お茶会-第2ラウンド
第2ラウンド:ジャン
ジャン
聖遺物調達をする予定ですが、まずはシーン表を振るつもりです。
GM
8 倉庫。 ロープや工具等、様々なものが収められている暗い倉庫。当然、様々な用途に使える。
ジャン
冷凍室の扉の前から離れて、二人が次に向かったのは倉庫だった。
ジャン
まだ若干、尻の下がヒュンッとなってる感覚が残ってる……
ジャン
「は、はい……怪我とかはぜんぜんもう大丈夫です」
ペペル
「そっか。よかった」
安堵したような笑みを浮かべる。
ジャン
紐を必死に掴み、墜ちまいとするさなか、吹き込まれたアルビーの言葉の数々がまだ頭の中でぐわんぐわんと回っている。
ジャン
「……あの人、イモムシの末裔と一緒暮らしてて、亡者にやられたらしいんですよ」
ジャン
「だから、俺の住んでるとこもいずれそうなるだろうって……」
ペペル
「……それとも、ジャンにも同じ目に遭ってほしかったのかな」
ジャン
「分かんないです。ただ、そう言われたときに頭が回らなくなって……」
ペペル
抉られたジャンの疵。
アルビーの軽薄な振る舞いの下に隠された痛み。
それらを想像して、痛切そうに眉をひそめる。
ジャン
「うまく言えないんですけど、なにか自分が、すごい間違ってるような」
ジャン
「致命的な間違いを犯しているような気がして……」
ジャン
「今考えたら、そんなふうに思う必要はないことだって、頭では分かるんすけど」
ペペル
「ジャンは、考えなくてもいいこと、あれこれ考えちゃうタチだもんね」
ジャン
頭では分かっていても、抉られた痛みはまだ胸の奥に残っている。
ジャン
怪我とは違う、しかし怪我よりも癒しがたく残る痛み。
ペペル
「あいつは、自分の間違いや後悔を
ジャンにも背負わせようとしているんだよ」
ジャン
されたことこそ直接的だが、違えようもなくこれは、お茶会の痛みだった。
ジャン
イモムシの末裔のところで暮らしていた、何の末裔とも知れない男。
ジャン
ペペルの言葉を受けて、答えるように小さく呟く。
ペペル
「彼の言葉に耳を傾けるのは大切なことだけど……」
ペペル
「疵付けられることに甘んじてはいけないよ」
ペペル
ペペルは、お茶会のことは好きだ。
けれども、疵を負わせ合うことは、どうしても受け容れられない。
ペペル
そんな甘ったるい考えを持ちながら、
しかしペペルは、今日まで生き残ってきた……
ジャン
それは、このペペルというひとが甘さを押し通す強さを持っているから──では、ない。
ジャン
短い間だが、隣でペペルを見てきたジャンには、うっすらとだがそれが分かっている。
ジャン
「……あの人が話したことが事実で、事実で俺の疵を抉ろうとしてきたなら」
ジャン
「あれは、あの人の疵でもあるはず、ですよね。だから……」
ジャン
「『あの人のことを、もっと知るのに役立てられる』と思います」
ジャン
だから、ジャンはこのような言葉遣いをする。
ペペル
「……うん。上出来だ。さすがはジャンだね」
ジャン
「ペペルさんがいなかったら、もっと立て直せなかった……」
ジャン
自分の中に確かにある芯。救世主の如き異常性。
ジャン
そこに侵蝕してきた、あの血と煙の感触とにおいが、幾分か晴れてゆく。
ネ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
[ ネ ] HP : 15 → 14
[ ネ ] ティーセット : 1 → 0
ネ
2d6+0+2=>7 判定(+愛) (2D6+0+2>=7) > 5[1,4]+0+2 > 7 > 成功
[ ジャン ] ティーセット : 1 → 0
ジャン
2d6+3+2-2-2+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-2-2+3>=7) > 9[3,6]+3+2-2-2+3 > 13 > 成功
[ ジャン ] アリスのエプロン : 0 → 1
ジャン
「……ペペルさんがいなくなったら、と思うと」
ジャン
「俺ひとりでやってけんのかな、とか、まだ考えますけど」
ジャン
「でも、ペペルさんに教えてもらったことは忘れないです。今のことも」
ペペル
「大丈夫だよ。ボクはキミの中に居続けるから」
ジャン
だが、それでこの救世主にふがいないところをこれ以上見せるわけにはいかない。
ジャン
自分にとって、救世主と言えばペペルのことだからだ。
ジャン
救世主になろうという自分が、帰るペペルが不安になるようなことをするわけには……
ペペル
大丈夫だよ……ジャンはすごいやつだから……
ジャン
こと堕落の国において、決意は時に奇跡を呼び寄せる。
ジャン
このイモムシの末裔の手にいま握られたものも、その一つ。
ジャン
むろん、奇跡たったひとつで裁判は覆らない。握ったことを今はまだ、知らないけれど。
第2ラウンド:ペペル
ペペル
1d11 ふりなおし…… (1D11) > 1
GM
1 廊下。 回廊状の廊下から巨大な吹き抜けに顔を出せば、1階に犇めく観客たちが見下ろせる。見上げれば、闇が見える。
ペペル
めんどくさくなってきたから普通に廊下でいいか
ペペル
廊下の角、招待状を取り出すと、
紙飛行機のように折って宙へと飛ばす。
ペペル
招待状の宛名は、対戦相手のエース──アルビー。
ペペル
使い方に間違いがなければ、ここに彼が意思とは関係なく現れるはずだ。
アルビー
対面の少女の姿を認めると、煙をひとつ吐いた。
ペペル
詰め寄る。対戦の始まった頃からそう変わらない笑顔。
ペペル
はぁ。
「キミは嫌味を言わないと気がすまないのかな。
何も害しようだなんて思っちゃいないんだ……」
ペペル
「キミにとって得な提案をしよ~って言ってんの」
アルビー
「やらない理由も言わない理由もありますまい」
アルビー
「どうやらあなたはお優しい方のようだから」
ペペル
「そんな中途半端な状態の身体で満足してないでしょ」
アルビー
ほぼ骨だけになった身体が虚ろに吹き抜けの風を通している。
ペペル
「前に、亡者かって疑ったのは悪かったよ。
キミは少なくとも、ボクから見れば間違いなく生きてる。
生きようとしてる」
ペペル
「里が亡者に襲われたんだそうじゃない。
死にかけて、それを心の疵の力かなにかでつなぎとめてる、
そんなところだろ?」
アルビー
「流石あなたは見抜いておられたのですね」
アルビー
「私が哀れな、哀れな死を恐れるひとかどの末裔だと」
ペペル
「見抜いただなんて、大げさな話じゃないさ」
真面目に返事をする。
ペペル
疵の力で、その体が動いているのならば、
それが途絶えれば本当の屍になってしまうのだろうか。
ペペル
帯びていた剣を手に取り、鞘をカチリとずらす。
銀色の刃がホテルの照明を反射した。
ペペル
抜刀して斬りつけようという素振りではない。
ペペル
「竜と最初に戦った時、
そいつを斬りつけた返り血を、ボクは浴びた」
ペペル
「その時からボクは、少し死ににくい身体になった」
ペペル
「竜という生き物は、ほとんど不死身だ。
竜の血に、その力が含まれている……」
ペペル
それは、少しずつ、ひとりでに、ふさがっている。
[ ネ ] HP : 14 → 13
ネ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ネ
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 11[5,6]+3 > 14 > 成功
ペペル
2d6+2-3+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+2-3+2>=7) > 6[5,1]+2-3+2 > 7 > 成功
[ ペペル ] ティーセット : 1 → 0
アルビー
煙がたなびくよりも先に吹き抜けへ落ちる。
ペペル
それを見ない。ただ、痛ましげに顔をしかめる。
[ アルビー ] 森の賢者 : 0 → -1
ペペル
「……まるで死にたがっているみたいだ」
さっきとは、逆のことを言う。
アルビー
華美すぎるホールの真ん中で肉塊が跳ねる。
ごぼごぼと喉から液体が噴き出る。
ペペル
でも、死にたがっていることと、生きたいと思うことは、
たぶん矛盾しない。
ペペル
同じようにおそろしいからだ。
死ぬことも、生きることも。
ネ
ぱあん、と平手打ちの音は、通路にも届いただろう。
アルビー
可笑しくって可笑しくって。
どうしようもない。
101号室のホテルマン
エースはエースらしく。ジャックはジャックらしく。
アルビー
ひとしきり笑ったあとホテルマンの手を制する。
アルビー
エースの男が小さくかぶりを振るのが認められた。
101号室のホテルマン
止められれば、一歩下がる。
GM
観客が少し離れて、あなたがたを取り囲んでざわついている。
ペペル
ペペルは、誰かを傷付けたり傷付けられたりすることが、
本当に、イヤだった。
ペペル
だから、今まで相手になった者どもは
勝手に傷ついて、死んでいく。
そう、ペペルの中で処理されている。
第2ラウンド:ネ
GM
11 カジノホール。 そこにあるのはカードテーブルやルーレット。スロットなどの機械類が存在しないのは、数値の設定を弄って終わるようなイカサマは無粋に過ぎるため。
ネ
先程まで賑わっていたカジノホールに、人影はない。
アルビー
しゅるしゅると帯が蛇のように地面を這う音だけが静かに響く。
ネ
「……エースがもう少ししたら、ロープを持ってきてくれるって」
ネ
聞いてただろうけど、自分に言われていたと思いたいから、伝えておく。
ネ
「どうして僕たちにあの、紙切れが届いたんだと思う?」
ネ
赤い招待状。目もくらむような、きらびやかなホテル。同じ見た目の使用人。
ネ
まだ目元が赤い。泣くのなんて、ほんとうに、久しぶりだった。
ネ
なんでこんなことをしてしまったのか。わからない。
アルビー
「……悲願(dearest wish)と
デザートの一皿(dessert dish)」
アルビー
ようやく戻ってきた声が発したのはそれだった。
アルビー
「ここいらで終わりにしたい連中の集まりだよ、ここは」
ネ
「お前をこんなふうに、ばらばらにしてしまったのは」
ネ
デザートの一皿。最後に残していたばっかりに、他の誰かに食べられてしまう。
アルビー
笑う。半壊した顔のせいで唇は上げられない。
ネ
「あの人って、誰にも愛されてないから、僕が必要なんだって、そう思う方が」
アルビー
今までにないほどの長い沈黙が返って来る。
ペペル
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ペペル
2d6+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+2>=7) > 6[4,2]+2 > 8 > 成功
[ ペペル ] HP : 15 → 14
[ ペペル ] ヤリイカ : 1 → 0
ネ
2d6+3-10=>7 判定(+才覚) (2D6+3-10>=7) > 10[5,5]+3-10 > 3 > 失敗
ペペル
音よりも速く、いかずちが二人の間に落ちてくる。
ネ
とっさに避けようとして、アルビーを取り落とす。
ペペル
「もうこれ以上自由にはさせてあげられないんだ」
第2ラウンド:アルビー
ペペル
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ペペル
2d6+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+2>=7) > 4[2,2]+2 > 6 > 失敗
[ アルビー ] ティーセット : 1 → 0
[ ペペル ] HP : 14 → 13
アルビー
2d6+3-2+2=>7 判定(+才覚) (2D6+3-2+2>=7) > 9[6,3]+3-2+2 > 12 > 成功
アルビー
未だ光に目が眩んで戻らない少女の手を引く。
ペペル
そこから生まれた魔法の稲妻が、地を伝って二人へと追いすがる。
ネ
衝撃と風が赤い帯を激しく揺らし、でも、ちぎれない。
ペペル
自分が、抵抗できない弱者をいたぶっているみたいじゃないか。
アルビー
稲妻に打ち据えられて、打ち据えられてもなお風にたなびく赤い帯。
ペペル
勇者が、そんなことをするはずがないじゃないか!
アルビー
そこから再生する。
死体を留めおく心の疵。
ペペル
ボクが勇者ではないとでも言うつもりなのか。
ペペル
雷の雨が降り止む。
よろめくように後ずさる。
ペペル
……そうして、ペペルの姿は、
気配ごと消える。
アルビー
粉微塵に吹き飛んだ肉塊から放り出される。
ホテルのシャンデリアにまばゆく光る銀色のスプーン。
アルビー
かつて。指抜きすら買えない針子が、使った。
ネ
眩しさという暗闇の中で、どうしてか、お前だけを見つけることができる。
ネ
銀色のスプーンは、ネの手の中で、たしかに輝いていた。