GM
辺りに響くのは、あなたがたが踏み出した足が、地面の結晶を割る音だけ。
GM
風も吹かず葉擦れの音ひとつしない不自然に静かな森に、その音が響いては、木々の隙間に吸い込まれて消えていく。
GM
黒く枯れた木には半透明の黒い結晶が生えており、手をつけば触れたところを傷付けるだろう。
お茶会1
絶望の森シーン表 2d6
(黒の森シーン表 1d6 / 絶望シーン表 1d6)
1.道なき道。かつては整備されていたであろう場所は結晶に覆われ、まともに歩くことすら難しい。
2.川。尖った結晶が流れていく。足を踏み入れたら、いくつも傷が付いて毒を浴びるだろう。
3.小屋。黒結晶に覆われていて、その重さで半分倒壊している。
4.薮。木々は黒く枯れ、かつて葉があったところには代わりに鉱石が生えている。
5.開けた場所。巨大な黒結晶のクラスターがある。長い時間をかけて大きくなったようだ。この辺りが救世主の居住地だろうか?
6.黒結晶が舞っている。避けないならば、ぶつかってあなたを傷付けようとしてくる。
* * *
1.黒結晶に覆われた死体を見つける。死体は干からび、表情は絶望に満ちている。見ていると絶望的な気持ちになりそうだ。
2.薄暗く冷えた森を歩く。どれほど歩いても黒い光景が続いている。それは不安を煽り、陰鬱な気持ちになる。
3.森だというのに、風の音もなければ、風で葉が擦れる音すらしない。ここはひどく静かで、不自然で、不気味だ。
4.木々が重なったか、夜が来たか、辺りが暗闇になる。あなたに孤独感が襲いかかる。隣に誰かいるだろうか?
5.道に迷う。木々の向こうに人影が見える。あなたを見ているそれは幻? 本物? 一体誰?
6.気付けば、あなたの周囲には誰もいない。いつの間にかはぐれたか、それとも救世主が見せる幻覚だろうか?
◆スティブナイト:心の疵
・黒結晶
体内に入ると肉体・精神に有害となる鉱石を生やして敵を傷付ける。周囲には黒く冷たく、美しい汚染地帯ができる。力がある救世主ですら、浴びると危険だ。
//誰も信じない。全員殺すべきだ。
・朧
何者であるかを知るものがいない。性別も、顔も。体格が変わったという噂もあるが、真偽は確かではない。近付いて生きて帰ってきたものはいなかったから。
//ずっと騙してきた。自分の肉体が嫌いだ。
1ラウンド目:シャーデン
シャーデン
2d6 シーン表 (2D6) > 2[1,1] > 2
GM
1.道なき道。かつては整備されていたであろう場所は結晶に覆われ、まともに歩くことすら難しい。
GM
1.黒結晶に覆われた死体を見つける。死体は干からび、表情は絶望に満ちている。見ていると絶望的な気持ちになりそうだ。
GM
かつては道であったであろう、木の生えていないところは、今は黒結晶で覆われている。
シャーデン
2人よりも早くその死体に近づき、様子を伺う。
「…………生存者ではないな」
シャーデン
毎回そうだ。
明らかに死んでいても、『まだ生きているかもしれない』『助けられるかもしれない』という望みを捨てられない。
シャーデン
周囲を見渡す。
「……この周囲にある結晶、決して醜いものではない」
「きっと心の疵でできているものだ」
シャーデン
「死体がどのようにしてできたかはまだ分からないが……」
「俺は話せる相手だと思いたい」
ビルケヴァーグ
「……分かっていると思うが」
重い唇を開く。
「それは大きなリスクを伴うものだ」
ビルケヴァーグ
「忘れるな。相手は既に何人もの人を狂わせ、その心と命を破滅へと向かわせた」
ビルケヴァーグ
「……そうでなくとも、討伐に来た相手に親切に振る舞う者はそう多くない。努々、警戒を怠らぬよう」
ササナ
どちらの言うことも、きっと正しいのだと思う。
けれどササナ自身に、それを選択する勇気はない。
ビルケヴァーグ
無言で武器を取り出す。
シャーデンが対話を試みる間、何があってもすぐ対応できるように。
シャーデン
「二人とも頼りにしているぞ」
笑顔になる。こちらも手に武器を構えて。
シャーデン
「……とはいえ、まずは救世主がどこにいるかを調べないとな」
シャーデン
「結晶の多い場所を辿っていけば近づくだろうか……?」
「しかしリスクがあるような気も……」
スティブナイト
「親切に"お茶会"でもしてやろうか?」
シャーデン
「おっと…………」
突然の登場に距離を取る。
ビルケヴァーグ
「……ッ」
声の主へすぐさま刺突剣を向ける。
スティブナイト
「座るならそこだろうな」
死体を指差す。
シャーデン
「残念ながら、我々は死体に座る文化の出身ではなくてな」
「テーブルも椅子も、君が望めば持ってこよう」
「お茶会が『できる』相手なら、……俺はそうするつもりだ」
シャーデン
ササナとビルケヴァーグのことを守れる位置に立つ。
スティブナイト
「どうせ結晶で覆われて使い物にならなくなる」
シャーデン
「……この森の『美しい』結晶は、きっと君がやったのだろうが……」
「理由を聞こう。どうして『こんなこと』を?」
スティブナイト
「それとも、同情でもさせたほうが?」
シャーデン
「この状況をできるだけ、改善する」
「誰かへの憎しみであるなら、それを昇華するために働くし」
「無意識に『そうして』しまうのであれば、抑制する方法を探す」
スティブナイト
「わざわざ対話なんかせずとも、悪の救世主『スティブナイト』を殺せば済む話だろう」
シャーデン
「いいや、対話は必要だ」
「俺と君は会話ができる」
「会話ができるなら、手を取り合うことができる」
シャーデン
「君に何があったのか教えて欲しい」
「君が何者であるか教えて欲しい」
「俺は君を、救いたい」
シャーデン
*スティブナイトの心の疵『朧』を愛で抉ります。
シャーデン
*同時にクエスト『物資支援』をします。
黒結晶
2d6+6+2=>7 判定(+脅威度) (2D6+6+2>=7) > 9[5,4]+6+2 > 17 > 成功
[ シャーデン ] ティーセット : 2 → 1
シャーデン
2d6+4+2-5=>7 判定(+愛) (2D6+4+2-5>=7) > 8[5,3]+4+2-5 > 9 > 成功
[ 黒結晶 ] HP : 53 → 52
[ スティブナイト ] 朧 : 0 → -1
スティブナイト
「好きこのんでこんな身体に生まれる奴が、どこにいる?」
シャーデン
「……生まれてくるときのからだのことは、誰にも選べない」
「それがどのように変化するかも、自分で選べないこともあるだろう」
「けれど、それを悲観することはない」
スティブナイト
「……お前みたいにおめでたい頭でいられたら」
スティブナイト
「ちょっとはマシな人生だったのかも」
スティブナイト
黒いマントの下に隠れた身体は、男性的と言うには少し小柄だ。
スティブナイト
「何があったのか? 俺が何者か?」
スティブナイト
「お前の自己満足に付き合わされるなんて、ごめんだね」
シャーデン
「ああ、俺の驕りだ」
「俺の自己満足だ」
「だが、これこそが、俺が堕落の国にやってきた理由そのものだ」
シャーデン
スティブナイトに近づく。
救世主同士の間合いとは思えない、迂闊とも言える距離。
スティブナイト
「お前と俺は、分かり合うことがない」
スティブナイト
「お前の自己満足で、誰が傷付く?」
シャーデン
「…………誰かが傷つくというのなら、その痛みを引き受けよう」
シャーデン
「俺ならそれに耐えられるし、耐えてみせる」
スティブナイト
「お前に耐えられる痛みだと思われているのなら」
スティブナイト
それと同時に、全員の視界にノイズがかかって。
GM
次の瞬間には、スティブナイトはどこにもいない。
シャーデン
「……まだ分からないな」
「『彼』のしたいことも、『彼』のことも」
シャーデン
「だが……話せる。今のところ、俺への危害はなかった」
シャーデン
「……できるんじゃないか?お茶会」
冗談めかしたように、ササナとビルケヴァーグに言う。
ビルケヴァーグ
「……俺には、そうは見えなかったが」
構えた剣をゆっくりと下ろす。
既にスティブナイトの気配はない。
ササナ
少なくとも会話はできていたけれど…、私には難しい気がする…。
シャーデン
「ここまで悪名高くなってしまったんだ、ああいう態度でもおかしくはない」
「引き続き警戒はすべきだが、彼は同じ救世主だよ」
ササナ
「そ、そうですね…!最初は誰でも警戒するものですし…!」
シャーデン
「うんうん。しかも、こっちは三人だ。囲まれては誰だって警戒する」
ビルケヴァーグ
「楽観的だ」
嘆息する。自分だけは警戒を怠ってはならないなと改めて気を引き締めた。
[ シャーデン ] ラストヤリイカ : 0 → 1
GM
Choice[ビルケヴァーグ,ササナ] (choice[ビルケヴァーグ,ササナ]) > ビルケヴァーグ
PK割り込み:1回目
GM
2d6 (2D6) > 8[3,5] > 8
GM
3.小屋。黒結晶に覆われていて、その重さで半分倒壊している。
GM
5.道に迷う。木々の向こうに人影が見える。あなたを見ているそれは幻? 本物? 一体誰?
GM
救世主が見せる幻影か、それともこの森がずっと同じ景色ばかりであるからか。
GM
気付けば、ビルケヴァーグの隣には誰もいない。
GM
木と結晶ばかりの空間に、ひとつ。そうではないものがある。
GM
見上げれば微動だにしない黒い木々が、お前を見下ろしている。
ビルケヴァーグ
片手に剣を携えたまま、注意深く小屋の中を見回す。
二人の姿はない。
ビルケヴァーグ
「……忠告した俺自身が逸れるとは」
ビルケヴァーグ
ここから離れるべきか、それとも留まるべきか。
しばし逡巡する。
スティブナイト
「あの3人の中じゃあ、お前が一番しっかりしてると思ってたんだけど」
ビルケヴァーグ
「ッ!」
弾かれたように切先を向ける。
ビルケヴァーグ
「それがただ俺を煽っているだけだと分からない程愚かではない」
ビルケヴァーグ
「なら、こんな森に閉じこもってなどいないで探しに行けばいい。貴様の疵をも分かち合えるような仲間を」
ビルケヴァーグ
「皮肉としては直截的すぎるな。及第点はやれない」
ビルケヴァーグ
「それで? 貴様はもう退屈に飽いて話し相手でも探しに来たのか?」
ビルケヴァーグ
「俺ならもっとマシな相手を探すな。どうにも口調が堅すぎるとちょうど指摘されたばかりだ」
スティブナイト
「あの3人の中じゃあ、お前が一番マシだ」
ビルケヴァーグ
「あの二人の分まで危機管理を担っているだけだ」
ビルケヴァーグ
「それに見合うだけの役割を果たしてもらっている。シャーデンにも、ササナにも」
ビルケヴァーグ
話している間にも、金に輝く鋭いレイピアはスティブナイトの心臓へぴたりと向けられている。
低く静かな声は、冷ややかな警戒を帯びたまま。
スティブナイト
そのレイピアを見て、それからまた笑う。
スティブナイト
「もうちょっと適当にやってもいいんじゃないのか」
ビルケヴァーグ
「他者がいないことは怠惰の理由にはならない」
ビルケヴァーグ
「俺のことは常に俺自身が見ている」
スティブナイト
するりと切先から逃れて、お前に近付く。
ビルケヴァーグ
乱暴なほどの力でその手を振り払う。
ビルケヴァーグ
分かってしまう。自分の中に、それが、ある。
スティブナイト
「でも、したほうが合理的なんじゃないか」
ビルケヴァーグ
そのためには、お茶会をして疵に触れ合う必要がある。
何故か?
ビルケヴァーグ
それによって、単なる暴力以外の形で相手の力を削ぐことができるからだ。
ビルケヴァーグ
弱点を突けば、手足を斬り飛ばすよりも、頭を殴り飛ばすよりも簡単に無力化できる。
ビルケヴァーグ
そして目の前の救世主の弱点は、この黒い森や幻覚を見せるような力、そして先程のシャーデンとのやり取りで憶測がつく。
ビルケヴァーグ
力に自信があるのなら、このような力は出せないのだ。
ビルケヴァーグ
自身の身体への疎ましさを語る眼の前の救世主のことは。
スティブナイト
*ビルケヴァーグの心の疵「人間」を猟奇で抉ります。
ササナ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
[ ササナ ] ティーセット : 2 → 1
ササナ
2d6+0+2=>7 判定(+才覚) (2D6+0+2>=7) > 2[1,1]+0+2 > 4 > 失敗
GM
*お茶会中ファンブル時のアイテム破棄なしでいいです。
スティブナイト
2d6+5=>7 判定(+猟奇) (2D6+5>=7) > 6[3,3]+5 > 11 > 成功
ビルケヴァーグ
切先が震える。
柄を握りしめる手に力が入りすぎている。
ビルケヴァーグ
本当か? 心の疵の力は、偽ることが難しいはずだ。
偽れるようなものなら、疵になどなっていないのだから。
ビルケヴァーグ
カタカタと音を立てて、自分の中で揺れている。
ビルケヴァーグ
救世主を“殺す”のが、自分の役目であり、
ビルケヴァーグ
間違ってなど、いない、のでは、ないか?
GM
この機会を逃すわけにはいかないのではないか?
ビルケヴァーグ
そうだ、俺にはわかる。わかっている。
ビルケヴァーグ
わかっていて、そうしない方が、間違って、いる。
ビルケヴァーグ
各上の余裕で疵を晒すというのなら。
ビルケヴァーグ
完膚なきまでに、壊してしまうしか、ない。
ビルケヴァーグ
それはビルケヴァーグがスティブナイトに金のレイピアを突き刺して引き倒した音であり、
ビルケヴァーグ
ビルケヴァーグの中の天秤が、有り余る重荷で振り切れて、バラバラに壊れた音でもあった。
ビルケヴァーグ
曇りひとつなかった刀身が、血に濡れる。
ビルケヴァーグ
金の長針はスティブナイトの肩を貫き、軋む床の上に縫い止めている。
スティブナイト
黒結晶の力さえなければ、本人は無力だ。
スティブナイト
心の疵。猟奇性。それは黒結晶となって具現化し、周囲を傷付けるが。
スティブナイト
この肉体には、その剣を払いのけられるほどの力はない。
スティブナイト
抵抗する気もないようで、ただ、お前を見上げて、笑っている。
ビルケヴァーグ
自分のそれよりも柔らかな輪郭が笑っている。
それに殴られたようにガンガンと頭が痛んで、怒りが湧く。
ビルケヴァーグ
スティブナイトの胸倉を掴んで、荒々しくマントを引き裂いた。
スティブナイト
身体の線を隠す服が剥ぎ取られれば。
ビルケヴァーグ
こいつは女であることを厭っている。
ビルケヴァーグ
場違いな親近感が朧の様に胸の内に湧いて消えていった。
ビルケヴァーグ
あとはもう、そこに見える者を嬲るだけ。
スティブナイト
抵抗はしない。抵抗するだけ無駄だと、思っているから。
ビルケヴァーグ
生まれつくからだのことは、誰にも選べない。
それがどのように変化するのかも、選べない。
スティブナイト
どんなに強い力を得ても、結局どこまでいっても。結局こうして、肉体に縛られる。どうしようもない。
ビルケヴァーグ
自分が、ある日の心地好い夢から覚めた朝、ベッドの上で悪寒と恐怖に震えたように。
ビルケヴァーグ
彼女も、いつかの日に腹を苛む痛みと流れ出る血に絶望したのだろう。
ビルケヴァーグ
そうすれば彼女の力を削ぐことができると。
ビルケヴァーグ
これができるのは自分しか居ないと。
スティブナイト
笑う。笑って、嫌になるくらい高い声と、吐息が漏れる。
ビルケヴァーグ
それは、頭痛と吐き気がするほどに甘く響いて、脳を侵した。
ビルケヴァーグ
嫌悪感がぼやけていくほどに、また嫌悪に苛まれる。
ビルケヴァーグ
嫌悪に眉を顰めても、身体はそれで止まってはくれない。
ビルケヴァーグ
身に染み付いた義務感も、止めさせてはくれない。
ビルケヴァーグ
暴力を振るって、彼女を嬲っているのは自分の方なのに、どうしようもない痛みに必死に抗っているように瞳が歪む。
ビルケヴァーグ
白い肌だ。自分とは違う柔く白くまるい肌が。
ビルケヴァーグ
それがどうしようもなく自分の中にあるものを満たしていくのを止められないまま。
スティブナイト
全てを諦めたような笑みで、お前を見ている。
ビルケヴァーグ
それが憎らしくて、横っ面を殴り飛ばした。
ササナ
その光景を、ササナはずっと見ていた。聞いていた。
ササナ
ビルケヴァーグが、スティブナイトに覆いかぶさる様子を。その行為を。
ササナ
何故止めなかったのだろうか、声をかけるタイミングなどいくらでもあっただろうに。
ササナ
口元を押さえ、息を殺し、自分の存在をかき消すように全身を強張らせて身を縮こませる。
ササナ
それでもなお激しく鳴り響く心音で気づかれないかびくびく震えながら、"それ"が終わるのを待つ。
ササナ
目を背けても、行為による音がササナの脳を激しく揺らす。
ササナ
その行為は確かに相手を"殺す"ものかもしれない。
何も間違ってはいない、これは相手の疵を抉るために必要なものだ。
ササナ
けれど、そう自分に言い聞かせるような才覚がササナにはない。
ササナ
これはただの"暴力"だ。人を傷つけるための行為だ。人間同士の醜い交わりだ。
ササナ
自分で全身を抱きしめるように腕を絡め、自分という存在を繋ぎ止めるために肉に爪を立てる。
ササナ
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
囁くような声で、魔法の呪文を唱える。
ササナ
胸に空いた穴が疼く。今この瞬間にも穴が広がっているのではないか…。
シャーデン
ササナの周囲を守りながらやってきたその魔女は、行為中の様子は見ていない。
シャーデン
だが、ササナの後ろから、それを見て『何』が行われているか理解できる。
シャーデン
ササナも、自分も、『誰か』からそれを受けたことがある。
シャーデン
「ササナ、」
声をかける。下がれ、とも見るな、とも言わない。
それが無駄だということくらい、分かっている。
ビルケヴァーグ
「っは、あ……」
震える唇から漏れる吐息も、顰めた眉も、ひどく情けない。
ササナ
ビルケヴァーグのその顔を、ササナが見ることはない。
ビルケヴァーグ
愚かな、どうしようもない、獣みたいに阿呆らしい、人間の顔だった。
[ ビルケヴァーグ ] 人間 : 0 → -1
[ ササナ ] HP : 30 → 29
[ ビルケヴァーグ ] 絶望浸蝕 : 0 → -1
1ラウンド目:ビルケヴァーグ
GM
*状態「絶望侵蝕」中なので、抉る対象の疵と能力値を指定します。
GM
*また、クエストについては指定はありません。
GM
*好きなものを一つ選んで行ってもらって構いません。
ビルケヴァーグ
よろめきながら、スティブナイトの上から退く。
ササナ
いまだに、顔どころか…体すらそちらを向いていない。
ササナ
「…は、い」
かろうじて、返事はかえってくる。
ビルケヴァーグ
端的な返事に、どうしてか苛立ちが湧く。
ビルケヴァーグ
分かっていてどうして止めなかったんだ。
ビルケヴァーグ
いつもの自分なら、それを暴力の被害者でありそれによってトラウマを抱えているササナに求めるべきものではないと分かるはずなのに、頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、自分を制する自分の声も届かない。
ササナ
どうして止めなかったのか。それは、だって…いつもあなたは正しかったから。
ビルケヴァーグ
ササナが目を逸らしていることに、その気まずいような返事に、この行為を止められなかったことに、馬鹿にされている気すらしてくる。
シャーデン
「ビルケヴァーグ」
「これは……」
そこでようやく言葉を発する。
ビルケヴァーグ
シャーデンまで、俺のしたことを知っている。
ビルケヴァーグ
信頼していた仲間が、途端に、自分という囚人を見咎める看守になったような心地になる。
スティブナイト
現にこうして、敵が傷付いているじゃないか。
スティブナイト
そんなお前を責める奴がどこにいる?
ササナ
「だ…」
そこでようやく、ササナがビルケヴァーグの方を向いて口を開く。
ササナ
震える声音で、下手くそな笑みを浮かべながら…ただ"大丈夫"とだけ告げる。
ササナ
何が大丈夫なのかもわかっていないのに、ただ"大丈夫"を繰り返す。
シャーデン
「……」
大丈夫、と、となりで繰り返せない。
どう見ても、これは…………。
ビルケヴァーグ
「そうやって、また、顔色を窺って、」
ビルケヴァーグ
「それで済むと思ってるのか……!」
ササナ
自分でも、なにが大丈夫かなんてわかっていないのだから。
ササナ
「でもっ…、その」
見つかるはずのない言葉を探しながら、身振り手振りをしながらビルケヴァーグに近づいていく。
ササナ
おぼつかない足取りで、今まで培ってきた信頼を頼りに…距離を詰めていく。
ササナ
きっとあなたなら、良い言葉を見つけて…それを教えてくれるはずだと。
ビルケヴァーグ
「……ッ」
固く握りしめた拳が、震えている。
ビルケヴァーグ
*ササナの「鎖」を才覚で抉ります。
ビルケヴァーグ
*クエストNo.1も合わせて行います。
ビルケヴァーグ
*ティーセット使用 本当にイヤだけど逆らえないんだ……!
シャーデン
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
シャーデン
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 3[1,2]+3 > 6 > 失敗
ビルケヴァーグ
2d6+4+2=>7 判定(+才覚+ティーセット) (2D6+4+2>=7) > 12[6,6]+4+2 > 18 > 成功
[ ビルケヴァーグ ] ティーセット : 2 → 1
シャーデン
「ビルケヴァーグ!」
叫んで、2人の間に入る。
ビルケヴァーグ
振り抜いた手の甲が、シャーデンのこめかみを強かに打つ。
シャーデン
「が、ッ」
受け身も取らずに床に転がる。
ササナ
「………あっ、え?」
少し反応が遅れ、今起こったことを理解する。
シャーデン
「…………っ、」
頭を抑えて殴った男の顔を見つめる。
ササナ
「………え」
途端に、全身から力は抜け…足がもつれてその場に座りこむ。
ビルケヴァーグ
シャーデンを殴った男の目は血走って、荒い息に肩が上下している。
GM
かつてササナに暴力を振るった救世主のことが、脳裏に過ぎる。
GM
こうして目の前で暴力を見せられて、じゃあ、次は誰の番?
ササナ
地面に頭をこすりつけ、自分は何の抵抗もしないと相手に見せる。
ササナ
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
ササナ
「ん、ぐっ…ごっ、ごめんなさい…!」
それでも言葉を続ける。
シャーデン
「ビルケヴァーグッ!」
止めようとするが、力では及ばない。
ササナ
「なんでも致しますからどうか許してください。視界から消えろと言われれば消えます、ご奉仕も致します、だからどうか許してください、お願いします…お願いします」
ビルケヴァーグ
「大して考えもせずに言葉を並べ立てるな! 分かってもいないくせにッ!!」
ササナ
何も考えていない謝罪しか、口にすることができない。
ビルケヴァーグ
「またそれだ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、鳴き声みたいにぴいぴいと!!」
ササナ
けれど、こうして謝罪を続けていれば…罵倒されようと、暴力を振るわれようと、いつかは終わる。
ササナ
そうして終わりを待つ方法しか、ササナは知らない。
GM
お前は二人に、そこから連れ出されたはずなのに。
ビルケヴァーグ
視線が合わないのが腹立たしくて、今度はササナの肩を蹴り上げる。
ビルケヴァーグ
「そうやって馬鹿みたいに囀って本当に誠意のある奴なんて何処にも居ないんだよ!! 今まで腐るほど見てきた馬鹿共の中に、一人も!!」
シャーデン
2人を止める手段がない。
割り込むことができない。それは『己の苦痛ではない』から。
ササナ
「…っ"う、っ!」
痛みに対して、声をあげてはならない。
シャーデン
ここでササナの苦痛を和らげても、何の意味もない。
すべてを肩代わりすることなんてできない。
ササナ
手も、足も、首も…全身が重い。
もうとっくの昔に外してもらったはずの枷が、鎖が…。
[ ササナ ] 鎖 : 0 → -1
ササナ
「…ひっ、ぅ!」
その顔を見て、思わず声が漏れる。
ビルケヴァーグ
鬼の様に牙を剥いて、ササナを責める。
ビルケヴァーグ
「黙って目を逸らしてやり過ごそうという魂胆だろう。そんなことで終わりはしないんだよ、わかるだろ、解らないのか!?」
ササナ
「あっ、ぃ…いえ…ぅ」
それに返すことはできない。自分の答えを持ってはいないのだから。
ビルケヴァーグ
「何が悪いのか分かりもしないで軽々しく謝るな! 誰が悪いのかも考えないで迂闊に動くな!」
ビルケヴァーグ
燃え盛る怒りの火が弱まって、黒い煙を吐いた。
ビルケヴァーグ
ササナを掴んでいた手から力が抜ける。
ササナ
もう、全てを受け入れるだけの存在に成り果てていた。
ビルケヴァーグ
どうして自分はこんなことをしていたのか、今はもう何も解らなくなっていた。
シャーデン
……どちらかに『そうじゃない』と言えなかった。
この2人が『そうである』ということについて、自分がきっと一番、理解しているからこそ、言うべきではないと思った。
[ シャーデン ] HP : 23 → 22
[ ビルケヴァーグ ] 手札+1 : 0 → 3
GM
*裁判開始から3Rの間、ビルケヴァーグさんに手札+1枚の効果がつきます。
GM
*また、救世主「スティブナイト」の情報が公開されます。
GM
*ビルケヴァーグさんはスペシャルで価値25までの小道具を獲得してください。
[ ビルケヴァーグ ] ウサギのお守り : 0 → 1
1ラウンド目:ササナ
ササナ
2d6 シーン表 (2D6) > 8[6,2] > 8
GM
6.黒結晶が舞っている。避けないならば、ぶつかってあなたを傷付けようとしてくる。
GM
2.薄暗く冷えた森を歩く。どれほど歩いても黒い光景が続いている。それは不安を煽り、陰鬱な気持ちになる。
シャーデン
3人の傷は癒やしたが、疵は癒せなかった。
シャーデン
今まで、2人の疵が、こんなに状態が悪化することはあっただろうか。
シャーデン
小さな諍いはあったかもしれない。俺が見ていないだけかもしれない。
シャーデン
『救世主』同士であるならば、こういったことも、いつあってもおかしくはない。
ビルケヴァーグ
「……シャーデン」
別人のように弱々しい、掠れた声で名を呼ぶ。
ビルケヴァーグ
「……ササナを……看てやってくれ」
ビルケヴァーグ
「俺はもう、近付くことすら許されないだろうから」
シャーデン
「それが君なりの誠意というなら」
「今の君はまともな状態じゃない」
シャーデン
「『君』はそういう救世主じゃ、ないだろう」
ビルケヴァーグ
「そしてそれは、取り返しが付かない。そうだろう」
シャーデン
「一度の過ちで取り返しがつかないなら、俺たちは最初に裁判をしたときから取り返しのつかないことをし続けているんだよ」
シャーデン
「それでも信頼を経て、協力をして、やってきた事実で、今がある」
シャーデン
(…………まあ、この言葉を、今の君に言っても、響かないだろうけどな…………)
ビルケヴァーグ
最初の30日、その先を生きるために他の救世主を殺した時から、自分たちは殺人者だ。
ビルケヴァーグ
生きるために人を殺し続けて、力をつけることで今がある。
ビルケヴァーグ
名の知れた救世主など、皆そうだ。
殺し続け、積み上げた屍で今の自分達ができている。
ビルケヴァーグ
「……ならば、この討伐が終わった後に、俺を殺せ」
ビルケヴァーグ
「間違えた俺を殺して、より正しいお前達が、生きろ」
ビルケヴァーグ
今はまだ、投げ出せない。だけれど任されたこの依頼が終わったのなら、その時は。
ビルケヴァーグ
頭を振る。次第に冷静さが戻ってきた。
ビルケヴァーグ
「……すまないな。らしくないと言われればその通りだが、一度引き受けた仕事を投げ出すつもりはない」
ビルケヴァーグ
「どちらにせよ、今のササナに接するのは俺じゃなくてシャーデンの方がいいだろう。少し外に出る。お前達の眼が届く範囲からは出ない」
ビルケヴァーグ
そう言い残して、小屋を出る。
硝子の割れた窓枠から、枯れ木に寄りかかる後ろ姿が見えるだろう。
シャーデン
(一度戻って依頼を中断すべきか……)
(しかし、ビルケヴァーグのあの様子だと…………)
シャーデン
(『間違えた俺を殺して』とはな)
(ひどいことを言う)
シャーデン
(……この状態が改善しなければ、この森の調査どころではない)
シャーデン
(今の俺がすべきことは……)
「……ササナ」
声をかける。
ササナ
「………はい」
俯いたまま、返事だけがかえってくる
シャーデン
「……そうか」
「見ての通り、ビルケヴァーグがああなってしまったからには、探索を一旦中断しなければならない」
シャーデン
「この森に長居するのは危険だろうが……」
「ここは君も休んだほうが良い。傷は治っただろうが、まだ痛いところがあったら言ってくれ」
ササナ
「…そう、ですね。………そうかも、しれません」
震える体を押さえつけながら、そう返す。
ササナ
「…少し、ビルケヴァーグさんと話しても…いいですか?」
ササナ
「話すこと、何も…浮かんでないし…。何も、考えられてない…んですけど…」
シャーデン
「むしろ、ササナがそう言ってくれて嬉しい」
シャーデン
「俺の言葉より、きっと君の言葉のほうが効くだろうから」
ササナ
「私が、ビルケヴァーグさんとお話しします」
シャーデン
「うん」
「怖がらなくていいから、安心して行ってきなさい」
肩に手をポンと置く。
ササナ
そう言って、ササナはビルケヴァーグの元へと歩みを進める。
ビルケヴァーグ
「…………」
近付いてきた足音の方をちらと見て、数歩遠ざかる。
それでも逃げはしない。
ビルケヴァーグ
己を裁く権利があるのは、正しくササナにあるだろうから。
ササナ
その様子を見て、思わず立ち止まってしまう。
足がすくんで、前を向けない…進めない。
ササナ
「あの、ビルケヴァーグさん…」
続く言葉は、まだ浮かんでいない。
ササナ
ここで言葉を止めると…あなたがどこかへ行ってしまいそうな気がして。必死で言葉を探す。
ササナ
「何も考えずに、ここまで…来てしまったんです…」
ビルケヴァーグ
その言葉に首を振った。
「……いいや。ササナは、きちんと考えている」
ビルケヴァーグ
「なのに、俺はササナの努力を踏みにじるような言葉を投げつけたんだ」
ビルケヴァーグ
「……あれから、ササナは、ずっと頑張っているよ」
ビルケヴァーグ
遠回しに示すは、ササナと出会ったときのこと。
ササナ
「私はあなたにかける言葉を、見つけることが…できないんです…」
ササナ
「二人のことを、ただ追いかけて…真似をするだけだったから…」
ササナ
「自分の考えを、見つけることができないでいる…」
ササナ
「私、ずっと二人に恩返しがしたいって思ってたんです…。いつか、助けてもらったお礼ができたらって…」
ササナ
「二人の、優しさに甘えたまま…ついていくだけだった自分には」
ササナ
「この心の疵に、向き合うだけの勇気と…強さは、お二人から頂いたつもりです…」
胸元を、ぎゅっと掴む。
ササナ
「それだけは、ちゃんと…自分の中でわかっています…」
ササナ
「ビルケヴァーグさん。私、ちゃんと考えます」
ササナ
「二人についていくだけじゃなくて、一人の…仲間としてちゃんと…」
ササナ
さらに一歩、また一歩とあなたに近寄っていく。
ササナ
まだ怯えもある。けれど、それも引きずっていきながら距離を詰めていく。
ビルケヴァーグ
視線を僅かに上向けた。後悔に翳る瞳があなたと合う。
ササナ
「私を、見ていてくれませんか?」
そう言って、ササナは手を伸ばす。
ササナ
*ビルケヴァーグさんの心の疵「人間」を猟奇で舐めます
スティブナイト
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
[ スティブナイト ] ティーセット : 3 → 2
スティブナイト
2d6+3+2=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2>=7) > 6[3,3]+3+2 > 11 > 成功
[ スティブナイト ] ラストヤリイカ : 1 → 0
[ ササナ ] ティーセット : 1 → 0
ササナ
2d6+4+2-9=>7 判定(+猟奇) (2D6+4+2-9>=7) > 2[1,1]+4+2-9 > -1 > 失敗
[ ビルケヴァーグ ] ウサギのお守り : 1 → 0
ササナ
2d6+4+2-9=>7 判定(+猟奇) (2D6+4+2-9>=7) > 11[6,5]+4+2-9 > 8 > 成功
ササナ
ササナの手がビルケヴァーグに伸びる。
大切なものに触れようとするように、優しく…ゆっくりと。
ササナ
そして、その手は…ビルケヴァーグの肩に置かれる。
ササナ
ぎこちなく、触れたあとも置く位置を気にするようにもぞもぞと動いている。
ビルケヴァーグ
それは、出発前にした些細だけれど、確かなやり取り。
ビルケヴァーグ
友人のように触れ合うやり取りだった。
ビルケヴァーグ
白手袋に覆われた手は、未だササナの手の中にある。
ビルケヴァーグ
もう片方の手が置かれた肩も、ササナのそれとは違い、広くがっしりとしている。
ビルケヴァーグ
シャーデンは男ながらも線が細いが、一方のビルケヴァーグは精悍と言ってもいい、筋肉のついて厚みのある、正に“男らしい”身体だ。
ビルケヴァーグ
けれどそれは、今は縮こまるようにわずか、強張っていた。
ササナ
触れるたびに、自分との違いを実感し…先ほどの恐怖を思い起こさせる。
ササナ
「こうしたい、というのは…ちゃんと私の気持ちですから」
ビルケヴァーグ
今までのササナなら、反射的に無理はしていないと答えていただろう。
ビルケヴァーグ
無理をしていると、ちゃんと伝えてくれるのは。
言い淀み、言葉を探しながらも、気持ちを伝えてくれるのは。
ビルケヴァーグ
「ならば、俺からも謝らせてくれ。もちろん許さなくていい。ただ、間違いだったとはっきり認めたいんだ」
ササナ
ようやく、自分の考えが…気持ちが湧き上がってくる。
ササナ
「今からあなたを殴り返しますねっ、ビルケヴァーグさん…!」ぐっ
ビルケヴァーグ
「思い切り頼むぞ。まずは頭からだ。ついでにシャーデンの分も頼む」
シャーデン
「…………!?」
理解が及んでいないがちゃんと様子を見ている。
ササナ
ぐっ、すすす…じりじり…
(えっと、うーんと…)
ササナ
疵の力は使っていないとはいえ、救世主の体だ。
鈍い音を立てて、ビルケヴァーグの体は一瞬地面から離れる。
ビルケヴァーグ
「ぐ……ッ!」
くぐもった呻き声と共に、地面に倒れ込む。
黒結晶がガッシャガッシャ割れた。
ササナ
「………」
(強くやりすぎたかもしれない…)
ササナ
「だ、大丈夫ですかビルケヴァーグさんっ…!」
急いで駆け寄る。
ビルケヴァーグ
「ササナやシャーデンの事情とそれらによって更に増す苦痛や恐怖、更には俺の暴言も含め、最低でもあと10発は必要ではないかと考える」
ビルケヴァーグ
「しかしもちろんそれを裁定するのはササナだ。いくらでも増やしていい」
ビルケヴァーグ
「真面目さでは罪は償えないんだ!!」
ビルケヴァーグ
「はっ……すまない、シャーデンと相談しても構わない。というか相談した上で二人の納得の行く殴り回数を……」
ササナ
「いえ、私が裁定してもいいんでしたら…」
ぺしっ、と…ビルケヴァーグの頰が軽く叩かれる。
ササナ
「その…、ビルケヴァーグさんがその罪を受け止めてくれているのなら…。私はそれでいいんです」
ササナ
「それに、これって殴る方も結構つらいですよ?…それでも続けてほしいですか?」
ビルケヴァーグ
「……すまない。本意ではない暴力を強要する事もまた加害であり、これらは俺自身の罪の清算というよりもむしろササナの心理的負担や所謂“けじめ”を付ける行為であり、であるならば――」
ビルケヴァーグ
「……あー、つまり」
コホン、と一度咳払い。
ビルケヴァーグ
「……ササナに殴られても、殴られなくても、どうであろうと。俺のしたことは変わらない。その罪を忘れない」
ビルケヴァーグ
「俺は……俺の、暴力性を抑えきれなかった。それはどんなに理由をつけても、するべきではなかった……」
ビルケヴァーグ
「本当に、すまない。冷静さを失って、ひどく怖い思いを、痛い思いをさせてしまった。
……俺が間違っていた」
ササナ
「私も、今までずっと二人に頼り切っていたんだなって…思いました」
ササナ
「これから少しずつ、お二人と肩を並べられるように…努力しますね」
シャーデン
「途中からはらはらしてしまったが……」
二人のもとにやってくる。
ビルケヴァーグ
「シャーデン、お前にも謝罪を。冷静でない俺を止めようとしてくれたのに、こともあろうに衝動のままに殴り飛ばしてしまった」
ビルケヴァーグ
やってきたシャーデンの方へ、再び深く頭を下げた。
シャーデン
「頭も冷えたようでなにより」
にっこり。
ビルケヴァーグ
「もちろんこの依頼が終わった時点で二人が俺を裁いてかまわないが……」
シャーデン
「おっと、それ以上は冷えた布を頭に押し付けることになるぞ」
ササナ
「そうですよ、この流れでそれはなしですよ…!」
ビルケヴァーグ
「流れで罪は消えないんだ……!!」
シャーデン
「うーん、今は消えない罪より優先すべきものがあるんじゃないのか?」
シャーデン
「君がしたことは、『もうひとつ』あっただろう」
ビルケヴァーグ
思い出したくもないが、しかし、やったことから目を逸らすわけにはいかない。
シャーデン
「俺たちはもう一度、会わなければならない」
「『彼』に」
シャーデン
「ササナも……彼と会うのは大丈夫か?」
直接危害は加えられていないが、こうなった原因はスティブナイトにもある。
ササナ
「…はい!私も、少し話してみたいと思い始めているので」
[ スティブナイト ] HP : 20 → 19
[ ビルケヴァーグ ] 人間 : -1 → 0
[ ビルケヴァーグ ] 絶望浸蝕 : -1 → 0
GM
*全員、技能が一つ入れ替えられます。脅威度6までの技能が取れます。
GM
*お茶会終了時までの任意のタイミングで大丈夫です。いい感じにやっておいてね。
PK割り込み:2回目
GM
また、残り二人の視界には、ササナだけがいない。
ササナ
「…っ!」
すぐに武器を、鍵の束を取り出そうとするが…
スティブナイト
他の二人と話しているときの声と比べて、どこか優しそうな声。
スティブナイト
「ほら、じゃあ、一緒に考えてみようか?」
シャーデン
「ッ、ササナ!」
周囲を見渡すが、その姿は見当たらない。
ビルケヴァーグ
「クソッ! 目くらましか、転移か……」
銀のスティレットを取り出し、空間を切り裂くように薙ぐ。
しかし、それも宙を空振るだけだ。
スティブナイト
ふと、ササナの視界から姿が消えたと思えば。
スティブナイト
「仲間を殴ったところでお前の疵は癒えない」
スティブナイト
「それで彼の罪悪感が、いくらかマシになったとして」
ササナ
その通りだ。まだこの疵は痛む。体の震えが取れないのも、そのせいだ。
スティブナイト
「罪より、痛みより、悪い救世主を討伐することを優先されて」
スティブナイト
「お前は誰に慰められることもなく、苦しみを抱える」
スティブナイト
「なんとなく、解消された気になって、誤魔化していたのは」
スティブナイト
「起こったことは変わらないことに」
スティブナイト
「お前が受けた苦しみは、苦しみのままだってことに」
ササナ
「……それ、は」
そんなことはない、と言うのは簡単だ。
ササナ
けれど、それはまた…"何も考えていない"ことになる。
ササナ
だから考える。その行為が今、胸の穴を疼かせているのだと気付かずに。
スティブナイト
「知らないなら、教えてあげようか」
スティブナイト
*ササナの心の疵「鎖」を猟奇で抉ります。
ビルケヴァーグ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ビルケヴァーグ
2d6+4=>7 判定(+才覚) (2D6+4>=7) > 8[3,5]+4 > 12 > 成功
シャーデン
*ラストヤリイカをビルケヴァーグに渡します。
[ シャーデン ] ラストヤリイカ : 1 → 0
ビルケヴァーグ
*ラストヤリイカを使用。+4で合計7の横槍
[ スティブナイト ] ティーセット : 2 → 1
[ スティブナイト ] 子山羊皮の手袋[ : 2 → 1
スティブナイト
2d6+5+2+2-7=>7 判定(+猟奇) (2D6+5+2+2-7>=7) > 7[6,1]+5+2+2-7 > 9 > 成功
ササナ
そんなことはないと、考えれば考えるほど…。
ササナ
それは鎖に繋がれていた時の傷の痛みを呼び起こし、胸に空いた穴をじわじわと広げる。
ビルケヴァーグ
「……ッ」
一瞬鈍った手を、再び振るう。
ササナ
瞬間、胸を覆っていた包帯が、衣服が黒ずんで…灼き焦げるように落ちる。
シャーデン
これ以上この隣の男に罪を背負わせないでくれ。
ササナ
胸に空いた穴が、目の前のあなたにさらけ出される。
ビルケヴァーグ
ならば、ササナを、敵の手に落とすようなことは、
ビルケヴァーグ
「……ッ、ササナ! ササナ、返事をしろ!」
ササナ
返事はない。今は、この穴を撫でてくれる感覚にだけ集中している。
ビルケヴァーグ
「自立の先で、孤独になるとは限らない!
思考の先は、絶望なんかじゃない!」
ビルケヴァーグ
「お前達と、一緒に居られてるじゃないか!」
シャーデン
「俺たちがいるだろう!!!」
届くことはない。
ビルケヴァーグ
「思考を止めるな……思考の先が絶望だなんて、そんな怠惰に甘んじるなッ!」
ビルケヴァーグ
たとえ、行きつく先が絶望だとしても。
ビルケヴァーグ
「絶望することは、止まることだ……!」
ビルケヴァーグ
「そんなもの思考なんかじゃない!」
ビルケヴァーグ
「俺たちは、どこかに行きつくために思考しているんじゃない、」
ビルケヴァーグ
「生きるためだ、人として生きるためだろう!?」
ササナ
「じゃあ、そっか…」
ぽつり、と…それに反応したような言葉を返す。
ビルケヴァーグ
それは、確かに諦めたということの、返事。
シャーデン
「君が死んでいるというのなら」
「君を蘇らせよう、なんどでも」
シャーデン
「俺たちは君の手を離したりなんかしない」
「君をどこまでも追いかけて、救うぞ」
GM
ササナとスティブナイトが二人の目の前に現れる。
GM
手を伸ばせば、あるいは、止められたかもしれなかった。
ササナ
胸の穴が、黒い結晶で満たされた状態で…ササナはスティブナイトに寄りかかっている。
シャーデン
「サ、サナ」
と、現れたスティブナイト。
ビルケヴァーグ
「ッ!」
見当違いの場所へ振るっていたスティレットを、すぐさまスティブナイトへ向ける。
ビルケヴァーグ
「……生憎」
地の底から響くような低い声。
スティブナイト
「お前たちができなかったことだよ」
ビルケヴァーグ
言外に、シャーデンへササナの奪還を任せる。
ビルケヴァーグ
今は自分が行っても逆効果になるかもしれない。
シャーデン
ササナに近づく。
(…………結晶が……………………)
シャーデン
(…………いや、まだ。まだ、…………)
まだ、そうじゃないと、信じたい。
シャーデン
「ササナ」
「こっちにおいで」
優しく言葉を投げかける。誰かとは対象的に。
ササナ
「そうですね、シャーデンさんは…きっと救おうとしてくれる」
シャーデン
「ビルケヴァーグにも」
「そこにいる『彼』も」
「俺は同じことを言う」
シャーデン
「それは、」
「……まだ、言うには、早いだろう」
シャーデン
「君に話してないことがたくさんある」
「君に伝えたい事がたくさんある」
「君としたいことがたくさんある」
シャーデン
「だから、ササナ」
「頼む」
「…………こっちに、」
ササナ
「大丈夫ですよ、シャーデンさん」
表情は変わらない。ただ、ぼうっとあなたを見つめる。
ビルケヴァーグ
そんなことはない、などと、言えるはずがない。
ビルケヴァーグ
そして、ササナを引き留める言葉も思いつかない。
ビルケヴァーグ
どうしたって頭の片隅で、思考を続けてしまう。
ビルケヴァーグ
だから今言えることはこれしかない。
ビルケヴァーグ
「……その胸の黒結晶が、お前の思考に影響を与えている可能性も否定できない」
ビルケヴァーグ
「そこに穴があろうと、埋められなくとも」
ビルケヴァーグ
「それは、確かな、ササナ自身だろう」
ビルケヴァーグ
「だから話すのは、その黒結晶を砕いた後だ」
ビルケヴァーグ
「“それ”がなくなったときにもう一度考えて、」
ビルケヴァーグ
「それが、たとえうまくまとまっていなくても」
ビルケヴァーグ
「まとめることは、俺にも、できるから……」
ビルケヴァーグ
ササナの言葉に気付かされる。
俺は、ササナを無意識に見下していたのだろうか。
ビルケヴァーグ
ササナはずっと頑張っているよ、などと。
ビルケヴァーグ
それは、ササナの考えが足りないものだと思っていなければ、出なかったのではないか?
ササナ
「………」
二人からの言葉が止まれば、ササナからの言葉も止まる。
[ ビルケヴァーグ ] HP : 18 → 17
GM
*さまざまな処理をやっていきましょう!!!!
[ ササナ ] 鎖 : -1 → -2
[ ササナ ] 絶望侵蝕 : 0 → -2
[ ササナ ] 前科 : 0 → 5
[ ササナ ] 絶望 : 0 → -1
[ 黒結晶 ] HP : 52 → 23
GM
これにより、聖遺物が取得可能になることに留意してください。