お茶会2
ルキオン
ふらつく足取りで、草太のところへと戻る。
鈴木草太
その言葉を聞いて。
今あんりが居ないことにつながって、激昂しそうになる。
ルキオン
「……そして、どうやら君も、同じ認識だと思った」
ルキオン
「なら、共闘は諦めるしかない。僕らもまた、彼女を信用できる状態になかった」
ルキオン
「……次は、どうやって彼女を殺さずに無力化できるかを考えた」
ルキオン
「けど……どうやっても、君は止めるだろうと思った。彼女を前にしたときに、君の判断が鈍るかもしれないとも、あるいは君が『適切な』判断ができてしまったときに、君の異能が鈍るかとも」
ルキオン
「だから……言葉で、一番敏感なところを抉った」
鈴木草太
理由は理解できる。判断に納得がいく部分もある。…しかし、それは…。
ルキオン
「助けるつもりで全力を尽くすけど……もう、仲間には戻れないかもしれない……」
鈴木草太
非難はしない。任せたのは自分なのだから。
鈴木草太
代わりに、ルキオンの行動が最悪を広げないように…あんりの無事を確認しようとする。
ルキオン
「彼女を癒せるのは君だけだ。それを押し付ける形になってしまって申し訳ないと思う」
ルキオン
「でも……今じゃない。今はどうか、彼女を助けないでくれ。僕たちのためにだ」
鈴木草太
考えて。
どれが一番自分たちが全員生きて帰れる可能性があるかを考えて。
鈴木草太
「スティブナイトを見つけて、決着を急ごう」
鈴木草太
「オレらがやつを追えば、あんりには手出しができなくなる」
鈴木草太
「決して離れないでくれ。…あんりのようになるかもしれない」
スティブナイト
「じゃあ、アレは本当のことなんだ」
スティブナイト
「俺とおまえ、案外似た者同士かもね」
スティブナイト
「さっきのお前の発言、聞いたら怒るだろうなあ」草太の方をちらりと見て。
スティブナイト
「ほんと酷いこと言うなぁって思って」
鈴木草太
言葉には乗らず、注意深くやつの姿を見る。
ルキオン
「……その通りだ。後で全てを話してもいい。詰られる覚悟もできている」
ルキオン
「だが、いま耳を貸しても、こちらの精神が攪乱されるだけだ」
ルキオン
剣を払う。水の斬撃がスティブナイトの元へと飛び、結晶に阻まれる。
スティブナイト
「って、自分の都合がいいように言いくるめてるのかも?」
鈴木草太
合わせるように斬撃が振るわれる。
スティブナイトが居た場所の結晶が砕け散った。
鈴木草太
お前を倒して、あんりを連れて。
皆で帰る。
スティブナイト
小柄な少女の見た目からは想像もつかないような力が結晶になって身を守る。
スティブナイト
言葉と同時に、数多の黒結晶が地面から伸び、浮遊し、
スティブナイト
今までの攻撃は遊びだったとでも言うように。
スティブナイト
明確な殺意をもってお前たちに襲いかかる。
スティブナイト
地面が揺れ動き、結晶が隆起して、足場を崩す。
ルキオン
はるかに密度を増した攻撃。それらを振り切って。
鈴木草太
初撃を庇う余裕はない。
自らに飛ぶ結晶を打ち払いながら、躍動する地面を跳ね駆けてルキオンとの連携を取り直すべく動く。
ルキオン
まっすぐとスティブナイトの元へと向かう。
ルキオン
それは、彼女の言葉を塞ぎたかったがゆえか。
ルキオン
いつもならできたはずの、作戦の修正ができなかった。連携が崩れる。
スティブナイト
指を鳴らせば、お前たちに襲いかかっていた結晶が一瞬で粉塵になる。
鈴木草太
「凍らせろ!!!!封じて足場を作れ!!!」
鈴木草太
空中で踏み台にし、翔けるために指示を出す。
ルキオン
それに気づいた時には、すでに剣はスティブナイトの喉元目掛けて振るわれていた。
鈴木草太
少しでも攻撃の範囲外にでなければならない。
ルキオン
足場が崩れ、揺らぐ。呪文の構築は間に合わず。
スティブナイト
息を吸い込めば肺に結晶の棘が刺さる。
ルキオン
ルキオンは、痛みを感じない。だがその結晶は、ルキオンの体、その芯をしっかりと貫いていた。
ルキオン
黒い結晶が育つ。それは心臓の位置を貫いていた。
スティブナイト
*ルキオンの心の疵「アウト・カウント」を猟奇で抉る。
鈴木草太
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
鈴木草太
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 9[4,5]+3 > 12 > 成功
[ 鈴木草太 ] HP : 13 → 12
スティブナイト
2d6+5+2-3=>7 判定(+猟奇) (2D6+5+2-3>=7) > 9[5,4]+5+2-3 > 13 > 成功
スティブナイト
「この国の元になったおとぎ話を知ってる?」
スティブナイト
「"女王様を前にして、アリスは言いました"」
スティブナイト
アリスが元の世界に戻るおまじない。
スティブナイト
「"『ただのトランプの束のくせに!』"」
ルキオン
「ユグドラ大陸には、そんな御伽噺など存在しない……!」
鈴木草太
何をしようとしているのかは分からない。
けれど、このままではまずいことが起きる…と、焦燥のままにナイフ片手にスティブナイトへと迫る。
鈴木草太
ただ、外套の一部を切り裂いただけに終わった。
ルキオン
ルキオンという存在は、跡形もなくそうして消え失せて。
ルキオン
そこに居たはずの場所に、座っていたのは。
???
ヘッドセットを着用して、Tシャツを着た女。
???
ゆっくりと、ヘッドセットを外し、周囲を見回して。
鈴木草太
武器を落としそうになりながら、姿の変わった仲間を見る。
???
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああアァァァ!!!」
???
「ログイン!ログイン!ログイン!ログイン!できない、どうやって!そんな!」
スティブナイト
「"御苑あんりは、アンリミテッドにくっついた、ノイズの情報だ"」
「"アンリミテッドに徹する事ができればよかったのにね"」
スティブナイト
「ルキオンにくっついた、ノイズの情報」
???
「黒川……黒川流姫(くろかわるき)……です……」
鈴木草太
「…………オレと、同じ日本人だったのか…?」
黒川流姫
黒川流姫は、世界累計登録者数2000万突破、韓国発のMMORPG「ユグドラウルティマファンタジア・オンライン」=通称YUPO(ゆぽ)の廃人プレイヤーである。
黒川流姫
本当の父親は知らない。父を名乗る存在がころころと変わる家庭であったが、おかげで金銭には困らなかった。そんな母の生き方を学び、男に媚びて生きてきた。
黒川流姫
しかし、体で繋ぎ止めようとしても、友も親も教師も誰も愛してはくれなかった。社会との溝は深まるばかり。安く見られ、弱く見られ、蔑まれ、軽んじられ、やがて高校を中退し引きこもりとなり、そのゲームと出会う。
黒川流姫
当時、日本語版がローカライズされ勢いに乗っていたRPG「ユグドラウルティマファンタジア・オンライン」。その広大かつ自由な世界観に彼女はすぐに引き込まれた。
黒川流姫
こうして第二の人生が始まった。彼女は「Lukion_Crawford」として新たな人間関係の構築を試みた。
黒川流姫
しかし本質は変わらなかった。男に対しては媚びる付き合い方しか知らない。男が恐ろしくて、けれど意識せずにはおれず、男のアバターで男へと近づいた。そうして男同士の友情のようなものに触れるのが心地よかったが、結局いつも耐えきれずにその身で男同士の関係を破壊してしまう。
黒川流姫
第二の人生も失敗した。人間関係の失敗を繰り返し繰り返し、「Lukion_Crawford」PLの名ももはや地に堕ちていた。つぎ込んだ金も時間も計り知れず。自身のアイデンティティといってもいいそれは、もはや汚れ果てても手放すこともできず。
黒川流姫
「このアカウントを残したまま、人間関係がリセットできたらいいのに」──そう願った時、彼女の手には招待状が握られていた。
黒川流姫
「草太……僕は、ずっと草太を騙してたんだ……」
黒川流姫
それが取り繕われた言葉であることぐらい分かる。
黒川流姫
自分の動揺を隠して、こちらを落ち着けるために放たれた言葉だ。
黒川流姫
ルキオンの殻に隠れて、痛みも感じない電脳世界から異能でデスゲームに参加して、全く違う性格をロールプレイし続けてきた人間だけれど。
黒川流姫
それでも、僕は僕だから、わかっちゃうんだよ、草太。
黒川流姫
その異能は、アカウントは失われた。しかし、まだ六ペンスコインは手元にある。
鈴木草太
それまでの、頼りがいのあったルキオンの姿は今唐突に失われて。
鈴木草太
やることは、かなり変わってしまったけれど。
黒川流姫
「補助だって……危険な事に変わりないじゃないか……」
鈴木草太
困惑をしながら縋りついた希望は、その言葉で打ち砕かれて。
黒川流姫
「いつも、いつもいつもいつも僕は見立てが甘いんだ。何か悪い事が起こるかもしれないって知ってても」
黒川流姫
「自分はきっと大丈夫って、どこか他人事で。ダメになってから気付くんだよ……」
黒川流姫
「今、わかっちゃったんだ。死んだら、死ぬんだ……」
鈴木草太
「…そうだよ。そして戦わないと生きて出られないんだ」
黒川流姫
「魔法なんて、もう使えないかもしれない」
鈴木草太
「使ってみよう。なんでもいいから。できそうなことを」
鈴木草太
こんなやり取りをする余裕なんてないのに。
スティブナイト
「"僕は、魔法少女のアンリミテッドに憧れていた"」
スティブナイト
「"だから、初めて『御苑あんり』を見た時は、ひどく、ガッカリしたものだ"」
黒川流姫
よく知っている。ああ、よく知っているさ。
黒川流姫
「ルキオンなんて奴はな……居ねえんだよ……」
黒川流姫
キャラクターはロストした。もう復旧はできない。
黒川流姫
「戻らないんだ。二度と。そういう疵だから、わかるんだ」
黒川流姫
「あれは、僕がネトゲで使ってたアカウントだ」
鈴木草太
ルキオンが、あんりへと言っていたという言葉が。
鈴木草太
そのまま。同じ色合いで視線に混じって向けられる。
スティブナイト
「"覆い隠すような恥ずべき人格が、愛されるわけないだろう"」
黒川流姫
「見てほしいよ。流姫って呼んでほしいよ……」
黒川流姫
「なあ、仲間って言うなら、できるよな、草太……僕、信頼できるんだろ……?」
鈴木草太
その質問に、かすれた息を飲み込んで。
乾いた口の中を僅か濡らして。
鈴木草太
そして懐から閃光弾を取り出せば、スティブナイトへと向けて放って
鈴木草太
閃光に紛れて流姫へと駆けより、その身を抱きかかえる。
「ああ。だが今はここから離れよう、流姫」
鈴木草太
自分自身にも言い聞かせるようにしながらその身を抱いて、今はただスティブナイトの元から離れていく。
黒川流姫
嘘をつかないように、相手を傷つけない綺麗な言葉で、その場をやり過ごすのが上手いよね。
鈴木草太
距離が離れたら、流姫を守るように。様子を伺うようにしながら暗い森の中を歩いて行く。
鈴木草太
生きて出るために、信用をしてもらうために。
鈴木草太
これまでと同じ信頼を向けられるかどうかは、今の草太には分からなかった。
[ 黒川流姫 ] 絶望浸蝕 : 0 → -1
[ 黒川流姫 ] ア■■■カウント : 0 → -1
[ スティブナイト ] 子山羊皮の手袋 : 1 → 0
GM
3.小屋。黒結晶に覆われていて、その重さで半分倒壊している。
GM
1.黒結晶に覆われた死体を見つける。死体は干からび、表情は絶望に満ちている。
GM
堕落の国では一般的な大きさか、それよりやや小さめの小屋。
GM
物置があったようで、黒結晶に覆われて壊れかけた椅子や、うっすらと埃をかぶったベッドが置かれている。
GM
天井は半分ほど落下していて、見上げれば黒い木々があって。
黒川流姫
先ほどよりは、わずかに落ち着いた様子で。
鈴木草太
その様子を見て、気遣うように声をかける。
黒川流姫
「……堕落の国からは、帰れないんだよな……」
鈴木草太
返事を色々と考えて、返せたのはそれだけ。
鈴木草太
あまりにも。あまりにもいろいろなことが同時に起こりすぎている。
鈴木草太
流姫の様子を見ながら、あんりのことも考えなければならない。
黒川流姫
「あんりはパニックになって、公爵家のサポートは台無しになって、そっからパーティーもバラバラになって」
黒川流姫
「SRルキオンさんは、N以下の知らないゴミみたいな女になっちゃった」
鈴木草太
冗談なのか自虐なのか。
…取り敢えず、友人として突っ込む。
黒川流姫
「ほんとは色々通じてたんだけど、知らないフリしてたせいでネタ拾えなかったんだよ」
鈴木草太
「…そう聞くとなんかじわじわしてくるな……」
鈴木草太
こんな状況なのに、少しだけ笑いそうになった。
黒川流姫
「『プロフ帳……よくわからないが、こういう感じか!キリッ!』」
黒川流姫
「もう好きなだけ笑ってくれよ。せめてそっちの方が救われる」
鈴木草太
そう断ると。馬鹿にするでもなく、ただ…これまでの旅にそんな面白いことがあったのか…というように笑った。
黒川流姫
「草太、僕のことはまだよく知らないよね」
鈴木草太
「印象的には大分初めましてだよ。
…でも、話してるうちにルキオンらしさも感じるんだろうな…って思う」
黒川流姫
「家でずっとゲームやってる27歳引きこもりニートだよ。得意なのは屋内でできる遊び全般」
鈴木草太
「あ~~~~~」
プロフ帳を思い出して、あ~~という声が出た。
黒川流姫
「……無事帰れたら、僕のことは何でも話すよ」
黒川流姫
「言えなくて隠してたこと、色々言いたくて、いっぱい溜まってるんだ」
鈴木草太
「…だから無事に帰ろう。
森から出られた救世主は何人かいるし、支援もまだいくらか用意されている。…きっと大丈夫さ」
鈴木草太
入ってくる姿に無事か…?と聞こうとして。
御苑あんり
胸に輝いていたジュエルは濁って割れて、
御苑あんり
一目で、もうあなたたちの知る御苑あんりではないと分かる姿。
鈴木草太
無事を問おうとした声は。その姿を見ただけで消え失せた。
黒川流姫
草太の後ろに半分身を隠すようにして、彼の裾を掴む。
御苑あんり
「言うんですね。ルキオンにくっついたノイズさん?」
御苑あんり
「私の心をぐちゃぐちゃにして、置き去りにして……」
御苑あんり
「……そうして草太さんと二人きりになれて嬉しかったですか?」
黒川流姫
「助けるつもりだった……本当だ……あの時だって、そう言っただろ……っ」
黒川流姫
「ただ、今は、君の状態が良くないから、ちょっと休んでてもらおうと……しただけだ」
御苑あんり
「あなたの何を信じたらいいんですか?」
御苑あんり
「他のことが嘘でないと、どうやって証明できるの?」
鈴木草太
「…待った。それは、皆がそうだ。嘘をつかないとこの世界では生きていけないことだって…ある」
御苑あんり
「同性の頼れる友人として、信頼していたんでしょう?」
御苑あんり
「『黒川流姫だから』じゃなくて『ルキオンだから』話したことがたくさんあったでしょう?」
鈴木草太
そう言われて。そこは、否定をすることは出来なかった。
御苑あんり
「同性で、大人で、自分の知らない世界を知っていて」
御苑あんり
「そこで縮こまっている女にルキオンさんの面影はある?」
黒川流姫
手が震えている。体が冷たくなっている。鼓動が、中から強く殴りつけてくる。
黒川流姫
怖い。人から、こんなに、負の感情を向けられることが。
御苑あんり
「無理でしょう? その人はルキオンさんじゃないんだもの!」
黒川流姫
いくら荒く呼吸をしても息はずっと苦しいままで、頭はぐわんぐわんと鳴り響き。
黒川流姫
それでも、言葉はしっかりと芯まで突き刺さる。
御苑あんり
「どうしたの黒川流姫さん! ルキオンさんの時はあんなにいつでも冷静だったのに!」
鈴木草太
「……全く同じようにはムリだと思う。
…でも、それでも頼りに思える筈だ」
御苑あんり
「頼りにできる? 今もあなたの後ろに隠れているだけのその女を?」
御苑あんり
「役立たず……いえ、役立たず以下の重荷ですよね」
黒川流姫
すり抜けてしまいそうで怖い。今は彼が、彼だけが頼りで。
黒川流姫
だって、僕は。彼女に何も言い返せないんだ。
御苑あんり
彼女の言われたくないこと。何を言われて傷つくか。
鈴木草太
「…ルキオンの…流姫の案でピンチを逃れられたことだって何度もある。見た目や能力が変わったとしても、そこは頼れるとオレは思うよ…」
御苑あんり
「魔法が使えなくても頭の中身は一緒なんでしょう?」
御苑あんり
「あなたがルキオンにくっついたノイズじゃないなら、できるでしょう?」
御苑あんり
「そんな無様で意味のない声を漏らしたりしませんでした」
鈴木草太
「…待った。そんな詰め方をしたら出る案だって出なくなっちゃうよ」
鈴木草太
「オレたちは、仲間で。だから…すぐに出ない時もあって…そんな時は一緒に考えればいい」
御苑あんり
「今が、そんな悠長なことを言っている余裕があるように思えるんですね」
鈴木草太
分かっている。自分が状況に対して支離滅裂なことを言っているということは。
鈴木草太
だが、ここで流姫の心までやられたら…それこそ終わりなんだ。
鈴木草太
自分のそんな心を見透かすようなつぶやきが、草太の胸を抉った。
御苑あんり
「ここで二人で楽しくおしゃべりできるくらいですもんね」
鈴木草太
「…あいつと戦うには、今の流姫は心が乱れていたから…どうにか落ち着いて欲しかった」
御苑あんり
「ルキオンさん、どこに行っちゃったんだろう」
鈴木草太
「…そうして落ち着いたなら2人で戦いを挑み直すか退路を築いて、あんりを連れて帰るつもりだった」
鈴木草太
それは自分が後ろに隠そうが流姫へと素通りしていく。
黒川流姫
「最……居……いよ……ルキ……奴は……」
御苑あんり
「最初からいない人を信用して、心を開いて」
御苑あんり
「あなたが嘘をつかなければ、草太さんが困ることもなかったのに」
御苑あんり
「草太さんに求められているのは『ルキオンの能力』で」
御苑あんり
「あなたはルキオンが発揮していた能力を振るうことを求められている」
黒川流姫
「草太が頼ってくれるのは、君じゃなくて、僕だ」
御苑あんり
「怯えて後ろに隠れて、頼られているですって?」
黒川流姫
「何だ、もう自分は頼ってもらえないからって!そうやって難癖つけるんだ!」
御苑あんり
「そしたら、中からルキオンさんが出てくるかもしれないわよ?」
御苑あんり
*黒川流姫の「ア■■■カウント」を愛で抉ります。
鈴木草太
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
鈴木草太
2d6+4=>7 判定(+才覚) (2D6+4>=7) > 8[6,2]+4 > 12 > 成功
[ 鈴木草太 ] HP : 12 → 11
御苑あんり
2d6+4-6=>7 判定(+愛) (2D6+4-6>=7) > 8[4,4]+4-6 > 6 > 失敗
鈴木草太
「…オレはあんりとこれからもまだ一緒に居たい」
御苑あんり
流姫の胸を貫くはずだった手は、草太を傷つけている。
鈴木草太
「違う!!!!!あんりは結晶の影響を受けているだけだ!!!!!」
鈴木草太
「オレは、あんりのためにも今止めたんだ」
御苑あんり
「結晶に侵された救世主がどうなるか、知っているでしょう」
鈴木草太
「…本当だよ。そしてオレのためでもある」
鈴木草太
「…諦めたくないから、取り返しがつかないことはさせられない」
鈴木草太
振り払われて、絶望したあんりをつなぎとめるための弁明の言葉を考えて。
鈴木草太
…けれど、何を言っても。言い訳にすらならない。
御苑あんり
「……私を抱きしめてくれたのは、あの人だけだもの」
黒川流姫
引き剥がして振り払えば、追いかける事もできる。
鈴木草太
蒼白な顔で振り向いて、離してくれ…と懇願する。
黒川流姫
少し遅れて言葉を飲み込んで、はっと顔を上げる。
鈴木草太
「ダメだ。見失う。ここで隠れていてくれ。必ず戻るから」
黒川流姫
「まっ、待って!お願い!」小さな部屋、静かな小屋に、叫び声が響く。
鈴木草太
分かっている。
受け止めた傷からはまだ血が流れ落ちている。
黒川流姫
「ずっと、ずっと騙しててごめん。嘘ついてごめん。ガッカリさせてごめん。こんな人間でごめん」
鈴木草太
あんりを見捨てないために、流姫を見捨てるのか?
黒川流姫
「……僕を殺そうとする相手のところに、僕を連れて行くの……?」
黒川流姫
どのみち、まともに立てるような足にも見えない。
鈴木草太
「じゃあどうしたらいい…?森の外へどうにか逃して、オレはそれからあんりを探しに行けば良いのか…?」
黒川流姫
「今っ、ど、どの……どこにいるのか、わからない」
黒川流姫
「あんな……あんりが、あんなこと言って」
黒川流姫
「あっち側につくなら、少なくとも、あんりが狙われたりとか……そういうのは、ないじゃん」
鈴木草太
そんな問答をしている間に、既にあんりの姿は見えなくなっていて。
鈴木草太
…”今から探しても見つけられないだろう。”
そんな言葉が脳裏を掠めて。
鈴木草太
その僅かな言葉が。
天秤を流姫へと傾かせた。
鈴木草太
「…だけど、落ち着いたらあんりを連れて帰るのに協力してくれ」
鈴木草太
…その言葉は、薄ら寒い贖いの言葉にしか聴こえなかった。
黒川流姫
荒い呼吸と鼻をすする音だけが聴こえる部屋。
黒川流姫
握った手は離さない。時間をいたずらに潰して、ようやく口を開く。
黒川流姫
「動かしてた時の感覚は……tps視点みたいな感じでさ……」
黒川流姫
「自分が、直接中に入ってたわけじゃないんだ」
黒川流姫
「画面の中のやつが斬りかかってきても怖くないし、攻撃が当たるとダメージ判定は出るけど、プレイしてる僕は痛くもないし……」
鈴木草太
「…オレも、初めて襲われた時は怖かった」
黒川流姫
「……人生で、あんなに人に悪意を向けられた事、なかった」
黒川流姫
「その初めてがあんりで……僕の人生で、一番怖い相手があんりになって……」
黒川流姫
「……本当に草太は、僕たちが元に戻れると思うの……?」
鈴木草太
思わない。
一瞬出かかった言葉を飲み込んで。
鈴木草太
「…できればあいつを、スティブナイトを倒したい。
…それが本来の目的だし、倒せば森から出ることも出来る」
鈴木草太
「…でも、流姫にムリをさせられないとも思ってる。どうしても駄目そうなら、逃してやりたい」
黒川流姫
「草太だけで何とかなるって、思ってるの?」
鈴木草太
死に場所を求めているのかもしれない。
もしかしたら。
鈴木草太
心の疵が。ここまで皆に犠牲を払わせて、あんりを傷つけて。今更それを選ぶことなんて、できようがない。
黒川流姫
服越しでも体は冷え切っていて、小刻みに震えている。
黒川流姫
髪からふわりと漂うローズのフレバーは、嗅いだことのないものだが、どこか懐かしい。
黒川流姫
元の世界にはありふれていたもの。今この世界ではとても珍しいもの。シャンプーの香りだった。
鈴木草太
家を思い出させる香り。
文明のある世界。平和の保証があった、あの日々が思い出される。
鈴木草太
その香りを嗅いで、不意にそう思ってしまった。
鈴木草太
なんの変哲もない。ただの平凡なモブのような存在だった筈なのに。
鈴木草太
今は自分を誤魔化して、十字架を背負って、刻み込み続けながら救世主として生きている。
鈴木草太
オレが殺したあの人の死に、意味がなくなってしまうから。
黒川流姫
体は冷え切っているのも、心がぽっかりと空いているのも、一目見るだけで明らかで。
黒川流姫
それは冗談でもなければ、嘘でもなかった。
鈴木草太
それはきっと、心の疵によってもたらされているのだと見て思った。
鈴木草太
それを解消すれば。その心に触れれば。
流姫はもち直せるのかもしれない…とも。
鈴木草太
これまでがあった。
一緒に旅をした日々があった。
黒川流姫
「君の心の中の奥深く、その疵のところに……」
黒川流姫
「君を君たらしめる、大事な人の影がある」
黒川流姫
「忘れろとは言わない。けど、今は僕を見てほしい」
黒川流姫
「いつか、僕も同じ場所に置かれたい。君がどう動くか迷った時に、いつも顔が浮かぶような人に、僕もなりたい」
黒川流姫
「僕を裏切ったら、君が君でなくなってしまう。そんな場所に収まりたい……」
黒川流姫
*抉り>恩人への裏切り クエスト2に挑戦します 判定は猟奇
鈴木草太
助けてくれよ…!!!!!!!!!!!!!
黒川流姫
2d6+4=>7 判定(+猟奇) (2D6+4>=7) > 9[3,6]+4 > 13 > 成功
[ 鈴木草太 ] 恩人への裏切り : 0 → -1
鈴木草太
人生の指針だとか。恩人に貰ったものを受け継いでいるとかじゃなくって。
鈴木草太
償おうと足掻こうとして、そうしてようやく自分を許して…それで生きていられているだけで。
鈴木草太
罪を投げ出して。全てを放り出してしまいたくなっているから。
鈴木草太
新たに楔を打たないと。オレはきっともう、罪を、生を放り出してしまうから。
黒川流姫
「大丈夫、草太が良い人であれるように、全力でカバーする。ちゃんとあんりのために出来ることは全部やる」
黒川流姫
「でも、全部頑張って、それでもダメだったら……」
黒川流姫
「僕以外の何を捨ててでも、草太は生き残るんだ」
黒川流姫
よく知っている。救いのないこの世界のことを。
鈴木草太
「帰って、母さんの作ったシチューが食べたい」
鈴木草太
「それでも希望を捨てたくないから、良い人であろうとしてる」
黒川流姫
帰れるという噂を聞いては、空振りを続けた。
鈴木草太
「少しでも自分を残していられれば、帰れることを許せるかもしれない…そう思いながら、ただ無闇に過ごしてる」
鈴木草太
半ば以上。もう、諦めていて。
この世界できっと自分は死ぬのだろうと思っていて。
黒川流姫
ばかみたいに疵を舐めあって、絶望の明日を共に待つ。
黒川流姫
世界に希望はない。希望になってくれる人がいなければ、心など保ちはしない。
黒川流姫
「僕が君の希望になる。君は、僕の希望になって」
鈴木草太
「じゃあ、死なせないよ。オレが流姫を守る」
鈴木草太
希望を失うことは、死ぬよりも辛いことだから。
鈴木草太
これは、舐め合いながら互いに楔を打ち合う行為だ。
黒川流姫
僕を阻む壁はルキオン。それはもう存在しない。
黒川流姫
*クエストno2成功のため、アリスのくつを入手。
[ 黒川流姫 ] アリスのくつ : 0 → 1
舞台裏
御苑あんり
小屋が見えなくなった頃に、速度を緩める。
御苑あんり
少しだけそのままに、追いかけてこないのを確かめた。
御苑あんり
声も、結晶を踏む音も、何も聞こえなかった。
御苑あんり
それを確かめてから、当て所なく歩き出した。
御苑あんり
それとも、無意識に向かってしまっていたのだろうか。
GM
最初にここに来たときにはなかったはずの建物がひとつ、立っている。
御苑あんり
見覚えのある景色に、見覚えのない建物。
GM
森にある他のどの家と違って、その小さな建物だけは倒壊していなかった。
御苑あんり
間の抜けたことを言っているな、と思ったけど、別にどうでもよかった。
GM
部屋には家具といった家具はほとんどなくて、中央にベッドがひとつと、あとは棚くらい。
GM
黒結晶が壁から生えていて、ぼんやりと光って、部屋を照らしていて。
御苑あんり
薄明かりに照らされた、敵だったはずの救世主を見る。
御苑あんり
自分だって、彼女の味方をすると宣言したものの、仲間になったなんて思っていない。
GM
この国では中々見ないくらい頑丈なベッドらしく、軋まない。
御苑あんり
でも邪魔だったら殺していいよ、と言おうとして、
御苑あんり
別に、言わなくてもそうするだろうと思った。
スティブナイト
少し黙って、それからちらりとそちらを見る。
御苑あんり
「あなたの心を踏む人がいなくなるようにする」
スティブナイト
「生まれ方を間違ったんじゃないかって」
御苑あんり
「あの人たちをどうにかしないと、あなたの心をいっぱい踏まれちゃうから」
御苑あんり
「それでコインが増えてよくなるならしいし」
御苑あんり
「私も多分、それくらいは保つんじゃないかな?」
スティブナイト
「……お前は何にも縛られてないだろ」
御苑あんり
「縛られてないから、帰る場所もやることもないの」
スティブナイト
「そういうのができないから、ここにいる」
御苑あんり
「別に私も、あなたに媚びたら助けてくれるとか思ってるわけじゃないし」
スティブナイト
「公爵家に俺の詳しいことがバラされるのも嫌」
スティブナイト
「……死んでも救いがなさそうだから、それも嫌」
スティブナイト
「そうじゃないなら、俺はなんでもいい」
スティブナイト
「強いて言うなら、救世主を殺してコインを奪うときだけ、ちょっと気が紛れるかもしれないけど」
御苑あんり
あの消えたり現れたりするのが残っていればな……。
御苑あんり
「……とりあえず私が先に出てできるだけ弱らせて」
スティブナイト
ありがとう、でもなければ、嫌だでもない。
御苑あんり
黙りこくったスティブナイトに視線を向ける。
御苑あんり
否定されなかったので、それでよいことにした。
御苑あんり
「スティブナイトは公爵家がつけた名前でしょう」
御苑あんり
呼んでいいと言われると、困ってしまう。
御苑あんり
「今スティブナイトって言われてるのは、どう?」
スティブナイト
「どう呼ばれてても、あんまり……」
御苑あんり
アンリミテッドなら、なにかキラキラした名前をつけただろうか。
御苑あんり
こうして隣で話をしていても、私がスティブナイトの特別な何かになったわけではない。
スティブナイト
「他人にそれだけ力を認められてるってことだから」
御苑あんり
「やってるやってる」全部喋っちゃうぞ。
スティブナイト
「こないだコイン50枚のよくわかんない救世主も来てたし」
御苑あんり
「多分あれで全部じゃないから、もしまた来るなら止めたいなあ……」
スティブナイト
「っていうかお前らも痛かっただろ」
スティブナイト
「……多分そう、なんか……書かされた……」
スティブナイト
「亡者が森歩くだけでうるさいし痛いし気持ち悪いんだけど」
スティブナイト
「その亡者が全部俺に来てたわけじゃないこともわかるから」
スティブナイト
「公爵家の犬も大変なんだな……って思った」
御苑あんり
私がやっておいてどの面下げて……なんだけど。
御苑あんり
「本当だったら全部あなたのところに行くはずなの」
御苑あんり
「次はそうなっちゃうかもしれないから」
鈴木草太
1d6 絶望シーン表 (1D6) > 2
GM
2.薄暗く冷えた森を歩く。どれほど歩いても黒い光景が続いている。それは不安を煽り、陰鬱な気持ちになる。
鈴木草太
小屋にあった靴を補修して、流姫に履いてもらって。どうにか歩けるようにして。
鈴木草太
…そうして、最初に見つけたあの巨大水晶へと向かっている。
鈴木草太
おそらく、そこにあんりが居る。そんな予感がしていたから。
鈴木草太
…一歩踏み出す度に、陰鬱な気持ちになる。
鈴木草太
そんな思いを胸中で巡らせながら、”だが、流姫の心を持ち直させるためには必要なことだった”…と、自身を納得づけて。
鈴木草太
心が壊れ尽くしたあんりを放置してそれをしていたのだという事実がその納得をぐちゃぐちゃにかき混ぜて。
鈴木草太
やがて、眼前の木々が開けるのが見えれば目的の場所へと辿り着いたと知る。
鈴木草太
…どう、声をかけるか。
考えながら。考えたところで答えは出るのかと思いながら。
御苑あんり
おおきな水晶の傍に、ぽつんと立っています。
鈴木草太
「…オレはあんりと戦いたくないから、連れて帰りたいから」
御苑あんり
「別にあなたが何をするのも自由ですよ」
鈴木草太
一歩、一歩。仲間だからというようにあんりの元へと近寄ろうとする。
鈴木草太
「スティブナイトを倒せば、その黒水晶も消えると思うんだ」
鈴木草太
「あんりはオレたちの仲間だ……。必ず治すから」
鈴木草太
「治るさ。治るまで探し続ける。オレが、一生をかけてでもその方法を探すから」
鈴木草太
「…お願いだ。オレはあんりが大切だから、こんな森で失いたくないんだ…」
黒川流姫
「僕も、『アンリミテッドを』仲間だと思ってる」
黒川流姫
話のすれ違いに気付いている。適切な言葉は、それじゃない。
黒川流姫
僕だって、ルキオンに戻す方法の話なんて、お断りだ。
御苑あんり
「それとも、”正気に戻ったあんり”とやらが泣きわめいて亡者になるのが見たいの?」
鈴木草太
「まだ…どうにか…!どうにか出来る筈だ…!!」
鈴木草太
「オレはあんりを見捨てたくないんだよ…!!」
鈴木草太
端的に言い表されたその言葉は。
それだけで自分の本質を貫かれた気がして、顔が歪む。
鈴木草太
歪んだ顔を、どうにか。笑顔に変えて。
それが一層醜さを晒すような気がして。
しながら。
鈴木草太
「あんりだって…このままは…イヤじゃないのか…?」
御苑あんり
「むしろ、ちょっとすっきりしてるくらいですよ」
御苑あんり
「以前の私は内気で弱気で、こんな風に誰かに反論したりなんてできませんでしたもん」
御苑あんり
「……このままがいやなのは、あなたの方でしょう?」
鈴木草太
そう言われて、咄嗟に答えることが出来なかった。
鈴木草太
それが答えだ。
鈴木草太は今のあんりを求めては居ない。
鈴木草太
元に戻ってほしいと思っている。
このあんりにはどうにか、治って欲しいと思っている。
御苑あんり
アンリミテッドにくっついたノイズの情報が御苑あんり。
御苑あんり
アンリミテッドは壊れて消えてしまった。
鈴木草太
*御苑あんりの『御苑あんり』を才覚で抉ります
同時にクエストNo3に挑戦します
[ 黒結晶A ] HP : 21 → 20
黒結晶A
2d6+5+2=>7 判定(+脅威度) (2D6+5+2>=7) > 9[6,3]+5+2 > 16 > 成功
鈴木草太
2d6+4-3=>7 判定(+才覚) (2D6+4-3>=7) > 8[2,6]+4-3 > 9 > 成功
[ 御苑 あんり ] 御苑あんり : -1 → -2
GM
*もう絶望しているので絶望処理は重複しません。
御苑あんり
「あなたが壊れたものをくっつけようとするのは勝手ですけど」
鈴木草太
自分の声は届かない。届けることを望まれていない。
鈴木草太
これ以上説得をしても、”今は”きっと無理だと。
そう、理解ってしまって。判断をくだせてしまって。
御苑あんり
そんなことは、嘘でも言ってもらえないんだな。
黒川流姫
草太は、すぐに切り替えなんて出来ないだろう。
鈴木草太
手を引かれて、一瞬ほっとした顔をして。
そのことにも痛みながら。
鈴木草太
異能に力を込める。
大丈夫。傷つけないように押さえて、そうして…連れ帰る。
御苑あんり
知ってるんだから。スティブナイトから聞いて。
鈴木草太
取り返しがつかないことはもう分かっている。
鈴木草太
取り返しがつかないことを取り返そうとずっとあがいてきたから。
アンリアライズ
「……私は、アンリアライズ(unrealize)」
黒川流姫
このパーティーの最年長で、みんなから信頼と尊敬をされてきたんだ。
黒川流姫
「僕が本当に役立たずかどうか……その目でよーく見ておけや!」
GM
クエスト「戦術補助」の効果により、技能を入れ替えることができます。
鈴木草太
*K賛美を緩和に A万能を臆病に変更します