声ならぬ声
…ダイヤの8にスペードの8…
…ダイヤの8にスペードの8…
プロローグ
声ならぬ声
…ハートのAにクラブのA…
…ハートのAにクラブのA…
声ならぬ声
…スペードの10にハートの10…
…スペードの10にハートの10…
声ならぬ声
…クラブの5にスペードの5……
…クラブの5にスペードの5……
声ならぬ声
捨て札、切り札、上がり札、
手に手をとって、折り重なって、
最後に残るはスペードのQ。
捨て札、切り札、上がり札、
手に手をとって、折り重なって、
最後に残るはスペードのQ。
声ならぬ声
こぼれて外れた奇跡の欠片、
集めてまとめて、あなたのために。
こぼれて外れた奇跡の欠片、
集めてまとめて、あなたのために。
声ならぬ声
―― Dead or AliCe『16人の救世主』
―― Dead or AliCe『16人の救世主』
GM
＊
＊
GM
在りし日の物語が褪せていく堕落の国で、いまだ不思議が残された棚井戸。
在りし日の物語が褪せていく堕落の国で、いまだ不思議が残された棚井戸。
GM
何もかもがゆっくりと落ちていくその中程に、落ちることなく宙に留まる館がある。
何もかもがゆっくりと落ちていくその中程に、落ちることなく宙に留まる館がある。
GM
刺剣の館。
刺剣の館。
GM
美しく手入れが届いたその館に、たくさんの人が溢れかえっている。
美しく手入れが届いたその館に、たくさんの人が溢れかえっている。
GM
この地にて行われる伝説の儀式、オールドメイドゲーム。
この地にて行われる伝説の儀式、オールドメイドゲーム。
GM
１６人の救世主が殺し合うその儀式を見届けるべく、まだかまだかと中庭を眺める。
１６人の救世主が殺し合うその儀式を見届けるべく、まだかまだかと中庭を眺める。
GM
登場-1号室
GM
重たい両開きの扉が開く。
重たい両開きの扉が開く。
GM
押し開けるのは兎耳のメイド。仮面を被り、剣を携えている。
押し開けるのは兎耳のメイド。仮面を被り、剣を携えている。
GM
彼女は真っ直ぐ中庭へと歩く。
彼女は真っ直ぐ中庭へと歩く。
メイド1
「私が仕えますのは、客室１号室の救世主」
「私が仕えますのは、客室１号室の救世主」
GM
開かれた扉の奥に、２人の姿が現れる。
開かれた扉の奥に、２人の姿が現れる。
メイド1
「桟敷川 映鏡様、匕首 咲様」
「桟敷川 映鏡様、匕首 咲様」
GM
湧き上がる歓声の中、２人は真っ直ぐ、中庭へと歩く。
湧き上がる歓声の中、２人は真っ直ぐ、中庭へと歩く。
桟敷川映鏡
軍靴の音。
それを追いかけるような硬質な金属の音。
軍靴の音。
それを追いかけるような硬質な金属の音。
桟敷川映鏡
心の疵がつくる薄暗い霧を裂いて、スポットライトが救世主を照らす。
心の疵がつくる薄暗い霧を裂いて、スポットライトが救世主を照らす。
桟敷川映鏡
翻るマントが風を裂く音。
青い羅紗の布地が翼のようにはためく。
翻るマントが風を裂く音。
青い羅紗の布地が翼のようにはためく。
桟敷川映鏡
銀のステッキを振ると客席に向かって紙吹雪が舞った。
銀のステッキを振ると客席に向かって紙吹雪が舞った。
桟敷川映鏡
「千の観客二千の眼（まなこ）、客入りは上々天気もまぁまぁ」
「千の観客二千の眼（まなこ）、客入りは上々天気もまぁまぁ」
桟敷川映鏡
赤マント。
名乗る名前とは裏腹にその外套は青い。
赤マント。
名乗る名前とは裏腹にその外套は青い。
桟敷川映鏡
「嗚呼、どうぞ愉しんで御覧あれ！」
客席へ、自分を映す黒い窓へ、手を広げて高らかに笑う。
それなりに背の高い男。精悍な顔つき。
「嗚呼、どうぞ愉しんで御覧あれ！」
客席へ、自分を映す黒い窓へ、手を広げて高らかに笑う。
それなりに背の高い男。精悍な顔つき。
桟敷川映鏡
知名度はないと言っていい。
知っているとしたら、転々と十三の街の酒場を出入りしているのを見たことがあるぐらいだろう。
知名度はないと言っていい。
知っているとしたら、転々と十三の街の酒場を出入りしているのを見たことがあるぐらいだろう。
桟敷川映鏡
「いやさ、失礼。めくらがいたら、まなこのいくらかは欠けるかな……」
「いやさ、失礼。めくらがいたら、まなこのいくらかは欠けるかな……」
桟敷川映鏡
帽子を目深に。くるりとステッキを手元で回し。
その得物で肩をとんとんと叩きながら歩いた。
霧は後ろへたなびき、未だ舞う紙吹雪が後に続くパートナーの存在を知らせる。
帽子を目深に。くるりとステッキを手元で回し。
その得物で肩をとんとんと叩きながら歩いた。
霧は後ろへたなびき、未だ舞う紙吹雪が後に続くパートナーの存在を知らせる。
匕首咲
奇術師の疵が生む薄暗い霧に、紙吹雪の残滓がちらちらと瞬く。
奇術師の疵が生む薄暗い霧に、紙吹雪の残滓がちらちらと瞬く。
匕首咲
こちらにはスポットライトは当たらないまま、暗闇をゆったりと女が進む。
女はフードを目深に被り、黒いマスクが顔を覆っていた。
顔は見えない。ただ赤いコートだけが風にたなびく。
こちらにはスポットライトは当たらないまま、暗闇をゆったりと女が進む。
女はフードを目深に被り、黒いマスクが顔を覆っていた。
顔は見えない。ただ赤いコートだけが風にたなびく。
匕首咲
───噂好きの観客なら、思い出すかもしれない。
その姿は、まことしやかに囁かれる話を彷彿とさせた。
───噂好きの観客なら、思い出すかもしれない。
その姿は、まことしやかに囁かれる話を彷彿とさせた。
匕首咲
曰く、赤いコートの女が、来訪したばかりの弱い救世主を次々と惨殺しており、その返り血で染まった赤いコートを着ているだとか。
曰く、赤いコートの女が、来訪したばかりの弱い救世主を次々と惨殺しており、その返り血で染まった赤いコートを着ているだとか。
匕首咲
曰く、暗がりで黒マスクの女に会うと、救世主だけではなくその場に居合わせた末裔も全て殺されるだとか。
曰く、暗がりで黒マスクの女に会うと、救世主だけではなくその場に居合わせた末裔も全て殺されるだとか。
匕首咲
曰く、顔を隠した女の素顔を強引に見ようとすると、耳まで裂けた口で頭から食われてしまうだとか。
曰く、顔を隠した女の素顔を強引に見ようとすると、耳まで裂けた口で頭から食われてしまうだとか。
匕首咲
どこまでが真実かは分からないし、それらの噂の正体がこの女という根拠もない。
ただ、外見の符号が一致しただけ。
どこまでが真実かは分からないし、それらの噂の正体がこの女という根拠もない。
ただ、外見の符号が一致しただけ。
匕首咲
中庭の中央まで進むと、ようやく女はフードを外した。
派手な髪型に派手なピアス。年頃は少女と言っても差し支えのないくらい。平たく言えば、チャラチャラとした──怪談じみた噂話とは、あまり結びつかない容貌。
中庭の中央まで進むと、ようやく女はフードを外した。
派手な髪型に派手なピアス。年頃は少女と言っても差し支えのないくらい。平たく言えば、チャラチャラとした──怪談じみた噂話とは、あまり結びつかない容貌。
匕首咲
女は、人差し指で天を指差した。
女は、人差し指で天を指差した。
匕首咲
「1ラウンドだ」
人差し指を、相対する救世主に向ける。
「1ラウンドだ」
人差し指を、相対する救世主に向ける。
匕首咲
「裁判、1ラウンドで、2人まとめて生ゴミにしてやるよ」
手を首元まで持ってくると、親指を真横に引いて見せた。
「裁判、1ラウンドで、2人まとめて生ゴミにしてやるよ」
手を首元まで持ってくると、親指を真横に引いて見せた。
登場-7号室
メイド7
次いで、同じ装いのメイドが現れる。
次いで、同じ装いのメイドが現れる。
メイド7
彼女は真っ直ぐ中庭へと歩く。
彼女は真っ直ぐ中庭へと歩く。
メイド7
開かれた扉の奥に、２人の姿が現れる。
開かれた扉の奥に、２人の姿が現れる。
メイド7
「子夏様、アーユス様」
「子夏様、アーユス様」
メイド7
湧き上がる喝采の中、２人は真っ直ぐ、中庭へと歩く。
湧き上がる喝采の中、２人は真っ直ぐ、中庭へと歩く。
子夏
「いやぁ～！ まいっちゃうなぁ！」
「いやぁ～！ まいっちゃうなぁ！」
子夏
観客の見つめる中、呼び出しに応じて歩み出てきたのは若い男だった。
観客の見つめる中、呼び出しに応じて歩み出てきたのは若い男だった。
子夏
みょうにヘラヘラした笑みを浮かべている以外は何の変哲もない。いっそ頼りなげでさえある。
みょうにヘラヘラした笑みを浮かべている以外は何の変哲もない。いっそ頼りなげでさえある。
子夏
救世主に力をもたらすのは六ペンスコインと心の疵であって、見た目によらないことは周知の事実ではあるけれども、
救世主に力をもたらすのは六ペンスコインと心の疵であって、見た目によらないことは周知の事実ではあるけれども、
子夏
それにしても、こんな殺し合いに出てくるような人物には見えないだろう。
それにしても、こんな殺し合いに出てくるような人物には見えないだろう。
子夏
もっともそれは、このトーナメントにおいてさして珍しいことではない。
もっともそれは、このトーナメントにおいてさして珍しいことではない。
子夏
とにかく、ぱっと見は取り立てて言うことのない男だ。
とにかく、ぱっと見は取り立てて言うことのない男だ。
子夏
それでも強いて特徴を挙げるとするなら、
それでも強いて特徴を挙げるとするなら、
子夏
羽織った上着の背中には、派手な竜の刺繍があって、
羽織った上着の背中には、派手な竜の刺繍があって、
子夏
歩くや走るには向くが、人を蹴り飛ばすのには不足していそうなスニーカーを履いていて、
歩くや走るには向くが、人を蹴り飛ばすのには不足していそうなスニーカーを履いていて、
子夏
それから、──とにかく、へんに上機嫌そうなのだった。
それから、──とにかく、へんに上機嫌そうなのだった。
子夏
「本当に殺されちゃったらどうしましょうね？」
「本当に殺されちゃったらどうしましょうね？」
子夏
「どうしようもこうしようもないか！」
「どうしようもこうしようもないか！」
子夏
酔っているのかもしれない。
酔っているのかもしれない。
子夏
こちらも、知っているものはそれほど多くない救世主だろう。
こちらも、知っているものはそれほど多くない救世主だろう。
子夏
仙人見習いを自称するこの救世主を知っているものがいるとすれば、
仙人見習いを自称するこの救世主を知っているものがいるとすれば、
子夏
恐らくそれは『あの』ヨハンの下で働いていた男としてだ。
恐らくそれは『あの』ヨハンの下で働いていた男としてだ。
子夏
ある時から姿をくらませて以降は、ぱったりとその風評も途絶えていた。
ある時から姿をくらませて以降は、ぱったりとその風評も途絶えていた。
子夏
……確かなのは、この救世主が生き延びてきた分、
……確かなのは、この救世主が生き延びてきた分、
子夏
どこかの救世主が殺され、踏みつけにされてきたということだけだ。
どこかの救世主が殺され、踏みつけにされてきたということだけだ。
子夏
「ねえ、どうしましょう。アーユスさん、向こうの人たち、本当に強そうですよ」
「ねえ、どうしましょう。アーユスさん、向こうの人たち、本当に強そうですよ」
子夏
笑いながら、ともに歩く男の方を振り返った。
笑いながら、ともに歩く男の方を振り返った。
アーユス
続いて観客の野次を一身に浴びながら中庭に入場するのはアーユス。
続いて観客の野次を一身に浴びながら中庭に入場するのはアーユス。
アーユス
万雷の拍手を浴びる王のように堂々と腕を広げ、鷹揚な笑みで観客を睥睨する。
万雷の拍手を浴びる王のように堂々と腕を広げ、鷹揚な笑みで観客を睥睨する。
アーユス
堕落の国に似つかわしくない髪の色と傷のない衣服――それはつまり、つまらない事のために六ペンスコインの力を浪費してきたという事で――この館に来てもなお浪費している。この男に近づく者が居れば酒の匂いを感じ取っただろう。
堕落の国に似つかわしくない髪の色と傷のない衣服――それはつまり、つまらない事のために六ペンスコインの力を浪費してきたという事で――この館に来てもなお浪費している。この男に近づく者が居れば酒の匂いを感じ取っただろう。
アーユス
軽薄な見た目に伴う人間性を持つこの男は、一言で言ってしまえばクズ。カス。人間のゴミである
軽薄な見た目に伴う人間性を持つこの男は、一言で言ってしまえばクズ。カス。人間のゴミである
アーユス
――幾人かの救世主を騙し、陥れ、争わせ、大事なものを人を人質に取り、果ては末裔を用いてまで六ペンスコインを掠め取ってきた。
――幾人かの救世主を騙し、陥れ、争わせ、大事なものを人を人質に取り、果ては末裔を用いてまで六ペンスコインを掠め取ってきた。
アーユス
――観客の一部にも被害者が少なからず居るだろう。
――観客の一部にも被害者が少なからず居るだろう。
アーユス
一部の野次にこの男の犠牲になったであろう観客たちの怒号が交じる。
その罵声が耳に届けば、男はなんとも満足そうに笑うのだ。
一部の野次にこの男の犠牲になったであろう観客たちの怒号が交じる。
その罵声が耳に届けば、男はなんとも満足そうに笑うのだ。
アーユス
「アハハ、はしゃぐな、はしゃぐなよ」
広げた指をふらりふらり。
「アハハ、はしゃぐな、はしゃぐなよ」
広げた指をふらりふらり。
アーユス
「よお救世主《アリス》ちゃんども！俺がお前らの対戦相手、アーユス様だ！」
「よお救世主《アリス》ちゃんども！俺がお前らの対戦相手、アーユス様だ！」
アーユス
「アー……っと、そうだ。ついでに。」
「アー……っと、そうだ。ついでに。」
アーユス
「今まで俺のために死んでくれた雑魚どもに！この場で感謝と哀悼の意を表します！」
高らかに宣言して広げた両手の指先を握る――中指以外を。
「今まで俺のために死んでくれた雑魚どもに！この場で感謝と哀悼の意を表します！」
高らかに宣言して広げた両手の指先を握る――中指以外を。
アーユス
趣味の悪いアロハシャツの裾にぶら下がる青い羽が、アーユスの笑いと共に目障りに揺れた。
趣味の悪いアロハシャツの裾にぶら下がる青い羽が、アーユスの笑いと共に目障りに揺れた。
子夏
笑いながら拍手している。
笑いながら拍手している。
アーユス
「アッハッハッハッハ！！」
「アッハッハッハッハ！！」
アーユス
観客の激情も、このゲームも、他の出場者も何もかも。
今から死ぬかもしれないという未来さえも愚弄して笑い飛ばす。
観客の激情も、このゲームも、他の出場者も何もかも。
今から死ぬかもしれないという未来さえも愚弄して笑い飛ばす。
アーユス
「俺サマの勇姿見て観客席でシコってな！」
「俺サマの勇姿見て観客席でシコってな！」
アーユス
この場にアーユスが立っている事が既にこの世界、堕落の国の損失である。
そう言わんばかりに一等下品な笑い声を上げた。
この場にアーユスが立っている事が既にこの世界、堕落の国の損失である。
そう言わんばかりに一等下品な笑い声を上げた。
匕首咲
チャラチャラした男のアロハシャツに揺れる青い羽を見て、僅かに片眉を上げる。
チャラチャラした男のアロハシャツに揺れる青い羽を見て、僅かに片眉を上げる。
匕首咲
が、すぐに興味を失ったように目を伏せた。
が、すぐに興味を失ったように目を伏せた。
アーユス
咲の視線に気づいたのか否か。男は笑いながら観客に向かって投げキッスとファックサインを返している。
咲の視線に気づいたのか否か。男は笑いながら観客に向かって投げキッスとファックサインを返している。
子夏
「アーユスさんアーユスさん、対戦相手はあっちですよ～」
「アーユスさんアーユスさん、対戦相手はあっちですよ～」
子夏
二人組を無遠慮に指さす。
二人組を無遠慮に指さす。
アーユス
「ファンサービスだよ、ファンサービスゥ」
「ファンサービスだよ、ファンサービスゥ」
アーユス
ゲラゲラと笑っている。
ゲラゲラと笑っている。
子夏
「ファンサービスじゃしょうがないな～」
「ファンサービスじゃしょうがないな～」
アーユス
「しかし1ターンとは大きく出たなァ！」
「しかし1ターンとは大きく出たなァ！」
アーユス
「死ぬ前にルームサービス使い倒そうぜ」
「死ぬ前にルームサービス使い倒そうぜ」
子夏
「あはは、そうですね！ それは大事だ！」
「あはは、そうですね！ それは大事だ！」
アーユス
「今日はパーティーだ！」
「今日はパーティーだ！」
儀式開始
メイド1
「この刺剣の館にて、オールドメイドゲームの儀式が発動され、１６人の救世主が集まりました」
「この刺剣の館にて、オールドメイドゲームの儀式が発動され、１６人の救世主が集まりました」
GM
救世主と共に立つ２人のメイドと、その脇に控える６人のメイド達。
救世主と共に立つ２人のメイドと、その脇に控える６人のメイド達。
メイド7
「私どもは救世主様に仕え、共に儀式を執り行う８人のメイドでございます。私どもは儀式そのものであり、今やこの館は我々が法。どうか儀式を円滑に進行すべく、私どもの申し上げます頼み事には快諾いただきますよう、お願いいたします」
「私どもは救世主様に仕え、共に儀式を執り行う８人のメイドでございます。私どもは儀式そのものであり、今やこの館は我々が法。どうか儀式を円滑に進行すべく、私どもの申し上げます頼み事には快諾いただきますよう、お願いいたします」
GM
メイド達は深々と礼をする。
メイド達は深々と礼をする。
メイド1
「さて、１６人の救世主達は８つのペアとなり競い合います」
「さて、１６人の救世主達は８つのペアとなり競い合います」
メイド7
「最も力があるものと認められたペアには、奇跡の力がもたらされます」
「最も力があるものと認められたペアには、奇跡の力がもたらされます」
メイド1
「その力は、あらゆる願いが叶うとされます」
「その力は、あらゆる願いが叶うとされます」
メイド7
「救世主と救世主が合間見れば、することは勿論、お茶会、そして裁判です」
「救世主と救世主が合間見れば、することは勿論、お茶会、そして裁判です」
メイド1
「これより２４時間のお茶会時間の後に、再びこの中庭へ集まり、裁判を執り行います」
「これより２４時間のお茶会時間の後に、再びこの中庭へ集まり、裁判を執り行います」
メイド7
「お茶会を助けるために、救世主らにはそれぞれ、２通の招待状を渡します」
「お茶会を助けるために、救世主らにはそれぞれ、２通の招待状を渡します」
GM
それぞれのメイドは救世主ひとりひとりに２通の封筒を手渡す。
それぞれのメイドは救世主ひとりひとりに２通の封筒を手渡す。
アーユス
「へいへーい」サンダルを履き直しながら雑に受け取る。
「へいへーい」サンダルを履き直しながら雑に受け取る。
桟敷川映鏡
一礼して封筒を受け取る。
一礼して封筒を受け取る。
子夏
「これはどうもご丁寧に～」にこにこ頭を下げている。
「これはどうもご丁寧に～」にこにこ頭を下げている。
匕首咲
封筒を受け取り、ぴらぴらと表裏を確認した。
封筒を受け取り、ぴらぴらと表裏を確認した。
メイド1
「この封筒に名前を記してメイドに渡せば、記した相手を強制的に、あなたがたの元に転送することができます。心の疵の戦いは、剣と剣の交わりのみにあらず。上手くご活用ください」
「この封筒に名前を記してメイドに渡せば、記した相手を強制的に、あなたがたの元に転送することができます。心の疵の戦いは、剣と剣の交わりのみにあらず。上手くご活用ください」
メイド7
「また、この館で見いだした品々は、……ご自由にお使いください」
「また、この館で見いだした品々は、……ご自由にお使いください」
メイド1
「この儀式の裁判は、特別なルールがございます」
「この儀式の裁判は、特別なルールがございます」
メイド7
「両方が昏倒した場合は勿論、ペアの片方でも死亡、亡者化した場合、そこで即刻敗北となります」
「両方が昏倒した場合は勿論、ペアの片方でも死亡、亡者化した場合、そこで即刻敗北となります」
メイド1
「また発狂した救世主は、裁判後に亡者と化すリスクが知られていますが」
「また発狂した救世主は、裁判後に亡者と化すリスクが知られていますが」
メイド7
「儀式の効力により、その亡者化を敗者に押しつけることが出来ます」
「儀式の効力により、その亡者化を敗者に押しつけることが出来ます」
メイド1
「存分に形勢を逆転し、お狂い遊ばしませ」
「存分に形勢を逆転し、お狂い遊ばしませ」
メイド7
「さて。それでは公平性を期すため、お持ちの６ペンスコインを１０枚までお減らしいただきます」
「さて。それでは公平性を期すため、お持ちの６ペンスコインを１０枚までお減らしいただきます」
メイド4
メイドの一人がブリキ製のゴミ箱を、ガラガラ音を立てて運んでくる。
メイドの一人がブリキ製のゴミ箱を、ガラガラ音を立てて運んでくる。
メイド4
出がらしの茶葉、林檎のヘタ、ワインのコルク栓に魚の骨。
出がらしの茶葉、林檎のヘタ、ワインのコルク栓に魚の骨。
メイド4
ジャガイモの皮に伸びきったパスタ。
ジャガイモの皮に伸びきったパスタ。
メイド4
蓋を開けるとそこはかとなく臭うゴミ箱が、中庭の真ん中にでん、と置かれる。
蓋を開けるとそこはかとなく臭うゴミ箱が、中庭の真ん中にでん、と置かれる。
メイド1
「それでは、どうぞ、お捨てください」
「それでは、どうぞ、お捨てください」
子夏
ゴミ箱を見て、いっそう笑みを堪えきれないという顔になった。
ゴミ箱を見て、いっそう笑みを堪えきれないという顔になった。
子夏
「いやぁ、そうそう、10枚なんですよね！ ちゃんと10枚になってたかなぁ」
「いやぁ、そうそう、10枚なんですよね！ ちゃんと10枚になってたかなぁ」
桟敷川映鏡
ゴミ箱に歩み寄り、客席やメイドに何もない帽子の中身を見せる。
その帽子をゴミ箱の上で返すとざらり、と20数枚のコインがゴミ箱に滑り落ちていった。
ゴミ箱に歩み寄り、客席やメイドに何もない帽子の中身を見せる。
その帽子をゴミ箱の上で返すとざらり、と20数枚のコインがゴミ箱に滑り落ちていった。
子夏
ごそごそと上着のポケットを漁って、10枚コインを数えたあと、ぼろぼろと何枚か捨てている。捨てているのは10枚には満たない。
ごそごそと上着のポケットを漁って、10枚コインを数えたあと、ぼろぼろと何枚か捨てている。捨てているのは10枚には満たない。
桟敷川映鏡
「こちらですべてです」
「こちらですべてです」
アーユス
「はぁいはい」ポケットの底からコインたちをレシートのように掴んで捨てる。
「はぁいはい」ポケットの底からコインたちをレシートのように掴んで捨てる。
子夏
「僕も、これで全部です！」
「僕も、これで全部です！」
アーユス
捨てるごとに失われる"力"に感嘆したように息を吐いた。
捨てるごとに失われる"力"に感嘆したように息を吐いた。
匕首咲
ポケットに突っ込んだままの手を出して、ごとり、とゴミ箱に箱を落とした。わずかにじゃらりと硬貨の音が鳴る。
ポケットに突っ込んだままの手を出して、ごとり、とゴミ箱に箱を落とした。わずかにじゃらりと硬貨の音が鳴る。
アーユス
「10枚残して……あるな、よし。」
「10枚残して……あるな、よし。」
メイド1
「どうもありがとうございます」
「どうもありがとうございます」
GM
蓋をされたゴミ箱が運び出される。
蓋をされたゴミ箱が運び出される。
子夏
手を振ってます。
手を振ってます。
アーユス
「ああ～さらば救世主たちの残したコイン！」
「ああ～さらば救世主たちの残したコイン！」
メイド1
「それでは、客室１号室、桟敷川映鏡様、匕首咲様と」
「それでは、客室１号室、桟敷川映鏡様、匕首咲様と」
メイド7
「客室７号室、子夏様、アーユス様の」
「客室７号室、子夏様、アーユス様の」
メイド1
「お茶会を開始いたします」
「お茶会を開始いたします」