Dead or AliCe『16JAcks』

お茶会-第1ラウンド

GM
*行動順の決定
GM
1d99を振って大きい方から行動する、としましょう。
ペペル
1d99 行動順 (1D99) > 82

1d99 (1D99) > 35
ジャン
1d99 (1D99) > 79
アルビー
1d99 (1D99) > 62
GM
*第1ラウンド:行動順
ペペル>ジャン>アルビー>ネ

第1ラウンド:ペペル

ペペル
*アルビーさんの疵を抉ります
ペペル
1d11 (1D11) > 2
GM
2 食堂。 ここには常にビュッフェが用意されている。この世界ではとてもお目にかかれないようなエース用の食事と、観客たちに供されているのと同程度のジャック用の食事。
ペペル
ごはんだ~。
ペペル
アルビーさんとお話したいんですが、いたりしますか? 食堂に
アルビー
食べると思うか?
ペペル
そんな・・・・・・
ペペル
終わった
ジャン
終わらないで……
アルビー
食べるのは向こうだ。

アルビーまだかな~。
ペペル
腹が減っては裁判はできぬ……
ペペル
というわけで、とりあえず食堂にやってきたのであった。
GM
食堂ではできたての豪華な食事が皿に盛られています。
ジャン
ついてきたのであった。
ペペル
スゲ~
ジャン
「うわっ! すごい! すごいっすよペペルさん!」
アルビー
立ち並ぶ豪勢な食事に似つかわしくない腐臭。
ジャン
いる!
ペペル
いるね~
アルビー
臓物を引きずりながら食事を眺めている。
手にサーブ用のカトラリーをいくつか持って。
ペペル
「キミも食べるの?」
物怖じする様子もなくアルビーに声をかける。
ジャン
食堂にいちゃまずい感じだけどいるな……
アルビー
少女を見る。
アルビー
手にしたオリーヴをざらりと口に放り込んだ。
ペペル
食べてる!
アルビー
肋骨の隙間から零れ落ちる緑色の実。
ペペル
落ちてる!
アルビー
「満足か?」
ジャン
そんな……
アルビー
手にしたカトラリーで品定めに戻る。
ペペル
「………………」
ジャン
「……………」
ペペル
「それ大丈夫なの!?」
アルビー
サラダ。ケッパーを忘れずに。
ローストしたチキン。オレンジのソース。
アルビー
見目の薄汚さで隠しきれない手つき。
アルビー
銀の食器を使い慣れた手。
ペペル
心の疵で見た目が変になってるだけとかじゃないんだなぁ……。
アルビー
カマンベールチーズのリゾット。
黒胡椒。
アルビー
どんな料理の香りも死臭に紛れてゆく。
ペペル
「……あの子に持ってくため?」
アルビー
「さあ」
アルビー
「おれのお腹が空いてるだけかもしれない」
ペペル
「さあじゃないでしょうが~」
ジャン
「それは嘘でしょ……」
アルビー
「まだちょっと残ってるんでね」
アルビー
小腸と大腸を指さす。
ペペル
「うわ~」
ペペル
やっぱそれ……だよね
ジャン
ソーセージが食えなくなる……
ペペル
「……お腹に穴が空いてるのに、お腹が空くとしたら
 それは……大変そうだね……」
アルビー
白ソーセージを器によそう。
ハニーマスタードを添えて。
ペペル
真面目に考えてしまった。
ジャン
ソーセージよそってる……!
ペペル
「なおせないの? それ」
アルビー
「治ってるよ、もう」
ペペル
「そんなに大惨事なのに!?」
アルビー
「それとも何か?」
アルビー
「だ・い・さ・ん・じ」
アルビー
「迂遠な言い回しだね、どうも」
ペペル
「そ、そうかなあ」
ペペル
(ねえ……ジャン イモムシの末裔ってこういう感じなの?)
ジャン
「え?」
ジャン
ひそひそ話に、思わず声が出る。
ペペル
ペペルはイモムシの末裔について詳しくない。
多分、まともに会話したのはジャンとその家族ぐらいだろう。
ジャン
(いや……なんか、違いますよ。この人)
ジャン
改めて、声を潜めてペペルの言葉に応じた。
ジャン
イモムシの末裔であるジャンには分かる。水パイプに、持って回った言い回し。
ペペル
(え? どういうこと)
ジャン
振る舞いこそ──ジャンの嫌悪する──イモムシの末裔ではあるが。
ジャン
(イモムシの末裔じゃないですよ。なんか違うんです。
 育ち良さそうだし。なんでイモムシの末裔っぽい感じにしてるのか分からないですけど)
ペペル
(え~~~~?)
ジャン
(たぶん……そうなんじゃないかな……と思う……んですけど…………)
ジャン
急に自信を失う。
ペペル
(…………)
ペペル
梨のつぶてのアルビーの行く先に回り込む。
ペペル
「ねえ、キミって何者なの?」
ペペル
「もしかして……
 亡者かなにかが、
 イモムシの末裔のフリをしているだけだったりする?」
ペペル
言ってから、そんなはずはないと思う。
あのホテルマンたちが、亡者をトーナメントに
紛れ込ませるとは想像しにくい……。
ペペル
でも、最初に思いつくのがそれだった。
アルビー
笑う。
アルビー
「そうかも」
ジャン
「そうかもって……」
アルビー
「それでいいよ」
ジャン
「……」
ジャン
「なんでよりによってイモムシの末裔なんすか?」
ペペル
よくはないでしょ……
アルビー
「さあ」
ジャン
「イモムシの末裔とか、ほら、末裔の中でもけっこうださいほうっつーか……」
ペペル
「え? そうなんだ」
アルビー
「よりにもよって、君がわからないんなら」
アルビー
「おれにもわかるはずないね」
ジャン
「だらだらどうでもいい話をするくせに偉そうだし、水パイプは臭いし、やたらキノコ好きだし……」
ジャン
「周りをバカにするくせに自分たちは隠れ里に籠って何もしようとしないし……」
ペペル
「そっかぁ……」
ジャン
自種族disの話になると舌が滑らかになる。
ジャン
しかし相手は取りつく島もなく。だんだん声音は小さくなって、じっと男を見つめる。
アルビー
「そう」
アルビー
「“だらだらどうでもいい話をするくせに”」
アルビー
「“偉そう”」
ジャン
うんうん頷いている。
アルビー
「“”周りをバカにするくせに」
ペペル
意気投合しないで……
アルビー
「“自分たちは隠れ里に籠って何もしようとしない”」
ペペル
(※してない)
ジャン
そうそう。
アルビー
もう一度笑う。
ジャン
笑い返そうか迷うな……
アルビー
「そんな」
アルビー
「いいひとたちだったよ」
ペペル
風向きが変わってきたぞ。
ジャン
「えっ」
ペペル
「……いいひとたちだった……」
ジャン
「……あっ」
ペペル
「だから、真似してるの?」
ジャン
視線が彷徨う。男の言葉の意味を想像して。
ペペル
無神経にも思える問いを重ねた。
アルビー
「さあ……」
アルビー
「あんたの世界に“ニセモノ”ってのがいるんなら」
アルビー
「そいつが教えてくれるんじゃないか」
ペペル
「す~~~ぐそうやってはぐらかす~~~!」
ジャン
今のかなりイモムシっぽい言い回しだな……
ペペル
「言いたくないならそう言いなよ……
 ボクのこと嫌い?」
裁判で争う同士なのを忘れたかのようなコメント。
アルビー
「急がなくたって、そこの男が救世主様になって教えてくれるよ」
アルビー
「だろ?」
ジャン
「えっ!?」
ペペル
「それじゃ遅すぎるでしょうが!」
アルビー
「おれたちを殺すか石にするかして」
アルビー
「このホテルの最上階で」
ジャン
「いやっ、それは……そうだけど……」
アルビー
「勇者様が叶えてくれるんだろ」
アルビー
「“生き”急ぐなよ」
アルビー
「まだ23時間もあるそうじゃあないか」
ジャン
でも……あんたのことは分かりそうもないが……!?
ペペル
「わかった。じゃあそうする」
ジャン
「えっ!?」
ジャン
数分ぶり二度目。
ペペル
「残りのお茶会と裁判で教えてもらうことにするよ」
ジャン
あっ、そう言う意味か。
ペペル
「教えてくれるんでしょ?
 23時間かけて、じっくりと」
ペペル
*そろそろ判定するか♠
ペペル
*『駄目出し』を抉ります
GM
OK、横槍はありますか?

ありません。
ペペル
*ティーセット使います。
GM
では判定をどうぞ。
ペペル
2d6+2+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+2+2>=7) > 6[3,3]+2+2 > 10 > 成功
GM
成功ですね。
[ ペペル ] ティーセット : 2 → 1
[ アルビー ] 駄目出し : 0 → -1
アルビー
「仰せのままに?」
アルビー
「“救世主様方”」
ペペル
「うん、よろしくね」
ジャン
頭を下げようとしてやめる。
ペペル
「それがキミの話し方だっていうなら、存分に付き合うよ」
ジャン
「ま……負けないんで」
ジャン
ペペルさんはさすがだな……
ジャン
俺なんかけっこう地元思い出してヤダなって感じなのに……
アルビー
「はは」
アルビー
笑う。
ペペル
「ははは~!」笑い返す。
アルビー
「料理が冷めたな」
GM
料理をビュッフェの器に足しに来ていたホテルマンがその声に気付いて振り向いた。
GM
「お取替えいたしましょうか」
アルビー
「暖めて部屋に」
アルビー
器を渡す。
GM
「畏まりました」
GM
器を受け取り、一礼。そして去っていく。
アルビー
ホテルマンの後へ続くように煙と腐臭を残して立ち去る。
ペペル
「…………」見送る。
アルビー
煙がたなびいて甘い匂いだけをあとに残した。
ペペル
わかんない人だなあ~。
ペペル
「僕たちもなんか持ち帰ろうか。
 ジャックだとこの料理食べられないとかはないよね…?」
ジャン
「……」
ジャン
「あっ、そうですね……」
ジャン
食欲……いや、なんか食べとかないとな……
ペペル
「食べられる時に口に入れとかないと駄目だよ」
ジャン
「はいっ」
ジャン
食事を取り分けるべく食器を手に取る。
ジャン
その手つきはいささかおぼつかない。銀の食器なんて持ったことはない。
ペペル
「アバラから溢れるような身体になっちゃうかもしれないしね……」
ペペル
自信満々に大雑把な手付きで食事をよそっている。
ジャン
「こ、怖いこと言わないでくださいよ……」
ジャン
結局、何の末裔だったのだろう。お茶会をすれば分かるのかな……
ペペル
食べられる身体であることを今のうちに噛み締めておこう。
ペペル
こんなところかな。
ジャン
はい。
GM

第1ラウンド:ジャン

ジャン
そんなわけで、俺たちは食べられそうな食事を取り分けてホテルの部屋に戻り、腹ごしらえをしたのだった。
ペペル
わ~い。
ジャン
食欲がなくてもうまいと感じるレベルの食事……堕落の国では得られない、まさに異界の技術……
ジャン
石化した救世主の知識から絞り出したものだと思うとなんかまた食欲がなくなるけど、それはともかくだ。
ジャン
「あの……招待状の使い道について考えてたんすけど」
ペペル
ほう
ジャン
匙を置いて、おもむろに切り出す。
ジャン
「ジャックはジャック同士でやった方が怒られが発生しないらしいんで、たぶんあの救世主さまを呼び出した方がいいと思うんですが……」
ペペル
うんうん。
ジャン
「……あの二人、紐で繋がってて、なんかどこにいてもすぐに見つけられちゃいそうじゃないですか……」
ジャン
血っぽいものでじっとりと湿った紐を思い出している。
ペペル
「確かに……」
ペペル
あれどれぐらいの長さなんだろう。
ジャン
「というわけで……トレイさん、あの」
ジャン
手を上げる。ホテルマンの方へ目を向ける。
103号室のホテルマン
「ええ」歩み寄る。
103号室のホテルマン
「承ります」
ジャン
「招待状で……ネさんを呼び出したいんですけど」
ジャン
「その時って、あの赤い紐をあの……除くって言うか、除外みたいなことってできますか?」
103号室のホテルマン
「それが救世主様の心の疵から存在するものであるかがわかりませんので、なんとも」
ジャン
「やってみなくちゃ分からないって感じっすかねえ……」
ペペル
「出たとこ勝負だね」
ペペル
「実際あの紐にどんな力があるのかもわからないし……」
ペペル
「それを見るという意味でも試すしかないんじゃない?」
ジャン
「そうですね。まあ、切れなかったらそのまま話を聞くって感じで……」
ジャン
「じゃあ、そんな感じで……ネさんをこの部屋に呼び出していただければ……」
ジャン
低頭している。ジャックなので。
103号室のホテルマン
「畏まりました」
ペペル
ジャックだからというかそういう性根だからだよね……
103号室のホテルマン
ジャックだからといって口調を崩すこともない。
ジャン
はい……こんなきっちりして背筋が伸びてる人に強く出れないです……
ジャン
招待状を差し出した。
103号室のホテルマン
招待状を受け取り――ホテルマンの姿が消える。
ジャン
*ネの赤い紐を抉ります。
アルビー
*横槍します
アルビー
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
アルビー
2d6+=>7 判定(+愛)
アルビー
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 9[5,4]+0 > 9 > 成功
アルビー
1d6 (1D6) > 3
アルビー
*ヤリイカを使用します
ジャン
*ティーセットを使用します
[ ジャン ] ティーセット : 2 → 1
[ アルビー ] ヤリイカ : 1 → 0
[ アルビー ] HP : 15 → 14
ジャン
2d6+3+2-5=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-5>=7) > 5[4,1]+3+2-5 > 5 > 失敗
ジャン
*逆転しません 通しで抉り失敗

たなびく帯が部屋に広がる。
ジャン
ほんとにすぐ来る!
ペペル
おー、来た

ぺた。裸足が床を踏む音。舞い上がった帯たちが、ゆっくりと落ちた。いち、に、さん……

そして、四。

赤い包帯は長く伸びて、部屋の外までつながっている。
ジャン
赤い紐を白の中に認める。

「……? ああ……」内装を見て、二人を見て、ひとりうなずく。

「なんだ? 茶でも淹れてくれるのか」
ジャン
「っ……あ、どうも」
ジャン
「え!?」
ペペル
「いらっしゃ~い」
ジャン
お茶会……そういえば……茶があった方がいい!?

「それともポーカーをやるつもり?」
ジャン
おっ、俺の段取りダメ男……!
ペペル
「こういうのってホテルマンさんがやってくれるの?」
モタ……モタ……
ジャン
「おっ! お茶おねがいしますう!↑」
ペペル
ポットを手にとってガチャガチャしてる。
103号室のホテルマン
「ご所望であれば」
103号室のホテルマン
恭しく一礼。
ペペル
「じゃあここはひとつプロに……」
103号室のホテルマン
そしててきぱきと準備を始める。
ジャン
「ありがとうございます……!」
103号室のホテルマン
完璧な秒数で淹れられた紅茶、美しく盛られた茶菓子。

勝手にベッドに座る。
103号室のホテルマン
それらがみるみるうちにテーブルの上に用意されていく。
ジャン
あっ!女の子が俺の(確定ロール)ベッドに!
ジャン
「あっ、あの……」
ペペル
がんばって!

「ちょっとまって」

遮る。
ジャン
「えっ」
ジャン
止まる。

「まずは乾杯からじゃない?」
ジャン
「乾杯……!?」
ジャン
そういうのもあるのか……!
ペペル
「乾杯ってお茶のときもやるの?」

「そう」ティーカップを手にしてそっと宙に傾ける。

「だって僕たち、お酒を飲める年じゃないでしょう」
ジャン
「じ、地元では俺ぐらいの歳からも飲んでますけど……」
ジャン
俺は確かに酒苦手で……
ジャン
もたもたカップを手に取る。手はちょっと震えている。
ペペル
「お酒以外まともな飲み物がないこともしばしばだしね~この国」
ペペル
まあいいや。とカップを掲げる。
ペペル
「何に乾杯する?」
ジャン
「何に!?」

「この出会いに……」

「感謝、とか?」
ジャン
「この出会いに……!?」
ペペル
「いいね」
ジャン
よく分からないが……なんかかっこいいことだけは分かるぜ!
ペペル
「出会いはどこだっていつだって、尊いもんね」
ジャン
「はい!」

そのまま傾ける。

傾ける。

ケーキスタンドの上。

おいしいお茶菓子、砂糖菓子。

カップの中の暖かい紅茶が注がれる。
ジャン
あ!?
ペペル
えっ?

スタンドから白いクロスへ。

湯気が立ち、消える。
ペペル
「ちょっと~! 何してるの!?」
ジャン
あわわ……
ジャン
これが都会の作法なのか!?と驚いたが、ペペルの言葉でそんなわけないことに気づく。

「言葉を返そうか」

「何をしているんだ?君たちは」
ジャン
「えっ」
ペペル
「お茶会のつもりだったけど?」
ペペル
ねえ、とジャンを見る。
ジャン
「そ、そうです。お茶会……」

「違うだろ?」
ジャン
「……?」

「本当の目的はそうじゃない」

「僕をどうしたかったのかって聞いてるのさ」

そのまま、カップを地面に落とす。

ふかふかの絨毯の上に、音もなく落ちる。
ジャン
「……ああ……」
ジャン
「その……そうですね」
ジャン
相手の言葉で、緊張と混乱の絶頂にあった顔が幾分引き締まる。
ジャン
「ええと、救世主さまを呼び出して、その赤い紐がどうなるのか見るつもりでした」

「どうなるか?」
ジャン
「その紐、あっちの偽イモムシの人とつながってるでしょ?」

「そうだね」
ジャン
「こうやって呼び出して、切れるのか、それで切れないのなら……無理に切ったらどうなるか」
ジャン
「確かめられるのなら、確かめようと思いました」
ジャン
「元々見れば分かるけど、その赤い紐はどうも、二人にとって大事なものらしいから」

「じゃあやってみる?今から」

服をめくる。

赤い包帯が腹から垂れている。

ゆっくりと上へ、上へ。

「どうやって?」

「押し倒してくれるのかな。そうする勇気なんて……」

めくる手を離す。傷だらけの腹部が見えなくなる。
ジャン
「方法はあります」

「じゃあ」

「僕に教えないうちにやるべきだったね」

立ち上がる。
ペペル
手出しをしない。
ジャン
いいや、今からでもできる。
アルビー
扉の外からノック音。
ジャン
あれが心の疵の力でできているものなら。
ジャン
こちらも心の疵の力を使えばいい。だが……
ジャン
ノックの音に、動きが止まる。

「アルビー」
アルビー
「お迎えにあがりましたよ」

自分の部屋のように、扉を開ける。
アルビー
手に長い、長い赤い帯を手繰らせて立っている。
ジャン
「ネさん」
ジャン
声をかける。

「手短にして」
ジャン
「それ、本当に大事なものだと思うんで、」
ジャン
「そんなふうにして見せない方がいいですよ」
アルビー
笑ったのはこっちだった。
アルビー
「見せてんだよ」
ペペル
「え!? いやらしい」

アルビーの襟元を掴んで引き寄せる。
ジャン
そんな……

頬に口づけ。

そして最後に振り返った。「それじゃ、また」
ペペル
見せつけられてる~!
アルビー
「いやらしいと思う感性がおありで結構ですね」
ジャン
見せつけられた……
ペペル
「あ! それはわかる 嫌味でしょ」
アルビー
返答はなく煙がふかされるばかり。
ジャン
あっ、たばこ臭い!
アルビー
少女のあとをゆっくりと追う。

もう振り返らない。裸足の音が、遠ざかっていった。
ペペル
行っちゃった~……
ジャン
「……すいません、失敗しちゃいました」
ペペル
「ん~まあ、切り替えていこう」
ジャン
「はい」
ペペル
自ら暴力的な手段に訴えてもよかったけど、今回はできるだけジャンに任せたかった。
ジャン
ひとりで戦えるようにならなければならない。戦いが終わったら、ひとりになるのだから。
ペペル
「相手の人となりが伺えただけでも、充分だよ」
ジャン
「……そうですね。次は、向こうから仕掛けてくるかもだし」
ジャン
言いながら、視線を巡らせる。
ジャン
そこにはネがこぼした紅茶に濡れ、台無しにされた茶会の用意が残っていた。
GM
ホテルマンがそれを手際よく片付け始める。
GM
なんでもないことのように。

第1ラウンド:アルビー

アルビー
1d11 (1D11) > 7
GM
7 チャペル。 こんな場所で式を挙げる者がいるかはさておき、結婚式を行う事だってできる立派なもの。
アルビー
そこでいいや。
アルビー
傍らに少女を置いたまま手元の招待状を眺めている。
アルビー
ネのぶんも渡してある。

先程から、アルビーの外套を掴んだまま離さない。

じぶんのものを見ればいいのに、アルビーの手元を覗き込む。
アルビー
こういうことはよくあることだ。
先ほどもホテルマンの「注意いたしましょうか」といった視線を留めた。
アルビー
「使うか……」
アルビー
二人は今チャペルの塔の最上階にいる。
室内とはいえど、立派なだけあって相当の高さだった。

「どっちにするの?」
アルビー
「そのうちわかる」

「ふうん、楽しみだな」にこりともしない。
アルビー
ホテルマンを呼び出した。
名前はエースと言ったか。
101号室のホテルマン
「はい」
アルビー
招待状を渡して口頭で中身を確認する。
アルビー
「5分後にジャンをここに」
アルビー
塔の上から下へ続く吹き抜けを指さす。
中空。
101号室のホテルマン
「かしこまりました」
101号室のホテルマン
両手で手紙を受け取って、ぺこりと一礼。
101号室のホテルマン
そうしてその姿がかき消える。
アルビー
ホテルの吹き抜けからきらびやかな内装がよく見える吹き抜け。
ずっと下の方に噴水や庭園が見える。

目を瞬かせる。指差した先は眩みそうなほど、高い。

「あの人……」

「お前とは似ていないね」
アルビー
「ああ」
アルビー
「妬けるよな」
アルビー
「向こうの方が色男だ」
アルビー
吹き抜けに手を差し出して、5分の時間を待つ。

「良かった」

「いや、良くないのかな」

「……イモムシの末裔の群れの中にまぎれていたって、お前のことを見つけられることは──」
GM
――そうして、きっかり5分後。
GM
"指定された場所"に、ジャンが呼び出される。
ジャン
シームレスに視界が切り替わる。
ジャン
「あっ」
ジャン
と、いう声が、空に溶けていく。
アルビー
落ちるその身体に紐を投げてやる。
アルビー
赤い。
ジャン
相手に招待状を使われて、呼び出される。その程度のことならこのイモムシの末裔も予測していたが。
ジャン
「うわ」
ジャン
浮遊感。落ちていく感覚は想像もできていなかった。
ジャン
咄嗟に、紐を掴む。

寄り添ったまま、見ている。
ジャン
血でじっとりと湿った、赤い紐。
ジャン
「あっ……あっ!?」
アルビー
宙にぶらんと、ぶら下がっている男を見る。
ジャン
掴んだその紐の色に目を白黒させる。そしてその視線の先にいる、臓物を垂らした男の姿。

「これじゃあ見分けがつかないな」

「お前そっくりだよ」
アルビー
「ツキが回ってきたな」
アルビー
「今なら切れるかもしれないぜ」
ジャン
「なあっ……」
アルビー
紐は血でぬめっている。
ジャン
そんなはずはない。という考えが頭に浮かんで消える。思考が散漫になりまとまらない。
ジャン
手もまた汗で滲んでいる。いつ滑るとも分からない。
ジャン
風に揺られて、重みがかかった手に痛みが走る。
アルビー
「お前、村を出てからどれくらい経った?」
アルビー
世間話のように切り出される。
ジャン
なんで今そんなことを?
ジャン
「……はあっ、はあっ……!」
ジャン
問い返すこともできずに、緊張に息が詰まる。
アルビー
「おれたちが会ってからこのホテルに来るまで10の月と10日」
アルビー
「もう一度聞くが、村を出てからどれくらい経った?」
ジャン
「に、二か月ぐらい……」
アルビー
「そうか」
アルビー
「じゃあそこまで急ぐ必要もないかもしれないな」
ジャン
「な、なにを」
アルビー
「いや、急がなくてもいいのか……」
アルビー
煙が長くたなびいている。
ジャン
何だ? 何の話をしている?
ジャン
男が話す間にも手は痛み、危機感と緊張が全身にみなぎってゆく。
アルビー
「お前の村はそのうち亡者に襲われる」
ジャン
「……!?」
アルビー
「“イモムシの末裔”に恨みのある亡者がいてな」
アルビー
「おれはそいつに殺されたんだ」
ジャン
「なっ、なんでだよ!」
アルビー
「今もイモムシの集落を探してさ迷ってる」
ジャン
「あんた、イモムシの末裔じゃあないだろう!」

吹き抜けには、赤い紐以外にも、ネにつながっている包帯がいくつか垂れている。長さが足りない。蜘蛛の糸足り得ない。
アルビー
「些末なことさ」
アルビー
「亡者にとっては」
ジャン
いや、それよりも重要なことは、イモムシの集落を襲う亡者の話。いや、いや……今はそんなことはどうでもいいはずだ。
アルビー
「わかるだろ」
ジャン
今はお茶会。後のない殺し合いのさなかにいるんだから。自分の村が未来に襲われるかどうかなんて。
ジャン
また強風。身体が左右に揺れて、手がミシミシと痛む。
アルビー
「なあ、お前は今“どっちだ?”」
ジャン
全身に走るびりびりとした痺れの由来が、分からなくなっていく。
アルビー
「嬉しいか?」
アルビー
「それとも、」
アルビー
*ジャンの心の疵『自種族に対する嫌悪』を抉ります。
ペペル
*横槍します
ペペル
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ペペル
ティーセット使用なし
[ ペペル ] HP : 17 → 16
ペペル
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 11[6,5]+0 > 11 > 成功
ペペル
1d6 効果量 (1D6) > 4
ペペル
ヤリイカは使いません
アルビー
*ティーセットを使用します
アルビー
2d6+3+2-4=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-4>=7) > 7[6,1]+3+2-4 > 8 > 成功
[ ジャン ] 自種族への嫌悪 : 0 → -1
[ アルビー ] ティーセット : 2 → 1
アルビー
血がラズベリージャムのようにぬめる。
アルビー
絶えず流れ続ける男の血。
或いはそこにいる少女の血。
ジャン
アルビーの言葉に答えられない。もっと毅然と、言えることがあるはずなのに。
アルビー
心の疵はありとあらゆる人生の結果だ。
ジャン
「っ……うっ、……あっ……」
アルビー
死もまた結果でしかない。
アルビー
それがここに辿り着いたなら。
アルビー
「大丈夫さ」
ジャン
血が紐の上を流れ落ち、汗と混ざり、滑る。
アルビー
「どっちにしろ同じだよ」
ジャン
力を込めて握っていても、数ミリ、わずかに下に。あとはがれきが崩れるように。
ジャン
チャペルの尖塔から、イモムシの末裔が墜ちていく。
アルビー
「お前が嫌いだろうと好きだろうと」
ジャン
「──あっ」
アルビー
「死ぬときは死ぬんだ」
ジャン
だが、混乱する頭の中で思い出していたのは。
ジャン
あれほど嫌って後にしたはずの里の風景。同族や家族たちの顔だった。
ジャン
墜ちていく。
ペペル
「ジャン!」
ペペル
一条の閃光のように乱入する影。

「ところでさ」
ジャン
浮遊感の質が変わる。がくんと景色が跳ね上がる。

まるで今日の献立でも尋ねるような口調で。

「救世主って一体、何を救うんだろうね」
ペペル
床に激突する寸前のジャンを、跳んで横合いからかっさらう。
ペペル
そのまま二人して、ごろごろと転がる。
アルビー
「さあ……」
アルビー
「“世界”とかいう」
ジャン
ぜえ、ぜえ、と息が上がっている。
アルビー
「便利な言葉じゃないですか」
ペペル
あちこちを打ち付けながら、立ち上がる。
ペペル
「大丈夫……?」
ジャン
全身からまだ力が抜けている。起き上がれない。
ジャン
「ぺ、ペルさん……」

「素敵だね」
ジャン
「里が……俺の村が……」
ペペル
きっ、と声のするほうを見上げ、にらみつける。
ジャン
動揺のまま、言うべきではない言葉を言ってしまう。そうではないはずなのに。

手をふってみた。
ペペル
「卑怯者!」

「アルビーも挨拶してあげなよ」
アルビー
煙を吐き出す。

「なんだっけ」
アルビー
長く、長く。

『こんにちは、今日はよろしくお願いします』

「だったかな……」
ペペル
「キミたちは、恥ずかしくないのか?」
ペペル
動揺しているジャンに手を伸ばし、助け起こそうとする。
ジャン
差し出された手を見つめ、震える手を伸ばした。
ジャン
なんとか掴む。
ジャン
血と汗で汚れている。
ペペル
卑怯、恥知らず。
ペペル
それはまるで堕落の国のことを何も知らない新参者が口にするような言葉だ。
ペペル
ペペルはそういった語を、てらいなく使う。
アルビー
「恥ずかしいですよ」
アルビー
「胸が痛みます」
アルビー
「皆堕落の国の仲間たちなのに」
アルビー
「こうして殺し合わなきゃいけないなんて……」
アルビー
声を張り上げている相手と違ってこっちの声は聞こえるのだか聞こえないのだか。
アルビー
あとに煙を残して去るばかり。
ペペル
「…………」

ネは、ペペルの問いかけに応えなかった。
ペペル
「ボクは殺し合いに来たわけじゃない……」
ペペル
相手からの回答がそれだけだと悟ると、
ため息を吐いて、ジャンを支え、出口へと。
ジャン
支えられながら、息を整える。ペペルとともに出口へと向かう。
ジャン
ペペルのその言葉が、そこから感じられる異常性が。
ジャン
わずかに自分の疵に沁み込み、正気を保たせてくれる気がした。
GM

第1ラウンド:ネ


*アルビーの心の疵 森の賢者を舐めます

1d11 (1D11) > 9
GM
9 冷凍室。 鋼のフックに吊るされた大きな肉塊が並べられている。頑丈な扉は、一度閉めてしまえば声も嘆きも通さない。

寄り道をしたい、とネはつぶやいた。

できるだけ、誰もいない場所がいいと言った。
アルビー
どうぞご随意にと返す。

そうしてエースに案内されたのが、『ここ』なものだから、思わず笑ってしまいそうになった。

「もういいよ、ありがとう」

あくまで救世主のようにふるまう。
101号室のホテルマン
一礼をして、去る。
101号室のホテルマン
扉にその姿が隠されるまで、笑みを絶やさずに。

金庫のように重たい扉を閉めようとする。

「む……」

あまりにも冷たい。
アルビー
後ろから手伝う。
アルビー
温度を感じない手。

ごとん。

閉まる直前、冷気が砂埃のように舞い上がった。

冷たい手をそのまま絡め取る。
「ホテルのスイートルームより、ここはお前にお似合いだね」
アルビー
「お仲間しかいませんからね」

足をずっと床につけていられない。ネにはこの部屋は寒すぎる。

生者には。
アルビー
跪く。
アルビー
膝裏に手を差し入れて肩を抱いて持ち上げた。

赤い帯がたわみ、浮かび上がる。
アルビー
「氷像も悪かないって?」

「ナンセンスだよ、石なんてさ」

煙のかわりに白い息を吐く。

「なあ」

「お前は、僕のどこが、恥ずかしいと思う?」

腐りかけた頬に指をやる。「……教えてよ」
アルビー
その指が唇を滑ったあたりで声に出す。
アルビー
「(恥ずかしい)Embarrassingと(死体修復)Embalmingは似てる」
アルビー
「こんな(ネズミ)mouse一匹いないとこで口(mouth)を割らせるつもり?」
アルビー
声の振動が少女の指先に震えてつたわる。

「お前は話(tale)の尻尾(tail)を掴ませようとしないね」

「ねえアルビー、どうして夜は黒いの?」
アルビー
少女の手を取って自身の喉へ触れさせる。

「アルビー、太陽が登るのはなぜ」

その喉を掴もうとして、 あなたの喉は大きすぎた。

撫ぜる。
アルビー
「(騎士)Knightが(王)Kを失ったから」
アルビー
「その悲しみのあまりに夜は黒い」
アルビー
「(太陽)Sunが空にあるのは(私たち)unsとは別物だから」
アルビー
最後の言葉は発音が違って聞こえる。
アルビー
イギリス英語に混ざるドイツ語の発音。
アルビー
始祖 公爵夫人のモティーフはローマの王国の公爵だったとか。
アルビー
喉を撫ぜる指。
アルビー
「……逆立ちしても届かない」
アルビー
暗雲に覆われた堕落の国で。

震えている。
アルビー
こうして少女に聞かせ続けた寝物語をひとつひとつ。

あなたに体温はない。

いつでも。
アルビー
数えている。毎日違う御伽噺。
アルビー
体温を感じることなどできない。
自分はもう死んでいる。
アルビー
熱を感じることはできない。
少女の身体を除いて。

(僕が)

言葉にするつもりはない。

両手をアルビーの首へ。

(僕がお前を)

顔を近づける。

(嫌いなのはなぜ?)

*判定します
ペペル
*横槍します
ペペル
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
[ ペペル ] HP : 16 → 15
ペペル
ティーセット使わず振ります
ペペル
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 5[1,4]+0 > 5 > 失敗
ペペル
失敗

2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 3[2,1]+3 > 6 > 失敗

このままいきます。
GM
*干渉に失敗したため前科の上昇はなし。

くちづける。
アルビー
受け入れる。

ひどい味がする。いつも、いつでも、アルビーとのキスが一番、おいしくない。
アルビー
腐って、黴て、乾いている。
アルビー
ところどころに血が流れて、ぐずぐずになった肉と剥き出しの神経と骨とがひきつれて。
アルビー
日々、男は何らかの死体であることを増刷し続けている。
アルビー
骨(bone)と生まれる(born)ことが似ているように。

二度目はいいや。
アルビー
喉に少女の指が触れている。

そう思っている。

いつも。
アルビー
いったいこの声は誰のもの?
アルビー
顔は?
アルビー
眼は?
アルビー
唇は?
アルビー
いったいどこにいるんだろう。
アルビー
今何をして何を思っているんだろう。
アルビー
(死体修復)Embalmingした
(恥ずかしい)Embarrassing女の子は。
第1サイクル:ネ シーン裏
ペペル
(なんで冷凍室に入ってるんだろ……邪魔しようと思ったけど寒そうだからやめよう……)
ジャン
(一体中で何が行われているんだ……?)