GM
周囲の荒んだ環境から浮き上がるように輝く姿は、まるで飢えと乾きで倒れ伏す直前に見る蜃気楼。
GM
それこそがホテル『ジャック・オブ・ハート』。
GM
救世主には帰還の手段を、末裔には救世主の力を餌に、殺し合いの儀式が執り行われる舞台。
GM
白い招待状を受け取ったあなた方二人は導かれるままに、そのホテルの前までやってきて────
GM
そこで無残な死体として、血飛沫に汚れた招待状を握りしめたまま転がっている。
『夢見の』シャノン
そして…その死体を覗き込み、疑問符を浮かべる女性が横に立っていた。
『夢見の』シャノン
「おや?もう終わりなのだろうか?もう少し君のことを知りたかったのだが…」
『双子の』マリー
「いやはやまったく!問答も無しに襲ってくるのだから参りますね」
『双子の』ルビー
「ともなれば、この見るに堪えない有様も至極当然といったところ」
『双子の』ルビー
「せめてもう少し利口であれば」「死に顔を選ぶ程度の暇はあったでしょうに!」
『双子の』ルビーとマリー
「まこと語る口を持たない乱暴者には困ったもので御座います。ねえ」
107号室のホテルマン
赤い制服のホテルマンは、ただ微笑んでその様子を見つめている。
107号室のホテルマン
それはどのような狼藉が行われていても、一歩たりともその場から動く気配等見せなかった。
107号室のホテルマン
なにせそこは、ホテルの敷地より僅か外側であったものだから。
『夢見の』シャノン
「ふふふ、そうだねぇ。けれど彼もきっと強い思いがあってここまで来ていたはずだ…その思いは尊重してあげなければ」
『夢見の』シャノン
手元で緑色の棒をくるくると回す、そうしてそれを口に咥えて息を吹きこむと…
『夢見の』シャノン
透明で虹を纏った玉が棒の先端から作り出される。
『双子の』マリー
「如何にも。ここまで来るとなれば、いずれ壮絶な死合いになること百も承知でしょうし」
『双子の』マリー
「他者を蹴落とすこと上等ともなれば、それはそれは強かったのでしょうねえ。思いの方は」
『夢見の』シャノン
うんうん、とにこやかにそれを聞いている。
『夢見の』シャノン
「しかし惜しかった、目前で少し気が緩んでしまっていたのだろうか…こうもあっさりと倒れてしまうとは…」
そう言って、死体のそばに落ちた招待状を手にとる。
『双子の』ルビー
「あるいは、かの仮面の輩が止めに入る者と思っていたのかもしれませんね。何しろ彼等はれっきとした招待客であった故……」
『双子の』ルビー
「……まあ、もしかしたら同じ手口を使っていたのやもしれませんが」
『双子の』ルビー
ホテルの方に目をやり、じっと佇んでいる男を見つめる。もしや加勢するかとも思ったが、どうやら懸念だったようだと胸をなでおろしながら。
『夢見の』シャノン
「加勢してくるのであれば、それもまた一興…と思っていたのだが…。よかったのかい?こうしてこの招待状は我々の手に移ってしまったが」
招待状をひらひらと、ホテルマンに見せつける。
107号室のホテルマン
「その招待状を手に当ホテルにおいでくださった方こそが、当ホテルのお客様となります」
107号室のホテルマン
そう述べたホテルマンが目線を少し傾け、招待状を見せつけるその救世主の足元がホテルの敷地を越えている事を確認したならば。
107号室のホテルマン
「ホテル『ジャック・オブ・ハート』へようこそおいで下さいました」
107号室のホテルマン
「私は当ホテルのホテルマン。ゲームの間お客様のおもてなしを担当させて頂きますセブンと申します」
107号室のホテルマン
「救世主様のご予約は”たった今完了”致しました。お連れの末裔の方も、どうぞこちらへ」
『夢見の』シャノン
「おっ、今まさに私はお客様と認識してもらえたようだね!」うきうき
『双子の』マリー
「それが血で汚れていようが、目の前で奪われたものであろうが。手にすればそれで良い訳だ。とんだビジネスライクですこと」
『双子の』ルビー
「綺麗な線引きでいいじゃないか。融通の利かない頑固頭よりは」
『双子の』ルビー
倒れ伏している救世主の懐からコインを取り出すと、後に続き玄関扉をくぐった。
107号室のホテルマン
粛々と、至極丁寧な接客態度。
107号室のホテルマン
救世主ではなさそうだが、一体何の末裔かも分からない。
107号室のホテルマン
整った身なりに整った身振りは、決まった形に沿ったかのような完璧さ。
107号室のホテルマン
それはまさに、ビジネスライクと評すにふさわしい。二人にかけられた言葉についても同様に。
107号室のホテルマン
ホテル内部を案内し客室まで案内を促す道すがらでは、横から全く同じ姿のホテルマン達も現れ荷物や上着を預かろうと寄ってくる。
GM
玄関扉を潜って行けば、そのホテルのエントランスには、建物の洒脱な外観にはとても似つかわしくはない石像が設置されている。
ドクター
異様な形状に膨れた筋肉、まるで容器のような形状に肥大化した頭部、顔面からはバリエーション豊かな液体を垂れ流す、老人の石像。
ドクター
苦痛と絶望の表情、片腕を振り上げたポーズのそれは、余りにも写実的。
ドクター
まるで生きた人間をそのまま石に固めたような、異様な迫力を放っている。
GM
横目に見えるガラス壁越しには、巨大なモニターが配置された、立食パーティの会場のような広い空間も目に入る。
だがそちらは、入口からして違うようだ。
『夢見の』シャノン
「………いや、待ってくれ。その…、この石像はなんだい?」
知性は溢れてそうだが(?)才覚は0に思える石像を指差す。
『双子の』ルビーとマリー
「これは…」「……」「……」「……」
107号室のホテルマン
「ああ、そちらの石像ですか」
107号室のホテルマン
「少し前までは外に設置されていたのですが、風雨に晒されたせいか少し傷みが目立ってきまして。つい最近エントランス内に移設されました」
『双子の』ルビーとマリー
「……つまりこのホテルの所有物なんですね」「……前衛的な像だね」
『夢見の』シャノン
「このホテルでの、過去の敗北者…夢半ばで倒れてしまった者たちだろうか?」
ホテルで敗れた救世主は石になってしまう、というのは風の噂で聞いていた。
107号室のホテルマン
ホテルマンは微笑みを絶やさない。
『夢見の』シャノン
「つまり、これは願い叶わぬ苦しみや絶望が凝縮された顔っ!ということになるのかな?ああ〜、彼にはどんな夢があったのだろうね…!」
まじまじと石像を見つめる。
『夢見の』シャノン
「ねえ、ルビーマリー。どう思う?」にこにこ
『双子の』ルビー
「そうですねえ。夢打ち破れた苦悶の顔を永久に保存するというのは、なんとも悪趣味だか、あるいは趣味が良いのか」
『双子の』マリー
「まあ、見るからに俗人といった風貌ですし。きっと想像しやすく、その分だけ強烈な願いを抱いていたのでしょう」
『双子の』マリー
「己によほどの自信がなければ、斯様な頭でっかちにはなりますまい。石になってむしろ愛らしいかもしれませんね、まるでハンプティダンプティのように!はははは!」
『双子の』ルビー
「いやハンプディダンプティは無理だろ」
『双子の』マリー
「……まあ、戒め辱めとしてはこの上ないですね」
『夢見の』シャノン
「…こうした思いを抱えた者たちが、多く集うのだろうね。楽しくなってきたじゃないか」
『夢見の』シャノン
笑顔を浮かべながら、その石像の頭…脳部分をなでなでする。
『双子の』ルビー
「応えを返す気は無いようですし、さっさとエスコートして頂きますか。いつまでも仮面に囲まれているのも良い気分ではない」
107号室のホテルマン
「では、まずは2階の客室へのご案内となります。こちらのエレベーターへどうぞ」
107号室のホテルマン
促された先に有るのは、常識的なサイズのエレベーター。
もっとも、堕落の国の常識的な建物には須らくそのような施設はありはしないが。
『双子の』マリー
コインを取る際についた血を石像でぬぐった。
『双子の』マリー
「外観も相当でしたが、内装もやはり豪華ですねえ。これが噂の上下に動く箱ですか」
『夢見の』シャノン
「ここが堕落の国だと忘れてしまうような光景だねぇ」シャボン玉ぷかぷか
『双子の』ルビー
「そちらの故郷では普遍的な光景でしたか」
『夢見の』シャノン
「まあ、私の世界と似たような部分は所々見られるね」
『夢見の』シャノン
「でも別に、それが良かった…というわけでもなかったけれどね」
『双子の』ルビー
「何時何処だろうと隣の芝は青いものですね」
GM
エレベーターで階を移動し、回廊状のフロアを通り抜け。
横目に見える巨大な吹き抜けから、先程ガラス越しに見えた広い空間が見下ろせるのを確認しながら。
GM
案内されるのは[客室107号室]とプレートに表示された部屋。
GM
頑丈な鍵に重厚な扉は、中からも外からも抜群の安心感を演出する。
GM
扉を潜れば目に入る全ての内装は信じられない程に洗練されて清潔で、ダブルサイズのベッドは夢に見る程柔らかい。
GM
一人部屋として見た場合はもちろん、二人三人で宿泊するのだとしても十分に過ぎるほど広い部屋に、テーブル、椅子、鏡台、冷蔵庫。あらゆる設備が揃っている
GM
片面ガラス張りの日当たりの良さは白いカーペットをまばゆく照らし、架かった分厚いカーテンは外見情報だけでも上質な手触りを想像させる。
GM
このような先進的で豪華な客室が堕落の国に存在し得るだけで異質だが、その中で更に異質な物体は、テーブル近くにある大きな黒い窓。
GM
それは知識があれば『モニター』とわかるもの。
107号室のホテルマン
「ルームサービスは24時間お使い頂けます。お申し付けはそちらのお電話からフロントへ」
107号室のホテルマン
「客室以外にも、救世主様はホテル内の施設を自由にお使いいただけます。他の客室に入る事や、フロアの移動、そしてこのホテルから出ること等はできませんが」
107号室のホテルマン
「勿論、末裔の方にも相応のサービスはご用意されていますし、守って頂くルールも同様となります」
107号室のホテルマン
「他なにか御用があれば、いつでもお呼び下さい」
『夢見の』シャノン
「ありがたいことだね、ここまで来るのにとても疲労が溜まっていたからね。ゆっくり休ませてもらおう!」
107号室のホテルマン
「それでは”お二方”、ゲームの始まる時まで、どうかごゆっくり」
『夢見の』シャノン
などと言ってはいるが、特に疲れなど見せるわけでもなく…笑顔で両手を広げる。
『双子の』ルビー
「…………と、ここまで一切触れずに来ましたが」
『双子の』マリー
「8組16名からなるゲームだと言う噂でしたが、なんともはや」
『双子の』マリー
「つまりはそう、認められたわけですね」
『双子の』ルビー
「私達が『双子の末裔』であると」
『夢見の』シャノン
「ふふ…」
部屋にあった椅子に座り、"二人"の"一人"を見つめる。
『夢見の』シャノン
「どうだい?今の気持ちは…、ルビー。マリー。」
『双子の』ルビーとマリー
「なにしろ私たちは」「“嘘偽りなく”」「”鏡の国よりやって来た”」「“双子の末裔でありますので”」
『双子の』ルビーとマリー
「むしろ当然と言えましょうね」「さがない者に後ろ指を指されることはあれど」「何しろきっかりはっきり、私達は二人で一人の末裔ですから」
『夢見の』シャノン
「それでこそだ」にこりと微笑む
『夢見の』シャノン
では、かけひきといこうじゃないか!
GM
ただし異なる点として、手札は3枚!疵やら切札やらはオミット!
HPは情緒に変換!
そして技能は全て、かけひき専用技能に差し替えられる!
GM
というわけでまずはイニシアティブです。これは裁判と同じく才覚判定
『夢見の』シャノン
1d6+3 どうだ! (1D6+3) > 3[3]+3 > 6
『双子の』ルビーとマリー
1d6+3 (1D6+3) > 1[1]+3 > 4
『双子の』ルビーとマリー
第1ラウンド 『双子の』ルビーとマリー
『夢見の』シャノン
2d6+1 (2D6+1) > 9[4,5]+1 > 10
『双子の』ルビーとマリー
脅威度で判定…っていうのは2d6+脅威度のことか
『双子の』ルビーとマリー
2d6+1 (2D6+1) > 5[3,2]+1 > 6
『双子の』ルビーとマリー
*失敗したので自身の情緒を+1します
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 0 → 1
『双子の』ルビーとマリー
「して、シャノン様のお気持ちの方は如何様で?」「ある意味では見慣れた景色との事でしたが」
『夢見の』シャノン
「ん?ああ。今、とても楽しいよ!」
『夢見の』シャノン
「正確には、楽しみ…なのだろうけど。今この瞬間にも、強い思いを持った人たちがここに訪れていると思うとドキドキが止まらないね!」
『夢見の』シャノン
「私一人では来れなかった場所だ、君たちにはとても感謝しているよ!ルビー、マリー!」
『双子の』ルビーとマリー
「いいえいいえ、こちらこそ」「私達のこれまでの旅路こそ、シャノン様のお力あってのものです故」
『双子の』ルビーとマリー
「はぐれ者の末裔二人、放浪者となって生きるにも苦労の絶えぬ身の上ですので」
『双子の』ルビーとマリー
「持ち物と言えば、以前に仕えた地で聞いた他愛もない話のみ」「実に渡りに船で御座いました。このホテルの実在も含めて」
『夢見の』シャノン
「そうであったなら、私も嬉しいよ。ここでなら…、私たちの願いも遂げられることだろうしね」
『双子の』ルビーとマリー
第2ラウンド 『双子の』ルビーとマリー
『夢見の』シャノン
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 6[1,5]+1 > 7 > 成功
『双子の』ルビーとマリー
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 9[4,5]+1 > 10 > 成功
『双子の』ルビーとマリー
どうやらこの勝負勝ちのようだな…
[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 0 → 1
『双子の』マリー
「そうですねえ。私たちの願い……か」
『双子の』マリー
救世主と末裔、総勢16名による殺し合い。
優勝すれば、救世主は元の世界へ帰り、末裔は救世主の力を手に入れる。
『双子の』マリー
「救世主が牛耳る世界を疎ましく思う私にとっては、どうあれ8人が消えてくれるこのゲームは確かに嬉しいし」
『双子の』マリー
「自身に救世主の力が備われば、それに越したことはありません……が」
『双子の』マリー
「シャノン様は如何なのです?元の世界に帰還できる、という報酬は」
『夢見の』シャノン
「ふむ、そうだねぇ…」
と、口元に手をあてる。
『夢見の』シャノン
「正直、元の世界へと帰りたい気持ちは…あまりないのだけれどね。私は人の夢を見て回りたいだけだし」
『夢見の』シャノン
「この世界にあって、私の世界にはなかったもの。強い願いを持つのに必要なもの、それを私の世界に持ち帰ってしまうのもいいかな…と思っているよ」
『夢見の』シャノン
「それを、私の世界にも齎そうと思うんだ」
『双子の』ルビー
全身誘い受けマンになってしまった
『双子の』ルビー
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 5[3,2]+1 > 6 > 失敗
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 1 → 2
『夢見の』シャノン
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 6[4,2]+1 > 7 > 成功
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 2 → 3
『夢見の』シャノン
「この世界はとても良いところだよ。暮らすには不便、日々を生きるだけでも大変、苦しみがそこかしこに転がっている」
『夢見の』シャノン
「だからこそ、強い思いが生まれていく」
『双子の』マリー
「正味独特な感性だとは思いますがね」
『夢見の』シャノン
「それは自分でも理解しているよ。でも、そんな私に…君たちはついてきてくれている」
『夢見の』シャノン
「理解、まではいかずとも…否定をしてはいないのではないかな?」
『双子の』マリー
「世界の在り様について良い悪いを論じようとは思いませんね。何しろ私たちは他の世の中を知りませんから」
『双子の』マリー
「しかし強い思いが産まれるというのは確かでしょう。この世界を生き延びるためには、誰しも貪欲でなければなりませんから」
『双子の』マリー
「とはいえ、末裔は皆この地で生まれ育ち困窮している身。強くこそあれ、皆似たり寄ったりの将来を夢見ているものです」
『双子の』マリー
「即ち救済をね。そういった意味ではやはり、貴方と私たちの感性はここでは異端というべきでしょう」
『夢見の』シャノン
椅子の上で頬杖をつきながら、微笑んでいる。
『双子の』マリー
否定はしない。同類でなければ、主従の関係は破綻している。
『双子の』マリー
「元より、我らはこの世に馴染めぬ爪弾き者ですので」
『夢見の』シャノン
「では、私たちは似た者同士…ということだ」
『夢見の』シャノン
「そして、お互い異端であったからこそ…こうして共にいられるということだ。ならば、今はそれを良しとしようじゃないか」
『双子の』マリー
「……類は友を呼ぶとはよく言ったもので」
『双子の』ルビー
「さて。こいつが噂のテレビとやらかな?吹き抜けにもあったのと似ているようだし、これで部屋に居ながら観戦できるというわけだ」
『双子の』ルビー
「暫く滞在するからには、巣作りも必要だろう。ひとまずはこの巣にどんな蓄えがあるか……」
『双子の』ルビー
「……ルームサービスでも頼むか」
『夢見の』シャノン
「おお、いいね!頼もう頼もう!」
『夢見の』シャノン
「せっかくなのだから、贅沢をしていこうじゃあないか」
『双子の』マリー
「人を顎で使えるのは気分が良いねえ」
『夢見の』シャノン
これでおしまいにしてやるぜ!ドロー!
『双子の』マリー
また全身誘い受けマンになってしまった
[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 1 → 2
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 3 → 4
『双子の』マリー
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 8[5,3]+1 > 9 > 成功
『夢見の』シャノン
2D6+1>=9 (2D6+1>=9) > 9[5,4]+1 > 10 > 成功
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 4 → 5
107号室のホテルマン
丁寧なノック音の後に、ワゴンを伴ったホテルマンが入室。
107号室のホテルマン
テーブルの上に豪華な料理を並べていく。
この堕落の国で普通に生まれ育てば見たことのないような素材、食器、それを片側に。
107号室のホテルマン
この堕落の国でよく見られるようなものを、もう片側に。
107号室のホテルマン
「それから、こちらはサービスとなっております」
107号室のホテルマン
そして最後に、ティーカップに紅茶を注ぐ。
素朴な味わいながら、華やかな香りの紅茶。
107号室のホテルマン
かつて、ある少女が愛していたもの。
『夢見の』シャノン
「ふむ…。いや、ありがとうセブン…下がってくれて構わないよ」
『双子の』ルビーとマリー
「どっちがどっちかなんて……」「まあ、聞くまでもないだろうね」
『夢見の』シャノン
ホテルマンが退室したあと、シャノンは豪華な料理の方に手を伸ばし。
『夢見の』シャノン
「さあ。ルビー、マリー食べるといいよ」
その料理を二人に差し出す。
『夢見の』シャノン
「ん?構わないよ、私は今はそこまで空腹ではないしね」
『夢見の』シャノン
「まあ、"一人分"しかないのはちょっとした手違いだろう。次からは"三人分"頼むとしよう」
『双子の』ルビーとマリー
「……では、ご相伴にあずかると致しましょう。差し出されたものを無下に断ってはそれこそ失礼だ」「玄関でのやり取りからして、人数分に融通が利くかはわかりませんがね」
『双子の』ルビーとマリー
そうして、“二人分”の用意がある紅茶を手に取った。
『夢見の』シャノン
「その時は、私が三人分食べるとでも言っておけばきっと大丈夫だろう。救世主であることは、利用していかないとね」
『夢見の』シャノン
そうして堕落の国ではよく見られるようなスープをひと舐めして…、顔をしかめる。
『夢見の』シャノン
「さて…」
そのスープをそのままに、立ち上がってダブルベッドへと歩み寄る。
『夢見の』シャノン
「…ちなみに、ベッドが一つしかないけれどどうする?一緒に寝るかい?」
『双子の』ルビーとマリー
「……その気遣いにはまた感謝の意を表するとして。川の字で並ぶには流石に狭いのでは?」
『夢見の』シャノン
「そうかなぁ?詰めれば寝れるんじゃないかな…?」
ベッドの上を撫でる
『夢見の』シャノン
「まあ、そうすると眠りづらいか」
『双子の』ルビーとマリー
「まあ何、横になる場所自体は部屋にでもありますのでお気になさらず。こちらのカーペットも茣蓙よりは万倍も上等なものです故、夢心地の気分でいられることでしょう」
『双子の』ルビーとマリー
「いやいいよ俺だけ床に転がるから」「何言ってんだ?」
『夢見の』シャノン
「ふふふ。いいよ、ベッドもどこも好きに使ってくれて構わないよ。セブンにも、私からの指示だと言って好きにしてくれていい」
『夢見の』シャノン
「…まあ、こう言われるのも少なからずお互いの立場を意識していて居心地が悪いかもしれないけれどね」
『双子の』ルビーとマリー
「それはもう、さもありなん」
『双子の』ルビーとマリー
「貴女が好ましいと感じるこの世界の在り様は」「御覧の通りの格差を、差別を詳らかにするものです」
『双子の』ルビーとマリー
「それを当然と受け入れ救世主に奉仕するのが“優秀な末裔”のあるべき姿でもあります」
『双子の』ルビーとマリー
「それこそ、ここにいるホテルマンのように」「かのセブンと呼ばれる仮面の男のように」
『双子の』ルビーとマリー
「この世界が良いか悪いかについて、私たちは論ずる心算はありません」「ここで産まれ育ち死ぬ以上、自らの立つ大地を疑っては成す術もないからです」
『双子の』ルビーとマリー
「しかし、この“社会”については」「すっかり馴染んだ”文化”については」「滅んでしかるべきだと考えています」
『双子の』ルビーとマリー
「救世主のいない世界で」「堕落の国は永久に続く」「末裔達は苦難の中で」「懸命にもがき生き続ける」
『双子の』ルビーとマリー
「それこそが私達の望む明日」
『双子の』ルビーとマリー
「ともすれば、そこは救世主という希望を失い、誰もが夢を失う世界であるかもしれません」「私達の夢は、皆の夢を奪うことであるのかもしれません」
『双子の』ルビーとマリー
「それでも、貴女は」「平等に分け隔てなく」「私達の夢の行く末を応援し」「好きにせよ、と命じて下さると?」
『夢見の』シャノン
二人の言葉をゆっくりと聞き、目を伏せる。
『夢見の』シャノン
「人は"同じ"であっては願いも思いも抱くことはなくなる。格差や差別があるからこそ、人は努力をし…願望を得る」
『夢見の』シャノン
「私は、救世主と末裔の関係を否定はしないしけれど…」
『夢見の』シャノン
「私が君たちを好ましいと思っているのは、思いが強いから。末裔であるかは、正直二の次といったところだ」
『夢見の』シャノン
「そんな君たちが望む明日ならば、私は肯定しよう」
『夢見の』シャノン
「それにね、夢はそう簡単には消えないよ」
『夢見の』シャノン
「だからこそ、私は夢見る者たちを肯定し続ける」
『夢見の』シャノン
「だから…」目をゆっくりと開ける
『夢見の』シャノン
「好きにするといい。どれほどの困難があろうとも、君たちがその夢を強く思う限り…私はそれを応援するよ」
『双子の』ルビーとマリー
「………… … … … … 」
『双子の』ルビーとマリー
「まずは深謝を。私達の夢を評価して頂き、有難うございます」「同時に、貴女の信念を試すような真似をしてしまったことをお詫び申し上げる」
『双子の』ルビーとマリー
「ともなれば、最早語るに及ばず。我ら双子の末裔、マリー・デルニャとルビー・デルニャ」「自らの夢と、貴女の享楽のため、その傍らにて旗を振るいましょう」
『双子の』ルビーとマリー
「全ての生き物が、そうするように」「己の夢を叶えるために!」「誠心誠意、力を尽くして」
『双子の』ルビーとマリー
「──他なる者共の夢を踏みにじりましょうとも!」
『夢見の』シャノン
「あっはは!」
思わず笑みが溢れる
『夢見の』シャノン
「そうして残ったものこそ、"本物"だ」
『夢見の』シャノン
「この世界では私が"救世主"で、君たちが"末裔"というのなら…私は君たちに告げよう」
『夢見の』シャノン
「ついてくるがいい。まずは私が…君たちの望む世界の片鱗を見せてあげよう」
『双子の』ルビーとマリー
「ええ、勿論」「御心のままに」
『双子の』ルビーとマリー
「我らはシャノン様にお仕えする双子の末裔」「命運を共にする、ヴァンテアン・ゲームの1組でありますから」
GM
──そうして、ホテル『ジャック・オブ・ハート』の夜は更ける。
GM
希望だなんだと人は言い、夢幻と人は言う。
それを並べて吟味して、値段を付けては買い叩く。
GM
それらは間違いなく末裔で、それは間違いなく救世主。
その上更に別の呼び方を探すなら。
GM
そこに居た者たちこそは正に、夢を追う者たち。