幕間 Room No.8
マキナ
浮かない表情で、ぽす、とベッドに腰を下ろす。
小鴨 チカ
なんて……なんて言えばいいのかわからない。
小鴨 チカ
勝ち……というか、起こった出来事が……
マキナ
靴を脱いで、ベッドの縁に足を上げて膝を抱える。
小鴨 チカ
「……あっちの棄権で、裁判を待たずに不戦勝」
小鴨 チカ
「ぼくたちは2回戦が終わって、決勝に進む」
小鴨 チカ
「……ギャラリーは、納得しないだろうなあ」
マキナ
「向こうに賭けてた人たちはまた大損ですね~」
小鴨 チカ
「うちが決勝に進むなんて、誰が予想しただろうなあ」
小鴨 チカ
ぼくもベッドに腰を下ろす。マキナさんからは少しだけ離れて。
マキナ
「いや~、何もせずに勝っちゃうなんてことあるんですねぇ」
小鴨 チカ
「ぼくたちも、ここまで来られるとは……思ってなかったよね」
小鴨 チカ
「勝たなきゃ、今まで勝ってきた意味も……ないんだよね」
マキナ
「勝って、こんなクソみたいな国出ていって……」
小鴨 チカ
「……元の世界で、一人で生きられるかな」
マキナ
マキナの心にあの時の恐怖が残っている限り、消えはしないのだろう。
マキナ
「生きて、帰ったら、幸せになれるって……」
小鴨 チカ
「この経験を共有する人に……一緒にいて欲しい」
小鴨 チカ
「ぼくはマキナさんと一緒に居たいけど」
小鴨 チカ
「……奇跡の力で、全部忘れちゃっても……いいと思う」
小鴨 チカ
「ひどい経験、いっぱいしてきたでしょ?」
小鴨 チカ
「帰って忘れたら、もうペアじゃないじゃん」
マキナ
「勝ち上がって、生き残れたらそれで終わり」
*
*行動順を決めます。1d6+才覚を振ってください。
小鴨 チカ
1d+3
DiceBot : (1D6+3) > 5[5]+3 > 8
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 4
小鴨 チカ
こうじゃないけど、けど、じゃあどうすればいいんだ。
マキナ
マキナは泣くでもなく、ただ顔を伏せている。
小鴨 チカ
だって、この選択が……マキナさんを一番幸せにできる方法じゃないか?
小鴨 チカ
この儀式だって……忘れたい記憶なはずだ。
マキナ
痛かったこと。人を殺したこと。逆に殺されかけたこと。
マキナ
堕落の国で生き延びることは、そういった物事と隣り合わせだった。
マキナ
忘れられるなら忘れてしまいたいような、そんなことばっかりで。
小鴨 チカ
『それもいい』って、実際に言われると、こんなに胸が痛い。
小鴨 チカ
わかってるよ。ぼく、めちゃくちゃカッコ悪い。
小鴨 チカ
2d+3=>7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 10[5,5]+3 > 13 > 成功
小鴨 チカ
1d
DiceBot : (1D6) > 4
小鴨 チカ
4 何気ない所作にドキッ!ランダムな対象1人の情緒+1。
小鴨 チカ
Choice[チカ,マキナ]
DiceBot : (CHOICE[チカ,マキナ]) > チカ
[ 小鴨 チカ ] 情緒 : 0 → 1
マキナ
2d6+3=>13 高すぎる……
DiceBot : (2D6+3>=13) > 5[2,3]+3 > 8 > 失敗
[ マキナ ] 情緒 : 0 → 1
小鴨 チカ
2d+3=>7 アピール
DiceBot : (2D6+3>=7) > 8[3,5]+3 > 11 > 成功
[ マキナ ] 情緒 : 1 → 2
マキナ
「そしたら、元の世界で幸せになれるでしょ」
小鴨 チカ
「…………そしたら、ぼくたちは赤の他人だね」
小鴨 チカ
「……マキナさんのことを好きだったのも」
マキナ
「それで、私のこと、好きだって思ってるだけで……」
小鴨 チカ
2d+3=>7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 10[6,4]+3 > 13 > 成功
マキナ
2d6+3=>13
DiceBot : (2D6+3>=13) > 4[2,2]+3 > 7 > 失敗
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 4
マキナ
Choice[チカ,マキナ]
DiceBot : (CHOICE[チカ,マキナ]) > チカ
[ マキナ ] 情緒 : 2 → 3
[ 小鴨 チカ ] 情緒 : 1 → 2
*
では先程の誘い受け成功とアピール失敗から続けていきましょう……
小鴨 チカ
「そういうのを利用して生きてきたんじゃねーのかよ」
マキナ
愛されてるかもなんて、自分も人を好きになれるかもなんて
小鴨 チカ
「縁が切れたら、あとから勘違いだなんて言われる心配すらない」
小鴨 チカ
「ぼくがマキナさんのことを覚えてようが忘れてようが、どう思ってようが、忘れたマキナさんには関係ないじゃん」
小鴨 チカ
「ぼくがどう答えるか、わかってるくせに」
小鴨 チカ
「……答え聞いちゃったら、自分から逃げ道塞ぐようなもんじゃん」
小鴨 チカ
*距離を測る[s2] アピール[s6]
マキナ
2d6+3=>7
DiceBot : (2D6+3>=7) > 12[6,6]+3 > 15 > 成功
マキナ
1d6
DiceBot : (1D6) > 1
マキナ
1 情緒が入り乱れる!自身と自身以外のランダムな対象1人の情緒が入れ替わる。
[ マキナ ] 情緒 : 3 → 2
[ 小鴨 チカ ] 情緒 : 2 → 3
[ 小鴨 チカ ] 情緒 : 2 → 3
小鴨 チカ
2d+1+3=>15
DiceBot : (2D6+1+3>=15) > 2[1,1]+1+3 > 6 > 失敗
小鴨 チカ
1d
DiceBot : (1D6) > 2
小鴨 チカ
2 もはやみんなまともじゃない。全員の情緒+1。
[ マキナ ] 情緒 : 2 → 3
[ 小鴨 チカ ] 情緒 : 3 → 5
小鴨 チカ
「ぼくは、マキナさんのことを忘れないよ」
小鴨 チカ
「……そう答えるって、分かってたじゃん」
小鴨 チカ
「…………忘れちゃったほうが、マキナさんには良いんじゃないかって」
小鴨 チカ
「ぼくの意見なんて、聞かなきゃよかった」
マキナ
もはや答えを言ってしまっているようなものだな、と
マキナ
忘れたくないものが、理由があると言っているも同然で。
小鴨 チカ
「そういう辛いの苦しいの、避けたいくせに」
マキナ
「辛いのも苦しいのもがんばるのも嫌で……」
マキナ
「忘れたくないって、言わせようとしてる……」
小鴨 チカ
「マキナさんが、自分で選ばなきゃダメなやつだもん……」
小鴨 チカ
「ぼくは……忘れたくないって言ってほしい」
小鴨 チカ
「ぼくのことを忘れたくないって言ってほしい」
小鴨 チカ
「一緒に居たいって言ってほしい、けど」
小鴨 チカ
「……忘れた方が、マキナさんの幸せだってんなら」
小鴨 チカ
「ぼくは、ちゃんと好きって言ったのに」
小鴨 チカ
「本当の自分は、愛されないと思ってる」
マキナ
「そういう生き方しか、してこなかった……」
小鴨 チカ
「ずっと誰かに媚びて擦り寄って生きてきたの?」
小鴨 チカ
「……ぼくは、そのマキナさんしか知らないよ」
小鴨 チカ
「目の前の女がクソだってことは知ってるよ」
小鴨 チカ
「そのクソ女のことを好きだって言ってんじゃん」
マキナ
「元の世界に戻ったら、クソじゃない女の子がいっぱいいる……」
マキナ
「そしたらもう、私じゃなくていいじゃん……」
小鴨 チカ
「マキナさん、ここで勘違いですって言って終わりてえの?」
マキナ
「間違いだったんだから、なかったことにしちゃえばいいんだよ」
小鴨 チカ
「マキナさんは一生誰も信じずに生きるのか」
小鴨 チカ
「だったら、忘れりゃ幸せになれるじゃん」
小鴨 チカ
「じゃあ、優勝したら、ぼくと一緒に帰ってよ」
小鴨 チカ
「だから、爪痕を全部そのまま残すんだよ」
小鴨 チカ
「今のぼくを知ってるのも、この時のトラウマを知ってるのも、マキナさんだけ」
小鴨 チカ
「ぼくは弱いから、きっとマキナさんに依存する」
小鴨 チカ
「健全な付き合い方ができないマキナさんが悪い」
マキナ
「裏切られたって思ったら、チカくんのこと殺しちゃうよ」
小鴨 チカ
「ぼくのこと、めちゃくちゃ大好きか?」
マキナ
「私はねぇ、誰も信じたことないから裏切られたとかもないの」
マキナ
「捨てられるのは、それが当たり前だったの」
マキナ
「だって、私もそうするつもりで誰かといたんだから」
マキナ
「どういうことか分かってる?って聞いてるの」
小鴨 チカ
「さっき見た。1号室の二人と同じだろ」
小鴨 チカ
「お互いの異常性に折り合いをつけるために、自分たちなりの方法で、一緒に居ることを選んだ」
小鴨 チカ
「そしたらまあ……裏切ったら殺されたりもするんじゃねーの?」
マキナ
「……じゃねーのって、そんなあっさり……」
小鴨 チカ
「こっちはもともと、フられたら一人っきりの人生だもん」
マキナ
「他の女の子にふらふらするのだってダメだし……」
マキナ
「チカくんを殺した後傷だらけで一人になる私のことちゃんと考えてる!?」
マキナ
「私を依存させるってこういうことなんだよ!」
小鴨 チカ
「ようやく天秤が釣り合った感じがする」
小鴨 チカ
「ぼくもクソ重いこと言ったからなあ……」
マキナ
「チカくんが信じていいって言ったんだからね?」
小鴨 チカ
「今日言ったこと、投げ出したりしない?」
小鴨 チカ
「ぼくが頑張ってる間は、ぼくのこと信じ続けられる?」
小鴨 チカ
「裏垢とか実写系のAVとか消して……漫画もゲームも?」
小鴨 チカ
「そのへん、責任とれる……?大丈夫?」
マキナ
「……チカくんが責任取ってくれるんでしょ」
マキナ
「この傷ごと帰ろうって、チカくんが言ったんだから」
小鴨 チカ
「そういうの、まだ怖いんじゃないかなとか」
小鴨 チカ
「もう……そういう事に関わりたくないのかなとか」
マキナ
「……だから、責任とれるかって言われると」
小鴨 チカ
「手伝えとは言わない。ぼくからは絶対」
小鴨 チカ
「マキナさんが無理して持ち掛けてきても……たぶん、断れる」
小鴨 チカ
「かわいそうなのは……抜けるけど……あとで辛すぎるので……」
マキナ
「でも、もう信じるって言っちゃったからなあ」
小鴨 チカ
「そういう目で……マキナさんを見てしまうことが……避けるのが難しく……」
小鴨 チカ
「なるべく多く、触れ合いたいなって……」
小鴨 チカ
「最初は寂しい時、怖い時に手を繋ぐくらいでいい」
小鴨 チカ
「怖かったら、一生……そこから先に発展しなくてもいい」
小鴨 チカ
「コインを手放せば、ぼくは本当にザコだよ」
小鴨 チカ
「腕力勝負でも、マキナさんに勝てないかも」
小鴨 チカ
「お互いチキンのザコ同士、トラウマ抱えて震え合って生きようぜ」
小鴨 チカ
「……マキナさんから……好きって言ってくれた」
小鴨 チカ
「もともと泣き虫なんだから~~~!!!」
小鴨 チカ
「後悔も苦痛も全部、マキナさんと一緒に地獄まで持っていく」
小鴨 チカ
皆、それぞれの願いを叶えるために館の門を叩き、命を懸けて死力を尽くした。
小鴨 チカ
ぼくたちは、その中に紛れ込んだ異物だ。
小鴨 チカ
高尚な願いも持たず、自分たちの勝ちすら信じられず、ただ巻き込まれたことを嘆き続けた。
小鴨 チカ
それが何の因果か、うっかりと勝ち進み続けて、まだ生きて立っている。
小鴨 チカ
ぼくたちは、わが身可愛さに、14人の救世主の願いを断とうとしている。
小鴨 チカ
知るかバーーーーーーーカ!!!!!!!
小鴨 チカ
弱く汚く、一人じゃ生きられない生き物に。