Dead or AliCe
『16人の救世主』

幕間 マキナ&アレクシア


マキナ
また滞在者の減った屋敷の一角、
マキナ
台所の隅のスツールに、マキナはぼんやりと腰掛けていた。
マキナ
何をするでもなく、ただぼんやりと。
マキナ
お菓子の焼ける甘い匂いも、出汁や炊きたての白米の香りもない。
マキナ
他愛ないお喋りの声も聞こえない。
マキナ
3人で立つと少し狭く感じたこの場所が、今は広かった。
シャルル
『決勝が始まる前にいきたいところがあるから』と。

部屋を出た。一緒に行くという、アレクシアを連れて。
シャルル
そういえば、あの時も長い廊下を一人では歩いていなかった。
シャルル
つい数日前の事なのに、その人物はもうここにいない。
シャルル
なんとなく話すこともなく、目的地に向かう途中。
アレクシア
「…………あ、」 視線が、止まる。
シャルル
ふと、台所の方から人の気配を感じて、立ち止まる。
シャルル
自然と。まるで、習性のようだった。
シャルル
「…………ああ。」
マキナ
近づいていた足音が止まったのに気づいて、そちらに視線を向ける。
アレクシア
「マキナさん……」
アレクシア
かすかな声がマキナを呼ぶ。
シャルル
「…………どうも。」
マキナ
「……どうも」
シャルル
マキナと、アレクシアを交互に見る。
シャルル
あの日、楽しそうだった3人の姿は、鮮明に覚えていて。
シャルル
「あ……俺。」
マキナ
今はもう、一人が欠けてしまった。
シャルル
「…………。」
シャルル
アレクシアを見て。
シャルル
「そっちの、部屋で待ってるよ。」
シャルル
先に目的地に向かってもよかったけれど。
アレクシア
「…………、」
アレクシア
「ん」
アレクシア
「……気をつけてね」
シャルル
「ああ。」
シャルル
それから、マキナを見て。
シャルル
「…………じゃ、あの。」
シャルル
かける言葉も思いつかなくて。
シャルル
「よろしくおねがいします。」
マキナ
「…………」
マキナ
小さく頷いて返す。
シャルル
それを見て、踵を返す。

部屋はたくさんある。すぐ、隣の部屋でメイドでも呼ぼうかと。

去っていく。
アレクシア
そうして、シャルルと別れて。
アレクシア
「…………お隣、……いいですか?」
マキナ
「……はい」
マキナ
頷いて、
マキナ
「……いいんですか?」
マキナ
と問い返す。
マキナ
「何か用事があったんじゃ……」
アレクシア
「……シャルルが、用があるって、言っていたので」
アレクシア
「シャルルが待っていてくれるなら、多分、今はまだ大丈夫ですから」
アレクシア
かすかに笑って、もうひとつ、スツールを引き寄せる。
マキナ
「そうですか」
マキナ
スツールを引き寄せる様をぼんやりと眺める。
アレクシア
マキナから、ほんの少し、距離を置いて。それから、静かに腰掛ける。
マキナ
「……アレクシアさんたちも、見てました?」
アレクシア
「…………はい」
マキナ
何の、とは言わずとも分かるだろうと、話を切り出す。
アレクシア
小さく頷く。何をかは、わからないはずもない。
マキナ
「まさかあんなことになるなんてねぇ……」
マキナ
「さすがにびっくりしちゃいました」
アレクシア
「……そうですね。…………そう、ですね……」
アレクシア
繰り返す。息を溜めるようにして、呟くように。
マキナ
「ほんと、びっくり……」
マキナ
視線はどこを見るでもなく。子供のように足を揺らす。
アレクシア
「………………」 ゆっくりと、息をして。
アレクシア
「……それでも、わたしが」
アレクシア
「……お二人が殺し合うところを見ずに済んで、すこし、……少しだけ、」
アレクシア
「安心したって言ったら、……軽蔑、されますか」

*かけひきを開始します。

*まずは行動順の決定ダイスをどうぞ。
マキナ
1d6

DiceBot : (1D6) > 3
アレクシア
1d6

DiceBot : (1D6) > 5

*行動順はアレクシア>マキナ

*カードを補充してください。
アレクシア
*s6 h8 hA
マキナ
*d9 s9 cQ

*1サイクル目 アレクシアの行動から
マキナ
「……しませんよぉ」
マキナ
「だって私のほうがもっと酷いこと考えてますもん」
アレクシア
「……ひどい、こと?」
マキナ
「そ」
アレクシア
「……マキナさんのほうが、わたしより、……思うところがあるのは、当然でしょう」
マキナ
「殺し合わなくてよかった~ってとこは一緒ですけど」
マキナ
「楽に上がれてよかったなぁとか」
マキナ
「痛い思いも、怖い思いもせずに済んで」
アレクシア
「……それのどこが、ひどいんです?」
アレクシア
「わたしは、見ているだけです」
アレクシア
「……でも」
アレクシア
*hA 距離を測る
アレクシア
*h8 アピール
マキナ
*誘い受け d9
マキナ
割り込みなさそうなのでふりま~す
マキナ
2d6+3=>7

DiceBot : (2D6+3>=7) > 4[2,2]+3 > 7 > 成功
マキナ
は? ハプニングです
マキナ
1d6

DiceBot : (1D6) > 3
マキナ
3 なんだか気持ちが昂ぶってきた。自身の情緒+1。
[ マキナ ] 情緒 : 0 → 1
マキナ
目標値7でどうぞ…………
アレクシア
2d6+1>=7

DiceBot : (2D6+1>=7) > 6[3,3]+1 > 7 > 成功
アレクシア
ハプニング……
マキナ
随分起こりますねえ
アレクシア
1d6

DiceBot : (1D6) > 2
[ マキナ ] 情緒 : 1 → 3
アレクシア
2 もはやみんなまともじゃない。全員の情緒+1。
[ アレクシア ] 情緒 : 0 → 1
マキナ
アピール成功とハプニングで2上がりました!!!!
アレクシア
速い
マキナ
「……でも?」
アレクシア
「……マキナさんは、まだ、生きていくことが、できます」
アレクシア
「それを望んで、それが叶うときに、……自分のことを考えて、ひどいとか、悪いとか」
アレクシア
「そんなこと、言えない」
マキナ
「いいんですよぉ、見てるだけだからこそ無責任で」
マキナ
「客席の無責任の集まり見てくださいよ」
アレクシア
「マキナさん」
アレクシア
「……儀式を起こしたのは『アレクシア』です」
アレクシア
「覚えてなかったら、それでいいって……そんなことは、きっとない」
アレクシア
「わたしには責任があります」
マキナ
「……真面目だなあ」
マキナ
「まあ、そこで『確かに自分には関係ない』とか言われたら、それはそれで」
マキナ
「なんて無責任な!ってマキナは言うんですけど~」
マキナ
けらけらと笑う。
アレクシア
「……マキナさんも」
アレクシア
「ご自分の考えていることをひどい、と思うなら……真面目だと、思いますよ」
マキナ
「……あはは」
マキナ
「でもねぇ、私」
マキナ
「あの時二人を止められたんですよね」
マキナ
「で、そうしなかったのを絶対正しいと思ってる」
マキナ
*アピール cQ
アレクシア
*s6 誘い受け
マキナ
*s9 誘い受け
マキナ
2d6+3=>7

DiceBot : (2D6+3>=7) > 7[1,6]+3 > 10 > 成功
アレクシア
2d6>=10

DiceBot : (2D6>=10) > 5[1,4] > 5 > 失敗
[ アレクシア ] 情緒 : 1 → 2
マキナ
「まあ当然ですよね?」
マキナ
「死ぬのを止めたって結局殺し合うんですし……」
マキナ
「……まぁ、ただ、なんていうんでしょうねぇ」
マキナ
言葉を探すように、視線が宙を彷徨う。
マキナ
「私は多分、友達って言ってくれた子が死のうとするのを止めるような人間に」
マキナ
「ちょっぴり憧れていたんです」
マキナ
2d6+3=>7

DiceBot : (2D6+3>=7) > 7[1,6]+3 > 10 > 成功
[ アレクシア ] 情緒 : 2 → 3
アレクシア
「……憧れ……」
マキナ
「アレクシアさんに隠し事しても仕方ないから言うんですけど~」
マキナ
「まあマキナって結構裏切りとか人を見捨てたりとかが平気な方でして」
マキナ
「自分さえ良ければ、みたいな感じで」
マキナ
「……だからまあ、そうじゃない人にちょっとだけ憧れていたのです」
マキナ
「あそこで咲さんたちを止めるとか、止めないにしても」
マキナ
「こうなったことにもっと傷ついてる私が、多分」
マキナ
「私のなりたかった私なんですよねぇ……」
アレクシア
「…………」
アレクシア
「傷の深さは、きっと、測れません」
アレクシア
「傷は、……浅くても痛むことがあって」
アレクシア
「……きっと、残る」
マキナ
「……そんなもんですかねぇ」
アレクシア
「わたしが、そう思うという、だけのことですけど……」

*手札を補充してください
アレクシア
*s3 s4 sK

マキナ
*h5 d8 sA

*2サイクル目 アレクシアの行動から
マキナ
「……まぁ、そうですねぇ」
マキナ
「さすがに忘れらんないなあ」
マキナ
「今思うと、話したのもちょっとだけなんですけどね」
アレクシア
「……そうですね」
アレクシア
「わたしも、そうですから」
アレクシア
息をつく。
マキナ
「咲さん、アレクシアさんには特に親身でしたね」
アレクシア
「……はい。あんな……ほんの少しの間だけ、だったのに」
アレクシア
「本当に、……いいのかなって、くらい」
マキナ
「私はねぇ、正直」
マキナ
「咲さんがそうしてたから、調子を合わせてただけだったんですけど」
マキナ
くすくすと笑い、
マキナ
「咲さんのは、多分本当だったんでしょうね」
アレクシア
「…………そうですね」
アレクシア
「でも、……マキナさんがしてくださったことも、わたしにとっては、本当にあったことだから」
マキナ
「気持ちが嘘でも?」
アレクシア
「ええ」
アレクシア
「わたしにとっては」
マキナ
「そうですか」
マキナ
言って、また笑う。
マキナ
「そう言ってくれる人がいるから、私みたいな嘘つきはやっていけるんですよね~」
アレクシア
「じゃあ、今」
アレクシア
「ここで、もっと傷つきたかったと思っているマキナさんは、嘘?」
アレクシア
*sK 一押し
[ マキナ ] 情緒 : 3 → 4
[ アレクシア ] 情緒 : 3 → 4
マキナ
「……嘘かもしれませんよ~?」
アレクシア
「……嘘にして、それでマキナさんが楽になるなら……それでもいいと、わたしは、思いますけど」
アレクシア
「わたしにそんな嘘ついたって、わたしはマキナさんに、何もしてあげられませんから」
マキナ
「……あはは」
マキナ
視線が落ちる。
マキナ
「……何もないからいいんです」
マキナ
「何かしてくれる人が相手だと、こう、ねぇ」
マキナ
「忖度してしまいますからね、マキナは」
アレクシア
「……ふふ」
マキナ
「アレクシアさんは弱くてマキナに何にもできないから」
マキナ
「マキナは適当なことや愚痴をぶつける相手に選んでいるので~す」
マキナ
*距離を測る sA
マキナ
*アピール h5
アレクシア
スルーで
マキナ
2d6+3+1=>7

DiceBot : (2D6+3+1>=7) > 7[3,4]+3+1 > 11 > 成功
[ アレクシア ] 情緒 : 4 → 5
マキナ
アレクシアさん、爆発!
アレクシア
爆発しました
アレクシア
「……そうですね」
アレクシア
「わたしはもう、たぶん、……何かをすることは、できないんでしょう」
アレクシア
「マキナさんとも、たぶん、……もうお別れです」
マキナ
「……ですねぇ」
マキナ
「次で最後ですからね」
アレクシア
「ええ」
マキナ
「私達が勝っても負けても、そこでお別れ」
マキナ
「だから後のことを気にせずお話ができるというものです」
アレクシア
「マキナさん」
アレクシア
「わたしが死んでも、傷つかなくていいですよ」
マキナ
「……」
マキナ
「大丈夫ですよぉ」
マキナ
「マキナ、そういうの結構平気な方なんですって」
マキナ
「私とチカくんが勝って生き残れるなら、あとのことなんて」
マキナ
「ぜーんぜん知ったことではありませんので!」
アレクシア
「ふふ……」
アレクシア
「……わたし、もともと、もう、いなかったはずの人間ですし」
アレクシア
「幽霊ですから」
マキナ
「……えぇ」
マキナ
「だからマキナは傷ついたりしませんよ」
アレクシア
「……大丈夫ですよ」
アレクシア
「マキナさんは、生きていけます」
アレクシア
「傷が残っても、」
アレクシア
「大丈夫です」
マキナ
「あはは、アレクシアさんのお墨付きなんて心強いですねぇ」
マキナ
「……うん」
マキナ
「マキナは大丈夫、です」
アレクシア
「はい」
マキナ
「勝つことと生き残ること以外は全部些事!」
アレクシア
「ええ。ご自身と、パートナーの彼と」
アレクシア
「それだけでいいんですよ」
マキナ
傷が残っても、大丈夫。
マキナ
そっと、自身の胸元に手を当てる。
マキナ
この下にも、まだ傷が残っている。
マキナ
それでも大丈夫、傷ごと全部一緒に抱えていくと言ってくれた人がいる。
マキナ
「……はい」
アレクシア
「……頑張って」
アレクシア
「ここでない場所で、……また、笑えるように」
マキナ
「がんばりますとも~」
マキナ
「えぇ、もうこんな場所は懲り懲り!」
マキナ
「勝ってすっぱりお別れです!」
アレクシア
「ふふ、」
アレクシア
「よろしい」
マキナ
ぱち、と目を瞬かせる。
マキナ
「……」
マキナ
「……アレクシアさんたちも」
マキナ
「私は別にあたな方がどうなってもいいんですけども~」
マキナ
「それでも、アレクシアさんたちに悪い結末を願うわけではないのです」
アレクシア
「……大丈夫」
アレクシア
「最後まで一緒だと、……そう、言ってくれるので」
アレクシア
「わたしたちも、大丈夫、です」
マキナ
「……そうですか」
マキナ
「ならきっと大丈夫ですね」
マキナ
「咲さんだったら『本当にあの男で大丈夫!?』とか言いそう~」
アレクシア
「あはは」
マキナ
「……ふふ」
マキナ
笑いながら、腰を上げる。
マキナ
「それじゃあ、マキナはそろそろ」
マキナ
「お二人でいるはずだった時間をこれ以上お借りしてはいけませんからねぇ」
マキナ
スツールを元あった場所に戻す。
アレクシア
「……そうですね。あんまり待たせるのも、悪いかな」
アレクシア
こちらも、スツールを片付けて。
マキナ
「……では」
アレクシア
「……はい」
マキナ
少しだけ躊躇するような間を置いて。
マキナ
「……また」
アレクシア
「……、……さよなら、マキナさん」
マキナ
「……はい」
マキナ
ともに台所を出て、別れて、
マキナ
それきり振り返りもせず。
マキナ
……。
マキナ
咲と、桟敷川。
マキナ
二人の死に様は、今でもありありと思い出せる。
マキナ
あの二人がどうしてあんな結末を選んだのか、結局マキナには分からない。
マキナ
分かろうとしていない、というのが実のところだ。
マキナ
マキナの望むものは、二人が選んだ道にはない。
マキナ
だからきっと、理解なんかしない方が良い。
マキナ
命よりも、未来よりも強く望むものを得た人に、
マキナ
羨ましさなど、抱かないほうがいい。
マキナ
目を逸して、理解を放棄して、それでもマキナは生きていける。
マキナ
生きてチカと掴む未来以外はどうでもいいことだ。
マキナ
……アレクシア達が迎えるのだろう結末も、だから、
マキナ
関係ないこと。
マキナ
どうでもいい。
マキナ
……だけど、やっぱり、
マキナ
咲に対して思うのと同じように、
マキナ
彼女のこともきっと、マキナは忘れられないのだろう。