Dead or AliCe
『16JAcks』

*幕間 一回戦・Bホール試合後 その2
『夢見の』シャノン
こんこん、と107号室に丁寧なノックが響く。
『夢見の』シャノン
「は〜い、どうぞ〜」
107号室のホテルマン
その言葉と共に扉は開き、107号室ホテルマンのセブンが姿を現す。
107号室のホテルマン
「失礼いたします。お持ちしました」
107号室のホテルマン
そう言ってホテルマンが手にしているのは大きなトレイ。
107号室のホテルマン
その上にはいくつかの物がおかれているが、どれも形が歪んでいたり、元の形もわからない破片などが並んでいる。
『夢見の』シャノン
「おー、ありがとう。このあたりに置いておくれ」
そう言ってシャノンは目の前にある大きな机を指し示す。
『夢見の』シャノン
セブンが持ってきてくれたのは、シャノンたち107号室が一回戦で戦った相手が持っていた品々。
『夢見の』シャノン
そのほとんどが潰れ、砕かれ、千切れ、飲み込まれてしまったがシャノンが頼んで比較的形の残っているものを回収してきてもらったものだ。
107号室のホテルマン
トレイが静かに机の上に置かれる。
『夢見の』シャノン
それをじっと見つめ、一つを手に取る。
『双子の』ルビー
「よくこれだけ残っていましたね」
『夢見の』シャノン
「心の疵の力で作られたものなら、多少は残るかと思ってね…セブンに頼んでみて正解だった」
『双子の』ルビー
ソースの遺品はそのほとんどが無残な残骸と化している。巨大な亡者と化した際に、そのまま弾け飛んで壊れたか潰れたかしたものがほとんどだろう。
『双子の』ルビー
胡椒の瓶もとうに割れて、肝心要の中身は見当たらない。
『夢見の』シャノン
逆にシニの遺品は比較的原型を留めているといっていいかもしれない。一口で飲み込まれたからか、ホテルマンたちの手で迅速に処理されたおかげで無事だったのかはわからないが。
『夢見の』シャノン
これをどうしたいのかは、正直シャノンにはわかっていない。
ただなんとなく、見ておきたいと思ったのだ。あの裁判の様子を、自分が倒れてしまってからのやりとりを映像で見たことで。
『双子の』ルビー
「こうして見る分には、ただ精工なカトラリーそのものですね」
『双子の』ルビー
「シニ様の心の疵……人食いに関するものか、あるいはその人生か故郷への未練に関するものか」
『双子の』ルビー
「それで現出するものが、血肉ではなく食器になるのはなかなか興味深いですね」
『双子の』ルビー
「人という食材ではなく、人食いという行為に比重を置いていたのでしょうか」
『夢見の』シャノン
「人を食べるのが好き、なのではなく…人しか食べられない…だったからね。その可能性は大いにりそうだけど…まあ、今となってはまさしく真相は腹(闇)の中…と言った感じかな」
『双子の』ルビー
「そうですねえ」うむむんと唸っている。
『双子の』ルビー
「……やはり無理ですね。再現めいたことをやろうとはしてみましたが」
『双子の』ルビー
手元にあるのは、以前と変わり無い鈍色のナイフ。己の目の玉を抉ったもの。
『双子の』ルビー
「このカトラリーを模倣することはできないようだ。あの“ミムジィ”様のようにはいきませんね」
『双子の』ルビー
「二度と戦いたくないと思う程度には嫌な思い出ですが、この程度では心の疵足りえないということか」
『双子の』ルビー
我々の手札は先の一回戦ですべて出し尽くした。同じ手段を繰り返したとて、次の試合では勝てないだろう。
『双子の』ルビー
もっと心の疵の力を引き出さなくては。そのためにはどうすればいい?
『双子の』ルビー
トラウマの記憶をひっくり返せばあるいはとも思ったが、生憎眼前の“これ”では足りないようだ。
『夢見の』シャノン
じーっとルビーの横顔を見つめている。
『双子の』ルビー
「何か?」
『夢見の』シャノン
「いや、ルビーも意外と考えごとをするんだなぁ…と思っただけだよ」
『双子の』ルビー
「マリーの心配性には及びませんよ」
『夢見の』シャノン
「それは…そうかな?そうかも?」

それでは

エースはエースらしく、ジャックはジャックらしく。

相応しい振る舞いをもって、かけひきを始めましょう。

*まずは先制値の決定
『双子の』ルビー
1d6+3 (1D6+3) > 1[1]+3 > 4
『夢見の』シャノン
1d6+3 (1D6+3) > 4[4]+3 > 7
『双子の』ルビー
1??
『夢見の』シャノン
わははー

*シャノン→ルビーの順です


*手札引きタイム!
『夢見の』シャノン
*d4 c5 sA
『双子の』ルビー
また一押し引いてる
『双子の』ルビー
*s3 c4 cQ
『夢見の』シャノン
裁判の時にAいっぱい来てくれ

*1ラウンド目 シャノンの手番
『夢見の』シャノン
*sA使用 距離を測る
『夢見の』シャノン
*c5使用 アピール
『双子の』ルビー
*s3 誘い受け
『双子の』ルビー
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 8[4,4]+1 > 9 > 成功
『夢見の』シャノン
ぐぬぬ…
『双子の』ルビー
まずまず
『夢見の』シャノン
2D6+1+1>=9 (2D6+1+1>=9) > 7[6,1]+1+1 > 9 > 成功
『双子の』ルビー
ぴったで合わせてきやがった…
『夢見の』シャノン
さんきゅー距離測!
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 0 → 1
『夢見の』シャノン
「…二度と戦いたくない、と思ってはいるかもしれないけど」
先ほどのルビーの言葉を繰り返す
『夢見の』シャノン
「この遺品を見ても怯えることもないし、君はこの前料理もしてたからねぇ…。心の疵にはほど遠いんじゃないかな」
『夢見の』シャノン
「だって君たちは、102の彼女たちに勝利したんだから…。傷はたくさん負ったかもしれないけど、疵にはなってないだろうさ」
『双子の』ルビー
「そうですね……何にせよ勝利をもぎ取ったからには、克服したという意識は強そうだ」
『双子の』ルビー
「そういった意味では、一番ショッキングだった場面はかの末裔が亡者と化す瞬間だったかもしれませんが」
『双子の』ルビー
「亡者化自体も始めて見た訳ではないですしね」
『夢見の』シャノン
「…そうだね、私はその瞬間を直接見たわけじゃないからなんとも言えないけれど。やはり、思い出すと少し胸に引っかかる感じがある」
『夢見の』シャノン
「…末裔の彼と、もっと話してみたかった?」
遺品の一つを手に取って、問いかける。
『双子の』ルビー
「あれでそこそこは満足してますよ」
『双子の』ルビー
「対戦相手となった以上、相容れないのは承知の上でしたからね。我々と相性の良い相手など、元々ほとんどおりませんが」
『双子の』ルビー
「どちらかと言えば……そうだな。オレは救世主の、シニ様の話をより聞いてみたかった面はあります」
『夢見の』シャノン
「………そっか」

*ルビーの判定でハプニングが発生していたのでその処理をします
『双子の』ルビー
*ハプニング表判定!
『双子の』ルビー
1d6 (1D6) > 4
『双子の』ルビー
4 何気ない所作にドキッ!ランダムな対象1人の情緒+1。
『夢見の』シャノン
やめろー!
『双子の』ルビー
Choice[シャノン,ルビマリ] (choice[シャノン,ルビマリ]) > ルビマリ
『夢見の』シャノン
『双子の』ルビー
急に童貞設定に帳尻合わせてきたじゃん
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 1 → 2
『夢見の』シャノン
なんだ?胸を寄せるとかすればいいのか?
『双子の』ルビー
何気ない所作!?
『夢見の』シャノン
確信犯になっちゃうな

*きっと何かドキッとする所作があったのでしょう、情緒の上がったルビーくんの手番です
『双子の』ルビー
*パス!

*手札捨てタイム
『双子の』ルビー
*c4 cQ捨て
『夢見の』シャノン
*d4捨て
『夢見の』シャノン
*手札補充タイム
『夢見の』シャノン
*s4 s10 dJ
『夢見の』シャノン
え、なにその手札
『双子の』ルビー
*dQ cA Joker
『双子の』ルビー
本番でこの引きしてくれ
『夢見の』シャノン
本番でも頼むぜ

*2ラウンド目 シャノンの手番
『夢見の』シャノン
*dJ使用 一押し
『夢見の』シャノン
くらえ!
[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 0 → 1
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 2 → 3
『双子の』ルビー
クソ!
『夢見の』シャノン
「…私も、そうだな。あの救世主とは、シニとはもう少し話してみたかったかな」
『夢見の』シャノン
何を話してみたいのか、何を問いたいのかわからないけれど…。
『夢見の』シャノン
そうしてシャボンを一つ作り出し。
『夢見の』シャノン
そのシャボンはカトラリーへと形を変える。
模倣という力が、心の疵に関わってくるというのなら…。
『夢見の』シャノン
このカトラリーを模倣できてしまう自分は、彼女に疵でも負わされてしまったのだろうか?
『双子の』ルビー
「以前もやっていましたね」
『双子の』ルビー
「お気に召したので?」
『夢見の』シャノン
「んー…、どうだろ?」
『夢見の』シャノン
「彼女みたいにこれを持って急接近!…みたいな芸当ができれば良かったのだけれど、残念ながら今の私の体にはそのスペックがないからね」
『夢見の』シャノン
くるくると手元でカトラリーを回す。
『夢見の』シャノン
「できて投擲くらいだろうね。…でも、まあ」
『夢見の』シャノン
「持っていると、なんだろうね。少しざわつくような…、落ち着くような…不思議な気持ちだよ」
『双子の』ルビー
「それは正しく心の疵なのでは……?」
『双子の』ルビー
思い当たる節を回想する。煮双子とか、アレとか、KOされていたこととか。
『双子の』ルビー
他はともかくアレについてはマリーも大分アレな気がするけど、アレアレ。
『夢見の』シャノン
アレ
『夢見の』シャノン
「………」
しばらく考え込む。
『夢見の』シャノン
「…やっぱりこれ、疵かな?」
『双子の』ルビー
心の疵を判別することができたらどんなにか便利だろう。実際にはそう簡単にはいかないのだけど。
『双子の』ルビー
「……疵の力にしろ、それがカトラリーの形をとるのはどういった原理なんでしょうね」
『双子の』ルビー
「救世主の力は、心の疵が形を成すものとは聞いていますが、原理についてはいまいち」
『夢見の』シャノン
「まあ、原理については私もさっぱりだね。けれど、この力に関しては…そうだね」
『夢見の』シャノン
「想いを形にする、というのが近いかもしれない。それが良いものでも悪いものでも…、その人物の…もしくは私の想いによって様々な光景や現象を引き起こす、といった感じかな」
『夢見の』シャノン
だからやはり、"これ"は心の疵なのかもしれないな…。と、カトラリーを眺めながら思った。
『双子の』ルビー
「想いを形にする力……ですね」
『双子の』ルビー
その多くは、負の念が形をとるのみだけれど。
『双子の』ルビー
かつて、ここが不思議の国であったときには、楽しく愉快な想いからなる力が形となっていたのかもしれない。
『双子の』ルビー
けれど、そんな“もしも”は何の意味もない話だ。
『双子の』ルビー
多くの心の疵の力は、ただ戦うためにのみ振るわれる。
『双子の』ルビー
救世ではない。
『双子の』ルビー
恨み辛みを吐き出す八つ当たりのようなものに過ぎないのだ。
『双子の』ルビー
ならば、コインの数が同数であるのなら。
より悲惨で、より酷い過去を有する者の方が、救世主としては上等なのだろうか。
『双子の』ルビー
それは、厭だな。
『夢見の』シャノン
人の夢を見たいと、そう思ってここまで来た。
けれど心の疵による力が、負の感情からくるものなら…裁判での殺し合いで見てきた救世主たちの輝きは、全て嘘なのだろうか?
『夢見の』シャノン
それとも。
『夢見の』シャノン
それが輝いて見える私の心が、ひどく抉れているだけなのだろうか。

*2ラウンド目 ルビーの手番
『双子の』ルビー
*Joker アピール
『夢見の』シャノン
*s10使用 誘い受け
『夢見の』シャノン
その贅沢なアピール!打ち砕いてやるぜ!
『夢見の』シャノン
2D6+1>=7 (2D6+1>=7) > 6[4,2]+1 > 7 > 成功
『夢見の』シャノン
あれ…
『双子の』ルビー
2D6+1>=7 (2D6+1>=7) > 4[3,1]+1 > 5 > 失敗
『双子の』ルビー
なんで?
『夢見の』シャノン
かなしい…
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 3 → 4
『双子の』ルビー
「だからですか?このところ、ぼんやりなさっているのは」
『双子の』ルビー
「シニ様からされたこと、言われたことが何か引っかかり続けていると?」
『夢見の』シャノン
「え?」きょとんとルビーに振り返る。
『夢見の』シャノン
「…そんなに私ぼんやりしてたかい?」
『夢見の』シャノン
引っかかっているかと言われれば、それはイエスだ。こうして遺品の回収まで頼み、カトラリーを模倣しているくらいだ。
『双子の』ルビー
「ええ、まあ」
『双子の』ルビー
「最初は自分だけ活躍できなかったこととか」
『双子の』ルビー
「あとはなんだ?こう、私達の事が好きだとかなんとか言ったこととか」
『双子の』ルビー
「そういうものの影響かと思っていましたが」
『双子の』ルビー
「割とぽけーっとしてる時頃が長いので気になっています」
『夢見の』シャノン
「………なんか、あれだね」
『夢見の』シャノン
「…ルビー、意外と私のこと見てたんだね」
『双子の』ルビー
「そんな意外!?」
『双子の』ルビー
「いや、マリーから伝え聞いた話もありますが」
『双子の』ルビー
「試合前から一週間程度はずっと同じ部屋で過ごしてた相手の、態度の違いくらいは……わかりますよ」
『双子の』ルビー
「前まではもっと悪趣味に笑っているか退屈そうにいじけてるかくらいでしたから」
『夢見の』シャノン
「そっか…」頬杖
『夢見の』シャノン
「それは…、心配かけちゃった…ね?」
『夢見の』シャノン
驚きと、なんかよくわからないけど見れくれてたんだなぁ…という気持ちでなんて返すのが正解かわかってない。
『双子の』ルビー
「……こっちの考えすぎみたいな感じにするのやめてくれませんかね!?」
『双子の』ルビー
「俺が気付く程度のことなら、マリーだって察しているでしょう」
『双子の』ルビー
「どうあれ寝食を共にした相手です。不調の程度は気にはなりますよ」
『夢見の』シャノン
「…そっかそっか」目線を戻す
ーーーそれは
『夢見の』シャノン
ーーー少し嬉しいな

*手札捨てタイム
『双子の』ルビー
*dQ捨て
『夢見の』シャノン
*s4捨て

*手札補充タイム
『夢見の』シャノン
誘い受けのシャノン
『夢見の』シャノン
*d2 d9 hQ
『双子の』ルビー
本番でKをひいてくれ
『夢見の』シャノン
わはは
『双子の』ルビー
*c9 dK cA

*3ラウンド目 シャノンの手番
『夢見の』シャノン
*パス!

*3ラウンド目 ルビーの手番
『双子の』ルビー
*dK アピール
『夢見の』シャノン
*hQ使用 誘い受け
『夢見の』シャノン
2D6+1>=7 (2D6+1>=7) > 9[3,6]+1 > 10 > 成功
『双子の』ルビー
高いな~
『夢見の』シャノン
ふふん
『双子の』ルビー
2D6+1>=10 (2D6+1>=10) > 8[5,3]+1 > 9 > 失敗
『双子の』ルビー
妖怪いちたりない
『夢見の』シャノン
出目はよかった
[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 4 → 5
『双子の』ルビー
爆発!
『双子の』ルビー
一方的に爆発してしまった
『夢見の』シャノン
やったー!
『双子の』ルビー
「まあ…………何だ」
『双子の』ルビー
「あの夜の事については私にも諸々と非はありますし」
『双子の』ルビー
「招待状を肌身離さず持って居れば、すぐさまに脱出もできたであろうに」
『双子の』ルビー
「ヤリイカなどを抱えて何をやっていたのだという点については、面目次第も御座いませんが」
『双子の』ルビー
「えーと、あれだ」
『双子の』ルビー
こういう場合、そう気にするなとかいうのは逆効果なんだよな多分。何を言おう。という沈黙。
『夢見の』シャノン
「………ふふっ」
考え込んでしまったルビーを見て思わず笑みをこぼす。
『夢見の』シャノン
「ああ、いや…すまない。今の言葉に笑ったわけではなく…」
『夢見の』シャノン
「あの夜のことは…、まあなんだろうね。話すと長くなってしまいそうだし、マリーがいないこの場で言っても…という気持ちもある」
『夢見の』シャノン
「どちらに非があったか、なんてものを考えるのであればなおさらだ」
『夢見の』シャノン
「それに、そうだな…」
『夢見の』シャノン
「好きにやろう、と言ったのは私だし…」
うーん、と天井を仰ぐ。
『夢見の』シャノン
「私が好きになったのは、好きにやってる君たちだと思うからね…だから君たち二人は」
『夢見の』シャノン
「"そのまま"でいいよ」
『夢見の』シャノン
「そのまま、好きなようにしてくれればいい。停滞も、安寧も、堕落も、変化も、救済も…どれを選んでくれてもいい」
『双子の』ルビー
「…………」
『双子の』ルビー
「本当にそのままになりますよ」
『双子の』ルビー
「救世主を拒絶して、二人だけで生きていこうとしていたように」
『双子の』ルビー
我々を理解し得るのは我々だけだと、閉塞していた頃のように。
『夢見の』シャノン
「うん、いいよ」
それに微笑みで返す。
『夢見の』シャノン
「………あ、でも」
ふと、思いついたように
『夢見の』シャノン
「マリーがね、私を好きになりたいな、と思っているらしいんだ」
『夢見の』シャノン
「だからルビーも、私を好きになってくれたら嬉しいし…好きになったら言ってくれないかな?」
『双子の』ルビー
「はあ」
『双子の』ルビー
「はあ!?」
『双子の』ルビー
聞いてないけど!?
『夢見の』シャノン
「私は、"そのまま"の君たちが見たい」
『夢見の』シャノン
「だから全部」
『夢見の』シャノン
「好きにしていいよ」
『双子の』ルビー
「…………」
『双子の』ルビー
「…………」
『双子の』ルビー
「最初の時と、言ってることは変わんないな」
『双子の』ルビー
「それは、“ありのままを見せろ”って命令とは違うのか?」
『夢見の』シャノン
「んー?…命令、ではないんじゃないかなぁ?」
『夢見の』シャノン
「もちろん、命令してほしいというのであれば命令に変更するけれど」
『夢見の』シャノン
「正直、私も具体的なことはわからないんだけど…。多分…君たちが、何を選択するのかが見たいんだと思う」
『夢見の』シャノン
「だから、そうだなぁ…。あえて言うなら、お誘い…かな?」
『夢見の』シャノン
「一緒に、好きなようにしよう。ルビー」
ルビーに手を差し伸べる。
『双子の』ルビー
「……」
『双子の』ルビー
「お誘い、ですか」
『双子の』ルビー
この救世主と末裔が出会った時。最初に共連れを提案したのは、果たしてどちらだっただろうか。
『双子の』ルビー
いずれにせよ、応えたのはルビーではない。行先を決めるのは、いつもマリーだった。
『双子の』ルビー
何故そんな習慣がついたなんて、今更覚えてもいないが。
『双子の』ルビー
「……」
『双子の』ルビー
「良いでしょう」
『双子の』ルビー
「では、我々が選び掴み取った道の先で、貴女がどんな貌をするか」
『双子の』ルビー
「その果てで、次は我々が貴女に問い質すとしましょうか」
『双子の』ルビー
「この世界を見て、聞いたことで、貴女が故郷の地で何を成そうとするのか」
『双子の』ルビー
「己の世界に何を望むのかを」
『双子の』ルビー
だから、きっとこの時が最初だったのだろう。
『双子の』ルビー
ルビーが己の意志で、この救世主と──『夢見の』シャノンの手を取り、その行く先を見据えたのは。
『双子の』ルビー
“救世主と双子の末裔”ではなく、“シャノンとルビーとマリー”が、思うが儘の道を選び始めたのは。
『双子の』ルビー
「では、約束を果たしましょう」
『双子の』ルビー
「オレは今初めて貴女の事を好ましいと思いましたよ」
『双子の』ルビー
「これで満足ですか?」
『双子の』ルビー
「“そのまま”の事を口に出してみたつもりですが」
『夢見の』シャノン
「それは…」
『夢見の』シャノン
口元が緩む。それは先ほどまで見せていた柔らかな笑みではなく、口の端を釣り上げた邪な笑み。
『夢見の』シャノン
「とても嬉しいね…」
『夢見の』シャノン
「ならばこちらも、しかとその選択を見届けるとしよう」
『夢見の』シャノン
ーーーそして、その時の私がどんな答えを君たちに返すのか…それも少し、楽しみだな。
『夢見の』シャノン
「…ふふ、やっぱり私は君たちのことが好きだな」
ーーーそして、それに気付けて良かった。
『夢見の』シャノン
けれど、そんな双子の選択の果ての果て…その隣にきっと自分はいないのだろう。
『夢見の』シャノン
元の世界に帰っているのか、石化しているのか…死んでいるのか。
『夢見の』シャノン
それはわからないけれど…、せめて。
『夢見の』シャノン
少しでも長く、君たちの姿を見ていたい。
『夢見の』シャノン
ぱつん、とシャボンが割れる。
『夢見の』シャノン
「ルビー」
『夢見の』シャノン
「私はまだ満足していない」
『夢見の』シャノン
「もっともっと、私に見せてくれ」
『夢見の』シャノン
「そうしたら…私も魅せてあげる」
『双子の』ルビー
「貪欲な御方だ」
『双子の』ルビー
「そんなに見たけりゃ勝手にどうぞ。けれど一度そうすると決めたのなら、今度はしっかと御覧あれ」
『双子の』ルビー
「夢と希望に殺されていく末裔達の果ての果て」
『双子の』ルビー
「果てに至った二人ぼっちが、世界に何を望むのか」
『夢見の』シャノン
「ふふふ、じゃあ私は…そんな舞台に立つ二人を眺めるたった一人の観客といったところかな…」
『夢見の』シャノン
「存分に、好きなように踊り狂っておくれよ?台本なんてものはどこにもありはしないのだから…」
『夢見の』シャノン
「果ての報酬は、きっと二人ぼっちの景色と私の拍手だけ…」
『夢見の』シャノン
「さあ、次の舞台の準備をしようか…ルビー」
『双子の』ルビー
「ええ。なさいましょう」
『双子の』ルビー
「次に言葉と刃を交わすは、勇者か、王者か、はたまた、はたまた」
『双子の』ルビー
「いずれにしようと道化の玩具」「夢見の悪さは折り紙つき」
『双子の』ルビー
「堕落の国に山と積まれた屍の一つとして差し上げましょう」
『双子の』ルビー
「二人ぼっちの孤独な景色は、積み上がった血肉の上にしか見えぬのだから」


かけひきはこれにておしまい。

さあ、次の舞台の準備をしよう。

道化と踊る夢を見よう。

足元にあるのは血肉でできた堕落の塔。

幕が開けるまで、どうか…もうしばらくの辛抱を。


*『双子の』ルビーは[『夢見の』シャノンの寵愛]を獲得