パストラム
こう……なんか……映りがよくて……いい感じに光が当たり……いい感じにふたりがうつる角度で……
レムニン
それが誰やねんと言う感じなのだが、これつっこんでたら話が進まないやつか?
レムニン
フン……下等生物らしい遊びにもつきあってやる余裕のあるところを見せてやるか。
パストラム
「えーっと、今の状況を説明したらいいという話だったよね」
パストラム
ビッグバンが起こり……宇宙が生まれ……?
パストラム
でもタイタニアってそうやってできたわけじゃなさそうな気がする。
パストラム
「島に飛ばされるところまでスキップするか」
パストラム
「なんか、世の中には色々な世界があるらしいんですけど」
レムニン
「そのなかの一つに、色々なものが漂着する海域というものがあるそうな……」
パストラム
「他のいろんな世界と繋がっちゃう海みたいな感じらしくて」
パストラム
「その海にある無人島に、僕たち含めた十数人くらいが一気に漂着しちゃったんだよね」
パストラム
「住んでた世界も種族も全然違う人たちが一気にその島に集められて、なんか急にサバイバルが始まって、僕たちはそこで出会ったというわけ」
レムニン
「当然設備もないし、食糧もないし、住むところすらないし、まあ大変だったね」
レムニン
「なんかモラルや常識や協調性に欠けてる連中ばっか揃ってて」
パストラム
「まぁでも、トラブルメーカーって意味では僕も大概だったんじゃないの?」
レムニン
直接なにかした事は少なかったはずだけど、治安レベルの低下に貢献していたのは確かだ。
パストラム
「僕はまぁお察しの通り……お察ししてたかな? あんまりお察しできるようなことしてないかもしれないな。まぁいいや」
パストラム
「とにかく、ええと、タイタニアに住んでたわけでもなければ、人間でもなくて」
パストラム
「なんというか……もっと文明が進んだ? と言えばいいかな? そういう世界から来ました」
パストラム
「昔は地球って呼ばれてたとこ。今も古い価値観の人はたまにそう呼ぶけど、大概天体差別主義者だと思われてめちゃくちゃ炎上するような世界」
パストラム
「そうそう、科学者たちに作られた生物兵器です」
パストラム
「えっとねえ、簡単に言えばすごい人間に都合よく作られてるモンスターで……」
パストラム
「実験段階の生物兵器だったんだけど、うまくいきすぎて研究所の人間たちを壊しちゃって」
パストラム
「捕まえられて海に流されて、気付いたら無人島にいました」
レムニン
「きみ海水駄目なはずなのによく生きて流れ付けたね」
パストラム
「あれ、そうだっけ。そうかも。まぁそんな大事じゃないからね、過去って」
パストラム
「海水ダメなのに流れ着いたのは……多分すごい硬い箱に厳重に閉じ込められていたからだと思います」
パストラム
「……そう、植物からできてるから、海水がすごい苦手で」
パストラム
「無人島で海行けないのかなり死活問題だから、サバイバルほんと大変だった……」
レムニン
バッドエンドを集めるタイプのゲームの主人公なんだよな。
パストラム
弱点が多すぎるし人を壊すのですぐバッドエンドになるタイプ。
パストラム
「わかんないんだよな、何が常識で何がそうじゃないのか……自分だと……」
パストラム
「あ、そうだ。えっと、唾液とか、あと頭に生えてる花から出てくる蜜とか、そういういろんな体液に全部催淫効果があって」
パストラム
「その体液が島の中ですごい流行って大変なことになった」
レムニン
「なんか気がついたら倉庫に入ってたりしたな、蜜」
レムニン
「触手と媚薬を自在に操る人外、画面の向こうの人はこいつドスケベモンスターなんだな、と認識したと思うけど」
レムニン
「本人(本植?)はそこまでスケベには積極的ではないというのが大変なところなんです」
レムニン
「じゃあ清純派なのかっていうと別に全然そういうことはないんだけど」
レムニン
「迷惑はしてたよね 蜜の効果に期待して寄ってくる人に」
レムニン
「ところでそろそろ僕の話もしたほうがいい?」
レムニン
「えーと、おとぎ話に出てくるような魔法使いをやっています、ぼくは」
レムニン
「タイタニアという、妖精に支配された世界が僕の出身地で……」
レムニン
「魔法の力がない人間は、魔法使いや妖精に搾取されたりおもちゃにされて人生が終了したりします」
レムニン
「人間同士が分断されてて、大きい単位での社会秩序が成り立ちにくくなってるんだね」
レムニン
「僕はそういう世界で、より強くなって権力を手に入れるために、人間をさらったり洗脳したりしています」
レムニン
「魔法の力を持たない人間は、魔法使いの餌食、下等生物としか思っていません」
レムニン
「でも、馬鹿は僕みたいな賢くて力の強い者に利用されるのが一番だよ」
パストラム
「嫌な奴っていうか……傲慢ないきものっていうか……」
パストラム
「まぁでも、このタイタニアって世界で魔法を使うためには魔力が必要で、その魔力を得るためには人をなんらかの手段で凌辱したり支配したりしないといけないんだよな」
パストラム
「僕もおまえみたいに割り切れればよかったんだけど、島にいたときはそういうの嫌で、結構迷惑してたな……」
パストラム
「タイタニア暮らしも長くなってきたから、最近はだいぶ慣れてきたけど」
パストラム
「でも今も……人を媚薬でどうにかしちゃったときは迷惑というか、ああめんどくさいことになったな、くらいのことは思うよ」
パストラム
「魔力には困らないから効率いいなとも思うけどね」
レムニン
「制御できない力っていうのはそれだけで面倒くさいからね」
レムニン
「凌辱以外にも平和的に魔法の力を高めたり補充したりする手段はあります」
レムニン
「稀人(異世界転移者のこと)にはよく、吸血鬼とか淫魔みたいな生態だと言われます」
レムニン
「僕は言葉で人の心を操る魔法が得意なので、あの島でも専らそうやって、人をどうにかしていました」
パストラム
「あの島では体液啜ったりする方がいいって聞いたし」
パストラム
「……え、あの島でも催眠してセックスしてた? なんかあの島のやつらめちゃくちゃ大怪我するから、回復魔法とかかけてるイメージの方が強かったんだよな」
レムニン
「効率は良くないけど、人生効率ばかりではないからね」
レムニン
「あいつらなんであんなに怪我しまくってたんだ?」
レムニン
「まあ僕は悪事は目立たないようにやってたからね 極力」
パストラム
「でも魔力補充に時間かかると大変だよ、急な戦闘が発生した時とか……」
パストラム
「ふーん……僕が……知らない間に……へえ〜……」
パストラム
昔は多分ここで心を痛めたり怒ったりしてたんだと思うんだけど、タイタニアにやってきて色々あったので慣れてしまい、もはやこういう感想しか出てこないんですね。
レムニン
「何か言いたいことがあるなら言ってくれて構わないけど…」
パストラム
「そういやその傷心してるときにおまえがやってきて、そこで初めてちゃんと喋ったなあ、と思い出してた」
レムニン
「出ていくのは見てたけど、まさかずっとあそこで傷心しっぱなしだとは思ってなかった」
パストラム
「帰ってまた面倒ごとになっても嫌だし……って思ってたんだよ」
レムニン
「あのときもいろいろあったから正直きみのことは完全に忘れていた…」
パストラム
「僕よりケア優先度高いやつなんかいくらでもいたからね」
レムニン
「僕は別にあの島の救護担当でもなんでもないから、そういう言い方をされるのは心外だが…」
レムニン
「見つけてしまったからには外に放置するわけにもいかず、連れて帰るほかなかったんだが…」
レムニン
「性欲を解消しないと媚薬が出っぱなしだから拠点に帰るに帰れず…」
レムニン
「それに付き合うという形になったんだっけね」
パストラム
「そうなんですけど、こうして言われるとすごい恥ずかしいな」
パストラム
「実際あの島ってなんていうか、自分のお世話できてないひとがめちゃくちゃ多いなという感じだったので」
パストラム
「ある程度大人でみんなの面倒を見るポジションになってて、ただでさえ大変な人間に、さらに負わせてたのか……って思うと……」
パストラム
「オナニーで解消できなくてすいません……って気持ちはあります」
パストラム
「その間にセックスしたり……縮められたり……セックスしたり……魔法を覚えたり……縮められたり……セックスしたり……」
パストラム
「ていうか大体その後のことって一言に要約されて」
パストラム
「自分のこと上位存在だと思いこんで義務感でぴよぴよ生物たちの面倒を見まくって疲弊する傲慢なお前、という構図だったじゃん」
レムニン
「別に義務感なんてないし、疲弊もしていなかったが…?」
パストラム
「少なくとも肉体的にはへろへろだったぞ」
パストラム
「あと甘えられて無理難題を押し付けられまくってた」
レムニン
「正直あそこまでサービスしてやることはなかった気もする」
レムニン
「ともあれ、僕と君との話には直接関係のないことばっかりだったのは確かだな」
パストラム
「僕もあんまり人のこと言えなくて、他人の面倒見ちゃう方だからね」
パストラム
「無限問題解決地獄かと思ったところに救助船が来て」
パストラム
「それで無事タイタニアに帰れたってわけ」
レムニン
「気がついたら君がいっしょについてくることになってた」
パストラム
「いや、元の世界帰っても駆除対象になってるだろうからだけど」
レムニン
「かといって日本に行くわけにもいかないしね」
パストラム
「触手と媚薬の生き物ってどう考えても偏見の目で見られるからね」
レムニン
「そこへいくとタイタニアはおおらかな土地だからね」
レムニン
「君は安住の地が見つかって、僕は実験動物が手に入って、両得というわけ」
パストラム
「タイタニアってなんか、生きていく上で魔法覚えると便利だから」
パストラム
「島では全然そういう感じじゃなかったけど、タイタニアではレムニン結構強い魔法使いなので」
パストラム
「僕けっこうタイタニアでやっていけるっぽくて」
パストラム
「普通の人間を実験台にすると大変なことになっちゃうんだよ」
レムニン
「素質あるとは思ってたけど、ちょっと想定以上だったね」
パストラム
「僕は全く素質ないだろうなと思ってました」
レムニン
「なんだかんだ数年はかかるかな……と思ってたら二ヶ月ぐらいで魔法を習得したよね」
パストラム
「そんな長い目で見るものだったんだなあ」
パストラム
「僕はなんか、なんていうか、魔法って言葉に対する先入観が結構あって」
パストラム
「夢とか見られないから適性ないだろうなって思ってたんだけど」
レムニン
「要は世界に対する解釈の仕方だからね、タイタニアの魔法は」
レムニン
「魔法を意のままにコントロールしようとすると、世界観を矯正する必要があって」
パストラム
「そろそろ何かヤバい人に目を付けられててある日突然殺されるかもなって思ってます」
レムニン
「君は頭を低くして生きることができないタイプの生き物だからね…」
レムニン
「無能な一般市民の顔をして日和見的に生きていくことができないって意味ね」
レムニン
「魔法使いって言うのは多かれ少なかれそういう生き物ではある」
レムニン
「世界を自分の見えるように合わせていかないと生きていけない」
レムニン
生き物は全部人形だと思っているやつ、悪人は雷が落ちて死ぬべきだと思っているやつ、塔がなければいけないと思っているやつ、まあいろいろ。
レムニン
「僕は自分の言うことはみんな聞くべきだと信じています」
パストラム
「恋という脳内麻薬には誰も抗えない、かな…………」
パストラム
「そうやって日和れないから魔法を覚えて強くなるしかなくて」
パストラム
「そのために今はレムニンに魔法を教えてもらったり、人を支配してレベリングしたりしています」
レムニン
「その一環で僕が小さくなったりしています」
レムニン
「最初に君のこと子猫ちゃんとかにしてたら、君が使う魔法もそういう感じになってたのかな」
パストラム
「あとおまえが僕を神にしてなかったらこうはなってなかった気もするよ」
レムニン
「君が魔法だと思うならそうだし、違うなら違うかも」
パストラム
「まぁレムニンに魔法をかけられて影響されたからなのか、なんなのか、わかんないけど」
パストラム
「とにかく僕の魔法は、人を恋に落とす魔法らしくて」
パストラム
「恋に落ちた人間は自分のことちっぽけな存在だと思って縮んでしまうらしい」
パストラム
「なのでつい師匠であるレムニンのことも縮めてしまうんですね」
レムニン
「遺憾ながら、僕も君に恋しているんだよなあ」
パストラム
「かわいい下等生物だね♡ とか煽りたいところなんだけど」
パストラム
「そもそも僕がこの魔法を使えるようになったのはレムニンに恋したからなので、なにも言えませんね」
パストラム
「…………島で助けてもらったからかな……」
レムニン
「その理屈で言うと漂流者の七割ぐらい抱けてるはずなんだよなあ」
パストラム
「助けてもらってばっかのやつはあんまりそれで恋しないんだろ」
パストラム
「理性はそう言ってるが、僕の中のすれた人格がトゲを放出している」
パストラム
「……僕は、あんまり誰とも仲良くなる気はなかったんだよな」
パストラム
「そこそこにしてうまく生き延びようと思ってた……」
レムニン
「僕もそれぐらいのつもりだったんだよなあ」
パストラム
「自分のこと、誰かに依存するほど弱い存在じゃないって思ってた」
パストラム
「なんだ? いますぐ連続絶頂バトルでもするか?」
レムニン
「君は僕のことを見ちゃいられんなどと思っていたようだが…」
パストラム
「認めたくない気持ちが半分と嬉しい気持ちが半分で争っています」
レムニン
「自分に全部の責任があると思い込んで、平気ですって言いながら森に一人で諦観に浸ってたところとか……」
レムニン
「あのとき急に僕があんなことを言い出した理由が今更わかったな」
レムニン
「たぶん、僕が先に自分の弱さを認めなければ、君のほうも認めてくれないと思ったのだろうね」
パストラム
「最初から手のひらの上だったってことか」
レムニン
「買いかぶるな。さすがにこんなもの、後付けの理屈だ」
レムニン
手に手を重ねて、パストラムがここにいるということを確かめる。
レムニン
そんな風に思うと、世界への憎しみがぼやけて薄れる。
レムニン
しかし、それではパストラムの隣に立ちつづけることはできない。
レムニン
「こうして君を僕のものにしても、誰も文句を言いやしない」
パストラム
「……それ愚かであることと関係あるかなあ」
パストラム
「っていうか、おまえはなんで僕のこと好きなんだよ」
レムニン
「ただ、君は僕のところにいなくてはいけないと思ったんだ」
パストラム
「……いや、なんかないの? なんかこう……いい感じのエピソードとか……」
パストラム
「ていうか僕がおまえに好かれるようなことした覚えそんなにないんだよな……」
レムニン
「どうやらお互いそう思っているらしい……」
レムニン
「もうこの生き物は僕以外のところでは幸せになれないのかもなと思ったら」
パストラム
「どういうことなんだと言いたいところなんだけど」
パストラム
「あの島沈みかけてたし、元の世界戻っても死んでたし、日本も向いてないだろうし」
パストラム
「おまえくらい僕のこと見てくれるやつにはたぶんもう会えない気はする」
パストラム
「そのあたりが似た者同士なのかもしれない」
レムニン
「あんまりそういうふうには見えないようにしてたつもりだったんだけどな」
パストラム
「最初マジで下等生物嫌いの神なのか判断に困ったけどね」
パストラム
「力を持ってるやつって、その力ばかり見られることが多くて、寂しいんだよな」
レムニン
「神は神のままで人の幸せを得ることはできん」
レムニン
「だから神を愛した場合、そいつを人に引きずり降ろさねばならんというのは、いかにも業の深い話であることだなあ」
パストラム
「そうして僕達はめでたく人間同士になったってわけ」
レムニン
「まあ何事も柔らかいところを触られるのが一番気持ちいいから、仕方ないな」
レムニン
「仕方ないので、僕たちは柔らかいところを触り合って毎日楽しく過ごしているというわけだ」
レムニン
「ちゃんと生きてるなぁ……と思うとうれしい」
レムニン
「しかし僕らのこれまでの経緯について語るのが主旨だったような気がするけど、気が付いたら単にいちゃついてるだけになってるな」
パストラム
「まぁ一応……? 馴れ初めの話では……ある……?」
レムニン
「きままに催眠レイプしたり人間を小さくして飼ったりしている連中が人並みにイチャついてんじゃないよと画面の向こうの人には思われてるかも」
レムニン
「もしそう思っているならぜひ何らかの手段で伝えてほしい。かなりいい気持ちになるから」
パストラム
「僕はけっこうすみませんって気持ちになるかもしれない……いや、事実だから弁解の余地もないんだけど」
レムニン
「次の犠牲者は、この映像を見ているあなたかもしれません」
パストラム
「いやでも実際そうかもしれないんだよな」
パストラム
「万が一急にタイタニアに転移してしまったら、死ぬか縮められて飼われるかの二択だと思うので、そのときは諦めてください」
レムニン
「がんばればチートスキルで無双できるかもしれませんよ ここにいる花みたいに」
パストラム
「まぁおおよそ不可能だと思うけど、頑張って」
レムニン
「最後にあれやってよ 画面に掌が迫ってきて真っ暗になるやつ」
パストラム
「僕ですらレムニンいなかったら多分死んでるからな……」
パストラム
「あ〜……これ? この……なんか赤いやつ」
レムニン
~タイタニアはSAEKO: Giantess Dating Simを応援しています~