Dead or AliCe『16JAcks』

――ホテル『ジャック・オブ・ハート』、客室105号室。

雲を貫きどこまでも高く聳える豪奢なホテルの一室に、二人、案内されたばかり。

室内は華やかで、堕落の国にはあり得べからざるほど整った設備。

しかし二人は、それを望んだわけではなく。

赤い招待状を手に、拒むすべなくこの場にある。
ミムジィ
「いや~、とんでもないところに来ましたねえ」
スバル
「まったくだ」
スバル
ホテルマンの去ったドアから視線を剥がし、室内を見回す。
スバル
室内には、末裔の身では使用用途のわからないものもいくつか。
スバル
小さな扉付きの箱とか。
スバル
アリス用か?
ミムジィ
訝しげにものを見るスバルをよそに、
ミムジィ
「でも豪華なホテルだな~~!」
ミムジィ
とベッドにそのまま転がる。
スバル
「ミムジィ、せめて荷物を下ろしてからにしろ」
ミムジィ
「は~い」
ミムジィ
大荷物をベッドの横に置く。
ミムジィ
鞄の中に収まりきれない品々がガチャガチャと音を立てる。
スバル
対して、スバルの荷物は概ね腰回りに一揃い、小さなバッグといくつかのポケットにすべて収まっている。
スバル
「……なんでもお申し付けくださいって言うけど」
スバル
「何を申し付けろっていうんだか……」
ミムジィ
ごろごろしながら。
ミムジィ
「飲み物とか出るんじゃないかな」
ミムジィ
「食べ物とかも、もらえるかも」
スバル
「本当かぁ?」
ミムジィ
「ものは試し!」
ミムジィ
備え付けの電話でホテルマンにコールする。
ミムジィ
「あ、もしもし、ホテルの方ですか? あ、なんかお茶とかお願いできますか? できますか。じゃあお願いします~はい~」
ミムジィ
「……持ってきてくれるって」
スバル
「……本当かぁ?」 繰り返した。
ミムジィ
しばらくして、紅茶と茶菓子が運びいられる。
ミムジィ
「ほら~」
スバル
「はいはい。お前が正しいよ、お嬢様」
ミムジィ
「でしょ~」
ミムジィ
「救世主に大事なのはフットワークだからね」
ミムジィ
「せっかく準備してもらったし、飲もっか」
ミムジィ
飛び上がってテーブルにつく。
スバル
その後に従ってテーブルへ。
スバル
まず、立ったままポットから茶を注ぐ。二人分。
ミムジィ
くつろいだ様子でそれを見る。
スバル
それから、翼のたたみ方をごそごそと調整して椅子へ。
スバル
そのまま、ミムジィより先に一口。
スバル
「あっつ」
ミムジィ
「あっ、じゃあ私はミルクティーにしよ」
ミムジィ
「ミルクティーなんて滅多なもんでるねえ」
スバル
近くにあったシュガーポットを取ってやりながら、
スバル
「……重……」
スバル
ぎっしりつまった感触に、思わずそう零す。
ミムジィ
「3つね!」
スバル
「はいはい……」
スバル
こんなに真っ白の砂糖がこんなにある。
スバル
意味がわからんな……。
スバル
「ほら、三つ」
ミムジィ
「ありがと」
ミムジィ
ミルクも入れて、うんと甘くしたミルクティー。
ミムジィ
「うーん、美味しいね」
スバル
「おれにはよくわからんね。甘いものも紅茶も、ろくに経験がないもんで」
ミムジィ
「でも体力つく感じはするでしょ?」
ミムジィ
ミムジィ、味よりもカロリーで食べ物を選ぶ。
スバル
「それは、まあな」
スバル
カロリーは正義である。
ミムジィ
「このホテル出るとき鞄に目一杯詰め込んできなよ、お砂糖とか」
スバル
「鞄いっぱいの砂糖か……」
ミムジィ
「しばらく食べるものに困らないよ」
スバル
「ま、詰め込んで出たら、適当に売ってやるのがいいだろうな」
スバル
「おれがそんなもん抱えてたら、ろくに飛べん」
スバル
もぞ、と翼が動く。
ミムジィ
「軽くてお金になりやすいものがいいね」
ミムジィ
紅茶をすする。スコーンを食べる。
ミムジィ
「うん、美味しい」
スバル
クッキーをつまみながら、
スバル
「甘い」
スバル
情緒もなにもない。
ミムジィ
「甘くないものも頼む?」
スバル
「んー……いや、いい」
スバル
「そういう食生活に慣れても困る」
スバル
たくさん食べられる、というのは、この国では特別なことだ。とても。
ミムジィ
「なるほどね」
スバル
「ミムジィは好きにしていいぞ」
ミムジィ
「もちろん」
ミムジィ
「こんなとこ呼びつけられたんだから、いただけるもんはいただいておかないと」
スバル
「そうだな」
スバル
「ま……聞いた限り、そうしとくのがいいだろ、お前は」
スバル
この国で、まともに過ごす最後の日々だ。
ミムジィ
「ほんと、余計なお世話なんだよな~」
ミムジィ
耳を倒してしょんぼりして見せる。
スバル
「世界、救いたかったんだもんな」
ミムジィ
「そうだよ~」
ミムジィ
「絶対ライバルの仕業に違いないよ」
ミムジィ
「日に日にコインを増やす私たちに恐れをなしたライバルが……」
スバル
「コイン、増えたり減ったりだろが」
ミムジィ
「一歩進んで二歩下がるって言葉をだねぇ~」
スバル
「下がってるじゃねえか」
ミムジィ
「あれ? あれ?」
スバル
ため息ひとつ。
スバル
「大丈夫かね、このお嬢様は……」
ミムジィ
「安心してよ、勝つからさ」
スバル
「そりゃな。……勝ってくれなきゃ困る」
スバル
「こんなことに巻き込まれたからには」
スバル
「勝つ以外にない」
ミムジィ
「だねえ」
スバル
ず、と紅茶を啜る。
ミムジィ
ずずー、と飲み終える。
スバル
ここで勝ち残れば、ミムジィは帰る。ミムジィの世界へ。
スバル
そこでは、真っ白な砂糖が不自由なく使えるのだろうか。
スバル
温かい紅茶が当然のように飲めるのだろうか。
スバル
「もう一杯」
スバル
「飲むか?」
ミムジィ
「いただこっかな」
ミムジィ
外で紅茶が飲めたとしても、この堕落の国で紅茶を飲むのはあと数える限りだろう。
ミムジィ
とりわけ、あなたが注ぐ紅茶は。

かけひきを開始します。

先制の判定から。補正は才覚のみ。
ミムジィ
才覚0!
スバル
才覚3!
スバル
1d6+3 (1D6+3) > 4[4]+3 > 7
ミムジィ
1d6 (1D6) > 1

スバル > ミムジィ

*1R
スバル
*c6 s9 hQ
ミムジィ
*s5 sJ sQ
スバル
二人で二杯目の紅茶を飲みながら、スバルの目は再び室内をぐるりと見回す。
スバル
広々とした窓、なめらかな天板のテーブル、先程ミムジィがダイブしたベッド。
スバル
たぶん水場に繋がっているドア。よくわからない箱。
スバル
「……この部屋の設備、お前、ぜんぶわかる?」
スバル
*c6 アピール
スバル
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 6[5,1]+1 > 7 > 成功
ミムジィ
受けれるものはないですね。
[ ミムジィ ] 情緒 : 0 → 1
ミムジィ
「うん、だいたいわかるよ、多分」
ミムジィ
「シューガクリョコウで見た気がする」
スバル
「しゅーがくりょこう」
スバル
「……旅行?なんの?」
ミムジィ
「なんか……なんだっけ……」
ミムジィ
「なんか……学校っていうのがあって……それでみんなでいくやつ……」
ミムジィ
ミムジィの、この世界に来るまでの記憶は曖昧だ。
ミムジィ
「まあなんか旅行で泊まったと思う」
スバル
「へえ……」
スバル
出会ったときにはもう、ミムジィはほとんど今のミムジィだった。
スバル
過去を深く聞いたことはない。聞きかけてやめたことはある。
ミムジィ
過去を問えば疵に触れる。
スバル
疵に触れれば何かが変わる。
ミムジィ
過去を思い出そうとして、遠くを見る目線は、普段の振る舞いと異なるところがある。
スバル
スバルにその目線の先はわからない。
この国に生まれ、この国に育った末裔は、この国以外のことを知るすべがない。
ミムジィ
「まあ」
ミムジィ
「せっかくだから色々見てみますか~」
ミムジィ
紅茶をぐっと飲んで、ウロウロし始める。
ミムジィ
引き出しを開けたりしめたり。金庫を開けたりしめたり。
ミムジィ
「これは金庫だよ、スバル」
ミムジィ
「大事なものを入れて、鍵をかける」
ミムジィ
「すっごい頑丈で重たいから、それで持ち出せなくなるでしょ?」
スバル
「ふぅん……」
スバル
「大事なものねえ」
ミムジィ
*sQ アピール
スバル
*誘い受けします s9
スバル
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 7[2,5]+1 > 8 > 成功
ミムジィ
2d6+1>=8 (2D6+1>=8) > 9[6,3]+1 > 10 > 成功
[ スバル ] 情緒 : 0 → 1
ミムジィ
「留守にするときは、何か大事なもの、しまっておくといいよ」
ミムジィ
「なんかある? 大事なもの」
スバル
「…………」
スバル
「いや。そんなとこしまっとくようなもんは、別に」
スバル
「お前は?」
ミムジィ
「6ペンスコインは持ち歩くしなぁ」
ミムジィ
「何だろ、日記とか?」
スバル
「ああ……」
ミムジィ
ミムジィは毎日日記を欠かさずつける。

*ラウンド終了 手札廃棄
スバル
*hQ
ミムジィ
*sJ

*2R 手札補充
スバル
*h2 s3 sK
ミムジィ
*d7 s5 cJ
スバル
「そういや日記って、自分で読み返したりするのか?」
ミムジィ
「するよ、たまに」
スバル
「読み返すと面白い?」
ミムジィ
「うーん」
ミムジィ
「面白いとこもあるかな」
スバル
「…………」 余計なことを聞いたな、と思う。
スバル
*sK アピール
スバル
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 7[1,6]+1 > 8 > 成功
[ ミムジィ ] 情緒 : 1 → 2
スバル
「お前にとって……日記は、記録?思い出?」
スバル
余計なことを聞いている、と思う。
ミムジィ
「記録でもあるし、思い出でもあるし……」
ミムジィ
「でも一番は安心のためだよ」
スバル
「形にして残しておくことが?」
ミムジィ
「自分の外側に出しておくことが」
ミムジィ
「書いてあることだって、正確なことじゃないんだけれど、たぶん」
ミムジィ
「出したら、出したってことは残るからね」
スバル
「……おれは」
スバル
「自分のもんは、自分の内側に取っておきたいと思うがね……」
ミムジィ
「忘れちゃうからね」
ミムジィ
「どれだけ大切に思っていたとしても、忘れちゃうかもしれないから」
ミムジィ
「それなら書いて残して、金庫にしまうくらいがいいんじゃない?」
ミムジィ
「忘れたものって、忘れたことも忘れちゃうからね」
ミムジィ
「それは少しさびしいと思わない?」
ミムジィ
*s5 アピール
スバル
*s3 誘い受け
スバル
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 9[5,4]+1 > 10 > 成功
ミムジィ
2d6+1>=10 (2D6+1>=10) > 5[4,1]+1 > 6 > 失敗
[ ミムジィ ] 情緒 : 2 → 3
スバル
「……自分の外に出して、これで残した、って安心したら」
スバル
「おれはたぶん、それを……うまく、大事にできなくなっちまう気がする」
スバル
おれはな、と繰り返し。
スバル
「お前はそうじゃないのかもしれん」
スバル
「でもおれには、自分の内側以上に安心なところはどこにもない」
スバル
「それがいつか変わっていったり、忘れてしまうものでも」
ミムジィ
「そっか」
ミムジィ
「じゃあスバルが覚えていてくれる?」
スバル
「…………」
スバル
「どうだろな」

*ラウンド終了 手札廃棄
スバル
*キープ
ミムジィ
*d7

*3R 手札補充
スバル
*c4 s2(h2)
ミムジィ
*c5 cJ dQ
ミムジィ
「なんていうかな」
ミムジィ
「どっちかっていうと、なんだろうなあ」
ミムジィ
「日記って、別に全部書くわけじゃないでしょ」
ミムジィ
「あったこと」
スバル
「ん」
ミムジィ
「そのとき、それを書いたんだな、って」
ミムジィ
「それが残るのが、大事なんだよ」
スバル
「……書きたいとか、書いておくべきだとか、そう思ったことだから?」
スバル
*パス
ミムジィ
「うん」
ミムジィ
「私にとっては、昨日の私と、今日の私が、結構別物で」
ミムジィ
「何なら他人かもって思えるくらいだから」
ミムジィ
「そのときの私は、これを書こうと思ったんだな、って思う」
ミムジィ
「だからそこに書いてある出来事よりも、自分自身を確認してる」
ミムジィ
「スバルは自分の名前、気に入ってる?」
スバル
「……いや。……嫌いってほどでもないが」
スバル
「明らかに、『違う』名前だからな」
ミムジィ
「そうだねえ」
ミムジィ
「でもまあ、知らないけども」
ミムジィ
「スバルってつけた人は、スバルってつけたかったんだろうねえ」
ミムジィ
*c5 アピール
スバル
*s2 誘い受け
スバル
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 8[4,4]+1 > 9 > 成功

ハプニング
スバル
1d6 (1D6) > 3

なんだか気持ちが昂ぶってきた。自身の情緒+1。
[ スバル ] 情緒 : 1 → 2
ミムジィ
2d6+1>=9 (2D6+1>=9) > 7[4,3]+1 > 8 > 失敗
[ ミムジィ ] 情緒 : 3 → 4
スバル
「なんでだろうな。そこらへんの、まあ、言っちまったらどうでもいい赤ん坊に」
スバル
「自分のくにの言葉で名前をつけるってのは」
ミムジィ
「なんでだろうね」
ミムジィ
「まあ、想像しかできないよね」
ミムジィ
「それでも、書いたり残したり、って」
ミムジィ
「想像はさせられるから」
ミムジィ
「おしゃべりもそうじゃない?」
ミムジィ
「喋ってて、なんでそんなこと言うんだろうなって想像するし」
スバル
「……お前、よく喋るしな」
ミムジィ
「よく喋るしよく動くよ」
ミムジィ
今はバスルームのドアを開けている。
スバル
ようやく立ち上がって、その後ろからバスルームを覗き込む。
ミムジィ
覗き込んだタイミングで、無駄にシャワーから水を放水しているのが見つかる。
スバル
「うわ」
スバル
「何?」
ミムジィ
「シャワーだよ」
ミムジィ
「ほら、シャワーって出てるでしょ、シャワーって」
スバル
「水もったいねえなあ……」
スバル
末裔ぐらしの素直な感想。
ミムジィ
「多分これ心の疵の力みたいなものでしょ」
ミムジィ
「あ!」
ミムジィ
「お湯も出る!」
スバル
「湯が」
ミムジィ
手を引き、触らせる。
スバル
「あっ、お前っ」 手袋ごと、手首までシャワーの水流に突っ込まされた。
スバル
びしゃー。
スバル
それはそれとして、お湯だな……と思っている。
ミムジィ
「お湯のシャワーはすごくいいから」
ミムジィ
「お湯のシャワーはすごくいいから、楽しみにしてていいよ」
ミムジィ
「なんなら今浴びる?」
スバル
「……先使え」 なんかちょっと疲れたふう。

*ラウンド終了 手札廃棄
スバル
*c4
ミムジィ
*cJ dQ

*4R 手札補充
スバル
*c2 h9(h2)
ミムジィ
*c3 d4 h5
ミムジィ
「じゃあお言葉に甘えて」
ミムジィ
その場で脱ぎ始める。
スバル
別に動揺はしない。外でもなくはないことだ。
ミムジィ
活発的に救世主的活動をしていると色々ある。川で水浴びもするし。
スバル
ミムジィは外敵に過敏だ。スバルはその細かい網目が、少しだけかからない場所にいる。
スバル
少しだけ。
スバル
「着替え、出しとくか?」
ミムジィ
「ん、お願い」
スバル
「はいよ」
スバル
*パス
ミムジィ
それからしばらくシャワーを浴びる音が聞こえる。
ミムジィ
その時間は短い――そう判ずることができるかはともかく。
ミムジィ
時間にして3分くらいで、キュッキュとバルブの締める音。
ミムジィ
濡れた髪や身体――特に下半身は毛に覆われている――を拭く方のほうが時間を要しているくらいで、
ミムジィ
ほかほかになったミムジィが出てくる。
ミムジィ
装いはきっちり着込み、動きやすい格好だ。
ミムジィ
添えつけられたバスローブは着ず、いつもどおりの旅衣装だ。
ミムジィ
「おまたせ!」
スバル
「そんなに待ってない」
スバル
立ち上がる。
ミムジィ
湯気のこもったバスルームを空ける。
ミムジィ
石鹸の匂いがする。
ミムジィ
シャンプーやら何やらが充実しているものの、石鹸一つで済ました様子。
スバル
中を覗いても、ボトルの類は何が何やら。石鹸のことだけはわかる。
ミムジィ
顔を覗かせる。
ミムジィ
「あ、シャンプーとか説明する?」
ミムジィ
「なんか色々あるんだよ」
スバル
「石鹸以外に?」
ミムジィ
「髪洗う用のとか、髪をいい感じにする用のとか、わかれてる」
スバル
「わざわざ……?」
ミムジィ
「わざわざ」
スバル
「よくわかんねえなぁ」
ミムジィ
「だよねえ」
スバル
「石鹸でいい」 結論。
ミムジィ
うんうん。
ミムジィ
引っ込む。
スバル
首の後ろにボタンがふたつ。翼の下、背の中程から腰にかけてにボタンがみっつ。
スバル
後ろ開きのシャツを脱いで、バスルームに入っていく。
ミムジィ
また顔を覗かせる。
ミムジィ
「あっ、そっちの赤いほうがお湯ね」
ミムジィ
「青い方と合わせていい感じにしてね。回したら出るからね」
スバル
「わかった」
スバル
水から出して合わせていく。慎重派。
スバル
上がってくるまで、ミムジィよりは時間がかかる。長湯というより、単に慣れない。
スバル
上は着ないまま戻ってくる。
スバル
「さすがにグリフォンには狭いな」
ミムジィ
「おかえりー」
ミムジィ
戻ってくるとワインを飲んでいる。
ミムジィ
「どうだった? シャワー」
スバル
「……なんかぞわつく」
スバル
「水が……分かれてるだろ、細かく」
ミムジィ
「うん」
スバル
「あれがなんか、肌に当たるとぞわぞわっとする……」
ミムジィ
「なるほどね……」
ミムジィ
「繊細だもんね、こう、色々と」
ミムジィ
グリフォンの骨って折れそうで怖いし……。
スバル
「あと翼の扱いに困る」
ミムジィ
才覚はHP増えないし……。
スバル
増えないな……。
ミムジィ
「じゃあ次は貯めようね、お湯」
スバル
「そうだな」
スバル
とはいえ、そんなに大量に溜める発想はない。
ミムジィ
溢れんばかりに溜める発想しかない。
ミムジィ
「うーん」
ミムジィ
「なんか……色々あるけど……」
ミムジィ
「籠もってるの落ち着かないね」
ミムジィ
ワインを口に運ぶ。
スバル
「部屋の外、気になるか?」
ミムジィ
「それもあるけど」
ミムジィ
「色々やり残してきたからね」
ミムジィ
「世界救えなかったな~」
ミムジィ
「悲しいな~」
ミムジィ
ワインを口に運ぶ。
ミムジィ
はちみつをたっぷりかけたスコーンで飲んでいる。
ミムジィ
「スバルはさー」
ミムジィ
「私がいなくなったら寂しい?」
ミムジィ
*h5 アピール
スバル
*h2 誘い受け
スバル
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 4[3,1]+1 > 5 > 失敗
[ スバル ] 情緒 : 2 → 3
ミムジィ
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 2[1,1]+1 > 3 > 失敗

ハプニング!
ミムジィ
1d6 (1D6) > 4

何気ない所作にドキッ!ランダムな対象1人の情緒+1。
ミムジィ
Choice[ミムジィ,スバル] (choice[ミムジィ,スバル]) > スバル
[ スバル ] 情緒 : 3 → 4
ミムジィ
えっドキッするの?
ミムジィ
せんやろ!
スバル
わからんがしたらしい
ミムジィ
しかたない、ドキッとさせてやるか……。
スバル
ちなみにその後、あなたは失敗したぶんの情緒が上昇します。
ミムジィ
はい。
ミムジィ
大げさに動き、腕の鰭がワイングラスにぶつかる。
ミムジィ
床に落ち、ワインを散らしながら割れる。
スバル
「何やってんだお前……」
ミムジィ
ドキッとさせました。
ミムジィ
「すみません……」
スバル
「怪我は?」
ミムジィ
「大丈夫」
スバル
「ならいい」
スバル
ガラスの大きな破片を拾い上げ。
スバル
そこにかすかに映るミムジィを見る。
ミムジィ
わたわたしている。
スバル
――いなくなったら寂しい?
スバル
寂しいで済むものか。
スバル
それで済むなら、出会って、別れて、それで終わっていた。
スバル
何も変わらないまま、おれは『おれ』のまま。
スバル
今もそうだったろう。
スバル
寂しいなんて、疵じゃない。
スバル
そんな簡単な言葉は、おれにとっては。
スバル
「……ミムジィ」
スバル
「寂しいよ」
ミムジィ
「うん」
[ ミムジィ ] 情緒 : 4 → 5
ミムジィ
しばらくの沈黙。
ミムジィ
その間を埋めるのは、割れたグラスを片付ける音。
スバル
かちり、かちり。
スバル
そしてその音も、やがては絶える。
ミムジィ
「勝とうね」
スバル
「ああ」
ミムジィ
「どんな救世主と末裔が、相手でも」
ミムジィ
「絶対勝つ」
スバル
「ああ」
ミムジィ
堕落の国。救世主の責務。
ミムジィ
どれだけ正義と呼ばれるものを積み重ねようとも、
ミムジィ
罪と呼ばざるを得ないような殺しは避けがたい。
ミムジィ
同情に値する相手とも、恐れるに値する相手とも。
ミムジィ
恐れも知らぬかのように戦う。
ミムジィ
それが『救世主』だと、ミムジィは思う。
ミムジィ
そうしてきた。
ミムジィ
そしてこれからもそうする。
ミムジィ
堕落の国にいる限り。

ミムジィ
*ミムジィはスバルの寵愛を獲得。