幕間 匕首咲&ティモフェイ
匕首咲
温室。
一面ガラス貼りではあるが、そこには砂塵しか見渡せない。
匕首咲
日差しの温かさも、植物の癒やしも得られないそこを、咲はぷらぷらと歩いている。
匕首咲
別に何か目的がある訳ではない。
映鏡がバスルームを使っており、暇なので散歩に出てきただけだ。
匕首咲
──というのは半分だけ本当。
あとの半分は、風呂上がりの映鏡に会いたくないのだ。
匕首咲
あの変な仮面を被らず、変なマントを羽織らず、青い帽子も頭に乗せていない映鏡は。
ただの顔がいい男だ。
匕首咲
目に毒なのだ。
胸がギュッとなるので、あまり見たくはない。
匕首咲
てくてくと、造花ばかりの温室を歩く。
生花の一本でもあればいいのに、などと思いながら。
ティモフェイ
うら寂しい造花の園の中を歩く咲の背後で、音もなく温室の扉が開かれた。
ティモフェイ
砂塵ごと吹き込んだ風が温室内の空気を一瞬だけ乱して、
ティモフェイ
マントについた埃をはたき落としながら、温室の入り口に仏頂面の救世主が立っている。
匕首咲
救世主だ。確か6号室の。
「ども」
と言って軽く片手を上げた。
ティモフェイ
「どうも」と、素っ気ない返答ののち、
ティモフェイ
本人に対して口裂け女の、と言わない程度の、極めてギリギリの分別はあったらしい。
ティモフェイ
「片割れの方とは、既に言葉を交わしたな」
ティモフェイ
泳いだ視線にやや怪訝そうな表情になった。
匕首咲
女の話をしたのか?と思ったが聞くのはやめておいた。
ティモフェイ
どこまで話したものかそれなりに、それなりに悩んだ上で、
匕首咲
まぁ大したことは話してないだろうな~と思っている
匕首咲
「あ、ああ!あんたがね!!なるほどね!!」
匕首咲
「そう……、そうそう、それなら大丈夫……」
頷いている。
ティモフェイ
1d6 行動順
DiceBot : (1D6) > 4
匕首咲
1D6
DiceBot : (1D6) > 6
匕首咲
さっきのゲームで手加減しなかったら怒られた話を思い出しますね
ティモフェイ
*通しで。ジョーカーのせいで誘い受けの余地があるの困るが?
匕首咲
2D6+2+1
DiceBot : (2D6+2+1) > 4[3,1]+2+1 > 7
ティモフェイ
誘い受けしとけばよかった出目だな(いつもそう)
[ ティモフェイ ] 情緒 : 0 → 1
匕首咲
「いや、まぁ別にいいんだけど……。なんか、そういう方向に話が転がったりはしたんだな?」
ティモフェイ
これってそういう流れってことはそういうことって言ってるな?
ティモフェイ
「心の疵は、目に見えるものに限らない」
匕首咲
植木鉢は宙を舞い、別の植木鉢にぶつかって壊れた。
匕首咲
「あんたと話したことは聞いてないから……」
ティモフェイ
むしろまともに情報共有するペアの方が稀なのか?
ティモフェイ
いや、鏡と女王のところはそうでもなさそうか。
匕首咲
近くの大きめの鉢植えに植わった、大きめの人工観葉植物の幹を掴み、スイングしている。
ティモフェイ
申し訳ないな……と、メイドの方に思いました。
匕首咲
はっきりと明言しなかったので、かろうじて直接的な暴力を取らずに済んでいる。
ティモフェイ
2D6+2>=7
DiceBot : (2D6+2>=7) > 2[1,1]+2 > 4 > 失敗
ティモフェイ
1d6
DiceBot : (1D6) > 5
ティモフェイ
5 極めて冷静、相手のことが手に取るようにわかる。自身の情緒-1。
[ ティモフェイ ] 情緒 : 1 → 0
[ ティモフェイ ] 情緒 : 0 → 1
ティモフェイ
ハプニングで-1、アピール失敗で+1です。
匕首咲
分かるけどなんだろう。いやこれ不満に感じてる理由をあんまり考えない方がいい気がするぞ。
ティモフェイ
トイトロールよりもある意味難しい気がする。
ティモフェイ
でもトイトロールと違って別に機嫌を気にする必要はないな。
ティモフェイ
トイトロールの機嫌も最終的にそう厳密に気にしているわけではないのだが。
ティモフェイ
え~~~もう持ってても仕方ないから誘い受けしちゃうか
ティモフェイ
2d6+2>=7 誘い受け
DiceBot : (2D6+2>=7) > 6[5,1]+2 > 8 > 成功
匕首咲
2D6+2+1
DiceBot : (2D6+2+1) > 8[6,2]+2+1 > 11
[ ティモフェイ ] 情緒 : 1 → 2
ティモフェイ
割れた植木鉢から咲に視線を戻して言う。
ティモフェイ
これ同じこと言ったなって思っている。
ティモフェイ
「あれがなかったら或いは1Rで済んでいたかもしれん」
匕首咲
「そうだね。
思ってたよりは、ちゃんと相手も強かった」
匕首咲
「どうかな。同じこと言っても、観客も飽きるでしょ」
ティモフェイ
「あまり趣味の良い連中ではないからな」
匕首咲
「観客といえば、あんたのとこの試合で観客連れ込んでたね」
匕首咲
「ダルマ色男が乗り込んできた時に、殺されるかなって期待したんだけどな~。残念」
ティモフェイ
「我々の裁判も、きみには特別退屈だったかもしれんな」
匕首咲
「本当にがっかりした。
ああいう負け方だけはしたくないと思った」
ティモフェイ
「ある意味では、もっとも尊厳が踏み躙られた結果かね」
ティモフェイ
「4号室のあの末路の方が、むしろ筋は通っていた」
匕首咲
「救世主としてとか、そういうのは関係ない。
力を振りかざして、あんた達が思う救いを勝手に押し付けて、それで善人面してるのが心底気持ち悪い。」
匕首咲
「少なくとも、あたしにはそのつもりに見えた」
ティモフェイ
「……死を畏れて戦うものにとっては、あれが救いになりうる、とは認識している」
ティモフェイ
「俺はあの結末には何ら関与していないよ」
匕首咲
「じゃあ、相方が全部悪いから、あんたは一切責任がないってこと?」
ティモフェイ
「俺はあの二人がどうなろうと構わなかった」
ティモフェイ
「全てを看過しただけの、ああ、だから」
ティモフェイ
この表現が恐らくきみには最も受け入れやすいのだろう、
ティモフェイ
「きみたちに勝っても、そのようにするよ」
ティモフェイ
*補助動作 距離を測る h10
*主動作 アピール dQ
ティモフェイ
2D6+2+1>=7
DiceBot : (2D6+2+1>=7) > 6[5,1]+2+1 > 9 > 成功
ティモフェイ
やっと普通に成功したな……という気持ちです。
[ 匕首咲 ] 情緒 : 0 → 1
匕首咲
「そう、あたしは、あんたの相方のやりかたに反吐が出る」
匕首咲
「ガキで、傲慢で、一方的で、自分のことしか考えてない。自分のことしか見てない」
匕首咲
「あんなやつに、自分をどうにかされたくない」
ティモフェイ
「この世界、そういう子どもじみた妄念を抱えているものほど」
ティモフェイ
「奇妙な力を身に着けてしまうことだな」
ティモフェイ
*捨てなしです なんももってないので
ティモフェイ
2D6+2>=7 なんでやろなあ。
DiceBot : (2D6+2>=7) > 7[2,5]+2 > 9 > 成功
匕首咲
2D6+2+1
DiceBot : (2D6+2+1) > 9[6,3]+2+1 > 12
[ ティモフェイ ] 情緒 : 2 → 3
匕首咲
「結局、どんなバカでも、どんな自分勝手な奴でも、強いやつが正しい」
ティモフェイ
「どんなに幼くとも、未熟であろうとも、最後に天命が味方したほうが勝つ」
匕首咲
「は?心の疵とか関係ないんですけど?」
特に上手くもないごまかし方をする。
ティモフェイ
そういうことにしとくか……と思わされるくらいの差し込み否定だった。
[ ティモフェイ ] 情緒 : 3 → 4
[ 匕首咲 ] 情緒 : 1 → 2
匕首咲
「そういえば、あんたの相方ってずっと雪降ってるね。あれも心の疵?」
ティモフェイ
「本人もそう感じているのではないかね」
匕首咲
「大変だねぇ。風呂とかどうなんの?
湯がかかる端から凍っていったりとか?」
ティモフェイ
それとはまた別の、連想される瞬間に思考が至って、
ティモフェイ
「そこまで険しいというほどでも、……」
ティモフェイ
シンプルに気分が悪くなってきたな。勝手に。
匕首咲
気分が悪くなっていることに気付いていない。
常に吹雪くのは大変だけど、たまにならいいな~なんて思っている。
匕首咲
「確かに、嬉しくもないし、寒いだけだしねぇ」
匕首咲
「いたね……」
幼い妊婦の肚を思い、それだけ口にする。
ティモフェイ
「カップルは……まあ、うちの対面がそうではあったか」
ティモフェイ
今はどうなっているのか、記憶を失って館に留まっている以上の何も知らないが。
匕首咲
「カップルだったねぇ。
誰かさんのお陰で、恋人を助けたりできなかったけど」
ティモフェイ
「あれは間に合わなかっただけだろう」
ティモフェイ
「俺が邪魔をしたのは、あの男が腹癒せに観衆を殺すことだけだ」
匕首咲
「そうだけどさ、格好が付く付かないがあるじゃん……」
匕首咲
「銃が出たのに血も内臓も出なかったし……」
ティモフェイ
*補助動作 距離を測る s9
*主動作 アピール d5
ティモフェイ
2D6+2+1>=7
DiceBot : (2D6+2+1>=7) > 6[4,2]+2+1 > 9 > 成功
[ 匕首咲 ] 情緒 : 2 → 3
匕首咲
「………………」
完全に意識の外の話だったが、確かに、自分も助けが間に合わなかったのだ。
ティモフェイ
ぱっと虹の剣を出して、切り捨てて、それをすぐに霧散させる。
ティモフェイ
「観衆を全て、殺し尽くしてほしかったか」
匕首咲
観衆は、どうでもいい。
少なくとも、自分にとっては。
匕首咲
力を振るわれる前に、男の玩具にされる前に。
映鏡に助けて欲しかったのか?
匕首咲
「クソッ!!」
周囲にあるものを、手当り次第に投げつける。
ティモフェイ
そうでないものは手刀で叩き落とした。
ティモフェイ
降り注ぐ植木鉢を躱し、破片を振り落としながら、
ティモフェイ
不思議なものを見るような目を咲に向けている。
匕首咲
一通り周囲にあるものを投げてしまい、ぜいぜいと肩で息をする。
ティモフェイ
もうちょっと情緒終わってる雰囲気を出すべきだったな。
匕首咲
むしろ終わっているのはこっちな気がするぞ……
ティモフェイ
もはや温室の外とも内とも大差なくなった砂塵の中で、
ティモフェイ
まるで自分がそうであるかのように語るが。
ティモフェイ
「期待のある方が、それなりには、…………」
ティモフェイ
えっなんだこれフォローなのか? これはPLの発言です。
匕首咲
「……過ぎたことはいいんだ。
あたしは救われなかった。それだけだ」
匕首咲
もしもの事を考える。
アーユスに犯されず、映鏡がさっそうと助けに来てくれたこと。そうしたら、子宮を切除することもなかった。
匕首咲
でも、そうはならなかった。
だから、この話はそこで終わり。
ティモフェイ
終わったはずの話を蒸し返した男が、あなたの目の前にいる。
ティモフェイ
「この儀式の果てにたどり着ける、奇跡とやらは」
匕首咲
「過去は変えられない。
奇跡で変えられたとして、記憶を変えられたとしても、あたしはそれでハッピーエンドになるとは思わない」
匕首咲
「あるかもしれないし、ないかもしれないね」
匕首咲
「あんたはどうなの?変えたい未来はある?」
ティモフェイ
それをあまり信じていないような口ぶりで。
匕首咲
「ふーん」
飽きた、という顔で背を向ける。
「つまんない男」
ティモフェイ
ここで言い返さなくても、トイトロールに知られることはないか。
匕首咲
言い返さなくても怒られないから言い返さない男
匕首咲
2D6+2+1
DiceBot : (2D6+2+1) > 7[3,4]+2+1 > 10
[ ティモフェイ ] 情緒 : 4 → 5
匕首咲
女子供に情緒が爆発する男の実績解除おめでとうございます。
ティモフェイ
おかしいなあ、って言いたいんだけど、なんか全然おかしくない気がしてきてます。
匕首咲
男子校から出てはいけない……森にお帰り……
ティモフェイ
つまらない男と言われることに今更心は揺れず、
ティモフェイ
そのように認めることが、自分には相応しいのだと。
匕首咲
少し歩いて、手頃な場所にあった植木鉢を適当な方向に蹴飛ばしている。
ティモフェイ
「自覚があってこうだから、なお悪い」
ティモフェイ
砕けた植木鉢を踏み割りながら、温室の扉に手をかける。
匕首咲
「褒めたんだろ?
素直に受け取れよ自己評価最低男」
桟敷川映鏡
扉を開ければ先ほどまで話題に上がっていた男がいる。
ティモフェイ
ちら、と自分の背後の咲に視線をやり、
匕首咲
ティモフェイが開いた扉の向こうに、青いマントが見える。少しだけ、あーあ、と思った。
桟敷川映鏡
やや不機嫌そうに眉根を寄せ、すぐに戻した。
桟敷川映鏡
「探しました。まさか温室におられるとは」
匕首咲
割れた植木鉢の破片を踏んで、靴底に伝わる感触を楽しんでいる。
桟敷川映鏡
「それはそれは申し訳ないことをいたしました」
匕首咲
「…………」
ふと気がついて。
「また迎えに来たのか?」
桟敷川映鏡
温室の入り口をくぐるようにして中に入る。
匕首咲
「お前、あたしがどこか出かける度に迎えに来るつもりか?」
桟敷川映鏡
「貴女が止めない限りはそのつもりです」
匕首咲
「申されましてもなんだよ!」
蹴る。結構本気目に。
匕首咲
「はぁ……、まぁいいや。帰る」
そう言いながら、温室の出口に向かった。
桟敷川映鏡
「……この間から言っているでしょう、何度も」
桟敷川映鏡
砂塵で何も見えない温室を見渡して同じく出口へ足を向ける。
匕首咲
はっきり言えよ、と思ったが、はっきり言われても困るな、とも思ったので、何も言わずに扉を潜った。