幕間 マキナ&アレクシア
マキナ
台所の隅のスツールに、マキナはぼんやりと腰掛けていた。
マキナ
お菓子の焼ける甘い匂いも、出汁や炊きたての白米の香りもない。
マキナ
3人で立つと少し狭く感じたこの場所が、今は広かった。
シャルル
『決勝が始まる前にいきたいところがあるから』と。
部屋を出た。一緒に行くという、アレクシアを連れて。
シャルル
そういえば、あの時も長い廊下を一人では歩いていなかった。
シャルル
つい数日前の事なのに、その人物はもうここにいない。
シャルル
なんとなく話すこともなく、目的地に向かう途中。
シャルル
ふと、台所の方から人の気配を感じて、立ち止まる。
マキナ
近づいていた足音が止まったのに気づいて、そちらに視線を向ける。
シャルル
あの日、楽しそうだった3人の姿は、鮮明に覚えていて。
シャルル
それを見て、踵を返す。
部屋はたくさんある。すぐ、隣の部屋でメイドでも呼ぼうかと。
去っていく。
アレクシア
「……シャルルが、用があるって、言っていたので」
アレクシア
「シャルルが待っていてくれるなら、多分、今はまだ大丈夫ですから」
アレクシア
かすかに笑って、もうひとつ、スツールを引き寄せる。
マキナ
スツールを引き寄せる様をぼんやりと眺める。
アレクシア
マキナから、ほんの少し、距離を置いて。それから、静かに腰掛ける。
マキナ
「……アレクシアさんたちも、見てました?」
マキナ
何の、とは言わずとも分かるだろうと、話を切り出す。
アレクシア
小さく頷く。何をかは、わからないはずもない。
アレクシア
「……そうですね。…………そう、ですね……」
アレクシア
繰り返す。息を溜めるようにして、呟くように。
マキナ
視線はどこを見るでもなく。子供のように足を揺らす。
アレクシア
「………………」 ゆっくりと、息をして。
アレクシア
「……お二人が殺し合うところを見ずに済んで、すこし、……少しだけ、」
アレクシア
「安心したって言ったら、……軽蔑、されますか」
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
アレクシア
1d6
DiceBot : (1D6) > 5
マキナ
「だって私のほうがもっと酷いこと考えてますもん」
アレクシア
「……マキナさんのほうが、わたしより、……思うところがあるのは、当然でしょう」
マキナ
「殺し合わなくてよかった~ってとこは一緒ですけど」
マキナ
2d6+3=>7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 4[2,2]+3 > 7 > 成功
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 3
マキナ
3 なんだか気持ちが昂ぶってきた。自身の情緒+1。
[ マキナ ] 情緒 : 0 → 1
アレクシア
2d6+1>=7
DiceBot : (2D6+1>=7) > 6[3,3]+1 > 7 > 成功
アレクシア
1d6
DiceBot : (1D6) > 2
[ マキナ ] 情緒 : 1 → 3
アレクシア
2 もはやみんなまともじゃない。全員の情緒+1。
[ アレクシア ] 情緒 : 0 → 1
マキナ
アピール成功とハプニングで2上がりました!!!!
アレクシア
「……マキナさんは、まだ、生きていくことが、できます」
アレクシア
「それを望んで、それが叶うときに、……自分のことを考えて、ひどいとか、悪いとか」
マキナ
「いいんですよぉ、見てるだけだからこそ無責任で」
アレクシア
「……儀式を起こしたのは『アレクシア』です」
アレクシア
「覚えてなかったら、それでいいって……そんなことは、きっとない」
マキナ
「まあ、そこで『確かに自分には関係ない』とか言われたら、それはそれで」
マキナ
「なんて無責任な!ってマキナは言うんですけど~」
アレクシア
「ご自分の考えていることをひどい、と思うなら……真面目だと、思いますよ」
マキナ
「で、そうしなかったのを絶対正しいと思ってる」
マキナ
2d6+3=>7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 7[1,6]+3 > 10 > 成功
アレクシア
2d6>=10
DiceBot : (2D6>=10) > 5[1,4] > 5 > 失敗
[ アレクシア ] 情緒 : 1 → 2
マキナ
「死ぬのを止めたって結局殺し合うんですし……」
マキナ
「……まぁ、ただ、なんていうんでしょうねぇ」
マキナ
「私は多分、友達って言ってくれた子が死のうとするのを止めるような人間に」
マキナ
2d6+3=>7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 7[1,6]+3 > 10 > 成功
[ アレクシア ] 情緒 : 2 → 3
マキナ
「アレクシアさんに隠し事しても仕方ないから言うんですけど~」
マキナ
「まあマキナって結構裏切りとか人を見捨てたりとかが平気な方でして」
マキナ
「……だからまあ、そうじゃない人にちょっとだけ憧れていたのです」
マキナ
「あそこで咲さんたちを止めるとか、止めないにしても」
マキナ
「こうなったことにもっと傷ついてる私が、多分」
アレクシア
「傷は、……浅くても痛むことがあって」
アレクシア
「わたしが、そう思うという、だけのことですけど……」
マキナ
「今思うと、話したのもちょっとだけなんですけどね」
マキナ
「咲さん、アレクシアさんには特に親身でしたね」
アレクシア
「……はい。あんな……ほんの少しの間だけ、だったのに」
アレクシア
「本当に、……いいのかなって、くらい」
マキナ
「咲さんがそうしてたから、調子を合わせてただけだったんですけど」
マキナ
「咲さんのは、多分本当だったんでしょうね」
アレクシア
「でも、……マキナさんがしてくださったことも、わたしにとっては、本当にあったことだから」
マキナ
「そう言ってくれる人がいるから、私みたいな嘘つきはやっていけるんですよね~」
アレクシア
「ここで、もっと傷つきたかったと思っているマキナさんは、嘘?」
[ マキナ ] 情緒 : 3 → 4
[ アレクシア ] 情緒 : 3 → 4
アレクシア
「……嘘にして、それでマキナさんが楽になるなら……それでもいいと、わたしは、思いますけど」
アレクシア
「わたしにそんな嘘ついたって、わたしはマキナさんに、何もしてあげられませんから」
マキナ
「何かしてくれる人が相手だと、こう、ねぇ」
マキナ
「アレクシアさんは弱くてマキナに何にもできないから」
マキナ
「マキナは適当なことや愚痴をぶつける相手に選んでいるので~す」
マキナ
2d6+3+1=>7
DiceBot : (2D6+3+1>=7) > 7[3,4]+3+1 > 11 > 成功
[ アレクシア ] 情緒 : 4 → 5
アレクシア
「わたしはもう、たぶん、……何かをすることは、できないんでしょう」
アレクシア
「マキナさんとも、たぶん、……もうお別れです」
マキナ
「だから後のことを気にせずお話ができるというものです」
アレクシア
「わたしが死んでも、傷つかなくていいですよ」
マキナ
「マキナ、そういうの結構平気な方なんですって」
マキナ
「私とチカくんが勝って生き残れるなら、あとのことなんて」
マキナ
「ぜーんぜん知ったことではありませんので!」
アレクシア
「……わたし、もともと、もう、いなかったはずの人間ですし」
マキナ
「あはは、アレクシアさんのお墨付きなんて心強いですねぇ」
マキナ
「勝つことと生き残ること以外は全部些事!」
マキナ
それでも大丈夫、傷ごと全部一緒に抱えていくと言ってくれた人がいる。
アレクシア
「ここでない場所で、……また、笑えるように」
マキナ
「私は別にあたな方がどうなってもいいんですけども~」
マキナ
「それでも、アレクシアさんたちに悪い結末を願うわけではないのです」
アレクシア
「最後まで一緒だと、……そう、言ってくれるので」
マキナ
「咲さんだったら『本当にあの男で大丈夫!?』とか言いそう~」
マキナ
「お二人でいるはずだった時間をこれ以上お借りしてはいけませんからねぇ」
アレクシア
「……そうですね。あんまり待たせるのも、悪いかな」
マキナ
二人の死に様は、今でもありありと思い出せる。
マキナ
あの二人がどうしてあんな結末を選んだのか、結局マキナには分からない。
マキナ
分かろうとしていない、というのが実のところだ。
マキナ
マキナの望むものは、二人が選んだ道にはない。
マキナ
命よりも、未来よりも強く望むものを得た人に、
マキナ
目を逸して、理解を放棄して、それでもマキナは生きていける。
マキナ
生きてチカと掴む未来以外はどうでもいいことだ。
マキナ
……アレクシア達が迎えるのだろう結末も、だから、
マキナ
彼女のこともきっと、マキナは忘れられないのだろう。