分の狂気に名前を付けて整理整頓、真面目で必死なやつらだよ。
それを馬鹿にするなんてとんでもない!
尊重したいと思ってる。
カンダ
「でも、お前はそうじゃないだろう?」
カンダ
何時からが思考だった?
何時からが会話だった?
カンダ
区別なんてつかないはずだ。
カンダ
そうなるに十分な量を服用させた。
カンダ
互いの色が漏出して、混じり合っているのが見えるだろう。 
カンダ
あいつの名前を知ってるか?幻覚っていうんだ。
気の良い奴らだぜ。ハァイ。
カンダ
今、お前の身体がどんな状態で。
今、お前の身体がどんな体勢なのか。
気づいてる?
カンダ
気づいてたら褒めてやるよ。 すごーい!
ツグハ
じゃあ、シンキングタイムといこうか。
ツグハ
あんたの手は私の背中と身体。
ツグハ
私の手は?
ツグハ
多分虚空をかいている。
ツグハ
でも、そのまま後ろに倒れ込んだら、今頃は水晶にグッサリだからさ。
ツグハ
ぐるぐるぐるぐる、頭と一緒に、容れ物だって回ってた。
カンダ
ぴんぽーん!ぶっぶー。
カンダ
半分正解。半分間違い。
カンダ
片方は合ってて、たしかに虚空と握手してる。
惜しむらくは、手が2本あった事かな。
カンダ
もう片方は……
カンダ
普段からそんなやり方してんの?
カンダ
いや別に、人のやり方に何も言わないけどさ。
カンダ
面白いなって思っただけさ。
ツグハ
あんま明け透けに観察するなよ。
ツグハ
恥ずかしいだろ。
ツグハ
むしろ、あんたは見られて平気なの?
カンダ
よく勘違いされるけど、別に恥ずかしがりじゃないんだよ。
カンダ
ただ見せないで居たほうが、何かと面倒事が少ないでしょ?
カンダ
そっちだって割りと気にしてたじゃん。
カンダ
あっちか、こっちか、あるか、ないかとか、そういう事をさ!
ツグハ
そうそう、案外気にしいなんだよ。
ツグハ
だから他人の愛を信ずることも出来ないし。
ツグハ
銀貨30枚で末裔を買って。
ツグハ
主の愛を台無しにし続けている。
ツグハ
”人の子を裏切るその者は不幸だ。”
ツグハ
”生まれなかった方が、その者のためによかった。”
ツグハ
人の期待(あい)を裏切るのが怖いんだよ。
ツグハ
だって、不幸になんてなりたくないだろ。
カンダ
そういうところもかわいいよ。
カンダ
はは、怒った?
カンダ
ごめんごめん、エンドルフィン増やすから許してよ。
ツグハ
許すも許さないも無いでしょう。
ツグハ
だって、誰でもいいんじゃない?
カンダ
そう見える?
カンダ
真面目な話(そんなものは存在しないが……)君の思想はけっこう好みだ。
カンダ
見た目もわりと気に入ってる。中身はまあまあ。
カンダ
誰でもよくはない、って言うには十分じゃない?
ツグハ
“本当に?”
ツグハ
言ったじゃん。私は気にしいなんだよ。
ツグハ
いつでもそう。いつだってそう。
カンダ
本当さ。だって嘘が付けるような状態じゃないだろ?
カンダ
お互いにね。
カンダ
ただそうだね。本当の本音で、君のいちばん好きな所を言うなら。
カンダ
今、自分の一番近くにいること。
カンダ
それが何より大事だろ?
ツグハ
そうかな。
ツグハ
そうかも。
カンダ
ほら、おかげでこうして手が届く。
カンダ
今どこ触ったか分かる?
カンダ
分かんなくてもいいか。
カンダ
またちょっと増やしちゃお。
ツグハ
『誰かに必要とされるのって嬉しいものよ』
ツグハ
『それがどんなに些細なことだろうと』
ツグハ
誰かの声が脳裏に木霊する。
ツグハ
だから、そう。いつも私は、
ツグハ
なるだけ使いやすい道具であるようにしてきたし、
ツグハ
なるべく綺麗な装飾品になるようにもしてきた。
ツグハ
誰かに必要としてもらえればそれでよかったんだから。
ツグハ
愛は見返り。
ツグハ
契約と対価。
ツグハ
需要と供給。
ツグハ
ずっとそういうものであったはず。
ツグハ
なんだけど。
ツグハ
『今、自分の一番近くにいること』
ツグハ
本当に?
ツグハ
それだけでいいの?
カンダ
へー、ふーん、そんな思い出がねぇ。
カンダ
おっと、覗き見した訳じゃない。言ったじゃん、隠し事なんて出来ない状態だって。
カンダ
”見せてきた”のはそっちだぜ?
カンダ
それで、答えね。と……いってもねぇ。
カンダ
答えるまでもないんじゃないかって思うんだけど。
カンダ
だってさ、必要としてもらいたかったって事は、君だって何か必要としたものがあったんでしょ。
カンダ
その相手に求めた事はさ。
カンダ
『今、自分の一番近くにいること』
カンダ
それ以上に何かあった?
ツグハ
 
ツグハ
「    」
ツグハ
「……げぇっっ…………ぐ、が、ふ、ごふ、ぐぇ……」
ツグハ
血の匂いがする。
ツグハ
身体の中から。
ツグハ
花と血の入り混じった、この世で一番嫌な匂いが。
カンダ
ははは。くっさ。
カンダ
あ、ごめんごめん。でも君だってそう思ってるじゃん。
カンダ
同じものを嗅いで、同じことを思ってるんだ、許してよ。
カンダ
そして、同じことを考えてる。
カンダ
同じものを触ってる。
カンダ
今、君の一番近くにいるのは。
カンダ
私だぜ。
カンダ
だから、ほら。
カンダ
「君も同じ結論を出しなよ」
カンダ
*「愛の否定」を猟奇で抉る。クエスト選択は2
エンフォーサー
*横槍
エンフォーサー
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
エンフォーサー
2d6+4=>7 判定(+愛) (2D6+4>=7) > 2[1,1]+4 > 6 > 失敗
エンフォーサー
1d6 (1D6) > 2
[ エンフォーサー ] HP : 22 → 20
[ エンフォーサー ] HP : 20 → 19
カンダ
*はい、ティーセットを使用します
カンダ
2d6+4+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+4+2>=7) > 3[1,2]+4+2 > 9 > 成功
GM
*カンダは判定に成功。
GM
*では、まずクエスト2達成。
GM
*カンダは価値15までの宝物か聖遺物を獲得してください。
カンダ
*アリスの証言 を選択
[ カンダ ] ティーセット : 1 → 0
[ ツグハ ] 愛の否定 : -1 → -2
[ ツグハ ] 前科 : 0 → 5
[ ツグハ ] 絶望 : 0 → -1
GM
*ツグハは状態〈絶望〉になります。
[ 黒結晶A ] HP : 22 → 0
GM
カンダ
ドーパミン。それは報酬を与える物質。
カンダ
だからそれを増量。
カンダ
ドーパミン。ドーパミン。ドーパミン。
カンダ
こっそり盛るような事はしないぜ。
だって聞こえてるだろ?
カンダ
お加減如何?
ツグハ
最…………
ツグハ
どっちかな。わかんないや。
カンダ
両方っていうのはどう?
ツグハ
アリかも。
ツグハ
じゃあ、最高で最悪。
カンダ
ダサめの詩みたいで素敵。
ツグハ
愛なんてそんなもんでしょ。
カンダ
いいのかい?
カンダ
「これを愛って名付けてさ」
ツグハ
いいんじゃない?
ツグハ
「どうせ、二度と見ることもないのだし」
カンダ
「おかわりは不要?」
ツグハ
「もうたくさん」
ツグハ
「あんまりしつこい人は嫌われますよ」
カンダ
「重犯はボーナスが付くんだ」 
ツグハ
「それなら、連続殺人が一番いいでしょ」
カンダ
「もうやった」
ツグハ
「あはは」
ツグハ
「救いようがないね」
カンダ
「だからここにいるのさ」
カンダ
ここ。この場所。この世界。この森。
カンダ
そしてこいつの隣に。
ツグハ
「違いない」
ツグハ
だからここにいる。
ツグハ
きっと、あの子も。
カンダ
「……ところで、エンフォーサーを知らない?」
カンダ
「見当たらなくてさ」
カンダ
「あっちかな?それともこっち?」
ツグハ
「あんたを追っかけてったのを見たっきり」
カンダ
何かを探すように、インクが空中をうろつく。
けれどそれは、普通ならば見えない。
カンダ
だってそれは幻覚のインク。それが見えるのだとしたら。
カンダ
頭がパーになったやつだけ。
ツグハ
「うっと」
ツグハ
「でもま、お似合いかもね」
ツグハ
「なにしろ黒板だらけだもの」
カンダ
「落書きしてやろうか」
ツグハ
「散々したじゃん」
カンダ
「したねぇ」
カンダ
「たぶん、君が思ったよりもしてるぜ」
カンダ
「それはそれとして、悪戯心は止まらないのさ」
カンダ
「相合い傘書いちゃうか。片方にエンフォーサーの名前書いてさ」
カンダ
「もう片方何書く?」
ツグハ
「スティブナイトでも書いとけば?」
カンダ
「書いちゃおーっと」
カンダ
べちゃり。べちゃり。
幻覚のインクが黒水晶を汚す。
カンダ
汚く描かれた相合い傘を、見える人物は限られている。
カンダ
それでもゲラゲラ笑うには十分だった。
ツグハ
「げほ、げほ」
ツグハ
黒い花弁が宙を舞う。
ツグハ
それは、あるはずのない風に乗って。
ツグハ
血肉と化した兎の周りを取り囲むように。
ツグハ
それは、花葬なんて麗しい物では無かったけれど。
ツグハ
醜い紅を覆い隠すくらいの役には立っただろう。
ツグハ
煌びやかに輝く蛍光色は、現実には無い虚構の色。
ツグハ
絶望の森は、只々、全てを黒に染めていくのみ。
GM
もとから黒しかない。ここには。
GM
何が見えるって?
GM
俺には何も。
GM
どこまでも現実が広がっているように見える。
GM
それが見える能力のことを、人は「愛」って呼ぶんだろ?
GM
GM
1ラウンド目のPC全員の行動が終了しました。
GM
お茶会MOD「勇断」があります。
GM
使用に合意しますか?
カンダ
しなーい。
エンフォーサー
*合意……しませ~ん!
ツグハ
どっちでもいいでーす。
GM
では続行します。