Dead or AliCe
『16人の救世主』

幕間 Room No.5-決戦前夜

*
2回戦、2試合。
*
炎と雪と鏡の舞台。
*
演劇のような心中騒動。
*
妄執と、救世と、愛と、生と。
*
判決は下った。
*
 
*
夜の帳は下り、壊れた屋敷は元通り。
*
試合が終わればメイドがやってきて、
片付けや食事の準備などを済ませる。
*
まるで、試合などなかったかのよう。
*
しかし。
確かに。
*
ふたりの記憶には、その顛末が刻まれていた。
シャルル
「…………。」
シャルル
どう、切り出したらよいものか。
シャルル
わからずにいる。
アレクシア
「…………」
アレクシア
ただ、なんとなく。
アレクシア
時間が過ぎていく。
シャルル
部屋には二人きり。
あの時は、ああいったものの。
シャルル
「…………アレク、シア。」
アレクシア
「……ん」
シャルル
「…………お茶でも、いれようか。」
アレクシア
「……えっ、……と」
アレクシア
「うん」
シャルル
「うん。」
シャルル
「いれてくる。」
シャルル
湯を沸かして、紅茶をいれる。
シャルル
その動作も繰り返すうちにある程度慣れてきて。
味の違いも分かるようになってきた。
シャルル
紅茶の注がれたカップをふたつ。
シャルル
テーブルに運ぶ。
アレクシア
そこにはアレクシアが待っている。
アレクシア
テーブル。ふたつの椅子。モニターが見える角度で、それは向い合せよりは少し近い。
シャルル
「どうぞ。」
アレクシア
「……ありがと」
アレクシア
一番初めに、シャルルが淹れた紅茶のことを思い出す。
アレクシア
薄くて、ほとんどお湯のようで、温かいばかりだった。
アレクシア
今は、ちゃんと、紅茶の味をしている。
シャルル
隣に腰かけて、カップに口をつける。
シャルル
隣を見て。
シャルル
「美味しい?」
アレクシア
「うん、……おいしい」
シャルル
「よかった。」
シャルル
にこりと、微笑んで。
シャルル
「…………。」
シャルル
ちょっと、様子を窺って。
シャルル
「…………終わったね。」
アレクシア
「……そう、ね……」
アレクシア
2試合。終わっていった。
アレクシア
そして、四人、死んでいった。
シャルル
「…………。」
シャルル
死んだこと、それ自体は。
わりとどうでもよかった。
シャルル
どうでもよかったはずなのに。
Bホール、あの試合。
シャルル
カップを置いて、右手を胸にあてる。
シャルル
どうにも、胸が苦しくて。
泣いてしまった。
シャルル
「ごめんな、あの時。」
アレクシア
「えっと……何が?」
シャルル
「…………泣いたりして。」
アレクシア
「……それは、別に……気に、してないよ」
アレクシア
「わたしも、……泣いたし」
シャルル
「…………それは、そうだけど。アレクシアが泣くのは……仕方がなかっただろ。だって……」
シャルル
咲が死んだんだから。
シャルル
仲良く、話していたはずの。
シャルル
それに……あの時。
シャルル
あの時、俺が。
シャルル
「…………」
シャルル
「…………アレクシアは、すこし。」
シャルル
「頑張りすぎだ。」
アレクシア
「……そん、な、ことは」
アレクシア
「ないと、思うけど……」
アレクシア
頑張る、と、言ったところで。
アレクシア
この部屋で、アレクシアはただ、見ていることしかできない。
『アレクシア』の始めたものを、ただ、見ていることしか。
シャルル
「…………あるよ。」
シャルル
紅茶を、ひとくち。
*
*かけひきを開始します。
*
1d6
DiceBot : (1D6) > 2
アレクシア
1d6
DiceBot : (1D6) > 6
アレクシア
*d3 s4 dQ
*
シャルル
*s6 c7 s10
*
*1ラウンド
アレクシア
「だって、ここで……この部屋で、頑張るって」
アレクシア
「……それしかできない、って、ことじゃ、ない?」
アレクシア
*dQ 距離を測る
シャルル
「見るだけって、事?」
アレクシア
「……うん」
シャルル
「見ることができるなら、見ないことだって……できるだろ。」
アレクシア
「…………でも」
アレクシア
「それは……」
シャルル
「結末だけ見届けるなら、それこそ裁判だけみたっていいし……」
シャルル
「…………裁判だけだって、見るの、たいへんだろ。」
アレクシア
「……………………」
アレクシア
*主行動なし パス
シャルル
「…………別に、見るなっていうわけじゃ、なくて……。」
シャルル
「…………。」
シャルル
*アピール s10
アレクシア
*d3 誘い受け
アレクシア
2d6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 7[5,2] > 7 > 成功
シャルル
2d6
DiceBot : (2D6) > 7[4,3] > 7
シャルル
成功。
[ アレクシア ] 情緒 : 0 → 1
シャルル
「アレクシアが……そんなに、頑張る必要って……あるのかなって。」
シャルル
幻。幻覚。いや、違う。
シャルル
雪の中に立っていた『アレクシア』を思う。
シャルル
「…………アレクシアは。」
シャルル
「記憶もなくて、力も強くないし。傷だらけで。」
シャルル
「…………それなのに。」
アレクシア
「……何かがなくても、」
アレクシア
「……何も、ないから」
アレクシア
「……そうする以外に、できることなんて、ないって……そう、思うの……」
*
*手札捨てタイム
アレクシア
*捨て札なし
シャルル
*s6
アレクシア
*s7 hA(s4)
シャルル
*c2 sJ(c7)
アレクシア
*先ほどの誘い受けに距離を測るの+1を乗せ忘れたので、持ち越します。
シャルル
「アレクシア……」
アレクシア
「……この部屋以外、どこにも、逃げられないのに」
アレクシア
「自分から、逃げられない」
シャルル
「…………だからって。」
シャルル
「そうやって、傷を増やさなくったって。」
シャルル
「誰も…………アンタを責めたりしないよ。」
シャルル
*アピール c7
アレクシア
*s4 誘い受け
アレクシア
2d6+1>=7
DiceBot : (2D6+1>=7) > 6[1,5]+1 > 7 > 成功
シャルル
2d6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 5[2,3] > 5 > 失敗
[ シャルル ] 情緒 : 0 → 1
アレクシア
「……わたしは」
アレクシア
「……そうしなきゃいけないと、思うから……思ってしまうから」
アレクシア
「その気持ちは、……きっと、追いついてくるの」
シャルル
「…………そう、か。」
シャルル
泣いてしまったとしても。
辛かったとしても。
シャルル
それは、自分に決められるものではない。
*
*手札捨てタイム
アレクシア
*キープ
シャルル
*sJ捨てます
アレクシア
*sA(s7 hA)
シャルル
*d7 h9(c2)
アレクシア
「……どうしても、『アレクシア』のことを……考えずに、いられなくて」
アレクシア
「覚えていなかったら、それでいいって……そんなふうには、思え、なくて……」
アレクシア
*sA 距離を測る 主動作はなし、パス
シャルル
「…………聞こえた?」
シャルル
「雪の中で。」
アレクシア
「……うん」
シャルル
「『アレクシア』は…………」
シャルル
「今のアンタと同じように。」
シャルル
「考えてたのかな。」
アレクシア
目を伏せる。
シャルル
「…………。」
シャルル
「俺はさ。」
シャルル
「あの時『シャルル』が。『日常だ』って……」
シャルル
「言ってたの、思い出して。」
シャルル
「なんか、すごくさ。」
シャルル
「…………納得しちゃってさ。」
アレクシア
「納得……?」
シャルル
「記憶がないのも。死ぬっていうのも。」
シャルル
「なんか、全然怖いとかっていうのがわからなくてさ。」
シャルル
「それは、今のアレクシアと、全然違うし。」
シャルル
「たぶん、本当に俺は『シャルル』なんだろうってさ。」
シャルル
『死に恐怖はない』『今もそうだ』
シャルル
*アピール d7
アレクシア
*s7 誘い受け
アレクシア
2d6+1>=7
DiceBot : (2D6+1>=7) > 10[4,6]+1 > 11 > 成功
シャルル
2d6>=11
DiceBot : (2D6>=11) > 12[6,6] > 12 > 成功
シャルル
1d6
DiceBot : (1D6) > 5
シャルル
5 極めて冷静、相手のことが手に取るようにわかる。自身の情緒-1。
[ シャルル ] 情緒 : 1 → 0
[ アレクシア ] 情緒 : 1 → 2
シャルル
「アンタはどう?」
シャルル
「どう、思った?」
アレクシア
『無垢な信頼だ』『だが』『わたしも信じているのでね』
アレクシア
「……わたし、は」
アレクシア
「……『アレクシア』は、……何を信じていたのかなって」
アレクシア
「何を信じていたら、……あんなふうに、」
アレクシア
「…………」
シャルル
「…………そればっかりは。本人か。」
シャルル
「それこそ『シャルル』とか、親しい人間でないとわからないんじゃないかな。」
シャルル
「本人しか、知らないかもしれないけど。」
アレクシア
「……」
アレクシア
「……『シャルル』は、」
アレクシア
「……『アレクシア』といたこと、……『アレクシア』と儀式を始めたこと、」
アレクシア
「後悔、したかな」
シャルル
「いや……どうかな。俺は……」
シャルル
『死に恐怖はない』『ただ』
シャルル
目の前のアレクシアを見る。
シャルル
「後悔してたら。」
シャルル
「『心なんてないと思っていた』なんて。」
シャルル
「言わないんじゃないかなって。」
アレクシア
「…………」
アレクシア
『ただ』。『ただ』、なんだったのだろう。
アレクシア
心なんてないと思っていて。
そこに見出したものは、悔恨や憎悪でなかったとは限らない。
シャルル
「死ぬことが、怖くないのに。」
シャルル
「じゃあ、なんで。運のつきなんて言葉が、出るのかなって。」
シャルル
「死ぬことよりも、怖い事でも、あったのかな。」
アレクシア
「死ぬこと、より……」
シャルル
「アンタにはある?」
シャルル
「俺は……わかんないんだ。」
*
*手札捨てタイム
アレクシア
*捨て札なし
シャルル
*捨て札なし
アレクシア
*c9 sK(hA)
シャルル
*s8 (h9 c2)
アレクシア
「……………………」
アレクシア
「わたし、は」
アレクシア
「シャルルが、」
アレクシア
「………………今、わたしを置いていってしまったら」
アレクシア
「………………」
シャルル
「…………俺?」
アレクシア
「………………うん」
アレクシア
*hA 距離を測る
アレクシア
*c9 アピール
シャルル
*誘い受け c2
シャルル
2d6
DiceBot : (2D6) > 8[6,2] > 8
アレクシア
2d6+1>=8
DiceBot : (2D6+1>=8) > 5[4,1]+1 > 6 > 失敗
[ アレクシア ] 情緒 : 2 → 3
シャルル
「俺が…………。」
シャルル
置いていく。
シャルル
ここから、出ていくこと……じゃないだろうな。
シャルル
「俺が……置いていくかもって?アンタを。」
アレクシア
「………………」
アレクシア
「…………多分、あと、もう何日かしかないのに」
アレクシア
「馬鹿みたいだと、思う?」
シャルル
「いや……そうじゃ、なくて。」
シャルル
最初に会った時の事を。
ほんの数日前の事を。
忘れたわけでは、ないだろうに。
シャルル
「…………。」
シャルル
傍にいるって、いてって。
シャルル
何度も確かめて。
シャルル
「置いてくわけないだろ。馬鹿。」
シャルル
「つーか、俺がアンタより先に死ぬと思う?」
シャルル
「確かに、死ぬのは怖くないけどさ。」
シャルル
「…………死ぬ気なら。」
シャルル
「最初からそうしてる。」
シャルル
*アピール h9
シャルル
2d6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 8[5,3] > 8 > 成功
[ アレクシア ] 情緒 : 3 → 4
アレクシア
「でも」
アレクシア
「だって、」
アレクシア
「……わたしたちは、この館ではもう、たぶん、必要なくて」
アレクシア
「……たとえ儀式の終わりまででも、……本当に生きていられるのかも、そんなの、わたしたちには決められなくて」
アレクシア
「……それで、……」
アレクシア
言葉が掻き消える。
アレクシア
死んでしまったら。と。言葉にすらできなかった。
シャルル
「…………まもりたいって、言ったよな。」
アレクシア
「……う、ん」
シャルル
「俺がいなくなること。死ぬことで、アンタが……死よりも、怖い思いをするなら。」
シャルル
「俺は、自分が死なないために頑張るし。」
シャルル
「…………それが、どうしようもなかったら。」
シャルル
「…………いや。」
シャルル
「どうにかするよ。」
シャルル
「どうにかするから。」
シャルル
「…………まもるから。」
アレクシア
「……怖いの」
アレクシア
「……どうしようも、ないの……」
シャルル
「うん……。」
シャルル
「怖いのって、仕方ないんだよな。」
アレクシア
「…………そう、なのかな」
シャルル
「俺は……まだ、よく。わからないけど。」
シャルル
「あの時……」
シャルル
「あの時さ。泣いたとき。」
シャルル
「胸が苦しくなって。」
シャルル
「なんでだか、わかんないんだけど。」
シャルル
「アンタの事、考えてた。」
アレクシア
「……わたし?」
シャルル
「…………俺さ。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「アイツと話した時。ちょっと安心するって、思ってた。たぶん……なんか。」
シャルル
「似たようなところが、あったんじゃないかなって。」
シャルル
「それで……でも。」
シャルル
「あの時……さ。違うって」
シャルル
「違うって、思いながら。でも……」
シャルル
「でも……」
シャルル
また、胸が苦しくなる。
*
*手札捨てタイム
アレクシア
*sK廃棄
シャルル
*キープ
アレクシア
*h7 hQ cK
シャルル
*d2 h2 (s8)
アレクシア
「……でも、……でも、何?」
アレクシア
*hQ 距離を測る
アレクシア
*主動作はなし
シャルル
「…………。」
シャルル
「わかんないんだ。何か……そうじゃないって思うのに。」
シャルル
「少しだけ…………いいなって。」
シャルル
「思ったんだ。」
アレクシア
「……あの、二人の、こと?」
アレクシア
二人で死んでいった。二人で。
地獄の底までへでも。
シャルル
ふたり……?ちがう。たぶん、これは。
シャルル
そんな綺麗なものじゃない。
シャルル
首を横に振る。
シャルル
「…………。」
シャルル
*アピール s8
アレクシア
*h7 誘い受け
アレクシア
2d6+1>=7
DiceBot : (2D6+1>=7) > 10[6,4]+1 > 11 > 成功
シャルル
2d6
DiceBot : (2D6) > 4[3,1] > 4
[ シャルル ] 情緒 : 0 → 1
アレクシア
「じゃあ……桟敷川さん?……それとも、咲さん?」
シャルル
「…………。」
シャルル
「わかんないけど、たぶん…………なにが、なにがいいのか……ちゃんと、わかんないんだけど。」
シャルル
「桟敷川、だと思う。」
アレクシア
「……ちゃんと、わからなくても、いいけど」
アレクシア
「わかるだけ、で、いいから……教えて、くれる……?」
シャルル
「あんまり、考えたくないんだけどな……。」
シャルル
「だって、俺は……ああいうことが、したいんじゃなくて。」
シャルル
「…………。」
*
*手札捨てタイム
アレクシア
*cKを捨て
シャルル
*d2捨てます
アレクシア
*c3 s5 d9
シャルル
*c3 h8 (h2)
アレクシア
「…………」
アレクシア
黙って、二人の。桟敷川の最期を、思う。
アレクシア
*d9 アピール
シャルル
*誘い受け s3
シャルル
2d6
DiceBot : (2D6) > 8[5,3] > 8
アレクシア
2d6>=8
DiceBot : (2D6>=8) > 8[4,4] > 8 > 成功
アレクシア
1d6 ハプニング
DiceBot : (1D6) > 6
アレクシア
6 はっと我にかえった奴がいる。ランダムな対象1人の情緒-1。
アレクシア
Choice[アレクシア,シャルル]
DiceBot : (CHOICE[アレクシア,シャルル]) > シャルル
[ シャルル ] 情緒 : 1 → 0
[ シャルル ] 情緒 : 0 → 1
アレクシア
「……考えたくない、なら」
アレクシア
「わたし……聞かないほうが、いい?」
シャルル
「…………いや。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「…………俺さ。」
シャルル
「アンタに、嫌われたくないんだ。」
シャルル
「でも、それって……俺が、どうこうできるものじゃなくて。」
シャルル
「…………。」
シャルル
「なんか…………」
シャルル
胸が苦しい。
シャルル
「…………なんて、言えばいいんだろう。」
シャルル
*アピール h8
アレクシア
*s5 誘い受け
アレクシア
2d6>=7
DiceBot : (2D6>=7) > 8[6,2] > 8 > 成功
シャルル
2d6>=8
DiceBot : (2D6>=8) > 4[1,3] > 4 > 失敗
[ シャルル ] 情緒 : 1 → 2
アレクシア
「わたしは……嫌いに、なりたくない、……と、思う」
アレクシア
「できれば、信じて、いたい……」
アレクシア
「でも……」
アレクシア
「怖かったのが、……どうしても、忘れ、られなくて」
シャルル
「…………。」
アレクシア
「……そばに、いてくれてるのに、……それは、わかってる、のに」
シャルル
「…………怖いよ。たぶん、俺は。」
シャルル
「怖がられる。」
アレクシア
「…………」
シャルル
「俺は……俺は。」
シャルル
「自分が、怖いのかな。」
*
*手札捨てタイム
アレクシア
*キープ
シャルル
*キープ
アレクシア
*c5 cA(c3)
シャルル
*h6 c8 (h2 )
アレクシア
「……自分……」
アレクシア
この場所で、シャルルは、記憶がないことも、死ぬことも、怖くはないのに。
アレクシア
シャルル自身の、何が怖いというのだろう。
アレクシア
「……それは、……死ぬこと、より?」
アレクシア
*cA 距離を測る
アレクシア
*主動作なし パス
シャルル
「…………。」
シャルル
「アレクシアを、置いていきたくないから。死にたくないとは、思うけど……。」
シャルル
「たぶん、やっぱり。」
シャルル
「死ぬこと、それ自体は。怖くないんだと思う。」
シャルル
「…………うん。」
アレクシア
「……死ぬことも、記憶がないのも、……怖く、なくて」
アレクシア
「なのに、自分が、怖い……?」
シャルル
頷く。
アレクシア
「……『シャルル』が、ってことでも……ない、よね」
シャルル
「…………うん。」
シャルル
「聞いたんだ。メイドさんに。」
シャルル
「2人が、どんな人だったかって。」
アレクシア
「……………………」
シャルル
「『シャルル』は、物腰柔らかで苛烈。たくさん苦労をしたんだろうって。」
シャルル
「それ、聞いたとき。何にも感じなかった。」
シャルル
「ああ、そうなんだって。」
シャルル
「他人事みたいで。」
シャルル
「だから、これは…………。」
シャルル
両手を見下ろす。
シャルル
何もない。
シャルル
それは、手じゃない。
シャルル
「俺の話。」
シャルル
*アピール c8
アレクシア
*c5 誘い受け
アレクシア
2d6+1>=7
DiceBot : (2D6+1>=7) > 6[5,1]+1 > 7 > 成功
シャルル
2d6
DiceBot : (2D6) > 9[3,6] > 9
[ アレクシア ] 情緒 : 4 → 5
アレクシア
「……じゃあ、」
アレクシア
「わたしは、……『アレクシア』じゃない、わたしは」
アレクシア
「あなたの話を、聞いても、いい……?」
シャルル
「…………うん。でも……。」
シャルル
「嫌いになるかもしれない。」
シャルル
「俺の事。」
アレクシア
「……ならないって、……言え、ない、けど」
アレクシア
「……きらいになりたくないって、……思ってる」
アレクシア
「……それじゃ、……足りない、かな」
シャルル
「俺が……アンタの髪を掴んで、床に引き倒したいと思ってるって言っても?首を絞めて、苦しい顔をさせたいって言っても?」
アレクシア
「……っ、」
シャルル
「怖いんだよ。」
シャルル
「アンタを、抱きしめて。一緒にいたいって思うのに。」
シャルル
「同じ頭で、そういう事を……考えてるんだ。」
シャルル
胸が苦しい。
アレクシア
「……………………」
アレクシア
少し長い沈黙。
シャルル
「アイツみたいに、殺したいわけじゃないし……」
シャルル
「傷つけたい、わけでもなくて……」
シャルル
「好きなのに。嫌いに、なってほしくないのに……」
シャルル
「まもりたいって思いながら、壊したいって思ってる。」
アレクシア
「……シャルルは……それを、選べるよ」
アレクシア
「わたしはたぶん、どうやったって、シャルルに勝てなくて」
アレクシア
「……だから、シャルルがそうしたいって、本当に思ったら、……」
アレクシア
「………………」
アレクシア
また少し、黙り。
アレクシア
「……でも、」
アレクシア
「……少なくとも今、……もしかしたら、今だけ、でも」
アレクシア
「そうせずに、いてくれて、る、から」
アレクシア
「……やっぱり、……きらいに、なりたく、ないの……」
シャルル
「…………嫌だよ。俺だって。嫌われたく……ないよ。」
シャルル
「だから……頑張るから。」
シャルル
「頑張るから…………。」
アレクシア
「……ほら」
アレクシア
「シャルルだって、……本当はきっと、頑張らなくていいはずなのに」
アレクシア
「わたしのことなんて、気にしなくたって、いいのに……」
アレクシア
「自分がそうしなきゃいけないって、そう、思ってしまうから」
アレクシア
「……だから、頑張るって、言うんでしょう」
シャルル
「あ…………。」
シャルル
「…………そうかな。」
シャルル
何か少し、違う気も。するけど。
アレクシア
「……ほんとうのところは、わからないけど」
アレクシア
「わたしは、……たぶん」
アレクシア
「そう思って、いたいだけ」
シャルル
「……………………。」
シャルル
「じゃあ、今日は…………。」
シャルル
「一緒に寝てくれる?」
アレクシア
「…………ん」
シャルル
「…………。」
シャルル
「服脱いでいい?上だけ。」
アレクシア
「……仕方ないひと」
シャルル
夜が更けていく。
あと数日。
アレクシア
たった数日きり。
アレクシア
それを、どちらもわかっている。
シャルル
静かな部屋の中。
ふたりきり。
シャルル
ベッドの中に、ふたりきり。
シャルル
最後まで、ずっと。
ふたり一緒に……。
シャルル
そう、願いながら。