GM
辺りに響くのは、あなたがたが踏み出した足が、地面の結晶を割る音だけ。
GM
風も吹かず葉擦れの音ひとつしない不自然に静かな森に、その音が響いては、木々の隙間に吸い込まれて消えていく。
GM
黒く枯れた木には半透明の黒い結晶が生えており、手をつけば触れたところを傷付けるだろう。
お茶会1
絶望の森シーン表 2d6
(黒の森シーン表 1d6 / 絶望シーン表 1d6)
1.道なき道。かつては整備されていたであろう場所は結晶に覆われ、まともに歩くことすら難しい。
2.川。尖った結晶が流れていく。足を踏み入れたら、いくつも傷が付いて毒を浴びるだろう。
3.小屋。黒結晶に覆われていて、その重さで半分倒壊している。
4.薮。木々は黒く枯れ、かつて葉があったところには代わりに鉱石が生えている。
5.開けた場所。巨大な黒結晶のクラスターがある。長い時間をかけて大きくなったようだ。この辺りが救世主の居住地だろうか?
6.黒結晶が舞っている。避けないならば、ぶつかってあなたを傷付けようとしてくる。
* * *
1.黒結晶に覆われた死体を見つける。死体は干からび、表情は絶望に満ちている。見ていると絶望的な気持ちになりそうだ。
2.薄暗く冷えた森を歩く。どれほど歩いても黒い光景が続いている。それは不安を煽り、陰鬱な気持ちになる。
3.森だというのに、風の音もなければ、風で葉が擦れる音すらしない。ここはひどく静かで、不自然で、不気味だ。
4.木々が重なったか、夜が来たか、辺りが暗闇になる。あなたに孤独感が襲いかかる。隣に誰かいるだろうか?
5.道に迷う。木々の向こうに人影が見える。あなたを見ているそれは幻? 本物? 一体誰?
6.気付けば、あなたの周囲には誰もいない。いつの間にかはぐれたか、それとも救世主が見せる幻覚だろうか?
1ラウンド目:オオトリ
オオトリ
俺の行動だな。PKの心の疵『朧』を抉る。クエストはNo1.情報収集
オオトリ
2d6 (2D6) > 8[2,6] > 8
GM
2.川。尖った結晶が流れていく。足を踏み入れたら、いくつも傷が付いて毒を浴びるだろう。
GM
6.気付けば、あなたの周囲には誰もいない。いつの間にかはぐれたか、それとも救世主が見せる幻覚だろうか?
オオトリ
殿を歩いていた。常にクロイスの背を視界に納めていた筈だ
オオトリ
あの特徴的な配色……髪色をそうそう見失う筈も無い……が
クロイス
幻覚に誘われる――噂は間違いなかったのだ。
オオトリ
周囲を見回していれば、靴の下で、ぴちゃりと音が鳴る
オオトリ
川だ。いつの間にか、俺と前方にいた二人を隔てるように
オオトリ
「……」油断なく武器を構える。そうだな……
オオトリ
数度、靴底で地面を叩く。前もって決めていた合図だ
オオトリ
銃口を向ける。あいつが、そこにいる筈はない
オオトリ
その姿なら殺せる。……そうとも、躊躇わず引き金を引けるからな
オオトリ
「……チッ!」指を離す。銃撃はせず、ナイフを構えて肉薄する
オオトリ
幻覚系の能力なら、俺が錯乱しているだけで、二人がその幻の向こうにいる可能性もあるからだ
オオトリ
「直々にお出ましか?スティブナイト、でいいかよ」
オオトリ
距離は取らない。そのまま、ナイフを構え直して視線は向けたまま
スティブナイト
「もうちょっと情のあるやり取りとかするのかと思ったが」
オオトリ
「悪いが、そいつに向ける情はもう枯れてんだ。化ける相手を間違えたな」
オオトリ
「……ああ、そう」言わなきゃ良かった。内心ため息を吐く
オオトリ
「なるほど、上手いこと化けるもんだ。確かにこれなら、普通に狙いにくい」
オオトリ
「……で?わざわざ出てきたってことは、なんか用か?」
オオトリ
様子を見つつ、会話を継続しよう。まずは情報収集が目的だしな
スティブナイト
「ひとりぼっちで寂しいかな、と思って」
オオトリ
「推測でボッチ扱いしたが、やっぱツレいたか?」
スティブナイト
「この森の中で生き続けられる奴が俺のほかにいたら、それはすごいことだな」
オオトリ
「そうなんだろうな。……っつーことは、入って行った末裔たちは大方死んでるわけか」
スティブナイト
「あれ? あぁ、サングラスでこの森を歩くのは大変だな」
スティブナイト
「お探しの末裔はそちらになりますね」
スティブナイト
よく見ると、それはただの黒結晶ではなく。
オオトリ
「確かに暗い森ん中に黒い結晶、サングラスは邪魔だなぁこりゃ」ぼそっと、愚痴を零すように
スティブナイト
「無事に末裔も見つかったし、帰る?」
オオトリ
「そうだな、ある程度の情報収集は出来たし……」
オオトリ
スティブナイトへ銃口を向け、今度は躊躇なく引き金を引く
オオトリ
「次は、てめぇに普通の攻撃が通るのかを見てやるよ」
スティブナイト
キン、と高い音がして、黒結晶が銃弾を弾く。
オオトリ
「見た目化けるのは得意だが、なんか全然違うんだよなぁ」
オオトリ
「暫く話してみたら、やっぱどう考えてもクロイスとは違うんで……」
オオトリ
「正体見せなよ、ケダモノ」ナイフを構え、再び接近
スティブナイト
……いや、お前が、最初から何もない場所を狙っていたのだ。
オオトリ
ナイフが空を斬る。ブーツが地を抉り、上体を構え直して周囲に気を配る
オオトリ
「ひとりぼっちで寂しいのはてめぇ自身、ってことじゃねえかな」
スティブナイト
「いやあ、得られた情報としては十分じゃない?」
スティブナイト
「帰って飼い主に褒められたらいいよ」
オオトリ
「っつーわけで、言えば素直に帰らせてくれるか?ついでに末裔どもも、呼び寄せないようにしてほしいんだが」
オオトリ
「俺は、殺した方が早く片が付くなら、だが」
オオトリ
「……ちなみに俺は、お前自身にどこまで悪意あるか分からんので認定保留中……ってとこかな」
オオトリ
周囲を見回しつつ……離脱してぇ~。もう抉れてよくない?
スティブナイト
「こんな姿になってて、悪意がないと思える?」
オオトリ
「だろう、よッ!」
気配を辿り、それらしき箇所に続けざまにナイフを振るうぜ
黒結晶
2d6+1+2=>7 判定(+脅威度) (2D6+1+2>=7) > 11[5,6]+1+2 > 14 > 成功
オオトリ
2d+4-2>=7 (2D6+4-2>=7) > 8[4,4]+4-2 > 10 > 成功
スティブナイト
黒結晶の隙間を縫って刺したナイフに、手応え。
スティブナイト
近くで結晶が割れる音、ぐしゃりと倒れる音。
オオトリ
軽くひねって構え直し、即座に接近。倒れてんなら……
オオトリ
ナイフは逆手に。押し当てて動きを止めて、ショットガンを頭部に向ける
オオトリ
「そりゃ悪かったが、ついでにもう一つ教えろよ」
オオトリ
「思わんが、もしそうなれば皆が得だろう……」
スティブナイト
「そっちのほうが皆幸せなのかも?」
オオトリ
「そうとも。少なくとも、ガキを殺すことになれば……」
オオトリ
「あいつらは、いい気分にはならんだろう」言いながら、ナイフを滑らせて首に当てる
スティブナイト
ノイズが視界に走ったような感覚がして。
スティブナイト
次の瞬間には、ここに、お前たち3人が揃っている。
オオトリ
「……ッ」認識し、ナイフは皮を切る前に止まる
エーニャ
最初に、音がした。特徴的な、何か硬いものがぶつかって砕ける音。
クロイス
きっと、そこに個人がなければ、迷わず私は女の方を庇っていただろう。
クロイス
そこにいるのは、ただ男というだけの存在ではなくて。
オオトリ
「……チッ……悪あがきか。俺も大概、口が軽いもんだ」
オオトリ
「しゃあねえ。いいか、こいつがスティブナイトだ」
クロイス
動揺は、そこまで。あとは状況を飲み込んで。
オオトリ
「エーニャ、クロイス、こいつが変なことしねえように周りを見張っててくれ」
オオトリ
呼びかけながらも、武器はそのまま。下の奴が動こうとすれば力づくで押し戻すぜ
クロイス
「……ああ」
周囲へ視線を向ける。あるいは、二人への視線を逸らす。
クロイス
どれだけ追っても、女というだけで閉ざされる。
どれだけ逃げても、女というだけで囚われる。
エーニャ
状況を把握しようと試み、それが難しいと悟る。
エーニャ
「オオトリ! その人が……スティブナイトで間違いはないんですね?」
オオトリ
「ああ。当人がそう言っているし、それにふさわしいだけの能力も見た」
オオトリ
「……だが安心しろ。少なくとも、問答無用でこのまま殺すつもりはない。だからこそ、見ててくれ」
エーニャ
そもそも。このオオトリが本物であると軽率に判断することはできない。けど、先ほどからの言動に不審な点もない。
クロイス
だけど、今のこの行いを『間違っていない』とは、私には言えない。
クロイス
そうしたら……私の今までが壊れてしまうから。
エーニャ
「分かりました。このまま……」 目を凝らす。誰かに、何か不審な行動があれば見逃さないように
エーニャ
「その人に協力の意志がないなら、拘束しましょう」
オオトリ
「ああ。どうも、分かりやすく殺意を向けてくる様子は無かったんだが」
オオトリ
言いつつ、その状態のままで、ここまで得た情報を伝えよう
オオトリ
では、そんな感じで組み伏せたまま情報を伝えて(この場分は)クエスト達成と……
PK割り込み 1回目
エーニャ
全員の動向に注意を向けていた。しかし、空には注意を向けていなかった。
オオトリ
意識を向けていたのは下。二人の声でようやく気付く
オオトリ
迎撃――は叶わない。一瞬の逡巡で規模だけ読み取れば、スティブナイトを放棄して横跳びに躱す
エーニャ
ほぼ同時に、スプリングによって強化された脚力で弾かれるようにその場から跳びのく。
スティブナイト
「こうでもしないと抵抗できないの」
オオトリ
……十分厄介だよ。心の中で悪態をつきつつ、二人の様子に気を配ろう
エーニャ
「二人とも、気を付けてください! おそらく、この森すべてが……この能力の領域!」
クロイス
「やはり、格上だな」
少し掠れたかもしれない。けど、重傷ではない。
オオトリ
「その様だ。チッ、舐めた対応をしちまったな……」
スティブナイト
手のひらの上で育った黒結晶がまっすぐにお前たちに飛ぶ。
オオトリ
それでも幾らかの欠片は潰しきれず、あるいは逸れた軌道を以て、突き抜けた分が体を掠めていく
クロイス
「く……」
弾いて落とすには小さすぎる医療器具たち。
前線で戦うのは領分ではない。
クロイス
落としきれない欠片が、肩や足を傷つけていく。
エーニャ
右腕の義手が分解され、即座に波型の刃を持つ刀剣が形成される。
エーニャ
潰しきれなかった欠片が身体に向かうが、気にせず左手の義手で払う。黒鉄の身体には、わずかな傷だけが残る。
オオトリ
「クロイス、お前は下がってろ……!」ヤバい口ぶりだ。何が来る?
スティブナイト
ひときわ大きい塊が、エーニャに向かい飛んでくる。
スティブナイト
*エーニャの心の疵「破滅的献身性」を猟奇で抉る。
クロイス
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
[ クロイス ] HP : 26 → 25
クロイス
2d+3>=7 (2D6+3>=7) > 7[1,6]+3 > 10 > 成功
[ クロイス ] ヤリイカエリート : 2 → 1
クロイス
1d+3 (1D6+3) > 1[1]+3 > 4
スティブナイト
2d6+5+2-4=>7 判定(+猟奇) (2D6+5+2-4>=7) > 2[1,1]+5+2-4 > 5 > 失敗
[ スティブナイト ] ティーセット : 3 → 2
オオトリ
「チッ――!」さっきの被害の差を見て、思わずクロイスの方に飛んでしまっていた。俺では迎撃が間に合わない!
エーニャ
「大丈夫です! 二人は自分への攻撃に集中してください!」 二人を制するように叫ぶ。
オオトリ
違う。制圧できたと思い込んで、伝えていなかった。
クロイス
今、庇われるのは受け入れるしかない。
その分、視線はエーニャのほうへ。
クロイス
「――エーニャ!!砕くなッ!!避けろ!!!!!」
悲鳴に近い声が黒い森に響く。
エーニャ
同時に、刀身に組み込まれたギミックから吹き出した燃料に火花が飛び、着火する。
クロイス
医者を志す者だ。
結晶の中、わずかに含まれる『人の欠片』に気づかないほど、愚鈍ではない。
エーニャ
「この程度なら私のシュラスコで……えっ?」
エーニャ
結晶へ向けて踏み出す直前、足首から先の方向を90度曲げる。
エーニャ
噴射したガスによって、身体の向きとはまったく逆の方向に体が吹き飛ぶ。
エーニャ
そのまま、後方の樹に体を強かに打ち付ける。私がいた場所には結晶が突き刺さることだろう。
クロイス
「エーニャ。『君は傷つけていない』。『君がやったわけじゃない』」
エーニャ
咄嗟の事で、その理由は分からなかったがドクターの判断に従った。
エーニャ
しかし、それはすぐに分かった。ドクターの視線の先。
クロイス
エーニャは、手遅れすらも許せないかもしれない。
クロイス
けど、それでも、自分の手で破壊しなかったことには、大きな意味があるだろう。
オオトリ
……そちらは任せて、追撃が来ないように前に立っておこう
オオトリ
……あの土壇場。一瞬、どちらを助けるか迷った
オオトリ
その迷いが、対応の遅れを生んだ。俺では守り切れなかったらしい
クロイス
「ここに迷い込んだ末裔が、まともでいられるはずがない」
GM
その体は動くことはない。半分ほど黒ずんで干からびている。
エーニャ
「そんな……」 先ほどの言葉を思い返す。
クロイス
「斬らないのが……君にとっては、正解だろう」
エーニャ
私たちがもっと早く来ていれば? 違う。どうしても間に合わなかった。
オオトリ
「ああ。一番は、甘いこと言ってた自分がな」
エーニャ
「オオトリ。ドクター。……ここは、私に話させてくれませんか?」
オオトリ
今の俺にはクロイスのように肯定も、だが否定も出来ない。静かに一歩、横にズレる
[ スティブナイト ] 朧 : 0 → -1
1ラウンド目:エーニャ
エーニャ
*スティブナイトの心の疵「黒結晶」を抉ります。
エーニャ
「でも、さっきは攻撃されたので……あれは」
エーニャ
「いえ。分からないので聞いているんです」
エーニャ
「それで攻撃しようとしたわけではないんですよね?」
スティブナイト
「公爵家から敵視されてるような救世主が」
エーニャ
「救世主はほとんど皆、あなたの言う”悪いやつ”ですね」
エーニャ
「公爵家はほとんどの救世主を嫌っているって、知っていますか?」
クロイス
……そうだ。
ここまで辿りついた救世主はみな、人殺しだ。
エーニャ
「私はそんなことで、人の善悪を判断しません」
オオトリ
……全く、いつも通りの奴だ。こんな場所でまで
オオトリ
俺がすぐに諦めて、切り捨てようとしたものを……
エーニャ
「だから私は、あなたが話に応じてくれて嬉しい」
エーニャ
「あなたは自分のことを、どう思います?」
スティブナイト
「それ、こないだも聞かれた気がするな……」
スティブナイト
「会わなかった? まぁ、どうでもいいか」
スティブナイト
「『この国に生きるものにとっての驚異』とか?」
エーニャ
「……そうかもしれません。今のあなたは」
エーニャ
「だから、私たちが派遣されているわけですし」
エーニャ
タイミングはまあ適当なので、横槍します?
[ 黒結晶 ] HP : 18 → 17
黒結晶
2d6+2+2=>7 判定(+脅威度) (2D6+2+2>=7) > 5[2,3]+2+2 > 9 > 成功
エーニャ
2d+4-2>=7 (2D6+4-2>=7) > 10[4,6]+4-2 > 12 > 成功
エーニャ
「どうして、皆を傷つけるんですか? さっき、そうなるからと言っていましたけど」
エーニャ
「……ですよね。確かに、そうは見えません」
エーニャ
「でも、それなら理屈は通ります。嫌いだから傷つける」
エーニャ
「じゃあ、どうして……というのは聞かないほうがいいんでしょうか」
スティブナイト
「…………どうしてなんだろうね?」
エーニャ
「あなたが一体何に絶望して、そうなってしまったのか……世界を憎んでいるのか。私にはまだ分かりません」
エーニャ
「でも、あなたは私との話を拒絶しなかった。きっと、私もあなたのことを理解できます。だからまだ手遅れじゃない」
エーニャ
「まだ、何か……方法があるかもしれません」
[ スティブナイト ] 黒結晶 : 0 → -1
スティブナイト
木の結晶がひび割れ、砕け、粉々に散って。
エーニャ
「ごめんなさい。私の無理に付き合わせてしまって」
オオトリ
「俺はむしろ、あれを伝えてなくてすまなかったと思っている」
クロイス
「それも、いつものことだ。毎度気にはしないさ」
エーニャ
「私のことを心配してくれたんですよね、オオトリは」
オオトリ
「いつものこととして、俺が思っているよりお前は強いんだ、が」
オオトリ
「……何でもない。まだあいつは逃げたきりだ、気を付けよう」
クロイス
冷たい風が吹き、黒結晶の欠片が飛んでいく。
エーニャ
「もしかすると、二人を危険に晒してしまうことになるかも」
オオトリ
「俺のことは気にするな。いつものことだろう」
オオトリ
「俺は無理だと思うが、それで諦める奴じゃあるまいよ、お前は」
エーニャ
「あはは……はい。どうしても、諦められません」
PK割り込み 2回目
GM
5.開けた場所。巨大な黒結晶のクラスターがある。長い時間をかけて大きくなったようだ。この辺りが救世主の居住地だろうか?
GM
6.気付けば、あなたの周囲には誰もいない。いつの間にかはぐれたか、それとも救世主が見せる幻覚だろうか?
GM
気付けばクロイスはひとり、開けた場所に立っている。
クロイス
「…………」
オオトリを見失った時と同じように。
また、幻覚に惑わされたのだろうか。
GM
森で見た他のどの小屋とも違って、壊れておらず。
GM
近づけば半分ほどが黒結晶に覆われていることがわかる。
クロイス
どんなに強い救世主と言えど、棲む家は必要だ。
荒れ果てた地では生きていけない。
クロイス
二人を探すべきだったろう。
けれど、一人だからこそ、話せることもある。
クロイス
「君が、招いたのか? それとも、私が不躾に入ってしまったか」
クロイス
「それは」
一度、言葉を飲み込んだ。己の声が震えているようだったから。
スティブナイト
黒手袋はなくて、細い手が顕になっている。
クロイス
「……そうさせてもらおうか。森を歩き続けるのは、流石に疲れた」
クロイス
敵対する救世主を前に抗いもせず、ベッドの隣に腰かける。
スティブナイト
この国にしては柔らかく、滑らかな触り心地のベッド。
スティブナイト
返事の代わりに、身体をそちらへ向けた。
クロイス
手を伸ばす。文字通り腫物を扱うように触れる。
クロイス
私たちの肌は、こんなにも簡単に傷ついてしまう。
クロイス
「けれど、やわらかくあってほしくなかった」
クロイス
「……傷つき疲れてしまったね」
それは、誰に聞いているのか。
クロイス
「……生まれた時から、得るべき身体を間違えたんだ」
スティブナイト
「こうであるから、元の世界で差別されて」
スティブナイト
「逃げてきたここでも、このざまだ」
スティブナイト
「末裔ですら、コインの数は同じでも、大男のほうが強いと言い」
スティブナイト
「救世主には、性別がわかればそれ目的で近付かれ」
スティブナイト
「どこにも逃げ場なんてなかったね」
クロイス
「そのための器官、そのためのからだを持って生まれ落ちたのだから当然であるとされ、女たちはそれに従った」
クロイス
母は、私に男として育つよう言った。
父は背中を押してくれたが、どこか遊び心が含まれているようだった。
クロイス
性別がバレてしまったときも、母のように放心するでもなく『やはり無理だったか』と。まるで後ろ向きなギャンブルに勝ったときのような面持ちだった。
クロイス
「夢を断たれ、子産みの役割を強いられようとしたその時、私は堕落の国に堕ちた」
クロイス
私は既に、ゆるやかな絶望に包まれていた。
クロイス
ただ、エーニャと出会って、その猶予が少しのびただけ。
クロイス
出会わずに長く暮らしてきた少女が、今ここに。
スティブナイト
つめたくて、細くて、柔らかく、ちいさな手。
クロイス
その手は、オオトリたち男のものとまるで違う。
スティブナイト
「……どうしたらよかったんだろうな」
スティブナイト
「はじめから、俺たちにはなかったよ」
クロイス
女と知られたときに、周囲の反応に色が帯び始める、あの瞬間がたまらなく嫌だ。
クロイス
偽ったって、ダメだったんだ。
生まれ落ちた瞬間から、もう。
スティブナイト
*クロイスの心の疵「女」を猟奇で抉る。
オオトリ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
オオトリ
2d+4>=7 (2D6+4>=7) > 7[2,5]+4 > 11 > 成功
[ オオトリ ] ヤリイカエリート : 2 → 1
[ オオトリ ] HP : 26 → 25
スティブナイト
2d6+5+2+2-6=>7 判定(+猟奇) (2D6+5+2+2-6>=7) > 7[6,1]+5+2+2-6 > 10 > 成功
クロイス
彼が優しく、甘い人だということは知っている。
クロイス
敵対者を説得することはあれど、けして容赦はしないことも。
クロイス
私は彼のことを間違っているとは思わない。
クロイス
「…………っ……」
彼女のいる場所で、静かに、泣きたかった。
クロイス
どうしようもない。
これは、どうしようもないことだ。
スティブナイト
頬に手を触れて、その涙を指でなぞった。
クロイス
エーニャたちと出会って、猶予は伸びたけれど、
クロイス
私が結局行き着く果ては、諦めなんじゃないか?
クロイス
目の前の彼女を見て、そう思った。
深く刻まれた。
[ クロイス ] 女 : 0 → -1
[ クロイス ] 絶望侵蝕 : 0 → -1
[ スティブナイト ] ティーセット : 2 → 1
[ スティブナイト ] 子山羊皮の手袋 : 2 → 1
1ラウンド目:クロイス
クロイス
シーン表。
3.小屋。黒結晶に覆われていて、その重さで半分倒壊している。
5.道に迷う。木々の向こうに人影が見える。あなたを見ているそれは幻? 本物? 一体誰?
クロイス
オオトリが道に迷う中、またも同じ桃色の影を見る。
クロイス
その声にびく、と肩を震わせて、振り返る。
オオトリ
「……奴の反応にしては妙だな、どうやら本物か」独り言ちる。普段のクロイスにしても妙だが
クロイス
「……流石に、同じ手を使いはしないだろう」
オオトリ
「可能性がある以上は……いや、それよりだな」
オオトリ
「全く、お前を探して俺まで孤立してしまったぞ。ほら、エーニャを探しに行こう」
クロイス
「こうして合流できただけでも運がよかったのかもしれないな」
オオトリ
「これでお相子だな」軽く笑って、さてエーニャを……
クロイス
オオトリ。
冷たいようで優しくて、甘い人。
オオトリ
……最初の反応の時点で、様子がおかしいのは分かっていた
オオトリ
恐らく、幻覚を見たか、奴に狙われたか。……だからこそ、何事もなかったように語り掛けたのだが……
クロイス
このからだを。子を産むために血を流すからだを心から受け止めてしまえば、もう男に逆らうことなどできなくて。
オオトリ
「ああ、なんだ?」そちらに向いて、少し膝を曲げる
オオトリ
いつも通りなら、露骨に曲げれば子供扱いしてると笑われるだろうし、軽くな
オオトリ
「それは、喜んでいいのか、どうかな……」
クロイス
「だから……」
手がすりぬけて、オオトリの肩を掴む。
クロイス
掴んで、小屋の壁に押し付ける。
……容易に抵抗できはするだろうけど。
オオトリ
両手は横に広げる。自分から触れないように
クロイス
「……『肩を出しているのが意外』と、言っただろう」
オオトリ
俺が知る限りのクロイスは、そんな風に見られたくはなかったろうから
オオトリ
考えて、その上で何も分からないほど鈍くはない
オオトリ
だが、だから、言葉にするのに苦痛を伴っている
クロイス
「そうだ。その上で、もっと分かりやすい」
クロイス
「私の中で目覚め初めた女の心が、君を誘惑しているんだよ」
クロイス
「男と女の違いを、君の手で分からせてほしいと言っているんだ」
クロイス
「無様にも対等を訴える私に、その獣性を叩きつけてはくれないか」
クロイス
「……他の誰かから、絶望を教えられる前に」
オオトリ
獣性。俺にとって、とても分かりやすく、嫌な言葉
オオトリ
――こいつは果たして、それに気づきながら言っているのか?
オオトリ
震える右手が銃を取り落とし……少しずつ、動いて……
[ エーニャ ] HP : 23 → 22
エーニャ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
エーニャ
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 4[2,2]+0 > 4 > 失敗
クロイス
2d+4>=7 (2D6+4>=7) > 8[3,5]+4 > 12 > 成功
クロイス
無抵抗な姿を見せて。
白衣がはらりと地面に落ちる。
クロイス
手足は細く、けれど女らしい肉付きは確かにあって。
クロイス
接近した今なら、甘い汗の匂いもはっきりと分かる。
オオトリ
震える右手――ではなく、左手がナイフを離し、その背を抱く
オオトリ
そうしたのは、反射的に逃げられないため。この後、どちらがどのように動いても
オオトリ
右手はクロイスではなく、自分の首の包帯を掴んで、外す
オオトリ
次いで、サングラスも落とす。
「……獣性っていうのはさ、お前が思う以上に、正しいんだよ」
オオトリ
「多分、この首の噛み傷から、感染したんだよな」
オオトリ
「……俺の能力は、元々”あんなもの”じゃなかった」
オオトリ
「そうだ。そして、大元のそいつももう死んだ」
オオトリ
「だから……男とか、女とか、そういうの以前にさ」
オオトリ
抱いていた左手に力がこもる。逃がさぬように、か
クロイス
抱かれた腰は細く、強く力を込めれば容易く折れてしまいそうなほど。
オオトリ
「同類がいないんだよ」あるいは、縋るように
クロイス
「……私は、獣に食われる小動物に過ぎない」
クロイス
「けれど、君のその本能のはけ口になることはできる」
クロイス
「君は、私のことを、深く深く破壊できるのだろう」
クロイス
「抵抗する意思を、根こそぎ奪えるほどに」
オオトリ
俺も、お前も、普段なら何より否定してきた筈のものが
オオトリ
右手ですら、お前の肩を掴む。強く、有無を言わさぬように
オオトリ
「お前……お前が、そんなことを言うのか……!?」
クロイス
服従するために生まれてきたわけではないと、心に強く抱いていたのに。
オオトリ
「俺と対等になってくれると期待してるんだよ!」
オオトリ
縋るほど、力が強くなる。否定していたはずの、俺が明確に上位に立つという姿
クロイス
「こんな身体で、どうやって君に抵抗できる」
オオトリ
「冷静になったら、お前は、絶対後悔する!」
オオトリ
分かっている。今口にするのは、全て言い訳だ
オオトリ
これまで口にしてきたのも、言い訳でしかない
オオトリ
「お前には、嫌われたくないんだ!だから……ッ!」
オオトリ
「……そんな理由を、与えないでくれよ……」
オオトリ
膝をつく。抱きしめたままそうすれば、お前の体も、俺に従って下に向かうはずだ
クロイス
今までのそれは、化けの皮。
これこそが、私たちの本当のすがたなんだから。
[ オオトリ ] 獣性 : 0 → -1
クロイス
どれぐらい時間が経っただろう。
森の中は薄暗いままで、何も分からない。
クロイス
薄暗いまま。けれど、意識は少しずつ晴れていく。
クロイス
視界の中にオオトリを認めると、声が上ずる。
オオトリ
この目は、闇の中をよく見通す。そこに自分の意思はない
クロイス
被さっていた衣服と白衣を手に取る。
全身が震えながらも、視線を逸らすことができない。
オオトリ
……なら、その衣服を取って、代わりに着せよう
クロイス
「ん……、」
抵抗はない。晒された肌が、女の身体がひとつずつ覆い隠されていく。
クロイス
彼の『赦し』に、ただ頷いて、また頭を垂れた。
クロイス
今すぐに救世主を討ちにいくというのなら、その通りに。
はけ口になれというのなら、その通りに。
自害しろというのなら、その通りに。
オオトリ
俺がこうしてしまったというのなら、それはもう仕方がない
オオトリ
良いか、どうかなんて、もう関係がなかった
オオトリ
クロイスの身支度を整えれば、自分も包帯を巻き直す
オオトリ
「ここはまだ敵地だ。それに、スティブナイトはまだ疲弊しているはず」
クロイス
その声色は淡々としながらも。
視線には、畏怖と、熱が含まれている。
オオトリ
「死のうとしないで、お前や仲間の命が関わらない時に、無暗に殺そうとしないで」
オオトリ
「だから、いつか俺が本当に許せなくなったら、素直に話してくれ」
オオトリ
「……さあ、行くぞ。エーニャと合流しよう」
後はついてくると期待して、背を向ける
エーニャ
それはまるで冬の日の朝、水たまりに薄く張った氷を踏みしめた時のような
エーニャ
微かな。しかし空間そのものを軋ませるような音が二人の耳に届く。
エーニャ
「ごめんなさいっ! あ、あの……二人がそんな、もう」
エーニャ
白金の脚から蒸気が上る。自分が全力で駆けだせば、二人が追い付けないことは”知っている”。
オオトリ
追いかける。一瞬、クロイスの動きを確認しながら
クロイス
二人ほど速くはない。
私に気をかけては、追いつけないのは仕方のないことだ。
エーニャ
2d6 シーン表 (2D6) > 8[2,6] > 8
GM
2.川。尖った結晶が流れていく。足を踏み入れたら、いくつも傷が付いて毒を浴びるだろう。
GM
6.気付けば、あなたの周囲には誰もいない。いつの間にかはぐれたか、それとも救世主が見せる幻覚だろうか?
エーニャ
これ以上、あの場にいることができなかった。
エーニャ
足元に目を落とす。踵から先が逆方向に曲がっている。
エーニャ
(このまま、戦えるのかな……私。本当に)
エーニャ
*このまま裁判に入る場合、裁判終了後にエーニャは離脱します。
クロイス
ラウンド中断の行方は、オオトリの判断に従います。
オオトリ
クロイス。お前が抉った『獣性』の疵をエーニャに共有しろ
クロイス
仰せの通りに。
『獣性』をエーニャに共有します。
GM
エーニャの心の疵について、どちらか好きな方を悪化させて大丈夫です。
クロイス
どちらを抉るかの判断を、オオトリに委ねます。