Dead or AliCe『16JAcks』

入場

GM
Shuffle, Deal and Up
GM
不条理、非道理、配り直して
GM
Stand, Hit and Bust
GM
主と僕、あなたはどちら?
GM
罪を束ねて天へと昇るか
徳を重ねて底へと下るか
GM
上下あべこべ、ヴァンテアン・ゲーム
GM
── Dead or Alice『16JAcks』
GM
果て無く続く荒野の果て、その終着点よりも少し前。
GM
雲を貫きどこまでも聳える、場違いに豪華な高層建築。
GM
それはホテル『ジャック・オブ・ハート』。
GM
その広い1階のエントランスに今、末裔も救世主も犇めいている。
GM
この地で行われる儀式にして祭事、希望にして悪夢を見届けるため。
GM
或いは単に、観客に振る舞われる無料の食事を宛にして。
GM
好悪明暗綯い交ぜに、全ての視線はエレベーターの様子を写すモニターに注がれている。
GM

GM
ホテルの中央を大きく貫く、広間のようなエレベーター。
GM
その扉が静かに開き、ホテルマンが歩み出る。
GM
誰も居ない場所へ向けて一礼。
102号室のホテルマン
「此度お招きに応じて頂きました、客室102号室のお二方」
102号室のホテルマン
エレベーターの扉から、新たな人影が現れる。
102号室のホテルマン
「シニ様、ソース様」
シニ
開いた扉からころころと赤いカーペットが敷かれていく。
シニ
「やはり、入場というものはこうでなくてはね」
シニ
「一度やってみたかったんだ」
ソース
「人、多……っすね……」
シニ
「ま、私達を見に来ているわけではないから」
シニ
「気楽に行こうじゃないか」
シニ
赤い上等なカーペットに足を踏み出す。
ソース
「はあ」
シニ
大勢の視線にさらされることはめったに無いが、その姿は堂々と。
シニ
帽子屋に仕立てさせた燕尾服。
シニ
スカーフの位置を直し、中央まで。
シニ
末裔の追従を振り返りもせず。
ソース
蹄が柔らかい絨毯を踏み、その度に巨体が揺れる。
ソース
歩くたびにがしゃんと音を立てる調理器具。
ソース
こちらもまた、帽子屋に仕立てさせたコック服。
ソース
「まあ、俺はコックですし」
ソース
「気楽なもんですよ」
ソース
前を見据えて、立ち止まる。
シニ
定位置につき、一礼。
シニ
観客席に一礼。
ソース
傍らの救世主の動きを見て、やや渋い顔。
ソース
真似をする。
シニ
「礼儀はあって困らないからね」
ソース
「はいはい。常に敬意」
シニ
「ふふ、ソース君はいい子だね」
シニ
腕組をして対面を見やる。
107号室のホテルマン
次いで、エレベーターの向かいに位置する扉からもホテルマンが現れる。
107号室のホテルマン
再び、誰も居ない場所へ向けて一礼。
107号室のホテルマン
「此度お招きに応じて頂きました、客室107号室のお二方」
107号室のホテルマン
エレベーターの扉から、新たな人影が現れる。
107号室のホテルマン
「シャノン様、ルビーとマリー様」
???
ぱんっ。
???
明かりが落ちる。
???
「「Ladies・and・Gentlemen!!」」
???
「やあやあ、遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!」
???
「我ら遠き彼方の異郷、鏡の国より馳せ参じました、世にも珍しき“双子の”末裔!」
『双子の』ルビー
「ルビー・デルニャと!」
『双子の』マリー
「マリー・デルニャ!」
『双子の』ルビーとマリー
「どうぞご来賓の皆々様、どうか以後々々お見知りおきの程を!」
『双子の』ルビー
「さて、本日未明より明日にかけての二日間、皆さまのお目に賭けますは」
『双子の』マリー
「稀代の救世主達が血で血を洗う、残虐非道の“Vingt et un Game”!」
『双子の』ルビー
「とうに皆様御覧の通り、悲喜交々の一回戦」
『双子の』マリー
「此度の栄光を飾りますは、果たして何方か!」
『双子の』ルビー
「102号室のお二方に相対しますは、双子の末裔、ルビーとマリー!」
『双子の』マリー
「そして、さながら石鹸玉のように、揺らめき揺蕩う“夢追人”」
『双子の』ルビーとマリー
「我らが主、放浪の救世主《アリス》、『夢見の』シャノン様に御座います!」
『夢見の』シャノン
その眩い光に合わせて、虹色の玉がふわり。
『夢見の』シャノン
ひとつ、堂々とした靴音を響かせ。
『夢見の』シャノン
ひらり、淡い虹を纏った髪をなびかせ。
『夢見の』シャノン
ふわり、浮かび上がるように白い衣服を広げ。
『夢見の』シャノン
しゃなり、それを支えるように黒く締まった足を前へと出す。
『夢見の』シャノン
その姿は今にも宙へと舞ってしまいそうなほど、ゆらりゆらりと一つの場所に留まらず。
『夢見の』シャノン
しかし、決して揺るがぬ確かな存在感を纏ったまま、透き通るようなその身を翻す。
『夢見の』シャノン
そうして導となる黄旗を振るう"双子"を傍らに侍らせ、決して届かぬ天を仰ぐかのように胸を張る。
『夢見の』シャノン
「さあさあ、この儀式に集った救世主!末裔!そして観客の諸君!」
『夢見の』シャノン
「君たちがここに訪れた理由はなんだい?他を蹴落としてまで負けられない理由はなんだい?ここまで挫けることなく君たちを押し進めたものはなんだい?」
『夢見の』シャノン
「それはきっと、君たちにしかない…他で見ることのできないたった一つだけの輝きだ!」
『夢見の』シャノン
「その吹けば飛んでしまいそうな想いを!」
『夢見の』シャノン
「触れれば割れてしまいそうな願いを!」
『夢見の』シャノン
「掴むこと叶わないかもしれないその透明できらめく夢を!!」
『夢見の』シャノン
「是非とも私に魅せてくれ!聞かせてくれ!尊ばせてくれ!」
『夢見の』シャノン
全身を、弾けんばかりに広げ、伸ばし、跳ねさせる。
『夢見の』シャノン
「そして」
『夢見の』シャノン
期待で昂った呼吸を、長く大きな息で整え…緑の吹き棒を口に咥える。
『夢見の』シャノン
「その夢に私は。私たちは。正々堂々と、真正面から、全身全霊で…立ち塞がってあげよう」
107号室のホテルマン
「ええ、ええ。ありがとうございます。」
102号室のホテルマン
「此度ヴァンテアン・ゲームの開催にあたり、救世主様と末裔からなるペア8組、合わせて16名の方々にお集まり頂きました」
107号室のホテルマン
「それぞれに生死を賭けて競い合って頂き、最後に残った1組の方々に当ホテルより景品が授与されます」
102号室のホテルマン
「景品とはつまり、救世主様には元の世界への帰還。そして末裔には、救世主の力を”自分のもの”とすること」
107号室のホテルマン
「ですがそれを得るためのチップは”オールイン”が当ゲームのルール」
102号室のホテルマン
「敗者の結末は必ず”生きる”か”死ぬ”か。そしてその選択は、勝者に責務として委ねられます」
107号室のホテルマン
「その責務を放棄する事はできません。例え、相手がどのような状態であっても」
102号室のホテルマン
「尚、棄権なされた場合は通常通り敗者として扱いますので、予めご了承下さい」
107号室のホテルマン
「そして繰り返しになりますが、当ゲームは”オールイン”」
102号室のホテルマン
「お持ちの6ペンスコインは全てチップとして当ホテルに預けて頂き、決闘においてはホテルから配布される”指定枚数”のコインを用いて頂きます」
107号室のホテルマン
「こちらが決闘用のコインと、証となります」
GM
それぞれのペアの元に担当のホテルマンが歩み寄る。
GM
その手にはカジノで見るような重厚な造りのチップトレイと、2枚の赤いトランプ。
102号室のホテルマン
「この第1回戦でホテルより配布されるコインは、引いた証がエースであれば11枚。ジャックであれば10枚」
107号室のホテルマン
「これより始まるお茶会の時間、エースとジャックの間には多少の……一般的な救世主と末裔の間にあるものと同程度の立場の差が生じます」
102号室のホテルマン
「それでは、コインをお預けください。そしてどうか、お引き下さい」
102号室のホテルマン
まずはチップトレイを差し出す。
シニ
コインの入ったずっしりと重い亡者革の袋を、そのままトレイへ。
102号室のホテルマン
「ありがとうございます」
102号室のホテルマン
それから、カードを差し出す。
シニ
「ソース君」
ソース
「はい」
シニ
「引いていいよ」
ソース
「は?」
ソース
「どーー考えたってあんたからでしょ!」
シニ
「仕方ないなぁ」
ソース
ルールを聞いて、理解したときから厭な予感がしていた。
ソース
「……あんたがエースに決まって……」
シニ
「そうかい?」
シニ
「私は目立つのは得意じゃないからなぁ……」
シニ
そう言って、カードを一枚手元へ
ソース
「…………」
ソース
自分たちが踏んできたカーペットを見た。
ソース
そりゃ対面よりは目立ってないかも知れないが。
ソース
そんなことを考えているうちにーー
ソース
主がカードを引いたのを見て、観念して自分も指を伸ばした。
シニ
裏返したカードは『ジャック』。
ソース
こちらの手元に『エース』。
102号室のホテルマン
「どうもありがとうございます」
107号室のホテルマン
同様に、チップトレイを差し出している。
『夢見の』シャノン
「いやぁ、緊張した緊張した〜」
『夢見の』シャノン
そう言いながらホテルマンに歩み寄っていく
『双子の』マリー
「熱演でございましたよ」
『夢見の』シャノン
「ルビーとマリーも良かったよ〜」
『夢見の』シャノン
「おっと、コインだったね…えっと」
『夢見の』シャノン
荷物やポケットを雑に漁っていく。こぼれ落ちたコインが床で音を奏でていく。
『夢見の』シャノン
「えーっと、こんなものかな?」
その散らばったコインをかき集め、トレイに乗せていく。
107号室のホテルマン
「ありがとうございます」
『双子の』マリー
「では、こちらのコインは私が」双子の末裔の片割れも、合わせてコインを渡す。
107号室のホテルマン
「ありがとうございます」
107号室のホテルマン
それから、カードを差し出す。
『双子の』ルビー
「こちらのカードは私が。」
『夢見の』シャノン
「はーい、じゃあ私はこっちだね」
『双子の』ルビー
一枚引く。表は伏せたままで。
『双子の』ルビー
「どちらから先に見ます?」
『夢見の』シャノン
「え?」
すでに手元にはめくられたカード
『夢見の』シャノン
『ジャック』のカードが
『双子の』ルビー
「……では、こちらは『エース』で」カードをめくる。
107号室のホテルマン
「どうもありがとうございます」
107号室のホテルマン
「これで、エースとジャックが決定されました。これは当ホテルより判断されるお客様方の身分であり、領分となります」
102号室のホテルマン
「エースはエースらしく。ジャックはジャックらしく。どうか振る舞われますよう」
107号室のホテルマン
「領分を犯した者には、相応の報いが与えられます」
102号室のホテルマン
「これより24時間のお茶会の時間の後、再びこの中央エレベーターへとお集まり頂き、裁判となります」
107号室のホテルマン
「こちらそれぞれ2通、お茶会を助けるための招待状となります、お受け取り下さい」
102号室のホテルマン
招待状と称された封筒が、各ペアに2つずつ渡される。それは、参加者たちをこのホテルに招いた招待状と似た気配を持つもの。
シニ
受け取るのは2枚のみ。
シニ
「エース様の分もお取りしましょうか?」
ソース
「…………くるしゅうない」
ソース
手を差し出す。
シニ
もう2つも受け取り、ソースへと。
ソース
呆れのため息。
ソース
「気楽にっていった先から」
ソース
「精々働いてくださいよ」
シニ
「そういたしますよ」
シニ
恭しく礼をする。
ソース
すごく いやだ という顔をした。
『夢見の』シャノン
「ジャックらしく、と言われてもなぁ」
『夢見の』シャノン
「あ、とりあえずこれどうぞ」
ホテルマンから封筒を受け取り、ルビーとマリーへ。
『夢見の』シャノン
「あ、どうぞお受け取りくださいエース様…?」
『双子の』マリー
「ご自由に。我々も自然体が気楽ですので」封筒を受け取る。
『双子の』マリー
「“2通”、確かに頂きました」
『夢見の』シャノン
「えー、せっかくエースになったんだから…何かしたいことはないのかい?」
『双子の』ルビー
「では、次は頼んでみますか。豪勢な食事を」
『双子の』ルビー
「4人分とか」
『夢見の』シャノン
「いいんじゃないかな、好きに振舞ってしまって」
107号室のホテルマン
「どうもありがとうございます」
102号室のホテルマン
「エースの方々。当ホテルに存在する施設は全て、ご自由にお使いください」
107号室のホテルマン
「ジャックの方々。どうかエースの方々の邪魔を為されないように」
102号室のホテルマン
「それでは、客室102号室、シニ様、ソース様と」
107号室のホテルマン
「客室107号室、シャノン様、ルビーとマリー様の」
GM
「「これより、お茶会の時間と相成ります」」