プロローグ Room No.6
GM
オールドメイドゲームと呼ばれる儀式を執り行うと噂されるその地は、
トイ
『怪人トイトロールの伝説』は堕落の国でも、不明瞭な噂話が知られている。
トイ
ブタのマスクを付けたしゃがれ声のその男は、非情に醜い顔をしており、その素顔を見た者はショック死する――とかなんとか。
トイ
堕落の国で、1年間ほどたしかに
「トイトロールの顔を見た」ために死んでしまった人々がいる。
トイ
「探しまくった甲斐があったってもんだ。
なァ?」
ティモフェイ
覇気のまったく感じられない顔をうつむけて、
ティモフェイ
お伽噺の登場人物らしい仰々しいトイトロールの外観とは真逆の、冴えない一般人のような薄汚れた姿で。
メイド6
門が開け放たれ、そこにはメイドが一人立っている。
ティモフェイ
乱れた淡い色の金髪だけが、いやにきらきらと眩しかった。
メイド6
首輪で引き回すその行動を、一切気にする風はない。
ティモフェイ
虚空に彷徨う青灰の瞳に、瀟洒なメイドの姿をうつしこむ。
トイ
ゴスン!思い切り、鎖の男をメイドの前に蹴り飛ばす。
ティモフェイ
無造作に蹴りつけられてもつれるように前に出て、
ティモフェイ
ちら、とトイの姿を窺うがすぐに俯き、
メイド6
「あなたがたの世話をいたしますのが、私の仕事でございます」
ティモフェイ
どこか気品の名残を感じさせる、穏やかな声。
トイ
トイトロールの声は醜く潰れ、しゃがれている。
メイド6
客室6号室のメイドの声は消え入るように囁く声。しかししっかりと耳に届く。
ティモフェイ
トイに促されるままの挨拶は、それで終わる。
メイド6
あるいはまどろみの中、夢の方から語りかけてくる言葉のように。
トイ
「な~ァ、ネエチャン!
ここが『トーナメント』の会場だろ?」
メイド6
「さようでございます。オールドメイドゲーム。殺し合いのトーナメントでございますね」
メイド6
「ご足労どうもありがとうございます。お荷物を預かりましょう。すぐに部屋へ案内いたします」
ティモフェイ
腰や太腿のベルトに何か提げているようですが、それだけ。
ティモフェイ
メイドに渡すものもなく、沈んだ表情で首を振りました。
トイ
「オレが許可しねえのに口を利くんじゃねえ。
喋れ、っていうまで喋んじゃねえ!」
トイ
「あっはっは。ははは… あぁ、えーとオレの荷物は…」
メイド6
暴力の一部始終を、当然の光景として受け入れ、館へと歩く。
トイ
メイドのうしろをついて歩く。周囲を威圧するような、威嚇するような横柄な歩き方。
メイド6
救世主は色々いる。心の疵はたくさんある。それはこの館のメイドでなくとも、末裔ならばよく知ったこと。
ティモフェイ
鎖に引かれるままに、とぼとぼと歩く。
ティモフェイ
足音を殺しているわけでもなく。ただ覇気もなく、淡々と足を動かすのみで。
メイド6
硬い石造りの中庭を抜け、小さな階段を上り、重たい扉を開く。
ティモフェイ
その後ろを歩くティモフェイにも、冬の寒風が常に吹きつける。
トイ
石造りの庭、階段。館の中に、雪が降っては跡形もなく溶けて消えていく。
ティモフェイ
頬がこごえる。吐く息が白くのぼっては、すぐに霧散する。
ティモフェイ
それも一瞬だけだ。ティモフェイがトイの後ろを歩く中でだけもたらされる、
メイド6
床は木の板張り。ヘリンボーン柄に組まれて乾いた床は、雪が消える前に黒く染みを作っては消えた。
ティモフェイ
故郷の風を受け、小さく身をふるわした。
メイド6
案内されるのは館向かって右側、階段から2番目の部屋。
ティモフェイ
口を開かず、メイドに小さく会釈をする。
トイ
「おお~~~~~~!?
けっこういい部屋じゃん!!」
メイド6
暖炉、シングルベッドが2つ。窓際にテーブルがあり、鏡台がある。明かりは火ではなく電気によるもので、ヒモを引けば点いたり消えたりすることは触ればわかるだろう。
トイ
2人を突き飛ばすようにわけ行って、部屋の中へ飛び込む。
メイド6
何事もなかったかのように、そのあとに続く。
ティモフェイ
メイドになにがしか声をかけようとしたか唇を開いたが、
トイ
ベッドに思いきりダイブ。バタバタとはねて、ゴロリ。
ティモフェイ
ベッドを認めて息を呑み、身を引きつらせる。
メイド6
「荷物はこちらにおかせていただきますね」
メイド6
部屋にはバスルームに続くドアがある他、黒い窓のようなものが壁に貼り付けられている。
ティモフェイ
トイのようにくつろぐでもなく、腰を下ろすこともできず、
ティモフェイ
ただ木偶のように部屋の入口近く、中途半端なところに突っ立っている。
トイ
「ご案内、サンキュー!!
……アーー…使用人さん?まだ何かあんの?」
メイド6
「お茶をご用意いたしますが、いかがでしょうか」
トイ
「酒とか、メシとか。
こちとら救世主なんだぜ」
メイド6
「ございます。それでは、すぐにご準備いたしますね」
メイド6
「それと、こちらはこの部屋の鍵となります」
ティモフェイ
浮かれるトイトロールに相反して、変わらず沈んだ表情のまま。
ティモフェイ
謝意を示すようにかすかにこうべを垂れた。
メイド6
「他の救世主様もいらっしゃいますので、戸締まりにはお気をつけください」
トイ
「用があるときは。
ルームサービスだろうがベッドメイキングだろうが…」
トイ
「オレが『入れ』っていうまで、ドアをあけるな」
メイド6
「承知いたしました。そのようにいたします」
ティモフェイ
まだ立っている。腰を下ろす気にもならないようだ。
トイ
「びくびくびくびく…
気持ちわりぃんだよ………」
ティモフェイ
1d6 先制値
DiceBot : (1D6) > 4
トイ
1d6+1
DiceBot : (1D6+1) > 1[1]+1 > 2
ティモフェイ
トイの言葉にティモフェイは視線をそちらに向けたが、
ティモフェイ
トイへと注がれるその眼差しの中に、もはや非難のいろはない。
ティモフェイ
ただどこまでも澱み果てた、深い諦念の気配があるだけで。
トイ
*主動作 h5 アピール
*補助動作 c3 距離を測る
トイ
2d6+3 脅威度判定
DiceBot : (2D6+3) > 4[1,3]+3 > 7
[ ティモフェイ ] 情緒 : 0 → 1
トイ
「オレが「つかれた」って言ったら
お前はオレの足をマッサージするんだよ。」
ティモフェイ
のろのろとトイの倒れ込んだベッドへと歩み寄り、
ティモフェイ
荒れた指を投げ出された脚へと這わせ、
ティモフェイ
ありていに言って、下手なマッサージだ。
トイ
俯き足をもむティモフェイの顔の方へ手を伸ばし
ティモフェイ
指をかけられるのにも当然抵抗はないが、すこしだけ眉をひきつらせた。
トイ
「部屋の中だとじゃらじゃら邪魔!なんだっての」
ティモフェイ
外された鎖を受け取ろうと手を差し出します。
ティモフェイ
マッサージの手を止めて、立ちあがる。
ティモフェイ
自分に与えられた方のベッド脇に置いた。
トイ
ベッドの上で上半身を起こす。
「いいぜ、入りな」
メイド6
できたての、まだ湯気の立ち上る料理。肉のたくさん入ったシチューだ。
ティモフェイ
その食事の豪勢ぶりに、むしろ明らかに表情を曇らせた。
メイド6
この堕落の国では、救世主と言えどもなかなかありつけない豪華な食事。
ティモフェイ
トイに暴行を受ける瞬間よりも、理不尽な命令を言いつけられたときよりも、
メイド6
テーブルにクロスを掛け、それを配膳する。
メイド6
グラスが置かれ、年代物の赤ワインが注がれる。
メイド6
焼きたてのパンにはバターも添えられていた。
メイド6
「それでは、ごゆっくり召し上がりください」
メイド6
「もし救世主様からご用事がある際は、そちらの電話をお使いください」
トイ
「了解了解!」待ちきれないという風にガタゴトと、テーブルに飛び込むようにすわる。
ティモフェイ
テーブルについたトイトロールとは真逆にやはり依然動かず、
ティモフェイ
なにがしか反論か罵倒でもあると思ったのか、トイを見るが。
トイ
マスクを少し持ち上げ、隙間に差し込むように肉を食べる。
トイ
シチューをすくってスプーンをティモフェイの方へ差し出す。
トイ
それは、脊髄反射的に。特に何も考えていない行動だ。
ティモフェイ
「この何もかもの不足した堕落の国で」
ティモフェイ
「わざわざ自分に与えられた食事を俺に与えることの」
トイ
「うるせえ。
オレが食えっつったら食うんだよ。」
トイ
2d6+3>7
DiceBot : (2D6+3>7) > 11[6,5]+3 > 14 > 成功
[ ティモフェイ ] 情緒 : 1 → 2
[ トイ ] 情緒 : 0 → 1
ティモフェイ
「質の話をすれば、一番に上等だろう」
トイ
「オレたちはこのトーナメントで優勝して、お前は唯一無二の本物の『救世主』になるんだからよ」
ティモフェイ
だらと血が垂れ落ちて、上等なテーブルクロスを汚す。
ティモフェイ
「なにがしかの生贄を捧げているというのに」
ティモフェイ
「それを加速させる意味が、どこにある……」
トイ
言葉を遮るようにティモフェイの髪を掴み上げ、顔をあげさせる。
ティモフェイ
ぽたぽたと血を滴らせながら、力なくこぼす。
ティモフェイ
むしろどこかそれを望むように、瞳はトイを見返した。
ティモフェイ
「……勝ち上がる気があるのならば、他の者と組んだほうが良い」
ティモフェイ
「救世主たる資格など、ありはしないのだから」
ティモフェイ
DiceBot : (2D6+3>=7) > 5[2,3]+3 > 8 > 成功
トイ
2d6+3>7
DiceBot : (2D6+3>7) > 12[6,6]+3 > 15 > 成功
メイド6
6 はっと我にかえった奴がいる。ランダムな対象1人の情緒-1。
トイ
1d6
DiceBot : (1D6) > 4
メイド6
4 何気ない所作にドキッ!ランダムな対象1人の情緒+1。
トイ
Choice[トイ,ティモフェイ]
DiceBot : (CHOICE[トイ,ティモフェイ]) > ティモフェイ
トイ
『救世主たる資格など、ありはしないのだから』…ティモフェイの言葉。
ティモフェイ
2d6+3>=15 誘い受けで要求値が変わるので振り直しです……
DiceBot : (2D6+3>=15) > 10[5,5]+3 > 13 > 失敗
トイ
怒りに身を任せるように、ティモフェイの髪を掴んだまま床にたたきつけ、
ティモフェイ
1d6 ハプニング表
DiceBot : (1D6) > 1
メイド6
1 情緒が入り乱れる!全員1D6を振り、その値を情緒とする。上限を超えた場合は〔上限-1〕とする。
ティモフェイ
髪を掴まれ引き寄せられ、頭蓋が床に叩き付けられる硬い音が響く。
ティモフェイ
それでもこの部屋のカーペットは上等だからまだましな方で、
ティモフェイ
繰り返し叩き付けられるごとに脳が揺れて、
ティモフェイ
切れた皮膚から流れた血が、その上等なカーペットを汚していくのを見ている。
トイ
その返り血が、トイとロールの冷気にからめとられ
ティモフェイ
血の雪が散るそのさまを、ティモフェイは見ていない。
ティモフェイ
ただ照明にきらきらと光る金髪に赤い化粧をほどこされ、
ティモフェイ
それもすぐさま溶けて、ただの血液となって髪を汚すばかりで。
トイ
足をそのまま差し入れ、
仰向けになるように、ひっくり返す。
ティモフェイ
降りしきる雪の、血の混じらぬ白さを見る。
トイ
悪趣味なマスクがティモフェイを見下ろしていた。
ティモフェイ
繰り返し見てきた故郷の光景と、その雪ばかりはよく似ていた。
ティモフェイ
けれど郷愁の念を思い起こさせるにはそのマスクがあまりにも邪魔だ。
ティモフェイ
むしろそのさまにこそ、自分はあの街のことを思い起こさねばならぬのに。
ティモフェイ
1d6 ハプニング表による情緒の数値変更
DiceBot : (1D6) > 3
トイ
1D6
DiceBot : (1D6) > 3
[ トイ ] 情緒 : 1 → 3
[ ティモフェイ ] 情緒 : 2 → 3
[ ティモフェイ ] 情緒 : 3 → 4
ティモフェイ
仰向けになったまま、ゆっくりと顔だけそちらに向けた。
トイ
仰向けになって自分に向かって降る雪をながめる。
トイ
「お前はサルのように腰をふってオレを抱くんだよ」
ティモフェイ
倒れた身体を起こしたそのままの姿勢で固まって、
ティモフェイ
冷たい風に凍えたように、全身をぶるりと震わせた。
トイ
2d6+3>7
DiceBot : (2D6+3>7) > 9[3,6]+3 > 12 > 成功
[ ティモフェイ ] 情緒 : 4 → 5
メイド6
ちなみに敗者は勝者から寵愛を獲得します。デスゲームでは使えませんが。
トイ
ティモフェイがいくら懇願しようと、嗚咽交じりになろうと。
ティモフェイ
トイトロールはティモフェイを許さない。
ティモフェイ
存在そのものを、決して許しはしない。
トイ
トイトロールは、ティモフェイへの『罰』そのもののようなのだ。
ティモフェイ
許しを乞い続ける声が、ようやっと止まる。
ティモフェイ
それからティモフェイが身を起こすまでも、暫しの時間を要した。
ティモフェイ
ひどく重たげに、ひどくひどく重たげに背を起こして、