Dead or AliCe
『16人の救世主』

幕間 Room No.5-決戦前夜

シャルル
決勝前夜。
シャルル
既に参加者でない2人にとっても、その日は。
シャルル
穏やかに過ごせる、最後の夜になるかもしれない。
シャルル
明日の試合が開始されれば、この部屋にふたりきり。
シャルル
夕食を終えて暫く。
シャルル
「…………。」
シャルル
食後の紅茶をいれる。
今日は、昨日より上手く入れられている気がする。
シャルル
ポットとカップをテーブルに運ぶ。
シャルル
「……おまたせ。」
アレクシア
「……ありがとう」
シャルル
カップをアレクシアの前に。
シャルル
そうして、自分も向かいの席に腰かける。
アレクシア
シャルルの淹れる紅茶を、結局、毎日飲んでいる。
アレクシア
たった一週間。
アレクシア
けれど確かに積み重ねたその日々に、ずっと。
アレクシア
「……おいしい。……多分、昨日より」
シャルル
「はは。そりゃよかった。」
シャルル
「なんか、紅茶いれるの楽しくなってきてさ。けっこう味も香りも変わるし。」
アレクシア
「ふふ、……」 笑って、もう一口。
シャルル
「…………なんか。あっという間だな。」
アレクシア
「……うん」
シャルル
「あっという間だったのに……」
シャルル
「随分と、長いこと一緒にいる気もする。」
シャルル
「変な感じだな、ちょっと。」
アレクシア
「……あっという間の、その間」
アレクシア
「ずっと一緒だったから」
アレクシア
「……不思議」
シャルル
「…………アレクシア。」
アレクシア
「うん」
シャルル
「アンタがさ。今、そうやって。」
シャルル
「座ってくれてて、よかった。」
シャルル
「…………明日さ。」
シャルル
「いや、裁判は明後日だけど。」
シャルル
「…………儀式、終わるんだな。」
アレクシア
「………………」
アレクシア
「そうね……」
シャルル
「今、でも。あんまり……。」
シャルル
「怖そうじゃ、ないから……」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……そう、かな」
アレクシア
言いながら、しかし、かすかに微笑んでいる。
シャルル
「……うん。」
シャルル
紅茶を一口。
うん、昨日よりいい感じだ。
アレクシア
「……怖くない、わけじゃ、ないけど」
アレクシア
「……どうしてか、……こころは、静か」
アレクシア
カップの縁をそっと撫でる。
シャルル
「そっか。」
シャルル
正面の顔を見る。
シャルル
テーブルの分だけ離れた距離。
シャルル
しかし、どうしてか、それは。
シャルル
昨日より、近い気もする。
シャルル
自然と、頬が緩んで。
アレクシア
シャルルの笑みに、わずかに目を細める。
アレクシア
最初の日。こんなふうに互いを近しく感じるようになるなんて、思ってもいなかった。
アレクシア
怖いと思った。ずっと怖かった。
アレクシア
でも今は、もうへいきだ。
アレクシア
「……シャルルは」
アレクシア
「優しい顔を、するのね」
シャルル
「え……?」
シャルル
「そうか……?あんまり、考えてなかったけど。」
シャルル
少しぼやけた視界にも、慣れてきたからだろうか。
シャルル
「……優しい、か。」
アレクシア
「……そう、思う。……そう、感じるの」
シャルル
「…………。」
シャルル
「たぶん…………アンタが、そうした。」
アレクシア
「……わたし?」
シャルル
「ああ。だって……アンタと一緒にいたいと思わなかったら。」
シャルル
「……俺は、好き勝手して。きっと……」
シャルル
「…………最後まで、なんて考えなかった。」
シャルル
「紅茶だって、いれてなかっただろうしな。」
アレクシア
「……じゃあ」
アレクシア
「一緒にいたいと思ってくれて、ありがとう」
アレクシア
「……嬉しい」
シャルル
「ん…………っ」
シャルル
少し、目をそらして。
アレクシア
逸らされた目の。その下の頬が、常よりも赤くなっているのを見て。
アレクシア
「…………ふふ」
アレクシア
あたたかく、笑う。
シャルル
「…………なんだよ。」
アレクシア
「……だって」
アレクシア
「……ふふ、……」
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………笑うなよ。」
アレクシア
「……どうして?」
シャルル
「…………。」
シャルル
「よけいに。」
シャルル
「顔、見らんなくなる。」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……ほんとうよ」
アレクシア
「ほんとうに、……ありがとうって、……嬉しいって思ってるの」
シャルル
「…………わかってる。」
シャルル
「わかってるよ。」
シャルル
「だから……。」
シャルル
冷たい左手で目元を隠すようにして。
シャルル
「嬉しい、し……。」
シャルル
「…………。」
シャルル
指の隙間から向こう側を見る。
シャルル
「なんか。」
シャルル
なんだろう。やはり少し、怖い気も、する。
シャルル
「……わかんないな。」
シャルル
「わかんない。」
アレクシア
首をかしげる。
シャルル
嘘じゃない。きっと、あれも。それも。
シャルル
でも、だからこそ。
シャルル
「…………。」
シャルル
少し、落ち着かせるように呼吸を深くして。
シャルル
顔をあげる。
シャルル
「…………本当に、最後なのかなって。」
アレクシア
「……………………」
アレクシア
シャルルの顔を、じっと見つめる。
アレクシア
少しだけ、寂しいような、切ないような、そんな表情。
シャルル
「いや、ごめん。」
シャルル
「……今更、言う事じゃないよな。」
アレクシア
「ううん」
アレクシア
「いいよ」
アレクシア
「…………いいよ」 小さく、繰り返す。
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………俺、さ。」
シャルル
「温室で、言われたこと。ずっと……嬉しくて。」
シャルル
「でも、あの……トイトロールが、言った。救済ってやつで……」
シャルル
「……もし、死ななかったら。さ。」
シャルル
「どうしよう……って。」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……不安?」
シャルル
頷く。
シャルル
「…………死ぬのがじゃない。」
シャルル
「…………。」
シャルル
言葉にするのが、少しためらわれて。
シャルル
「いや……。」
アレクシア
「……言いたくない?」
シャルル
「…………怖い。」
アレクシア
「また、自分が?……それとも、違うものが?」
シャルル
「…………。」
シャルル
「未来が、怖くなった。」
アレクシア
「未来……」
シャルル
「……変だよな。あるかどうかも、いや……ない可能性の方が、高いのに。」
アレクシア
黙って、首を振る。
アレクシア
「……ないかもしれないもののほうが」
アレクシア
「あったらどうしようって、……きっとそう、思ってしまう」
シャルル
「…………。」
シャルル
「ここは。」
シャルル
「閉ざされていて。安全で。何でもあって。ふたりきりだ。」
シャルル
「でも……そうじゃ、なくなったら。」
シャルル
「俺には力(コイン)もないし、行くところも、自分がどうやってここに来たのかもわからない。」
シャルル
「ゲームのように盤面を見ることは出来ないし。『シャルル』が誰に、何をしてきたかも……わからない。」
シャルル
「何より……アンタを……。」
シャルル
「アレクシアを…………。」
シャルル
言葉は続かずに。
シャルル
俯く。
アレクシア
「……シャルル」
アレクシア
「わたしも、同じよ」
アレクシア
「シャルル以上に、力なんてない。行くところも、……自分がどうやってここに来たのかも、『アレクシア』のことも、わからない」
アレクシア
「……同じだから、」
アレクシア
「……わたしのこと、考えすぎなくても、いいのよ」
シャルル
「違う……違うんだ……俺が、怖いのは……」
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………アンタを、失うことだ。」
シャルル
「……死なせてしまうかもしれない。奪われるかもしれない。」
シャルル
「傷つけるかもしれない。心も、身体も。」
シャルル
「なにより……ここを出たら。」
シャルル
「俺より、優しくて、頼りになって、強い奴は……たくさん、いるし。」
アレクシア
「シャルル……」
シャルル
顔を伏せる。
シャルル
「嬉しかったから……。」
シャルル
「失うのが……怖いんだ。」
アレクシア
「わたし、」
アレクシア
「頼りなくて、心配かけてばかりで、……何もしてあげられなくて」
アレクシア
「シャルルには、……外でなら、もっと素敵な人が、たくさんいて」
アレクシア
「だから、外に出たら……わたしのほうが……シャルルにとって、いらなくなってしまうかもしれないけど」
シャルル
顔を伏せたまま、首を横に振る。
アレクシア
それを見て、少し、微笑って。
アレクシア
「……今。わたしがあなたと一緒にいるのは、……あなたしかいないからじゃなくて」
アレクシア
「あなたが、あの日、部屋の外に、わたしを探しに来てくれたから」
アレクシア
「……そうじゃなかったら、……同じ部屋の中にいても、一緒には、きっといなかった」
アレクシア
「一緒にいようって、……そうは、思えなかったから」
アレクシア
「……ちゃんと、そばに、いたいの。……」
アレクシア
「わたしも、あなたを一人にしたくないって、……言ったでしょ?」
シャルル
「…………わかってる。」
シャルル
「わかってるんだよ。アンタが……」
シャルル
「俺を置いていったりしないってこと、くらい。」
シャルル
「わかってるんだ……それでも。だから……よく、わからなくて。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「どうしたんだろうな、俺。」
アレクシア
「…………」
シャルル
「…………しっかりしようって、思ってたのに。」
シャルル
「不安にさせちゃいけないって……俺が。」
シャルル
「こんなんでさ。」
アレクシア
「……絶対不安にならないひとなんて、きっといないから」
アレクシア
かたん、と立ち上がる。
アレクシア
テーブルを回り。
アレクシア
その手がシャルルの肩に触れる。
シャルル
びくりと、肩が跳ねる。
アレクシア
それから、少し、引き寄せるようにして。
アレクシア
静かに、抱きしめる。
アレクシア
「……ずっと、シャルルに助けてもらってた」
アレクシア
「一人じゃ、きっとだめだった」
アレクシア
「……あなたがいてくれて、よかった」
シャルル
「…………。」
シャルル
腕から、少しだけ、顔をあげて。
シャルル
「アレクシア……。」
アレクシア
静かに、灰の髪を撫でる。
シャルル
「…………。」
シャルル
涙が落ちて。
シャルル
「俺、は……。」
シャルル
冷たい腕に、目元をこすって。
シャルル
「…………。」
シャルル
「アンタを……。」
シャルル
「…………。」
シャルル
身体を起こすのか怖い。
シャルル
後ろを振り向くのが怖い。
シャルル
髪を撫でる指先は優しく、背を抱きしめる身体は温かい。
シャルル
何といえばいい。どうしたらいい。
シャルル
どうしたら、わかってもらえるのか。
シャルル
どうしようもない、この苦しみを。
アレクシア
アレクシアにはわからない。シャルルが、本当に求めていること。
アレクシア
だから言葉にはしない。できない。
アレクシア
ただ、ここにいるということだけを。抱きしめる腕で、髪を撫でる手で、伝える。
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………愛してる。」
アレクシア
かすかに、指が震えた。
アレクシア
それから、抱きしめる腕が、わずかに強まり。
アレクシア
「……うん」
アレクシア
言って。それから、ぎゅっと。
アレクシア
抱きしめる力が、はっきりと強くなる。
アレクシア
シャルルの首筋に。一粒、濡れた感触。
シャルル
「…………。」
シャルル
「……アレクシア?」
アレクシア
「…………ん」
シャルル
「…………ごめん。なんか。」
アレクシア
少しだけ、身体を離して。
アレクシア
「……どうして謝るの?」
シャルル
「…………。」
シャルル
「勝手な事、言った。」
シャルル
「泣いてるし。」
アレクシア
「……、……いやだから、泣いたわけじゃ、ないよ」
アレクシア
「……それでも、だめ?」
シャルル
「…………。」
シャルル
身体を起こして、振り向く。
シャルル
「…………。」
シャルル
首を横に振って。
シャルル
「…………怖いのって、怖いな。」
アレクシア
「……うん」
シャルル
「アレクシアは……強いよ。」
シャルル
手を伸ばして、抱きしめる。
アレクシア
アレクシアの手もまた、シャルルの背に回る。
シャルル
「……わかんねーんだよ。何にも。」
シャルル
「どうしようもないんだ。」
シャルル
「……何もできない。」
シャルル
「何も、わからない。」
シャルル
「……どうして。」
シャルル
「どうして、こんな気持ちに……」
シャルル
「なってしまったんだろう……ただ、こんなつもりじゃ。」
シャルル
「なかったのに……。」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……ごめんね」
シャルル
「…………全部。俺の。」
シャルル
「俺の、心が決めたことだよ。」
アレクシア
「……………………」
アレクシア
「うん」
アレクシア
「………………ありがとう」
シャルル
「…………。」
シャルル
「うん。」
シャルル
「…………。」
シャルル
身体を、離して。
シャルル
じっと、その顔をみつめる。
アレクシア
「…………何?」
シャルル
「いや……その。」
シャルル
「綺麗だ。」
シャルル
「花より。」
シャルル
「ずっと……アンタの方が。綺麗だった。」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「……あんなにきれいだったのに」
アレクシア
「…………嬉しい」
シャルル
「…………。」
シャルル
「はは……。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「笑うともっと綺麗だ。」
シャルル
あれをしたら。これをしたら。
シャルル
そんなことがどんどん、沸いて出る。
シャルル
底なしだ。
シャルル
蓋もできない。
シャルル
その行き着く先は、誰かにとっては
慈しみで。
諦観で。
妄信で。
過ちで。
心中で。
シャルル
この心は、どこにたどり着くのか。
シャルル
「…………アレクシアは。」
シャルル
「いいのか?」
シャルル
「……何も、ない?もう、ないなら……いいんだけど。」
アレクシア
「…………」
シャルル
「……俺ばっかり、困らせてる。」
アレクシア
「……馬鹿」
アレクシア
「今は、困ってない」
アレクシア
「……嬉しい。……嬉しいよ、シャルル」
アレクシア
「……あなたがいてくれてよかったし」
アレクシア
「……あなたで、よかった」
シャルル
「…………アレクシア。」
アレクシア
「うん」
シャルル
「…………あ、無理。ちょっと。」
シャルル
顔をそむける。
シャルル
背を向ける。
アレクシア
「…………どうしたの」 かすかに、笑う。
シャルル
「…………泣きそう。」
アレクシア
「そっか」
アレクシア
「ねえ、……でも」
アレクシア
「一人で泣かないで」
アレクシア
「泣いても、いいから」
シャルル
「…………。」
シャルル
「かっこ悪いじゃん。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「それでも、いいか?」
アレクシア
「いいよ」
アレクシア
「かっこ悪くても」
アレクシア
「一緒にいるんだから」
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………わかった、じゃあ。」
シャルル
両手でアレクシアの腰を掴んで持ち上げ。
シャルル
そのままくるりと回る。ダンスでもするように。
アレクシア
「わ、」
アレクシア
つま先が床を離れて。
アレクシア
体重が、自分のものでなくなる。
アレクシア
その、感覚。
シャルル
踊ろう、アレクシア。
シャルル
運命が、その身を焼こうとも。
シャルル
光を遮ろうとも。
シャルル
花を散らそうとも。
シャルル
愛が苦しみをもたらそうとも。
シャルル
そこに名が刻まれていなくとも。
シャルル
「…………はは。」
アレクシア
「……っ、あはは」
シャルル
くるり、くるり。
シャルル
ふわり、ふわり。
シャルル
「…………元気、出てきた。」
シャルル
軽い身体を、つま先からそっと下ろして。
アレクシア
「…………シャルル」
アレクシア
「わたしで、よかった?」
シャルル
「…………」
シャルル
「アレクシアじゃなきゃ、駄目だ。」
アレクシア
「……うん」
アレクシア
「わたしも、」
アレクシア
「きっと、シャルルじゃなきゃだめだった」
シャルル
その身体を、強く抱きしめる。
シャルル
何度だっていい。何度でも、そうする。
シャルル
金の髪に頬を寄せて。
シャルル
「…………愛してる。大好きだ。」
シャルル
決して、軽い言葉ではなかった。
シャルル
全部。今、伝えたい事だった。
アレクシア
「……ありがとう、シャルル」
アレクシア
「……だいすきよ」
アレクシア
あたたかい。
アレクシア
強い力に、柔らかな安堵を感じる。
アレクシア
一緒にいる。そう、何度も、何度も確かめあって。
アレクシア
そうして今、互いの温度を感じている。
シャルル
「…………。」
シャルル
胸が苦しい。
シャルル
恋焦がれるとは、こういう感情なのかもしれない。
シャルル
どこにも、行かないでほしい。
シャルル
一緒にいたい。
シャルル
最後まで。
シャルル
「…………あのさ。」
アレクシア
「……なあに?」
シャルル
「…………一緒に、寝てくれる?」
アレクシア
「…………そうしたら」
アレクシア
「シャルルは、」
アレクシア
「もう、泣かなくて済む?」
シャルル
「…………どうだろう。」
シャルル
「泣いちゃうかも、しれない。」
シャルル
「…………我慢する。」
アレクシア
「……………………」
アレクシア
「……………………、」
アレクシア
「……泣いても、いいよ」
アレクシア
「でも、……一人で、泣かないで」
シャルル
「…………。」
シャルル
「……うん。」
シャルル
目覚めてから、これまで。
シャルル
ほんの、短い間だったけれど。
シャルル
その短い一生の中で。
シャルル
他を認め。情を持ち。恐怖を得。
己の弱さを突き付けられて。
愛を知り。恋に苦しみ。
シャルル
愛しい人を腕に抱く。
アレクシア
目覚めてからこれまでの、ほんの短い間に。
アレクシア
目の前を通り過ぎていったもの。そして、今ここにあるもの。
アレクシア
愛していると、そう言ってくれる、その腕に抱かれて。
アレクシア
「……どれだけ不安でも」
アレクシア
「離さないでいて」
シャルル
「…………絶対、離さない。」
シャルル
「最後まで、一緒だ。ずっと……ずっと。」
シャルル
軽い身体をかろがろと、持ち上げて。
慣れ親しんだベッドへと。
シャルル
横たえたしなやかな肢体と、零れる金の髪。
シャルル
その横に、足をかけて。
覆いかぶさるように。
シャルル
混じりあう金と灰。
唇を重ねて。
アレクシア
「……シャルル」
アレクシア
くちびるの、かすかに離れる間に。
アレクシア
「…………愛してる」
シャルル
「…………。」
シャルル
その言葉に。
シャルル
また、泣きそうになって。
シャルル
何かを言葉にする、かわりに。
シャルル
再び唇を重ねて。
シャルル
深く。深く。