罪を束ねて天へと一歩近づいたのは"一人の夢追人"と、"一人の双子"
『双子の』マリー
かの晩の出来事から数えて、二日目の朝。双子は、今朝もホテルの大浴場を使っていた。
『双子の』マリー
特にそう取り決めた訳では無いが、そうしている。部屋付けの風呂場をシャノンが使っている都合上、そうなってしまっていると言うか。
『双子の』マリー
もっと単純に、あのシャボン玉の匂いに囲まれたくないというだけかもしれない。
『双子の』マリー
大浴場前の廊下にルビーの姿はない。流石に混浴をする趣味はないので時間をずらしたが、とうに部屋に戻っているか、どこかに寄り道をしているか。
『双子の』マリー
ともあれ、まだ身体は休息を欲している。決して軽くはない足取りで、シャノンの待つ部屋へと戻った。
『双子の』マリー
ノックをして、返事を待たずに扉を開ける。
『双子の』マリー
ルビーは部屋の中にはいなかった。代わりに目に入るのは、己がペアとなる救世主の姿。
『夢見の』シャノン
「ん」
と、気のない返事が返ってくる
『夢見の』シャノン
シャノンはソファに腰掛けながら、モニターをじっと見つめていた。
『夢見の』シャノン
モニターを齧り付くように見つめており、マリーの方には視線を一瞬送っただけ。
『夢見の』シャノン
その様子に、このホテルに来た当初のようん飄々とした態度はない。
『夢見の』シャノン
ただ微動だにせず、モニターを見つめ…時折なにかを呟いているのか口元が動くだけ。
『双子の』マリー
暖かい歓迎を期待するような仲でもない。そのまま部屋に入って、モニターの映像に目をやった。
『夢見の』シャノン
「…ん、そう」
とシャノンが返したと同時にモニターから声が響く。
『夢見の』シャノン
ーーー『双子の末裔、ルビーとマリーによる、華麗なる逆転劇をどうぞご覧あれ!!』
『夢見の』シャノン
それは裁判でシャノンが倒れたあとのシーンだった。
『双子の』マリー
言ったなあ、こんなこと。自分の過去の姿を客観的に見るのは初めてだが、どうも少し恥ずかしく感じる。
『双子の』マリー
他の部屋の観戦のことを考えると、24時間と裁判分全部が。
『夢見の』シャノン
でもこうして二人の戦いを見れるのは、良かった…ような。よくわからない気持ちだ。
『夢見の』シャノン
*では、かけひきを始めていきましょう
『双子の』マリー
1d6+3 (1D6+3) > 3[3]+3 > 6
『夢見の』シャノン
1d6+3 (1D6+3) > 2[2]+3 > 5
『双子の』マリー
もはや勝ちは決まったようなものだな
『夢見の』シャノン
そんなにすぐ終わらせたいのか?
『夢見の』シャノン
*1ラウンド目 ルビーとマリーの手番
『双子の』マリー
*hQ 一押し 手番中に1回だけ、自身と誰か1人の情緒を同時に+1できる。
『双子の』マリー
*[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 0 → 1
『夢見の』シャノン
*[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 0 → 1
『双子の』マリー
「ネタバレも何もないだろうので言いますが」
『夢見の』シャノン
「じゃなきゃ、ここにはいないわけだし…」
『夢見の』シャノン
小さく微笑むが、反応は薄い…ように見える。
『双子の』マリー
「割り込まなかったことについては、申し訳ありませんでした」
『双子の』マリー
何故敵の攻撃に割り込もうとしなかったのか、その理由は語られぬまま。
『夢見の』シャノン
「………………………………え?」
一拍遅れて、シャノンは目を丸くしながらマリーへと振り返る。
『夢見の』シャノン
「………あー、えっと。そう、そう…だね」
それを言うなら、二人を残して倒れてしまったこちらにも責任はある…と思う。
『夢見の』シャノン
いや、わからない。そもそも責任とは…?謝罪?
『夢見の』シャノン
私たちは、お互い好きなように動いて…だから。だから…?
『夢見の』シャノン
それっきり、シャノンの言葉も途切れた。
『双子の』マリー
結局のところ、試合には勝利した。試合中のいざこざに、過ぎたことにとやかくを言うのはナンセンスかもしれない。
『双子の』マリー
しかし結果は辛勝も辛勝。もう一度あの相手と戦ったとして、果たして同様に勝ち越せるものか。
『双子の』マリー
あれでは足りない。次では勝てない。こちらが使える今の手札はあの試合で全部出し切った。観戦されていれば対策も容易い。
『双子の』マリー
だから、次はこのような“失敗”があってはならない。
『双子の』マリー
この救世主にも、十全に働いてもらわなければ。
『夢見の』シャノン
…あの裁判で、私は何ができただろうか?
『夢見の』シャノン
そう考えること自体、シャノンにとっては初めてのことだった。
『夢見の』シャノン
だってそれは…その考えは、自分が誰かのためになっているか?
そういうことだから。
『双子の』マリー
*[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 1 → 2
『夢見の』シャノン
*[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 1 → 2
『双子の』マリー
2d6+脅威度で…1回戦キャラシ使用なので脅威度は1のまま
『双子の』マリー
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 10[6,4]+1 > 11 > 成功
『夢見の』シャノン
2D6+1>=11 うおおおーーー!!! (2D6+1>=11) > 8[4,4]+1 > 9 > 失敗
*はっと我にかえった奴がいる。ランダムな対象1人の情緒-1。
『夢見の』シャノン
Choice[シャノン,ルビーとマリー] (choice[シャノン,ルビーとマリー]) > シャノン
『夢見の』シャノン
それはそれとして誘いうけされたのでプラマイゼロです
『夢見の』シャノン
画面の中の双子が、"我々が主役"だと声を張り上げている。
『夢見の』シャノン
「まあ、なんだろう。私は私で、君たちは君たちで目的があってここにいるわけでさ…」
『夢見の』シャノン
「それは利害の一致…、いや。一致しているかも怪しいね。ただ途中までの道行きが偶然重なっていただけの関係だ…」
『夢見の』シャノン
「だから…、気にしなくていい。私への攻撃を防がねばならない理由はないからね…」
『双子の』マリー
「別に貴女を好ましく思っているから謝った訳ではないし、行動を共にしている訳でもありません」
『双子の』マリー
「途中までの道行きが偶然重なっていた関係なのはこちらも承知の上でした。これまでお互い上っ面を合わせていたのは、貴女もわかっていたでしょう?」
『双子の』マリー
「貴女は、私達のことが好きなんですか?」
『夢見の』シャノン
「………ん?」
また一拍遅れて変な声が出る
『夢見の』シャノン
…今そんな話だっただろうか?いや、そんな話になってもしょうがない流れだったかもしれない。
『夢見の』シャノン
そう言われてしまうと…、このホテルに来てから二人のことを意識しているような気も………するのかな?
『夢見の』シャノン
お茶会で、二人に危険が迫っていた時…冷静でいられなくなったのは本当だ。
『夢見の』シャノン
それが何を意味するのかは、まだ私にはわからないけれど。
『夢見の』シャノン
2D6+1>=7 (2D6+1>=7) > 4[1,3]+1 > 5 > 失敗
『夢見の』シャノン
*[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 2 → 3
『双子の』マリー
2D6+1>=7 (2D6+1>=7) > 5[4,1]+1 > 6 > 失敗
『双子の』マリー
*[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 2 → 3
『双子の』マリー
「……………………試合中の晩のことですけど」
『双子の』マリー
しばらく黙って記録を見つめたあと、にわかに切り出した。
『双子の』マリー
「あれが敵に仕組まれたことはよくよくわかっているので」
『双子の』マリー
「それこそ気にしなくていいですよ」
『夢見の』シャノン
「………………………………………ああ、うん」
ぴたり、と動きが止まり…歯切れの悪い返事が返ってくる。
『夢見の』シャノン
「…まあ、なんだろうか。………面白い経験だったよね」
『双子の』マリー
「…………シャノン様はああいうことは初めての経験なんですか?」
『夢見の』シャノン
「………知識は、あったよ?」
答えになっていない
『双子の』マリー
「……こちらもそのくらいですねえ」
何を話しているのだろう。
『夢見の』シャノン
「……そうかぁ、お互い初めてだったということかぁ」
何を話しているんですか?
『夢見の』シャノン
*hA使用 距離を測る (本編でもこのくらいAください)
『双子の』マリー
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 7[3,4]+1 > 8 > 成功
『夢見の』シャノン
だがこちらにも距離測がある…!
『夢見の』シャノン
2D6+1+1>=7 (2D6+1+1>=7) > 7[4,3]+1+1 > 9 > 成功
『双子の』マリー
*[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 3 → 4
『夢見の』シャノン
この会話のあとのアピールってなんだよ
『双子の』マリー
なんか……話題を変えたり……モニタの映像が佳境にいったり……
『夢見の』シャノン
しばらくの間、無言でモニターを見ていると…
『夢見の』シャノン
ーーー『我ら双子の、悲劇に満ちた半生の時を!』
『夢見の』シャノン
と、画面の中の双子が語り出す。
『夢見の』シャノン
「…ねえ、これほんと?」
画面を指差し、マリーに問いかける。
『双子の』マリー
「……ああ」言ったなあ。こんなことも。
『双子の』マリー
心の疵を晒け出して、疵の力を全開にして、演じて見せた逆転の自傷行為。
『双子の』マリー
「これまで会った連中も訝しんでいたでしょう?“双子の末裔”というものは、私の知る限り存在しませんよ」
『夢見の』シャノン
道中で出会った救世主も末裔も、"双子の末裔"と聞いてもピンと来てはいない様子だった。
『夢見の』シャノン
それほど"双子の末裔"は希少なのだろうと思っていたが…。いや、思ってはいなかったかもしれない。
あまり、"それ"に興味はなかったというのが本音だろう。
『夢見の』シャノン
「…まあ、別に帽子を被っていようがいまいが。二人はルビーとマリー…、それは変わらないだろう?」
『双子の』マリー
「……そういって頂けるのは、素直に嬉しいですね」
『夢見の』シャノン
「ほら、言っただろう?君たちが末裔であるかどうかは、二の次だって」
『夢見の』シャノン
「………マリー」
そう言って、ちょいちょいと指でマリーを呼び寄せる。
『夢見の』シャノン
そうして近づいてきたマリーの頭に手を置き、軽く…二、三ほど撫でた。
『夢見の』シャノン
憐れみも、励ましも、二人は必要としていないだろうことはわかる。
『夢見の』シャノン
「………」
だから何も言わない。
*3ラウンド目 マリーの手番 (ルビーはかけひき終わるまで多分出てこない)
『双子の』マリー
*[ 『双子の』ルビーとマリー ] 情緒 : 4 → 5
『夢見の』シャノン
*[ 『夢見の』シャノン ] 情緒 : 3 → 4
『双子の』マリー
マリーは勢いよく、眼前のシャノンを突き飛ばした。
『双子の』マリー
ホテルマンは来ない。これは、エースがジャックに振るった暴力だ。
『夢見の』シャノン
「………あー、いや。今のは私が悪いよ」
『双子の』マリー
「……記録が、ああ言っているように。この顔の跡は、火傷によるものです」
『双子の』マリー
「帽子の代わりに、煮えた油の入った容器を頭に乗せて」
『夢見の』シャノン
「………そうだね、すまなかった」
手元の吹き棒を回し、見つめる。
『双子の』マリー
「いえ。こちらが……それこそこちらの説明の至らぬところ」
『双子の』マリー
「それほどの事をしなければ、帽子の無い帽子屋など産まれないのです」
『双子の』マリー
耳の無い白兎。甲羅の無い代用ウミガメ。両手の無いコック。
『双子の』マリー
帽子の無い帽子屋は、まさにそれらと同じように、身体の一部を失ったようなもの。
『双子の』マリー
「そうして我々は選んだのです。身の欠損を嘲笑われるよりは、双子の道化を演じた方がまだマシだと」
『双子の』マリー
「割と本当に嬉しいんですよ。帽子の有無などどうでもいいと、堂々おっしゃってくれるのは」
『双子の』マリー
そう言って、マリーはこの部屋に入ってから初めての笑みを見せた。
『双子の』マリー
それは、道化の被る仮面の微笑みだろうか。それとも。
『夢見の』シャノン
「………、……………」
何かを言おうとして、そのあとが続かない。言葉が浮かばない。
『夢見の』シャノン
その笑みに、答えるだけの何か。
それが一体何かが、シャノンにはわからない。
『夢見の』シャノン
「少し、待ってくれ」
手を軽く上げ、そのまま考え込み始める。
『夢見の』シャノン
「帽子の有無がどうでもいい、と言ったのは…」
ゆっくりと、今自分がどう考え…どう思っているのかを噛み砕きながら続けていく。
『夢見の』シャノン
「…本当は、君たちに。君たち自身の生い立ちに興味がなかったから言えた言葉なんだよ」
『夢見の』シャノン
そうして、シャノンはまた沈黙してしまった。
『夢見の』シャノン
別に、帽子を被らなければと思っているわけでもなければ…それを否定したいわけでもない。
『夢見の』シャノン
「私は…、今の私がわからないんだ…」
ぽつりと、こぼす。
『双子の』マリー
「……末裔の生い立ちに興味がないなんて、救世主達は皆そうですよ」
『双子の』マリー
「でも、現地の末裔達が、『あれは粗末にしていい奴だ』として扱ったのを目にしたなら、多くの方は『ああ、あれは粗末にしていいんだ』と同じように扱います」
『双子の』マリー
「sī fueris Rōmae, Rōmanō vīvitō mōre; sī fueris alibī, vīvitō sīcut ibī(ローマにありてはローマ人の如く生き、その他にありては彼の者の如く生きよ)」
『双子の』マリー
「人は皆そうするものです。末裔であろうと、救世主であろうと」
『双子の』マリー
「だから、どんな意図があろうと。一切の躊躇なく私達をそうと扱ってくれたのは、何よりの慰めです」
『双子の』マリー
「……それで。今の、貴女は……」
『夢見の』シャノン
「いいよ。遠慮なく言ってくれ…」
『夢見の』シャノン
今は私が"ジャック"なのだから、とは言わなかった。
『双子の』マリー
「…………それは、ええと。つまり」
『双子の』マリー
「私達のことが好きなんですか?」
『夢見の』シャノン
「そっ…、れは………」
目を見開いて、そしてそのままゆっくりと視線を落としていく。
『夢見の』シャノン
「………私は、人を好きになったことがないんだ」
『夢見の』シャノン
そもそも、個人に興味がなかったとも言える。
その人の、夢に、思いにばかり目がいっていたから。
『夢見の』シャノン
「だから、それには…答えがわからないといった方が正しいのかもしれない…」
『夢見の』シャノン
「今、私がずっと気にしていることが二つある」
『夢見の』シャノン
「………そうだね。このホテルに来るまでは、気にしてることなんてなかったからねぇ」
ふふ、と小さく笑う。
『夢見の』シャノン
「…まあ、片方は今は関係ないから置いといて」ぽいっ
『夢見の』シャノン
「ぶっちゃけ、君たちのことをずっと気にしている」
『双子の』マリー
「あわや煮双子になるかという時に血相を変えて飛び込んできたのは、こちらとしても驚きましたが」
『夢見の』シャノン
「これって、好きってことかな?」
『双子の』マリー
「好きにも色々あるとは思いますが……まあ、その人の事を絶えず考えていて、かつそれが憎悪によるものでないと自覚できているなら」
『双子の』マリー
「それは、好きという事なのではないですか?」
『夢見の』シャノン
「ふーん…、そっかそっかぁ…」
『夢見の』シャノン
ふーんと何度も頷き、そのまま頬杖をついてマリーの方を見る。
『夢見の』シャノン
「私は君たちのことが…好きなようだ」
そう、笑顔で告げた。
『双子の』マリー
「好きになりたいな、と思っているところですかね」
『双子の』マリー
遊び慣れた救世主達は、よく『惚れたもんの負け』だのなんだのと口にしているが。
『双子の』マリー
果たして、この場の主導権(エース)を握っているのはどちらなのだろうか。
『夢見の』シャノン
「…ふーん」
その笑みに、こちらも怪しげに返す。
『夢見の』シャノン
「好きになった時は、教えてね?」
『双子の』マリー
「好きになった時…………ですか」
『夢見の』シャノン
口元を緩ませて、視線をモニターへと戻す。
『夢見の』シャノン
"エース"と"ジャック"。コイン一枚で変わる関係。
『夢見の』シャノン
そのたった一枚のコインが、くるくるくるくる。
*『双子の』マリーは[『夢見の』シャノンの寵愛]を獲得
『双子の』ルビー
それから暫くの後。コンコン、とノックの音が響く。
『双子の』マリー
「……どうぞ」そういえばエースは自分だったな、と思い出して声をかけた。
『夢見の』シャノン
「いいよ、入って」
自分がジャックだとか、なんか忘れている。
『双子の』ルビー
「ただいま戻りました」自慢気な表情と、手にしたトレイと共に現れたのは、『双子の』ルビー。
『双子の』ルビー
そのまま手近なテーブルにトレイを置く。
『夢見の』シャノン
「あはははは!」
大きな声で笑った。そういえば、この107号室に入って初めて大声で笑ったかもしれない。
『双子の』ルビー
「言ったじゃないか。明日からは調理の仕方でも習おうかって」
『夢見の』シャノン
「ふふ、ふっふふ…。ねえルビー、これ食べていいのかい?」
笑いをこらえながら聞く。
『双子の』ルビー
「ええ。ご自由に、どうぞ」それは普段ホテルで出される食事よりも、よっぽど劣っているだろうけれど。
『夢見の』シャノン
そう言って、手で掴もうとして…ふと思い直す。
『夢見の』シャノン
ふっ…、とシャボンを吹く。するとそれはカトラリーへと形を変える。
『夢見の』シャノン
「まだ不安定だけれどね。形を上手くイメージできればできるほど、精巧に再現できる」
『夢見の』シャノン
自分の体で、何度も形を確かめさせられたからねぇ…と心の中でほくそ笑む。
『双子の』ルビー
「なるほど。そのためにこうして観戦していたのですね」
『夢見の』シャノン
「ふふふ、まあそれもあった…かもしれないけどねぇ」
そう言いながら、炒めヤリイカを一切れ口へと運ぶ。
『双子の』ルビー
「……救世主様はともあれ俺達は、このまま勝てばいずれ堕落の国に戻る」
『双子の』ルビー
「その時に、ホテルでの贅沢の記憶が過ぎて、亡者肉なんて食えませんじゃ話にならないからな」
『双子の』ルビー
「手慰みの味付けくらいは覚えても損は無いだろうさ」
『夢見の』シャノン
「ふーん…、ほんとにそれだけ?」
『双子の』ルビー
「…………場を和ませようと思って…………」
『夢見の』シャノン
「いやぁ、そうかそうかぁ!ふふ、うんうん!」
こんなに笑ったのは久しぶりかもしれない。
『双子の』マリー
「気が利いてるんだか効いてないんだか」
『夢見の』シャノン
誰かの夢に興奮を覚えたものでも、堕落していく人の姿を見た時のものとも違う。
『夢見の』シャノン
心の底から、楽しいと感じている笑いだ。
『夢見の』シャノン
「あーははは…」
目尻に浮かんだ涙を拭い、二人に向き直る。
『双子の』ルビーとマリー
「ええ。どういたしまして」
数日後には、再び逃れえぬ殺し合いの幕が上がるのだとしても。
初めて人を好きになった日。あるいは、初めて心から笑えた日。その記念に。
『夢見の』シャノン
「次も、"好きなように"やろうか…」
『双子の』ルビーとマリー
「ええ、勿論」「存分に致しましょう」
『双子の』ルビーとマリー
「我らの夢は、救世主の排除」「堕落の国の永久なる存続」
『双子の』ルビーとマリー
「貴女の願いは、素敵な夢」「その成長と肥大、挙句の破裂」
『双子の』ルビーとマリー
「いずれもを実現させるため」「自在に敵を捻じ伏せましょうとも」
『双子の』ルビーとマリー
「泣き虫のウミガメと」「人食いの救世主<アリス>」「彼等二人と、同じように」