Dead or AliCe
『16人の救世主』

幕間 アリシア&匕首咲

匕首咲
*
匕首咲
1回戦を終えたどこかの日、どこかの時間。
匕首咲
咲は一人、図書室で本を見ていた。
匕首咲
見ているのは、料理本のコーナー。

端から手に取り、ぱらぱらとめくってはまた元に戻す。
匕首咲
いかにも「不思議の国のアリス」らしい、見るからに狂ったタイトルは素通りして。

見覚えのありそうな料理が並ぶ本を見ている。
匕首咲
最後の料理本を戻して、ううん、と唸った。



「やっぱり無いか……」
匕首咲
事の発端は、大したことではない。



映鏡がメイドに郷土料理を頼んだのだが、出てきたのは、同名の違う料理だった。

いかに奇跡の力であっても、あまりにマイナーな情報には寄り添えないのだろう。
匕首咲
なので、レシピでもあれば、と思ったのだが。

よく考えてみれば、レシピがあれば、メイドも作れるはずだ。
匕首咲
こうなってしまっては、映鏡が言っていたヒントだけでなんとかするしかない。

できるのか?

いや、そもそも作るのか?手料理を?

「ナーオ」

そうしていると、

半開きになった戸の隙間から、するりと一匹の獣が忍び込んでくる。

猫である。
匕首咲
「あ、猫だ」

猫は、あなたの足元まで近づいてきて、

この人はどうしているのかなあと見上げてくる。
匕首咲
「おー、よしよし」



撫でられるかな~と思って手を出してみる。

「ニャ……」

猫はおとなしく撫でられる。人馴れしているようだ。

しかし。

やわらかい毛並みの下、感じる体温がいやに冷たい。
匕首咲
「よ~しよしよし~」



わしゃわしゃ。
匕首咲
「いい子だね~、かわいいね~……」



撫でている途中で、体温に気が付く。



「ん……、おまえ冷たいな。

こっちの猫って、冷たいのか……?」



そういえば、堕落の国でまともな猫を触ったのは初めてかもしれない。

そもそも、ここは救世主と使用人しかいないはずの屋敷だ。

こんな猫は、居ること自体がおかしいのだ……

「冷たいのは、鏡だからでございますよ~」

 問いかけに応じて、猫がしゃべった。
匕首咲
「うわっ!猫が喋った!」
匕首咲
「いや……、ここの動物は結構喋るか……?」
匕首咲
「え?鏡?」

「…………」
匕首咲
そういえば、と思い出す。

鏡を名乗る救世主がいたはずだ。
アリシア
「本日が試合でなくてよかったですねぇ~、咲さま」
アリシア
瞬きする間に、猫の像がかき消え、チェシャ猫のように笑う

娘の姿へと変わった。
匕首咲
「お前は……3号室のアリシア!」
アリシア
「こうしてお会いするのは初めてですねえ。

 はい。鏡のアリシアと申します」
匕首咲
「ええ……?お前猫にもなれんの?

強すぎるだろ……」
アリシア
1d6 先制

DiceBot : (1D6) > 5
匕首咲
1D6

DiceBot : (1D6) > 1
アリシア
わーい
匕首咲
えーん
アリシア
「まあ、鏡も女王様の下僕ですから。

 これぐらいはできないと務まりませんよ」
アリシア
しかしアピールはないので手番パスです。
匕首咲
わーい
匕首咲
「ふーん……」



そんなもんかな、と一応は納得する。
匕首咲
* h3距離を測る c8アピール
匕首咲
みたいな感じで大丈夫だっけ
アリシア
*h4 さそいうけするぜ
匕首咲
おっ
アリシア
2d+2 デヤァ~

DiceBot : (2D6+2) > 10[5,5]+2 > 12
匕首咲
12かぁ~~
匕首咲
2D6+2 でやぁ~

DiceBot : (2D6+2) > 6[1,5]+2 > 8
アリシア
フッザコが
匕首咲
+1してもだめですね
匕首咲
え~ん
[ 匕首咲 ] 情緒 : 0 → 1
匕首咲
「あの女王様、すごかったよな。

靴が燃えて、スカートが舞ってさ。

ああいうのちょっと憧れちゃうな」
匕首咲
「あんたも、鏡写しになってスゲーかっこよかった」
アリシア
「おお~!

 我々への賞賛のお言葉、とてもありがたく思います。

 女王様へも伝えておきましょう」
アリシア
「あなた方の戦い方も

 なかなか凄惨にして鮮やかでございましたよ!」
匕首咲
「そりゃどーも」
匕首咲
次の手番行っちゃおうかな
アリシア
いいよ~
アリシア
一押しだけ残します
匕首咲
距離を測る1枚捨てます
アリシア
ところで距離を測るは補助動作なので
アリシア
アピールの前に使わないと効果はないですよ!
匕首咲
お?使い方間違ってました?
アリシア
いや? 合ってたか
匕首咲
というか使った手札捨ててないな
アリシア
なんだ捨ててないだけか……
匕首咲
捨てます……
匕首咲
捨札漁るのめんどくさいし、もう全部捨てる感じでいいかな
アリシア
手札が減ってないのでなんか使ってないのと勘違いしてました すいません
匕首咲
いえいえ、普通に捨て忘れててすみません
匕首咲
まぁ全とっかえでもこの手札だが~~~~
アリシア
アピールできな~い パスします
匕首咲
はーい!
アリシア
「しかし試合ではないとは言え、

 鏡にここまで接近を許してしまうのは、いささかいただけませんね~」
匕首咲
「接近しすぎたらなんかあんの?」
匕首咲
鏡だしな~と思いながら手を伸ばしてみる。
アリシア
「まあ、特に何もしませんけど」
アリシア
触られる。冷たい。
匕首咲
「何もしないんじゃん」



ぺたぺた。鏡を触ったような温度だ。
アリシア
「遠慮のない方ですねえ~」表情は崩れない。
匕首咲
* s6距離を測る dKアピール
アリシア
*それにc4誘い受け
アリシア
2d+2

DiceBot : (2D6+2) > 6[3,3]+2 > 8
匕首咲
8か~
アリシア
今度こそハプニング表ですね……
匕首咲
あっほんとだ
アリシア
1d6 HAPPENING

DiceBot : (1D6) > 1
アリシア
> 1 情緒が入り乱れる!全員1D6を振り、その値を情緒とする。上限を超えた場合は〔上限-1〕とする。
匕首咲
1かぁ~~
アリシア
いやいや
アリシア
1d6 まあ振りますか……

DiceBot : (1D6) > 4
アリシア
おい!
匕首咲
1D6

DiceBot : (1D6) > 4
匕首咲
ちょっと
[ アリシア ] 情緒 : 0 → 4
匕首咲
え?これもしかして爆発?
アリシア
いえ
アリシア
4になるだけです
匕首咲
-1?
匕首咲
はぁ~~~よかった
[ 匕首咲 ] 情緒 : 1 → 4
アリシア
ともかく誘い受け成功で、目標値は8です
匕首咲
はい
匕首咲
2D6+2+1

DiceBot : (2D6+2+1) > 3[1,2]+2+1 > 6
アリシア
このアピールで勝負突いちゃうんだが?
アリシア
ついた
匕首咲
はい……
アリシア
~完~
匕首咲
終わってしまった
匕首咲
えーっと、とりあえずおしゃべりしていいですか?
アリシア
はい!
匕首咲
「あの女王様、美しさをすごい気にしてたよな~」



指紋付かないかな、と思いながらぺたぺた。



「女王様、十分美しいと思うけどなぁ」
アリシア
「“充分”で満足できないのが、

 人という生き物でございましょう~?」
アリシア
「あなたこそ、“充分”で満足していれば

 こんな場所にはわざわざ来ないでしょうに」
匕首咲
「確かにそうだな。

十分って人から言われても、自分じゃ全然足りないし」
匕首咲
「そう考えると、女王様の気持ちも分かるな。

世界一じゃないと、どうしようもないんだろうな……」
アリシア
「あなたの強さへのこだわりも、

 女王様の美しさへのこだわりも、

 どちらも鏡には理解できぬものですけどね~」
アリシア
スッ……と触ってくる指から距離を取る。
匕首咲
距離を取られると、深追いはしない。
匕首咲
「理解か……」



美しさというのは、主観的なものだ。

誰かが美しいと言ったものでも、別の誰かからは醜いと言われることがある。そして、その逆も。



強さも、似ているかもしれない。

腕力や武力、知力に財力。強さの種類は様々だ。誰かが強いと言ったものでも、別の誰かは弱いと言うかもしれない。
匕首咲
「たしかに、あんまり合理的じゃあないかもな……」
アリシア
「合理的という言葉、あなたには全く似合いませんしね~」
匕首咲
「うるせぇな」
アリシア
「うるさくするのが役目ですので」馬耳東風
匕首咲
「あー、まー、確かにうるさくするの得意そうだな~」



Aホールの試合を思い出しながら。
アリシア
「まあ、救世主というのはだいたい何かしら合理性には

 沿えない生き物なんですけどね」
アリシア
「不条理に勝って、不条理に負ける。

 そんな展開が、第1試合でもありましたし」
匕首咲
「結局は心の疵の戦いだもんな。

そう考えると、めちゃくちゃな方が強いかもな?」
アリシア
「優勝するのは、案外あなたのような

 ボケっとした人なのかもしれませんねえ」
匕首咲
「ボケっとした人ってなんだよ!」



近くの壁を蹴る。
アリシア
「ひえ~!」
アリシア
「すみません。適切な語彙に言い換えます。

 よっ! 大物救世主!」
匕首咲
「ちょっと引っかかる気するけど、まぁいいや。

大物救世主ってとこで納得しといてやる」
アリシア
単純だなぁ~。
匕首咲
ふふ~ん
アリシア
「図書室であまりうるさくすると、怒られてしまいますよ~」

 と言っても、他に利用者は見当たらないが。
アリシア
「というか、あなたには全然似合わない場所ですね~

 図書室って」
匕首咲
「分かってるんだよそんな事は……。

でもほら、調べ物するなら、ここぐらいしかないだろ?」
アリシア
「ほうほう……それは確かにそうですねえ」
アリシア
「でも、調べ物がしたいなら、それに適した存在が

 あなたの目の前にいるんですよ?」
匕首咲
「え? ああ……」



真実を告げる女王の鏡。

白雪姫の女王の鏡。



そんなSiriみたいな使い方できるの?
アリシア
「鏡は人間の役に立つことが使命でございます~

 さあなんなりとお聞きください!

 真実の答えを授けてみせましょう」胸を張る。
匕首咲
「えっと……、じゃあ、一応聞いてみるけど……。

ぼっかけ、って料理のレシピとかって分かる?

なんか2種類あって、牛すじとかこんにゃくとか入ってない方みたいなんだけど……」
アリシア
「なるほど~

 おやすい御用でございます!

 山を千越えた先のレシピまで教えて差し上げましょう!!」
匕首咲
「えっ、マジで!?」
アリシア
鏡の像が乱れ……

次の瞬間には、ぼっかけの料理工程が動画で映し出される!
匕首咲
「うわっ!動画だ!!」
アリシア
「まずは人参を細かく切り……」音声ガイドつき。
匕首咲
「な、なるほど~!」
アリシア
「……そうして一煮立ちさせたものをご飯に……」
匕首咲
「わかりやすいな~!やっぱ動画だよなぁ!」
アリシア
そうして再生が終わる。
アリシア
いかがでしたか?
匕首咲
「スゲーわかった!ありがとーSiri!!」
アリシア
「シリではありません。アリシアでございます」
匕首咲
「そうだったそうだった。ありがとアリシア!」
アリシア
「ところで代わりにというわけではないのですが、

 鏡にも教えてほしいことがひとつ……」
匕首咲
わっはっはと背中をポンポン叩く。
匕首咲
「ん?なに?今なら大体のことは答えるぞ」
アリシア
「この料理はご自分でお召し上がりに?

 それとも、どなたかに振る舞うのでしょうか?」
匕首咲
「………………………」
匕首咲
「それは大体以外だ」
アリシア
「なぜ?」
匕首咲
「………………………その理由も大体以外だ」
アリシア
「自分で食べる以外なら、振る舞う候補は一人しかございませんね」
匕首咲
「いや……メイドとかいるだろ……」
アリシア
「この鏡のアリシアでも、異性と親密になっていることを

 隠したがる習性が一部の人間にはあることを、知っていますよ」
アリシア
「その一部の人間というのは、猫に優しくしちゃうタイプの

 ヤンキーと呼ばれる女性で……」
匕首咲
「………………………」



親密になっていないから、親密になるために料理を作ろうとしていた。とは言えない。

いやそもそも親密になろうとしてねーし。
匕首咲
「誰が猫に優しくしちゃうタイプのヤンキーだ!!」
アリシア
「“いい子だね~、かわいいね~……”」
匕首咲
ヤンキー仕草で胸倉を掴もうとする。
匕首咲
「ヴッ」
アリシア
うろたえたスキにするっとかわす。
匕首咲
かわされる。
匕首咲
手をわきわきしている。
アリシア
「いやあ、敵情視察に来ただけのつもりが

 なかなかおもしろい会話ができましたね~!」
アリシア
「お互い用も済んだようですし、

 しからば、これにて~!」
アリシア
逃!
匕首咲
「うるせ~~~~!!!そんなんじゃね~~~~!!!」
匕首咲
暴れているが、まんまと逃げられてしまった。
[ 匕首咲 ] 情緒 : 4 → 5
匕首咲
情緒が爆発しました。
匕首咲
「くそ……。あの鏡野郎、次会ったらただじゃおかねぇぞ……」
匕首咲
ぜいぜいと肩で息をする。

しかしぼっかけのレシピ動画を見れたのは幸いだった。これなら作ってみることもできる、かもしれない。
桟敷川映鏡
そろそろ聞きなれてきただろう足音が入り口の方へ近づいてくる。
匕首咲
「…………」



なんとなく、ちょっと隠れる。
桟敷川映鏡
室内を見回して赤いコートの端がはみ出ているのを見つけた。



「あぁ、いらっしゃいましたか」
匕首咲
速攻バレた。
桟敷川映鏡
1時間経って戻ってこなかったら探しにいくことにしているらしい。
桟敷川映鏡
「まだ前の本が読み終わっていませんが、何か探し物でも?」
匕首咲
「いや、ちょっと………」



調べ物、とも言えずに。



「3号室のアリシアと話してた」
桟敷川映鏡
「あぁ……」
桟敷川映鏡
先日、5号室のティモフェイと共に敵対するなら厄介な相手と評したばかりの人物だ。
匕首咲
「最後は腹立ったけど、割といいやつだったよ」



懐柔されている。
桟敷川映鏡
「それはなによりです」
匕首咲
「で、どした?何か用?」
桟敷川映鏡
「いえ。迎えに来ただけですよ」
匕首咲
「え?なんで……」
桟敷川映鏡
「なんでもなにも……まぁ、他に用事がなければ部屋に戻りましょう」
匕首咲
「う うん」
[ 匕首咲 ] 情緒 : 5 → 6
匕首咲
咲は情緒が爆発した!
匕首咲
そうして2人は部屋に戻って行きました。
匕首咲
*